【課題】ストッパねじ自体の長さ増大を避けながら同一長さの1種類のストッパを用いるだけで、ストッパねじ上でのストッパの最大移動ストロークよりも長いストッパの移動可能範囲をカバーできる内視鏡装置を提供する。
【解決手段】内視鏡装置1において、湾曲角度調整機構150におけるストッパ160及びストッパねじ170が、式(1)「C>A≧(C−B)/2」で規定する関係を満たし、ストッパ160のワイヤ延設方向に沿った配置位置を、接続具120の最大調整範囲Cの大きさ「C」からストッパ160のストローク無効長さ部分Bの大きさ「B」を差し引いた大きさ「C−B」の2分の1以上の大きさで「C」よりも小さな移動可能範囲Aの湾曲角度調整機構150で調整できるようにした。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本開示の実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下では、本開示の一実施形態としての医療用の内視鏡装置を例に説明する。医療用の内視鏡装置における観察の対象部位は、例えば、呼吸器、消化器等である。
【0017】
図1は、本開示の一実施形態に係る内視鏡装置の全体構成を示す外観図である。
【0018】
図1に示すように、本実施形態の内視鏡装置1は、被検体の内部に挿入される細長い管状の挿入部12と、挿入部12の基端側に配置された操作部11と、一側が操作部11に接続された連結可撓管(ユニバーサルコード)13と、を備えている。
【0019】
挿入部12は、先端側から順に先端部12a、湾曲可動部12b及び可撓管部12cが連設されて構成されており、可撓管部12aが操作部11の連結部11aに接続された構成になっている。
【0020】
また、連結可撓管13の他側には、内視鏡装置1をプロセッサ2に接続するコネクタ部13aが設けられている。プロセッサ2は、光源装置、システムコントローラ、画像処理装置等を有し、観察部位の電子画像を表示するモニタ3が付設された構成になっている。
【0021】
プロセッサ2の光源装置からの照射光は、LCB(Light Carrying Bundle)の一端側に入射し、LCB内で全反射を繰り返すことによって、LCB内を他端側へ伝播する。LCBは、コネクタ部13aから連結可撓管13、及び操作部11を介して、挿入部12の先端部12aに延設されている。
【0022】
挿入部12の先端部12aには、照明窓,観察窓(対物窓)、等が形成されている。先端部12aの内部には、この照明窓に臨ませて、LCBの出射端からの照射光が入射する配光レンズが設けられている。また、観察窓に臨ませて、観察部位(照明窓からの照射光の被照射部分)からの戻り光を受光する対物レンズが設けられている。
【0023】
加えて、先端部12aの内部は、対物レンズを介して受光面上の各画素で結像した光学像(観察部位からの戻り光)を光量に応じた電荷として蓄積してR,G,Bの画素信号を生成して出力する撮像素子、撮像素子を駆動制御して1フィールドもしくは1フレーム分の画素信号を所定の時間間隔(例えば1/60秒あるいは1/30秒間隔)で読み出して出力するドライバ信号処理回路、等が設けられている。
【0024】
連結可撓管13の管内には、各種信号線,LCB等が挿通されている。各種信号線には、例えば、ドライバ信号処理回路や撮像素子の駆動信号ライン、ドライバ信号処理回路からの画像信号ライン、操作部11に設けられたスイッチからのスイッチ信号ライン、等が含まれる。そのうち、ドライバ信号処理回路や撮像素子の駆動信号ライン,ドライバ信号処理回路からの画像信号ラインは、操作部11を介して、挿入部12の先端部12aに延び、撮像素子やドライバ信号処理回路と接続されている。
【0025】
プロセッサ2は、システムコントローラがメモリに格納された各種プログラムを実行することによって、内視鏡装置1とプロセッサ2とモニタ3とから構成される内視鏡システム全体を統合的に制御する。プロセッサ2は、コネクタ接続された内視鏡装置1からスイッチ信号ラインを介して受信したスイッチ操作信号を基に、プロセッサ2側の対応機器を駆動制御したり、画像信号ラインを介して受信した画像信号を基に、観察部位の電子画像をモニタに表示したり、画像記録媒体に記録することができる。
【0026】
このような内視鏡装置1では、操作部11に設けた湾曲操作機構15によって、挿入部12の湾曲可動部12bを所望形態に湾曲させることができる。
【0027】
図2は、湾曲操作機構が設けられた操作部の構成断面図である。
【0028】
湾曲操作機構15は、挿入部12の湾曲可動部12bを左右方向として規定される面内で湾曲させるための左右湾曲機構15LRと、湾曲可動部15を左右方向として規定される面と直交する上下方向の面内で湾曲させるための上下湾曲機構15UDとを有している。
【0029】
操作部11の操作部筐体11'内には基板11bが固設され、この基板11b上には湾曲操作機構15の回動基軸21の基端側が固定されている。その際、回動基軸21の基端側は、操作部筐体11'に形成した貫通孔11cを介して、操作部筐体11'内に配置される。回動基軸21は、基端側が基板11bに固定された状態で、先端側が、貫通孔11cを介して、筐体外部(図中、上方)に突出するようになっている。回動基軸21を基板11b上に固定後、操作部筐体11'の貫通孔11cの内周面と後述する固定筒軸台座61の外周面との間に生じる隙間部分は、蓋体11dによって液密に塞がれる。
【0030】
ここで、湾曲操作機構15の左右湾曲機構15LRの構成について説明する。
【0031】
回動基軸21の外周面には、左右湾曲機構15LRを構成する筒状の操作軸体31が、外挿されている。操作軸体31は、その筒軸孔に回動基軸21が挿通されて、回動基軸21に対して回動可能に支持されている。
【0032】
操作軸体31は、その外周面に、軸方向に沿って回動基軸21の先端側から基端側に向けて、すなわち図中における操作軸体31の上端側から下端側に向けて、底板部31a,嵌合部31b,プーリー取付部31cが順次形成された形態になっている。
【0033】
底板部31aは、操作軸体31の上端側の外周部が嵌合部31bに対して径方向外方に突出した円板状のフランジ部で構成されている。底板部31aは、その外周部分が左右湾曲機構15LRの操作部としての湾曲操作ノブ33のノブ本体33'と固定されている。
【0034】
嵌合部31bには、後述する上下湾曲機構15UDを構成する筒状の操作軸体41の筒軸孔が操作軸体31に対して回動可能かつ液密に嵌合する。嵌合部31bすなわち操作軸体31の外周には、上下湾曲機構15UDの操作軸体41が、左右湾曲機構15LRと同様に、回動基軸21に対して操作軸体31とは独立に回動可能に外挿されることになる。
【0035】
プーリー取付部31cには、プーリー35が固定される。プーリー35は、操作軸体31と一体的に回動可能になっている。
【0036】
湾曲操作ノブ33は、左右湾曲機構15LRの湾曲操作部を構成する。湾曲操作ノブ33のノブ本体33'の外周面は、その周回りに沿って等間隔で、例えば5つの指掛部33aがノブ本体33'の径方向外方に突出して形成されている。
【0037】
また、ノブ本体33'には、孔軸をノブ本体33'の中心軸に一致させて、大径の有底孔部33bが形成されている。有底孔部33bは、その孔軸に垂直な孔断面形状が円形になっている。有底孔部33bの底部に該当するノブ本体33'の部分には、有底孔部33bの孔軸すなわちノブ本体33'の中心軸と一致させて、ロック軸部材71を挿通させるための軸挿通孔33cが貫通形成されている。
【0038】
湾曲操作ノブ33は、ノブ本体33'に形成されている有底孔部33bの孔開口を操作軸体31の底板部31aと対向させて、操作軸体31の底板部31aをノブ本体33'の孔開口端に嵌合して固定することによって、操作軸体31に対して固定されている。底板部31aがノブ本体33'に固定されることにより、湾曲操作ノブ33を回動操作すれば、湾曲操作ノブ33に底板部31aが固定されている操作軸体31は、湾曲操作ノブ33に応動して回動し、操作軸体31のプーリー取付部31cに固定されたプーリー35も、湾曲操作ノブ33及び操作軸体31と一体的に回動する。
【0039】
プーリー35には、一対の同径の巻回部35a,35bが設けられている。各巻回部35a,35bには、それぞれ操作ワイヤ37a,37bが巻回方向を異ならせて固定されている。プーリー35の回動によって、操作ワイヤ37aと操作ワイヤ37bのうちのいずれか一方の操作ワイヤ37がプーリー35に巻き取られ、いずれか他方の操作ワイヤ37がプーリー35から繰り出される。また、プーリー35の回動方向の正逆切り換えに応じて、巻回部35a,35b間で巻き取り側と繰り出し側とが入れ替わる。
【0040】
操作ワイヤ35a,35bは、挿入部12の湾曲可動部12bに備えられた、左右湾曲機構15LRの被作動部の節輪にそれぞれ接続されている。左右湾曲機構15LRの被作動部は、操作ワイヤ35a,35bそれぞれの巻き取り及び繰り出し動作に応動して、湾曲可動部12bを左右方向に湾曲する。例えば、
図1中のL方向に湾曲操作ノブ33を回動させると、操作軸体31も一体的に回動し、湾曲可動部12bが図中、左方に湾曲する一方、湾曲操作ノブ33をR方向に回動させると、湾曲可動部12bが図中、右方に湾曲する。
【0041】
その際、図示の例では、プーリー35の巻回部35a,35bは、互いの巻回軸の軸心をずらせて、互いの巻回軸の軸心を操作軸体31の軸心に対して偏心させて設けられている。これにより、湾曲操作ノブ33の回動操作に応じて、巻回部35a,35bのそれぞれ巻回軸が操作軸体31の軸心を中心に公転しながら巻回部35a,35bが回動するので、湾曲操作ノブ33の指掛部33aの回動操作量を操作ワイヤ35a,35bそれぞれの巻き取り及び繰り出し回動量に精度よく伝達できる構成になっている。
【0042】
また、実施例においては、操作軸体31の底板部31aがノブ本体33'に固定されて、ノブ本体33'の有底孔部33bに、ブレーキ機構収納室39が画成されている。そして、ブレーキ機構収納室39には、操作軸体31の先端の軸孔開口端によって支持されて、左右湾曲機構15LRに付設されたブレーキ機構70の制動力発生機構73が収容されている。
【0043】
ブレーキ機構70は、左右湾曲機構15LRによる現在の湾曲可動部12bの左右湾曲姿勢状態を保持(ロック)しておきたい場合に、左右湾曲機構15LRの湾曲操作ノブ33が不作為に回動しないように湾曲操作ノブ33の回動に制動(ブレーキ)をかける機構である。ブレーキ機構70は、ロック軸部材71の回動によって制動力発生機構73に制動力の発生又は解除を行わせて、湾曲操作ノブ33の回動をロック(制動)又はロック解除(制動解除)できる構成になっている。
【0044】
ブレーキ機構70の制動及び制動解除を行うためのロック軸部材71は、図示の例では、一端側の外周部分がフランジ部71bになった筒軸部材で構成されている。ロック軸部材71は、筒部71aが回動基軸21の先端側の外周部分に外挿されて設けられている。ロック軸部材71は、筒軸孔に回動基軸21が挿通され、回動基軸21に対して回動可能に設けられている。また、ロック軸部材71は、湾曲操作ノブ33の軸挿通孔33cに筒部71aを挿通させ、フランジ部71bを湾曲操作ノブ33のノブ本体33'外に位置させるようにして、湾曲操作ノブ33に対しても回動可能に設けられている。その上で、ロック軸部材71は、回動基軸21の先端側の外周面に取り付けられた止め輪によって、回動基軸21の軸方向に沿った取付位置が規制され、制動力発生機構73は、湾曲操作ノブ33の被制動面(被押圧面)との間で回動基軸21の軸方向に沿った互いの位置合わせがなされている。
【0045】
ロック軸部材71には、一端側のフランジ部71bに、ブレーキ機構70のブレーキ操作ノブ75が取り付けられて固定されている。ロック軸部材71の他端側の筒部71aは、制動力発生機構73との係合部71cになっている。
【0046】
ブレーキ操作ノブ75を回動することにより、ロック軸部材71はブレーキ操作ノブ75と一体的に、回動基軸21及び湾曲操作ノブ33に対して回動でき、制動力発生機構73の制動力の発生又は解除を行えるようになっている。
【0047】
次に、湾曲操作機構15の上下湾曲機構15UDの構成について説明する。上下湾曲機構15UDは、回動基軸21の軸方向に沿って、左右湾曲機構15LRと左右湾曲機構15LRのプーリー35との間に位置するように配置されている。
【0048】
上下湾曲機構15UDは、筒状の操作軸体41を有し、操作軸体41は、左右湾曲機構15LRを構成する操作軸体31の嵌合部31bに、回動可能に外挿されている。操作軸体41は、その外周面に、軸方向に沿って回動基軸21の先端側から基端側に向けて、すなわち図中における操作軸体41の上端側から下端側に向けて、蓋板部41a,嵌合部41b,プーリー取付部41cが順次形成された形態になっている。
【0049】
蓋板部41aは、操作軸体41の一端側の外周部分が嵌合部41bに対して径方向外方に突出した円板状のフランジ部で構成されている。蓋板部41aは、その外周部分が上下湾曲機構15UDの操作部としての湾曲操作ノブ43のノブ本体43'と固定される。
【0050】
嵌合部41bは、筒状の固定筒軸台座61の軸孔に対して回動可能に嵌合する。すなわち、嵌合部41bすなわち操作軸体41の外周には、固定筒軸台座61が外挿される。
【0051】
プーリー取付部41cには、プーリー45が固定される。プーリー45は、操作軸体41と一体的に回動可能になっている。
【0052】
湾曲操作ノブ43は、上下湾曲機構15UDの湾曲操作部を構成する。湾曲操作ノブ43のノブ本体43'の外周面は、その周回りに沿って等間隔で、例えば5つの指掛部43aがノブ本体43'の径方向外方に突出して形成されている。
【0053】
湾曲操作ノブ43のノブ本体43'には、孔軸をノブ本体43'の中心軸に一致させて、大径の貫通孔部43bが形成されている。貫通孔部43bは、その孔軸に垂直な孔断面形状が円形になっている。
【0054】
貫通孔部43bの一端側開口部分(図中、上方側開口部分)は、操作軸体41の蓋板部41aとの嵌合部になっている。貫通孔部43bの一端側開口には、操作軸体41の蓋板部41aが嵌合し、一端側開口は、蓋板部41aによって液密に施蓋される。
【0055】
貫通孔部43bの他端側開口部分(図中、下方側開口部分)は、環状の底板部63との嵌合部になっている。底板部63には、湾曲操作ノブ43の貫通孔部43bとの固定状態で、孔軸を貫通孔部43bの孔軸及びノブ本体43'の中心軸と一致させるようにして、後述するロック軸部材81を挿通させるための軸挿通孔65が貫通形成されている。
【0056】
湾曲操作ノブ43は、ノブ本体43'に形成されている貫通孔部43bの一端側開口部分に操作軸体41の蓋板部41aを嵌合することによって、操作軸体41に対して固定され、湾曲操作ノブ43と操作軸体41とは、操作軸体31に対して一体的に回動可能できるようになっている。湾曲操作ノブ43と操作軸体41とが固定されることにより、湾曲操作ノブ43を回動操作すれば、湾曲操作ノブ43に蓋板部41aが固定されている操作軸体41は、湾曲操作ノブ43に応動して回動し、操作軸体41のプーリー取付部41cに固定されたプーリー45も、湾曲操作ノブ43及び操作軸体41と一体的に回動する。その際、湾曲操作ノブ43に固定された底板部63は、ロック軸部材81の周りをxリングを介して回動し、湾曲操作ノブ43はロック軸部材81に対しても相対回動できるようになっている。
【0057】
プーリー45には、一対の同径の巻回部45a,45bが設けられている。各巻回部45a,45bには、それぞれ操作ワイヤ47a,47bが巻回方向を異ならせて固定されている。プーリー45の回動によって、操作ワイヤ47aと操作ワイヤ47bのうちのいずれか一方の操作ワイヤ47がプーリー45に巻き取られ、いずれか他方の操作ワイヤ47がプーリー45から繰り出される。また、プーリー45の回動方向の正逆切り換えに応じて、巻回部45a,45b間で巻き取り側と繰り出し側とが入れ替わる。
【0058】
操作ワイヤ47a,47bは、挿入部12の湾曲可動部12bに備えられた、上下湾曲機構15UDの被作動部の節輪にそれぞれ接続されている。上下湾曲機構15UDの被作動部は、操作ワイヤ47a,47bそれぞれの巻き取り及び繰り出し動作に応動して、湾曲可動部12bを上下方向に湾曲させる。例えば、
図1中のU方向に湾曲操作ノブ43を回動させると、操作軸体41も一体的に回動し、湾曲可動部12bが図中、上方に湾曲される一方、湾曲操作ノブ43をD方向に回動させると、湾曲可動部12bが図中、下方に湾曲される。
【0059】
その際、図示の例では、プーリー45の巻回部45a,45bも、プーリー35の巻回部35a,35bの場合と同様に、互いの巻回軸の軸心をずらせて、互いの巻回軸の軸心を操作軸体41の軸心に対して偏心させて設けられている。これにより、湾曲操作ノブ43の指掛部43aの回動量を操作ワイヤ47a,47bそれぞれの巻き取り及び繰り出し回動量に精度よく伝達できる構成になっている。
【0060】
また、実施例においては、操作軸体41の蓋板部41a,底板部63がノブ本体43'に固定されて、ノブ本体43'には、ブレーキ機構収納室49が貫通孔部43bに画成される。そして、ブレーキ機構収納室49には、固定筒軸台座61及びこの固定筒軸台座61に支持されたロック軸部材81によって支持されて、上下湾曲機構15UDに付設されたブレーキ機構80の制動力発生機構83が収容されている。
【0061】
ブレーキ機構80は、上下湾曲機構15UDによる現在の湾曲可動部12bの上下湾曲姿勢状態を保持(ロック)しておきたい場合に、上下湾曲機構15UDの湾曲操作ノブ43が不作為に回動しないように湾曲操作ノブ43の回動に制動(ブレーキ)をかける機構である。ブレーキ機構80は、ロック軸部材81の回動によって制動力発生機構83に制動力の発生又は解除を行わせて、湾曲操作ノブ43の回動をロック又はロック解除できる構成になっている。ここでは、説明上の便宜のため、制動力発生機構83の具体的な構成及び作用についての説明は省略し、追って詳述する。
【0062】
ブレーキ機構80の制動及び制動解除を行うためのロック軸部材81は、図示の例では、一端側の外周部分がフランジ部81bになった筒軸部材で構成されている。ロック軸部材81のフランジ部81bには、その周回りの所定箇所に取付部81cが突出形成されている。取付部81cには、ブレーキ操作レバー85が取り付け固定されている。ブレーキ操作レバー85は、回動基軸21を中心とした径方向に、レバーの操作端が湾曲操作ノブ43よりも外側に突出する形態になっている。
【0063】
ロック軸部材81は、筒部81aが固定筒軸台座61の外周面に外挿されて、固定筒軸台座61に対して回動可能に設けられている。図示の例では、固定筒軸台座61は、小径の軸孔部分と大径の軸孔部分とが互いの軸心を合わせて連設され、段付貫通孔部を備えた筒状部材で構成されている。固定筒軸台座61は、大径の軸孔部分の開口が設けられた側の開口縁部が回動基軸21と共に基板11bに固定される。
【0064】
固定筒軸台座61の貫通段付孔部における小径の軸孔部分には、回動基軸21,操作軸体31,操作軸体41が挿通され、大径の軸孔部分には、回動基軸21,操作軸体31,操作軸体41が挿通され、さらに操作軸体31に固定されたプーリー35及び操作軸体41に固定されたプーリー45が収容されている。プーリー35,45が収容された固定筒軸台座61の基端側部分には、プーリー35,45から操作ワイヤ37,47を導出するための導出切欠部61aが設けられている。
【0065】
小径の軸孔部分が設けられた側の固定筒軸台座61の先端側部分は、操作部筐体11'の蓋体11dに備えられた貫通孔11c、ロック軸部材81の筒軸孔、及びブレーキ機構収納室49の制動力発生機構83を挿通される。
【0066】
固定筒軸台座61の先端の軸孔開口端によって、湾曲操作機構15における回動基軸21の軸方向に沿って、上下湾曲機構15UDの湾曲操作ノブ43が左右湾曲機構15LRの湾曲操作ノブ33と操作部筐体11'との間に重なって配置されるように支持される。
【0067】
また、固定筒軸台座61の先端側部分の外周面に適宜形成された支持段部61bによって、ブレーキ機構80の制動力発生機構83は、湾曲操作ノブ43のブレーキ機構収納室49に収容支持され、ロック軸部材81は、回動基軸21の軸方向に沿ってブレーキ操作レバー85が湾曲操作ノブ43と操作部筐体11'との間に配置されるように支持される。
【0068】
ブレーキ操作レバー85が回動操作されると、ロック軸部材81は、固定筒軸台座61すなわち回動基軸21に対して、ブレーキ操作レバー85と一体的に回動するようになっている。
【0069】
次に、湾曲操作機構15に備えられたブレーキ機構の構成について説明する。左右湾曲機構15LRのブレーキ機構70と上下湾曲機構15UDのブレーキ機構80とは、それぞれの制動力発生機構73,83の構成が湾曲操作ノブ33,43のブレーキ機構収納室39,49に設けられ、湾曲操作ノブ33の有底孔部33b及び湾曲操作ノブ43の貫通孔部43bそれぞれの孔内周面を被制動面(被押圧面)としている点で同じであり、両者は略同様な構成になっている。
【0070】
図3は、操作部の連結部に収容された弛緩部の模式図である。
【0071】
弛緩部100は、操作部11の操作部筐体11'内において、左右湾曲機構15LRのワイヤ37(37a,37b)、上下湾曲機構15UDのワイヤ47(47a,47b)毎に別々に設けられている。
【0072】
ワイヤ37は、左右湾曲機構15LRのプーリー35と挿入部12の湾曲可動部12bにおける左右湾曲機構15LRの被作動部との間を接続し、湾曲操作ノブ33の回動操作に応じて左右湾曲機構15LRの湾曲可動部12bを左右方向として規定される面内で湾曲及び伸張させる。ワイヤ37a,37bは、プーリー35に接続されたプーリー側ワイヤ37ax,37bxと、湾曲可動部12bの左右湾曲機構15LRの被作動部に接続された湾曲可動部側ワイヤ37ay,37byとで分割された構成になっている。プーリー側ワイヤ37ax,37bxと湾曲可動部側ワイヤ37ay,37byとは、連結部としての左右湾曲機構15LRの弛緩部100で連結された構成になっている。
【0073】
同様に、ワイヤ47は、上下湾曲機構15UDのプーリー45と挿入部12の湾曲可動部12bにおける上下湾曲機構15UDの被作動部との間を接続し、湾曲操作ノブ43の回動操作に応じて湾曲可動部12bの左右方向として規定される面と直交する上下方向の面内で湾曲及び伸張させる。ワイヤ47a,47bも、プーリー45に接続されたプーリー側ワイヤ47ax,47bxと、湾曲可動部12bの上下湾曲機構15UDの被作動部に接続された図示せぬ湾曲可動部側ワイヤ47ay,47byとで分割された構成になっている。プーリー側ワイヤ47ax,47bxと湾曲可動部側ワイヤ47ay,47byとは、連結部としての上下湾曲機構15UDの弛緩部100で連結された構成になっている。
【0074】
なお、
図3においては、上下湾曲機構15UDの弛緩部100は、左右湾曲機構15LRの弛緩部100と図面上で紙面に垂直な方向に重ねられて操作部11の操作部筐体11'内に配置された構成になっているため、左右湾曲機構15LRの弛緩部100だけが表れている。左右湾曲機構15LRの弛緩部100と上下湾曲機構15UDの弛緩部100とは、ワイヤ37(37a,37b)とワイヤ47(47a,47b)とが異なる以外は構成及び作用は同一なので、以下の説明では、左右湾曲機構15LRの弛緩部100の構成及び作用についてだけ図面に基づいて詳細に説明し、上下湾曲機構15UDの弛緩部100の構成及び作用についてはその詳細な説明は省略する。
【0075】
この場合、弛緩部100には、プーリー側ワイヤ37ax,37bxと湾曲可動部側ワイヤ37ay,37byとを連結する連結具110と、プーリー35に対するワイヤ37a,37bの巻き取り,繰り出しに応じた連結具110のワイヤ延設方向に沿った移動可能範囲を調整して、湾曲可動部12bの左右方向に係る最大湾曲角度を調整する湾曲角度調整機構150とが設けられている。
【0076】
連結具110は、調整棒と称する接続具120(120a,120b)を含む。プーリー側ワイヤ37ax,37bxと湾曲可動部側ワイヤ37ay,37byとは、この接続具120(120a,120b)によって、ワイヤ37a,37bとして一体的に作動可能になっている。
【0078】
接続具120は、例えば、長さ方向に沿って貫通溝121が形成され幅方向に沿った断面がコ字形状の溝枠体で構成され、溝枠体は剛性部材で形成されている。接続具120の貫通溝121は、長さ方向の中央部分に対して長さ方向の両端側部分が溝幅が小さくなった段付き溝孔形状になっている。
【0079】
この場合、貫通溝121の長さ方向の両端側部分は、小径溝部122(122ax,122bx,122ay,122by)になっている。小径溝部122は、プーリー側ワイヤ37ax,37bxや湾曲可動部側ワイヤ37ay,37byの端部にそれぞれ設けられた連結端部38は収容できないものの、連結端部38よりも小径のワイヤ本体37'は収容可能な溝幅を有する。これに対し、貫通溝の長さ方向の中央部分は、大径溝部123(123a,123b)になっている。大径溝部123は、ワイヤ本体37'よりも大径な連結端部38も収容可能な溝幅を有する。
【0080】
プーリー側ワイヤ37ax,37bxは、貫通溝の溝開口から、ワイヤ本体37'を接続具120a,120bの小径溝部122ax,122bxに収容し、連結端部38を接続具120a,120bの大径溝部123a,123bに収容することより、連結端部38は小径溝部121と大径溝部123との段差面でワイヤ37ax,37bxの延設方向に対して抜け止め掛止される。
【0081】
同様にして、湾曲可動部側ワイヤ37ay,37byは、貫通溝の溝開口から、ワイヤ本体37'を接続具120a,120bの小径溝部122ay,122byに収容し、連結端部38を接続具120a,120bの大径溝部123a,123bに収容することより、連結端部38は小径溝部122と大径溝部123との段差面でワイヤ37ay,37byの延設方向に対して抜け止め掛止される。
【0082】
このような接続具120の構造により、弛緩部100では、ワイヤ37a,37bのうちのいずれか一方がプーリー35に巻き取られ、いずれか他方がプーリー35から繰り出されると、巻き取られ側の一方のワイヤ37、例えばワイヤ37aのプーリー側ワイヤ37axでは、連結端部38が抜け止め掛止されている接続具120がプーリー35側に引き寄せられ、同じ接続具120で連結端部38が抜け止め掛止されている湾曲可動部側ワイヤ37ayも接続具120を介してプーリー35側に引き寄せられる。その一方で、繰り出し側の他方のワイヤ37、この場合ワイヤ37bのプーリー側ワイヤ37byでは、ワイヤ37aのプーリー35側への引き寄せに連動して、湾曲可動部側ワイヤ37byが結端部38が抜け止め掛止されている接続具120が湾曲可動部12b側に引き寄せられ、同じ接続具120で連結端部38が抜け止め掛止されているプーリー側ワイヤ37bxも接続具120を介して湾曲可動部12b側に引き寄せられる。また、プーリー側ワイヤ37bxがプーリー35に巻き取られ、プーリー側ワイヤ37axがプーリー35から繰り出される場合は、プーリー35側に引き寄せられる側と湾曲可動部12b側に引き寄せられる側とが、ワイヤ37a,37b間で逆になる。
【0083】
接続具120(120a,120b)は、そのプーリー35側への移動や湾曲可動部12b側への移動を、操作部11の操作部筐体11'内で、ガイド部材130によって案内支持され、湾曲角度調整機構150によってワイヤ37(37a,37b)の延設方向に沿った移動可能範囲が規制された構成になっている。
【0084】
図5は、操作部の連結部内で接続具を案内支持するガイド部材の構成図である。
図5(A)は、ガイド部材の平面図を示し、
図5(B)は、ガイド部材の
図5(A)中のB−B矢視方向に眺めた断面図を示す。
【0085】
ガイド部材130は、凹凸成形された案内板面を有する板状部材で構成され、その案内板面には、一対の溝状の接続具移動ガイド131(131a,131b)が形成されているともに、後述する湾曲角度調整機構150が搭載される調整機構搭載部132が形成されている。
【0086】
ガイド部材130は、板状部材の長さ方向の一方端がプーリー側端部130xとなり、他方端が湾曲可動部側端部130yとなっている。ガイド部材130は、板状部材の幅方向の両端が接続具120a,120bの接続具移動ガイド131a,131bの外側ガイド壁部131ao,131boになっている。
【0087】
接続具移動ガイド131a,131bは、ガイド部材130の幅方向両側で両端それぞれの延設方向に沿って、外側ガイド壁部131ao,131bo及び底面ガイド壁部131ab,131bbがプーリー側端部130xと湾曲可動部側端部130yとの間を延びて形成されている。
【0088】
また、ガイド部材130は、接続具移動ガイド131a,131b間の幅方向の中央部分に、ガイド部材130の長さ方向であるガイド部材130の軸線方向に沿い湾曲可動部側端部130yからプーリー側端部130xに向かって、取付板部133、操作孔部135、ストッパ案内部137が順次配置されている。
【0089】
取付板部133は、幅方向の両側部分が接続具移動ガイド131a,131bの内側ガイド壁130ai,130biに連接され、その板面部分には、操作部11の操作部筐体11'内にガイド部材130を収容固定するための取付ネジ孔等が形成されている。
【0090】
操作孔部135は、幅方向の両側部分が同じく接続具移動ガイド131a,131bの内側ガイド壁部130ai,130biに連接され、その板面部分には、湾曲角度調整機構150を調整操作するための矩形状の操作孔136が設けられている。
【0091】
ストッパ案内部137は、ガイド部材130の接続具移動ガイド131a,131bに沿って延びる、一対のストッパ移動ガイド138(138a,138b)を有する。一対のストッパ移動ガイド138(138a,138b)は、操作孔部135寄りの、幅方向の両側部分に設けられた一対の境界ガイド部139(139a,139b)によってガイド部材130の接続具移動ガイド130a,130bと画成されている。ストッパ移動ガイド138の境界ガイド部139は、接続具移動ガイド131a,131bの内側ガイド壁部131ai,131biを構成するととともに、ストッパ移動ガイド138a,138bの外側ガイド壁部138ao,138boを構成する。これに対し、プーリー側端部130x寄りの接続具移動ガイド131とストッパ移動ガイド138との境界部は、境界ガイド部139(139a,139b)によって画成されておらず、後述するストッパ160の当接腕部163が移動可能なガイド連絡部141(141a,141b)になっている。
【0092】
一方、一対のストッパ移動ガイド138同士は、ガイド部材130のプーリー側端部130xから延びるT字状の境界ガイド部142によって互いが画成されている。この場合、T字状の境界ガイド部142の延設方向に沿った一方の側面がストッパ移動ガイド138aの内側ガイド壁部138aiを構成し、他方の側面がストッパ移動ガイド138bの内側ガイド壁部138biを構成する。また、T字状の境界ガイド部142には、一対のストッパ移動ガイド138(138a,138b)それぞれの延設方向に沿って、後述するストッパネジ170の先端部が嵌合する一対のストッパねじ嵌合孔143(143a,143b)が設けられている。
【0093】
操作孔部135とストッパ案内部137との境界部分には、一対のストッパ移動ガイド138(138a,138b)それぞれの延設方向に沿って延びる一対のストッパねじ搭載部144(144a,144b)が設けられている。ストッパねじ搭載部144は、操作孔部135とストッパ案内部137との間を貫通する貫通U字溝で構成されている。ストッパねじ搭載部144(144a,144b)と、境界ガイド部142のストッパねじ嵌合孔143(143a,143b)とは、同軸になっている。
【0094】
このような操作孔部135とストッパ案内部137とは、ガイド部材130の調整機構搭載部132を構成する。調整機構搭載部132には、湾曲可動部12bの左右最大湾曲角度を調整する湾曲角度調整機構150が設けられる。湾曲角度調整機構150は、左右湾曲機構15LRの、プーリー側ワイヤ37ax,37bxのプーリー35に対する巻き取り/繰り出しに応じた接続具120(120a,120b)のワイヤ延設方向に沿った移動可能範囲を調整して湾曲可動部12bの左右最大湾曲角度を調整する。
【0095】
湾曲角度調整機構150は、接続具移動ガイド131(131a,131b)上をワイヤ37(37a,37b)の延設方向に沿って移動可能に設けられ、プーリー側ワイヤ37ax,37bxと湾曲可動部側ワイヤ37ay,37byとを一体的に作動可能に連結する接続具120(120a,120b)の移動可能範囲を規制する。湾曲角度調整機構150は、接続具120(120a,120b)の移動可能範囲を規制することにより、プーリー35の巻回部35a,35bに対するプーリー側ワイヤ37ax,37bxの巻き取り量及び繰り出し量を制限して湾曲操作機構15の左右湾曲機構15LRの稼働範囲を規制し、左右方向の面内での挿入部12の湾曲可動部12bの左右最大湾曲角度を調整する。
【0096】
湾曲角度調整機構150は、
図3に示すように、ストッパ160(160m,160n)とストッパねじ170(170a,170b)とを有して構成され、ガイド部材130の調整機構搭載部132に取り付けられている。
【0097】
図6は、接続具の移動可能範囲を規制するストッパの構成図である。
図6(A)は、接続具の移動可能範囲を規制する一方のストッパの一部切断正面図及び側面図である。
図6(B)は、接続具の移動可能範囲を規制する他方のストッパの一部切断正面図及びストッパの側面図である。湾曲角度調整機構150では、胴体部に対する当接腕部の突出方向が互いに反対向きになっている2種類のストッパを使用する。
【0098】
図6(A)において、一方のストッパ160mは、胴体部161と当接腕部163とが一体的に形成されたL字形状の剛性部材で構成されている。図示の例では、胴体部161は、四角柱形状になっており、胴体部161には、ストッパねじ170が螺合するネジ孔162が貫通形成されている。ネジ孔162は、胴体部161の長さ方向に相当する胴体部161の軸線方向に沿って延び、孔内周面には、ストッパねじ170が螺合可能な雌ネジ部が形成されている。
【0099】
胴体部161は、その4つの側面のうちの一の側面が、ストッパ移動ガイド138の被搭載面161pになっており、この被搭載面161pと隣り合う一対の側面のうちの一方の側面は、ガイド部材130の接続具移動ガイド130とストッパ移動ガイド138とを画成する境界ガイド部139の外側ガイド壁部138ao(138bo)に摺接可能な境界ガイド部摺接面161qになっている。また、被搭載面161pと隣り合う一対の側面のうちの他方の側面は、一対のストッパ移動ガイド138同士を画成する境界ガイド部142の内側ガイド壁部138ai(138bi)に摺接可能な境界ガイド部摺接面161rになっている。
【0100】
当接腕部163は、胴体部161の境界ガイド部139に摺接可能な境界ガイド摺接面161qから、胴体部161の軸線方向に垂直な胴体部161の幅方向に向けて突出形成されている。当接腕部163は、腕部164と当接部165とを有する。
【0101】
腕部164は、ガイド部材130の接続具移動ガイド130とストッパ移動ガイド138とを画成する境界ガイド部139a(139b)を跨ぐことができ、当接部165を胴体部161に一体的に連結している。
【0102】
当接部165は、図示の例では、胴体部161と同様に四角柱形状で形成され、その4つの側面のうちの一である胴体部側側面165rを胴体部161の境界ガイド摺接面161qと対向させるようにして、腕部164を介して胴体部161と一体的に構成されている。
【0103】
当接部165は、その軸線方向に沿った長さBが胴体部161の軸線方向に沿った長さDよりも短くなっており、かつ当接部165は、胴体部161の軸線方向の一端側に寄せて胴体部161に対して設けられている。そして、図示の例では、当接部165の軸線方向の一端側の端面が胴体部161の軸線方向の一端側の端面と同一面になるようにして、胴体部161に対して配置されている。このように、当接部165の軸線方向の一端側の端面が胴体部161の軸線方向の一端側の端面と同一面にした場合は、ストッパ160mの軸線方向に沿った長さは、胴体部161の軸線方向に沿った長さDになる。
【0104】
なお、当接部165の軸線方向の一端側の端面と胴体部161の軸線方向の一端側の端面とが軸線方向にずれていても当接部165が胴体部161の軸線方向の一端側に寄っていさえすればよく、そのうち、当接部165の軸線方向の一端側の端面が胴体部161の軸線方向の一端側の端面よりも突出する場合は、ストッパ160mの軸線方向に沿った長さは、胴体部161の軸線方向に沿った長さDよりも当接部165が突出している分だけ長くなる。
【0105】
当接部165は、胴体部161がガイド部材130のストッパ移動ガイド138に移動可能に保持されている状態で、胴体部側側面165rと隣り合うガイド対向面165pを接続具移動ガイド131の底面ガイド壁部131ab(131bb)に対向させることができ、ガイド対向面165pを挟んで胴体部側側面164qとは反対側の側面になる外側側面165rを外側ガイド壁部131ao(131bo)に対向させることができるようになっている。これにより、当接部165は、接続具移動ガイド131a(131b)上を移動可能に配置されるようになっている。
【0106】
その上で、接続具移動ガイド131の底面ガイド壁部131ab(131bb)に対向する当接部165の側面165pには、軸方向に沿って、U字状のワイヤ挿通溝166が貫通形成されている。ワイヤ挿通溝166の溝幅及び溝深さは、胴体部161がガイド部材130のストッパ移動ガイド138に移動可能に保持されている状態でワイヤ37a(37b)を溝内に収容することができ、かつ収容されたワイヤ37a(37b)が貫通方向に沿って移動自在な溝幅及び溝深さになっている。
【0107】
したがって、当接腕部163は、胴体部161がガイド部材130のストッパ移動ガイド138a(138b)に移動可能に保持されている状態で、ワイヤ37a(37b)を当接部165のU字状のワイヤ挿通溝166に挿通させて収容することができる。当接部165の軸方向に係る両端面は、接続具120の軸方向に係る両端面のうちのいずれかが衝突する接続具当接面165s,165tになる。
【0108】
これに対し、他方のストッパ160nは、
図6(B)に示すように、一方のストッパ160mと胴体部161の軸線方向及びワイヤ挿通溝166の溝開口向きを合わせ、かつ一方のストッパ160mとは当接腕部163が反対向きに胴体部161から突出するように配置した場合は、一方のストッパ160mとの間で、胴体部161の軸線方向に係り当接部165が設けられた胴体部161の軸線方向の一端側が揃う構成になっている。また、他方のストッパ160nは、一方のストッパ160mと胴体部161の軸線方向及びワイヤ挿通溝166の溝開口向きを合わせ、かつ当接部165が突出した胴体部161の軸線方向の一端側を一方のストッパ160mの当接部165が突出していない他端側に揃えて配置した場合は、一方のストッパ160mとの間で、胴体部161から突出する当接部165の突出方向が同方向になる構成になっている。このように、他方のストッパ160nは一方のストッパ160mを鏡映した構成になっており、一方のストッパ160mと他方のストッパ160nとは胴体部161に対する当接腕部163の突出が互いに逆になっている。そして、全体及び各部の寸法は同じになっている。
【0109】
そのため、他方のストッパ160nにおける各部の構成は、一方のストッパ160mにおける各部の構成と同様なので、
図6(B)に示した他方のストッパ160nでは、
図6(A)に示した一方のストッパ160mの各部と対応する構成について同一符号を付し、他方のストッパ160nの各部についての詳細な説明は重複するので省略する。
【0110】
加えて、図示の例では、一方のストッパ160mと他方のストッパ160nとは、識別部として、例えば胴体部161に
図6に示すような面取り部167が形成されているか否かでそれぞれを単体で識別できるようになっている。なお、両者の識別構成は、面取り部167の有無に限られるものではなく、識別部は、両者を形状,色彩等の違いを利用して視覚的に容易に識別できる構成であればよい。
【0111】
このように、胴体部161に対する当接腕部163の突出が互いに逆になっている一方のストッパ160mと他方のストッパ160nとを設けることにより、当接腕部163をプーリー35側又は挿入部12の湾曲可動部12b側のうちのいずれか側に寄せて胴体部161をガイド部材130のストッパ移動ガイド138に搭載し配置する場合であっても、一方のストッパ160mと他方のストッパ160nとを適宜使い分けることによって、ガイド部材130を搭載するストッパ移動ガイド138がストッパ移動ガイド138a,138bのどちらであっても、胴体部161をガイド部材130のストッパ移動ガイド138に移動可能に保持している状態で、U字状のワイヤ挿通溝166が形成された当接部165の側面165pを接続具移動ガイド131の底面ガイド壁部131ab(131bb)に対向させることできる。
【0112】
これにより、常にワイヤ37a(37b)が接続具移動ガイド131a(131b)の底面ガイド壁部131ab(131bb)に対向しているストッパ160(160m,160n)のU字状のワイヤ挿通溝166を挿通するようになるので、例えワイヤ37a(37b)が弛んだ場合でも、弛んだワイヤ37a(37b)が溝状の接続具移動ガイド131の溝開口からはみ出すのを押さえることでき、この弛んだワイヤ37a(37b)がプーリー35に対する巻き取りで引っ張られた際に接続具120a(120b)で連結端部38が大径溝部123a(123b)から外れてしまうのを防止でき、接続具120(120a,120b)の移動に与える支障を低減できる。
【0113】
図7は、ストッパとともに湾曲角度調整機構を構成するストッパねじの構成図である。
【0114】
ストッパねじ170は、
図7に示すように、工具穴172を備えた頭部171側からネジ先端側に向けて、基端側胴部173、ネジ部174、先端側胴部175が軸方向に沿って順次形成された構成になっている。
【0115】
基端側胴部173は、
図5に示したガイド部材130のストッパねじ搭載部144(144a,144b)に係合する。ストッパねじ170は、
図3に示したように、頭部171をガイド部材130の操作孔部135に位置させ、頭部171側が基端側胴部173によってストッパねじ搭載部144によって支承される。
【0116】
ネジ部174は、その周面がストッパ160(160m,160n)のネジ孔162と螺合可能な雄ネジ部になっている。雄ネジ部からなるネジ部174の軸線方向に沿った長さLは、ストッパ160の軸線方向に沿った長さになる胴体部161の軸線方向に沿った長さDよりも長くなっている。これにより、ストッパ160は、ネジ孔162にストッパねじ170のネジ部174を螺合された状態で、ストッパねじ170のネジ部174上を軸線方向に沿って移動できる。したがって、ネジ部174の軸線方向に沿った長さLが、ストッパ160の配置位置を調整するストッパねじ170のストロークになる。
【0117】
先端側胴部175は、
図5に示した境界ガイド部142のストッパねじ嵌合孔143(143a,143b)に回動可能に嵌合する。したがって、ストッパねじ170は、
図3に示したように、先端側胴部175がストッパねじ嵌合孔143(143a,143b)により、基端側胴部173がストッパねじ搭載部144(144a,144b)により支承されることによって、ネジ部174をストッパ移動ガイド138(138a,138b)上に位置させて、ガイド部材130に対して回動可能に支持される。
【0118】
その上で、本実施の形態では、湾曲角度調整機構150におけるストッパ160及びストッパねじ170は、次式で規定される寸法関係を満たすように構成されている。
【0119】
C>A≧(C−B)/2 …………式(1)
【0120】
式(1)において、「C」,「A」,「B」の各値は、次に述べるとおりである。
【0121】
◇ 値「C」
値「C」は、接続具120のワイヤ37の延設方向に沿って必要な最大調整範囲Cの寸法である。ストッパねじ170におけるネジ部174の軸線方向に沿った長さ寸法の大きさを「L」とすると、値「C」は、「L ≧ C」になる。
【0122】
◇ 値「B」
値「B」は、胴体部161と当接腕部163とがL字形状に一体的に形成されたストッパ160において、胴体部161と当接腕部163との間での軸線方向に沿って重なっている胴体部161と当接腕部163との接続部分の軸線方向に沿った長さである。
図6に示した、当接部165の軸線方向の一端側の端面が胴体部161の軸線方向の一端側の端面と同一面になるストッパ160の場合は、当接腕部163における、ワイヤ挿通溝166が形成された当接部165のストッパ160の軸線方向に沿った長さBの寸法である。そして、ストッパねじ170におけるネジ部174の軸線方向に沿った長さ寸法が「L」である場合、この当接部165のストッパ160の軸線方向に沿った長さ寸法「B」は、ストッパ160をストッパねじ170のネジ部174上で移動させたときにおける接続具当接面165s,165tのストローク無効長さ部分Bの大きさになる。なお、ストッパ160の軸線方向に沿った長さになる胴体部161の軸線方向に沿った長さD、当接部165のストッパ160の軸線方向に沿った長さBは、ストッパ160m,160nで変わらず、同一寸法になっている。
【0123】
◇ 値「A」
値「A」は、ストッパねじ170のネジ部174とストッパ160のネジ孔162とを螺合させたストッパ組立体において、ストッパねじ170のネジ部174上をストッパ160が移動することができる移動可能範囲Aの寸法である。ストッパねじ170におけるネジ部174の軸線方向に沿った長さを「L」、ストッパ160の軸線方向に沿った胴体部161と当接腕部163との接続部分の長さを「D」とすると、値「A」は、「L−D」の寸法になる。なお、値「A」は、ストッパねじ170にストッパ160mを装着してなるストッパ組立体と、ストッパねじ170にストッパ160nを装着してなるストッパ組立体とで変わらず、同一寸法になっている。
【0124】
したがって、本実施の形態では、湾曲角度調整機構150は、ストッパ160のワイヤ延設方向に沿った配置位置を、接続具120の最大調整範囲Cの大きさ「C」からストッパ160のストローク無効長さ部分Bの大きさ「B」を差し引いた大きさ「C−B」の2分の1以上の大きさ「A≧(C−B)/2」でかつ大きさ「C」よりも小さな、「C>A≧(C−B)/2」の移動可能範囲Aとなるように調整することによって、ストッパねじ170のネジ部174とストッパ160のネジ孔162とを含むストッパ組立体は構成されている。
【0125】
本実施の形態では、湾曲角度調整機構150を構成するストッパ160(160m,160n)及びストッパねじ170を、ガイド部材130のストッパ移動ガイド138(138a,138b)に次に述べるようにして搭載する。
【0126】
ストッパねじ170にストッパ160(160m,160n)を装着してなるストッパ組立体を予め準備する。ストッパ組立体は、ストッパ160(160m,160n)のネジ孔162にストッパねじ170のネジ部174を螺合し、ストッパ160をストッパねじ170のネジ部174に配置して構成されている。
図3に示した湾曲角度調整機構150の構成では、ストッパ160m,160nそれぞれをストッパねじ170それぞれのネジ部174を螺合した2種類のストッパ組立体を予め準備する。
【0127】
それから、ネジ部174にストッパ160mが配置されているストッパ組立体は、ストッパ160mの胴体部161の被搭載面161pをストッパ案内部137のストッパ移動ガイド138aに対向させた状態で、ストッパねじ170の先端側胴部175を境界ガイド部142のストッパねじ嵌合孔143aに嵌入し、基端側胴部173をストッパねじ搭載部144aに支承させることよって、ガイド部材130のストッパ案内部137に搭載されている。また、ネジ部174にストッパ160nが配置されているストッパ組立体は、ストッパ160nの胴体部161の被搭載面161pをストッパ案内部137のストッパ移動ガイド138bに対向させた状態で、ストッパねじ170の先端側胴部175を境界ガイド部142のストッパねじ嵌合孔143bに嵌入し、基端側胴部173をストッパねじ搭載部144bに支承させることよって、ガイド部材130のストッパ案内部137に搭載されている。
【0128】
このようにしてガイド部材130のストッパ案内部137にストッパ組立体が搭載されることに伴い、ストッパ組立体では、ストッパ160m,160nそれぞれの胴体部161の境界ガイド摺接面161qがストッパ移動ガイド138a,138bの外側ガイド壁部138ao,138boと摺接可能になり、境界ガイド部摺接面161rがストッパ移動ガイド138a,138bの内側ガイド壁部138ai,138biと摺接可能になる。また、ストッパ160m,160nの当接腕部163では、当接部165のガイド対向面165pに形成されたワイヤ挿通溝166をプーリー側ワイヤ47ax,47bxが挿通し、胴体部側側面165rが内側ガイド壁部131ai,131biに、外側側面165qが外側ガイド壁部131ao,131boに対向するように、接続具移動ガイド131a,131bに対して配置される。
【0129】
そして、
図3に示したような、ガイド部材130のストッパ移動ガイド138(138a,138b)にストッパ160(160m,160n)及びストッパねじ170が搭載された湾曲角度調整機構150では、工具を工具穴172に係合させてストッパねじ170を正/逆回動させることにより、ストッパねじ170とともに回動しないようにストッパ移動ガイド138(138a,138b)に案内保持されているストッパ160(160m,160n)が、ストッパねじ170の回動に連動してストッパ移動ガイド138(138a,138b)を進退移動する。これに伴い、ストッパ160(160m,160n)の当接腕部163も接続具移動ガイド131(131a,131b)を進退移動する。
【0130】
したがって、ストッパねじ170を回動操作してストッパ160(160m,160n)をストッパ移動ガイド138(138a,138b)上を移動させることより、左右湾曲機構15LRの湾曲可動部の最大湾曲角度が所定角度になる接続具移動ガイド131(131a,131b)上の対応位置に、当接腕部163の接続具当接面165sを配置することができる。これにより、左右湾曲機構15LRに係るワイヤ37(37a,37b)におけるプーリー側ワイヤ37ax,37bxのプーリー35の巻回部35a,35bへの巻き取り(巻き取り量)が接続具120(120a,120b)がストッパ160(160m,160n)の当接腕部163と当接することによって規制され、左右湾曲機構15LRの湾曲可動部の最大湾曲角度を調整することができる。
【0131】
加えて、本実施の形態では、ストッパ組立体が搭載されるガイド部材130の操作孔136には、長孔147が形成された抑え板146が、長孔147に支軸ネジ148を挿通させて設けられている。抑え板146は、長孔孔縁部に支軸ネジ148の頭部が係合し、支軸ネジ148の弛緩により操作孔136上をスライド可能になっており、ストッパネジ17の工具穴172が備えられた頭部171を露出させたり隠蔽できる構成になっている。さらに、抑え板146は、支軸ネジ148の締め付けにより操作孔136上をスライド不可にでき、さらにストッパネジ17の頭部171を隠蔽した状態での支軸ネジ148の締め付けによってはストッパネジ170が回動しないようにストッパネジ170を押し止めできる構成になっている。これにより、左右湾曲機構15LRの湾曲可動部の最大湾曲角度についての内視鏡装置の用途や機種に応じた調整後、操作以外の外力でストッパネジ170が不要に回動してしまうのを防止して、その調整を継続保持しておくことができる。
【0132】
以上、左右湾曲機構15LRの弛緩部100の構成について説明したが、上下湾曲機構15UDの弛緩部100の構成でも、ワイヤ37(37a,37b)とワイヤ47(47a,47b)とが変更になるだけで、上述した湾曲角度調整機構150の構成はそのまま適用可能である。
【0133】
次に、本実施の形態に係る内視鏡装置1の作用について説明する。本実施の形態に係る内視鏡装置1では、湾曲角度調整機構150におけるストッパ160及びストッパねじ170が、式(1)「C>A≧(C−B)/2」で規定する関係を満たし、ストッパ160のワイヤ延設方向に沿った配置位置を、接続具120の最大調整範囲Cの大きさ「C」からストッパ160のストローク無効長さ部分Bの大きさ「B」を差し引いた大きさ「C−B」の2分の1以上の大きさ「A≧(C−B)/2」で「C」よりも小さな「A」の大きさの移動可能範囲Aで調整するようにした。これにより、湾曲角度調整機構150は、
図8に示すように、ストッパねじ170自体の長さ増大を避けながら同一長さのストッパ160(160m,160n)を用いるだけで、ストッパねじ170上でのストッパ160(160m,160n)が移動することができる移動可能範囲(ストッパ160の最大移動ストローク)Aよりも長い、接続具120のワイヤ37の延設方向に沿って必要な最大調整範囲Cをカバーできる。
【0134】
図8は、本実施形態の内視鏡装置における湾曲角度調整機構の作用説明図である。
図8(A)は、
図3に示したワイヤ37a(47a)に対して、ストッパねじ170にストッパ160nを装着してなるストッパ組立体を適用した場合(
図8(A)(A1))と、ストッパねじ170にストッパ160mを装着してなるストッパ組立体を適用した場合(
図8(A)(A2))を示す。また、
図8(B)は、
図3に示したワイヤ37b(47b)に対して、ストッパねじ170にストッパ160nを装着してなるストッパ組立体を適用した場合(
図8(B)(B1))と、ストッパねじ170にストッパ160mを装着してなるストッパ組立体を適用した場合(
図8(B)(B2))を示したものである。そして、操作部11に備えられている湾曲操作ノブ33(43)を回動操作してプーリー35(45)を回動させることでワイヤ37a,37b(47a,47b)の巻き取り/繰り出しを行い、湾曲可動部12bの被駆動部に繋がっているワイヤ37(47)を進退させる左右湾曲機構15LR(上下湾曲機構15UD)の構成から、ワイヤ37a(47a)に対して適用する場合も、ワイヤ37b(47b)に対して適用する場合も、接続具120のワイヤ37の延設方向に沿って必要な最大調整範囲Cの大きさ「C」は同一にしてある。
【0135】
図8(A)(A1)に示すように、ストッパねじ170にストッパ160nを装着してなるストッパ組立体を適用した場合には、ストッパねじ170のネジ部174上をストッパ160が移動することができる移動可能範囲Aは、ネジ部174上における頭部171側寄り、すなわちワイヤ37(37a)の延設方向に沿った接続具120(120a)側寄りの移動可能範囲Aになる。
【0136】
図8(A)(A2)に示すように、ストッパねじ170にストッパ160mを装着してなるストッパ組立体を適用した場合には、ストッパねじ170のネジ部174上をストッパ160が移動することができる移動可能範囲Aは、ネジ部174上における先端側胴部175側寄り、すなわちワイヤ37(37a)の延設方向に沿ったプーリー35側寄りの移動可能範囲Aになる。
【0137】
そして、
図8(A)(A1)に示すようにストッパねじ170にストッパ160nを装着してなるストッパ組立体を適用した場合と、
図8(A)(A2)に示すようにストッパねじ170にストッパ160mを装着してなるストッパ組立体を適用した場合とでは、ストッパ160n,160mの接続具当接面165t,165sが同位置を取ることができるので、ストッパ160n,160mそれぞれの移動可能範囲A同士の途切れがなくなる。
【0138】
したがって、ストッパねじ170にストッパ160nを装着してなるストッパ組立体とストッパねじ170にストッパ160mを装着してなるストッパ組立体とを選択的に適用すれば、ストッパねじ170のネジ部174上をストッパ160が移動することができる移動可能範囲Aの2倍の大きさ「2A」の、接続具120のワイヤ37の延設方向に沿って必要な最大調整範囲Cの寸法「C」を得ることができる。
【0139】
また、
図8(B)は、
図3に示したワイヤ37b(47b)に対して、ストッパねじ170にストッパ160nを装着してなるストッパ組立体を適用した場合(
図8(B)(B1))と、ストッパねじ170にストッパ160mを装着してなるストッパ組立体を適用した場合(
図8(B)(B2))場合についても、同様に、ストッパねじ170のネジ部174上をストッパ160が移動することができる移動可能範囲Aの2倍の大きさ「2A」の、接続具120のワイヤ37の延設方向に沿って必要な最大調整範囲Cの寸法「C」を得ることができる。
【0140】
このように、本実施形態に係る内視鏡装置における湾曲角度調整機構によれば、ストッパ160(160m,160n)及び支持軸部材としてのストッパねじ170(170a,170b)は、連結具110としての接続具120(120a,120b)の最大調整範囲C内では、同一長さのストッパ160及びストッパねじ170を使用するだけで済む。そのため、長さ違いの複数の接続具や、最大調整範囲C以上の長さのネジ部を備えたストッパねじを使用しなくても済むので、操作部の不要な大型化や重量増を回避して操作性の向上をはかることができる。
【0141】
図9は、本実施形態の内視鏡装置における湾曲角度調整機構に対する第1の比較例の作用説明図である。
図9は、
図3に示したワイヤ37a(47a)に対して、ストッパねじ170”にストッパ160n”を装着してなるストッパ組立体を適用した場合(
図9(A)(A1))と、ストッパねじ170”にストッパ160n”,160m”を装着してなるストッパ組立体を適用した場合(
図9(A)(A2))を示す。
【0142】
図9においては、ストッパねじ170”及びストッパ160n”,160m”は、式(1)を満たさず、「2A + B < C」になっている。
【0143】
第1の比較例の場合、ストッパ160n”,160m”の接続具当接面165t”,165s”が同位置を取ることができないので、接続具120のワイヤ37の延設方向に沿って必要な最大調整範囲C内に調整不能範囲Vが発生してしまう。したがって、第1の比較例では、本実施形態のように、ストッパねじ170のネジ部174上をストッパ160が移動することができる移動可能範囲Aの2倍の大きさ「2A」の、接続具120のワイヤ37の延設方向に沿って必要な最大調整範囲Cの寸法「C」を得ることができない。
【0144】
図10は、本実施形態の内視鏡装置における湾曲角度調整機構に対する第2の比較例の作用説明図である。
図10(A)は、接続具120”を予め長さ違いの複数種類の調整棒で構成した場合(
図10(A)(A1)〜(A3))と、
図10(B)は、接続具120”のワイヤ37”の延設方向に沿って必要な最大調整範囲Cよりも大きな長いネジ部174を有するストッパねじ170”を用いて構成した場合を示したものである。
【0145】
図10(A)(A1)〜(A3)に示したように、ストッパ160”(160m”,160n”)と予め長さ違いの複数種類の接続具120”とを使用して移動可能範囲Aを調整するようにした場合では、接続具120”のワイヤ37の延設方向に沿って必要な最大調整範囲Cを得るために、予め長さ違いの複数種類の接続具120”(図示の例では、3種類の接続具120w1〜120w3)を用意しなければならず、内視鏡装置1の用途や機種に応じて所望の長さWの接続具120”(120w1〜120w3のいずれか)を選択する必要があり、調整棒としての接続具120”の誤組み付けが起き易く、内視鏡装置1の作製時の作業性の向上が期待できない。
【0146】
図10(B)に示したように、接続具120”のワイヤ37”の延設方向に沿って必要な最大調整範囲Cよりも大きな長いネジ部174を有するストッパねじ170”を用いて構成した場合では、湾曲角度調整機構150ひいては操作部11が大型化して重量も増加するため、内視鏡装置1の操作性を損なうことになる。また、ストッパねじの長さ増加分だけストッパねじの強度が低下するおそれがある。
【0147】
本開示の一実施形態に係る内視鏡装置1は、上述したように構成されるが、その湾曲角度調整機構150の具体的構成は、上述した構成に限定されるものではない。例えば、ストッパ160は、L字形状に構成したが、胴体部と当接腕部とを有する構成であれば、いかような具体的形状であってもよい。また、ストッパ160の当接部165はワイヤ37a(37b)を挿通させるためにU字状のワイヤ挿通溝166が貫通形成されている構成としたが、例えばワイヤ挿通孔が軸方向に沿って貫通形成されている構成であってもよい。
【0148】
そして、このワイヤ挿通孔が当接部165に形成されたストッパ160の場合では、ストッパ160における腕部164の厚さやガイド対向面165pからの腕部高さ位置と、ガイド部材130におけるストッパ移動ガイド138(138a,138b)の調整機構搭載部132からのガイド高さ位置とを適宜調整することによって、ストッパ160n,160mを1つのストッパで兼用させることも可能になる。
【0149】
このように、本開示に係る内視鏡装置は、式(1)の関係を満たすものであれば、その湾曲角度調整機構150の具体的構成は、上述した構成に限定されるものではない。
【0150】
加えて、上記では、操作部11に対するワイヤ37(37a,37b),47(47a,47b)の繰り入れ/繰り出しを、プーリー35,45の回動によるワイヤ37,47の巻き取り/繰り出しで行う構成の内視鏡装置1を例にして、本開示に係る湾曲角度調整機構について説明した。しかしながら、本開示に係る湾曲角度調整機構は、ワイヤ37,47を操作部11に対して繰り入れ/繰り出しする構成の内視鏡装置であれば、その繰り入れ/繰り出し機構の構成の違いにかかわらず、適用可能である。一例として、ワイヤ(37a,37b),47(47a,47b)を挟持するローラを正/逆回転して、ワイヤ37,47を操作部11に対して送り出し/引き込みする機構を備えた内視鏡装置にも適用可能である。
【0151】
このように、本開示に係る内視鏡装置は、湾曲角度調整機構150の構成が式(1)の関係を満たすものであれば、湾曲角度調整機構150以外の構成は、上述した構成に限定されるものではない。