【解決手段】アクチュエータ10は、ボディ18とスライダ40を備える。ボディ18を構成する側壁部22、23には、ボディ側レール用溝90が形成される。一方、スライダ40にはスライダ側レール用溝128が形成される。ボディ側レール用溝90、スライダ側レール用溝128には、ボディ側案内レール100、スライダ側案内レール140が設けられる。ボディ側案内レール100のボディ側ボール受部(114、116)と、スライダ側案内レール140のスライダ側ボール受部(146、148)とにより、ボール溝としてのサーキュラアーク溝(152、154)が形成される。
請求項1〜3のいずれか1項に記載のアクチュエータにおいて、前記スライダ側レール収容部の、前記スライダ側案内レールの側面に臨む面に第1陥没、第2陥没が形成されたアクチュエータ。
請求項1〜4のいずれか1項に記載のアクチュエータにおいて、前記スライダの、前記スライダ側レール用溝が形成された部位が、前記スライダ側レール用溝の底面から開口に近接するにつれて厚みが小さくなる傾斜部であるアクチュエータ。
請求項1〜5のいずれか1項に記載のアクチュエータにおいて、前記ボディ側案内レールの、前記ボディ側レール収容部と前記ボディ側ボール受部との間が、前記ボディ側レール収容部から前記ボディ側ボール受部に近接するにつれて前記ボディ側案内レールの肉厚が小さくなるように傾斜する傾斜面として形成されたアクチュエータ。
請求項1〜6のいずれか1項に記載のアクチュエータにおいて、前記ボディ側レール用溝又は前記スライダ側レール用溝の少なくともいずれか1つの底面に凹部が形成されたアクチュエータ。
請求項1〜7のいずれか1項に記載のアクチュエータにおいて、前記ボディ側案内レールは、前記ボディ側ボール受部として第1ボール受部、第2ボール受部を有するとともに、前記第1ボール受部と前記第2ボール受部との間に介在し且つ前記スライダ側案内レールに指向して突出する突端部を有し、
前記スライダ側案内レールは、前記スライダ側ボール受部として、第3ボール受部、第4ボール受部を有し、
前記サーキュラアーク溝として、前記第1ボール受部と前記第3ボール受部との間の第1サーキュラアーク溝と、前記第2ボール受部と前記第4ボール受部との間の第2サーキュラアーク溝が形成されるアクチュエータ。
請求項1〜8のいずれか1項に記載のアクチュエータにおいて、前記ボディ及び前記スライダが軽金属からなり、前記ボディ側案内レール及び前記スライダ側案内レールが鉄系金属からなるアクチュエータ。
請求項9記載のアクチュエータにおいて、前記ボディ及び前記スライダがアルミニウム又はアルミニウム合金からなり、前記ボディ側案内レール及び前記スライダ側案内レールがステンレス鋼からなるアクチュエータ。
請求項1〜10のいずれか1項に記載のアクチュエータにおいて、前記第1側壁部及び前記第2側壁部の各々に前記テーブルに向かって延在するように設けられ、前記第1側壁部及び前記第2側壁部とともに前記内部空間を画成する第1保護壁部、第2保護壁部をさらに備え、
前記第1保護壁部が前記第1側壁部に対して着脱可能に連結され、且つ前記第2保護壁部が前記第2側壁部に対して着脱可能に連結されるアクチュエータ。
請求項11記載のアクチュエータにおいて、前記第1側壁部、前記第2側壁部の各々に第1係合部が設けられ、且つ前記第1保護壁部及び前記第2保護壁部の各々に第2係合部が設けられ、前記第1係合部と前記第2係合部が互いに係合することにより、前記第1保護壁部、前記第2保護壁部が前記第1側壁部、前記第2側壁部にそれぞれ着脱可能に連結されるアクチュエータ。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明に係るアクチュエータにつき好適な実施の形態を挙げ、添付の図面を参照して詳細に説明する。なお、以下における「前方」は、
図1に示されるモータ14から離間する方向であり、「後方」はモータ14に近接する方向を表す。また、「下」及び「上」は前後方向に直交する鉛直方向である。さらに、「幅方向」は、前後方向に直交する水平方向である。以上の方向については各図面に示しているが、これらは説明を簡素化して理解を容易にするための便宜的なものであり、アクチュエータを実使用する際の方向を特定するものではない。
【0014】
図1は、第1実施形態に係るアクチュエータ10の概略全体斜視図である。このアクチュエータ10は、前後方向に延在するリニアガイド12を備えたリニアアクチュエータとして構成されている。
【0015】
また、アクチュエータ10は、駆動部としてのモータ14と、該モータ14の回転駆動力を伝達する送りねじ軸16(
図2参照)とを備える。すなわち、アクチュエータ10は電動アクチュエータである。モータ14は、モータカバー17内に収容される。一方、送りねじ軸16は、前後方向に沿って延在するとともに、例えば、カップリングを介してモータ軸(いずれも図示せず)に連結されている。又は、モータ軸それ自体を送りねじ軸16としてもよい。この場合、カップリングは不要である。
【0016】
リニアガイド12は、送りねじ軸16の軸線方向、すなわち、前後方向に沿って延在するボディ18を含む。該ボディ18は、
図2に示すように、略平坦で且つ長尺な底部を構成する基部20と、該基部20の上面に立設された肉厚の第1側壁部22、第2側壁部23とを有する。第1実施形態では、ボディ18は、第1側壁部22に対して一体的に連なる第1保護壁部24と、第2側壁部23に対して一体的に連なる第2保護壁部25とをさらに含む。第1保護壁部24及び第2保護壁部25は、上方(後述するテーブル46側)に向かって延在する。
【0017】
第1保護壁部24は、第1側壁部22の内縁部の上端から、第1側壁部22よりも第2側壁部23に近接するようにして突出する。一方、第2保護壁部25は、第2側壁部23の内縁部の上端から、第2側壁部23よりも第1側壁部22に近接するようにして突出する。このため、第1保護壁部24と第2保護壁部25との離間距離は、第1側壁部と第2側壁部との離間距離よりも小である。
【0018】
第1保護壁部24には、第1側壁部22からテーブル46に向かう途中の部位に、第2保護壁部25に向かって陥没する凹溝26が形成される。同様に、第2保護壁部25には、第2側壁部23からテーブル46に向かう途中の部位に、第1保護壁部24に向かって陥没する凹溝26が形成される。
【0019】
基部20の、移動方向端部である前端及び後端には、第1側壁部22から第2側壁部23にわたって第1エンドプレート27、第2エンドプレート28が設けられる(
図1参照)。さらに、第1側壁部22と第2側壁部23の上面には、第1側壁部22と第2側壁部23の間の上方開口を閉塞するシールバンド30が第1エンドプレート27から第2エンドプレート28にわたって設けられる。
図2に示すように、ボディ18内には、基部20、第1側壁部22、第2側壁部23、第1保護壁部24、第2保護壁部25、第1エンドプレート27、第2エンドプレート28及びシールバンド30に囲繞された内部空間32が画成される。前記2個の凹溝26はいずれも、内部空間32に指向して陥没する。
【0020】
ボディ18の、内部空間32に通じる後方開口を閉塞する第2エンドプレート28(
図1参照)には、送りねじ軸16を通すための図示しない挿通孔が形成される。一方、前方の第1エンドプレート27は、内部空間32に通じる前方開口を閉塞する。第1エンドプレート27、第2エンドプレート28は、連結ねじ34を介してボディ18に連結される。
【0021】
内部空間32(
図2参照)には、スライダ40を構成するスライダ本体42が収容される。なお、スライダ40は、スライダ本体42の他、スライダ本体42から延出したネック部44と、ネック部44の先端に設けられたテーブル46とを有する。テーブル46は、内部空間32から露呈してシールバンド30の上方に位置する。
【0022】
スライダ本体42には、円形状のナット配設孔50が形成されている。該ナット配設孔50には、送りねじ軸16に螺合された円筒状の変位ナット52が配設される。変位ナット52は、送りねじ軸16が回転することに伴い、該送りねじ軸16の軸線方向に沿って変位する。
【0023】
テーブル46は、スライダ本体42よりも幅広に形成されている。テーブル46は、幅方向に沿った正面断面において底部と2個の側部を有する略U字形状をなす。底部と2個の側部の間に画成される凹空間54は、平板形状のカバー板56で閉塞される。
【0024】
リニアガイド12の側面要部断面図である
図3に示すように、テーブル46の底部は、前方から後方となるにつれて上方に向かうように緩やかに傾斜した前方傾斜部60と、頂面が平坦であり且つ底部中で肉厚が最大である最厚部62と、前方から後方となるにつれて下方に向かうように緩やかに傾斜した後方傾斜部64とからなり、側面視で略台形形状をなす。最厚部62には、頂面が丸みを帯びた案内盤66が設けられる。最厚部62にはスライダ本体42に向かう一対のピン孔68が形成されるとともに、案内盤66の下面には差込ピン部70が突出形成される(
図2参照)。差込ピン部70がピン孔68に嵌合されることにより、案内盤66が位置決め固定される。
【0025】
また、後方傾斜部64にはボルト挿通孔72が形成される(
図3参照)。一方、変位ナット52には、ボルト挿通孔72の位置に対応する位置に雌ねじ孔74が形成される。ボルト挿通孔72に通された連結用のスタッドボルト76が雌ねじ孔74に螺合されることにより、変位ナット52がスライダ40に連結される。
【0026】
テーブル46の前端と前方傾斜部60の間、後方傾斜部64とテーブル46の後端との間には、前スリット78、後スリット80がそれぞれ形成される。スライダ40がボディ18に対して変位(スライド)する際、シールバンド30の、テーブル46に接近した部位は、前スリット78に通されて前方傾斜部60に乗り上げ、最厚部62と後方傾斜部64を経て後スリット80に通される。すなわち、シールバンド30の、テーブル46近傍の部位は凹空間54に進入する。このため、変位するスライダ40がシールバンド30に干渉することはない。
【0027】
なお、シールバンド30の、最厚部62の位置に対応する部位は、案内盤66の、丸みを帯びた頂面に乗り上げる。これにより、シールバンド30が屈曲されて割れが生じることが回避される。また、シールバンド30は、テーブル46の下面に形成されたローラ保持孔82に保持される図示しない押さえ用ローラによって押さえられる。
【0028】
テーブル46の上面には、複数の装着孔84が形成されている。図示しないワークは、装着孔84に螺合される図示しない取付ボルトを介して、テーブル46の上面に保持される。
【0029】
図2に示すように、第1側壁部22とスライダ40の間、スライダ40と第2側壁部23との間には、ベアリング鋼等からなり上下に配列された複数個の第1ボール86、第2ボール88が介挿される。この構成につき説明する。
【0030】
図4に詳細を示すように、第1側壁部22の下端近傍において、内部空間32を臨む内面には、前後方向に沿って延在するボディ側レール用溝90が形成される。ボディ側レール用溝90は、内部空間32を臨むように開口し、且つ内部空間32から離間する方向(幅方向外方)に向かって陥没している。従って、ボディ側レール用溝90の底面92は、上下方向に沿う垂直面である。また、ボディ側レール用溝90の側面は、開口から底面92に向かう下水平面94及び上水平面96である。底面92と下水平面94との間の隅部、底面92と上水平面96との間の隅部は面取りがなされている。
【0031】
ボディ側レール用溝90の底面92には、幅方向外方に向かって陥没した凹部98が形成される。この凹部98に、後述するボディ側案内レール100を保持するための接着剤を充填するようにしてもよい。
【0032】
第1側壁部22の、ボディ側レール用溝90の近傍には、ボディ側レール用溝90を上下に挟むようにして第1ノッチ102、第2ノッチ104が形成されている。第1ノッチ102及び第2ノッチ104は、ボディ側レール用溝90と同様に前後方向に沿って延在し、且つボディ側レール用溝90に対して略平行である。第1ノッチ102及び第2ノッチ104は、後述するように、加締め用ローラ106(
図7参照)の移動軌跡痕として形成される。
【0033】
ボディ側レール用溝90には、ボディ側案内レール100が設けられる。第1側壁部22の、ボディ側レール用溝90近傍の部位(肉)はボディ側レール用溝90に押し出されており、これにより、ボディ側レール用溝90からのボディ側案内レール100の抜け止め(脱落防止)がなされている。すなわち、ボディ側案内レール100は、ボディ18を加締めることによってボディ側レール用溝90に保持されている。これについては後述する。
【0034】
ボディ側案内レール100は、ボディ側レール用溝90に収容されるボディ側レール収容部110と、ボディ側レール用溝90から露呈するボディ側レール露呈部112とを有する。この中のボディ側レール露呈部112は、真円の略1/4となる円弧形状をなす第1ボール受部114、第2ボール受部116(いずれもボディ側ボール受部)を含む。また、第1ボール受部114と第2ボール受部116の間には、スライダ本体42に指向して突出する突端部118が介在する。突端部118は、第1ボール86と第2ボール88の間に進入することで、第1ボール86と第2ボール88の間に所定のクリアランスを形成する。
【0035】
さらに、第1ボール受部114、第2ボール受部116とボディ側レール収容部110との間は、ボディ側レール収容部110から第1ボール受部114、第2ボール受部116に向かうにつれて互いに接近する第1傾斜面120、第2傾斜面122として形成されている。これら第1傾斜面120、第2傾斜面122が介在することにより、第1ボール受部114、第2ボール受部116とボディ側レール収容部110との間の肉厚が徐々に変化する。具体的には、ボディ側レール収容部110から第1ボール受部114、第2ボール受部116に近接するにつれてボディ側レール用溝90の肉厚が小さくなる。
【0036】
一方、スライダ40の、ボディ側レール用溝90に対向する位置には、スライダ側レール用溝128が形成される。すなわち、スライダ側レール用溝128はボディ側レール用溝90を臨むように開口し、且つ内部空間32から離間する方向(幅方向内方)に向かって陥没する。従って、スライダ側レール用溝128の底面130も上下方向に沿う垂直面であり、開口から底面130に向かう下水平面132及び上水平面134が側面である。底面130と下水平面132との間の隅部、底面130と上水平面134との間の隅部は面取りがなされている。
【0037】
スライダ側レール用溝128の底面130に、幅方向内方に向かって陥没する凹部136を形成するようにしてもよい。この凹部136にも、スライダ側案内レール140を保持するための接着剤を充填することができる。
【0038】
スライダ側レール用溝128には、スライダ側案内レール140が設けられる。スライダ側レール用溝128の開口の高さ方向寸法は、スライダ側案内レール140の高さ方向寸法(後述するH2と略同寸)に略等しい。そして、スライダ側案内レール140がスライダ側レール用溝128に嵌合された後、後述する傾斜部164がスライダ側レール用溝128側に圧潰されるように加締められる。この加締めにより、スライダ側案内レール140がスライダ側レール用溝128内に保持されるとともに、スライダ側レール用溝128からのスライダ側案内レール140の抜け止め(脱落防止)がなされる。
【0039】
スライダ側案内レール140は、スライダ側レール用溝128に収容されるスライダ側レール収容部142と、スライダ側レール用溝128から露呈するスライダ側レール露呈部144とを有する。スライダ側レール露呈部144は、真円の略1/4となる円弧形状をなす第3ボール受部146、第4ボール受部148(いずれもスライダ側ボール受部)を含む。第3ボール受部146は第1ボール受部114に対向し、且つ第4ボール受部148は第2ボール受部116に対向する。第3ボール受部146と第4ボール受部148の間には平坦部150が介在する。
【0040】
ここで、スライダ側案内レール140の高さ方向(スライダ40の移動方向に対して直交する方向)寸法H2は、ボディ側案内レール100の高さ方向寸法H1に比して大である。従って、第3ボール受部146は第1ボール受部114の下方に位置し、第4ボール受部148は第2ボール受部116の上方に位置する。第1ボール受部114と第3ボール受部146、第2ボール受部116と第4ボール受部148がこのような位置関係となる結果、第1ボール受部114と第3ボール受部146で第1サーキュラアーク溝152が形成されるとともに、第2ボール受部116と第4ボール受部148で第2サーキュラアーク溝154が形成される。
【0041】
すなわち、第1実施形態においては、上下に配列される2個のサーキュラアーク溝(第1サーキュラアーク溝152及び第2サーキュラアーク溝154)が形成される。第1ボール86、第2ボール88は、第1サーキュラアーク溝152、第2サーキュラアーク溝154を個別に転動する。すなわち、第1サーキュラアーク溝152及び第2サーキュラアーク溝154は、双方ともボール溝である。
【0042】
スライダ側案内レール140を構成するスライダ側レール収容部142には、スライダ側レール用溝128の側面(下水平面132及び上水平面134)に臨む面、すなわち、下面156及び上面158に、第1陥没160、第2陥没162がそれぞれ形成される。第1陥没160は上方に向かう凹形状であり、第2陥没162は下方に向かう凹形状である。これら第1陥没160及び第2陥没162は、スライダ側案内レール140がスライダ側レール用溝128に嵌合される前に形成される。第1陥没160及び第2陥没162の一部がスライダ側レール用溝128から露呈していてもよい。
【0043】
スライダ40の、スライダ側レール用溝128が形成された部位は、スライダ側レール用溝128の底面130から開口に近接するにつれて厚みが小さくなる傾斜部164となっている。すなわち、傾斜部164の肉厚は、スライダ側レール用溝128の開口近傍で最小となる。傾斜部164の先端は、第1陥没160、第2陥没162に指向して折曲され、このために第1陥没160、第2陥没162に進入している。
【0044】
また、スライダ本体42には、第1ボール86、第2ボール88を個別に循環させるための第1循環通路166、第2循環通路168が形成される(
図2参照)。そして、スライダ本体42の前部及び後部には、
図5に示すように、第1リターンキャップ170、第2リターンキャップ172がそれぞれ設けられる。具体的には、第1リターンキャップ170、第2リターンキャップ172には、ストッパ孔174と、該ストッパ孔174に連なるねじ通過孔176とが形成される。そして、取付ねじ178の胴部がねじ通過孔176に通されるとともに、スライダ本体42に形成された螺合孔180に螺合される。この螺合により、第1リターンキャップ170、第2リターンキャップ172がスライダ本体42に取り付けられる。なお、取付ねじ178の頭部は、ストッパ孔174の底面によって堰き止められる。
【0045】
第1リターンキャップ170には、第1サーキュラアーク溝152と第1循環通路166に連通する図示しない第1U字路、第2サーキュラアーク溝154と第2循環通路168に連通する第2U字路182がそれぞれ形成される。同様に、第2リターンキャップ172には、第1サーキュラアーク溝152と第1循環通路166に連通する図示しない第3U字路、第2サーキュラアーク溝154と第2循環通路168に連通する第4U字路184がそれぞれ形成される。第1U字路、第3U字路は、第2U字路182、第4U字路184のそれぞれの下方に位置する。
【0046】
第1サーキュラアーク溝152を転動した第1ボール86は、前記第1U字路又は前記第3U字路を通過し、第1循環通路166を経て第1サーキュラアーク溝152に戻る。同様に、第2サーキュラアーク溝154を転動した第2ボール88は、第2U字路182又は第4U字路184を通過し、第2循環通路168を経て第2サーキュラアーク溝154に戻る。これが繰り返されることにより、第1ボール86、第2ボール88が循環する。
【0047】
以上の構成については、スライダ本体42と第2側壁部23においても同様である。従って、上記の構成要素と同一の構成要素には同一の参照符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0048】
第1実施形態において、ボディ18及びスライダ40は軽金属から構成される。軽金属の好適な例としては、特に軽量で且つ安価であり、しかも、成形が容易なアルミニウム又はアルミニウム合金が挙げられる。一方、ボディ側案内レール100及びスライダ側案内レール140は、剛性に優れた金属材からなる。この種の金属材の具体例としては、ステンレス鋼等の鉄系金属が挙げられる。アルミニウム又はアルミニウム合金やステンレス鋼には、耐腐食性が良好であるという利点もある。
【0049】
なお、
図2における参照符号186は、内部空間32で発生した塵埃等を吸引してアクチュエータ10の外部へと排出するための集塵用配管を示す。
【0050】
第1実施形態に係るアクチュエータ10は、基本的には以上のように構成されるリニアガイド12を含んで構成されるものであり、次にその作用効果について説明する。
【0051】
アクチュエータ10の製造過程では、ボディ側案内レール100、スライダ側案内レール140が引抜や転造等によって作製される。ここで、
図6に示すボディ側案内レール100aのように、ボディ側レール収容部110aと第1ボール受部114a、第2ボール受部116aの間に段差部190を設けた場合、形状が複雑となる。このような形状のボディ側案内レール100aを、引抜や転造等によって作製することは困難である。これに対し、
図4に示すように、ボディ側レール収容部110と第1ボール受部114、第2ボール受部116の間に第1傾斜面120、第2傾斜面122を設けるようにしたことにより、ボディ側案内レール100を簡素な形状とすることができる。しかも、該ボディ側案内レール100を、引抜や転造等によって容易に得ることができるようになる。
【0052】
ボディ側案内レール100のボディ側レール収容部110は、ボディ18を構成する第1側壁部22、第2側壁部23に予め形成されたボディ側レール用溝90に嵌合される。上記したように、凹部98に予め接着剤を充填するようにしてもよい。
【0053】
その後、
図7に示すように、加締め用ローラ106が用いられる。すなわち、加締め用ローラ106が、第1側壁部22の内面の前端側(又は後端側)の、ボディ側レール用溝90の下方に押し当てられて加圧する。この加圧作用を伴う加締め用ローラ106によって、第1側壁部22の内面が塑性変形するに至る。すなわち、第1側壁部22の内面に食い込んだ加締め用ローラ106がボディ側レール用溝90に対して平行に変位することにより、該内面の肉の一部が上方のボディ側レール用溝90に向かって押し出される。その結果、加締め用ローラ106の移動軌跡痕として第1ノッチ102が形成される。
【0054】
ボディ側レール用溝90に向かって押し出された肉により、ボディ側案内レール100が上水平面96側に押圧される。このため、ボディ側案内レール100がボディ側レール用溝90から脱落し難くなる。
【0055】
好ましくは、加締め用ローラ106をボディ側レール用溝90の若干上方まで移動させ、上記と同様に加締め用ローラ106を内面に食い込ませてボディ側レール用溝90に平行に変位させる。これにより内面の肉の一部が下方のボディ側レール用溝90に向かって押し出されるとともに、加締め用ローラ106の移動軌跡痕として第2ノッチ104が形成される。この場合、ボディ側レール用溝90に向かって押し出された肉により、ボディ側案内レール100が下水平面94側に押圧される。すなわち、ボディ側案内レール100が、押し出された肉同士に挟まれる。このため、ボディ側案内レール100がボディ側レール用溝90から一層脱落し難くなる。
【0056】
一方、スライダ側案内レール140のスライダ側レール収容部142は、スライダ本体42に予め形成されたスライダ側レール用溝128に嵌合される。上記したように、凹部136に予め接着剤を充填するようにしてもよい。
【0057】
ここで、
図6に、第1陥没160、第2陥没162が形成されていないスライダ側案内レール140a、傾斜部164が設けられていないスライダ本体42aを併せて示す。この場合、スライダ側案内レール140a、スライダ本体42aの弾性が比較的乏しい。従って、スライダ側案内レール140aをスライダ側レール用溝128に嵌合する際には、大きな押圧力が必要となる。
【0058】
また、この構成では、スライダ本体42aの、スライダ側レール用溝128aの近傍の部位が厚肉であるため、該スライダ本体42aの一部を、スライダ側案内レール140aの下面156a、上面158aに折曲することができない。この場合において、スライダ側案内レール140aに、スライダ側レール用溝128aから露呈する部位(スライダ側レール露呈部)を設けると、スライダ側レール用溝128aの側面とスライダ側案内レール140aの接触面積が小さくなるので、スライダ側案内レール140aがスライダ側レール用溝128aから脱落する懸念が生じる。
【0059】
脱落を防止するには、
図6に示すように、スライダ側案内レール140aの全体をスライダ側レール用溝128aに収容すればよい。しかしながら、このためには、スライダ側レール用溝128aを形成する部分を幅方向外方に大きく膨出させる必要がある。従って、この場合、スライダ本体42aの幅方向寸法を小さくすることが容易ではない。
【0060】
これに対し、第1実施形態では、スライダ側レール収容部142の、スライダ側レール用溝128の側面(下水平面132、上水平面134)に臨む下面156、上面158に第1陥没160、第2陥没162を形成するようにしている(
図2及び
図4参照)。傾斜部164の先端を圧潰するように加締め、第1陥没160、第2陥没162に進入させれば、傾斜部164の先端が、スライダ側案内レール140を堰き止めるストッパ部となる。すなわち、スライダ側案内レール140のスライダ側レール用溝128からの抜け止めがなされる。
【0061】
従って、この場合、スライダ側レール用溝128の側面とスライダ側案内レール140の接触面積を小さくしても、スライダ側案内レール140をスライダ側レール用溝128に保持することができる。この分、スライダ本体42の幅方向の小型化を図ることができる。
【0062】
しかも、第1実施形態では、スライダ本体42の、スライダ側レール用溝128近傍の部位を傾斜部164としている。従って、スライダ側レール用溝128の開口近傍では、スライダ本体42の肉厚が小さい。このため、スライダ側案内レール140をスライダ側レール用溝128に嵌合した後、傾斜部164の、スライダ側レール用溝128の開口近傍の部位を、スライダ側レール用溝128側に指向して容易に圧潰する(加締める)ことができる。
【0063】
以上のような理由から、傾斜部164を圧潰する(加締める)際に該傾斜部164に付与する押圧力を小さくすることができる。すなわち、加締め作業が容易となる。
【0064】
また、ボディ18にスライダ側案内レール140と同一形状の案内レールを設けるとともに、スライダ40にボディ側案内レール100と同一形状の案内レールを設ける場合、第1側壁部22及び第2側壁部23の高さ方向寸法が大きくなる。上記したように、スライダ側案内レール140の高さ方向寸法H2がボディ側案内レール100の高さ方向寸法H1に比して大きいからである。
【0065】
これに対し、第1実施形態では、高さ方向寸法が大きな案内レール(すなわち、スライダ側案内レール140)をスライダ40側に設けるようにしている。このため、第1側壁部22及び第2側壁部23の高さ方向寸法を可及的に小さくすることができる。すなわち、ボディ18の高さ方向の小型化を図ることができる。
【0066】
以上のような理由から、リニアガイド12の小型化を図ることができる。そして、リニアガイド12を小型化し得る分、アクチュエータ10の軽量化を図ることができる。
【0067】
上記したように、ボディ側案内レール100の第1ボール受部114、第2ボール受部116と、スライダ側案内レール140の第3ボール受部146、第4ボール受部148とで、第1サーキュラアーク溝152、第2サーキュラアーク溝154が形成される。これら第1サーキュラアーク溝152、第2サーキュラアーク溝154には、第1ボール86、第2ボール88がそれぞれ転動可能に収容される。
【0068】
組み上げたアクチュエータ10を動作させるに際しては、テーブル46の装着孔84に螺合される前記取付ボルトを介して、所定のワークが保持される。さらに、図示しない電源からモータ14に対して電力が供給される。これによりモータ軸及び送りねじ軸16が回転するとともに、該送りねじ軸16に螺合された変位ナット52が前方又は後方に移動する。
【0069】
変位ナット52には、スタッドボルト76(
図3参照)を介してスライダ40が連結されている。このため、スライダ40が変位ナット52と一体的に内部空間32を移動し、ボディ18の前端部又は後端部に到達することで変位終端位置となる。勿論、スライダ本体42は、ボディ18内の内部空間32を移動する。また、内部空間32外に露呈したテーブル46に保持されたワークが、ボディ18の前端部又は後端部まで移送される。
【0070】
この間、第1サーキュラアーク溝152を第1ボール86が転動する。第1サーキュラアーク溝152内での転動を終了した第1ボール86は、第1リターンキャップ170に形成された前記第1U字路(又は第2リターンキャップ172に形成された前記第3U字路)と、スライダ本体42に形成された第1循環通路166とを介して第1サーキュラアーク溝152に戻る。同様に、第2ボール88が、第2U字路182(又は第4U字路184)を通過して第2サーキュラアーク溝154と第2循環通路168を循環する。
【0071】
第1サーキュラアーク溝152及び第2サーキュラアーク溝154には、ボディ側案内レール100、スライダ側案内レール140に曲がりや反りが生じたとしても、第1ボール86、第2ボール88の作動抵抗が増加することが抑制されるという利点がある。このため、第1実施形態によれば、スライダ40を容易に変位させることが可能となる。
【0072】
以上の動作の間、ボディ18内に設けられた集塵用配管186には負圧が印加される。このため、内部空間32(ボディ18内)で発生した塵埃等は集塵用配管186に吸引され、図示しない負圧供給ポートを介してアクチュエータ10の外部に排出される。
【0073】
次に、
図8〜
図12を参照し、第2実施形態に係るアクチュエータ200(及びアクチュエータ300)につき説明する。
【0074】
第2実施形態におけるボディ202は、略平坦で且つ長尺な底部を構成する基部204と、該基部204の上面に立設された肉厚の第1側壁部206、第2側壁部208とを有する。そして、これら第1側壁部206、第2側壁部208の内縁部上端に第1保護壁部210、第2保護壁部212が設けられることで、ボディ202、第1保護壁部210及び第2保護壁部212とを有するケーシング214が構成される(特に
図9参照)。このように、第2実施形態では、第1側壁部206と第1保護壁部210は別部材であり、第2側壁部208と第2保護壁部212も別部材である。換言すれば、この場合、ボディ202の側部が側壁部と保護壁部に二分割され、これらが組み合わされることで側部が構成される。
【0075】
一層詳細には、第1側壁部206の内縁部上端には、第1係合部としての係合爪部220が、前後方向に沿って延在するように設けられる。一方、第1保護壁部210の下端には、テーブル46側(上方)に向かって陥没した係合溝222が、前後方向に沿って延在するように形成される。係合溝222は第2係合部であり、係合爪部220が挿入される。この挿入に伴い、係合爪部220と係合溝222が互いに係合される。その結果、第1保護壁部210が第1側壁部206に連結され且つ支持される。以上の構成に関しては、第2側壁部208、第2保護壁部212についても同様である。
【0076】
ここで、第1保護壁部210及び第2保護壁部212には、それぞれ、内部空間32に指向して陥没する凹溝224が形成される。その一方で、第2エンドプレート28には、
図8及び
図10に示すように、ボディ202を臨む側の端面に、凹溝224の前後方向寸法に比して短尺な突起部226が2個設けられる。突起部226は、例えば、ボディ202に形成された有底穴に一端部が差し込まれたピンからなる。又は、第2エンドプレート28と一体的に設けたピン形状部を突起部226としてもよい。
【0077】
突起部226は、凹溝224に進入する。そして、凹溝224の下面には突起部226が当接する(
図9参照)。この当接により、第1保護壁部210及び第2保護壁部212が突起部226に押さえられる。その結果、第1保護壁部210が第2保護壁部212に向かうように傾くことや、第2保護壁部212が第1保護壁部210に向かうように傾くことが有効に防止される。従って、第1側壁部206と第1保護壁部210、第2側壁部208と第2保護壁部212をボルト等で締結する必要は特にない。ただし、ボルト等で締結するようにしても特に差し支えはない。
【0078】
第2実施形態に係るアクチュエータ200は、上記の構成以外は第1実施形態に係るアクチュエータ10と同様に構成されている。従って、上記以外の構成要素については、
図1〜
図5及び
図7に付した参照符号と同一の参照符号を付している。
【0079】
このアクチュエータ200の作用効果につき説明する。先ず、アクチュエータ200が、第1実施形態に係るアクチュエータ10と同様の作用効果を奏することは勿論である。また、アクチュエータ200では、第1側壁部206と第1保護壁部210、第2側壁部208と第2保護壁部212を別部材としたことに基づき、以下の作用効果が得られる。
【0080】
すなわち、第1保護壁部210は第1側壁部206から着脱可能であり、且つ第2保護壁部212は第2側壁部208から着脱可能である。従って、アクチュエータ200の使用を繰り返した後、第1ボール86、第2ボール88又は送りねじ軸16等に給油を行いたい場合には、第1保護壁部210又は第2保護壁部212の少なくとも一方を、第1側壁部206、第2側壁部208から取り外せばよい。第1保護壁部210及び第2保護壁部212の双方を取り外した場合、
図11に示す状態となる。作業者は、例えば、第1側壁部206とスライダ側案内レール140との間、又は、第2側壁部208とスライダ側案内レール140との間から、第2ボール88に対して注油を行えばよい。勿論、注油以外のメンテナンス、例えば、清掃等を行うようにしてもよい。
【0081】
このように、第2実施形態によれば、第1保護壁部210又は第2保護壁部212の少なくとも一方を、第1側壁部206、第2側壁部208から取り外す以上の分解を行う必要がない。このため、アクチュエータ200に対してメンテナンスを容易に行うことができる。
【0082】
さらに、シールバンド30が不要である場合、
図12に示すように、ボディ202に第1保護壁部210、第2保護壁部212を設けることなく、アクチュエータ300を構成するようにしてもよい。この場合、スライダ302の高さ方向寸法を、第1側壁部206、第2側壁部208の高さ方向寸法よりも若干大きい程度に設定することが可能となる。すなわち、第1保護壁部210及び第2保護壁部212が存在しない分、スライダ302の高さ方向寸法を、スライダ40よりも小さくすることができる。
【0083】
このことから諒解されるように、第2実施形態によれば、ボディ202が、スライダ40又はスライダ302のいずれも収容可能となる。すなわち、ボディ202の汎用性が向上する。また、スライダ302を採用した場合、アクチュエータ300を、アクチュエータ10、200よりも高さが小さな、換言すれば、小型のものとして構成することができる。
【0084】
本発明は、上記した第1実施形態及び第2実施形態に特に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0085】
例えば、ボディ側案内レール100、スライダ側案内レール140を、接着剤を介してボディ側レール用溝90、スライダ側レール用溝128に保持するようにしてもよい。この場合、第1側壁部22、第2側壁部23又は傾斜部164に対して加締めを行う必要は特にない。
【0086】
また、ボディ側ボール受部、スライダ側ボール受部の各個数を片側1個とし、上下方向に形成されるサーキュラアーク溝の個数を片側1個としてもよい。