【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 販売日 :令和2年2月22日 販売場所:正和鍛工株式会社(兵庫県三木市吉川町畑枝千王谷396−58) 公開者 :株式会社大谷機械製作所
【解決手段】本発明の昇降装置100は、床面より下面に載置された加工装置と組み合わせて使用するための作業台であって、作業者を載せる載置部110と、第1の高さ位置Hp1と第1の高さ位置Hp1よりも低い第2の高さ位置Hp2との間で、載置部110が昇降可能であるように載置部110を支持する昇降機構120とを備え、第1の高さ位置Hp1と第2の高さ位置Hp2との間に床面FLが位置するように構成されたものである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところが、従来の昇降作業台は、使用の際に加工装置の横に配置するものであり、このため、使用しないときは邪魔になるので、作業スペースを確保するために加工装置の周辺から撤去する必要があった。
【0004】
本発明は、使用しない場合であっても邪魔にならず作業スペースを確保可能な作業台およびこのような作業台を備えた加工装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、以下の項目を提供する。
【0006】
(項目1)
床面より下面に載置された加工装置と組み合わせて使用するための作業台であって、
作業者を載せる載置部と、
第1の高さ位置と前記第1の高さ位置よりも低い第2の高さ位置との間で、前記載置部が昇降可能であるように前記載置部を支持する昇降機構と
を備え、
前記第1の高さ位置と前記第2の高さ位置との間に前記床面が位置するように構成されている、作業台。
【0007】
(項目2)
前記加工装置の筐体は、上方から下方に向けて末広がりとなるスカート部を含み、
前記第2の高さ位置は、前記スカート部の高さの範囲に存在する、項目1に記載の作業台。
【0008】
(項目3)
前記第1の高さ位置と前記第2の高さ位置との間は、約20cm以上である、項目1または2に記載の作業台。
【0009】
(項目4)
前記作業台は、前記昇降機構を支持するベース部を有し、
前記ベース部と前記昇降機構との間、および前記ベース部と前記加工装置との間の少なくとも一方には、緩衝材が配置されている、項目1〜3のいずれか一項に記載の作業台。
【0010】
(項目5)
前記ベース部はベース枠体を含み、
前記ベース枠体は、前記床面の下方に形成された第1ピットに嵌め込まれている、項目4に記載の作業台。
【0011】
(項目6)
前記加工装置の筐体は、上方から下方に向けて末広がりとなるスカート部を含み、
前記ベース部はベース枠体を含み、
前記ベース枠体は、前記床面の下部に形成された第1ピットに嵌め込まれており,
前記載置部には、前記載置部の端縁と前記スカート部との間の隙間と、前記載置部の端縁と前記ベース枠体の端縁との間の隙間との少なくとも一方を覆うカバー体が設けられている、項目1に記載の作業台。
【0012】
(項目7)
前記昇降機構は、前記昇降機構を吊り下げるためのフック取付部を備える、項目1〜6のいずれか一項に記載の作業台。
【0013】
(項目8)
被処理部材に対する鍛造、溶接、およびプレス加工のうちの少なくとも一つの加工を行う加工装置であって、
前記加工装置を操作する作業者を昇降可能な作業台として、項目1〜7のいずれか一項に記載の作業台を備えた加工装置。
【0014】
(項目9)
前記加工装置は、前記加工装置を設置する床面に形成された第2ピット内に収容されており、
前記第2ピット内では前記加工装置が防振構造体の上に載置されている、項目8に記載の加工装置。
【0015】
(項目10)
前記昇降機構が前記加工装置を構成する筐体と一体となるように前記昇降機構が前記筐体に組み込まれている、項目8または9に記載の加工装置。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、使用しない場合であっても邪魔にならず作業スペースを確保可能な作業台およびこのような作業台を備えた加工装置を得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明を説明する。本明細書において使用される用語は、特に言及しない限り、当該分野で通常用いられる意味で用いられることが理解されるべきである。したがって、他に定義されない限り、本明細書中で使用される全ての専門用語および科学技術用語は、本発明の属する分野の当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。矛盾する場合、本明細書(定義を含めて)が優先する。
【0019】
本明細書において、「約」とは、後に続く数字の±10%の範囲内をいう。
【0020】
本発明は、使用しない場合であっても邪魔にならず作業スペースを確保可能な作業台を得ることを得ることを課題とし、
床面より下面に載置された加工装置と組み合わせて使用するための作業台であって、作業者を載せる載置部と、第1の高さ位置と第1の高さ位置よりも低い第2の高さ位置との間で、載置部が昇降可能であるように載置部を支持する昇降機構とを備え、第1の高さ位置と第2の高さ位置との間に床面が位置するように構成された作業台を提供することにより、上記の課題を解決したものである。
【0021】
このように本発明の作業台は、載置部が昇降する範囲である第1の高さ位置と第2の高さ位置との間に床面が位置するように構成されたものであれば、その他の構成は特に限定されるものではない。
【0022】
(第1の高さ位置)
例えば、載置部の第1の高さ位置は、作業者が加工装置にて被加工物の加工を行う作業位置が床面より高い位置にあるか否かに拘わらず、床面と同じ高さまたは床面より高い位置であればよい。
【0023】
(第2の高さ位置)
また、載置部の第2の高さ位置は、作業者が加工装置にて被加工物の加工を行う作業位置が床面より高い位置にあるか否かに拘わらず、床面より低い位置であればよい。
【0024】
また、加工装置の筐体が、上方から下方に向けて末広がりとなるスカート部を有し、スカート部が床面に形成されたピット内に配置されている場合、第2の高さ位置は、スカート部の高さの範囲(すなわち、スカート部の上端と下端との間)に位置していてもよい。
【0025】
第1の高さ位置と第2の高さ位置との間は、任意の距離であり得る。例えば、約10cm以上、好ましくは約20cm以上、より好ましくは約30cm以上、さらに好ましくは、約40cm以上である。1つの実施形態において、約20cm以上である。第1の高さ位置と第2の高さ位置との間で高さを調整することによって、身長の大きい作業者と身長の小さい作業者の両方に関して作業位置を適切な高さ位置に調整可能となる。また、作業者が加工装置にて被加工物の加工を行う作業位置は、作業者の身長の大きさだけでなく、加工装置における部品の高さ寸法の違い(具体的には、被加工物の種類などに応じた、鍛造装置での下金型等の部品の高さ寸法の違い)によっても変動する場合がある。このような場合には、作業者の身長だけでなく、被加工物の種類に応じた加工装置の部品の高さ寸法に応じた適切な高さ位置に作業位置を調整可能である。なお、鍛造装置(エアーハンマ)では、下金型は、ソーブロック(後述する金型固定台)に固定されており、ソーブロックは、鍛造装置の筐体(アンビル)に取り付けられている。なお、アンビルとソーブロックとは、被加工物の種類などに応じて下金型の高さ寸法が異なる場合でも高さ寸法は一定寸法である。
【0026】
また、このように被加工物の種類に応じて被加工物に対する作業位置を適切な高さ位置に調整可能であることから、種々の被加工物の作成依頼などの受注の幅も広がる可能性もある。
【0027】
(作業台)
作業台は、後述で説示する様に床面に掘り下げ形成された第1ピットの内部に載置されている。作業台は、載置部と、昇降機構とを有するものであれば、その他の構成は特に限定されるものではない。
【0028】
例えば、作業台は、載置部と昇降機構とに加えて、昇降機構を支持するベース部を有していてもよい。その場合、ベース部と支持機構とは直接接続していてもよいし、緩衝材などの部材を介して接続されていてもよい。ここで、ベース部はベース枠体を含んでいてもよい。また、載置部と昇降機構とは、直接接続されていてもよいし、緩衝材などの部材を介して接続されていてもよい。
【0029】
緩衝材は、衝撃や振動を緩衝可能であれば任意の材料であり得る。例えば、ゴムなどであってもよいし、エアダンパであってもよいし、MCナイロン(モノキャストナイロン)なであってもよい。1つの実施形態において、昇降機構とベース枠体との間にMCナイロン製の緩衝材を設け、ベース枠体と加工装置との間にゴム板を配置する。また、別の実施形態において、ベース枠体は、鍛造作業の直接大きな衝撃を受けるので昇降機構とベース枠体との間には防振装置を備えるとともに小スペースに対応可能なゴムあるいはアスファルトビッチを配置してもよい。また、さらに、加工装置が、例えばベース枠体が大きな衝撃を受けた後に、微振動を受ける状況ではベース枠体と加工装置との間に微小な振動の吸収に適したMCナイロンなどを配置してもよい。
【0030】
作業台を構成するベース部と加工装置が載置されるベース部(土台となる構造体)との間は、直接接続されていてもよいし、緩衝材などの部材を介して接続されていてもよい。緩衝材などの部材を介することにより、加工装置からの衝撃や振動が作業台に伝わるのを防ぐことが可能となる。
【0031】
(作業台の載置部)
作業台の載置部は、作業者を載置可能な強度や大きさを有するものであれば、その材料や形状などの構成は、任意であり得る。例えば、載置部の形状は、略円形状(楕円状など)であってもよいし、矩形状(正方形状や長方形状など)であってもよい。また、載置部の材料は、例えば、1つの実施形態において鉄系(ステンレス鋼など)などの金属であるが、本発明はこれに限定されない。
【0032】
好ましい実施形態において、載置部には、載置部の端縁と加工装置のスカート部との間の隙間および載置部の端縁と床面の端縁(ベース枠体の端縁)との間の隙間のうちの少なくともいずれかの隙間を覆うカバー体を設ける。このようなカバー体が載置部に設けられることで、載置部の端縁と加工装置のスカート部との間の隙間あるいは載置部の端縁と床面の端縁(ベース枠体の端縁)との間の隙間から、加工作業で生じた加工屑が床面に形成されたピット(ベース枠体)の内部に浸入するのを防止することが可能となる。
【0033】
カバー体は任意の形態であり得る。例えば、鉄などの金属製のシートであってもよいし、可撓性を有するゴムなどのシートであってもよい。
【0034】
(作業台の昇降機構)
作業台の昇降機構は、載置部を昇降可能に支持するものであればその他の構成は任意であり得る。例えば、昇降機構としては、リンク機構であってもよいし、シリンダ機構であってもよいし、それらの組み合わせであってもよい。また、駆動手段(アクチュエータ)は、液圧(油圧または水圧)やエアー圧であってもよいし、電動であってもよい。
【0035】
好ましい実施形態において、昇降機構は、この昇降機構をクレーンなどのリフトで吊り下げるためのフック取付部を備えていることが好ましい。このようなフック取付部を備えることで、昇降機構のフック取付部にフックを取り付けて、フックによって作業台(昇降機構)をクレーンなどで吊り下げて、床面に形成されたピット(ベース枠体)の内部から取り出すことが可能となる。それによって、作業台のメンテナンスを簡単に行うことが可能となる。
【0036】
フック取付部の構造は任意であり得る。例えば、フック取付部は、フックをかけるための軸部材を挿入可能な孔であってもよいし、軸部材を締結するためのボルト孔であってもよいし、軸部材そのものであってもよい。
【0037】
なお、昇降機構120を構成する部材の材料は任意であり得る。例えば、1つの実施形態において鉄系(ステンレス鋼など)などの金属であるが、本発明はこれに限定されない。
【0038】
(作業台のベース部)
また、作業台のベース部は、昇降機構を支持するものであればよく、具体的な形状や材料や構図は任意であり得る。例えば、ベース部の形状は、略円形状(楕円状など)であってもよいし、矩形状(正方形状や長方形状など)であってもよい。好ましい実施形態において、床面に掘り下げ形成された第1ピットの形状に沿った嵌め込み可能な形状の枠体である。このように、作業台のベース枠体を床面のピットに嵌め込むことにより、作業台がピット内で固定可能であり、これにより、作業台の固定に用いるボルドなどの負担を軽減することができる。また、床面のピットと、このピットに嵌め込まれたベース枠体との間に緩衝材を介在させることにより、作業台に加工装置などから発生する衝撃や振動が伝わるのを抑制することが可能となる。
【0039】
(加工装置)
本発明の作業台を組み合わせる対象となる加工装置は、後述で説示する様に床面に掘り下げ形成された第2ピットの内部に載置されている。加工装置は、床面より下面に載置されたものであれば、加工手段や被加工物は任意であり得る。例えば、加工手段としては、エアスタンプハンマーなどの鍛造であってもよいし、溶接またはプレス加工であってもよい。また、加工装置で加工される被加工物は任意であり得る。例えば、一つの実施形態において、エアスタンプハンマーなどの鍛造装置における被加工物として、スパナなどのサイズの小さい工具類から車両のホイルなどのサイズの大きい部品まで種々のものであり得る。
【0040】
好ましい実施形態において、加工装置は、土台となる構造体としての防振構造体の上に載置される。防振構造体は衝撃や振動を吸収・抑制可能なものであれば任意の形態であり得る。例えば、木材やコンクリートピッチ、ゴムなどであってもよいし、エアダンパやコイルスプリングなどの振動吸収機構であってもよい。また、防振構造体は、シリコン内蔵式の防振ユニット、例えば、シリコン内蔵の防振ゴム部材であってもよいし、シリコン内蔵の粘性ダンパー部材であってもよい。
【0041】
ただし、以下の実施形態の説明では、作業台は、加工装置の1つである鍛造装置と組み合わせて使用するための作業台を挙げる。
【0042】
特に、実施形態1では、作業台の載置部の最も高い第1の高さ位置が、床面とその上の加工装置の作業位置との間に位置し、作業台の載置部の最も低い第2の高さ位置が床面よりも低い位置にあるものを説明する。
【0043】
実施形態2では、実施形態1の作業台の構成に加えて、上方から下方に向けて末広がりのスカート部を有する加工装置と組み合わせて使用するのに適した構成を有する作業台を説明する。
【0044】
実施形態3では、実施形態1の作業台の構成に加えて、作業台の内部をメンテナンス可能とした構成(昇降機構120を吊り上げるためのフック取付部)を有する作業台を説明する。
【0045】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0046】
(実施形態1)
図1は、本発明の実施形態1による作業台100を説明するための斜視図であり、
図1(a)は、作業台100および加工装置1000が床面FLの第1ピットPt1および第2ピットPt2内に配置されている様子を示し、
図1(b)は、
図1(a)における作業台100および加工装置1000の構造を示し、
図1(c)は、第1ピットPt1および第2ピットPt2の構造を示す。
【0047】
実施形態1の作業台100は、
図1(a)に示すように、床面FLより下面に載置された加工装置1000と組み合わせて使用するための作業台である。
【0048】
ここで、床面FLには、
図1(c)に示すように、2つのピット、すなわち、第1ピットPt1および第2ピットPt2が形成されている。ここでピットは、加工装置などの設備を設置するために建屋の床面に形成された空間(穴)である。
【0049】
加工装置などの設備をピット内に設備を設置することで、建屋の高さ方向のスペースを有効に利用したり、設備の底面から作業位置までが作業者の身長に比べて高すぎる場合などに、作業位置を建屋の床面FLで作業する作業者に適した位置まで下げたりすることができる。
【0050】
第2ピットPt2には加工装置1000が収容され、第1ピットPt1には作業台100が収容されている。これらのピットPt1およびPt2は繋がっている。
【0051】
作業台100は、作業者を載せる載置部110と、載置部110が昇降可能であるように載置部110を支持する昇降機構120とを有している。
【0052】
ここで、加工装置1000は被加工物(図示せず)を鍛造する鍛造装置であり、加工領域Rpを含む筐体1100を有する。筐体1100は、加工作業で生ずる衝撃を吸収する防振構造体(木材)1200の上に配置されている。
【0053】
筐体1100の加工領域Rpの底面には、金型固定台1010が取り付けられており、金型固定台1010には下金型1011が固定されている。筐体1100には、ラム(ハンマー部材)1020が加工領域Rp内で昇降可能となるように設けられており、ラム1020には、下金型1011に打付けられる上金型1021が取り付けられている。筐体1100の上部にはラム1020を駆動するラム駆動源1100aが設けられており、ラム1020は、ラム駆動源1100aにより駆動されるピストンロッド1030に接続されている。
【0054】
以下、作業台100の昇降機構120の昇降範囲を説明する。
【0055】
図2は、
図1に示す実施形態1の作業台100の昇降範囲を説明するための図であり、
図2(a)は、
図1(a)のA−A線断面図であり、
図2(b)は、
図1(a)のB−B線断面図である。なお、
図2では、作業台100および加工装置1000については外観を示している。
【0056】
この作業台100は、
図2(a)および
図2(b)に示すように、載置部110および昇降機構120に加えて、床面FLに形成された第1ピットPt1に嵌め込まれるベース部としてベース枠体130を有しており、載置部110および昇降機構120は、ベース枠体130内に収容されている。ベース部はベース枠体130に限定されるものではなく、枠体以外の筐体でもよい。
【0057】
昇降機構120は、床面FLより高い第1の高さ位置(載置部110の最も高い高さ位置)Hp1と、床面FLよりも低い第2の高さ位置(載置部110の最も低い高さ位置)Hp2との間で、載置部110が昇降可能であるように載置部を支持するものである。
【0058】
また、鍛造を行う加工装置1000の作業位置Wpは、被加工物が載せられる下金型1011の表面である。この作業位置Wpは、例えば、平均的な身長の作業者が床面FLに立って作業するときに、作業者が作業しやすい(疲れにくい)姿勢の位置にくるようになっている。本発明の作業台は、特に長時間同じ姿勢で加工装置の操作を数多く行うことが必要となる、鍛造装置(エアスタンプハンマー)に有益な装置であり得る。
【0059】
なお、
図3は、
図1に示す実施形態1の作業台100と加工装置1000とのレイアウトを説明するための平面図であり、
図2(b)に示す作業台100および加工装置1000をC方向から見た構造を示している。
【0060】
この
図3からも分かるように、作業台100が収容される第1ピットPt1と、加工装置1000が収容される第2ピットPt2とは隣接して形成されており、第1ピットPt1と第2ピットPt2とはつながっている。
【0061】
このため、第2ピットPt2内に収容されている加工装置1000に対して、第1ピットPt1に収容される作業台100を近づけることができ、床面FL上で作業するのと同様に作業台100上でも加工装置1000での鍛造作業を行うことができる。
【0062】
以下、昇降機構120の具体的な構成の一例を説明する。
【0063】
図4は、
図2(a)に示す作業台100の昇降機構120の構造を説明するための側面図であり、
図4(a)は、載置部110が第1の高さ位置Hp1にあるときの昇降機構120の状態を示し、
図4(b)は、載置部110が第2の高さ位置Hp2にあるときの昇降機構120の状態を示す。
【0064】
昇降機構120は、基部レール120aと、基部レール120a上に設けられた昇降部120bとを有している。昇降部120bは、下フレーム121と、上フレーム124と、第1の中間フレーム122と、第2の中間フレーム123と、第1の中間フレーム122と第2の中間フレーム123との間に接続されたアクチュエータ125とを有している。
【0065】
ここで、下フレーム121および上フレーム124は、同程度の大きさの枠体であり、下フレーム121は、昇降機構120の土台となる基部レール120a上に取り付けられている。第1の中間フレーム122の下端部が下フレーム121の一端(紙面右側端)に回動可能に支持されており、第1の中間フレーム122の上端部は、上フレーム124の下面にスライド可能に当接している。第2の中間フレーム123の上端部が上フレーム124の一端(紙面右側端)に回動可能に支持されており、第2の中間フレーム123の下端部は、下フレーム124の上面にスライド可能に当接している。
【0066】
このような構成の昇降機構120では、アクチュエータ125が縮むことにより、第1の中間フレーム122および第2の中間フレーム123の傾斜が
図4(a)に示すように水平面(紙面左右方向)に対してきつくなって上フレーム124が下フレーム121に対して上昇することとなる。一方、昇降機構120では、アクチュエータ125が伸びることにより、第1の中間フレーム122および第2の中間フレーム123の傾斜が
図4(b)に示すように水平面(紙面左右方向)に対して緩くなって上フレーム124が下フレーム121に対して下降することとなる。
【0067】
この昇降機構120は、
図2に示すように、第2ピットPt2に嵌め込まれたベース枠体130の底面上に配置されており、ベース枠体130と昇降機構120の基部レール120aとの間には緩衝部材140aが設けられている。また、昇降機構120の上フレーム124には、作業者を載せる載置部110が取り付けられている。
【0068】
上述したように本実施形態1の作業台100を、加工装置1000で鍛造加工を行う場合に用いることにより、加工装置1000の作業位置Wpに対する作業者の立ち位置の高さを建屋の床面FLに対して下側にも上側にも調整可能となる。
【0069】
例えば、上述したように、加工装置1000の作業位置Wpが、平均的な身長の作業者が床面FLに立って作業するときに作業者が作業しやすい(疲れにくい)位置(手先に相当する位置)にくるようになっている場合などにおいて、作業者の平均的な身長より背の高い作業者が作業するときは、その作業者が床面FLに立つと、作業者の手先から作業位置Wpまでの距離が平均的な身長の作業者の場合と比べると遠くなる。この場合は作業がしにくいので、作業台100の載置部110の高さを床面FLより下げることで、作業者の手先から作業位置Wpまでの距離を、その身長の高い作業者に合った距離にすることができる。その結果、作業を長時間継続しても楽に行うことが可能となる。また、逆に、加工装置1000の作業位置Wpが、平均的な身長の作業者が床面FLに立って作業するときに作業者が作業しやすい(疲れにくい)位置(手先に相当する位置)にくるようになっている場合などにおいて、作業者の平均的な身長より背の低い作業者が作業するときは、その作業者が床面FLに立つと、作業者の手先から作業位置Wpまでの距離が平均的な身長の作業者の場合と比べると近くなる。この場合は作業がしにくいので、作業台100の載置部110の高さを床面FLより上げることで、作業者の手先から作業位置Wpまでの距離を、その身長の低い作業者に合った距離にすることができる。その結果、作業を長時間継続しても楽に行うことが可能となる。
【0070】
本発明の作業台は、特に長時間同じ姿勢で加工装置の操作を数多く行うことが必要となる、鍛造装置(エアスタンプハンマー)の作業台として有益なものであり得る。
【0071】
また、この作業台100では、載置部110の最高の高さ位置(第1の高さ位置Hp1)と最低の高さ位置(第2の高さ位置Hp2)との間に床面FLの高さが位置しているので、加工装置1000を利用しないときは、作業台100の載置部110の高さを床面FLに合わせておくことが可能となる。そのため、作業台100の配置スペースを建屋の床面として利用することができ、作業台が邪魔にならず、作業スペースを確保できるとともに作業台100を撤去する必要もなくなる。
【0072】
また、作業台100は、作業台100を構成するベース枠体130を第1ピットPt1に嵌め込んで床面FLに固定しているので、作業台100のベース枠体130を床面FLに固定するアンカーボルトなどの負担を軽くすることが可能となる。
【0073】
なお、実施形態1の作業台100は、
図1(a)に示すように、床面FL上に載置された加工装置1000と組み合わせて使用するための作業台として説明したが、加工装置1000が、実施形態1の作業台100を備えていてもよい。この場合、加工装置1000は、昇降機構120が加工装置1000を構成する筐体1100と一体となるように昇降機構120を筐体1100に組み込んだものでもよい。
【0074】
また、上記実施形態1では特に言及していないが、作業台100は、これに隣接して配置される加工装置1000の筐体の形状によっては、作業台100の載置部110と加工装置1000の筐体との隙間が広がる場合がある。
【0075】
実施形態2では、筐体が上方から下方に向けて末広がりとなるスカート部を有する加工装置2000に適した作業台200を実施形態2として説明する。
【0076】
(実施形態2)
図5は、本発明の実施形態2による作業台200およびこの作業台200が組み合わせられる加工装置2000を説明するための断面図であり、
図5(a)および
図5(b)は、
図1(a)のA−A線断面および
図1(a)のB−B線断面に相当する断面図である。
図6は、
図5(b)に示す作業台200および加工装置2000をC方向から見た構造を示している。なお、
図6中、1130は、ラム1020を操作する操作ペダルである。
【0077】
実施形態2の作業台200と組み合わせる加工装置2000は、その筐体2100の下端部に上方から下方に向かって末広がりとなるスカート部2100aを有している。このため、スカート部2100aに沿って昇降する作業台200の載置部110が、最も加工装置2000の筐体2100に近づいたときでも筐体2100のスカート部2100aと干渉しないように予め、載置部110と筐体2100との間隔を広げて置く必要がある。この状態では、載置部110と筐体2100との間および載置部110と床面FLの端縁(ベース枠体130の端縁)との間の隙間から加工屑などが作業台200のベース枠体130内に侵入するおそれがあるので、この実施形態2の作業台200は、実施形態1の作業台100の構成に加えて、載置部110の端縁とスカート部2100aとの間の隙間を覆うカバー体(スカート部カバー体250)を備えている。スカート部カバー体250は可撓性を有しており、載置部110の端縁とスカート部2100aとの間の隙間の幅が変動しても、スカート部カバー体250自体が変形することで常に隙間を塞いだ状態にすることを可能とする。
【0078】
また、作業台200は、載置部110の端縁とベース枠体130の端縁との間に生じる隙間を覆う端部カバー体260を備える。図に示す実施形態においては、スカート部カバー体250と端部カバー体260の両方を備える場合について説示しているが、本発明はこれに限定されない。いずれか一方を備える場合であってもよい。
【0079】
なお、
図7および
図8は、
図6に示す実施形態2の作業台200の端部カバー体260を示す断面図であり、
図7は、
図6のD−D線断面図、
図8は、
図6のE−E線断面図であり、これらの図には、載置部110の端縁とベース枠体130の端縁との間の隙間を覆う端部カバー体260が示されている。なお、
図7では、筐体2100の上部は省略している。
【0080】
ここで、スカート部カバー体250および端部カバー体260は、接着材で載置部210に取り付けられてもよいし、あるいはボルトナット、ビスなどで載置部110に取り付けられてもよい。
【0081】
さらに、ベース枠体130の内部に侵入した加工屑などを清掃するメンテナンス作業に適した構成の作業台300を実施形態3として説明する。
【0082】
(実施形態3)
図9は、本発明の実施形態3による作業台300を説明するための断面図である。
【0083】
この実施形態3の作業台300は、実施形態1の作業台100において、昇降機構120の土台となる基部レール120aに、クレーンのフック部材170を取り付け可能なフック取付部(ボルト孔)160を備えたものであり、その他の構成は、実施形態1の作業台100におけるものと同じである。なお、実施形態3の作業台は、実施形態2の作業台200の構成に加えて、作業台の内部をメンテナンス可能とする構成(昇降機構120を吊り上げるためのクレーンのフック部材を取り付け可能なフック取付部)を有するものでもよい。
【0084】
次に作業台300をメンテナンスする方法を説明する。
【0085】
図10および
図11は、
図9に示す実施形態3の作業台300をメンテナンスする方法を説明するための断面図であり、
図10は、第1ピットPt1内に収容されている作業台300の載置部110を取り外す様子を示し、
図11は、第1ピットPt1内に嵌め込まれたベース枠体130から昇降機構120を吊り上げた状態を示す。
【0086】
第1ピットPt1内に収容されている作業台300(
図9参照)から操作ペダル1130を取り外し、さらに
図10に示すように、作業台300の載置部110を取り外す。載置部110は昇降機構120の上フレーム124にボルトナットなどで取り付けられているので、簡単に取り外すことができる。
【0087】
次に、
図11に示すように、昇降機構120の基部レール120aに設けたフック取付部(ボルト孔)160に軸部材を取り付け、この軸部材にクレーン(例えばチェーンブロック)のフック部材170を引っ掛けて、昇降機構120を持ち上げ、ベース枠体130の外部に退避させる。これにより、作業台300のベース枠体130内を空にすることができ、ベース枠体130内の清掃を簡単に行うことが可能となる。なお、
図11において、フック取付部160はボルト孔であるが、本発明はこれに限定されない。フック取付部はボルト孔およびボルト孔に取り付けられた軸部材を含んでいてもよい。
【0088】
ベース枠体130内部の清掃後は、退避させておいた昇降機構120をクレーンでベース枠体130内に運び込み、載置部110を昇降機構120の上フレーム124に取り付け、さらに操作ペダル1130を載置部110に設置することで作業台300を使用可能な状態とできる。
【0089】
以上のように、本発明の好ましい実施形態を用いて本発明を例示してきたが、本発明は、この実施形態に限定して解釈されるべきものではない。本発明は、特許請求の範囲によってのみその範囲が解釈されるべきであることが理解される。当業者は、本発明の具体的な好ましい実施形態の記載から、本発明の記載および技術常識に基づいて等価な範囲を実施することができることが理解される。本明細書において引用した文献は、その内容自体が具体的に本明細書に記載されているのと同様にその内容が本明細書に対する参考として援用されるべきであることが理解される。