【解決手段】雄端子10は、金属製の複数の板部12,14と、複数の板部12,14のそれぞれに設けられており、各板部12,14の先端部から基端部側に向かって円弧断面形状を有して延びる複数の凹状部18,20と、複数の凹状部18,20を組み合わせて設けた筒状の接触部28と、複数の板部12,14の基端部を組み合わせて設けた導通接続部30と、を備えている。
【発明を実施するための形態】
【0009】
<本開示の実施形態の説明>
最初に、本開示の実施態様を列記して説明する。
本開示の雄端子は、
(1)金属製の複数の板部と、前記複数の板部のそれぞれに設けられており、各前記板部の先端部から基端部側に向かって円弧断面形状を有して延びる複数の凹状部と、前記複数の凹状部を組み合わせて設けた筒状の接触部と、前記複数の板部の前記基端部を組み合わせて設けた導通接続部と、を備えた雄端子である。
【0010】
本開示の雄端子によれば、複数の板部を組み合わせて設けられており、各板部が、先端部から基端部側に向かって円弧断面形状を有して延びる凹状部を有している。そして、雄端子の接触部は、複数の凹状部を組み合わせることで、筒状の接触部が形成され、複数の基端部を組み合わせることで導通接続部が形成されている。これにより、従来では鍛造加工や切削加工で製造していた筒状の接触部を条材をプレス打ち抜き加工することで製造することができ、製造コストの低減を図ることができる。
【0011】
しかも、導通接続部や接触部が複数の板部を組み合わせて構成されていることから、導体断面積を有利に確保することができ、導体抵抗も低減することが可能となる。それゆえ、大電流の用途にも適用が可能な雄端子を低コストで提供することも可能となる。加えて、接触部のめっき処理についても、条材の段階で可能であり、円柱状の接触部を切削加工等により製造した後に、個別に部分めっきを行う場合に比して、さらなる製造コストの低減も図ることができる。
【0012】
(2)前記複数の板部が、第1板部と第2板部を含み、前記凹状部が、前記第1板部に設けられた円弧状の第1凹状部と前記第2板部に設けられた円弧状の第2凹状部を含み、前記第1板部と前記第2板部を板厚方向で重ね合せることにより、前記第1板部と前記第2板部の前記先端部側に丸筒状の前記接触部が形成され、前記第1板部と前記第2板部の前記基端部側に平板状の前記導通接続部が形成されている、ことが好ましい。第1板部と第2板部を重ね合わせることで、丸筒状の接触部と平板状の導通接続部を有する雄端子を、簡単かつ歩留まりよく製造することができるからである。なお、円弧状の第1/第二凹状部は、必ずしも周方向に一定の曲率で湾曲している必要はなく、曲率が周方向で変化しつつ全体として接触部の半分の周方向長さをもって湾曲している凹状部を含む。それゆえ、丸筒状の接触部も、必ずしも真円断面である必要はなく、周方向で曲率が変化しつつ全体として丸筒形状を呈するものが含まれる。
【0013】
(3)上記(2)において、前記第1板部の前記基端部側と前記第2板部の前記基端部側が連結部を介して連結している、ことが好ましい。第1板部と第2板部の基端部側が連結部を介して連結していることから、雄端子の取扱性が容易となる。また、長尺の平板の長手方向両端部に凹状部を形成し、その後、中央部分で折り曲げて両端部を重ね合わせることにより、第1板部と第2板部および連結部を一体的に設けることができることから、製造効率の向上も図ることができる。なお、連結部は、第1板部と第2板部を相互にかしめるかしめ片や、相互に溶着する溶着部によって構成してもよい。
【0014】
(4)前記接触部の先端部に対して、前記先端部を覆う絶縁性キャップが着脱自在に装着されている、ことが好ましい。接触部の先端部に絶縁性キャップが着脱自在に装着されていることから、高電圧用の用途に雄端子を用いた場合でも、触手防止・感電防止の機能を付与することができる。特に、接触部とは別体に設けた絶縁性キャップを着脱自在に装着すればよいことから、従来のように円柱状の雄端子に鋳造により一体的に絶縁性キャップを設けていた場合に比して、製造コストのさらなる低減を図ることができる。
【0015】
(5)前記接触部の軸直角方向の両側に突出する一対の突出部をさらに含む、ことが好ましい。接触部の軸直角方向の両側に突出する一対の突出部が設けられていることから、雌端子側に一対の突出部を係合させることで、雄端子の雌端子に対する回転変異を防止して、雌雄端子間の接続安定性を有利に向上させることができる。特に、絶縁性キャップを備える場合には、一対の突出部に絶縁性キャップの係合部を設けることができ、接触部の導体断面積を低減することなく、絶縁性キャップの装着が可能となる。
【0016】
<本開示の実施形態の詳細>
本開示の雄端子の具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本開示は、これらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0017】
<実施形態1>
以下、本開示の実施形態1について、
図1から
図5を参照しつつ説明する。雄端子10は、金属製の第1板部12と第2板部14を含んでいる。第2板部14に対して上方から第1板部12を板厚方向で重ね合せることにより、雄端子10が形成されている。なお、以下では、複数の同一部材については、一部の部材にのみ符号を付し、他の部材については符号を省略する場合がある。
【0018】
<第1板部12と第2板部14>
図5に示すように、雄端子10は、帯状の金属平板16を所定の形状にプレス加工してなる。金属平板16を構成する金属としては、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金等の電気抵抗の低い金属を適宜に選択することができる。より詳細には、本実施形態の雄端子10は、プレス加工された金属平板16の長手方向の一端側(
図5中、下側)に形成された第1板部12が、他端側(
図5中、上側)に形成された第2板部14上に向かって2つ折り状に折り重ねられて形成されている。そして、後述する突出部22や導通接続部30といった折り重ねられて接触した部分の一部が溶接等の公知の技術によって固着されている。
【0019】
<第1凹状部18と第2凹状部20>
プレス加工された金属平板16は、長手方向(
図5中、上下方向)の両端側が中央部よりもやや狭幅とされている。この狭幅とされた部位の幅方向(
図5中、左右方向)の中央部が下方(
図5中、紙面に垂直な方向の下方)に向かってドーム状に突出している。これにより、第1板部12には、凹状部を構成する円弧状の第1凹状部18が、第1板部12の先端部(
図5中、下端部)から基端部(
図5中、中央部)側に向かって円弧断面形状を有して延びている。第2板部14には、凹状部を構成する円弧状の第2凹状部20が、第2板部14の先端部(
図5中、上端部)から基端部(
図5中、中央部)側に向かって円弧断面形状を有して延びている。
図3に示すように、第1凹状部18と第2凹状部20は、周方向の中央部分の曲率が周方向の両端部分よりも小さくされており、屈曲点がなく滑らかに連続する内周面を形成している。
【0020】
<突出部22と切欠部24>
第1凹状部18と第2凹状部20の幅方向(
図5中、左右方向)の端部にはそれぞれ、幅方向外方に向かって突出する一対の矩形平板状の突出部22,22が設けられている。また、一対の突出部22,22の長手方向の端側には、幅方向外方に向かって開口する台形断面形状の切欠部24が設けられている。加えて、金属平板16の長手方向の中央部には、一対の円形断面形状のボルト挿通孔26,26が長手方向に離隔して形成されている。
【0021】
<接触部28と導通接続部30>
本実施形態の雄端子10は、金属平板16の一端側(
図5中、下側)に形成された第1板部12が、他端側(
図5中、上側)に形成された第2板部14上に向かって折り重ねられて形成されている。
図2に示すように、第1板部12と第2板部14を板厚方向で重ね合せることにより、第1板部12と第2板部14の先端部側(
図2中、左上側)に周方向で屈曲点のない丸筒状の接触部28が形成され、基端部側(
図2中、右下側)に平板状の導通接続部30が形成されている。すなわち、雄端子10は、第1凹状部18と第2凹状部20を組み合わせることにより丸筒状の接触部28が設けられており、第1板部12と第2板部14の基端部(
図2中、右下部)を組み合わせることにより導通接続部30が設けられている。なお、雄端子10の接触部28の外面32が、後述する雌端子50の筒状接続部60と接続されることにより、雄端子10と雌端子50が導通接続されている。また、雄端子10の導通接続部30に対して図示しない相手側端子がボルト締結されて導通接続されることにより、雄端子10と相手側端子が導通接続されるようになっている。
【0022】
<連結部34>
本実施形態の雄端子10は、以上の結果、第1板部12の基端部側(
図2中、右下側)と第2板部14の基端部側(
図2中、右下側)が、連結部34を介して連結されている。また、第1板部12と第2板部14に設けられた一対の突出部22,22は、それぞれ板厚方向で重ね合わされており、接触部28の軸直角方向の両側に突出されている。重ね合わされた一対の突出部22,22の先端部側(
図2中、左上側)には、切欠部24が重ね合わされている。
【0023】
<絶縁性キャップ38>
図1から
図4に示すように、雄端子10の接触部28の開口部36には、合成樹脂製の絶縁性キャップ38が嵌め込まれている。より詳細には、雄端子10の接触部28の先端部(
図2中、左上端部)に対して、先端部を覆う絶縁性キャップ38が着脱自在に装着されている。絶縁性キャップ38は、円柱形状を有しており、一方側が小径部40とされている一方、他方側が小径部40より大径の大径部42とされている。小径部40の径方向(
図3中、左右方向)に対向する外周面には、径方向外方に向かって三角断面形状で突出して軸方向に延びる一対の突条44,44が設けられている(
図2参照)。大径部42の径方向に対向する外周面には、小径部40に設けられた一対の突条44,44の突出方向に向かって延び出し、突条44を越えた後に小径部40の軸方向に沿って小径部40側に延びる係合部46が設けられている(
図2参照)。係合部46の先端部には、小径部40側に向かって突出する台形断面形状の係合突起48が形成されている。
【0024】
雄端子10の接触部28の開口部36に対して絶縁性キャップ38を嵌め込む際には、まず絶縁性キャップ38の小径部40を雄端子10の接触部28の開口部36に向ける。続いて、小径部40の一対の突条44,44が雄端子10の接触部28の一対の突出部22,22間の隙間に入るように、絶縁性キャップ38を接触部28内に挿入する。これにより、絶縁性キャップ38が、一対の突条44,44によってガイドされて、絶縁性キャップ38の係合部46に設けられた係合突起48が雄端子10の突出部22に設けられた切欠部24に係合するまで、雄端子10の接触部28に対して挿入される。この結果、
図3に示すように、絶縁性キャップ38の小径部40の外周面が雄端子10の接触部28の内周面に密着されると共に、一対の突条44,44が雄端子10の接触部28の一対の突出部22,22間の隙間に保持される。また、絶縁性キャップ38の係合突起48が雄端子10の突出部22に設けられた切欠部24に係合される。しかも、絶縁性キャップ38の大径部42が雄端子10の接触部28の開口部36の周縁部に接触している(
図4参照)。これにより、絶縁性キャップ38が雄端子10の接触部28に対してがたつくことなく安定的に保持される。
【0025】
<雌端子50>
図1から
図4に示すように、このように構成された雄端子10が、雌端子50に対して接続される。雌端子50は、相互に対向配置される第1周壁部52と第2周壁部54を含む雌端子金具56を有している。雌端子金具56には、第1周壁部52と第2周壁部54の内面58により、雄端子10の接触部28と導通接続される筒状接続部60が形成されている。
【0026】
<第1周壁部52と第2周壁部54>
図1および
図4に示されているように、雌端子金具56は、帯状の金属平板62を所定の形状にプレス加工してなる。金属平板62を構成する金属としては、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金等の電気抵抗の低い金属を適宜に選択することができる。本実施形態では、帯状の金属平板62は、長さ方向の一端部64が他端部66(
図3中、左側)上に向かって2つ折り状に折り重ねられている。一端部64が他端部66上に折り重ねられた状態で重ね合わせ面の長さ方向の中間部分が相互に離隔する方向に向かって湾曲されることにより、略円筒状の筒状接続部60が形成されている。なお、筒状接続部60は、雄端子10が圧入されるように構成されている。
【0027】
図1から
図4に示すように、第1周壁部52の外面の幅方向中央部には、平面視で矩形断面形状の凹所68が設けられている。凹所68によって、第1周壁部52の外面には、長さ方向断面(
図3参照)および幅方向断面(
図4参照)において、円弧状断面で径方向内方に向かって突出する円弧状突部70が形成されている。それゆえ、雌端子50の筒状接続部60は、雄端子10の接触部28に対して確実に導通接続することが可能となっている。
【0028】
相互に対向配置される第1周壁部52と第2周壁部54により、筒状接続部60が形成されている。これにより、例えば
図3に示すように、第1周壁部52と第2周壁部54の相互に対向する一対の第1周端部72,72には、相互に離隔して外方(
図3中、左方)に突出する一対の重ね板部74a,74bがそれぞれ連接されている。また、一対の第1周端部72,72に対して第1周壁部52と第2周壁部54の径方向で対向する周方向の他の箇所には一対の第2周端部76,76が形成されている。一対の第2周端部76,76には、一対の第2周端部76,76に連接して外方(
図3中、右方)に向かって突出する一対の延出板部78,78が設けられている。一対の延出板部78,78が相互に重ね合されることにより電線接続部80が構成されている。
【0029】
<クリップ82>
一対の重ね板部74a,74bに対してクリップ82が組み付けられている(
図1から
図3参照)。クリップ82は、プレス加工や打抜き加工等が可能な種々の金属材料、例えばばね鋼やステンレス鋼,黄銅,リン青銅,ベリリウム銅等の帯板を用いて形成されている。クリップ82は、矩形平板状の連結板部84と、連結板部84の両側縁部から相互に接近する方向に突出する矩形平板状の一対の挟持板部86,86を有している。一対の挟持板部86,86の突出端部が、相互に離隔する方向にわずかに屈曲されている。一対の挟持板部86,86が突出端部において最も接近した突出端部間の隙間が、挿込口88とされている。挿込口88における一対の挟持板部86,86の幅方向中央部には、板厚方向に矩形断面形状のロック穴90が貫設されている。
【0030】
また、挿込口88における一対の重ね板部74a,74bの幅方向中央部には、重ね板部74aの上面および重ね板部74bの下面のそれぞれにおいて、略三角断面形状を有するロック爪92が突設されている。加えて、一対の延出板部78,78の延出端部は、電線接続部80に連接されている。電線接続部80において、電線94の芯線96が雌端子金具56に対して公知の圧着技術を用いて導通接続されている。
【0031】
クリップ82が、雌端子金具56の一対の重ね板部74a,74bの突出方向の先端部(
図3中、左側)に対して、挿込口88から圧入される。この際、一対の挟持板部86,86が相互に離隔する方向に弾性変形することで、一対の重ね板部74a,74bに設けられたロック爪92を乗り越える。その後、一対の挟持板部86,86が弾性復帰することにより、一対の挟持板部86,86に設けられたロック穴90にロック爪92がロック嵌合されて、クリップ82が雌端子金具56に離脱不能に保持される。このように、ロック爪92をロック穴90にロック嵌合するという簡単な構造により、雌端子金具56の一対の重ね板部74a,74bに対して、クリップ82を保持させることができる。また、一対の重ね板部74a,74bが、一対の挟持板部86,86の弾性復元力により、一対の挟持板部86,86間で相互に重ね合された状態に付勢されている。
【0032】
このような構造とされた本開示の雄端子10によれば、第2板部14に対して上方から第1板部12を板厚方向で重ね合せることにより、雄端子10が形成されている。そして、第1板部12に設けられた第1凹状部18と第2板部14に設けられた第2凹状部20を組み合わせることで、雄端子10の接触部28が形成されており、第1板部12と第2板部14の基端部を組み合わせることにより導通接続部30が設けられている。これにより、従来鍛造加工や切削加工で製造していた接触部を条材をプレス打ち抜き加工することで製造することができる。それゆえ、製造コストの低減を図ることができる。また、雄端子10を第1板部12と第2板部14を用いて形成していることから、1枚の板部を用いて形成されている場合に比して、トータルの板厚を厚くすることができることから、導体の断面積を大きく確保することが容易であり、導体抵抗も容易に低減できる。しかも、従来鍛造加工や切削加工で製造していた接触部のめっき処理についても、条材の段階で可能である。すなわち、円柱状の接触部を切削加工等により製造した後に個別に部分めっきを行う場合に比して、さらなる製造コストの低減を図ることが可能である。加えて、第2板部14に対して上方から第1板部12を板厚方向で重ね合せることにより、丸筒状の接触部28と平板状の導通接続部30を有する雄端子10を、簡単かつ歩留まりよく製造することができる。
【0033】
第1板部12の基端部側(
図2中、右下側)と第2板部14の基端部側(
図2中、右下側)が、連結部34を介して連結されていることから、雄端子10の取扱性が容易である。また、帯状の金属平板16の長手方向両端部に第1凹状部18および第2凹状部20を形成し、中央部分で折り曲げて両端部を重ね合わせることにより、雄端子10が形成されている。これにより、第1板部12と第2板部14および連結部34を一体的に形成することができる。それゆえ、製造効率の向上を図ることができる。
【0034】
図3に示すように、雄端子10の一対の突出部22,22が接触部28の軸直角方向の両側に突出されている。これにより、一対の突出部22,22が雌端子50の第1周端部72,72や第2周端部76,76に接触することで、雄端子10の接触部28における雌端子50の筒状接続部60に対する回転変異を防止している。それゆえ、雄端子10と雌端子50間の良好な接続安定性が確保されている。特に、絶縁性キャップ38を備える場合には、一対の突出部22,22に絶縁性キャップ38の係合突起48が係合する切欠部24を設けることができる(
図2参照)。それゆえ、雄端子10の接触部28と雌端子50の筒状接続部60間の接触面積を低減することなく、絶縁性キャップ38の装着が可能である。
【0035】
雄端子10の接触部28の先端部に対して絶縁性キャップ38を着脱自在に装着可能であることから、高電圧用の用途に本実施形態1の雄端子10を用いた場合でも、触手による感電防止の機能を果たすことができる。しかも、絶縁性キャップ38は、雄端子10の接触部28とは別体であることから、従来のように絶縁性キャップを雄端子に対して一体的に形成していた場合に比して、製造コストの低減を図ることができる。
【0036】
<実施形態2>
上記実施形態1では、雄端子10が接触部28の軸直角方向の両側に突出されている一対の突出部22,22を含む場合を例にとって説明を行ったが、これに限定されない。以下、本開示の実施形態2について、
図6を参照しつつ説明する。本開示の実施形態2の雄端子100は、接触部102の軸直角方向の両側に突出される一対の突出部を有していない。これにより、雄端子100の構造を簡略化できるので、雄端子100を容易かつ低コストで製造することが可能となる。また、突出部を有していないことから、より多くの種類の雌端子に対して、本実施形態2の雄端子100を適用することが可能となる。
【0037】
加えて、本実施形態2では、絶縁性キャップ104の一対の係合部106,106の最大外径寸法:aは、絶縁性キャップ104の大径部42の最大外径寸法:bよりも小さい(a<b)。それゆえ、上記実施形態1に比して、絶縁性キャップ38を装着した雄端子100の接触部102をよりコンパクトに形成することができ、よりコンパクトに雄端子100と雌端子50の接合を実現することができる。
【0038】
<他の実施形態>
本明細書に記載された技術は上記記述および図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本明細書に記載された技術の技術的範囲に含まれる。
【0039】
(1)
図3に示すように、上記実施形態1では、雌端子50の第1周壁部52では、内面58の1箇所で雄端子10の接触部28に電気的に接続されている。また、雌端子50の第2周壁部54では、内面58の2箇所で雄端子10の接触部28に電気的に接続されていたが、これに限定されない。例えば、雄端子10の接触部28は、雌端子50の第1周壁部52や第2周壁部54の内面58に対して1箇所で電気的に接続されていてもよいし、2箇所で電気的に接続されていてもよい。加えて、雄端子10の接触部28は、丸筒状に限定されない。例えば、菱形断面形状等の多角形断面形状であってもよいし、周方向で曲率が一定となる円筒形状であってもよい。
【0040】
(2)上記実施形態1では、雌端子50の導通接続部30や突出部22は溶接によって固着されていたが、これに限定されず、図示しない加締め片を用いた加締め加工やメカニカルクリンチ等の公知の技術によって固着されていてもよい。
【0041】
(3)上記実施形態1,2では、雄端子10,100は第1板部12と第2板部14の2枚の板部を有していたが、これに限定されず、3枚以上の板部を有しており、3枚以上の板部に設けられた凹状部を組み合わせて接触部が形成されていてもよい。これにより、より複雑な構造の接触部を容易に形成することができる。また、3枚以上の板部の基端部を組み合わせて導通接続部が形成されていてもよい。
【0042】
(4)上記実施形態1,2では、雄端子10,100は第1板部12と第2板部14の基端部側が連結部34を介して連結していたが、これに限定されず、第1板部12と第2板部14は別体であってもよい。
【0043】
(5)上記実施形態1,2では、絶縁性キャップ38,104は雄端子10,100に対して着脱自在に装着されていたが、これに限定されない。絶縁性キャップ38,104が雄端子10,100に対して例えばモールド成形等の公知の手段により一体的に構成されていてもよい。