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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2021-181312(P2021-181312A)
(43)【公開日】2021年11月25日
(54)【発明の名称】粉粒体排出具
(51)【国際特許分類】
   B65D 83/06 20060101AFI20211029BHJP
   G01F 23/26 20060101ALI20211029BHJP
   G01F 13/00 20060101ALI20211029BHJP
【FI】
   B65D83/06 M
   G01F23/26 A
   G01F13/00 341Y
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
【全頁数】26
(21)【出願番号】特願2020-86478(P2020-86478)
(22)【出願日】2020年5月18日
(71)【出願人】
【識別番号】000102500
【氏名又は名称】SMK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095636
【弁理士】
【氏名又は名称】早崎 修
(72)【発明者】
【氏名】中瀬 祟行
(72)【発明者】
【氏名】森田 敏弘
【テーマコード(参考)】
2F014
【Fターム(参考)】
2F014AB02
2F014AC07
2F014EA00
(57)【要約】
【課題】定量排出の精度が低い安価な粉粒体排出具であっても、定量の粉粒体の排出を検出する粉粒体排出具を提供する。
【解決手段】容器本体の粉粒体貯留室から定量計量室へ定量の粉粒体を落下させた後、容器本体の上下を逆転させて、定量計量室に充填された粉粒体のみを排出する粉粒体排出具について、定量計量室の周囲に静電容量センサーの検出電極を配設し、検出電極の浮遊容量の変化に応じて変化する静電容量センサーの検出値から定量軽量室内の定量の粉粒体の有無を判定し、その判定結果に基づいて定量の粉粒体の排出を検出する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上方から粉粒体を充填する粉粒体貯留室と、上方の排出口から粉粒体を排出する定量計量室が形成され、前記粉粒体貯留室の上段底板部と前記定量計量室の下段底板部の底板の高さが異なる筒状の容器本体と、
前記容器本体の容器内で前記粉粒体貯留室を仕切り、前記容器本体の前記底板との隙間の連通孔を介して、前記粉粒体貯留室と前記定量計量室とを連通させる仕切り板とを有する粉粒体排出具であって、
前記定量計量室を囲う前記容器本体の側壁若しくは前記下段底板部の外周面に沿って検出電極が配設され、前記検出電極の浮遊容量の変化に応じて検出値が変化する静電容量センサーと、
前記静電容量センサーの検出値に基づいて、所定量の粉粒体が前記定量計量室内に充?されているか否かを判定する判定部と、
を備えることを検出することを特徴とする粉粒体排出具。
【請求項2】
前記上段底板部の下方で、前記上段底板部と前記定量計量室を囲う前記側壁に着脱自在に取り付けられ、前記静電容量センサーが収容される電子部品ケースを更に備え、
前記静電容量センサーの前記検出電極は、前記側壁に対向する前記電子部品ケースの外周面に沿って取り付けられることを特徴とする請求項1記載の粉粒体排出具。
【請求項3】
前記静電容量センサーは、前記定量計量室に粉粒体が充?されている場合に第1検出値を、前記定量計量室に粉粒体が充?されていない場合に第2検出値を出力し、
前記判定部は、前記静電容量センサから出力される検出値が第1検出値から第2検出値へ変化することから、前記定量計量室に充填された粉粒体が前記排出口から排出されたと判定することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の粉粒体排出具。
【請求項4】
前記容器本体に直接若しくは間接的に取り付けられ、前記容器本体に加わる加速度を検出する加速度センサーを更に備え、
前記判定部は、前記静電容量センサから出力される検出値が第1検出値から第2検出値へ変化する間に、重力加速度の向きが変化し、前記加速度センサーが検出する重力速度の向きが変化することから、前記定量計量室に充填された粉粒体が前記排出口から排出されたと判定することを特徴とする請求項3に記載の粉粒体排出具。
【請求項5】
前記容器本体に直接若しくは間接的に取り付けられ、前記容器本体に加わる加速度を検出する加速度センサーを更に備え、
前記判定部は、前記静電容量センサから出力される検出値が第1検出値から第2検出値へ変化する間に、前記加速度センサーが検出する加速度の向きが複数回変化することから、前記定量計量室に充填された粉粒体が前記排出口から排出されたと判定することを特徴とする請求項3に記載の粉粒体排出具。
【請求項6】
前記判定部が前記定量計量室に充填された粉粒体が前記排出口から排出されたと判定した判定情報を一時記憶する記憶手段と、
前記記憶手段が一時記憶した判定情報をワイヤレス送信する送信手段とを更に備えたことを特徴とする請求項4又は請求項5のいずれか1項に記載の粉粒体排出具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粉ミルク、インスタントコーヒー、粉末状の医薬などの粉粒体を容器から一定量排出する粉粒体の排出具に関し、更に詳しくは、定量の粉粒体が排出されたことを検出する粉粒体排出具に関する。
【背景技術】
【0002】
粉ミルク、インスタントコーヒー、粉末状の医薬などの粉粒体を、定量分だけ使用する場合には、計量カップ、スプーンなどを用いて定量分を取り出しているが、手間と時間がかかるため、一定容量の定量計量室が設けられたローターを、粉粒体を貯留する粉粒体容器に対して回転操作するだけで、一定量の粉粒体を排出する粉粒体排出具が知られている(特許文献1、特許文献2)。
【0003】
以下、この特許文献1に記載の粉粒体排出具100を、図6を用いて説明する。粉粒体排出具100は、同図に示すように、上下に貫通する定量計量室110が形成され、円筒の内壁面に雌ねじ101aが形成されたローター101と、ローター101の上面を覆い、投入口111が形成された投入側プレート102と、円筒の外側面に雄ねじ103aが形成され、雄ねじ103aをローター101の雌ねじ101aに螺合してローター101の上方に連結される粉粒体容器103と、ローター101の下面を覆い、排出口112が穿設された排出側プレート104と、排出側プレート104の下方を覆う蓋105と、投入側プレート102の中心から下方に向けて一体に突設され、投入口111と排出口112がローター101の中心軸Cに沿った鉛直方向で重ならない状態で、排出側プレート104と回転方向に相対位置決めして連結する連結軸106とから構成されている。
【0004】
連結軸106により、ローター101を投入側プレート102と排出側プレート104の間で回転自在に案内することにより、一体に連結される粉粒体容器103とローター101に対して、投入側プレート102と排出側プレート104とが一体でローター101の中心軸C周りに相対的に回転する。ローター101の外側面には、中心軸C周りに所定角度離れた位置に、供給位置決め突起と排出位置決め突起114が突設され、排出側プレート104の外周面には、ローター101に対して排出側プレート104が相対回転する際に、これらの供給位置決め突起と排出位置決め突起114に当接して回転が規制される操作摘み115が突設されている。
【0005】
この粉粒体排出具100は、粉粒体容器103若しくはローター101を手に持って、操作摘み115を回転操作して、投入側プレート102と排出側プレート104を中心軸C周りに回転させるもので、操作摘み115が供給位置決め突起に当接して回転が規制される回転位置では、投入側プレート102の投入口111がローター101の定量計量室110に連通し、操作摘み115が排出位置決め突起114に当接して回転が規制される回転位置では、ローター101の定量計量室110が排出側プレート104の排出口112に連通する。
【0006】
従って、定量計量室110に充填される容量の一定量の粉粒体を排出する際には、粉粒体容器103側を上方とした姿勢で粉粒体排出具100の粉粒体容器103若しくはローター101を手に持って、操作摘み115が供給位置決め突起に当接する回転位置まで排出側プレート104を回転操作する。これにより、粉粒体容器103に貯留された粉粒体は、投入口111を通して定量計量室110内に落下し、その後、操作摘み115を逆方向に回転操作すると、定量計量室110の上面に沿って投入側プレート102が摺動し、一定量の粉粒体が定量計量室110に充填される。
【0007】
更に、操作摘み115を同方向に、操作摘み115が排出位置決め突起114に当接するまで回転操作すると、定量計量室110に充填された粉粒体が排出口112を通して下方に落下し、定量計量室110の容量に相当する一定量の粉粒体が排出される。
【0008】
また、図7に示すように、粉粒体であるトナーPに近接させて検出電極121aを配置し、トナーPの有無によって検出電極121aについての浮遊容量が変化し、検出値が変化する静電容量センサー121を用いて、トナーPの残量を検出する粉粒体の検出装置120が、特許文献3で知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特許第3487647号公報
【特許文献2】実開昭62−17550号公報
【特許文献3】特開平7−306081号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上記従来の粉粒体排出具によれば、簡単な操作で一定量の粉粒体を排出して得られるので、粉ミルクを溶かして授乳する場合や、粉末の薬を飲む場合に、適量が得られる。しかしながら、粉粒体排出具を用いて定量の粉粒体を排出する操作を記録する手段がないので、授乳回数や薬を飲む回数が決められている場合に、粉粒体排出具を用いて排出したことが分からず、過剰に授乳したり、粉末の薬を飲んでしまう恐れがあった。
【0011】
また、特許文献1、特許文献2に記載の従来の粉粒体排出具は、粉粒体容器103とローター101に対して、投入側プレート102と排出側プレート104とを一体に回転させる複雑な構造であり、定量計量室110に粉粒体を充填し、排出するためにローター101を回転操作しなければならないという煩わしい操作が必要となっていた。
【0012】
また、定量計量室110が排出口112の一部のみに重なった相対回転位置で粉粒体が排出される場合や、定量計量室10と排出口112が連通した後、ローター101を逆回転せた場合には、定量計量室110の容量に相当する一定量の粉粒体が充填されているとは限らず、定量の粉粒体を排出できない。
【0013】
特許文献3に記載の静電容量センサー121を用いて定量計量室110内の粉粒体の有無を検出することは可能であるが、定量計量室10に近接するローター101の一部に検出電極121aを配置する構造は、ローター101が回転するので実用性がなく、また、ローター101を回転自在に支持する筐体側に検出電極121aを配置すると、ローター101の回転で定量計量室110との距離が変化するので、正確に粉粒体の有無を検出することはできない。
【0014】
本発明は、このような従来の問題点を考慮してなされたものであり、簡易構造で比較的定量排出の精度が低い安価な粉粒体排出具であっても、定量の粉粒体の排出を検出する粉粒体排出具を提供することを目的とする。
【0015】
また、ローターを回転操作することなく、簡単な操作で定量の粉粒体を排出する粉粒体排出具であっても、確実に定量の粉粒体の排出を検出する粉粒体排出具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上述の目的を達成するため、請求項1に記載の粉粒体排出具は、上方から粉粒体を充填する粉粒体貯留室と、上方の排出口から粉粒体を排出する定量計量室が形成され、粉粒体貯留室の上段底板部と定量計量室の下段底板部の底板の高さが異なる筒状の容器本体と、容器本体の容器内で粉粒体貯留室を仕切り、容器本体の底板との隙間の連通孔を介して、粉粒体貯留室と定量計量室とを連通させる仕切り板とを有する粉粒体排出具であって、
定量計量室を囲う容器本体の側壁若しくは下段底板部の外周面に沿って検出電極が配設され、検出電極の浮遊容量の変化に応じて検出値が変化する静電容量センサーと、静電容量センサーの検出値に基づいて、所定量の粉粒体が定量計量室内に充?されているか否かを判定する判定部と、を備えることを検出する
ことを特徴とする。
【0017】
上方から粉粒体貯留室に充填された粉粒体は、その一部が連通孔が投入口を通して下段底板部が粉粒体貯留室の上段底板部より低い定量計量室に流れ込む。粉粒体は、連通孔と同じくらいの高さとなるまで定量計量室に流れ込むので、定量計量室には、その容量とほぼ同程度の一定量の粉粒体が充填される。
【0018】
定量計量室に所定量の粉粒体が充填されると、定量計量室を囲う容器本体の側壁若しくは下段底板部の外周面に沿って配設される検出電極についての浮遊容量が増加し、静電容量センサーで検出する検出値が変化するので、判定部は、静電容量センサーの検出値に基づいて、所定量の粉粒体が定量計量室内に充?されているか否かを判定する。
【0019】
粉粒体排出具を天地を逆転させて倒置させると、定量計量室に充填された粉粒体は、排出口から排出されるので、所定量の粉粒体が定量計量室内に充填されていないとの判定部の判定結果から、定量の粉粒体が排出されたことを検出できる。
【0020】
請求項2に記載の粉粒体排出具は、上段底板部の下方で、上段底板部と定量計量室を囲う側壁に着脱自在に取り付けられ、静電容量センサーが収容される電子部品ケースを更に備え、静電容量センサーの検出電極は、側壁に対向する電子部品ケースの外周面に沿って取り付けられることを特徴とする。
【0021】
粉粒体貯留室の下方で定量計量室の側方の容器本体の隙間に、静電容量センサーを外力から保護する電子部品ケースが取り付けられるので、、粉粒体排出具が複雑な外形とならず、粉粒体を排出しない待機姿勢で自立させることができる。
【0022】
また、静電容量センサーの検出電極は、電子部品ケースを容器本体に取り付ける作業で自然に定量計量室を囲う側壁の外周面に沿って配設される。
【0023】
請求項3に記載の粉粒体排出具は、静電容量センサーは、定量計量室に粉粒体が充?されている場合に第1検出値を、定量計量室に粉粒体が充?されていない場合に第2検出値を出力し、判定部は、静電容量センサーから出力される検出値が第1検出値から第2検出値へ変化することから、定量計量室に充填された粉粒体が排出口から排出されたと判定することを特徴とする。
【0024】
第1検出値は、定量計量室に粉粒体が充?されている状態を、第2検出値は、定量計量室に粉粒体が充?されていない状態を表すので、静電容量センサーから出力される検出値が第1検出値から第2検出値へ変化することから、定量計量室に充填されていた定量の粉粒体が排出されたことを確実に判定できる。
【0025】
請求項4に記載の粉粒体排出具は、容器本体に直接若しくは間接的に取り付けられ、容器本体に加わる加速度を検出する加速度センサーを更に備え、判定部は、静電容量センサーから出力される検出値が第1検出値から第2検出値へ変化する間に、重力加速度の向きが変化し、加速度センサーが検出する重力加速度の向きが変化することから、定量計量室に充填された粉粒体が排出口から排出されたと判定することを特徴とする。
【0026】
静電容量センサーから出力される検出値が第1検出値から第2検出値へ変化することから、定量計量室に粉粒体が充?されている状態から粉粒体が充?されていない状態に移行したと推定でき、容器本体に直接若しくは間接的に取り付けられる加速度センサーに加わる重力加速度の向きが変化することから、粉粒体排出具の天地が逆転した排出姿勢となって定量計量室に充填された粉粒体が排出口から排出されたと推定できる。従って、静電容量センサーから出力される検出値が第1検出値から第2検出値へ変化する間に、加速度センサーが検出する重力加速度の向きの変化から排出姿勢に変化したと推定できるので、定量計量室に充填された粉粒体が排出口から排出されたことを確実に判定できる。
【0027】
静電容量センサーの検出値が第1検出値である場合に、加速度センサーが検出する重力加速度の向きが変化した後、静電容量センサーの検出値が第2検出値に変化したかどうかを判定すればよいので、静電容量センサーから出力される検出値を第2検出値に変化するまで監視する必要がない。
【0028】
請求項5に記載の粉粒体排出具は、容器本体に直接若しくは間接的に取り付けられ、容器本体に加わる加速度を検出する加速度センサーを更に備え、判定部は、静電容量センサーから出力される検出値が第1検出値から第2検出値へ変化する間に、加速度センサーが検出する加速度の向きが複数回変化することから、定量計量室に充填された粉粒体が排出口から排出されたと判定することを特徴とする。
【0029】
静電容量センサーから出力される検出値が第1検出値から第2検出値へ変化することから、定量計量室に粉粒体が充?されている状態から粉粒体が充?されていない状態に移行したと推定でき、容器本体に直接若しくは間接的に取り付けられる加速度センサーが検出する加速度の向きが複数回変化することから、粉粒体排出具を上下に複数回振って、定量計量室に充填された粉粒体を全て排出口から排出する操作があったと推定できる。従って、静電容量センサーから出力される検出値が第1検出値から第2検出値へ変化する間に、加速度センサーが検出する加速度の向きが複数回変化することから、定量計量室に充填された粉粒体が排出口から排出されたことを確実に判定できる。
【0030】
静電容量センサーの検出値が第1検出値である場合に、加速度センサーが検出する加速度の向きが複数回変化した後、静電容量センサーの検出値が第2検出値に変化したかどうかを判定すればよいので、静電容量センサーから出力される検出値を第2検出値に変化するまで監視する必要がない。
【0031】
請求項6に記載の粉粒体排出具は、判定部が定量計量室に充填された粉粒体が排出口から排出されたと判定した判定情報を一時記憶する記憶手段と、記憶手段が一時記憶した判定情報をワイヤレス送信する送信手段とを更に備えたことを特徴とする。
【0032】
判定部が定量計量室に充填された粉粒体が排出口から排出されたと判定した判定情報は、記憶手段で一時記憶され、送信手段からワイヤレス送信される。ワイヤレス送信される判定情報は、定量計量室から一定量の粉粒体が排出されたことを表すので、粉粒体を排出したことを判定情報を受信した機器で確認できる。
【発明の効果】
【0033】
請求項1の発明によれば、定量計量室に充填される粉粒体は、粉粒体貯留室から自重で落下して定量計量室に流れ込むので、定量の粉粒体が定量計量室に充填されたかどうかは不確定であるが、判定部は、静電容量センサーの検出値から定量の粉粒体が充填されていることを判定でき、所定量の粉粒体が定量計量室内に充?されているとの判定部の判定結果から、定量の粉粒体が排出されたことを検出できる。
【0034】
静電容量センサーの検出電極は、定量計量室を囲う容器本体の側壁若しくは下段底板部の外周面に沿って配設され、粉粒体に直接接触しないので、粉粒体を汚すことなく、所定量の粉粒体が定量計量室内に充?されているか否かを判定できる。
【0035】
請求項2の発明によれば、粉粒体排出具を、全体が大型化せず、凹凸が少ない美感にすぐれた外形とすることができる。
【0036】
静電容量センサーなどの電子部品を電子部品ケースとともに容器本体から分離することができるので、容器本体を水洗いすることができる。
【0037】
請求項3の発明によれば、静電容量センサーを設ける簡単な構成で、静電容量センサーから出力される検出値の変化から粉粒体の排出を判定できる。
【0038】
請求項4又は請求項5の発明によれば、静電容量センサーと加速度センサーを設ける簡単な構成で、定量の粉粒体が排出されたことを確実に判定できる。
【0039】
また、静電容量センサーから出力される検出値を第1検出値から第2検出値に変化するまで連続して監視する必要がないので、静電容量センサーによるバッテリーの消費を節約できる。
【0040】
請求項6の発明によれば、 粉粒体排出具を用いて一定量の粉粒体を排出したことを粉粒体排出具から離れた電子機器で確認できる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
図1】本願発明の1実施の形態に係る粉粒体排出具1の分解斜視図である。
図2】待機姿勢の粉粒体排出具1の縦断面図である。
図3】定量計量室22に粉粒体が充填された状態を示す粉粒体排出具1の縦断面図である。
図4】定量の粉粒体Pを排出する排出姿勢の粉粒体排出具1の縦断面図である。
図5】粉粒体Pの排出判定・送信回路20を示すブロック図である。
図6】従来の粉粒体排出具100を示す分解斜視図である。
図7】従来の粉粒体の検出装置120を示す要部縦断面である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
本発明の1実施の形態に係る粉粒体排出具1を、図1乃至図5を用いて説明する。本実施の形態に係る粉粒体排出具1は、定量のお湯で溶いて授乳用ミルクとするために、定量の粉粒体Pである粉ミルクを排出するミルカーで、使用せずに待機させている状態では、図2図3に図示する待機姿勢としておき、粉粒体Pを排出する際に、上下を返した図4に示す排出姿勢とするものであり、以下の粉粒体排出具1の各部の説明は、図2図3に図示する向きを上下左右方向として説明する。
【0043】
本実施の形態に係る粉粒体排出具1は、図1に示すように、上方が開口する円筒形状の容器本体2と、容器本体2の上方から挿入し、容器本体2内を左右に仕切る仕切り板3と、容器本体2の上方の開口2aを覆い、漏斗41の上端に排出口5が形成されたボトルカバー4と、漏斗41の排出口5周りにネジ止めして着脱自在に取り付けられるキャップ6と、有底の容器本体2の下方に着脱自在に取り付けられる電子部品ケース10とを備えている。
【0044】
図2に示すように、容器本体2の円筒状の底部は、最も低い位置の下段底板部22aと、下段底板部22aより上方の上段底板部21aと、上段底板部21aと下段底板部22a間に一体に連続する傾斜板部22bとからなっている。上段底板部21aの底面と上段底板部21aの底面より急傾斜の傾斜板部22bの内壁面は、いずれも下段底板部22aの方向(左方)に向かって下方に傾斜する傾斜面となっていて、これにより上段底板部21aの底面上に充填される粉粒体が自重でこれらの傾斜面に沿って下段底板部22aへ落下する形状となっている。
【0045】
容器本体2内を左右に仕切る仕切り板3は、すり鉢状の下端に充填口8が穿設された水平取付板部31と、水平取付板部31の一端に鉛直方向に一体に連設された鉛直仕切板部32とから構成されている。水平取付板部31の外周面は、上段底板部21aの上方の容器本体2の開口2aの内側に嵌合する形状に形成され、鉛直仕切板部32の前後方向(図2で紙面に直交する方向)の幅は、円筒形状の容器本体2の内径にほぼ等しく、鉛直方向の長さは、上段底板部21aが容器本体2の開口2aの内側に嵌合した状態で、上段底板部21aの底面と傾斜板部22bの内壁面の境界線BL付近との間に僅かな隙間の連通孔9が形成される長さとなっている。挿通孔9は、充填される粉粒体の粒径や流動性に応じて、粉粒体が支障なく自重で下段底板部22aへ向けて落下できる隙間となるように、鉛直仕切板部32の長さを適切に設定することで形成される。
【0046】
これにより、上方から仕切り板3を容器本体2内に挿入し、容器本体2の開口2aの内側に嵌合して容器本体2に取り付けると、上段底板部21aの上方に、容器本体2の内壁面と仕切り板3で囲われ、上方が仕切り板3の水平取付板部31で施蓋される粉粒体貯留室21が形成される。また、連通孔9を介して粉粒体貯留室21の斜め下方に連通する定量計量室22が、下段底板部22aの上方で、容器本体2の内壁面と容器本体2の側壁の一部である傾斜板部22bに囲われて形成される。
【0047】
容器本体2の上端の外周面には、仕切り板3が取り付けられた容器本体2の開口2aを覆うボトルカバー4がネジ止めにより着脱自在に取り付けられている。図2に示すように、容器本体2に取り付けられるボトルカバー4の定量計量室22の上方の部位には、上方の排出口5に向かって絞られた漏斗41が一体に形成されている。漏斗41は、粉粒体排出具1を排出姿勢として排出口5から粉ミルクPを排出する際に、粉ミルクPが散乱して排出されないように、狭い排出口5に絞って排出する。
【0048】
キャップ6は、漏斗41の上方に着脱自在に取り付けられ、粉粒体排出具1が待機姿勢である間に、排出口5を覆い、排出口5から水分やゴミが容器本体2の定量計量室22に侵入することを防止する。
【0049】
容器本体2の底部は、上述のように傾斜板部22bを介して上段底板部21aより下方の位置に下段底板部22aが連続するので、容器本体2には、上段底板部21aの下方で傾斜板部22bの側方に凹部が形成され、本実施の形態では、この凹部の空間を利用して、電子部品ケース10を上段底板部21aに係合させて容器本体2に着脱自在に取り付けている。電子部品ケース10は、円筒形の下部の下方が開口し、上面が上記凹部に相補する形状となった中空のケース本体10aと、ケース本体10aの下部にネジ止めして取り付けられ、ケース本体10aの下方の開口を施蓋する円板状のケースカバー10bとから構成されている。
【0050】
下方の開口がケースカバー10bで覆われた中空の電子部品ケース10内は、部品収容室10cとなっていて、部品収容室10c内に収容される回路基板11に、図5に示す粉粒体の排出判定・送信回路20の各機能を実行する為のMPU(マイコンという)13と、マイコン13に接続する加速度センサー14、静電容量センサー12、記憶部15、アンテナ16aを含むRF通信部16等の各電子部品と、これらの駆動電源となるバッテリー25が実装されている。
【0051】
このうち、静電容量センサー12の検出電極12aは、傾斜板部22bに対向する電子部品ケース10の傾斜面10dに沿って取り付けられ、ケースカバー10bを貫通する接続線(図示せず)を介して、部品収容室10cに収容された静電容量センサー12の本体と電気接続している。
【0052】
静電容量センサー12は、ここでは自己容量方式で検出電極12aの周囲の静電容量(浮遊容量)を検出するもので、検出電極12aは、定量計量室22を囲う傾斜板部22bに対向する電子部品ケース10の傾斜面10dに沿って取り付けられているので、その検出値から定量計量室22内に粉ミルクPが充填されているか否かを判別できる。すなわち、定量計量室22に粉ミルクPが充?されている場合には、検出電極12aの周囲の静電容量が増加するので、静電容量センサー12の検出値は、相対的に高い検出値(以下、この検出値を第1検出値という)となり、逆に定量計量室22に粉ミルクPが充?されていない場合には、第1検出値に対して相対的に低い検出値(以下、この検出値を第2検出値という)となる。
【0053】
上述の通り、定量計量室22に充填される粉粒体Pは、粉粒体Pの自重により充填されるものであるので、粉粒体Pが湿気を帯びて固まったり、互いに付着して一定の大きさになると連通孔9を通過しない場合があり、充填口8から粉粒体Pを粉粒体貯留室21へ充填しても、確実に定量の粉粒体Pが定量計量室22に充填されるとは限らない。しかしながら、本発明によれば、充填口8から粉粒体Pを粉粒体貯留室21へ充填した後に、検出する静電容量センサー12の検出値から、定量の粉粒体Pが定量計量室22に充填されたかどうかを検出できる。
【0054】
また、加速度センサー14は、粉粒体排出具1の回路基板11に実装され、粉粒体排出具1に加わる上下方向の加速度を検出するものであるが、加速度センサー14が取り付けられる粉粒体排出具1の姿勢にかかわらず、重力加速度は鉛直方向に加わるので、粉粒体排出具1が待機姿勢と排出姿勢である場合では、加速度センサー14の検出方向に対して逆方向の向きの重力加速度が加わる。加速度センサー14が検出する加速度には、粉粒体排出具1を上下に移動させることによる加速度に、粉粒体排出具1の姿勢によって異なる向きの重力加速度が加わわるが、前者の加速度は、その向きが変化せず、一定時間内にその大きさが変化するのに対し、後者の加速度の絶対値は変化しないので、後者の加速度のみを判別し、その加速度の向きの変化から、粉粒体排出具1が待機姿勢と排出姿勢のいずれであるかを判定できる。また、前者の加速度のみを判別し、その加速度が所定時間内に複数回周期的に変化することから、粉粒体排出具1を上下方向に振る操作と判定できる。
【0055】
マイコン13は、静電容量センサー12から出力される検出値と、加速度センサー14が検出した加速度とから、定量計量室22に充填された粉ミルクPが排出口5から排出されたかどうかを判定する判定部を有している。判定部は、静電容量センサー12から出力される検出値のみを監視し、静電容量センサー12から出力される検出値が第1検出値から第2検出値へ変化した場合に、定量計量室22に充填された粉ミルクPが排出口5から排出されたと判定することもできるが、ここでは、加速度センサー14が検出する重力加速度の向きから判定する粉粒体排出具1の姿勢を併せて用いて、より正確に定量計量室22に充填された粉ミルクPが排出口5から排出されたかどうかを判定する。
【0056】
例えば、マイコン13の判定部は、静電容量センサー12から出力される検出値が第1検出値であって、加速度センサー14が検出する重力加速度の向きから粉粒体排出具1が待機姿勢にあると判定した場合に、粉粒体排出具1は図3に示す待機姿勢であると推定し、その後、加速度センサー14が検出する重力加速度の向きのみを監視し、重力加速度の向きの変化から粉粒体排出具1が排出姿勢に変化したと判定した後、静電容量センサー12から出力される検出値が第2検出値となった場合に、定量計量室22に充填された粉ミルクPが排出口5から排出されたと判定する。
【0057】
また、静電容量センサー12の検出値と加速度センサー14が検出する加速度とから、粉粒体Pの排出と判定する他の方法として、操作者が排出口5から粉粒体Pを排出する際に粉粒体排出具1を上下に振る習性を利用し、加速度センサー14が検出する粉粒体排出具1に加わる加速度の向きが所定時間内に複数回の変化することから、粉粒体Pの排出と判定してもよい。例えば、マイコン13の判定部は、静電容量センサー12から出力される検出値が第1検出値から第2検出値に変化する間に、加速度センサー14が検出する粉粒体排出具1に加わる加速度が所定時間内に複数回周期的に変化した場合に、定量計量室22に充填された粉ミルクPが排出口5から排出されたと判定する。
【0058】
マイコン13の判定部が、定量計量室22に充填された粉ミルクPが排出口5から排出されたと判定すると、その判定情報を判定時刻とともに、記憶部15に記憶する。
【0059】
RF通信部16は、低消費電力で動作するBluetooth(登録商標)方式のRF通信モジュールと回路基板11の一面に導電パターンを印刷配線して形成されたプリントアンテナ16aとからなり、マイコン13を介して記憶部15に記憶された判定情報と判定時刻とをRF送信する。RF通信部16からこれらの情報を送信する送信先は、後述するペアリング工程で特定される図示しない特定の端末機器であり、ペアリング工程は、ここでは、粉粒体排出具1を待機姿勢とした状態で、粉粒体排出具1を鉛直方向に1度振る動作で実行されるものとする。
【0060】
また、マイコン13は、バッテリー25からマイコン13と加速度センサー14のみに駆動電源を供給し、加速度センサー14が検出する加速度のみを監視するスリープモードと、バッテリー25から粉粒体の排出判定・送信回路20を構成する全ての回路部品に駆動電源を供給し、全ての粉粒体の排出判定・送信回路20の動作を制御するランモードで動作し、粉粒体排出具1が待機姿勢と判定された状態で、所定の経過時間、加速度センサー14が検出する加速度が変化しない場合には、待機状態にあるとして、ランモードで動作している場合には、スリープモードに移行する。また、スリープモードで、加速度センサー14が検出する加速度が変化した場合には、使用状態であるとして、スリープモードでからランモードに移行する。これにより、粉粒体排出具1を使用しない待機状態で、バッテリー25の不必要の電力消費を防止できる。
【0061】
以下、このように構成された粉粒体排出具1の動作を説明する。粉粒体排出具1を使用しない間は、図2に示すように、粉粒体排出具1を、容器本体2の開口2aが上方となる待機姿勢で起立させておく。この待機姿勢では、電子部品ケース10の円板状のケースカバー10bが、平坦な底面となっているので、底面に段差のある容器本体2であっても、安定して起立させておくことができる。
【0062】
この粉粒体排出具1を使用しない間は、マイコン13の判定部は、加速度センサー14が検出する重力加速度の向きから粉粒体排出具1を待機姿勢と判定し、更に、所定の経過時間、加速度センサー14が検出する加速度が変化しない場合には、マイコン13は、マイコン13と加速度センサー14のみに駆動電源を供給し、加速度センサー14が検出する加速度のみを監視するスリープモードで動作する。
【0063】
粉粒体排出具1を用いて定量の粉ミルクPを排出する場合には、始めに待機姿勢の粉粒体排出具1のボトルカバー4を外し、露出するすり鉢状の下端の充填口8から、粉粒体貯留室21へ粉ミルクPを充填する。この操作の過程で、粉粒体排出具1に鉛直方向の加速度が加わり、加速度センサー14が検出する加速度が変化するので、マイコン13は、スリープモードでからランモードに移行する。ランモードで動作するマイコン13は、加速度センサー14が検出する重力加速度の向きから、粉粒体排出具1が待機姿勢にあると判定し、その判定情報を記憶部15に一時記憶する。
【0064】
粉粒体貯留室21に充填された粉ミルクPは、その一部が連通孔9を通って、自重で上段底板部21aと傾斜板部22bの傾斜する底面に沿って下段底板部22aに落下し、定量計量室22に充填される。自重で定量計量室22に充填される粉ミルクPは、連通孔9より高い位置には充填されないので、連通孔9の高さを境界とする定量計量室22にほぼ定量の粉ミルクPが充填される。この時、マイコン13は、ランモード動作しているので、マイコン13からの制御を受けて動作する静電容量センサー12からマイコン13に入力される静電容量センサー13の検出値は、定量計量室22に定量の粉ミルクPが充填されていることを表す第1検出値であり、マイコン13は、第1検出値を記憶部15に一時記憶する。
【0065】
続いて、容器本体2の開口2aにボトルカバー4を装着した後、図3に示す状態で、粉粒体排出具1を所定時間放置しておくと、マイコン13はスリープモードに移行する。
【0066】
ここで、ペアリング工程を実行する場合には、粉粒体貯留室21に粉ミルクPを充填する操作の前後のいずれかで、待機姿勢にある粉粒体排出具1を鉛直方向に1度振る。マイコン13は、記憶部15に待機姿勢である判定情報が記憶され、加速度センサー14が検出する粉粒体排出具1に加わる加速度の向きが短時間に一度変化することから、ペアリング工程を求める操作であるとして、以下のペアリング工程を実行する。
【0067】
Bluetooth(登録商標)方式では、送信側の粉粒体排出具1と受信側となる一又は複数の端末機器にそれぞれ固有のマスターIDとスレーブIDを割り当てられる。ペアリング工程は、粉粒体排出具1のRF通信部16をペアリングモードとし、マスターIDが割り当てられた粉粒体排出具1がペアリングモードとなったことを周囲に向けて発信する。スレーブIDを割り当てられた端末機器がこれを受信すると、同様にペアリングモードとなって、自身に割り当てられたスレーブIDを粉粒体排出具1のRF通信部16へ返信し、粉粒体排出具1が受信したスレーブIDが自身のマスターIDに関連づけて割り当てられたスレーブIDに一致すると、両者の間のみのRF通信が確立される。このペアリング工程によって、粉粒体排出具1から送信される判定情報や判定時刻などの送信情報が、粉粒体排出具1を使用する使用者の端末機器など特定の端末機器にのみ送信され、不特定の端末機器に送信されない。
【0068】
ペアリング工程を実行した後、定量の粉ミルクPを排出する場合には、排出口5のキャップ6を外し、粉粒体排出具1を待機姿勢から図4に示すように上下を反転させて排出姿勢とする。この操作によって、加速度センサー14に鉛直方向の加速度が加わるので、マイコン13がスリープモードで動作している場合には、ランモードに移行する。また、加速度センサー14に加わる重力加速度の向きが変化することから、粉粒体排出具1が待機姿勢から排出姿勢に変化したと判定し、その判定情報を記憶部15に一時記憶するとともに、静電容量センサー13の検出値を監視する。
【0069】
粉粒体排出具1が排出姿勢になることによって、キャップ5を外した排出口5は、図4に示すように、定量計量室22の下方に位置することとなり、定量計量室22の容積に相当する定量の粉ミルクPが、排出口5から排出される。これにより、定量計量室22内は空洞となるので、静電容量センサー12の検出値は、第2検出値となり、マイコン13は、静電容量センサー12の検出値が第1検出値から第2検出値に変化する間に、粉粒体排出具1が排出姿勢に移行したことを示す判定情報が記憶部15に記憶されることから、定量計量室22に充填された粉ミルクPが排出口5から排出されたと判定し、その判定情報を判定時刻とともに、記憶部15に記憶する。
【0070】
記憶部15に記憶された判定情報と判定時刻は、定量排出操作が終了した所定時間後(例えば、マイコン13が排出姿勢から待機姿勢に変化したと判定し、ランモードからスリープモードに移行する直前)に、RF通信部16から特定の端末装置に送信され、端末側では、一定量の粉ミルクPを排出した排出操作をその時刻とともに記録できる。
【0071】
これにより、粉粒体排出具1を用いて定量の粉ミルクを排出した使用者は、端末装置から、粉ミルクPから作ったミルクで授乳した回数や授乳量をその時刻とともに確認できる。
【0072】
本実施の形態にかかる粉粒体排出具1では、静電容量センサ−12の検出電極12aを、定量計量室22を囲う傾斜板部22bに沿って配設しているが、静電容量センサー12による検出に、粉粒体貯留室21に充填された粉粒体Pの影響を受けるので、下段底板部22aや定量計量室22を囲う容器本体2の他の側壁に沿って取り付けてもよい。
【0073】
また、本実施の形態では、静電容量センサー12から出力される第1検出値と第2検出値で、定量計量室22内の粉粒体Pの有無を判定しているが、第1検出値と第2検出値の間に所定のレベルの閾値を設定し、静電容量センサー12から出力される検出値が閾値以上であるか未満であるかで判定してもよい。
【0074】
また、本実施の形態では、粉ミルクPが排出口5から排出されたと判定した判定情報を判定時刻を、送信手段16で周囲の端末装置へ送信したが、容器本体2の一部に液晶表示パネル等の表示装置を設けて、記憶部15に記憶した判定情報と判定時刻を表示装置に表示してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0075】
本発明は、粉ミルクなどの粉粒体を定量排出した排出記録を確認可能な粉粒体排出具に適している。
【符号の説明】
【0076】
1 粉粒体排出具
2 容器本体
3 仕切り板
5 排出口
8 充填口
9 連通孔
10 電子部品ケース
12 静電容量センサー
12a 検出電極
13 マイコン(判定部)
14 加速度センサー
15 記憶部(記憶手段)
16 RF通信部24(送信手段)
20 排出判定・送信回路
21 粉粒体貯留室
21a 上段底板部
22 定量計量室
22a 下段底板部
22b 傾斜板部(側壁)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【手続補正書】
【提出日】2020年5月18日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上方から粉粒体を充填する粉粒体貯留室と、上方の排出口から粉粒体を排出する定量計量室が形成され、前記粉粒体貯留室の上段底板部と前記定量計量室の下段底板部の底板の高さが異なる筒状の容器本体と、
前記容器本体の容器内で前記粉粒体貯留室を仕切り、前記容器本体の前記底板との隙間の連通孔を介して、前記粉粒体貯留室と前記定量計量室とを連通させる仕切り板とを有する粉粒体排出具であって、
前記定量計量室を囲う前記容器本体の側壁若しくは前記下段底板部の外周面に沿って検出電極が配設され、前記検出電極の浮遊容量の変化に応じて検出値が変化する静電容量センサーと、
前記静電容量センサーの検出値に基づいて、所定量の粉粒体が前記定量計量室内に充填されているか否かを判定する判定部と、
を備えることを検出することを特徴とする粉粒体排出具。
【請求項2】
前記上段底板部の下方で、前記上段底板部と前記定量計量室を囲う前記側壁に着脱自在に取り付けられ、前記静電容量センサーが収容される電子部品ケースを更に備え、
前記静電容量センサーの前記検出電極は、前記側壁に対向する前記電子部品ケースの外周面に沿って取り付けられることを特徴とする請求項1記載の粉粒体排出具。
【請求項3】
前記静電容量センサーは、前記定量計量室に粉粒体が充填されている場合に第1検出値を、前記定量計量室に粉粒体が充填されていない場合に第2検出値を出力し、
前記判定部は、前記静電容量センサから出力される検出値が第1検出値から第2検出値へ変化することから、前記定量計量室に充填された粉粒体が前記排出口から排出されたと判定することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の粉粒体排出具。
【請求項4】
前記容器本体に直接若しくは間接的に取り付けられ、前記容器本体に加わる加速度を検出する加速度センサーを更に備え、
前記判定部は、前記静電容量センサから出力される検出値が第1検出値から第2検出値へ変化する間に、重力加速度の向きが変化し、前記加速度センサーが検出する重力速度の向きが変化することから、前記定量計量室に充填された粉粒体が前記排出口から排出されたと判定することを特徴とする請求項3に記載の粉粒体排出具。
【請求項5】
前記容器本体に直接若しくは間接的に取り付けられ、前記容器本体に加わる加速度を検出する加速度センサーを更に備え、
前記判定部は、前記静電容量センサから出力される検出値が第1検出値から第2検出値へ変化する間に、前記加速度センサーが検出する加速度の向きが複数回変化することから、前記定量計量室に充填された粉粒体が前記排出口から排出されたと判定することを特徴とする請求項3に記載の粉粒体排出具。
【請求項6】
前記判定部が前記定量計量室に充填された粉粒体が前記排出口から排出されたと判定した判定情報を一時記憶する記憶手段と、
前記記憶手段が一時記憶した判定情報をワイヤレス送信する送信手段とを更に備えたことを特徴とする請求項4又は請求項5のいずれか1項に記載の粉粒体排出具。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粉ミルク、インスタントコーヒー、粉末状の医薬などの粉粒体を容器から一定量排出する粉粒体の排出具に関し、更に詳しくは、定量の粉粒体が排出されたことを検出する粉粒体排出具に関する。
【背景技術】
【0002】
粉ミルク、インスタントコーヒー、粉末状の医薬などの粉粒体を、定量分だけ使用する場合には、計量カップ、スプーンなどを用いて定量分を取り出しているが、手間と時間がかかるため、一定容量の定量計量室が設けられたローターを、粉粒体を貯留する粉粒体容器に対して回転操作するだけで、一定量の粉粒体を排出する粉粒体排出具が知られている(特許文献1、特許文献2)。
【0003】
以下、この特許文献1に記載の粉粒体排出具100を、図6を用いて説明する。粉粒体排出具100は、同図に示すように、上下に貫通する定量計量室110が形成され、円筒の内壁面に雌ねじ101aが形成されたローター101と、ローター101の上面を覆い、投入口111が形成された投入側プレート102と、円筒の外側面に雄ねじ103aが形成され、雄ねじ103aをローター101の雌ねじ101aに螺合してローター101の上方に連結される粉粒体容器103と、ローター101の下面を覆い、排出口112が穿設された排出側プレート104と、排出側プレート104の下方を覆う蓋105と、投入側プレート102の中心から下方に向けて一体に突設され、投入口111と排出口112がローター101の中心軸Cに沿った鉛直方向で重ならない状態で、排出側プレート104と回転方向に相対位置決めして連結する連結軸106とから構成されている。
【0004】
連結軸106により、ローター101を投入側プレート102と排出側プレート104の間で回転自在に案内することにより、一体に連結される粉粒体容器103とローター101に対して、投入側プレート102と排出側プレート104とが一体でローター101の中心軸C周りに相対的に回転する。ローター101の外側面には、中心軸C周りに所定角度離れた位置に、供給位置決め突起と排出位置決め突起114が突設され、排出側プレート104の外周面には、ローター101に対して排出側プレート104が相対回転する際に、これらの供給位置決め突起と排出位置決め突起114に当接して回転が規制される操作摘み115が突設されている。
【0005】
この粉粒体排出具100は、粉粒体容器103若しくはローター101を手に持って、操作摘み115を回転操作して、投入側プレート102と排出側プレート104を中心軸C周りに回転させるもので、操作摘み115が供給位置決め突起に当接して回転が規制される回転位置では、投入側プレート102の投入口111がローター101の定量計量室110に連通し、操作摘み115が排出位置決め突起114に当接して回転が規制される回転位置では、ローター101の定量計量室110が排出側プレート104の排出口112に連通する。
【0006】
従って、定量計量室110に充填される容量の一定量の粉粒体を排出する際には、粉粒体容器103側を上方とした姿勢で粉粒体排出具100の粉粒体容器103若しくはローター101を手に持って、操作摘み115が供給位置決め突起に当接する回転位置まで排出側プレート104を回転操作する。これにより、粉粒体容器103に貯留された粉粒体は、投入口111を通して定量計量室110内に落下し、その後、操作摘み115を逆方向に回転操作すると、定量計量室110の上面に沿って投入側プレート102が摺動し、一定量の粉粒体が定量計量室110に充填される。
【0007】
更に、操作摘み115を同方向に、操作摘み115が排出位置決め突起114に当接するまで回転操作すると、定量計量室110に充填された粉粒体が排出口112を通して下方に落下し、定量計量室110の容量に相当する一定量の粉粒体が排出される。
【0008】
また、図7に示すように、粉粒体であるトナーPに近接させて検出電極121aを配置し、トナーPの有無によって検出電極121aについての浮遊容量が変化し、検出値が変化する静電容量センサー121を用いて、トナーPの残量を検出する粉粒体の検出装置120が、特許文献3で知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特許第3487647号公報
【特許文献2】実開昭62−17550号公報
【特許文献3】特開平7−306081号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上記従来の粉粒体排出具によれば、簡単な操作で一定量の粉粒体を排出して得られるので、粉ミルクを溶かして授乳する場合や、粉末の薬を飲む場合に、適量が得られる。しかしながら、粉粒体排出具を用いて定量の粉粒体を排出する操作を記録する手段がないので、授乳回数や薬を飲む回数が決められている場合に、粉粒体排出具を用いて排出したことが分からず、過剰に授乳したり、粉末の薬を飲んでしまう恐れがあった。
【0011】
また、特許文献1、特許文献2に記載の従来の粉粒体排出具は、粉粒体容器103とローター101に対して、投入側プレート102と排出側プレート104とを一体に回転させる複雑な構造であり、定量計量室110に粉粒体を充填し、排出するためにローター101を回転操作しなければならないという煩わしい操作が必要となっていた。
【0012】
また、定量計量室110が排出口112の一部のみに重なった相対回転位置で粉粒体が排出される場合や、定量計量室10と排出口112が連通した後、ローター101を逆回転せた場合には、定量計量室110の容量に相当する一定量の粉粒体が充填されているとは限らず、定量の粉粒体を排出できない。
【0013】
特許文献3に記載の静電容量センサー121を用いて定量計量室110内の粉粒体の有無を検出することは可能であるが、定量計量室10に近接するローター101の一部に検出電極121aを配置する構造は、ローター101が回転するので実用性がなく、また、ローター101を回転自在に支持する筐体側に検出電極121aを配置すると、ローター101の回転で定量計量室110との距離が変化するので、正確に粉粒体の有無を検出することはできない。
【0014】
本発明は、このような従来の問題点を考慮してなされたものであり、簡易構造で比較的定量排出の精度が低い安価な粉粒体排出具であっても、定量の粉粒体の排出を検出する粉粒体排出具を提供することを目的とする。
【0015】
また、ローターを回転操作することなく、簡単な操作で定量の粉粒体を排出する粉粒体排出具であっても、確実に定量の粉粒体の排出を検出する粉粒体排出具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上述の目的を達成するため、請求項1に記載の粉粒体排出具は、上方から粉粒体を充填する粉粒体貯留室と、上方の排出口から粉粒体を排出する定量計量室が形成され、粉粒体貯留室の上段底板部と定量計量室の下段底板部の底板の高さが異なる筒状の容器本体と、容器本体の容器内で粉粒体貯留室を仕切り、容器本体の底板との隙間の連通孔を介して、粉粒体貯留室と定量計量室とを連通させる仕切り板とを有する粉粒体排出具であって、
定量計量室を囲う容器本体の側壁若しくは下段底板部の外周面に沿って検出電極が配設され、検出電極の浮遊容量の変化に応じて検出値が変化する静電容量センサーと、静電容量センサーの検出値に基づいて、所定量の粉粒体が定量計量室内に充填されているか否かを判定する判定部と、を備えることを検出する
ことを特徴とする。
【0017】
上方から粉粒体貯留室に充填された粉粒体は、その一部が連通孔が投入口を通して下段底板部が粉粒体貯留室の上段底板部より低い定量計量室に流れ込む。粉粒体は、連通孔と同じくらいの高さとなるまで定量計量室に流れ込むので、定量計量室には、その容量とほぼ同程度の一定量の粉粒体が充填される。
【0018】
定量計量室に所定量の粉粒体が充填されると、定量計量室を囲う容器本体の側壁若しくは下段底板部の外周面に沿って配設される検出電極についての浮遊容量が増加し、静電容量センサーで検出する検出値が変化するので、判定部は、静電容量センサーの検出値に基づいて、所定量の粉粒体が定量計量室内に充填されているか否かを判定する。
【0019】
粉粒体排出具を天地を逆転させて倒置させると、定量計量室に充填された粉粒体は、排出口から排出されるので、所定量の粉粒体が定量計量室内に充填されていないとの判定部の判定結果から、定量の粉粒体が排出されたことを検出できる。
【0020】
請求項2に記載の粉粒体排出具は、上段底板部の下方で、上段底板部と定量計量室を囲う側壁に着脱自在に取り付けられ、静電容量センサーが収容される電子部品ケースを更に備え、静電容量センサーの検出電極は、側壁に対向する電子部品ケースの外周面に沿って取り付けられることを特徴とする。
【0021】
粉粒体貯留室の下方で定量計量室の側方の容器本体の隙間に、静電容量センサーを外力から保護する電子部品ケースが取り付けられるので、、粉粒体排出具が複雑な外形とならず、粉粒体を排出しない待機姿勢で自立させることができる。
【0022】
また、静電容量センサーの検出電極は、電子部品ケースを容器本体に取り付ける作業で自然に定量計量室を囲う側壁の外周面に沿って配設される。
【0023】
請求項3に記載の粉粒体排出具は、静電容量センサーは、定量計量室に粉粒体が充填されている場合に第1検出値を、定量計量室に粉粒体が充填されていない場合に第2検出値を出力し、判定部は、静電容量センサーから出力される検出値が第1検出値から第2検出値へ変化することから、定量計量室に充填された粉粒体が排出口から排出されたと判定することを特徴とする。
【0024】
第1検出値は、定量計量室に粉粒体が充填されている状態を、第2検出値は、定量計量室に粉粒体が充填されていない状態を表すので、静電容量センサーから出力される検出値が第1検出値から第2検出値へ変化することから、定量計量室に充填されていた定量の粉粒体が排出されたことを確実に判定できる。
【0025】
請求項4に記載の粉粒体排出具は、容器本体に直接若しくは間接的に取り付けられ、容器本体に加わる加速度を検出する加速度センサーを更に備え、判定部は、静電容量センサーから出力される検出値が第1検出値から第2検出値へ変化する間に、重力加速度の向きが変化し、加速度センサーが検出する重力加速度の向きが変化することから、定量計量室に充填された粉粒体が排出口から排出されたと判定することを特徴とする。
【0026】
静電容量センサーから出力される検出値が第1検出値から第2検出値へ変化することから、定量計量室に粉粒体が充填されている状態から粉粒体が充填されていない状態に移行したと推定でき、容器本体に直接若しくは間接的に取り付けられる加速度センサーに加わる重力加速度の向きが変化することから、粉粒体排出具の天地が逆転した排出姿勢となって定量計量室に充填された粉粒体が排出口から排出されたと推定できる。従って、静電容量センサーから出力される検出値が第1検出値から第2検出値へ変化する間に、加速度センサーが検出する重力加速度の向きの変化から排出姿勢に変化したと推定できるので、定量計量室に充填された粉粒体が排出口から排出されたことを確実に判定できる。
【0027】
静電容量センサーの検出値が第1検出値である場合に、加速度センサーが検出する重力加速度の向きが変化した後、静電容量センサーの検出値が第2検出値に変化したかどうかを判定すればよいので、静電容量センサーから出力される検出値を第2検出値に変化するまで監視する必要がない。
【0028】
請求項5に記載の粉粒体排出具は、容器本体に直接若しくは間接的に取り付けられ、容器本体に加わる加速度を検出する加速度センサーを更に備え、判定部は、静電容量センサーから出力される検出値が第1検出値から第2検出値へ変化する間に、加速度センサーが検出する加速度の向きが複数回変化することから、定量計量室に充填された粉粒体が排出口から排出されたと判定することを特徴とする。
【0029】
静電容量センサーから出力される検出値が第1検出値から第2検出値へ変化することから、定量計量室に粉粒体が充填されている状態から粉粒体が充填されていない状態に移行したと推定でき、容器本体に直接若しくは間接的に取り付けられる加速度センサーが検出する加速度の向きが複数回変化することから、粉粒体排出具を上下に複数回振って、定量計量室に充填された粉粒体を全て排出口から排出する操作があったと推定できる。従って、静電容量センサーから出力される検出値が第1検出値から第2検出値へ変化する間に、加速度センサーが検出する加速度の向きが複数回変化することから、定量計量室に充填された粉粒体が排出口から排出されたことを確実に判定できる。
【0030】
静電容量センサーの検出値が第1検出値である場合に、加速度センサーが検出する加速度の向きが複数回変化した後、静電容量センサーの検出値が第2検出値に変化したかどうかを判定すればよいので、静電容量センサーから出力される検出値を第2検出値に変化するまで監視する必要がない。
【0031】
請求項6に記載の粉粒体排出具は、判定部が定量計量室に充填された粉粒体が排出口から排出されたと判定した判定情報を一時記憶する記憶手段と、記憶手段が一時記憶した判定情報をワイヤレス送信する送信手段とを更に備えたことを特徴とする。
【0032】
判定部が定量計量室に充填された粉粒体が排出口から排出されたと判定した判定情報は、記憶手段で一時記憶され、送信手段からワイヤレス送信される。ワイヤレス送信される判定情報は、定量計量室から一定量の粉粒体が排出されたことを表すので、粉粒体を排出したことを判定情報を受信した機器で確認できる。
【発明の効果】
【0033】
請求項1の発明によれば、定量計量室に充填される粉粒体は、粉粒体貯留室から自重で落下して定量計量室に流れ込むので、定量の粉粒体が定量計量室に充填されたかどうかは不確定であるが、判定部は、静電容量センサーの検出値から定量の粉粒体が充填されていることを判定でき、所定量の粉粒体が定量計量室内に充填されているとの判定部の判定結果から、定量の粉粒体が排出されたことを検出できる。
【0034】
静電容量センサーの検出電極は、定量計量室を囲う容器本体の側壁若しくは下段底板部の外周面に沿って配設され、粉粒体に直接接触しないので、粉粒体を汚すことなく、所定量の粉粒体が定量計量室内に充填されているか否かを判定できる。
【0035】
請求項2の発明によれば、粉粒体排出具を、全体が大型化せず、凹凸が少ない美感にすぐれた外形とすることができる。
【0036】
静電容量センサーなどの電子部品を電子部品ケースとともに容器本体から分離することができるので、容器本体を水洗いすることができる。
【0037】
請求項3の発明によれば、静電容量センサーを設ける簡単な構成で、静電容量センサーから出力される検出値の変化から粉粒体の排出を判定できる。
【0038】
請求項4又は請求項5の発明によれば、静電容量センサーと加速度センサーを設ける簡単な構成で、定量の粉粒体が排出されたことを確実に判定できる。
【0039】
また、静電容量センサーから出力される検出値を第1検出値から第2検出値に変化するまで連続して監視する必要がないので、静電容量センサーによるバッテリーの消費を節約できる。
【0040】
請求項6の発明によれば、 粉粒体排出具を用いて一定量の粉粒体を排出したことを粉粒体排出具から離れた電子機器で確認できる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
図1】本願発明の1実施の形態に係る粉粒体排出具1の分解斜視図である。
図2】待機姿勢の粉粒体排出具1の縦断面図である。
図3】定量計量室22に粉粒体が充填された状態を示す粉粒体排出具1の縦断面図である。
図4】定量の粉粒体Pを排出する排出姿勢の粉粒体排出具1の縦断面図である。
図5】粉粒体Pの排出判定・送信回路20を示すブロック図である。
図6】従来の粉粒体排出具100を示す分解斜視図である。
図7】従来の粉粒体の検出装置120を示す要部縦断面である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
本発明の1実施の形態に係る粉粒体排出具1を、図1乃至図5を用いて説明する。本実施の形態に係る粉粒体排出具1は、定量のお湯で溶いて授乳用ミルクとするために、定量の粉粒体Pである粉ミルクを排出するミルカーで、使用せずに待機させている状態では、図2図3に図示する待機姿勢としておき、粉粒体Pを排出する際に、上下を返した図4に示す排出姿勢とするものであり、以下の粉粒体排出具1の各部の説明は、図2図3に図示する向きを上下左右方向として説明する。
【0043】
本実施の形態に係る粉粒体排出具1は、図1に示すように、上方が開口する円筒形状の容器本体2と、容器本体2の上方から挿入し、容器本体2内を左右に仕切る仕切り板3と、容器本体2の上方の開口2aを覆い、漏斗41の上端に排出口5が形成されたボトルカバー4と、漏斗41の排出口5周りにネジ止めして着脱自在に取り付けられるキャップ6と、有底の容器本体2の下方に着脱自在に取り付けられる電子部品ケース10とを備えている。
【0044】
図2に示すように、容器本体2の円筒状の底部は、最も低い位置の下段底板部22aと、下段底板部22aより上方の上段底板部21aと、上段底板部21aと下段底板部22a間に一体に連続する傾斜板部22bとからなっている。上段底板部21aの底面と上段底板部21aの底面より急傾斜の傾斜板部22bの内壁面は、いずれも下段底板部22aの方向(左方)に向かって下方に傾斜する傾斜面となっていて、これにより上段底板部21aの底面上に充填される粉粒体が自重でこれらの傾斜面に沿って下段底板部22aへ落下する形状となっている。
【0045】
容器本体2内を左右に仕切る仕切り板3は、すり鉢状の下端に充填口8が穿設された水平取付板部31と、水平取付板部31の一端に鉛直方向に一体に連設された鉛直仕切板部32とから構成されている。水平取付板部31の外周面は、上段底板部21aの上方の容器本体2の開口2aの内側に嵌合する形状に形成され、鉛直仕切板部32の前後方向(図2で紙面に直交する方向)の幅は、円筒形状の容器本体2の内径にほぼ等しく、鉛直方向の長さは、上段底板部21aが容器本体2の開口2aの内側に嵌合した状態で、上段底板部21aの底面と傾斜板部22bの内壁面の境界線BL付近との間に僅かな隙間の連通孔9が形成される長さとなっている。挿通孔9は、充填される粉粒体の粒径や流動性に応じて、粉粒体が支障なく自重で下段底板部22aへ向けて落下できる隙間となるように、鉛直仕切板部32の長さを適切に設定することで形成される。
【0046】
これにより、上方から仕切り板3を容器本体2内に挿入し、容器本体2の開口2aの内側に嵌合して容器本体2に取り付けると、上段底板部21aの上方に、容器本体2の内壁面と仕切り板3で囲われ、上方が仕切り板3の水平取付板部31で施蓋される粉粒体貯留室21が形成される。また、連通孔9を介して粉粒体貯留室21の斜め下方に連通する定量計量室22が、下段底板部22aの上方で、容器本体2の内壁面と容器本体2の側壁の一部である傾斜板部22bに囲われて形成される。
【0047】
容器本体2の上端の外周面には、仕切り板3が取り付けられた容器本体2の開口2aを覆うボトルカバー4がネジ止めにより着脱自在に取り付けられている。図2に示すように、容器本体2に取り付けられるボトルカバー4の定量計量室22の上方の部位には、上方の排出口5に向かって絞られた漏斗41が一体に形成されている。漏斗41は、粉粒体排出具1を排出姿勢として排出口5から粉ミルクPを排出する際に、粉ミルクPが散乱して排出されないように、狭い排出口5に絞って排出する。
【0048】
キャップ6は、漏斗41の上方に着脱自在に取り付けられ、粉粒体排出具1が待機姿勢である間に、排出口5を覆い、排出口5から水分やゴミが容器本体2の定量計量室22に侵入することを防止する。
【0049】
容器本体2の底部は、上述のように傾斜板部22bを介して上段底板部21aより下方の位置に下段底板部22aが連続するので、容器本体2には、上段底板部21aの下方で傾斜板部22bの側方に凹部が形成され、本実施の形態では、この凹部の空間を利用して、電子部品ケース10を上段底板部21aに係合させて容器本体2に着脱自在に取り付けている。電子部品ケース10は、円筒形の下部の下方が開口し、上面が上記凹部に相補する形状となった中空のケース本体10aと、ケース本体10aの下部にネジ止めして取り付けられ、ケース本体10aの下方の開口を施蓋する円板状のケースカバー10bとから構成されている。
【0050】
下方の開口がケースカバー10bで覆われた中空の電子部品ケース10内は、部品収容室10cとなっていて、部品収容室10c内に収容される回路基板11に、図5に示す粉粒体の排出判定・送信回路20の各機能を実行する為のMPU(マイコンという)13と、マイコン13に接続する加速度センサー14、静電容量センサー12、記憶部15、アンテナ16aを含むRF通信部16等の各電子部品と、これらの駆動電源となるバッテリー25が実装されている。
【0051】
このうち、静電容量センサー12の検出電極12aは、傾斜板部22bに対向する電子部品ケース10の傾斜面10dに沿って取り付けられ、ケースカバー10bを貫通する接続線(図示せず)を介して、部品収容室10cに収容された静電容量センサー12の本体と電気接続している。
【0052】
静電容量センサー12は、ここでは自己容量方式で検出電極12aの周囲の静電容量(浮遊容量)を検出するもので、検出電極12aは、定量計量室22を囲う傾斜板部22bに対向する電子部品ケース10の傾斜面10dに沿って取り付けられているので、その検出値から定量計量室22内に粉ミルクPが充填されているか否かを判別できる。すなわち、定量計量室22に粉ミルクPが充填されている場合には、検出電極12aの周囲の静電容量が増加するので、静電容量センサー12の検出値は、相対的に高い検出値(以下、この検出値を第1検出値という)となり、逆に定量計量室22に粉ミルクPが充填されていない場合には、第1検出値に対して相対的に低い検出値(以下、この検出値を第2検出値という)となる。
【0053】
上述の通り、定量計量室22に充填される粉粒体Pは、粉粒体Pの自重により充填されるものであるので、粉粒体Pが湿気を帯びて固まったり、互いに付着して一定の大きさになると連通孔9を通過しない場合があり、充填口8から粉粒体Pを粉粒体貯留室21へ充填しても、確実に定量の粉粒体Pが定量計量室22に充填されるとは限らない。しかしながら、本発明によれば、充填口8から粉粒体Pを粉粒体貯留室21へ充填した後に、検出する静電容量センサー12の検出値から、定量の粉粒体Pが定量計量室22に充填されたかどうかを検出できる。
【0054】
また、加速度センサー14は、粉粒体排出具1の回路基板11に実装され、粉粒体排出具1に加わる上下方向の加速度を検出するものであるが、加速度センサー14が取り付けられる粉粒体排出具1の姿勢にかかわらず、重力加速度は鉛直方向に加わるので、粉粒体排出具1が待機姿勢と排出姿勢である場合では、加速度センサー14の検出方向に対して逆方向の向きの重力加速度が加わる。加速度センサー14が検出する加速度には、粉粒体排出具1を上下に移動させることによる加速度に、粉粒体排出具1の姿勢によって異なる向きの重力加速度が加わわるが、前者の加速度は、その向きが変化せず、一定時間内にその大きさが変化するのに対し、後者の加速度の絶対値は変化しないので、後者の加速度のみを判別し、その加速度の向きの変化から、粉粒体排出具1が待機姿勢と排出姿勢のいずれであるかを判定できる。また、前者の加速度のみを判別し、その加速度が所定時間内に複数回周期的に変化することから、粉粒体排出具1を上下方向に振る操作と判定できる。
【0055】
マイコン13は、静電容量センサー12から出力される検出値と、加速度センサー14が検出した加速度とから、定量計量室22に充填された粉ミルクPが排出口5から排出されたかどうかを判定する判定部を有している。判定部は、静電容量センサー12から出力される検出値のみを監視し、静電容量センサー12から出力される検出値が第1検出値から第2検出値へ変化した場合に、定量計量室22に充填された粉ミルクPが排出口5から排出されたと判定することもできるが、ここでは、加速度センサー14が検出する重力加速度の向きから判定する粉粒体排出具1の姿勢を併せて用いて、より正確に定量計量室22に充填された粉ミルクPが排出口5から排出されたかどうかを判定する。
【0056】
例えば、マイコン13の判定部は、静電容量センサー12から出力される検出値が第1検出値であって、加速度センサー14が検出する重力加速度の向きから粉粒体排出具1が待機姿勢にあると判定した場合に、粉粒体排出具1は図3に示す待機姿勢であると推定し、その後、加速度センサー14が検出する重力加速度の向きのみを監視し、重力加速度の向きの変化から粉粒体排出具1が排出姿勢に変化したと判定した後、静電容量センサー12から出力される検出値が第2検出値となった場合に、定量計量室22に充填された粉ミルクPが排出口5から排出されたと判定する。
【0057】
また、静電容量センサー12の検出値と加速度センサー14が検出する加速度とから、粉粒体Pの排出と判定する他の方法として、操作者が排出口5から粉粒体Pを排出する際に粉粒体排出具1を上下に振る習性を利用し、加速度センサー14が検出する粉粒体排出具1に加わる加速度の向きが所定時間内に複数回の変化することから、粉粒体Pの排出と判定してもよい。例えば、マイコン13の判定部は、静電容量センサー12から出力される検出値が第1検出値から第2検出値に変化する間に、加速度センサー14が検出する粉粒体排出具1に加わる加速度が所定時間内に複数回周期的に変化した場合に、定量計量室22に充填された粉ミルクPが排出口5から排出されたと判定する。
【0058】
マイコン13の判定部が、定量計量室22に充填された粉ミルクPが排出口5から排出されたと判定すると、その判定情報を判定時刻とともに、記憶部15に記憶する。
【0059】
RF通信部16は、低消費電力で動作するBluetooth(登録商標)方式のRF通信モジュールと回路基板11の一面に導電パターンを印刷配線して形成されたプリントアンテナ16aとからなり、マイコン13を介して記憶部15に記憶された判定情報と判定時刻とをRF送信する。RF通信部16からこれらの情報を送信する送信先は、後述するペアリング工程で特定される図示しない特定の端末機器であり、ペアリング工程は、ここでは、粉粒体排出具1を待機姿勢とした状態で、粉粒体排出具1を鉛直方向に1度振る動作で実行されるものとする。
【0060】
また、マイコン13は、バッテリー25からマイコン13と加速度センサー14のみに駆動電源を供給し、加速度センサー14が検出する加速度のみを監視するスリープモードと、バッテリー25から粉粒体の排出判定・送信回路20を構成する全ての回路部品に駆動電源を供給し、全ての粉粒体の排出判定・送信回路20の動作を制御するランモードで動作し、粉粒体排出具1が待機姿勢と判定された状態で、所定の経過時間、加速度センサー14が検出する加速度が変化しない場合には、待機状態にあるとして、ランモードで動作している場合には、スリープモードに移行する。また、スリープモードで、加速度センサー14が検出する加速度が変化した場合には、使用状態であるとして、スリープモードでからランモードに移行する。これにより、粉粒体排出具1を使用しない待機状態で、バッテリー25の不必要の電力消費を防止できる。
【0061】
以下、このように構成された粉粒体排出具1の動作を説明する。粉粒体排出具1を使用しない間は、図2に示すように、粉粒体排出具1を、容器本体2の開口2aが上方となる待機姿勢で起立させておく。この待機姿勢では、電子部品ケース10の円板状のケースカバー10bが、平坦な底面となっているので、底面に段差のある容器本体2であっても、安定して起立させておくことができる。
【0062】
この粉粒体排出具1を使用しない間は、マイコン13の判定部は、加速度センサー14が検出する重力加速度の向きから粉粒体排出具1を待機姿勢と判定し、更に、所定の経過時間、加速度センサー14が検出する加速度が変化しない場合には、マイコン13は、マイコン13と加速度センサー14のみに駆動電源を供給し、加速度センサー14が検出する加速度のみを監視するスリープモードで動作する。
【0063】
粉粒体排出具1を用いて定量の粉ミルクPを排出する場合には、始めに待機姿勢の粉粒体排出具1のボトルカバー4を外し、露出するすり鉢状の下端の充填口8から、粉粒体貯留室21へ粉ミルクPを充填する。この操作の過程で、粉粒体排出具1に鉛直方向の加速度が加わり、加速度センサー14が検出する加速度が変化するので、マイコン13は、スリープモードでからランモードに移行する。ランモードで動作するマイコン13は、加速度センサー14が検出する重力加速度の向きから、粉粒体排出具1が待機姿勢にあると判定し、その判定情報を記憶部15に一時記憶する。
【0064】
粉粒体貯留室21に充填された粉ミルクPは、その一部が連通孔9を通って、自重で上段底板部21aと傾斜板部22bの傾斜する底面に沿って下段底板部22aに落下し、定量計量室22に充填される。自重で定量計量室22に充填される粉ミルクPは、連通孔9より高い位置には充填されないので、連通孔9の高さを境界とする定量計量室22にほぼ定量の粉ミルクPが充填される。この時、マイコン13は、ランモード動作しているので、マイコン13からの制御を受けて動作する静電容量センサー12からマイコン13に入力される静電容量センサー13の検出値は、定量計量室22に定量の粉ミルクPが充填されていることを表す第1検出値であり、マイコン13は、第1検出値を記憶部15に一時記憶する。
【0065】
続いて、容器本体2の開口2aにボトルカバー4を装着した後、図3に示す状態で、粉粒体排出具1を所定時間放置しておくと、マイコン13はスリープモードに移行する。
【0066】
ここで、ペアリング工程を実行する場合には、粉粒体貯留室21に粉ミルクPを充填する操作の前後のいずれかで、待機姿勢にある粉粒体排出具1を鉛直方向に1度振る。マイコン13は、記憶部15に待機姿勢である判定情報が記憶され、加速度センサー14が検出する粉粒体排出具1に加わる加速度の向きが短時間に一度変化することから、ペアリング工程を求める操作であるとして、以下のペアリング工程を実行する。
【0067】
Bluetooth(登録商標)方式では、送信側の粉粒体排出具1と受信側となる一又は複数の端末機器にそれぞれ固有のマスターIDとスレーブIDを割り当てられる。ペアリング工程は、粉粒体排出具1のRF通信部16をペアリングモードとし、マスターIDが割り当てられた粉粒体排出具1がペアリングモードとなったことを周囲に向けて発信する。スレーブIDを割り当てられた端末機器がこれを受信すると、同様にペアリングモードとなって、自身に割り当てられたスレーブIDを粉粒体排出具1のRF通信部16へ返信し、粉粒体排出具1が受信したスレーブIDが自身のマスターIDに関連づけて割り当てられたスレーブIDに一致すると、両者の間のみのRF通信が確立される。このペアリング工程によって、粉粒体排出具1から送信される判定情報や判定時刻などの送信情報が、粉粒体排出具1を使用する使用者の端末機器など特定の端末機器にのみ送信され、不特定の端末機器に送信されない。
【0068】
ペアリング工程を実行した後、定量の粉ミルクPを排出する場合には、排出口5のキャップ6を外し、粉粒体排出具1を待機姿勢から図4に示すように上下を反転させて排出姿勢とする。この操作によって、加速度センサー14に鉛直方向の加速度が加わるので、マイコン13がスリープモードで動作している場合には、ランモードに移行する。また、加速度センサー14に加わる重力加速度の向きが変化することから、粉粒体排出具1が待機姿勢から排出姿勢に変化したと判定し、その判定情報を記憶部15に一時記憶するとともに、静電容量センサー13の検出値を監視する。
【0069】
粉粒体排出具1が排出姿勢になることによって、キャップ5を外した排出口5は、図4に示すように、定量計量室22の下方に位置することとなり、定量計量室22の容積に相当する定量の粉ミルクPが、排出口5から排出される。これにより、定量計量室22内は空洞となるので、静電容量センサー12の検出値は、第2検出値となり、マイコン13は、静電容量センサー12の検出値が第1検出値から第2検出値に変化する間に、粉粒体排出具1が排出姿勢に移行したことを示す判定情報が記憶部15に記憶されることから、定量計量室22に充填された粉ミルクPが排出口5から排出されたと判定し、その判定情報を判定時刻とともに、記憶部15に記憶する。
【0070】
記憶部15に記憶された判定情報と判定時刻は、定量排出操作が終了した所定時間後(例えば、マイコン13が排出姿勢から待機姿勢に変化したと判定し、ランモードからスリープモードに移行する直前)に、RF通信部16から特定の端末装置に送信され、端末側では、一定量の粉ミルクPを排出した排出操作をその時刻とともに記録できる。
【0071】
これにより、粉粒体排出具1を用いて定量の粉ミルクを排出した使用者は、端末装置から、粉ミルクPから作ったミルクで授乳した回数や授乳量をその時刻とともに確認できる。
【0072】
本実施の形態にかかる粉粒体排出具1では、静電容量センサ−12の検出電極12aを、定量計量室22を囲う傾斜板部22bに沿って配設しているが、静電容量センサー12による検出に、粉粒体貯留室21に充填された粉粒体Pの影響を受けるので、下段底板部22aや定量計量室22を囲う容器本体2の他の側壁に沿って取り付けてもよい。
【0073】
また、本実施の形態では、静電容量センサー12から出力される第1検出値と第2検出値で、定量計量室22内の粉粒体Pの有無を判定しているが、第1検出値と第2検出値の間に所定のレベルの閾値を設定し、静電容量センサー12から出力される検出値が閾値以上であるか未満であるかで判定してもよい。
【0074】
また、本実施の形態では、粉ミルクPが排出口5から排出されたと判定した判定情報を判定時刻を、送信手段16で周囲の端末装置へ送信したが、容器本体2の一部に液晶表示パネル等の表示装置を設けて、記憶部15に記憶した判定情報と判定時刻を表示装置に表示してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0075】
本発明は、粉ミルクなどの粉粒体を定量排出した排出記録を確認可能な粉粒体排出具に適している。
【符号の説明】
【0076】
1 粉粒体排出具
2 容器本体
3 仕切り板
5 排出口
8 充填口
9 連通孔
10 電子部品ケース
12 静電容量センサー
12a 検出電極
13 マイコン(判定部)
14 加速度センサー
15 記憶部(記憶手段)
16 RF通信部24(送信手段)
20 排出判定・送信回路
21 粉粒体貯留室
21a 上段底板部
22 定量計量室
22a 下段底板部
22b 傾斜板部(側壁)