【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示は、細菌感染を処置するために使用されるミエロペルオキシダーゼ組成物が、グラム陰性細菌病原体のリポ多糖およびリピドA内毒素活性を阻害する(解毒する)追加的有利点を有することを実証している。したがって本開示は、細菌を死滅させ、細菌の死滅で放出される内毒素を阻害する両方で、グラム陰性細菌感染に対する有効な処置を提供する必要性に合致している。
【0010】
概要
本概要は、発明を実施するための形態において下にさらに記載される概念の選択を簡潔な形式で紹介するために提供される。本概要は、特許請求される主題の重要な特性を特定することを意図せず、特許請求される主題の範囲を決定する補助として使用されることを意図しない。
【0011】
本開示は、リポ多糖(内毒素)およびグラム陰性細菌の毒性の原因となる内毒素の脂質構成成分、リピドAに結合し、不活性化するミエロペルオキシダーゼを含む組成物を使用するグラム陰性微生物感染の処置のための方法に関する。本開示は、グラム陰性細菌感染を有するヒトまたは動物対象を処置する方法であって、上記対象におけるグラム陰性細菌感染部位にミエロペルオキシダーゼを含む組成物を投与するステップを含み、上記組成物が、感染部位に存在するリポ多糖およびリピドAを解毒するように作用する、方法を提供する。
【0012】
一部の実施形態では、ミエロペルオキシダーゼ組成物は、過酸化物産生オキシダーゼをさらに含む。過酸化物産生オキシダーゼの例として、グルコースオキシダーゼ、コレステロールオキシダーゼおよびガラクトースオキシダーゼが挙げられる。一部の実施形態では、過酸化物産生オキシダーゼはグルコースオキシダーゼである。一部の実施形態では、ミエロペルオキシダーゼ/オキシダーゼ組成物は、ハロゲン化物をさらに含む。
【0013】
一部の実施形態では、方法は、オキシダーゼの基質の存在下で感染部位をミエロペルオキシダーゼ/オキシダーゼ組成物に接触させるステップをさらに含む。しかし、ミエロペルオキシダーゼの抗毒素活性は、過酸化水素の産生に依存しない。
【0014】
一部の実施形態では、ミエロペルオキシダーゼ/オキシダーゼ組成物は、少なくとも2種のアミノ酸をさらに含む。一部の実施形態では、少なくとも2種のアミノ酸は、グリシン、l−アラニン、d−アラニン、l−アラニン無水物、l−グルタミン、l−グルタミン酸、グリシン無水物、馬尿酸、l−ヒスチジン、l−ロイシン、d−ロイシン、l−イソロイシン、d−イソロイシン、l−リシン、l−オルニチン、d−フェニルアラニン、l−フェニルアラニン、l−プロリン、l−ヒドロキシプロリン、l−セリン、タウリン、l−スレオニン、d−スレオニン、l−チロシン、l−バリン、d−バリン、ベータアラニン、l−ベータホモロイシン、d−ベータホモロイシンなどのベータアミノ酸、3−アミノブタン酸、l−2,3−ジアミノプロピオン酸一塩酸塩、d−2,3−ジアミノプロピオン酸一塩酸塩、l−3−アミノイソ酪酸、d−3−アミノイソ酪酸、エチル3−アミノブチレート、サルコシンメチルエステル塩酸塩およびニペコ酸、またはそのアルキルエステルもしくは薬学的に許容される塩からなる群から選択される。
【0015】
他の実施形態では、少なくとも2種のアミノ酸は、グリシン、l−アラニン、d−アラニン、l−アラニン無水物、l−グルタミン、l−グルタミン酸、グリシン無水物、馬尿酸、l−ヒスチジン、l−ロイシン、d−ロイシン、l−イソロイシン、d−イソロイシン、l−リシン、l−オルニチン、d−フェニルアラニン、l−フェニルアラニン、l−プロリン、l−ヒドロキシプロリン、l−セリン、タウリン、l−スレオニン、d−スレオニン、l−チロシン、l−バリンおよびd−バリンまたはそのアルキルエステルもしくは薬学的に許容される塩からなる群から選択される。
【0016】
一部の実施形態では、ミエロペルオキシダーゼ/オキシダーゼ組成物は、少なくとも3種のアミノ酸をさらに含む。一部の実施形態では、少なくとも3種のアミノ酸は、グリシン、l−アラニン、d−アラニン、l−アラニン無水物、l−グルタミン、l−グルタミン酸、グリシン無水物、馬尿酸、l−ヒスチジン、l−ロイシン、d−ロイシン、l−イソロイシン、d−イソロイシン、l−リシン、l−オルニチン、d−フェニルアラニン、l−フェニルアラニン、l−プロリン、l−ヒドロキシプロリン、l−セリン、タウリン、l−スレオニン、d−スレオニン、l−チロシン、l−バリン、d−バリン、ベータアラニン、l−ベータホモロイシン、d−ベータホモロイシンなどのベータアミノ酸、3−アミノブタン酸、l−2,3−ジアミノプロピオン酸一塩酸塩、d−2,3−ジアミノプロピオン酸一塩酸塩、l−3−アミノイソ酪酸、d−3−アミノイソ酪酸、エチル3−アミノブチレート、サルコシンメチルエステル塩酸塩およびニペコ酸、またはそのアルキルエステルもしくは薬学的に許容される塩からなる群から選択される。
【0017】
他の態様では、少なくとも3種のアミノ酸は、グリシン、l−アラニン、d−アラニン、l−アラニン無水物、l−グルタミン、l−グルタミン酸、グリシン無水物、馬尿酸、l−ヒスチジン、l−ロイシン、d−ロイシン、l−イソロイシン、d−イソロイシン、l−リシン、l−オルニチン、d−フェニルアラニン、l−フェニルアラニン、l−プロリン、l−ヒドロキシプロリン、l−セリン、タウリン、l−スレオニン、d−スレオニン、l−チロシン、l−バリンおよびd−バリン、またはそのアルキルエステルもしくは薬学的に許容される塩からなる群から選択される。
【0018】
一部の実施形態では、3種のアミノ酸は、グリシン、アラニンおよびプロリンである。
【0019】
一実施形態では、本開示の組成物は、1から50,000μg/mlのミエロペルオキシダーゼを含む。他の実施形態では、本開示の組成物は、少なくとも2種のアミノ酸をそれぞれ0.1から約500mM含む。代表的な一実施形態では、本開示の組成物は、10から5,000μg/mlのミエロペルオキシダーゼ、0.3から50mMのグリシン、0.3から50mMのl−アラニン、0.3から50mMのl−プロリンおよび1から500U/mlのグルコースオキシダーゼを含む。
【0020】
本開示の一部の態様では、処置されるヒトまたは動物対象は、歯肉、眼、耳、皮膚、軟部組織、創傷、膣領域、鼠径部領域、褥瘡または熱傷領域のグラム陰性細菌感染に罹患している。一部の実施形態では、感染は、多微生物性感染である。他の実施形態では、感染は、少なくとも部分的に、多剤耐性グラム陰性細菌によって生じている。
特定の実施形態では、例えば以下の項目が提供される。
(項目1)
グラム陰性細菌感染を有するヒトまたは動物対象を処置する方法であって、前記対象におけるグラム陰性細菌感染部位にミエロペルオキシダーゼおよびハロゲン化物を含む組成物を投与するステップを含み、前記組成物が、グラム陰性細菌のリポ多糖内毒素活性を阻害する、方法。
(項目2)
前記組成物が、リポ多糖の毒性構成成分であるリピドAの内毒素活性を阻害する、項目1に記載の方法。
(項目3)
前記組成物が、過酸化物産生オキシダーゼをさらに含む、項目1に記載の方法。
(項目4)
前記オキシダーゼの基質の存在下で前記組成物を投与するステップをさらに含む、項目3に記載の方法。
(項目5)
前記過酸化物産生オキシダーゼが、グルコースオキシダーゼであり、前記基質が、グルコースである、項目4に記載の方法。
(項目6)
前記組成物が、少なくとも2種のアミノ酸をさらに含む、項目3に記載の方法。
(項目7)
前記少なくとも2種のアミノ酸が、グリシン、L−アラニン、D−アラニン、L−アラニン無水物、L−グルタミン、L−グルタミン酸、グリシン無水物、馬尿酸、L−ヒスチジン、L−ロイシン、D−ロイシン、L−イソロイシン、D−イソロイシン、L−リシン、L−オルニチン、D−フェニルアラニン、L−フェニルアラニン、L−プロリン、L−ヒドロキシプロリン、L−セリン、タウリン、L−スレオニン、D−スレオニン、L−チロシン、L−バリン、D−バリン、ベータアラニン、L−ベータホモロイシン、D−ベータホモロイシンなどのベータアミノ酸、3−アミノブタン酸、L−2,3−ジアミノプロピオン酸一塩酸塩、D−2,3−ジアミノプロピオン酸一塩酸塩、L−3−アミノイソ酪酸、D−3−アミノイソ酪酸、エチル3−アミノブチレート、サルコシンメチルエステル塩酸塩およびニペコ酸、またはそのアルキルエステルもしくは薬学的に許容される塩からなる群から選択される、項目6に記載の方法。
(項目8)
前記少なくとも2種のアミノ酸が、グリシン、L−アラニン、D−アラニン、L−アラニン無水物、L−グルタミン、L−グルタミン酸、グリシン無水物、馬尿酸、L−ヒスチジン、L−ロイシン、D−ロイシン、L−イソロイシン、D−イソロイシン、L−リシン、L−オルニチン、D−フェニルアラニン、L−フェニルアラニン、L−プロリン、L−ヒドロキシプロリン、L−セリン、タウリン、L−スレオニン、D−スレオニン、L−チロシン、L−バリンおよびD−バリン、またはそのアルキルエステルもしくは薬学的に許容される塩からなる群から選択される、項目7に記載の方法。
(項目9)
前記組成物が、グリシン、L−アラニン、D−アラニン、L−アラニン無水物、L−グルタミン、L−グルタミン酸、グリシン無水物、馬尿酸、L−ヒスチジン、L−ロイシン、D−ロイシン、L−イソロイシン、D−イソロイシン、L−リシン、L−オルニチン、D−フェニルアラニン、L−フェニルアラニン、L−プロリン、L−ヒドロキシプロリン、L−セリン、タウリン、L−スレオニン、D−スレオニン、L−チロシン、L−バリン、D−バリン、ベータアラニン、L−ベータホモロイシン、D−ベータホモロイシンなどのベータアミノ酸、3−アミノブタン酸、L−2,3−ジアミノプロピオン酸一塩酸塩、D−2,3−ジアミノプロピオン酸一塩酸塩、L−3−アミノイソ酪酸、D−3−アミノイソ酪酸、エチル3−アミノブチレート、サルコシンメチルエステル塩酸塩およびニペコ酸、またはそのアルキルエステルもしくは薬学的に許容される塩からなる群から選択される少なくとも3種のアミノ酸を含む、項目3に記載の方法。
(項目10)
前記少なくとも3種のアミノ酸が、グリシン、L−アラニン、D−アラニン、L−アラニン無水物、L−グルタミン、L−グルタミン酸、グリシン無水物、馬尿酸、L−ヒスチジン、L−ロイシン、D−ロイシン、L−イソロイシン、D−イソロイシン、L−リシン、L−オルニチン、D−フェニルアラニン、L−フェニルアラニン、L−プロリン、L−ヒドロキシプロリン、L−セリン、タウリン、L−スレオニン、D−スレオニン、L−チロシン、L−バリンおよびD−バリン、またはそのアルキルエステルもしくは薬学的に許容される塩からなる群から選択される、項目9に記載の方法。
(項目11)
前記3種のアミノ酸が、グリシン、L−アラニンおよびL−プロリンである、項目10に記載の方法。
(項目12)
前記組成物が、前記オキシダーゼの基質の存在下にある場合、1分間に1mlあたり100pmolから50μmolのペルオシドを生成するために有効な過酸化物産生オキシダーゼを含む、項目3に記載の方法。
(項目13)
前記組成物が、1から50,000μg/mlのミエロペルオキシダーゼを含む、項目1に記載の方法。
(項目14)
前記組成物が、前記少なくとも2種のアミノ酸をそれぞれ0.1から約500mM含む、項目6に記載の方法。
(項目15)
前記組成物が、10から5,000μg/mlのミエロペルオキシダーゼ、0.3から50mMのグリシン、0.3から50mMのL−アラニン、0.3から50mMのL−プロリンおよび1から500U/mlのグルコースオキシダーゼを含む、項目11に記載の方法。
(項目16)
前記ヒトまたは動物対象が、歯肉、眼、耳、皮膚、軟部組織、創傷、膣領域、鼠径部領域、褥瘡または熱傷領域の細菌感染に罹患している、項目1に記載の方法。
(項目17)
細菌感染を有するヒトまたは動物対象を処置する方法であって、ミエロペルオキシダーゼ、過酸化物産生オキシダーゼおよび少なくとも3種のアミノ酸を含む第1の組成物を前記対象の細菌感染部位に投与するステップ;ならびに前記オキシダーゼの基質を含む第2の組成物を前記対象における前記細菌感染部位に投与するステップを含む、前記第1の組成物が、前記第2の組成物との組合せで作用して、グラム陰性細菌によって産生されたリポ多糖内毒素を不活性化する、方法。
(項目18)
前記第1の組成物および前記第2の組成物が、前記感染部位への投与前に混合される、項目17に記載の方法。
(項目19)
前記第1の組成物および前記第2の組成物が、前記感染部位に同時に投与される、項目17に記載の方法。
(項目20)
前記第1の組成物および前記第2の組成物が、前記感染部位に順次投与される、項目17に記載の方法。