前記可変電流電源部は、1つの可変電流源を有し、前記第2探針と前記第5探針の間、前記第1探針と前記第5探針の間、および前記第2探針と前記第6探針の間への電流供給はスイッチ切り替えによって行われる、請求項2または3記載の測定装置。
前記電圧測定部は、1つの電圧計を有し、前記第2探針と前記第3探針の間、前記第2探針と前記第4探針の間、前記第2探針と前記第5探針の間、および前記第4探針と前記第5探針の間の電圧測定はスイッチ切り替えによって行われる、請求項2から4の何れか1記載の測定装置。
被測定試料に対して請求項1記載の測定方法によって電流電圧特性を測定し、前記電流電圧特性が予め定めた範囲内に収まっているかいないかを判断基準にして、被測定試料の品質管理を行う、品質管理方法。
前記被測定試料は直線状に並んだ6個以上の金属パッドが並んだ金属パッド列を有する半導体装置であり、前記金属パッド列のうちの6個のパッドに前記第1探針から前記第6探針を接触させて前記電流電圧特性を測定する、請求項8記載の品質管理方法。
製造工程の途中で請求項8から10の何れか1記載の品質管理方法による品質管理を実施し、予め定めた電流電圧特性の範囲に入るもののみ製造工程を進める、製造方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、上記背景のところで述べた問題を解決し、電極と試料との界面を含めた電気特性を、簡便かつ高い精度で測定できる測定方法および装置を提供することである。具体的には、バルク抵抗が高い試料でも、またオーミック接触を形成できない試料でも、簡便かつ高精度に界面抵抗、バルク抵抗を分離計測できる測定方法および装置を提供することである。
また、高い精度で界面電気特性を把握したことをフィードバックして、製品の品質を高める品質管理方法および製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
課題を解決するための本発明の構成を下記に示す。
(構成1)
直線状に第1探針、第2探針、第3探針、第4探針、第5探針および第6探針が順番に配置された探針セットを有し、
以下のステップ(A)から(E)を、電流値i
j(jは1からnまでの整数)を変えて行う、電流電圧特性の測定方法。
(A)前記第2探針と前記第5探針の間に電流i
jを印加して、前記第2探針と前記第3探針、前記第2探針と前記第4探針、前記第2探針と前記第5探針のそれぞれの電位V
3(i
j)、V
4(i
j)、V
5(i
j)を測定する。
(B)前記第1探針と前記第5探針の間に電流i
jを印加して、前記第2探針と前記第3探針の電位V
23(i
j)を測定する。
(C)前記第2探針と前記第6探針の間に電流i
jを印加し、前記第4探針と前記第5探針の電位V
45(i
j)を測定する。
(D)V
2′(i
j)=V
3(i
j)−V
23(i
j)を計算する。
(E)V
5′(i
j)=V
5(i
j)−V
4(i
j)−V
45(i
j)を計算する。
(構成2)
試料の電流電圧特性を測定する測定装置であって、
探針部、可変電流電源部、電圧測定部、制御部および解析部を有し、
前記探針部は、第1探針、第2探針、第3探針、第4探針、第5探針および第6探針が順番に直線状に配置された探針セットを有し、
前記可変電流電源部は、前記第2探針と前記第5探針の間、前記第1探針と前記第5探針の間、および前記第2探針と前記第6探針の間に電流を供給する手段を有し、
前記電圧測定部は、前記第2探針と前記第3探針の間、前記第2探針と前記第4探針の間、前記第2探針と前記第5探針の間、および前記第4探針と前記第5探針の間の電圧を測定する手段を有し、
前記制御部は、前記第1探針から前記第6探針までの探針の前記試料への電気的接触、非接触の制御、前記可変電流電源部から所定の探針への電流供給の制御、前記電圧測定部による所定の探針の電圧測定の制御を行う機能を有し、
前記解析部は、前記可変電流電源部から所定の探針への供給した電流と、前記電圧測定部によって所定の探針で測定された電圧を基に演算を行って、電流電圧特性を計算する機能を有する、測定装置。
(構成3)
前記第1探針から前記第6探針は等間隔に配列されている、構成2記載の測定装置。
(構成4)
前記可変電流電源部は、1つの可変電流源を有し、前記第2探針と前記第5探針の間、前記第1探針と前記第5探針の間、および前記第2探針と前記第6探針の間への電流供給はスイッチ切り替えによって行われる、構成2または3記載の測定装置。
(構成5)
前記電圧測定部は、1つの電圧計を有し、前記第2探針と前記第3探針の間、前記第2探針と前記第4探針の間、前記第2探針と前記第5探針の間、および前記第4探針と前記第5探針の間の電圧測定はスイッチ切り替えによって行われる、構成2から4の何れか1記載の測定装置。
(構成6)
前記電圧計の内部抵抗は100MΩ以上10PΩ以下である、構成5記載の測定装置。
(構成7)
各電流値i
j(jは1からnまでの整数)に対して下記ステップ(α)から(ε)の動作を備えた、構成2から6の何れか1記載の測定装置。
(α)前記可変電流電源部により前記第2探針と前記第5探針の間に電流i
jを印加して、前記電圧測定部により前記第2探針と前記第3探針、前記第2探針と前記第4探針、前記第2探針と前記第5探針のそれぞれの電位V
3(i
j)、V
4(i
j)、V
5(i
j)を測定するステップ。
(β)前記可変電流電源部により前記第1探針と前記第5探針の間に電流i
jを印加して、前記電圧測定部により前記第2探針と前記第3探針の電位V
23(i
j)を測定するステップ。
(γ)前記可変電流電源部により前記第2探針と前記第6探針の間に電流i
jを印加し、前記電圧測定部により前記第4探針と前記第5探針の電位V
45(i
j)を測定するステップ。
(δ)前記解析部によりV
2′(i
j)=V
3(i
j)−V
23(i
j)を計算するステップ。
(ε)前記解析部によりV
5′(i
j)=V
5(i
j)−V
4(i
j)−V
45(i
j)を計算するステップ。
(構成8)
被測定試料に対して構成1記載の測定方法によって電流電圧特性を測定し、前記電流電圧特性が予め定めた範囲内に収まっているかいないかを判断基準にして、被測定試料の品質管理を行う、品質管理方法。
(構成9)
前記被測定試料は直線状に並んだ6個以上の金属パッドが並んだ金属パッド列を有する半導体装置であり、前記金属パッド列のうちの6個のパッドに前記第1探針から前記第6探針を接触させて前記電流電圧特性を測定する、構成8記載の品質管理方法。
(構成10)
前記金属パッドはアライメントマークである、構成9記載の品質管理方法。
(構成11)
製造工程の途中で構成8から10の何れか1記載の品質管理方法による品質管理を実施し、予め定めた電流電圧特性の範囲に入るもののみ製造工程を進める、製造方法。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、バルク抵抗が高い試料でも、またオーミック接触を形成できない試料でも、電極と試料との界面における電気特性を高い精度で測定できる測定方法および装置を提供することが可能になる。
また、高い精度で界面電気特性を把握したことをフィードバックして、製品の品質を高める品質管理方法および製造方法を提供することが可能になる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下本発明を実施するための形態について図面を参照しながら説明する。
【0010】
(第1の実施の形態)
<装置>
第1の実施の形態(実施の形態1)の装置構成を
図1に示す。
本実施の形態の装置は、探針部102、可変電流電源部103、電圧測定部104、制御部105および解析部106を有する。なお、
図1中の101は試料である。
【0011】
探針部102は、
図2に示すように、試料と接触するその先端に、導電性を有する第1探針51、第2探針52、第3探針53、第4探針54、第5探針55および第6探針56が基板50上に順番に直線状に配置された探針セット102aを有する。
ここで、基板50は少なくともその主表面が電気的絶縁性を有し、かつ第1探針51から第6探針56を試料に接触させたとき十分な電気的接触が得られる形状を保持する適度な剛性をもつものが使用される。基板50としては、具体的には、表面に酸化シリコン膜、窒化シリコン膜あるいは酸窒化シリコン膜などの絶縁膜がが形成されたシリコン基板、アルミニウムなどの金属あるいはアルミニウムなどの金属を含む合金の上に絶縁膜が形成された金属基板、溶融石英などのガラス基板、ポリカーボネイト、アクリル、ポリエチレン、ポリテトラフルオロエチレンなどの樹脂基板を挙げることができる。
【0012】
第1探針51から第6探針56までの探針は、同一の材料からなり、その試料と接触する面の面積は第1探針51から第6探針56まで同一にしておくことが好ましい。また、第1探針51から第6探針56までの探針は、大きさと形を統一しておくことが好ましい。試料と接触する面の面積が第1探針51から第6探針56までの探針で異なるときは、その面積を求めておいて、抵抗を計算するときに反映させる。このため、その面積を同一にしておくと、その計算工程が省けるとともに、面積の差に基づく測定誤差、擾乱を抑制することが可能になる。
また、第1探針51から第6探針56までの探針は、等間隔に配列されていることが好ましい。不等間隔の場合は、バルク抵抗計算の際にその間隔を計算に組み込めば界面抵抗、バルク抵抗ともに求めることができるが、その場合は計算工程が必要になるとともに、探針間隔に基づく計測誤差要因を持ち込むことになる。
また、第1探針51から第6探針56までの探針は、同じ接触圧力で資料に接触することが好ましい。このため、第1探針51から第6探針56までの探針の試料との接触面の高さ位置は、接触する試料の高さ位置と一致していることが好ましい。
【0013】
第1探針51から第6探針56までの探針は、探針を直接基板50に接触させて測定を行うときは界面抵抗特性を含めて測定したい金属、合金、半金属などとする。一方、試料上に電極が形成されていて、その電極に探針を接触させて測定を行うときは、試料側の電極との接触面で接触抵抗が少なく整流特性をもたない材料とすることが好ましい。
すなわち、
図3に示すように、測定試料101aが基板10上に第1電極11、第2電極12、第3電極13、第4電極14、第5電極15および第6電極16を有する場合は、第1探針51から第6探針56までの探針は、第1電極11から第6電極16と接触抵抗が少なく整流特性をもたない材料とすることが好ましく、電極材料と同じ材料としておくことがより好ましい。また、第1探針51から第6探針56に金(Au)や白金(Pt)というような表面酸化が起こりにくく、経時安定性の高い金属や合金が用いられることは、経時安定性向上という観点から好ましい。また、タングステン(W)や炭化タングステン(WC)など硬度の高い金属、金属化合物、合金を用いると、探針と試料との機械的接触に対して高い耐久性が得られるので好ましい。
【0014】
可変電流電源部103は、第2探針52と第5探針55の間、第1探針51と第5探針55の間、および第2探針52と第6探針56の間に電流を供給する手段を有するもので、可変直流電源と電流計からなる。
ここで、可変電流電源部103は、可変直流電源と電流計各1個からなり、スイッチにより第2探針52と第5探針55の間、第1探針51と第5探針55の間、および第2探針52と第6探針56の間に電流を供給してもよいし、可変直流電源と電流計を複数有して、第2探針52と第5探針55の間、第1探針51と第5探針55の間、および第2探針52と第6探針56の間に電流を供給してもよい。可変直流電源と電流計各1個からなり、スイッチにより電流を流す探針を選択する方式は、部品点数を抑えることができ、装置の低コスト化およびコンパクト化の観点で好ましい。
【0015】
電圧測定部104は、第2探針52と第3探針53の間、第2探針52と記第4探針54の間、第2探針52と第5探針55の間、および第4探針54と第5探針55の間の電圧を測定する手段を有する。
ここで、電圧測定部104は、電圧計1個からなり、スイッチにより第2探針52と第3探針53の間、第2探針52と記第4探針54の間、第2探針52と第5探針55の間、および第4探針54と第5探針55の間の電圧を測定してもよいし、電圧計を複数有して、第2探針52と第3探針53の間、第2探針52と記第4探針54の間、第2探針52と第5探針55の間、および第4探針54と第5探針55の間の電圧を測定してもよい。電圧計1個からなり、スイッチにより電圧測定をする探針を選択する方式は、部品点数を抑えることができ、装置の低コスト化およびコンパクト化の観点で好ましい。
また、電圧計の内部抵抗は100MΩ以上10PΩ以下が好ましい。電圧計の内部抵抗が100MΩ以上、さらに好ましくは10GΩ以上であると、電圧計を流れるバイパス電流が少なくなって測定精度が上がる。電圧計の内部抵抗が10PΩ以下、さらに好ましくは1PΩ以下とすると、電圧測定のコストパフォーマンスが優れる。
【0016】
制御部105は、第1探針51から第6探針56までの探針の試料への電気的接触、非接触の制御、可変電流電源部103から所定の探針への電流供給の制御、電圧測定部104による所定の探針の電圧測定の制御を行う機能を有する。
また、解析部106は、可変電流電源部103から所定の探針への供給した電流と、電圧測定部104によって所定の探針で測定された電圧を基に演算を行って、電流電圧特性を計算する機能を有する。
【0017】
本実施の形態の装置は、
図4のフローチャートに示す動作に基づいて測定を行う。
(α)可変電流電源部103により第2探針52と第5探針55の間に電流i
j(jは1からnまでの整数)を印加して、電圧測定部104により第2探針52と第3探針53、第2探針52と第4探針54、第2探針52と第5探針55のそれぞれの電位V
3(i
j)、V
4(i
j)、V
5(i
j)を測定する(ステップS12)。
(β)可変電流電源部103により第1探針51と第5探針55の間に電流i
jを印加して、電圧測定部104により第2探針52と第3探針53の電位V
23(i
j)を測定する(ステップS13)。
(γ)可変電流電源部103により第2探針52と第6探針56の間に電流i
jを印加し、電圧測定部104により第4探針54と第5探針55の電位V
45(i
j)を測定する(ステップS14)。
(δ)解析部106によりV
2′(i
j)=V
3(i
j)−V
23(i
j)を計算する(ステップS15)。
(ε)解析部106によりV
5′(i
j)=V
5(i
j)−V
4(i
j)−V
45(i
j)を計算する(ステップS16)。
以上のステップにより、第2電極と基板との界面および第5電極と基板との界面におけるショットキー接合の電流電圧特性を求めることができ、また、このことから界面のショットキー抵抗および基板内バルク抵抗が求まる。
【0018】
<測定方法>
測定方法は、上記の(α)から(ε)のステップからなる。ここでは、試料として、基板10の上に第1電極11、第2電極12、第3電極13、第4電極14、第5電極15および第6電極16が形成されている場合を例示として示すが、第1電極11から第6電極16を設けず、第1電極11から第6電極16の代わりに第1探針51から第6探針56を基板10に接触させて測定してもよい。ここで、後者の場合は、探針の材料と基板10との界面抵抗および基板10のバルク抵抗が測定対象になる。
【0019】
まず、第2電極12と第5電極15に電流電源装置23(
図1では電源部103で表記)からの電流i
j(jは1からnまでの整数)が印加されるように、第2探針52および第5探針55をそれぞれ第2電極12と第5電極15に接触させる。そして、第3探針53および第4探針54をそれぞれ第3電極13と第4電極14に接触させて、電圧計を用いて各電流値i
jに対する、第2電極12と第3電極13、第2電極12と第4電極14、第2電極12と第5電極15間の電圧をV
3(i
j)、V
4(i
j)、V
5(i
j)として測定する。このときの測定回路を
図5に示す。ここで、S
2およびS
5は、それぞれ第2電極12および第5電極15と基板10との界面のショットキーダイオードであり、R
23、R
34、R
45は、それぞれ第2電極12と第3電極13間、第3電極13と第4電極14間、第4電極14と第5電極15間の基板10のバルク抵抗を表す。また、電流電源装置23は直流電源21と電流計22からなる。各電圧を測定する際は、
図5に示すように3つの電圧計31,32,33をを用いてもよいし、1つの電圧計を使用しスイッチ等で該当する電圧を測定してもよい。
【0020】
次に、第1電極11と第5電極15に電流電源装置23を取り付け、上記のプロセスと同様の直流電流i
jを印加し、第2電極12と第3電極13間の電圧V
23(i
j)を測定する。具体的には、第1探針51および第5探針55をそれぞれ第1電極11と第5電極15に接触させて電流電源装置23により電流i
jを印加し、第2探針52および第3探針53をそれぞれ第2電極12と第3電極13に接触させて電圧計34を用いて各電流値i
jに対する、第2電極12と第3電極13の電圧をV
23(i
j)として測定する。このときの測定回路を
図6に示す。ここで、
図6のS
1は第1電極11と基板10との界面のショットキーダイオードであり、R
12、R
35はそれぞれ第1電極11と第2電極12間、第3電極13と第5電極15間の基板10のバルク抵抗である。
【0021】
その後、
図7のように、第2電極12と第6電極16に電流電源装置23を取り付け、上記のプロセスと同様の直流電流i
jを印加し、第4電極14と第5電極15間の電圧V
45(i
j)を測定する。具体的には、第2探針52および第6探針56をそれぞれ第2電極12と第6電極16に接触させて電流電源装置23により電流i
jを印加し、第4探針54および第5探針55をそれぞれ第4電極14と第5電極15に接触させて電圧計35を用いて各電流値i
jに対する、第4電極14と第5電極15の電圧をV
45(i
j)として測定する。ここで、
図7のS
6は第6電極16と基板10との界面のショットキーダイオードであり、R
24、R
56はそれぞれ第2電極12と第4電極14間、第5電極15と第6電極16間の基板10のバルク抵抗である。
【0022】
しかる後、以上の測定結果を用いて、V
2′=V
3(i
j)−V
23(i
j)として第2電極12と基板10の界面に電流i
jを印加した際の電圧降下V
2′を得ることができる。また、V
5′=V
5(i
j)−V
4(i
j)−V
45(i
j)として第5電極15と基板10の界面に電流i
jを印加した際の電圧降下V
5′を得ることができる。
また、電流i
jに対する電圧降下特性が調べられることから、電極と基板10との界面抵抗(ショットキー抵抗)および基板10のバルク抵抗を求めることができる。
したがって、本方法によれば、ショットキー接触となる金属電極のみを用いても、それぞれの電極界面における電流の整流性を独立に測定することができる。
【0023】
実施の形態1に示した本発明の方法は、試料10に対して6個の探針、または試料上に設置した6つの電極を用い、上記手順でそれぞれに電流を印加、各電極間の電圧降下を測定し、これらを演算処理することで、目的の電極/試料における電圧降下のみを測定することができる。
複数の電極を設け電圧測定を行うことで、除外したいバルク抵抗や界面抵抗による電圧降下を直接測定し、これを除外する方法であるため、測定の精度が高く材料の制約が極めて少ない。
本発明の方法を応用することで、これまで測定が困難であった材料の界面の電気的特性の測定が可能となる。さらに、試料の状態に関わらず高精度で電極/試料界面の電気的特性が測定できるため、実施の形態2で述べる半導体ウェハの品質管理などへの応用も可能である。
【0024】
従来の方法では、電極と試料界面の電流電圧特性を測定するためには、他の部分の寄与を減らすため、材料自身のバルク抵抗を低くし、電極と材料の接触抵抗が低くなるようにオーミック接触となる電極を選択するなどの工夫が必要であった。つまり、これらの制約を満足する電極と材料の組み合わせでの測定となり、適用が限られていた。
なお、従来の方法でも、ショットキー材料とオーミック材料を組み合わせて多数の測定を行い、その結果を用いて界面抵抗およびバルク抵抗を計算により求めることは可能ではあった。しかしながら、従来の方法は、装置も複雑で測定時間もかかり、さらに測定誤差要因も増えることから、測定精度も高いとは言い難かった。
【0025】
本発明の方法では、こうした制約なしに界面の電流電圧特性を測定できるため、バルク抵抗の大きな材料や、オーミック接触を取れない材料でも界面の電気特性を測定することができる。
【0026】
(第2の実施の形態)
第2の実施の形態(実施の形態2)は、実施の形態1による測定方法の品質管理および製品の製造方法への適用に関するものである。
この品質管理方法では、品質管理の対象となる試料に対して実施の形態1の測定方法によって電流電圧特性を測定し、電流電圧特性が予め定めた範囲内に収まっているかいないかを判断基準にして試料の品質管理を行う。簡便かつ高精度な電流電圧特性測定およびその管理が行えるため、高い品質管理を行うことができる。
また、この品質管理方法による品質管理を実施し、予め定めた電流電圧特性の範囲に入るもののみ製造工程を進めると、高い品質の製品を効率よく製造することが可能になる。
【0027】
例えば、試料が直線状に並んだ6個以上の金属パッドが並んだ金属パッド列を有する半導体装置の場合、その金属パッド列のうちの6個のパッドに第1探針51から第6探針56を接触させて電流電圧特性を測定する。この場合、試料がバルク抵抗の大きな材料やオーミック接触を取れない材料の場合でも、製品の品質を大きく左右することが多い界面の電気特性を簡便かつ正確に測定できる。このため、所望の特性を有するもののみの選別が容易に可能になって、高い品質管理が可能になる。
【0028】
この品質管理では、半導体装置の製造を行うとき用いられるメタル工程時に作製したアライメントマークを活用することも可能である。
図8は、ウエハ201に素子チップ202が形成されたときの平面図である。スクライブライン203にアライメントマーク204、205が配置されており、そのマークを参照したアライメント(合わせ)を伴うリソグラフィを行いながら素子が作製される。
メタル工程あるいはドープトポリ工程で作製されたアライメントマークは導電性の電極として活用することができる。アライメントマークとしては、アライメントマーク204にみられるように、等ピッチに配置された繰り返し矩形パターンアライメントマークパターンB(204b)とそれとは異なる形状のアライメントマークパターンA(204a)の組み合わせ、あるいはアライメントマーク205にみられるように、マトリックス状に配置された繰り返し矩形パターン(アライメントマークパターンC、205a)などが多用される。この繰り返しパターンのうちの直線状に並んだ6個、すなわちアライメントマークパターンB(204b)のうちの隣接する6個、あるいはマトリックス状に並んだアライメントマーク205の中の直線状に並んだ6個(アライメントマークパターンC、205b)を第1電極11から第6電極16として活用すると、領域を無駄にすることなく、また品質管理上の特別なパターンを配置する必要なく品質管理を行うことが可能となる。
【実施例】
【0029】
以下では実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、この実施例はあくまで本発明の理解を助けるためここに挙げたものであり、本発明をこれに限定するものではない。
【0030】
(実施例1)
実施例1では、ニッケル(Ni)電極が形成されたn型シリコン基板を試料としてその電流電圧特性を測定した。
【0031】
測定装置は、
図1に示すように、探針部102、可変電流電源部103、電圧測定部104、制御部105および解析部106からなる。
探針部102の試料側先端には第1探針51から第6探針56が等間隔かつ直線状に配置されている。第1探針51から第6探針56までの各パッドは、同じ形状、同じサイズで幅50μm長さ50μm厚さ50μmのタングステンからなっている。配置のピッチは200μmで、したがって各パッド間の間隔は150μmである。
可変電流電源部103は、1個の可変電流源(6220型DC電流源、ケースレー製)およびスイッチからなり、電圧測定部104は、1個の電圧計(2182A型ナノボルトメータ、ケースレー製)とスイッチからなる。ここで、電圧計の内部抵抗はカタログ値で10GΩである。
解析部106は、コンピュータを備えており、アルゴリズムにしたがって、測定されたデータから電流電圧特性、界面抵抗、バルク抵抗が計算されるようになっている。
【0032】
試料は、基板10上に第1から第6までの電極が形成された
図3(a)の101aの構造のものとした。ここで、基板10はリンをドーパントにしたn型シリコン基板とした。その不純物量は10
15原子/cm
3で、カタログ抵抗値は1−10Ω・cmである。また、第1電極11、第2電極12、第3電極13、第4電極14、第5電極15および第6電極16は電子ビーム蒸着法によって形成したニッケル(Ni)電極とし、その形状は幅100μm、長さ100μm、高さ0.1μmの直方体とした。これらの電極は直線状に等間隔で配置されている。パターンピッチは200μmであり、したがって電極間間隔は100μmである。
【0033】
次に、測定手順を説明する。
最初に、第2電極12と第5電極15に電流電源装置23(
図1の103)を取り付け、直流電流i
jを−2μAから2μAまで1μA刻みで印加した。そして、電圧計を用いて各電流値i
jに対する、第2電極と第3電極、第2電極と第4電極、第2電極と第5電極間の電圧をV
3(i
j)、V
4(i
j)、V
5(i
j)として測定した(工程S12)。ここで、電流電源装置23は直流電源21と電流計22からなる。ここで、直流電源21は可変電流源である。
このときの測定回路を
図5に示す。各電圧を測定する際は
図5のように電圧計を3つ用いてもよいが、実施例1では1つの電圧計を使用し、スイッチを用いて該当する電圧を測定した。したがって、同図中の31、32および33としては同じ電圧計が用いられている。
【0034】
次に、
図6のように、第1電極と第5電極に電流電源装置を取り付け、上記のプロセスと同様の直流電流i
jを印加し、第2電極と第3電極間の電圧V
23(i
j)を測定した。
次に、
図7のように、第2電極と第6電極に電流電源装置を取り付け、上記のプロセスと同様の直流電流i
jを印加し、第4電極と第5電極間の電圧V
45(i
j)を測定した。
【0035】
これらの測定結果を用いて、V
2′=V
3(i
j)−V
23(i
j)として第2電極とSi基板の界面に電流i
jを印加した際の電圧降下V
2′を得た。また、V
5′=V
5(i
j)−V
4(i
j)−V
45(i
j)として第5電極とSi基板の界面に電流i
jを印加した際の電圧降下V
5′を得た。各印加電流値i
jに対するV
2′およびV
5′をプロットしたものを
図9および
図10に示す。これらは、それぞれ第2電極のNi/Si界面と第5電極のNi/Si界面におけるショットキー接合の電流電圧特性に対応する。ショットキー接触となる金属電極のみを用いて、それぞれの電極界面における電流の整流性を独立に測定することができた。
なお、ここで用いた第1から第6のNi電極(11〜16)とn型半導体シリコン基板10はショットキー接触であり、通常はオーミック接触となる他の電極を使わない限り、Ni/Si界面の電流電圧特性を測定することは困難である。