【課題を解決するための手段】
【0010】
以下、上記目的を解決するのに適した各手段につき、項分けして説明する。なお、必要に応じて対応する手段に特有の作用効果を付記する。
【0011】
手段1.内容物を収容するためのポケット部、及び、該ポケット部の開口端から外側に延出形成されたフランジ部を有する容器と、前記ポケット部に内容物が収容された状態で前記ポケット部を塞ぐようにして前記フランジ部に取着された蓋フィルムとを備え、前記ポケット部内に所定のガスが封入されてなる密封パックの製造方法であって、
所定のシール装置によって、帯状の蓋フィルム材料を切断して前記蓋フィルムを得るとともに、前記容器における前記ポケット部内に前記ガスを充填した上で該容器の前記フランジ部に該蓋フィルムを溶着するシール工程と、
前記シール装置に対し前記蓋フィルム材料を供給する蓋フィルム材料供給工程と、
前記蓋フィルム材料のうち切断後に残ったスクラップを巻取るスクラップ巻取工程とを含み、
前記シール工程は、
前記蓋フィルム材料を挟んで上下に配置された上側チャンバ構成部及び下側チャンバ構成部を有するチャンバを閉じて、該チャンバの内部空間に前記容器を収容した状態とする閉鎖工程と、
前記蓋フィルム材料のうちの前記チャンバの内部空間に位置する部位を環状に切断して前記蓋フィルムを得る切断工程と、
前記切断工程後において、前記チャンバの内部空間のガス交換を行うことで、前記ポケット部内に前記ガスを充填するガス交換工程と、
前記ガス交換工程後において、前記チャンバを閉じた状態のまま、前記蓋フィルムを前記フランジ部に溶着する溶着工程とを備えることを特徴とする密封パックの製造方法。
【0012】
上記手段1によれば、チャンバを閉じた状態(より詳しくは、蓋フィルム材料を切断することなく単にチャンバを閉じた状態)においては、該蓋フィルム材料によりチャンバの内部空間が上側空間と下側空間とに区画された状態となるところ、該蓋フィルム材料を切断した後に、該内部空間のガス交換が行われる。従って、前記上側空間及び前記下側空間を連通させた上でガス交換を行うことができる。これにより、各空間に個別に通じる複数のガス流路など、両空間に気圧差が生じないようにするための機構をチャンバに設けずに済む。その結果、装置の構造を簡素化させることができ、製造やメンテナンスに係るコストの抑制を図ることができる。
【0013】
また、シール装置に対し蓋フィルム材料を供給するとともに、該蓋フィルム材料のうち切断後に残ったスクラップを巻取って回収するため、密封パックの製造を効率よく行うことができる。
【0014】
手段2.前記シール工程は、前記切断工程による前記蓋フィルム材料の切断前又は切断と同時期に、前記蓋フィルム材料のうち前記蓋フィルムに対応する部位又は前記蓋フィルムを吸着保持する吸着保持工程を含み、
前記溶着工程では、前記吸着保持工程により吸着保持されている前記蓋フィルムを前記フランジ部に溶着することを特徴とする手段1に記載の密封パックの製造方法。
【0015】
上記手段2によれば、蓋フィルム材料の切断前又は切断と同時期に、蓋フィルム材料に対応する部位(切断後に蓋フィルムとなる部位)又は蓋フィルムが吸着保持される。そして、吸着保持されている蓋フィルムが容器(フランジ部)に溶着される。従って、溶着時における蓋フィルムの位置ずれをより確実に防止でき、製造された密封パックにおいて、フランジ部に対する蓋フィルムの溶着位置をより確実に一定とすることができる。これにより、溶着位置に起因した不良品の発生をより抑えることができるとともに、密封パックの見栄えを良好なものとすることができる。
【0016】
手段3.前記ガス交換工程では、前記チャンバの内部空間に対する前記ガスの供給を調節し該内部空間における気圧を調節することによって、製造された前記密封パックにおける前記蓋フィルムを膨出又は陥凹させた状態とすることを特徴とする手段1又は2に記載の密封パックの製造方法。
【0017】
上記手段3によれば、ガスの供給を調節しチャンバの内部空間の気圧を調節することで、密封パックにおける蓋フィルムを、ポケット部内から離れるように膨出させた状態又はポケット部内に落ち込むようにして陥凹させた状態とすることができる。例えば、チャンバの内部空間の気圧が大気圧よりも大きなものとなるように調節することで、蓋フィルムを膨出させた状態とすることができ、一方、該内部空間の気圧が大気圧よりも小さなものとなるように調節することで、蓋フィルムを陥凹させた状態とすることができる。このように蓋フィルムを膨出又は陥凹させることで、製造された密封パックにおいて、蓋フィルムに“しわ”を付きにくくすることができる。その結果、密封パックの見栄えをより良好なものとすることができる。
【0018】
手段4.内容物を収容するためのポケット部、及び、該ポケット部の開口端から外側に延出形成されたフランジ部を有する容器と、前記ポケット部に内容物が収容された状態で前記ポケット部を塞ぐようにして前記フランジ部に取着された蓋フィルムとを備え、前記ポケット部内に所定のガスが封入されてなる密封パックを製造するためのトレイシーラであって、
帯状の蓋フィルム材料を切断して前記蓋フィルムを得るとともに、前記容器における前記ポケット部内に前記ガスを充填した上で該容器の前記フランジ部に該蓋フィルムを溶着するシール装置と、
前記シール装置に対し前記蓋フィルム材料を供給する蓋フィルム材料供給手段と、
前記蓋フィルム材料のうち切断後に残ったスクラップを巻取るスクラップ巻取手段とを備え、
前記シール装置は、
前記蓋フィルム材料を挟んで上下に配置された上側チャンバ構成部及び下側チャンバ構成部を有し、開閉可能に構成されたチャンバと、
前記蓋フィルム材料のうちの前記チャンバの内部空間に位置する部位を環状に切断して前記蓋フィルムを得る切断手段と、
前記チャンバを閉じて該チャンバの内部空間に前記容器を収容した状態において、前記切断手段により前記蓋フィルム材料を切断した後に、該内部空間のガス交換を行うことで、前記ポケット部内に前記ガスを充填するガス交換手段と、
前記ガス交換手段によるガス交換後において、前記チャンバを閉じた状態のまま、前記蓋フィルムを前記フランジ部に溶着する溶着手段とを備えることを特徴とするトレイシーラ。
【0019】
上記手段4によれば、上記手段1と同様の作用効果が奏されることとなる。
【0020】
手段5.前記シール装置は、前記切断手段による前記蓋フィルム材料の切断前又は切断と同時期に、前記蓋フィルム材料のうち前記蓋フィルムに対応する部位又は前記蓋フィルムを吸着保持する吸着保持手段を備え、
前記溶着手段は、前記吸着保持手段により吸着保持されている前記蓋フィルムを前記フランジ部に溶着するように構成されていることを特徴とする手段4に記載のトレイシーラ。
【0021】
上記手段5によれば、上記手段2と同様の作用効果が奏されることとなる。
【0022】
手段6.前記シール装置においては、前記容器の上方に前記蓋フィルム材料が配置されるようになっており、
前記切断手段は、前記蓋フィルム材料のうち前記フランジ部の外縁よりも内側に位置する部位を環状に切断するように構成されていることを特徴とする手段5に記載のトレイシーラ。
【0023】
上記手段6によれば、製造された密封パックにおいて、蓋フィルムの外縁(つまり被切断部)は、フランジ部の外縁から外側にはみ出ない。これにより、密封パックの見栄えを一層良好なものとすることができる。
【0024】
手段7.前記下側チャンバ構成部は、上下動可能に構成されており、
前記上側チャンバ構成部には、上側チャック部が設けられるとともに、前記下側チャック構成部には、下側チャック部が設けられ、
前記切断手段は、前記上側チャンバ構成部に取付けられており、
前記下側チャンバ構成部を上動させることで、前記上側チャック部及び前記下側チャック部によって前記蓋フィルム材料が把持されるとともに、前記切断手段によって該蓋フィルム材料が切断され、かつ、前記チャンバが閉じられるように構成されていることを特徴とする手段4乃至6のいずれかに記載のトレイシーラ。
【0025】
上記手段7によれば、下側チャンバ構成部を上動させることによって、上側チャック部及び下側チャック部によって蓋フィルム材料が把持されるとともに、蓋フィルム材料の切断が行われ、さらには、チャンバが閉じられる。従って、切断手段や蓋フィルム材料を把持する手段(上側チャック部等)を個別に動作させるための駆動源を設ける必要がなくなり、装置の構造をより簡素なものとすることができる。その結果、製造やメンテナンスに係るコストの抑制をより効果的に図ることができる。
【0026】
手段8.前記シール装置は、前記容器が載置されるとともに、上下動可能に構成された容器テーブルを備え、
前記溶着手段は、発熱可能な加熱部を有し、
前記チャンバを閉じた後、前記容器テーブルを上動させて、前記蓋フィルムの裏面を前記フランジ部に接触させつつ該蓋フィルムの表面を前記加熱部に押し当てることで、該フランジ部に該蓋フィルムが溶着されるように構成されていることを特徴とする手段7に記載のトレイシーラ。
【0027】
上記手段8によれば、容器テーブルを上動させることで、容器(フランジ部)に蓋フィルムが溶着される。従って、加熱部を上下動させる構成と比べて、装置の構造を一層簡素なものとすることができ、製造等に係るコストの抑制を一層効果的に図ることができる。
【0028】
手段9.前記ガス交換手段は、前記チャンバの内部空間に対する前記ガスの供給を調節することで該内部空間における気圧を調節可能に構成されており、該気圧の調節によって、製造された前記密封パックにおける前記蓋フィルムを膨出又は陥凹させた状態とすることが可能であることを特徴とする手段4乃至8のいずれかに記載のトレイシーラ。
【0029】
上記手段9によれば、上記手段3と同様の作用効果が奏されることとなる。
【0030】
手段10.前記切断手段は、鋸歯状の切断刃を備え、該切断刃が前記蓋フィルム材料の厚さ方向に沿って該蓋フィルム材料に押し込まれることで、該蓋フィルム材料を切断するように構成されていることを特徴とする手段4乃至9のいずれかに記載のトレイシーラ。
【0031】
上記手段10によれば、蓋フィルム材料を切断する際の初期には、切断刃が蓋フィルム材料の厚さ方向に沿って蓋フィルム材料に押し込まれることで、切断刃の先端が蓋フィルム材料に刺さった状態となる。従って、切断刃に対する蓋フィルム材料の位置ずれを防止した状態とすることができる。そして、この状態で、切断刃が蓋フィルム材料に対しさらに押し込まれることで該蓋フィルム材料が切断される。そのため、蓋フィルム材料をより確実に所望の形状に切断することができる。