配管構造は、排水口15が形成された槽体、及び排水口15を遠隔的に開閉する排水栓装置を備えている。排水口15の内側には段部16が形成されているとともに、当該段部16に弁体30と水密に当接するパッキン17が嵌着されている。弁体30の下面にパッキン17と当接する当接部36が形成されている。当接部36は弁体30の下方に形成された円形部であり、下方に進むにつれてやや縮径するように構成されているが、その外径は上記排水口15に取り付けられたパッキン17の内径よりも大径である。尚、当接部36は弁体30の上面から滑らかに連続する様にして形成されており、弁体30の下面において、外周には清掃の妨げとなる溝や突起は形成されていない。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態を説明する。尚、以下に記載する説明は実施形態の理解を容易にするためのものであり、これによって発明が制限して理解されるものではない。
【0012】
図1乃至
図6に示すように、第一実施形態に係る配管構造は、排水口15が形成された槽体10、及び排水口15を遠隔的に開閉する排水栓装置20を備えている。
【0013】
図1及び
図2に示すように、槽体10は平面視矩形を成す底壁部11と、当該底壁部11の四隅から上方へ向けて立設された側壁部12から成る浴槽である。尚、側壁部12の内、洗い場と隣接する側壁部12の下端であって、底壁部11と交差する角部13において飛び出し部14が形成されている。
飛び出し部14は、平面視側壁部12の中央であって、側壁部12の外側、即ち槽体10に隣接する洗い場側に向けて突出する様に形成されている。
図5及び
図6に示すように、飛び出し部14の下面は底壁部11と段差無く連続しているとともに、排水口15が形成されている。又、飛び出し部14の側面は、槽体10の側壁部12よりも洗い場側に突出しており、上面は弁軸74が貫通している。
排水口15は飛び出し部14の下面を上下方向に貫通する円形の開口であり、槽体10の底壁部11と飛び出し部14の下面の内、最も低い位置に形成されている。
上記排水口15は側壁部12の内側面よりも洗い場側、即ち槽体10の外側に配置されており、平面視において使用者からは目視不可能となっている。又、排水口15の下方には何の部材も取り付けられておらず、槽体10の下方には突出部が一切存在しない。一方、
図3に示すように、排水口15の内側には段部16が形成されているとともに、当該段部16に弁体30と水密に当接するパッキン17が嵌着されている。
パッキン17はゴムやシリコン等の弾性素材からなる環状の止水部材であり、その内径は後述する弁体30の当接部36よりも小径となっている。尚、パッキン17の取り付け方法に関しては、嵌着や接着、その他の方法によって取り付けられても良い。
尚、パッキン17の表側は、排水口15の周縁と段差なく連続しており、排水中の塵芥が継ぎ目部分において溜まったりすることが無いように構成されている。また、パッキン17上縁は段部16の上縁よりも低い位置にあるため、パッキン17の周囲に湯水が溜まることもない。
【0014】
図3乃至
図6に示すように、排水栓装置20は弁体30、操作部40、ロック機構50、伝達部材60、昇降部70から構成されている。
【0015】
弁体30は排水口15の開閉を行う板状の蓋体であって、硬質の樹脂材より成り、操作部40からの操作を受けて上下に変位する。又、弁体30は一端に直線部31が形成された平面視略U字状の上面と、円形の下面から構成されている。又、弁体30上面には連結部32、ガイド部34、取手35が形成されているとともに、下面にはパッキン17と当接する当接部36が形成されている。
連結部32は切り欠き33を有する略C字状であって、施工完了時には後述する弁軸74が側方から押し付けられることによって係合される。尚、連結部32の内径は弁軸74の外径よりも小径且つ弁軸74に形成された溝部75の外径よりも大径である。
ガイド部34は連結部32の両端部から弁体30の一端部に向けて平面視扇状に延設された直線状のリブであり、弁軸74を連結部32へと誘導するように形成されている。
取手35は弁体30の他端側へと延設され、使用者が弁体30と弁軸74を着脱させる際に指を掛けるための開口が形成されている。
当接部36は弁体30の下方に形成された円形部であり、下方に進むにつれてやや縮径するように構成されているが、その外径は上記排水口15に取り付けられたパッキン17の内径よりも大径である。尚、当接部36は弁体30の上面から滑らかに連続する様にして形成されており、弁体30の下面において、外周には清掃の妨げとなる溝や突起は形成されていない。
【0016】
上記弁体30は連結部32が弁軸74の溝部75に連結されており、排水栓装置20の作動時において、操作部40の操作に伴い弁軸74により上方より引き上げられることによって排水口15を開口するとともに、弁軸74により上方より押し下げられることによって排水口15を閉塞する。
【0017】
操作部40は槽体10の縁部より浴室内に露出する円形のスイッチ部41を有し、当該スイッチ部41に対して押動操作が加えられることによって排水栓装置20が作動し、弁体30を昇降させることで排水口15を開閉する。
ロック機構50は上端より延設された軸部がスイッチ部41裏面に連結されているとともに、下端には伝達部材60が連結されている。又、ロック機構50は内部にギアが配置されており、スイッチ部41に対する押動操作に伴い内部のギアの噛合/噛合の解除が繰り返されることによって、操作の都度排水口15の開口状態の保持と、当該保持の解除を切り替えることが可能となる。又、ロック機構50は内部にスプリングが配置されており、後述するインナーワイヤ62をスイッチ部41側へと付勢している。
伝達部材60は樹脂製のアウターチューブ61及び金属製のインナーワイヤ62から成るレリースワイヤであって、スイッチ部41の変位と連動してインナーワイヤ62がアウターチューブ61内を摺動可能となっている。又、伝達部材60は端部に内筒64と外筒65から成る筒部63を有しており、内筒64はインナーワイヤ62の進退に応じて外筒65から突出可能となっている。
【0018】
昇降部70は第一歯車71、第二歯車72、第三歯車73、及び弁軸74から構成されている。
第一歯車71は円形の平歯車であって、第二歯車72と第三歯車73はそれぞれ第一歯車71と噛合する棒状のラックである。第二歯車72は第一歯車71の操作部40側に、第三歯車73は第一歯車71の弁体30側に配置されており、第二歯車72に伝達された応力は第一歯車71によって方向が反転され、第三歯車73へと伝達される。第二歯車72は上端が上記内筒64と当接する位置に配設されているが、係合等はしておらず、切り離されている。一方、第三歯車73は下端において弁軸74と嵌合されており、第三歯車73と弁軸74の動きは連動する。
弁軸74は飛び出し部14の上面を貫通する棒状体であり、
図4に示すように、端部に弁体30と係合する溝部75が全周に亘り形成されている。当該弁軸74は施工完了状態において上記溝部75が弁体30と連結されているとともに、スプリング76によって弁体30を排水口15に押し付ける方向に向けて付勢されている。
上記昇降部70はスプリング76によって、弁軸74と係合されている第三歯車73が排水口15に近接する方向に向けて変位するように付勢されているとともに、第二歯車72が操作部40に近接する方向に向けて変位するように付勢されている。
【0019】
上記排水栓装置20は以下のように作動する。
【0020】
まず、
図5に示すように、弁体30が下降状態にある時、弁体30の当接部36に対してパッキン17が水密に当接することによって、排水口15が閉塞されている。この時、スイッチ部41に対して押動操作が加えられると、インナーワイヤ62がアウターチューブ61内を弁体30側へと摺動する。これにより、筒部63の内筒64が外筒65より下方へ向けて突出し、第二歯車72に当接するとともに、第二歯車72を下降させる。又、当該第二歯車72の下降に伴い第一歯車71が回転し、第三歯車73を上昇させる。
上記第三歯車73の上昇に連動し、弁軸74が上昇すると、弁軸74によって弁体30が上方より引き上げられ、当接部36がパッキン17から離間することで排水口15が開口する。この時、ロック機構50は内部のギアが噛合し、
図6に示すように、弁体30の上昇状態が保持される。そして、排水口15が開口することによって、槽体10内に貯留されていた湯水は排水口15より浴槽パン上に直接排出される。尚、浴槽パン上に排出された排水は排水トラップ(図示せず)を介して下水側へと排出される。
次に、上記弁体30が上昇した状態より再度スイッチ部41に押動操作が加えられると、ロック機構50内の上記ギアの噛合が解除され、ロック機構50内のスプリングの作用によってインナーワイヤ62及び内筒64がスイッチ部41側へと後退する。この時、スプリング76の付勢によって弁軸74が下降し、弁体30の当接部36が排水口15に嵌着されたパッキン17に当接することにより、排水口15が閉塞され、槽体10内に湯水を貯留することが可能となる。
【0021】
上記排水栓装置20において、パッキン17は排水口15に対して取り付けられている。従って、弁体30にはパッキン17を取り付けるための溝部等を設ける必要がなく、外周形状を平滑にすることができる。従って、使用者は弁体30を取り外した際の清掃を容易に行うことが可能となる。
【0022】
次に、本発明の第二実施形態について説明する。
図7及び
図8に示すように、第二実施形態における配管構造は、底面に排水口15が形成された槽体10、及び排水口15を遠隔的に開閉する排水栓装置20を備えている。
【0023】
槽体10は平面視矩形を成す底壁部11と、当該底壁部11の四隅から上方へ向けて立設された側壁部12から成る浴槽である。底壁部11は洗い場側の側壁部12近傍において開口が形成されていると共に、当該開口に排水栓18が取り付けられている。
排水栓18は内部に排水流路が形成された中空の筒状体であって、上端に外向きのフランジ部を有するとともに、外周には雄螺子を有する。当該排水栓18は上記槽体10の開口に取り付けられることによって、槽体10の湯水を排出する排水口15を形成する。又、排水栓18は内部に排水栓装置20の伝達部材60を保持するワイヤ受けが取り付けられているとともに、上端に形成された段部16にはパッキン17が嵌着されている。
パッキン17はゴムやシリコン等の弾性素材からなる環状の止水部材であり、その内径は後述する弁体30の当接部36よりも小径となっている。
【0024】
排水栓装置20は弁体30、操作部40、ロック機構50、伝達部材60から構成されている。
【0025】
弁体30は排水口15の開閉を行う円盤状の蓋体であって、硬質の樹脂材より成り、操作部40からの操作を受けて上下に変位する。又、弁体30は下面において、上記パッキン17と当接する当接部36が形成されているとともに、下面中央に弁軸741が係合されている。
当接部36は弁体30の下方に形成された円形部であり、下方に進むにつれてやや縮径するように構成されているが、その外径は上記排水口15に取り付けられたパッキン17の内径よりも大径である。尚、当接部36は弁体30の上面から滑らかに連続する様にして形成されており、弁体30の下面において、外周には清掃の妨げとなる溝や突起は形成されていない。
【0026】
上記弁体30は、排水栓装置20の作動時において、操作部40の操作に伴い弁軸741により下方から突き上げられることによって排水口15を開口するとともに、弁軸741により引き下げられることによって排水口15を閉塞する。
【0027】
操作部40は槽体10の縁部より浴室内に露出する円形のスイッチ部41を有し、当該スイッチ部41に対して押動操作が加えられることによって排水栓装置20が作動し、弁体30を昇降させることで排水口15を開閉する。
ロック機構50は上端より延設された軸部がスイッチ部41裏面に連結されているとともに、下端には伝達部材60が連結されている。又、ロック機構50は内部にギアが配置されており、スイッチ部41に対する押動操作に伴い内部のギアの噛合/噛合の解除が繰り返されることによって、操作の都度排水口15の開口状態の保持と、当該保持の解除を切り替えることが可能となる。又、ロック機構50は内部にリターンスプリングが配置されており、後述するインナーワイヤ62をスイッチ部41側へと付勢している。
伝達部材60は樹脂製のアウターチューブ61及び金属製のインナーワイヤ62から成るレリースワイヤであって、スイッチ部41の変位と連動してインナーワイヤ62がアウターチューブ61内を摺動可能となっている。又、伝達部材60は端部に弁軸741を有しており、当該弁軸741はインナーワイヤ62の進退に応じて突出可能となっている。
弁軸741は端部に弁体30と係合する溝部751が全周に亘り形成されている。当該弁軸741は施工完了状態において上記溝部751が弁体30と連結されているとともに、スプリング761によって弁体30を排水口15に押し付ける方向に向けて付勢されている。
【0028】
上記排水栓装置20は以下のように作動する。
【0029】
まず、
図7に示すように、弁体30が下降状態にある時、弁体30の当接部36に対してパッキン17が水密に当接することによって、排水口15が閉塞されている。この時、スイッチ部41に対して押動操作が加えられると、インナーワイヤ62がアウターチューブ61内を弁体30側へと摺動する。これにより、弁軸741が上方へ向けて突出し、弁体30を下方から突き上げることで当接部36がパッキン17から離間することで排水口15が開口する。この時、ロック機構50は内部のギアが噛合し、
図8に示すように、弁体30の上昇状態が保持される。そして、排水口15が開口することによって、槽体10内に貯留されていた湯水は排水口15より排水トラップ(図示せず)を介して下水側へと排出される。
次に、上記弁体30が上昇した状態より再度スイッチ部41に押動操作が加えられると、ロック機構50内の上記ギアの噛合が解除され、スプリング761の作用によってインナーワイヤ62がスイッチ部41側へと後退する。この時、スプリング761の付勢及び弁体30の自重によって弁軸741が下降し、弁体30が排水口15に嵌着されたパッキンが排水口15の周縁に当接することにより、排水口15が閉塞され、槽体10内に湯水を貯留することが可能となる。
【0030】
上記第二実施形態に係る排水栓装置20においても、パッキン17は排水口15に対して取り付けられている。従って、弁体30にはパッキン17を取り付けるための溝部等を設ける必要がなく、外周形状を平滑にすることができる。従って、使用者は弁体30を取り外した際の清掃を容易に行うことが可能となる。
【0031】
上記第一実施形態、第二実施形態に係る配管構造はそれぞれ操作部を有する排水栓装置を備えていたが、
図9に示す第三実施形態のように、配管構造が操作部を備えておらず、弁体30が玉鎖80に連結されている構造であっても良い。弁体30は硬質の樹脂材から形成されており、玉鎖80は、一端が弁体30に連結されているとともに、他端は槽体10の側壁部12に取り付けられた固定部材90に連結されている。第三実施形態の配管構造において、使用者は弁体30を直接把持するか、玉鎖80を引き上げることによって弁体30の当接部36とパッキン17を離間させ、底壁部11に形成された排水口15を開口させることができる。
又、
図10に示す第四実施形態のように、弁体30が槽体10の外側に配置されていても良い。第四実施形態の配管構造においては、弁体30は槽体10の下方に配置されている。パッキン17は底壁部11に形成された排水口15は下面に取り付けられており、弁体30が図示しない操作部に加えられた操作に伴い下方から突き上げられると、
図10(a)に示すように、当該パッキン17に当接部36が当接することで排水口15を閉塞する。尚、再度操作部に操作が加えられると、
図10(b)に示すように、弁体30が下降することによって当接部36がパッキン17から離間し、排水口15が開口する。
【0032】
本発明の実施形態は以上であるが、本発明は上記各実施形態の形状に限られるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の設計変更を加えても良い。例えば、上記各実施形態において、槽体は全て浴槽であったが、流し台や洗面ボウルその他の槽体であっても良い。