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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2021-181332(P2021-181332A)
(43)【公開日】2021年11月25日
(54)【発明の名称】加湿装置および包装機
(51)【国際特許分類】
   B65B 41/00 20060101AFI20211029BHJP
【FI】
   B65B41/00 502Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2020-88194(P2020-88194)
(22)【出願日】2020年5月20日
(71)【出願人】
【識別番号】000206093
【氏名又は名称】大森機械工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112689
【弁理士】
【氏名又は名称】佐原 雅史
(74)【代理人】
【識別番号】100128934
【弁理士】
【氏名又は名称】横田 一樹
(72)【発明者】
【氏名】名田 太一郎
(72)【発明者】
【氏名】岡部 一也
(72)【発明者】
【氏名】中村 将司
(57)【要約】
【課題】 周囲の環境(温度や湿度など)の影響を受けにくく、安定した状態で確実に製袋器に包装材を供給することで、包装材の美観を維持可能な加湿装置および包装機を提供することを提供する。
【解決手段】 加湿装置100は、帯状の紙材の包装材YA1が供給される製袋器14の上流側に区画される処理対象領域101と、処理対象領域101に設けられた加湿手段110と、を有し、包装材YA1の少なくとも一部を搬送途中において加湿する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
紙材の包装材の加湿装置であって、
帯状の前記包装材が供給される製袋器の上流側に区画される処理対象領域と、
前記処理対象領域に設けられた加湿手段と、を有し、
前記包装材の少なくとも一部を搬送途中において加湿する、
ことを特徴とする加湿装置。
【請求項2】
前記処理対象領域は、カバー手段により区画される、
ことを特徴とする請求項1に記載の加湿装置。
【請求項3】
前記カバー手段の内部に前記包装材の一部が挿通可能に構成される、
ことを特徴とする請求項2に記載の加湿装置。
【請求項4】
前記加湿手段は、前記包装材が物品を包装した場合に外側となる面を加湿する、
ことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の加湿装置。
【請求項5】
前記加湿手段は、空気圧噴霧ノズルを含む、
ことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の加湿装置。
【請求項6】
前記加湿手段は、揮発性液体を噴出する手段である、
ことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の加湿装置。
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の加湿装置と、前記製袋器を有する包装機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加湿装置及びこれを備えた包装機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、折込成形部(製袋器)によって包装フィルムを筒状に成形する包装機において、柔軟性の少ない材質の包装フィルムを扱う場合には、折込成形装置との接触抵抗が大きくなることに起因して包装フィルムに波状の皺や連続する筋(スジ)が生じる問題があった。この問題を解決するために、折込成形部の先端に案内板を設ける構成が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実公昭48−31108号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、例えば紙材などの包装材の場合は特に、搬送中において包装材が柔軟に変形しにくく(伸びが悪く)、案内板のような構成があったとしても纏わりつきが良好でなく(浮いてしまい)製袋器への案内が確実に行えない問題があった。
【0005】
また、紙材などの包装材の場合、周囲の環境(湿度または温度など)の影響を受けやすく、案内板への纏わりつきの状態や製袋器への供給の状態が安定しない。具体的には、乾燥しているほど柔軟性が悪くまた剛性が高まるため、製袋器の入り口に対して浮き上がり、また入り口の形状に沿いにくくなる。一方、吸湿によって軟化し浮き上がりも低下する。そしてわずかな湿度の変化で柔軟性が変化するため、安定した状態を維持(制御)しにい。つまり、常時均一な状態で包装材の皺や筋(スジ)の発生を防ぐことは難しく、これらを防いでいで安定して搬送(製袋器への供給)を行うには、周囲の環境に応じて都度、調整が必要となり作業が煩雑になる問題があった。
【0006】
本発明は、上記課題を鑑みてなされたものであり、周囲の環境(温度や湿度など)の影響を受けにくく、安定した状態で確実に製袋器に包装材を供給することで、包装材の美観を維持可能な加湿装置および包装機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、紙材の包装材の加湿装置であって、帯状の前記包装材が供給される製袋器の上流側に区画される処理対象領域と、前記処理対象領域に設けられた加湿手段と、を有し、前記包装材の少なくとも一部を搬送途中において加湿する、ことを特徴とする加湿装置に係るものである。
【0008】
また、本発明は、上記の加湿装置と、製袋器を有する包装機に係るものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、周囲の環境(温度や湿度など)の影響を受けにくく、安定した状態で確実に製袋器に包装材を供給することで、包装材の美観を維持可能な加湿装置および包装機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明に係る包装機の概略を示す正面図である。
図2】本発明に係る包装体を示す斜視図である。
図3】本発明に係る加湿装置の近傍を抜き出して示す正面図である。
図4】本発明に係る加湿装置を示す概要図であり(A)正面図、(B)側面図である。
図5】本発明に係る加湿装置の変形例を示す概要図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して、本発明に係る加湿装置100について詳細に説明する。図1は、加湿装置100を備える包装機1の全体の概略を示す正面図であり、図2は、包装機1によって包装された包装体ZA1の外観を示す図である。なお、本図及び以降の各図において、一部の構成を適宜省略して、図面を簡略化する。そして、本図及び以降の各図において、部材の大きさ、形状、厚みなどを適宜誇張して表現する。
【0012】
図1に示す包装機1は、一例として、物品XA1が順次供給されることに合わせて、包装材YA1が連続して供給されて筒状に製袋され、所定ピッチ(カットピッチCP)毎に包装材YA1の幅方向にシールとカットとが行われる、いわゆる横型製袋充填機(ピロー包装機)である。
【0013】
包装機1は、連続して供給される包装材YA1を利用して、前工程から順次供給される物品XA1を上流から下流に向けて搬送しながら包装する。包装材YA1は例えば紙材、または紙材に接着剤が含侵されている包装材である。図1では、原反ロールYB1に近い側を上流とし、遠い側を下流とする。
【0014】
<包装機>
図1を参照して、包装機1は、物品供給装置2と、包装材供給装置3と、包装機本体4と、制御ユニット(図示省略)と、などを備えている。なお、包装機本体4における各種方向の定義として、帯状の包装材YA1の長手方向(後述のセンターシールが延びる方向)となる第一方向を搬送方向Tとし、長手方向に直交する包装材YA1の幅方向(後述の横シール(トップシール、エンドシール)が延びる方向)となる第二方向を搬送幅方向Wとし、包装材YA1の高さ方向(搬送方向T及び搬送幅方向Wに対して直角となる方向)となる第三方向を搬送高さ方向Hとする。
【0015】
これら包装機1の各部は、制御ユニットによって統括的に制御される。制御ユニットは、CPU、RAM、及びROMなどから構成され、各種制御を実行する。CPUは、いわゆる中央演算処理装置であり、各種プログラムが実行されて各種機能を実現する。RAMは、CPUの作業領域として使用される。ROMは、CPUで実行される基本OSやプログラムを記憶する。
【0016】
物品供給装置2は、物品XA1を等間隔で搬送すると共に、当該物品XA1を下流の包装機本体4に順次搬送する。この物品供給装置2は、例えば、フィンガーコンベアから構成され、搬送面上の物品XA1を押送して包装機本体4に送り出す。
【0017】
包装材供給装置3は、包装材YA1を下流の包装機本体4に連続して供給する。包装材供給装置3は、原反軸8と、サーボモーター(図示省略)と、ローラ9などを備えている。原反軸8は、原反ロールYB1を回転自在に保持する。この原反軸8は、サーボモーターに動力が与えられて回転し、保持している原反ロールYB1を回転させる。これにより、原反ロールYB1から包装材YA1が繰り出される(引き伸ばされる)。ローラ9は、夫々に掛け渡された包装材YA1を、その下流に設けられた製袋器14の供給口14aに導く。
【0018】
なお、原反ロールYB1から包装材YA1を繰り出す方法として、上述のような原反駆動式の方法を採用する代わりに、フィードローラを別途設け、当該フィードローラを動かして包装材YA1を引き出すフィードローラ駆動式の方法を採用してもよい。また、原反駆動式とフィードローラ駆動式の両方の方法を採用してもよい。
【0019】
包装機本体4は、物品供給装置2から供給される物品XA1を、包装材供給装置3から供給される包装材YA1で包装する。具体的に、包装機本体4は、例えば、製袋器14と、センターシール装置16と、第一の搬送装置17と、上部抑え装置18と、トップシール装置(エンドシール装置)30と、第二の搬送装置20と、などを備えている。
【0020】
製袋器14は、包装材供給装置3から供給される包装材YA1を、幅方向(搬送幅方向W)の両端縁が互いに重なるように筒状に製袋する。また、製袋器14は、物品供給装置2から供給される物品XA1を、筒状に製袋される包装材YA1に供給する。これにより、物品XA1は、筒状に製袋された包装材YA1に包まれる。すなわち、製袋器14は、包装材YA1を搬送幅方向Wの両端縁が重ねるように曲げ、筒状に形成する製袋装置として機能する。
【0021】
製袋器14によって重ねられた包装材YA1の両端縁は、センターシール部CE1(図2参照)の形成予定領域として、ピンチローラ15によって挟みこまれ、搬送力を付与される。センターシール装置16は、一対のバーシーラ16aで重合させた包装材YA1の両端縁を挟んで加熱する。そして、センターシール装置16は、加熱された包装材YA1の両端縁をプレスローラ16bで圧着してセンターシールし、センターシール部CE1(図2参照)を形成する。センターシール装置16は、一対のローラ、又は複数のローラでセンターシール部を挟んで加熱する回転式のセンターシール装置でも良い。
【0022】
第一の搬送装置17は、センターシールされた筒状の包装材YA1を、当該包装材YA1に包まれた物品XA1と共に、搬送面(符号省略)に載せてトップシール装置30に向けて搬送する。この第一の搬送装置17は、トップシール装置30のボックスモーションに合わせて、搬送面を搬送方向に伸縮させる。
【0023】
上部抑え装置18は、第一の搬送装置17の上方に配置されており、第一の搬送装置17に搬送される物品XA1を包装材YA1ごと上方から抑える。これにより、物品XA1は、水平状態を保持しながら搬送される。
【0024】
トップシール装置(トップシール手段、横シール手段、エンドシール手段)30は、物品XA1の長さに応じたカットピッチCP毎に、包装材YA1の幅方向(搬送幅方向W、包装材YA1を横断する方向)にトップシール(エンドシール、横シール)とカットを行う。これにより、トップシール部TO1が形成されるとともに、包装体(ピロー包装体)ZA1が製造される。
【0025】
トップシール装置30は、一例として、上下一対のトップシーラ30a,30bを有するいわゆるボックスモーションタイプのもので、筒状の包装材YA1を挟んで上下に配置された一対のトップシーラ30a,30bが、互いのシール面を対向させた状態を維持しながら所定の軌跡で移動し、物品の長さに応じたカットピッチCP毎に、フィルムの幅方向にトップシールとカットを行う。トップシール装置30によってシール・カットするフィルム部位(トップシール部TO1)は、前後の物品XA1の間の所定位置である。なお、トップシール装置30は、ボックスモーション以外にも、回転式、又は直線往復動式のトップシール装置であってもよい。
【0026】
また、トップシール装置30は、筒状の包装材YA1にトップシールを施す前(或いはそれと同時)に、筒状の包装材YA1のトップシールされる部位近傍の、進行方向における両側方の所定の折り込み位置を、不図示のガゼット爪にて内方に押し込んで折り込み、折り込み部を形成する。
【0027】
第二の搬送装置20は、トップシール装置30より下流に設けられている。この第二の搬送装置20は、トップシール装置30で仕上がった包装体ZA1を、搬送面20aに載せて次工程に向けて搬送するベルトコンベアである。
【0028】
図2を参照して、本実施形態の包装体(ピロー包装体)ZA1について説明する。同図の包装体ZA1は、トップシール装置30によってトップシール部TO1のシールとカットが施され、第二の搬送装置20に移載された直後の状態である。
【0029】
同図に示すように、包装体ZA1のセンターシール部CE1は、帯状の包装材YA1の第一の方向(搬送方向Tと同じ方向)に沿う両側端縁を、包装材YA1が筒状となるように重合し熱シールして設けられた部位である。トップシール部TO1は、筒状の包装材YA1の第二の方向(搬送方向に交差(直交)する方向)に沿う両端開口をそれぞれ熱シールして設けられた部位である。なお、包装体ZA1の形状は一例であり、図示の形状に限らない。
【0030】
<加湿装置>
図3図5を参照して本発明の加湿装置100について説明する。図3図4は、本実施形態の加湿装置100を示す図である。図3(A)は、包装機1における加湿装置100の近傍を示す正面図であり、同図(B)は加湿装置100を抜き出して示す正面図である。同図においては加湿装置100の内部を透視して示している。図4(A)も加湿装置100を抜き出して示す正面図であり、同図(B)は、加湿装置100を搬送方向Tの上流側から見た側面図である。なお以降の図においては加湿装置100の内部の一部、透視して示す。
【0031】
本実施形態では、製袋器14の上流側に加湿装置100を有する(図1参照)。この例では、加湿装置100は、図3(A)に示すように、製袋器14の上流においてローラ9等が固定される機台Fに取り付けられている。より詳細には、機台Fに対して相対移動可能となるように取り付けられている。加湿装置100は、処理対象領域101と、加湿手段110と、カバー手段103を有し、原反ロールYB1から包装機本体4に供給される包装材YA1の少なくとも一部を、その搬送途中において加湿する。
【0032】
処理対象領域101は、帯状の包装材YA1が供給される製袋器14の上流側に区画される領域であり、具体的には包装材YA1の少なくとも一部を上方および/または下方から覆うカバー手段103によって区画される領域である。カバー手段103は一例として所定空間を外部環境から区画可能な手段であり、ここでは閉じた空間を構成可能な、正面視(同図)において略L字状、搬送方向Tから見た側面視(図4(B)参照)において略T字状の箱型部材である。またカバー手段103は、硬質の樹脂や金属など、耐水(耐湿)性、防水(防水)性の高い材質により構成される。
【0033】
図3(B)に示すようにカバー手段103は包装材YA1の搬送方向Tの前後に対向して配置される上流側面103Aと下流側面103Bを有する。上流側面103Aにはスリット状に開口された包装材YA1の受け入れ部104が設けられ、下流側面103Bにも同様にスリット状に開口された包装材YA1の送り出し部105が設けられる。受け入れ部104および送り出し部105の開口部分の搬送高さ方向Hの長さはいずれも、包装材YA1の厚みより大きい。また受け入れ部104および送り出し部105の開口部分の搬送幅方向Wの長さはいずれも包装材YA1の搬送幅方向Wの長さより長い(図4(B)参照)。また、受け入れ部104および送り出し部105の位置は、搬送される包装材YA1に干渉しない位置とする。すなわち、包装材YA1は搬送中(製袋器14(包装機本体4)に向かう移動中)においてその一部が、カバー手段103の内部に挿通されるが、カバー手段103のいずれの部位とも非接触である。
【0034】
この例では、同図(B)に示すように、包装材YA1は、搬送高さ方向Hの上方に位置する不図示の原反ロールから繰り出され、下降して機台Fに固定されたローラ9に掛け渡され、図示左方に折り返す。そして、加湿装置100の受け入れ部104、送り出し部105を介して可動ローラ10に掛け渡されて下方に折り返され、製袋器14の供給口14aに達する。製袋器14への包装材YA1の供給位置を調整する可動ローラ10は、上流のローラ9よりも高い位置にあり、加湿装置100の内部では包装材YA1は、搬送方向Tの下流に向かってわずかに上昇するように搬送される。したがって、加湿装置100の送り出し部105は、受け入れ部104よりも搬送高さ方向Hの上方に位置する。このようにして、処理対象領域101の包装材YA1は、周囲はカバー手段103で覆われているが、カバー手段103のいずれの部位とも非接触となっている。
【0035】
図4(A)に示すように、加湿手段110は、この例では、処理対象領域101(カバー手段103の内部)に配置される空気圧噴霧ノズル110(110A)と、例えばカバー手段103の外部に設けられて液体(例えば水など)を貯える容器(タンク)112、エア供給手段113を含む。なお、タンク112およびエア供給手段113は他の図において図示を省略している。箱型のカバー手段103は上部103Cと下部103Dを有し、空気圧噴霧ノズル110は、この例では、カバー手段103の下部103Dの上方に取り付けられ、上方に噴出口110Aを向けた状態で配置される。空気圧噴霧ノズル110は容器(タンク)112内の液体をエア供給手段113から供給される空気の圧力により吸い上げるとともに、カバー手段103内(処理対象領域101)に噴霧する(同図(B参照)。噴霧範囲Rは、例えば同図(B)にハッチングで示すような空気圧噴霧ノズル110を中心とした側面視において略扇状の範囲である。この例では空気圧噴霧ノズル110は包装材YA1の一方の面(例えば、第一の面S1)側に配置され、包装材YA1は、空気圧噴霧ノズル110の上方を通過する。これにより、カバー手段103内において包装材YA1は、同図(A)における下面(第一の面S1)側から加湿される。この場合、第一の面S1は、当該包装材YA1が物品XA1を包装(内包)した場合に外側となる面(外側表面)とすることが望ましい。また外側表面とは、ヒートシール時の(センターシール部CE1、トップシール部TO1(図2参照))を形成する際の)シール面ではない面である。つまりこの例では、ヒートシール時のシール面は第二の面S2であり、カバー手段103内を通過する包装材YA1は、第二の面S2が図示上面を向くように搬送される。水分は、直接的には、シール面(第二の面S2)の裏側の面(第一の面S1)に噴霧される。包装材YA1は例えば紙材であるので、一方の面(第一の面S1)から噴霧された場合でも内部に浸透し、包装材YA1の柔軟性が向上する。一方、シール面(第二の面S2)の接着能力の低下は防ぐことができる。
【0036】
本実施形態のカバー手段103は一例として略閉じた空間を区画する箱形状であり、噴霧された水分をカバー手段103内に留めることができる。このようなカバー手段103の内部を通過した包装材YA1はその湿度が概ね安定する。つまり、包装材YA1が(乾燥状態よりも)柔軟となり、また包装材YA1の湿度が安定する(加湿状態のばらつきが抑えられる)ことにより柔軟性のばらつきも抑えることができる。そして加湿装置100を通過後すぐに、製袋器14に包装材YA1を供給することができるので、周囲の環境によらず、連続して搬送される包装材YA1が定常的に製袋器14の供給口14aの形状に添いやすくなり(纏わりつきやすくなり)、包装材YA1を確実に製袋器14に案内できる。これにより包装材YA1の製袋時における皺や筋(スジ)の発生を低減でき、美観を良好に保ちつつ、製袋することが可能になる。
【0037】
なお、噴霧され、包装材YA1に吸収されなかった水分は、カバー手段103の下部103Dに集められ、下部103Dに設けられた排出口108を介して外部に排出される。
【0038】
空気圧噴霧ノズル110は、位置調整機構115、116により空気圧噴霧ノズル110の位置(搬送幅方向Wの位置、搬送高さ方向Hの位置、搬送方向Tの位置)を調整可能である。具体的に図4(B)を参照して、空気圧噴出ノズル110は、例えばカバー手段103に位置調整機構115を介して取り付けられている。位置調整機構115は、空気圧噴出ノズル110が固定されるベース板115Aと当該ベース板115Aをカバー手段103に対して位置調整可能に固定する固定部材(ねじなど)115Bを有する。ベース板115Aには、搬送幅方向Wに伸びる開口部115Cが設けられており、ベース板115Aは開口部115Cの開口幅の範囲で搬送幅方向Wにスライド移動可能であり、所定位置で固定部材115Bにより固定される。
【0039】
また、例えばカバー手段103の搬送幅方向Wの両側面に設けられた位置調整機構116は不図示の垂直方向移動手段や水平方向移動手段に接続可能である。これにより加湿手段100(空気圧噴霧ノズル110)は垂直方向移動手段により搬送高さ方向Hの上下に位置(機台Fへの取り付け位置)の調整が可能となり、水平方向移動手段により搬送方向Tの前後への位置(機台Fへの取り付け位置)の調整が可能となる。また、空気圧噴出ノズル110は、その噴出量を適宜調整可能である。したがって、包装材YA1の種類(材質)や、厚み等に応じて適宜、適切な量の水分を噴出可能である。なおこの例では空気圧噴霧ノズル110の数は単数であるがこれに限らず複数であってもよい。つまり、噴霧領域Rの位置、範囲の調整が可能である。
【0040】
このような構成により、加湿装置100は、例えば包装材YA1の浮き上がりが生じやすい部分などを重点的に加湿したり、包装材YA1の材質等により加湿の態様を適宜変更(調整)することができる。
【0041】
さらに、受け入れ部104および送り出し部105は、位置調整手段PAによりそれらの位置(搬送高さ方向Hの位置)も調整可能である。具体的に、位置調整手段PAは例えば、同図(A)に示すように受け入れ部104および送り出し部105となるスリットが形成された平板120であり、カバー手段103は当該平板120を含む。平板120は、上流側面103A、下流側面103Bとは別体で、上流側面103A、下流側面103Bに対してスライド移動可能に取り付けられる。上流側面103A、下流側面103Bには、例えば、受け入れ部104および送り出し部105となるスリットよりも大きい開口部OPが設けられており、平板120の上下の移動により受け入れ部104および送り出し部105の位置(搬送高さ方向Hの位置)を調整することができる。
【0042】
製袋器14は、包装する物品XA1のサイズ(製品幅、製品高さ)に応じて、供給口14aの大きさが変更可能となっており、供給口14aの大きさの変更により、製袋器14の直前に設けられた可動ローラ10の位置(搬送方向Tの位置および/または搬送高さ方向Hの位置)が変更になる場合がある。これにより、包装材YA1の搬送経路が変わる。
【0043】
本実施形態では、受け入れ部104および送り出し部105の位置(搬送高さ方向Hの位置)が調整可能であるため、包装材YA1の搬送経路の変更にも柔軟に対応でき、すなわち様々な物品XA1の形状(サイズ)に対応できる。
【0044】
<変形例>
図5を参照して、本実施形態の変形例について説明する。同図は加湿装置100の他の例を示す正面図である。
【0045】
同図(A)に示すように、加湿手段110は、加熱手段117を有し、容器112内の水分を加熱して水蒸気を発生させるスチーマー110(110B)であってもよい。スチーマー110Bは発生させた水蒸気を包装材YA1に向かって噴出する構成であってもよいし、直接的な噴出はせずに、カバー手段103内に水蒸気を充満させる構成であってもよい。また、上記の平板120に代えて、搬送高さ方向Hの位置調整手段PAとして上下一対のローラ121を、それぞれ上流側面103Aと下流側面103Bに配置してもよい。この場合、上流側面103Aの一対のローラ121の間が受け入れ部104となり、下流側面103Bの一対のローラ121の間が送り出し部105となる。一対のローラ121は、搬送高さ方向Hに(上流側面103A(下流側面103B)に対して相対的に)移動可能であるとともに、一対のローラ121の対向間距離(包装材YA1の厚み方向の距離)も近接・離間可能に構成される。
【0046】
この例のようにカバー手段103内に水蒸気を充満させる構成の場合には、位置調整手段PAとしてローラ121を用いることで、外部への水蒸気の漏れを低減することができる。
【0047】
また、加湿手段110は、空気圧噴霧ノズル110Aに限らず、超音波振動により液体(例えば水分)を霧化するものであってもよい。
【0048】
また、図示は省略するが、加湿手段110は、液体を収容する容器と、容器内の液体をくみ上げるポンプ、さらに液体を噴霧可能なノズルを備えるものであってもよい。
【0049】
また、加湿装置100は低温の水(冷水)に限らず、高温の水(湯)を噴霧する構成でであってもよい。
【0050】
さらに加湿手段110が噴霧する液体は、水に限らず、例えばアルコールなど揮発性の液体であってもよい。アルコールを噴霧することで除菌効果も兼ね備えることができ衛生的である。
【0051】
また、加湿手段110は、包装材YA1の一方の面側(例えば、シール面とは異なる面側)に配置する場合を例示したが、シール面が加湿される影響を考慮しなくてよい場合は、加湿手段110を包装材YA1の両面側に配置し、両面から加湿(噴霧等)する構成であってもよい。
【0052】
また、カバー手段103は、処理対象領域101(通過する包装材YA1)の全体を覆う(略閉じた状態の)箱型の構成にすることで加湿の効果が高まるが、その構成に限らない。例えば、同図(B)に示すように、包装材YA1の一方の面(例えば、第二の面S2)側が開放されている構成であってもよい。この場合、加湿手段110からの噴霧等が行われない面(例えば、シール面)側を開放にするとよい。この場合は、搬送高さ方向Hの位置調整手段PAとして単一のローラ122を、それぞれ上流側面103Aと下流側面103Bに配置してもよい。この場合、上流側面103Aのローラ122の上方が受け入れ部104となり、下流側面103Bのローラ122の上方が送り出し部105となる。ローラ122は、それぞれ搬送高さ方向Hに(上流側面103A(下流側面103B)に対して相対的に)移動可能である。
【0053】
また、図示は省略するがカバー手段103は、搬送幅方向Wの両側面が開放され、包装材YA1の表裏面(第一の面S1,第二の面S2)に対向するようにこれらを覆う上下面のみの構成であってもよいし、どちらか一方の面のみを覆う構成であってもよい。またカバー手段103は上下面が開放され、側面部分を覆う構成であってもよい。カバー手段103を部分的に設ける場合は、加湿手段110の例えば噴出口と、包装材YA1を介して対向する位置を少なくとも覆うようにするとよい。
【0054】
また湿度センサ等を少なくともカバー手段103内に設け、湿度の監視と水分量の調整の制御を自動に行うようにしてもよい。また湿度センサ等は、カバー手段103外にも設けてもよい。
【0055】
また、製袋器14の直近ではなく、さらに上流の位置に加湿装置100を設けてもよい。加湿装置100は、包装機1の任意の位置(好適には製袋器14より上流側)に移動可能に構成してもよい。
【0056】
なお、包装材YA1は紙材に限らず、紙材にパラフィン蝋を塗布、浸透させたパラフィン紙であってもよい。また、紙材と樹脂のラミネート構造であってもよい。例えば樹脂とのラミネート構造などの包装材YA1の場合は、加湿装置100によって加湿することで皺だけでなく静電気を防止することができ、意図しない纏わりつきによる包装材YA1の傷の発生を防止できる。
【0057】
また、加湿手段110は例えば、包装材YA1の搬送幅方向Wの一方または両方に設け、搬送幅方向Wに噴霧等を行う構成としてもよい。
【0058】
また、加湿手段110の移動機構115を機台Fに直接的に取り付けるなどし、カバー手段103を設けない構成であってもよい。
【0059】
また、包装機1(製袋器14)を所定時間停止した後に運転再開する場合には、加湿手段110を一定期間噴霧した後に包装材YA1の送り出しするとよい。また、包装機1(製袋器14)を長時間停止した後に運転再開する場合には、包装材YA1の加湿した箇所が乾燥している恐れがあるため、加湿手段110後から製袋器14の供給口14aまでの包材で包装された製品を排出するとよい。
【0060】
また、加湿装置100の形状は図示したものに限らず、例えば搬送方向Tの距離を上述の構成よりも長くしてもよい。これにより、加湿される包装材YA1の距離を稼ぐことができる。
【0061】
また、上記の例では正ピロー型の包装機1を例示したが、逆ピロー型の包装機であってもよい。
【0062】
また、上記の例ではピロー包装機を例示したが、包装機1は三方シール包装機や、四方シール包装機であってもよい。
【0063】
以上、本発明は、上記実施形態に限られるものではなく、その趣旨および技術思想を逸脱しない範囲で種々の変形が可能である。
【符号の説明】
【0064】
1 包装機
2 物品供給装置
3 包装材供給装置
4 包装機本体
8 原反軸
9 ローラ
14 製袋器
14a 供給口
15 ピンチローラ
16 センターシール装置
30 トップシール装置(エンドシール装置)
100 加湿装置
101 処理対象領域
103 カバー手段
103A 上流側面
103B 下流側面
103C 上部
103D 下部
108 排出口
110 加湿手段(空気圧噴霧ノズル)
R 噴霧領域
YA1 包装材
YB1 原反ロール
ZA1 包装体
図1
図2
図3
図4
図5