(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2021-182323(P2021-182323A)
(43)【公開日】2021年11月25日
(54)【発明の名称】ジェスチャーリモコン及びジェスチャーによる被制御機器の操作方法
(51)【国際特許分類】
G06F 3/01 20060101AFI20211029BHJP
【FI】
G06F3/01 570
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2020-88172(P2020-88172)
(22)【出願日】2020年5月20日
(71)【出願人】
【識別番号】520177046
【氏名又は名称】Stamp株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100084375
【弁理士】
【氏名又は名称】板谷 康夫
(74)【代理人】
【識別番号】100125221
【弁理士】
【氏名又は名称】水田 愼一
(74)【代理人】
【識別番号】100142077
【弁理士】
【氏名又は名称】板谷 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100143199
【弁理士】
【氏名又は名称】磯邉 毅
(72)【発明者】
【氏名】村本 章憲
【テーマコード(参考)】
5E555
【Fターム(参考)】
5E555AA62
5E555BA19
5E555BB06
5E555BB19
5E555BC01
5E555CA41
5E555CA42
5E555CB66
5E555CC01
5E555EA25
5E555FA00
(57)【要約】
【課題】カメラ位置を意識せずして任意に複数の機器を操作制御できる、ジェスチャーリモコン及びジェスチャーによる被制御機器の操作方法を提供する。
【解決手段】ジェスチャーリモコン1は、全周囲を撮像するカメラ3と、カメラによる撮像データをもとにジェスチャー動作を解析し、人物の特定部位におけるジェスチャー動作に応じて被制御機器5の特定及びその動作を特定するコントローラ2と、コントローラからの出力に基づき、特定された被制御機器に対する動作信号を赤外線信号により出力する赤外線送信機4と、を備え、カメラ及び赤外線送信機は、居室内の天井に設けられ、赤外線送信機は居室内の全周囲に向けて赤外線信号を出力する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
全周囲を撮像するカメラと、
前記カメラによる撮像データをもとにジェスチャー動作を解析し、人物の特定部位におけるジェスチャー動作に応じて被制御機器の特定及びその動作を特定するデータベースを参照して被制御機器の特定及びその動作を特定するコントローラと、
前記コントローラからの出力に基づき、特定された被制御機器に対する動作信号を赤外線信号により出力する赤外線送信機と、を備え、
前記カメラ及び前記赤外線送信機は、居室内の天井に設けられ、前記赤外線送信機は居室内の全周囲に向けて赤外線信号を出力し得るように構成したことを特徴とするジェスチャーリモコン。
【請求項2】
前記コントローラは、居室内の天井に設けられ、ネットワークに接続されたエッジコンピュータにより構成され、前記エッジコンピュータは、ネットワーク又はWi−Fiを介してユーザのスマホと接続され、前記スマホから被制御機器の動作情報を閲覧可能、かつ被制御機器を制御可能とした、請求項1に記載のジェスチャーリモコン。
【請求項3】
前記エッジコンピュータ、前記カメラ及び前記赤外線送信機は、居室内の天井に装着される照明器具に設けられ、
前記エッジコンピュータの基板上に、前記カメラ及び前記赤外線送信機が設けられ、前記カメラ及び前記赤外線送信機は、前記基板に回路接続されている、請求項1又は請求項2に記載のジェスチャーリモコン。
【請求項4】
被写体までの距離情報を取得可能な深度センサをさらに備え、
前記深度センサは、居室内の天井に設けられており、
前記コントローラは、前記深度センサによる検出データを受信し、該検出データをもとに人物の特定部位を特定し、前記カメラによる撮像データをもとに行うジェスチャー動作解析に供する、ことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載のジェスチャーリモコン。
【請求項5】
前記コントローラは、被制御機器を選択し、かつ指令開始のトリガーとなるジェスチャー動作と、被制御機器の動作内容を決定するジェスチャー動作と、を前記データベースに事前登録するアプリケーションプログラムを有している、ことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載のジェスチャーリモコン。
【請求項6】
居室内の天井に設けられ全周囲を撮像するカメラによる撮像データをもとに人物の特定部位におけるジェスチャー動作をコントローラにより解析する解析ステップと、
前記解析ステップにより解析されたジェスチャー動作について、ジェスチャー動作に応じて被制御機器の特定及びその動作を特定するデータベースを参照することにより、ジェスチャー動作に応じた被制御機器の特定及びその動作をコントローラにより特定する特定ステップと、
前記特定ステップにより特定された被制御機器に対する動作信号を、居室内の天井に設けられた赤外線送信機で赤外線信号により居室内の全周囲に向けて出力する出力ステップと、を備えたことを特徴とするジェスチャーによる被制御機器の操作方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、操作者のジェスチャーにより被制御機器を遠隔操作するジェスチャーリモコン及びジェスチャーによる被制御機器の操作方法に関する。
【背景技術】
【0002】
この種のジェスチャーリモコンとして、ジェスチャー動作をカメラにより撮影したカメラ信号からジェスチャーを検出し、検出したジェスチャーに対応して機器を動作させるものが知られている(例えば、特許文献1,2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特公2014−197252号公報
【特許文献2】国際公開WO2018/150569A1公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
これらジェスチャーリモコンにおいて、ジェスチャー動作の認識性を上げるため、特許文献1に示されるものでは、操作対象のメニュー等を表示する表示部に操作者の視線が向いていることをカメラ信号から検出することにより、操作者が意図しない機器が操作されることを防止している。
【0005】
特許文献2に示されるものでは、プロジェクタの操作に用いる場合に、プロジェクタからスクリーンなどへ投写された映像の中に人物の映像があると、映像中の人物を誤検出する虞があるので、ジェスチャー認識のためのカメラとは別に熱画像センサを用いて人物を検出し、人物の誤検出を防止している。
ところが、いずれも、操作者はカメラ位置を意識してジェスチャー動作を行う必要があり、また、任意に複数の機器を操作制御できるものではない。
【0006】
本発明は、上記課題を解決するものであり、カメラ位置を意識せずして任意に複数の機器を操作制御できる、ジェスチャーリモコン及びジェスチャーによる被制御機器の操作方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、全周囲を撮像するカメラと、
前記カメラによる撮像データをもとにジェスチャー動作を解析し、人物の特定部位におけるジェスチャー動作に応じて被制御機器の特定及びその動作を特定するデータベースを参照して被制御機器の特定及びその動作を特定するコントローラと、
前記コントローラからの出力に基づき、特定された被制御機器に対する動作信号を赤外線信号により出力する赤外線送信機と、を備え、
前記カメラ及び前記赤外線送信機は、居室内の天井に設けられ、前記赤外線送信機は居室内の全周囲に向けて赤外線信号を出力し得るように構成したことを特徴とするジェスチャーリモコンである。
【0008】
また、本発明は、居室内の天井に設けられ全周囲を撮像するカメラによる撮像データをもとに人物の特定部位におけるジェスチャー動作をコントローラにより解析する解析ステップと、
前記解析ステップにより解析されたジェスチャー動作について、ジェスチャー動作に応じて被制御機器の特定及びその動作を特定するデータベースを参照することにより、ジェスチャー動作に応じた被制御機器の特定及びその動作をコントローラにより特定する特定ステップと、
前記特定ステップにより特定された被制御機器に対する動作信号を、居室内の天井に設けられた赤外線送信機で赤外線信号により居室内の全周囲に向けて出力する出力ステップと、を備えたことを特徴とするジェスチャーによる被制御機器の操作方法である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、ユーザは居室内に居てカメラを意識することなく、容易に任意の複数の機器の制御指示を出すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の一実施形態によるジェスチャーリモコンの構成を示すブロック図である。
【
図2】同ジェスチャーリモコンの制御動作のフローチャートである。
【
図3】同ジェスチャーリモコンのリモコンデータ設定のフローチャートである。
【
図4】同ジェスチャーリモコンのジェスチャー認識動作のフローチャートである。
【
図5】同ジェスチャーリモコンのアプリケーション構成を示す図である。
【
図6】同ジェスチャーリモコンのジェスチャー動作認識の原理を示す図である。
【
図7】(A)は同ジェスチャーリモコンが組み込まれた照明器具を下方から見た図、(B)は同照明器具を側方から見た概念図である。
【0011】
(一実施形態の構成)
本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
図1は、本実施形態によるジェスチャーリモコンの構成を示すブロック図である。本実施形態のジェスチャーリモコン1は、操作者(ユーザ)のジェスチャー動作に応じて被制御機器の特定及びその動作を特定するコントローラ2と、ジェスチャー動作を撮像するカメラ3と、特定された被制御機器5に対する動作信号を赤外線信号により出力する赤外線送信機4と、を備えている。
【0012】
コントローラ2は、カメラ3による撮像データ(カメラ画像)をもとに、データベース(
図5の24)を参照して人物の特定部位の動作に応じてジェスチャー動作を解析し、被制御機器5の特定及びその動作を特定する。カメラ3及び赤外線送信機4は、居室内の天井に設けられ、カメラ3は、居室内全周囲を撮像し、赤外線送信機4はコントローラ2からの出力に基づき居室内の全周囲に向けて赤外線信号を出力し得るように構成されている。
【0013】
コントローラ2による、人物の特定部位の動作に応じてジェスチャー動作の解析及び被制御機器5とその動作の特定は、例えば、人物に共通の特徴量を予め人物モデルとしてデータベースに用意しておき、撮像データから特徴量を抽出し比較することにより行う。人物の特定部位としては、腕、手及び指を用い、腕の画像により操作を行う人物を認識し、かつ被制御機器5を特定し、手及び指のジェスチャーにより被制御機器5の動作(操作内容)を認識する。
【0014】
被制御機器5は、例えば、居室内に設置されたテレビ51、掃除機52、エアコン53等である。これら被制御機器5の各々は、赤外線送信機4から出力される赤外線信号を受信して復号化する赤外線受信機を備えている。ユーザは、ジェスチャー動作により被制御機器5を特定し、例えばテレビ51のオン・オフ・音量調整や、テレビ51に内蔵のレコーダの録画予約等を行うことができる。被制御機器5の特定は、ユーザが操作しようとする被制御機器5を見る人物の姿勢のカメラ画像、又は被制御機器5の方向を指し示す腕、手のカメラ画像を解析することにより行う。
【0015】
本実施形態のジェスチャーリモコン1によれば、居室内全周囲を撮像するカメラ3及び居室内の全周囲に向けて赤外線信号を出力する赤外線送信機4が居室内の天井に設けられていて、居室内を見下ろす形で撮影でき、かつ赤外線信号を出力できるので、ユーザは居室内においてカメラ3の位置を意識することなく、つまりカメラ3を向かずとも、ジェスチャー動作をするだけで、容易に任意の被制御機器5に対して制御指示を出すことができる。ここに、ユーザは居室内の何処にいても、また、何らのリモコン端末を用いることなく、任意の被制御機器5をリモコン制御できる。
【0016】
本実施形態において、コントローラ2は、居室内の天井に設けられ、ネットワークに接続されたエッジコンピュータにより構成することができる。このエッジコンピュータは、CPU、メモリ、レジスタ、IO等から成り、カメラ画像等よりジェスチャー動作の解析等を処理し、また、各種学習の機能を持つアプリケーションプログラム及びデータベースを格納している。コントローラ2は、ネットワーク又はWi−Fi等を介してユーザの携帯端末であるスマートフォン(以下、スマホという)6と接続され、スマホ6から被制御機器5の動作情報を閲覧可能、かつ被制御機器5を制御可能に構成する。これにより、スマホ6から被制御機器5の状況閲覧及び制御が可能となる。
【0017】
本実施形態においては、ジェスチャーリモコン1は居室内の天井に装着される照明器具7に一体的に設けられている。具体的には、コントローラ2を構成するエッジコンピュータが照明器具7内に設けられ、カメラ3及び赤外線送信機4がエッジコンピュータの基板20(
図7A)上に搭載され、回路接続されている。照明器具7は、天井に設けられた引っ掛けシーリング又はローゼットに取り付けられ、コンセント及びプラグ接続により電源が供給される。エッジコンピュータには照明器具7から電源が供給されるようにする。これにより、ジェスチャーリモコン1の構成は、簡単かつ施工容易となる。ジェスチャーリモコン1を照明器具7に一体的に設けられない場合、カメラ3、赤外線送信機4及び各種センサは、コントローラ2とUSB等を用いた有線接続される。
【0018】
照明器具7が、コントローラ2により点灯制御されるように構成されていることで、照明器具7の点灯をもジェスチャー動作により制御することができる。なお、コントローラ2、カメラ3及び赤外線送信機4は、照明器具7に内蔵又は一体的に設けられていることが望ましいが(その具体構成例は後述)、必ずしもそれに限られず、照明器具7とは別体に設けられても良い。
【0019】
本実施形態において、ジェスチャーリモコン1は、被写体(ユーザ)である人物までの距離情報を取得可能な深度センサ8をさらに備えている。深度センサ8は、カメラ3だけでは取得が難しい、人物のボーン支点の移動距離の検出に有効である。深度センサ8は、居室内の天井に設けられており、コントローラ2は、深度センサ8による検出データを受信し、この検出データをもとに人物の特定部位を特定し、カメラ3による撮像データをもとに行うジェスチャー動作解析に供する。これにより、人物の部位特定が容易となる。
【0020】
本実施形態において、コントローラ2は、被制御機器5を選択し、かつ指令開始のトリガーとなるジェスチャー動作と、被制御機器5の動作内容を決定するジェスチャー動作と、をデータベースに事前登録するアプリケーションプログラムを有している、これにより、ユーザによるジェスチャーリモコン1の使い勝手を良くしている。
【0021】
本実施形態において、ジェスチャーリモコン1は、温度/湿度センサ9と、照度センサ10とを備え、各センサ出力はコントローラ2に入力されている。これら各種センサにより取得したデータは、スマホ6からも参照可能とし、また、エアコン53を最適な温度設定でプログラム動作させるための学習データとなる。さらに、コントローラ2は、スマートスピーカ11及び冷蔵庫12とWi−Fi等を介して接続され、さらにゲートウェイ13を介してネットワーク上のクラウド14と接続され、さらにクラウド14を介して前述のスマホ6、ユーザのパーソナルコンピュータ(PC)15、スマートウォッチ16が接続されている。スマートスピーカ11は、音楽、天気予報、オンラインラジオの音声を出力するものであり、ユーザのジェスチャー動作により、オン・オフ・音量調整等をすることができる。
【0022】
(一実施形態の動作)
図2は、本実施形態によるジェスチャーリモコン1の制御動作を示すフローチャートである。ユーザがジェスチャーリモコン1を起動すると(S1)、ジェスチャーリモコン1はスマホ6と接続し(S2)、ジェスチャーリモコン1をWi−Fiに接続し(S3)、ジェスチャーリモコン1のリモコンデータの設定を行う(S4)。
【0023】
その後、ジェスチャーリモコン1は、動作指示の入力状態つまりユーザのジェスチャー認識状態となる(S5)。ここに、コントローラ2は、カメラ3による撮像データを解析して、動作開始のトリガーとなるアクションが起きたかを判定し、動作開始のトリガーが判定されれば、それに続くユーザのジェスチャー動作から、動作指示つまり被制御機器5の特定及び動作内容を判定する。
【0024】
コントローラ2は、動作指示に応じたコマンド(制御データ)を赤外線送信機4に送信し(S6)、そのコマンドに応じて赤外線送信機4は被制御機器5を駆動する(S7)。その後、コントローラ2は、被制御機器5の動作状態(オン・オフ等)を含む各種計測データをクラウド14に送信し(S8)、被制御機器5の動作情報をスマホ6等の画面に表示させる(S9)。
【0025】
上記S5からS7のステップは、本発明のジェスチャーによる被制御機器5の操作方法に関する。ステップS5は、カメラ3による撮像データをもとに人物の特定部位におけるジェスチャー動作をコントローラ2により解析する解析ステップと、この解析ステップにより解析されたジェスチャー動作に応じた被制御機器5の特定及びその動作をコントローラ2により特定する特定ステップと、に相当する。この特定ステップにおいては、コントローラ2は、ジェスチャー動作に応じて被制御機器5の特定及びその動作を特定するデータベース(
図5の24)を参照することにより、被制御機器5の特定及びその動作の特定を行う。ステップS6,S7は、特定された被制御機器5に対する動作信号を、居室内の天井に設けられた赤外線送信機4で赤外線信号により居室内の全周囲に向けて出力する出力ステップに相当する。
【0026】
図3は、リモコンデータの設定(S4)のフローチャートである。リモコンデータ設定は、ジェスチャーリモコン1の動作を開始するトリガーの決定(S41)と、被制御機器5の設定(S42)と、ジェスチャーの決定(S43)とから成る。トリガーの決定(S41)は、所定のジェスチャー、例えば腕・手指の形状をトリガーとして登録し、また、被制御機器5の在る方向を指で指す動作を被制御機器5の特定として登録する。被制御機器5の設定(S42)は、プリセットされている被制御機器の中から選択するか、若しくはジェスチャーリモコン1の赤外線送信機4と被制御機器5の赤外線受信機とを対応付けする。ジェスチャーの決定(S43)は、事前に登録してあるジェスチャーデータのプリセットから選択するか、若しくはユーザ自身がカメラ3を用いて撮像し登録する。
【0027】
図4は、ジェスチャー認識動作・動作指示入力(S5)の詳細フローチャートである。ジェスチャーリモコン1は、カメラ3により居室内を撮影し続け(S51)、カメラ画像解析によりトリガーとなるジェスチャー動作(アクション)が有ったかを判定し(S52)、アクションが有れば、腕・手・指の変化を算出し(S53)、アクションの変化が事前登録された動きと一致するかを判定し(S54)、この判定がYESであれば、制御データの送信を行う(S6)。この判定がNOであれば、処理は元に戻る。
【0028】
動作指示のトリガーとなるアクションは、その他の動作指示とは異なり、特定の手指の形、例えばピース又は開いた手指を2秒間認識することで判定することが好ましい。これにより、比較的安価なエッジコンピュータを用いて画像解析の処理を迅速に、かつ精度良く行うことが可能となる。
【0029】
図5は、ジェスチャーリモコン1のアプリケーション21の構成を示す。アプリケーション21は、常時稼働であり、カメラアプリ22、深度センサアプリ23、登録アクションDB24(データベース)、腕の位置角度の変化計算アプリ25、手指の位置角度の変化計算アプリ26、人物認識アプリ(YOLO等)27、画像データを定期的に消去するデータスイーパーアプリ28等を備える。
【0030】
図6は、ジェスチャーリモコン1のジェスチャー動作認識の原理を示す。
図6において、例1は、被制御機器5、例えばエアコンをつける場合であり、右手を閉じた状態(グー)から親指、人差し指、中指を開くジェスチャー動作をすると、エアコンをONできる。例2は、テレピの音量を変える場合であり、右手でドアノブを掴むような動作をして、右に捻ると音量を上げ、左に捻ると音量を下げる動作になる。例3は、電話を架ける場合であり、親指と人差し指を上に伸ばして左右に振る。電話の架け先番号選択は、スマホ6の電話帳のプリセット宛先に対応した番号を、伸ばした指の数で示すことで行える。
【0031】
ジェスチャー動作とそれによる被制御機器5の操作との対応は、ユーザの腕、手、指の形状・変化の組み合わせにより設定可能であり、デフォルト設定のほか、ユーザにより任意に登録アクションDB24に登録可能とする。
【0032】
図7(A)(B)は、ジェスチャーリモコン1が組み込まれた照明器具7を下方及び側方から見た図である。ジェスチャーリモコン1は、照明器具7に組み込まれ、コントローラ2は、照明器具7のリング状のLEDライト70の中央に配置されている。カメラ3、深度センサ8、赤外線送信機4、温度/湿度センサ9、及び照度センサ10は、コントローラ2を構成するエッジコンピュータの基板20上に搭載されている。
【0033】
カメラ3と深度センサ8は、居室内を見下ろす形で全周囲(360度)を撮像やセンシング可能に設けられている。赤外線送信機4は、個々の赤外線送信機の出力角度範囲が比較的狭いことから、カメラ3と深度センサ8の周りに複数個配置され、居室内を見下ろす形で全周囲に出力されるようにしている。照明器具7にシーリングカバー71が装着される場合は、シーリングカバー71が、カメラ3による撮影や赤外線送信機4の赤外線信号出力に障害にならないように、例えばシーリングカバーに開口を設けることが望ましい。
【0034】
(他の実施形態)
上記実施形態は、ジェスチャーリモコン1が照明器具7に組み込まれ一体的に構成されたものを示したが、ジェスチャーリモコン1は、照明器具7に組み込まれることなく、別体型であってもよい。また、ジェスチャーリモコン1が、コントローラ2、カメラ3、赤外線送信機4、深度センサ8等と一体に構成されているものを示したが、一体でなく別体に構成されてもよい。別体の場合、カメラ3その他は、大量のデータ送信のため、コントローラ2にUSB等での有線接続とすることが望ましい。
【0035】
また、撮像画像の解析精度向上のため外付けカメラとしてもよく、その場合は、外付けカメラ側にデータ送信のためのエッジデバイスを備えて、これを子機とし、コントローラ2を親機とした構成としてもよい。これにより、子機にて処理して軽くしたデータをWi−Fi、Bluetooth(登録商標)等を用いて親機に無線伝送することが可能となる。
【0036】
また、各種センサにより取得したデータは、スマホ6からも参照可能とし、スマホ6から条件設定して被制御機器5をプログラム動作させるようにしてもよい。さらには、センサ取得データを学習材料としてコントローラ2が学習するスマートコントローラとしてもよい。
【符号の説明】
【0037】
1 ジェスチャーリモコン
2 コントローラ
20 エッジコンピュータの基板
21 アプリケーション
24 登録アクションDB(データベース)
3 カメラ
4 赤外線送信機
5 被制御機器
51 テレビ
52 掃除機
53 エアコン
6 スマートフォン(スマホ)
7 照明器具
70 LEDライト
71 シーリングカバー
8 深度センサ
9 温度/湿度センサ
10 照度センサ
11 スマートスピーカ
12 冷蔵庫
13 ゲートウェイ
14 クラウド
15 パーソナルコンピュータ(PC)
16 スマートウォッチ