【解決手段】医療撮像システムが、第1の追跡検出器と、第2の追跡検出器とを含む。追跡検出器は、物体が第1の追跡検出器と第2の追跡検出器との間に存在することを可能にするように離間される。本システムはまた、第1の追跡検出器に隣接する残留飛程検出器を含む。残留飛程検出器は、(1)反射防止材料を用いて少なくとも部分的に被覆される第1の表面と、第1の追跡検出器に面する第2の表面とを有するシンチレータ材料と、(2)シンチレータ材料の第1の表面とは異なる第3の表面において、第2の表面に対向してシンチレータ材料に結合される、少なくとも1つの光子検出器とを含む。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
医療撮像システムの一実施形態が、第1の追跡検出器と、第2の追跡検出器とを含む。第1の追跡検出器は、物体が第1の追跡検出器と第2の追跡検出器との間に存在することを可能にするように、第2の追跡検出器から離間される。残留飛程検出器が、第1の追跡検出器に隣接する。残留飛程検出器は、(1)反射防止材料を用いて少なくとも部分的に被覆される第1の表面と、第1の追跡検出器に面する第2の表面とを有するシンチレータ材料と、(2)シンチレータ材料の第1の表面とは異なる第3の表面において、第2の表面に対向してシンチレータ材料に結合される、少なくとも1つの光子検出器とを含む。
本発明は、例えば、以下の項目を提供する。
(項目1)
医療撮像システムであって、
第1の追跡検出器および第2の追跡検出器であって、前記第1の追跡検出器は、物体が前記第1の追跡検出器と前記第2の追跡検出器との間に存在することを可能にするように前記第2の追跡検出器から離間される、第1の追跡検出器および第2の追跡検出器と、
前記第1の追跡検出器に隣接する残留飛程検出器であって、
反射防止材料を用いて少なくとも部分的に被覆される第1の表面と、前記第1の追跡検出器に面する第2の表面とを有するシンチレータ材料と、
前記第1の表面とは異なる前記シンチレータ材料の第3の表面において、前記第2の表面に対向して前記シンチレータ材料に結合される、少なくとも1つの光子検出器と、
を含む、残留飛程検出器と、
を備える、システム。
(項目2)
前記シンチレータ材料は、バルクシンチレータ材料である、項目1に記載のシステム。
(項目3)
前記第1および第2の表面は、同一の表面である、項目1または2に記載のシステム。
(項目4)
前記第1の追跡検出器は、第1のシンチレーティングファイバと、第2のシンチレーティングファイバとを含み、前記第1のシンチレーティングファイバは、前記第2のシンチレーティングファイバに垂直な方向に延在する、項目1−3のうちのいずれか1項に記載のシステム。
(項目5)
前記第1の追跡検出器に接続される複数の入力を有する、光検出器をさらに備え、前記第1のシンチレーティングファイバは、シンチレーティングファイバの第1の層と、シンチレーティングファイバの第2の層とを含み、前記シンチレーティングファイバの第1の層の第1のファイバの終端が、前記第1のファイバに隣接する前記シンチレーティングファイバの第2の層の第2のファイバの終端とともに束ねられ、ファイバダブレットを形成し、前記ファイバダブレットの束ねられた終端は、前記光検出器の入力に接続される、項目1−4のうちのいずれか1項に記載のシステム。
(項目6)
前記第1の追跡検出器に接続される複数の入力を有する、光検出器をさらに備え、前記第1のシンチレーティングファイバは、複数のストリップに分割され、各ストリップは、複数の隣接するシンチレーティングファイバを含み、前記複数の隣接するシンチレーティングファイバはそれぞれ、前記ストリップ内のある位置を有し、前記複数のストリップ内の第1の位置における各ファイバの終端は、ともに束ねられ、前記複数のストリップのそれぞれにおける第1の位置におけるファイバの束ねられた終端は、前記光検出器の入力に接続される、項目1−4のうちのいずれか1項に記載のシステム。
(項目7)
前記複数のストリップ内の第1の位置における各ファイバの終端はまた、前記第1のシンチレーティングファイバの別のファイバの終端とともに束ねられる、項目6に記載のシステム。
(項目8)
前記少なくとも1つの光子検出器は、複数の光電子増倍管を備える、項目1−7のうちのいずれか1項に記載のシステム。
(項目9)
前記第1の追跡検出器は、支持体に接続され、前記第2の追跡検出器は、前記支持体に接続され、前記支持体は、前記第1の追跡検出器と前記第2の追跡検出器との間の空間が、前記第1の追跡検出器または前記第2の追跡検出器の位置を変化させることによって調節されることを可能にするように構成される、項目1−8のうちのいずれか1項に記載のシステム。
(項目10)
医療撮像システムを動作させるための方法であって、
粒子のビームを生成するステップと、
前記ビームを、第1の追跡検出器、物体、第2の追跡検出器を通して、シンチレータ材料に結合される少なくとも1つの光子検出器を含む残留飛程検出器に操向するステップであって、反射防止材料が、前記シンチレータ材料の少なくとも1つの表面の一部を被覆する、ステップと、
前記第1の追跡検出器に結合される第1の光検出器および前記第2の追跡検出器に結合される第2の光検出器から第1の追跡データを収集するステップであって、前記データは、前記第1の追跡検出器を通した、かつ前記第2の追跡検出器を通した粒子の軌跡を表す、ステップと、
前記シンチレータ材料に結合される少なくとも1つの光子検出器から第1のエネルギーデータを収集するステップであって、前記データは、前記粒子が前記物体を横断する際の粒子のエネルギー損失を表す、ステップと、
前記第1の追跡データおよび前記第1のエネルギーデータに基づいて、前記物体の画像を生成するステップと、
を含む、方法。
(項目11)
前記少なくとも1つの光子検出器は、複数の光子検出器を含み、前記第1のエネルギーデータは、合計エネルギーデータ、対角方式座標に関する位置依存データ、または前記複数の光子検出器の全てを下回るものに関する部分的合計エネルギーのうちの少なくとも1つを含む、項目10に記載の方法。
(項目12)
前記ビームを、前記第1の追跡検出器、前記物体、前記第2の追跡検出器を通して、前記残留飛程検出器に操向するステップに先立って、利得値のある範囲内である利得値を呈するために、前記シンチレータ材料に結合される少なくとも1つの光子検出器のうちの各1つを較正するステップをさらに含む、項目10または11に記載の方法。
(項目13)
前記ビームを、前記第1の追跡検出器、前記物体、前記第2の追跡検出器を通して、前記残留飛程検出器に操向するステップに先立って、
ある範囲の値を通して、事前判定された増分において、前記ビームの粒子の初期エネルギーおよび横断位置を変動させるステップと、
前記第1の光検出器および前記第2の光検出器から第2の追跡データを収集するステップであって、前記データは、前記第1の追跡検出器を通した、かつ前記第2の追跡検出器を通した粒子の軌跡を表す、ステップと、
前記シンチレータ材料に結合される少なくとも1つの光子検出器から第2のエネルギーデータを収集するステップであって、前記データは、前記粒子が前記残留飛程検出器のシンチレータ材料に衝突する際の粒子のエネルギーを表す、ステップと、
前記第2の追跡データおよび前記第2のエネルギーデータに基づいて、較正データセットを生成するステップであって、前記物体の画像を生成するステップはさらに、前記較正データに基づく、ステップと、
をさらに含む、項目10−12のうちのいずれか1項に記載の方法。
(項目14)
前記粒子の残留飛程が前記残留飛程検出器の深度を下回ることを確実にするために、前記ビームの操向中に前記ビームの粒子の初期エネルギーを変動させるステップをさらに含む、項目10−13のうちのいずれか1項に記載の方法。
(項目15)
10MHzまたはそれを下回る粒子速度を呈するように前記ビームを生成するステップをさらに含む、項目10−14のうちのいずれか1項に記載の方法。
(項目16)
前記ビームが前記物体に衝突する入射角を変動させるステップをさらに含む、項目10−15のうちのいずれか1項に記載の方法。
(項目17)
前記粒子のビームは、陽子、ヘリウムイオン、リチウムイオン、ベリリウムイオン、炭素イオン、ホウ素イオン、または重陽子を含む、項目10−16のうちのいずれか1項に記載の方法。
(項目18)
医療撮像システムのための残留飛程検出器であって、
シンチレータ材料であって、前記シンチレータ材料の少なくとも1つの表面は、反射防止材料を用いて少なくとも部分的に被覆される、シンチレータ材料と、
前記反射防止材料を用いて被覆されていない表面上で前記バルクシンチレータに結合される、少なくとも1つの光子検出器と、
を備える、検出器。
(項目19)
前記シンチレータ材料は、10センチメートルまたはそれを下回る厚さを有する、項目18に記載の検出器。
(項目20)
前記シンチレータ材料は、単一の連続的体積のシンチレータ材料から形成される、項目18または19に記載の検出器。
(項目21)
前記反射防止材料は、黒色塗料から成る、項目18−20のうちのいずれか1項に記載の検出器。
(項目22)
前記少なくとも1つの光子検出器は、少なくとも4つの固有の光電子増倍要素を備える、項目18−21のうちのいずれか1項に記載の検出器。
(項目23)
医療撮像システムのための追跡検出器システムであって、
第1の複数のシンチレーティングファイバと、
第2の複数のシンチレーティングファイバであって、前記第1のシンチレーティングファイバは、前記第2のシンチレーティングファイバに垂直な方向に延在する、第2の複数のシンチレーティングファイバと、
を含む、追跡検出器と、
前記追跡検出器の第1および第2の複数のシンチレーティングファイバに接続される複数の入力を有する、光検出器と、
を備える、システム。
(項目24)
前記第1の複数のシンチレーティングファイバは、シンチレーティングファイバの第1の層と、シンチレーティングファイバの第2の層とを含み、前記シンチレーティングファイバの第1の層の第1のファイバの終端が、前記第1のファイバに隣接する前記シンチレーティングファイバの第2の層の第2のファイバの終端とともに束ねられ、ファイバダブレットを形成し、前記ファイバダブレットの束ねられた終端は、前記光検出器の入力に接続される、項目23に記載のシステム。
(項目25)
前記シンチレーティングファイバの第1の層は、前記第1の複数のシンチレーティングファイバのファイバの幅の半分だけ、前記シンチレーティングファイバの第2の層からオフセットされる、項目23または24に記載のシステム。
(項目26)
前記第1のシンチレーティングファイバは、複数のストリップに分割され、各ストリップは、複数の隣接するシンチレーティングファイバを含み、前記複数の隣接するシンチレーティングファイバはそれぞれ、前記ストリップ内のある位置を有し、前記複数のストリップ内の第1の位置における各ファイバの終端は、ともに束ねられ、前記複数のストリップのそれぞれにおける第1の位置におけるファイバの束ねられた終端は、前記光検出器の入力に接続される、項目23−25のうちのいずれか1項に記載のシステム。
(項目27)
前記複数のストリップ内の第1の位置における各ファイバの終端はまた、前記第1の複数のシンチレーティングファイバの別のファイバの終端とともに束ねられる、項目26に記載のシステム。
(項目28)
前記第1および第2の複数のシンチレーティングファイバを支持する基板をさらに備える、項目23−27のうちのいずれか1項に記載のシステム。
【発明を実施するための形態】
【0005】
陽子線写真法システムまたは陽子トモグラフィシステム等の医療撮像システムの実施形態が、説明される。いくつかの実施形態では、陽子線写真法システムが、第1の追跡検出器と、第2の追跡検出器と、残留飛程検出器とを含む。本実施形態では、第1および第2の追跡検出器は、とりわけ、陽子横断位置分解能を有意に改良する一方、陽子線写真法システムの複雑性を低減させる、ファイバ束アーキテクチャを使用する。残留飛程検出器は、とりわけ、陽子残留飛程分解能を有意に改良する一方、全体的残留飛程検出器設計を簡略化する、光収集アーキテクチャを使用する。
【0006】
第1および第2の追跡検出器において使用されるファイバ束アーキテクチャのいくつかの変形例は、平面基板を利用し、特定の方向に沿って延在する、基板の各側上のシンチレーティングファイバの少なくとも2つの層を含む。より具体的には、基板の片側上のファイバのうちの各1つは、基板の対向する側上のファイバのうちの各1つの方向に垂直である方向に沿って延在する。
【0007】
束アーキテクチャのいくつかの変形例はまた、(a)隣接層束スキームおよび/または(b)側方ストリップベース束スキームを使用する。隣接層束スキームでは、基板の片側上の各層からの1つのファイバが、ファイバダブレットを形成するようにともに束ねられる。側方ストリップベース束スキームでは、基板の各側上のファイバの群またはファイバダブレットが、特定の数のファイバまたはファイバダブレットのストリップまたは区分(例えば、10個のファイバのストリップまたは10個のファイバダブレット)にセグメント化またはパーティション化される。いくつかの実施例では、各ストリップの特定のファイバまたはファイバダブレット(例えば、第4のファイバまたは第4のファイバダブレット)が、ともに束ねられ、特定の多アノード光検出器(または他のタイプの光子検出器)の同一のアノードに結合される。
【0008】
多くの利益および利点が、本技術のファイバ束アーキテクチャから生じる。例えば、従来の陽子線写真法システムと比較したとき、陽子横断位置を分解するために要求される光検出器および電子機器チャネルの数は、実質的に削減されると同時に、陽子横断位置分解能は、0.3mmまたはそれよりも良好なものに近づく。転じて、説明されるファイバ束アーキテクチャは、また、嵩張り、構成要素およびデータ処理の両方のコストの観点から高価である、従来の陽子線写真法システムと関連付けられる問題の多くに対処する。
【0009】
光収集アーキテクチャに関して、残留飛程検出器は、いくつかの実施例では、バルク片の材料であるシンチレータ材料を含む。残留飛程検出器はまた、シンチレータ材料の表面におけるシンチレータ材料に結合される、少なくとも1つの光検出器を含む。少なくとも1つの光検出器が複数の光検出器を含む場合、それらは、例えば、正方形、長方形、および多角形から選択される単位セルパターンを呈するように配列され得る。加えて、いくつかの実施例では、反射防止材料(例えば、薄フィルム、他のコーティング、またはカバー)が、シンチレータ材料の少なくとも1つの表面(または複数の表面)上に存在する。
【0010】
多くの利益および利点が、本開示の光収集アーキテクチャから生じる。例えば、従来の陽子線写真法システムと比較したとき、シンチレーション光を収集するために要求される時間量および光収集効率の両方が、実質的に改良されると同時に、残留飛程分解能は、陽子あたり3.0mmまたはそれよりも良好なものに近づく。転じて、開示される光収集アーキテクチャは、また、処置計画プロセス中にマップ再構築にまで波及する陽子残留飛程分解能誤差に悩まされる、典型的な陽子線写真法システムと関連付けられる問題の多くに対処する。
【0011】
上記の特徴のうちの1つまたはそれを上回るものを利用する医療撮像システムの例示的実施形態が、以下にさらに詳細に説明される。陽子が以下に説明されるシステムとの併用のための例示的粒子として使用されているが、他の粒子(例えば、ヘリウムイオン、リチウムイオン、ベリリウムイオン、炭素イオン、ホウ素イオン、重陽子を含む、他の元素のイオン)もまた、使用され得る。加えて、陽子線写真法システムが以下に説明されているが、本技術はまた、陽子トモグラフィシステム等の他の医療撮像システムにおいても使用され得る。
【0012】
図1は、本技術による、陽子線写真法システムの実施形態であるシステム100を描写する。いくつかの実施例では、陽子(但し、重イオン等の他の粒子もまた、使用され得る)のペンシルビーム102(代替として、ブロードビームもまた、本技術の変形例と併用され得る)が、源(
図2参照)から生成または抽出され、走査要素(
図2参照)によってフィールドを横断して走査される。例えば、ペンシルビーム102は、
図1では人間の頭である物体104の着目領域を横断して走査される。ペンシルビーム102が物体104に入射する際のその位置は、以下により詳細に説明されるように、陽子が追跡検出器106を横断する場所において光子を生成する、追跡検出器106からのデータに基づいて判定されることができる。同様に、ペンシルビーム102が物体104を出射する際のその位置は、追跡検出器108からのデータを使用して判定されることができる。追跡検出器106および108は、物体104がその間に位置付けられることを可能にするように離間されることに留意されたい。いくつかの実施形態では、1つの追跡検出器のみが、必要とされる、または2つまたはそれを上回る追跡検出器が、物体104の片側または両側上で使用される。追跡検出器106および108に関する潜在的アーキテクチャが、以下により詳細に説明される。
【0013】
残留飛程検出器110が、追跡検出器108に隣接して位置付けられる。残留飛程検出器110は、シンチレータ材料112(
図1に四角形によって表される)を含む。一実施例では、シンチレータ材料は、Eljen Corporationによって販売されるものであり得る。ペンシルビーム102の陽子が追跡検出器108に面する表面を通してシンチレータ材料112に入射する際、陽子がシンチレータ材料112との相互作用からエネルギーを損失するため、陽子は、光子114(
図1に破線によって表される)を生成する。これらの光子は、次いで、追跡検出器108に面する表面に対向する、シンチレータ材料112の表面上のシンチレータ材料110に結合される光子検出器(
図2および5)によって収集されることができる。光子検出器の結合が、
図1に円116によって描写される。光子検出器によって生成される信号は、陽子がシンチレータ材料112に入射した際のその残留エネルギーに比例する。陽子の初期エネルギーと陽子が物体104に入射してそれから出射した際の陽子の場所とに組み合わせられた本情報は、多くの付加的陽子に関する類似する情報とともに、物体104の画像118を生成するために使用されることができる。本技術を使用する陽子トモグラフィシステムにおいて、複数の陽子エネルギーおよび/または異なる角度(例えば、100個の異なる角度)における陽子を使用することによって、3D画像もまた、生産されることができる。
【0014】
基準軸122は、ペンシルビーム102がz軸に沿って進行し、追跡検出器106および108がz軸に垂直であることを示すことに留意されたい。以下に説明される
図2および3は、同一の基準軸に関して説明される。
【0015】
図2は、基準軸122によって示されるように、付加的詳細とともに、異なる視点から
図1のシステム100を描写する。
図2を参照すると、システム100は、ペンシルビーム102を生成または抽出する源202を含む。走査要素204が、ペンシルビーム102を操向するために使用され、走査磁石204aおよび204bを含む。走査磁石204aは、基準軸122に対して画定されるようなx方向においてペンシルビーム102を走査し、走査磁石204b(その第2のものは、
図2の視点では隠される)は、基準軸122に対して画定されるようなy方向においてペンシルビーム102を走査する。概して、走査要素106は、ペンシルビーム102が任意のパターンで、かつ源202によって判定されるように、任意の時点で任意の初期エネルギーにおいてフィールドの全体を横断して走査可能であるようにプログラム可能である。本実施例では、源202は、ペンシルビーム102の陽子の初期エネルギーを制御する、または変動させることが可能である。走査中、フィールドの範囲は、概して、システム100の第1の追跡検出器106、第2の追跡検出器108、または残留飛程検出器114の平面寸法によって限定される。例示的フィールド面積は、10×10cm
2〜38.4×38.4cm
2を含む。
【0016】
追跡検出器および撮像されている物体の異なる横断位置における異なる初期エネルギーを使用することによって、残留飛程検出器の深度は、小さく保たれることができる。例えば、初期エネルギーは、特定の経路に沿った物体の厚さまたは密度にかかわらず、撮像されるべきフィールドを横断して0〜10cmの残留飛程を保つように選定されることができる。可能な初期エネルギーの範囲が広いほど、より小さい残留飛程検出器が、可能であり得る。
【0017】
追跡検出器106に関するアーキテクチャのいくつかの実施例では、ペンシルビーム102の陽子が第1の追跡検出器106を横断する際、陽子は、基板206の両側のファイバと相互作用する。具体的には、基板206の各側は、例えば、ファイバの2つの層、すなわち、基板206の片側上のファイバ208と、その対向する側上のファイバ210とを含む。ファイバ208および210は、陽子がファイバに衝突すると、ファイバのシンチレーティング性質が1つまたはそれを上回る光子を生成させ得るように、シンチレーティングファイバであり得る。これらの光子は、光検出器212によって捕捉され、これは、検出された光子に基づいて、電気信号を生成する。電気信号は、コンピューティングシステム214に伝送される。光子を生産したファイバ208ならびに210の場所および配向を把握することによって、追跡検出器106を横断した陽子の場所が、コンピューティングシステム214によって判定され得る。加えて、コンピューティングシステム214はまた、走査要素204からのデータを使用し、陽子が追跡検出器106を通過した場所を判定または検証し得る。いったんその場所が把握されると、ペンシルビーム102の初期方向ベクトルもまた、源202の焦点に基づいて判定されることができる。
【0018】
いくつかの実施例では、ファイバ208は、ファイバ210に垂直に配向される。光検出器212が、陽子がファイバ208の1つのファイバおよびファイバ210の1つのファイバを通過したことを示し、コンピューティングシステム214が、これらの2つのファイバの場所を把握する場合、コンピューティングシステム214は、陽子が追跡検出器106を横断した、追跡検出器106上のX−Y座標が、2つのファイバの交差点にあることを判定することができる。加えて、
図3に関して以下により詳細に説明されるように、ファイバ208のファイバまたはファイバ210のファイバが、光検出器212において必要とされる検出器の数を削減するためにともに接続される場合、走査要素204からのデータまたはそれに送信される命令に基づいてペンシルビーム102の推定され、予期される位置は、陽子が追跡検出器106を横断したX−Y座標を判定する際に使用され得る。
【0019】
ペンシルビーム102の陽子が物体104を横断する際、物体104におけるペンシルビーム102の方向の誇張された変化として
図2に描写されるように、陽子は、散乱され得る。陽子が物体104から出射した後、陽子が追跡検出器108を横断する出射場所は、追跡検出器106に関して上記に説明されるものと類似する様式で判定されることができる。追跡検出器106と同様に、追跡検出器108は、基板216上にファイバを含む。具体的には、基板216の各側は、例えば、ファイバの2つの層、すなわち、基板216の一方の側上のファイバ218と、その他方の側上のファイバ220とを含む。ファイバ218および220は、陽子がファイバに衝突すると、ファイバのシンチレーティング性質が1つまたはそれを上回る光子を生成させるであろうように、シンチレーティングファイバであり得る。これらの光子は、光検出器222によって捕捉され得、これは、検出された光子に基づいて、電気信号を生成し得る。電気信号は、コンピューティングシステム214に伝送される。光子を生産したファイバ218ならびに220の場所および配向を把握することによって、第1の追跡検出器108を横断した陽子の場所が、コンピューティングシステム214によって判定され得る。加えて、コンピューティングシステム214はまた、走査要素204からの情報を使用し、陽子が追跡検出器108を通過した追跡検出器108上の場所を判定または検証し得る。
【0020】
いくつかの実施例では、ファイバ218は、ファイバ220に垂直に配向される。光検出器222が、陽子がファイバ218の1つのファイバおよびファイバ220の1つのファイバを通過したことを示し、コンピューティングシステム214が、これらの2つのファイバの場所を把握する場合、コンピューティングシステム214は、陽子が追跡検出器108を横断した、追跡検出器108上のX−Y座標が、2つのファイバの交差点にあることを判定することができる。加えて、
図3に関して以下により詳細に説明されるように、ファイバ218のファイバまたはファイバ220のファイバが、光検出器222において必要とされる検出器の数を削減するためにともに接続される場合、走査要素204からのデータまたはそれに送信される命令に基づいて推定または予期されるペンシルビーム102の位置は、陽子が追跡検出器108を横断した追跡検出器108上のX−Y座標を判定する際に使用され得る。
【0021】
追跡検出器の例示的アーキテクチャが説明されたが、他のアーキテクチャも、可能である。例えば、ファイバが十分にリジッドである場合、ファイバは、基板を使用することを回避するためにともに接合され得る。別の実施例として、追跡検出器106に関して、ファイバ208および210は、基板206の同一側上に配置され得る、またはファイバ208および210は、相互に隣り合って配置される別個の基板上に配置され得る。
【0022】
ペンシルビーム102の陽子が残留飛程検出器110に入射する際、それらは、シンチレータ材料112に衝突し、光子検出器224によって収集される光子を生成する(4つの光子検出器が
図2に描写されているが、システム100は、
図1のシンチレータ材料112への光子検出器結合を表す円によって示されるように、16個の光子検出器を含む)。光子検出器224は、例えば、光電子増倍管または他の類似するデバイスである。光子検出器224は、収集された光子の数に基づいて電気信号を生成し、コンピューティングシステム214に提供される電気信号を生成し、これは、合計エネルギー等の値を計算し得る。電気信号と、潜在的に、他の情報(陽子が物体104から出射し、追跡検出器108を横断したX−Y座標等)とに基づいて、コンピューティングシステム214は、物体104から出射した後にシンチレータ材料112に入射したペンシルビーム102の陽子に関する残留エネルギーを判定し得る。
【0023】
陽子は、表面226を介してシンチレータ材料112に入射する。生成された光子は、光子がシンチレータ材料112の表面228から出射する際、光子検出器224によって収集される。シンチレータ材料112の寸法は、陽子が、シンチレータ材料112を通過することと対照的に、シンチレータ材料112内で停止することを確実にするように選択され得る。これは、ペンシルビーム102の陽子が数ナノ秒以内で多数のシンチレーション光子を生成することを確実にする。表面226、表面230、表面232、および/または
図2に描写されないシンチレータ材料112の他の2つの表面が、いくつかの実施例では、反射防止または光子吸収材料を用いて被覆される(例えば、堆積される、コーティングされる、または隣接して配列される)。例えば、シンチレータ材料112の壁は、黒色に塗装される。反射防止材料は、主に、シンチレータ材料112の壁から散乱しなかった直接光子が、光子検出器224において収集されることを確実にする。反射防止材料は、シンチレータ材料112の異なる表面上に異なる材料を含み得る。一実施例では、反射防止材料は、Eljen Corporation製EJ510B黒色塗料であり得る。反射防止材料は、材料に接触する光子の90%またはそれを上回るものを吸収し得る。反射防止材料は、システム100の高速動作を追加する。
【0024】
複数の光子検出器の使用はまた、陽子が物体104から出射した場所に関する付加的位置データを取得する潜在性を提供する。例えば、
図1を参照すると、光子検出器が、円116(合計16個)によって示されるように、シンチレータ材料112に結合される場合、光子がシンチレータ材料112に入射した場所に最も近接する光子検出器が、最も強い信号を生産するはずである。最も強い信号を生産する光子検出器の位置が、追跡検出器108および光検出器222から生成される信号によって示される位置と相関しない場合、非弾性散乱等の排除されるべき事象が、存在し得る。
【0025】
図3は、追跡検出器106および108(
図1および2)を実装するために使用され得る追跡検出器の2つの断面を描写する。断面300は、基準軸122に描写されるようなz軸およびx軸に平行な平面に沿って追跡検出器を描写する。断面302は、基準軸122に描写されるようなy軸およびz軸に平行な平面に沿って同一の追跡検出器を描写し、これはまた、断面300の平面に垂直である。加えて、断面302は、断面300と比較してズームアウトされる。断面300では、陽子の方向は、経路304によって描写されるようなz軸に沿う。断面302では、陽子の方向は、図の外へ出る。
【0026】
断面300に描写されるように、追跡検出器は、それぞれ、一方の側上に2つのファイバの層308および310と、それぞれ、他方の側上に2つのファイバの層312および314とを有する、基板306を含む。ファイバの層308および310は、ファイバの層312および314に垂直に展開される。他のファイバは図から遮断されているため、ファイバの層308の1つのファイバおよびファイバの層310の1つのファイバのみが、可視である。ファイバの層312は、ファイバ312a−312hを含み、ファイバの層314は、ファイバ314a−314hを含む。
図3に描写されるように、基板の各側上のファイバの層は、1つの層(例えば、層312)のファイバが隣接する層(例えば、層314)における2つのファイバ間に位置付けられるように、相互にオフセットされ得る。言い換えると、一方の層におけるファイバは、単一ファイバの幅の約半分だけ、他方の層からオフセットされ得る。本レイアウトでは、1つの層における2つのファイバ間の界面を通して進む陽子はまた、次の層におけるファイバの中間を通して進むはずであり、これは、より高い効率をもたらす。他のアーキテクチャは、付加的ファイバの層または単一のみのファイバの層を有し得る。
【0027】
隣接する層のファイバは、ともに束ねられることができ、したがって、それらは、単一の光検出器チャネルに接続する。例えば、
図3を参照すると、ファイバ312aおよび314aは、ファイバダブレット316にともに束ねられることができ、したがって、ファイバ312aおよび314aは、光検出器の単一のチャネルに接続する。いくつかの場合では、束は、ファイバ312aおよび314aの出力がともに検出され得るように、ファイバ312aおよび314aの端部を並列に組み合わせることによって起こる。
【0028】
複数のファイバまたはファイバダブレットが、論理ストリップ内に編成され得る。例えば、ファイバ312a−312dが、4つのファイバダブレットを形成するために、それぞれ、ファイバ314a−314dと束ねられる場合、4つのファイバダブレットは、ストリップ318として扱われ得る。同様に、ファイバ312e−312hが、4つのファイバダブレットを形成するために、それぞれ、ファイバ314e−314hと束ねられる場合、4つのファイバダブレットは、ストリップ320として扱われ得る。ストリップは、64個のファイバまたはファイバダブレット等、より多くのファイバまたはファイバダブレットを含み得る。
【0029】
光検出器において要求されるチャネルの数をさらに削減するために、基板306の側上のストリップ内に同様に位置付けられるファイバまたはファイバダブレットが、ともに束ねられ、光検出器の単一チャネルに接続され得る。本場合では、ストリップ内の光子を生成したファイバまたはファイバダブレットの場所は、ペンシルビームの予期される場所と組み合わせて、例えば、1mm
2ファイバを使用するとき、0.3mm以内まで正確にペンシルビームの位置を特定するように使用されることができる。例えば、ペンシルビームの予期される場所は、陽子があるであろう予期されるストリップを判定するために使用されることができ、光子を生産するファイバまたはファイバダブレットは、陽子のストリップ内の場所を識別するために使用されることができる。
【0030】
上記に説明される2つのタイプの束(すなわち、異なる層の隣接するファイバを束ねることおよび異なるストリップのファイバまたはファイバダブレットを束ねること)は、本技術の異なる変形例においてともに、または別個に使用されることができる。
【0031】
断面302は、ストリップ318、320、322、および324を描写し、そのそれぞれは、複数のファイバダブレットを含む。例えば、ストリップ318は、上記に説明されるように、ファイバ312a−312dおよびファイバ314a−314dから作製される4つのファイバダブレット(例えば、ファイバダブレット316)を含む。同様に、ストリップ318は、ファイバダブレット326を含み、ストリップ320は、ファイバダブレット328を含み、ストリップ322は、ファイバダブレット330を含み、ストリップ324は、ファイバダブレット332を含む。ファイバダブレット318、320、322、および324は、ストリップ318、320、322、および324内の同一の位置に位置するため、これらのファイバダブレットの出力は、ともに束ねられ、単一チャネル(すなわち、チャネル336)を介して光検出器334に接続され得る。光検出器334は、追跡検出器のストリップ内に同一の位置を有する、ファイバダブレットの群にそれぞれ接続されるいくつかのチャネル(図示せず)を含む。光検出器334は、光検出器334のチャネル(例えば、チャネル336)によって受信されるような追跡検出器のファイバ内に生成される光子を表す、電気信号をコンピューティングシステム338に提供する。
【0032】
追跡検出器の例示的アーキテクチャが
図3に説明されたが、同一の束アーキテクチャは、他の構成の追跡検出器においても使用され得る。例えば、
図3の追跡検出器に関して、ファイバが十分にリジッドである場合、ファイバ層308、310、312、および314は、基板を使用することを回避するために、ともに接合され得る。別の実施例として、ファイバ層308および310は、基板306のファイバ層312および314と同一の側上に配置され得る。別の実施例では、ファイバ層308および310は、ファイバ層312および314とは別個の基板上に配置され得、2つの基板は、相互に隣り合って配置され得る。
【0033】
図4は、それによって個々の陽子402a−dが、RF(無線周波数)加速場を表す正弦曲線404上に重ね合わせられる、陽子バンチトレイン400を図示する。いくつかの実施例では、1つを上回る陽子(例えば、陽子402c−d)を伴うバンチは、画像分析またはマップ再構築のために排除されるが、依然として、放射線量に寄与するであろう。隣接するサイクルにおけるバンチ(例えば、陽子402a−b)は、残留飛程検出器が直後のサイクルにおいて衝突する陽子を検出するように時間内に元に戻る場合、画像分析またはマップ再構築のために使用され得る。
【0034】
図5は、
図1−2のシステム100の残留飛程検出器110を実装するために使用され得る、残留飛程検出器500を描写する。残留飛程検出器500は、いくつかの実施例では、バルクシンチレータ材料である、シンチレータ材料502を含む。シンチレータ材料502は、シンチレータ材料502内に生成される光子のための反射防止表面を提供する、封入体504内に含有され得る。代替として、シンチレータ材料502はまた、シンチレータ材料502の表面(例えば、表面506)上に堆積される反射防止コーティング(例えば、薄フィルム)を有し得る。光子508が、経路510に沿ってシンチレータ材料508に入射する陽子によって、シンチレータ材料502内に生成される。直接光子のみが、光子検出器512によって収集され、これは、光収集効率および速度を増強する。
【0035】
図6は、
図2のシンチレータ材料112に結合される光子検出器の複数の単位セルパターンを図示する。光子検出器の結合場所は、円620によって示される。実施例602のパターンは、正方形単位セルパターン604である。実施例606のパターンは、長方形単位セルパターン608である。実施例610のパターンは、多角形単位セルパターン612である。実施例614のパターンは、単一の検出器のみが存在する正方形パターン616である。トレードオフが、どのパターンが選択されるかを左右し、例えば、非常に高い精度が要求され、コストおよび嵩高さが問題ではない場合、多角形単位セルパターン612が、選択され得る。
【0036】
図7は、残留飛程検出器700と、シンチレータ材料と相互作用する陽子によって生成される、シミュレートされた生成された光子702とを描写する。円704は、シンチレータ材料に結合される光子検出器の場所を描写する。光子検出器は、ある数の生成された光子702を捕捉し、捕捉された光子の数を表す対応する電気信号を生産する。残留飛程検出器700の収集効率は、陽子がシンチレータ材料に入射した場所に基づいて変動する。より低い収集効率は、陽子の残留飛程においてより高い不確定性をもたらし得る。例えば、残留飛程検出器700の象限に関するデータを表す、グラフ706の不確定性データに関して、(xまたはy軸に沿って中心から遠い)シンチレータ材料の縁における収集効率は、シンチレータ材料の側が反射防止性であるため、より低い。これは、残留飛程検出器700の縁に近接する残留飛程に関してより高い不確定性をもたらす。グラフ706はまた、光子検出器がシンチレータ材料に結合されている場所の間において陽子がシンチレータ材料に入射するとき、より高い不確定性が生じ得ることを示す。
【0037】
図8は、残留飛程検出器800と、異なる構成の光子検出器(図示せず)を用いてシミュレートされた生成された光子802とを描写する。光子検出器がシンチレータ材料に結合される場所を表す円804の場所によって分かり得るように、残留飛程検出器800内の光子検出器は、
図7の残留飛程検出器700においてよりも近接してともに離間される。グラフ806の残留飛程不確定性において分かり得るように、残留飛程検出器800内で密接に離間された光子検出器は、
図7の残留飛程検出器700と比較して、残留飛程検出器800の中心に入射する陽子の残留飛程をより少ない、かつより均一な不確定性で判定することができる。しかしながら、残留飛程検出器800の縁における不確定性は、
図7の残留飛程検出器700の縁における不確定性よりも高い。
【0038】
それぞれ、
図7および8の残留飛程検出器700および700間の性能における差異は、残留飛程検出器が有利な仕様に従って構成され得ることを示す。高正確度および広い検出フィールドに関して、多数の密接に離間された光子検出器が、必要とされ得る。しかしながら、わずかにより低い正確度が許容可能である場合、より少ない数のより広く離間された光子検出器が、コストおよび複雑性を低減させるために使用され得る。
【0039】
図9は、いくつかの実施例では、シンチレータ材料902と、光子検出器904とを有する残留飛程検出器(
図1および2のシステム100の残留飛程検出器110等)を較正するために使用される、検出器利得較正システム900を示す。較正システムはまた、パルス発生器906と、UV LED908と、フォトダイオード910と、拡散器912とを含む。他の例示的較正システムでは、拡散器は、使用されない場合がある。
【0040】
一実施例では、光電子増倍管(PMT)等の4×4アレイの光子検出器を使用する残留飛程検出器では、各PMTは、PMT_ijと標識化され、iおよびjは、各PMTの行および列である。アナログ加算電子機器を使用して、16個の入力信号から3つの出力信号を形成する。これは、16個の代わりに、3つのチャネルがデジタル化チャネルになることを可能にし、これは、電子機器のコストおよびデータ量における大幅な節約となる。3つの出力信号は、合計エネルギー信号Eおよび(行−列座標ではなく)対角方式座標に関する2つの位置依存性信号である。
【0041】
1.Eは、16個のPMT信号の合計である。
【0042】
2.Uは、3×PMT_03+2×PMT_12+…..−3×PMT_30である。
【0043】
3.Vは、3×PMT_00+….−3×PMT_33である。
【0044】
4.随意に、Cは、中央PMTの合計であり、C=PMT_12+21+11+22である。本出力信号は、例えば、デジタイザチャネルが対になり、余剰チャネルが利用可能である場合、使用され得る。
【0045】
陽子残留飛程を再構築するための手順は、2つのステッププロセスを伴う。
【0046】
第1のステップは、
図9に示されるように、LEDパルス化を伴うフォトダイオードに対する個々のPMTの利得を設定および維持することである。フォトダイオードは、任意の前置増幅器の温度および利得安定性を確実にするように注意が払われている限り、安定したユニティ利得を伴う便宜的な基準を提供する。いくつかの場合では、PMT利得は、相互の約25%以内である。これは、検出された光子の数からの統計的誤差においてわずかな増加を引き起こし得る。PMTの利得は、フォトダイオードに対して固定された値に個別に設定および維持され得る。
【0047】
残留飛程検出器900の光収集効率は位置依存性であるため(
図7および8に関する議論参照)、Eは、シンチレータ材料902内の陽子飛跡のXおよびY位置に関して補正され得る。さらに、特定の位置における陽子飛跡に関してE、U、およびV間に変動および相関が存在し、最適な再構成が、これらを考慮し得る。
【0048】
第2のステップは、X、Y、および残留飛程Rの3Dグリッドにおいて陽子を用いて編成される、較正データセットを取得することである。いくつかの実施例では、全ての3つの座標に関して0.5cmのグリッド間隔が、使用される。XおよびYは、追跡システムから判定されることができ、各グリッド点の中心から約0.5mm以内の事象が、選択され得る。X、Y、およびRによって標識化されるグリッド点毎に、平均E、U、およびV、ならびに3D共分散マトリクス(随意に、Cが、4D共分散マトリクスのために含まれることができる)が、後で使用するための較正データとして保存され得る。
【0049】
測定されたX、Y、E、U、Vを伴う個々の陽子に関して、データのグリッドは、残留飛程を再構築するために使用されることができる。仮定された残留飛程に関して、以下のステップが、使用され得る。
【0050】
1.平均E、U、およびV、ならびに共分散マトリクスを最初に飛跡の測定されたXおよびYに補間し、次いで、仮定されたRに補間する。
【0051】
2.測定されたE、U、およびVを使用して、カイ二乗を形成する。
【0052】
3.最小カイ二乗を用いて仮定されたRを見出す。
【0053】
図10は、本技術による、残留飛程検出器(例えば、
図1および2の残留飛程検出器110に類似する残留飛程検出器)に関する実験結果をグラフ1000に描写する。mVの観点から測定されたパルス高は、陽子の残留飛程との略線形な相関を示す。グラフ1000の結果を生産した残留飛程検出器は、10×10×10cm
3の活性体積のプラスチックシンチレータと、2×2アレイのPMTとを含んでいた。
【0054】
図11は、
図11のデータを生産した同一の実験における陽子の1つの飛程設定におけるパルス高の拡散に関するデータを含有する、グラフ1100を描写する。曲線1102は、1つのPMTからの信号である。曲線1104は、合計エネルギー信号である。
【0055】
図12は、追跡平面または検出器シミュレーションに関するデータのグラフ1200を描写する。グラフ1200は、2つの追跡検出器が使用されると、横断位置不確定性がより低くなる(分解能がより良好である)ため、2つの追跡平面(追跡検出器106は、「1つの」追跡平面と見なされるであろう)を使用することが、1つを使用することよりも良好であることを示す。曲線1202は、水の10cm後ろに位置付けられる1つの追跡平面に関する。曲線1204は、水の10cm後ろに位置付けられる2つの追跡平面に関する。曲線1206は、水の10cm後ろに位置付けられる1つの追跡平面に関する。曲線1208は、水の10cm後ろに位置付けられる2つの追跡平面に関する。グラフ1200から分かり得るように、1つの追跡平面とは対照的に、2つの追跡平面を使用することには、いくつかの利益が存在し得る。
図1のシステム100に関して、2つの追跡平面を使用することは、例えば、物体104の片側または両側上で2つの追跡検出器を使用することに対応し得る。いくつかの場合では、ペンシルビームが使用されるとき、入力方向が検出される陽子位置の関数として把握されるため、上流側上の1つの追跡平面のみが、必要である。
【0056】
図13は、
図1および2のシステム100のいくつかの構成要素を搭載するために使用され得る、例示的支持体構造1300を描写する。例えば、支持体構造1300は、基部1302と、軌道1304とを含む。
図1および2の追跡検出器106に対応し得る追跡検出器1306が、軌道1304上に搭載され得、したがって、追跡検出器1306は、基部1302に沿って移動可能である。追跡および残留飛程検出器1308は、追跡検出器(
図1および2の追跡検出器108等)と、残留飛程検出器(
図1および2の残留飛程検出器110等)とを含む。追跡検出器1306のように、追跡および残留飛程検出器1308は、軌道1304上に搭載され、したがって、追跡および残留飛程検出器1308は、基部1302に沿って移動可能である。追跡および残留飛程検出器1308はまた、2つの固有の構成要素に分離され得る。
【0057】
図14は、支持体構造1300のための搭載システム1400を描写する。搭載システム1400は、搭載アーム1402と、搭載基部1404とを含む。いくつかの実施例では、搭載アームおよび/または搭載基部1404は、追跡検出器1306と追跡および残留飛程検出器1308との間の物体の処置または撮像のために有用であるように、支持体構造1300を異なる位置に位置付けるように調節可能または制御可能である。他の例示的搭載システムは、物体が撮像されている角度を回転させる能力を含むことができる。これらのシステムを用いて、本技術のいくつかの実施形態は、物体についての3Dデータを生産するトモグラフィ撮像システムを実装するために使用されることができる。
【0058】
本技術の開示される検出器のいくつかの実施形態は、同一物が、設備がブラッグピークの効果を完全に実現する最適な処置を効率的かつ確実にもたらすことを可能にするであろうため、陽子放射線療法の実践を一変させることができる。上記に言及されるように、ブラッグピークは、陽子またはいわゆる重イオン等の粒子が、放射線療法のために腫瘍を精密に標的とすることを可能にする一方、従来の放射線療法と比較したとき、健常組織をより少ない線量に暴露する。しかしながら、陽子放射線療法は、陽子ビームが腫瘍内で停止するよう患者内で正しい飛程を有するように、精密な患者整合および陽子初期エネルギーの調節を要求する。陽子ビームの飛程を調節するために、処置計画は、相対的阻止能または水と比較した材料におけるビームの陽子のエネルギー損失の観点から、患者の3次元マップを使用する。典型的には、そのようなマップは、x線コンピュータトモグラフィ走査から取得されるが、しかしながら、x線吸収ユニット(Hounsfield)を相対的阻止能に変換する際に不確定性または誤差が存在し、患者不均質性が、付加的不確定性を導入する。さらに、金属インプラントまたは他の高密度材料が、シャドウイングアーチファクトおよびストリーキングを引き起こし得る。
【0059】
陽子技術は、未成熟であり、不確定性マージンは、多くの場合、現代の光子療法に関するものを上回る。したがって、整合不確定性を低減させ、より多くの陽子方向を使用するより複雑な処置を可能にし、処置毎に腫瘍により多くの線量を送達し、1.0mm飛程内等の精度まで飛程不確定性を低減させる明確な必要性があることが想定される。頻繁な撮像を使用するそのような改良は、従来の放射線療法に対して陽子療法のコスト効果を改良するために、患者スループットにおける改良が付随するべきであると想定される。陽子療法設備を構築および保守するための有意な費用が、主要な不利点として認識されており、これは、よりコンパクトなシステムおよび単一部屋選択肢の開発によって、最近になって低減されている。新しい撮像技術は、複雑性および費用を追加するのではなく、患者オペレーションを合理化および簡略化するように陽子療法システムにシームレスに統合されるべきであると想定される。本技術の実施形態の特徴または側面は、そのような利益およびさらなる利益を提供し得る。
【0060】
例えば、本技術の検出器の実施形態は、患者の前および/または後の個々の陽子の横断位置を測定するための少なくとも1つの追跡検出器と、患者内に吸収される陽子エネルギーを判定するための残留飛程検出器とを活用し得る。陽子線写真法は、単一の投影角度を伴う2次元画像を生産し、x線吸収能ではなく、患者を通して陽子飛程を直接定量化する。デジタル的に再構築された放射線写真が、以前のx線コンピュータトモグラフィ走査から導出され、陽子線写真と比較され、相対的阻止能マップおよび患者整合を検証および改良することができる。対照的に、陽子コンピュータトモグラフィは、多くの投影角度から多くの陽子履歴を取得し、高度な反復再構築アルゴリズムを提供することによって、患者の3次元相対的阻止能マップを測定する。陽子コンピュータトモグラフィは、陽子線写真法と同一または類似する検出器技術を活用し得るが、陽子コンピュータトモグラフィは、典型的には、さらなる動作複雑性を有し、より大きなデータ量を生産し、全ての方向において患者を横断するために十分に高い陽子エネルギーを使用する。加えて、本技術の検出器の実施形態は、患者を横断するために十分なエネルギーを伴う陽子を使用して2次元画像を生産する陽子線写真法システムを商品化するために活用され得る。後続放射線処置が、腫瘍内で終端するより低エネルギーのより高強度のビームを使用する。撮像および処置の両方のための陽子ビームの使用は、患者設定および品質保証手技を合理化し、整合不確定性を低減させ、飛程不確定性を低減させる。
【0061】
現在、放射線療法は、毎年癌と診断される1,600万人のアメリカ人の50%を上回る人に必要とされている。Mayo Clinicからの控えめな推定では、米国内の毎年137,000人の新たな癌患者が、陽子療法から利益を享受し得るが、現在のキャパシティを優に上回る。陽子放射線療法は、潜在的に、大量の正常組織を低から中程度の放射線量から免れさせ、内臓へのリスクを回避することができる。これは、晩発的影響を低減させ、生活の質を向上させ、特に、高治癒率および長期生存期間を伴う患者に対して重要である。American Society of Therapeutic Radiation Oncologyによって発行された方針綱領は、陽子ビーム療法が、多数の小児患者、特に、脳腫瘍を伴う患者において、ならびに重要構造に近接近する高線量を要求するある成人癌にとって特に有用であることを確認する科学的根拠を引用している。乳房、前立腺、および肺等の他のより一般的な癌疾患部位に関する付加的研究が、米国内の陽子療法施設から全ての3つの疾患部位における患者を集める臨床治験によって進行中である。現在、合計56の処置室を伴う16の陽子療法施設が、米国内で稼働しており、それを上回る多くのものが、開発中である。本技術の実施形態の検出器は、患者毎に個別に調整されるブロードビームではなく、急速に標準になりつつあるペンシルビーム走査を使用する全ての処置室における日常使用のために適合される潜在性を有する。
【0062】
本技術の検出器のいくつかの実施形態は、非複雑性であり、軽量であり、大きいフィールドサイズに容易にスケール変更され、患者スループットにおける障壁を回避するように高速で動作し、患者を所与の分解能に対して最小可能線量に暴露する。陽子線写真法は、嵩張る設計に起因して現在日常的に使用されておらず、臨床環境に組み込むことが高価かつ困難である。代替は、患者の後方の単一検出器平面を使用し、陽子エネルギーを変動させ、患者を通した飛程を見出すことであると想定される。しかしながら、本アプローチの欠点は、例えば、殆どの陽子が測定に寄与しないための陽子線量の非効率的な使用、陽子が追跡されないための空間分解能不良、および撮像のためにブロードビームを使用することによって、ペンシルビーム走査システムの場合に処置と同一のビームシステムを使用しないことを含む。
【0063】
本技術の検出器のいくつかの実施形態は、高速シンチレーション検出器技術を活用し、高性能設計は、非複雑性かつモノリシックであり、それによって、構築コストを削減する。例えば、低チャネル数が、電子機器開発コストを最小限にするために活用され、陽子あたり3.0mmまたはそれよりも良好な残留飛程分解能が、達成される。本レベルでは、飛程分解能は、典型的な患者寸法に関する検出器測定値ではなく、固有の飛程変動によって左右される。これは、画像を形成するために多くの陽子からの測定値を平均化する、陽子線写真法の好ましい線量性能を達成するために有用である。1.0μGy(マイクログレイ)と同程度に低い線量が、正方形ピクセル毎に1.0mmの水等価経路長(WEPL)における分解能のために可能である。
【0064】
本技術の検出器のいくつかの実施形態は、毎秒最大1,000万個の陽子の測定を可能にし、10ナノ秒と同程度に近くで個々の陽子を分解する。加速器システムが、
図3に図示されるように、そのRFキャビティの周波数における陽子バンチを送達し、RF周波数は、100MHzと同程度に高い。撮像のための低強度ビームの場合では、殆どのバンチは、空であり、残りのバンチは、単一の陽子を含有するであろう。10MHzの陽子ビームが、100ナノ秒の平均値だけ分離された陽子を有し、ランダムな分離分布が、時間において10ナノ秒と同程度に近いであろう。
図3と関連して上記に留意されるように、バンチのごく一部が、2つまたはそれを上回る陽子を有するであろう。これらは、分析のために排除され得るが、依然として、線量に寄与するであろう。有利なこととして、そのような速度は、実施例として、20×20cm
2のフィールドが、正方形ピクセル毎に1mmのWEPLにおける分解能を伴う1秒未満のビーム時間で撮像されることを可能にする。
【0065】
本技術の検出器のいくつかの実施形態は、特に、ペンシルビーム走査システムに対して有利である。ペンシルビームは、検出器の同一領域に連続的に当たる陽子をもたらし、高事象率能力を達成する課題を追加する。さらに、撮像および処置の両方のためのペンシルビームの使用は、例えば、ブロードビームを用いた撮像と比較して、整合および品質保証のために非常に強力であろう。さらに、ペンシルビーム位置設定情報は、位置再構築に冗長性を追加することができ、これは、核散乱または他の問題を伴う事象を排除するために有用である。さらに、ペンシルビーム走査システムは、以前のx線コンピュータトモグラフィ走査から取得されるように、その領域において推定される飛程に基づいて、陽子線写真のためのフィールドを領域毎に異なる陽子エネルギー設定を伴う領域に分割するために使用されることができる。これは、ビームが患者を横断して走査する際、本システムが陽子に関する低残留飛程を維持することを可能にし、例えば、残留飛程検出器が、10.0cmまたはそれを下回るもの等、より薄くなり、処置面積において重量および体積を節約し、読出をより容易にし得ること、陽子に関するより低い合計飛程が、線量に対して飛程分解能のためにより最適であり、より低い飛程がまた、核相互作用に対するより少ない陽子損失をもたらし、これがまた、所与の画像品質に対してより低い線量をもたらすことを含む、いくつかの利益を有する。
【0066】
本技術の検出器のいくつかの実施形態は、開示される追跡検出器において0.3mmまたはそれよりも良好な横断位置分解能または「ヒット」分解能を可能にする。物質内の陽子の連続的多重散乱は、空間分解能を限定する。患者の前後で陽子横断位置を測定することは、患者を通した経路上の典型的な不確定性を0.5mmの深度の関数とすることを可能にし、ヒット分解能に関する基準を設定することができる。多重散乱は、より低エネルギーの陽子の可能性が高く、したがって、残留飛程を限定するためにより低いエネルギーの陽子を使用する方略は、飛程分解能および実用性に関して最適であるが、空間分解能に関して潜在的な欠点を有する。飛程分解能が、典型的には、優先されるが、余剰空間詳細を必要とする患者に対する回避策は、飛程検出器の前に付加的受動材料を伴うより高エネルギーのビームを使用することであろう。分解能および線量のトレードオフは、次いで、標準アプローチと類似するであろう。
【0067】
いくつかの実施例では、本開示の残留飛程検出器は、長方形体積のシンチレータを備え、広い面積の光電子増倍管のアレイが、陽子ビームの下流側上に搭載される。陽子は、シンチレータ内で停止し、数ナノ秒以内に多数のシンチレーション光子を生成する。高速信号を取得するために、光電子増倍管によって占有されていない側は、光子を吸収するための反射防止材料を用いて塗装または被覆され、光電子増倍管は、壁から散乱しなかった直接光子のみを収集する。光電子増倍管からの信号は、合計エネルギー信号を生産するように合計されるだけではなく、X位置信号およびY位置信号を生産するように重み付けされ得ることが想定される。また、事象あたり3つの信号(合計エネルギー、X位置、Y位置)のみを記録することによって、電子機器コストおよびデータ量における主要な利点が、達成または実現される。直接光子収集の高速度は、シンチレーション光を収集するためにはるかに多くの時間がかかり、最終的に、パルス高対残留飛程傾向における非線形性に起因して、マップ再構築において誤差を導入する反射表面を伴う従来の設計と比較して、別の主要な利点である。モノリシック設計は、測定値の残留飛程を限定する方略と組み合わせられて、重量を削減し、線量を最適化する主要な利点を有する。別の利益として、位置測定値が、残留飛程検出器から取得され、非弾性散乱等の問題を伴う事象を排除するために有用な余剰冗長性を追加する。
【0068】
少なくとも
図10−11に図示されるように、10×10×10cm
3の活性体積のプラスチックシンチレータと、2×2アレイの光電子増倍管とから成る残留飛程検出器と、ペンシルビームとを用いた結果が、取得された。残留飛程に対する合計エネルギー信号のパルス高の依存性は、光子生産および収集効率の畳み込みの結果であり、略線形である。各飛程設定におけるパルス高の狭い拡散は、飛程分解能目標が達成されたことを示す。加えて、少なくとも
図5に図示されるように、パルス化発光ダイオードが、光電子増倍管利得較正のために使用され得る。そのような技法は、非常に安定したフォトダイオードと比較することによって、一定の利得を維持するために使用され得る。
【0069】
本開示の追跡システムは、少なくとも
図4に図示されるように、シンチレーティングファイバおよび多アノード光電子増倍管に基づく。いくつかの実施形態では、1.0mm
2のファイバが、使用され、XおよびY座標に関して、それぞれ、2つの層を伴う。異なる層において隣接するファイバが、単一の光電子増倍管チャネルに束ねられ、陽子が、視野あたりわずか1チャネルにおいて検出され得る。ある下地材料とともに、各追跡平面または検出器の合計幅は、約0.5cmであり得、約0.3mmの典型的なヒット分解能を提供し得る。38.4×38.4cm
2のフィールドサイズが、いかなる間隙も伴わない全フィールドカバレッジを可能にし得る。他の実施例も、可能であり、各実施例は、特定実装であり得る。
【0070】
開示されるようなペンシルビームおよび位置感受性飛程検出器を使用することは、例えば、トラッカを側方に、XおよびYに関する直交方向に、幅が3.2cmのストリップにセグメント化することによって、従来の設計に対して、光センサおよび電子機器チャネルの数を12分の1に削減することを可能にする。ファイバは、異なるストリップ内の同一の位置から、単一の光電子増倍管アノードに束ねられる。追跡システムは、ストリップ内の位置を精密に測定し、ペンシルビーム設定または陽子線写真からの情報が、次いで、陽子がどのストリップ内にあったかを示すであろう。いくつかの実施形態では、単一のX−Y追跡平面に関するチャネルの合計数は、64チャネルであり得、単一の多アノード光電子増倍管を用いて読み出されることができる。閾値検出アルゴリズムに基づいて、所与の事象に関してヒットするチャネルのみが、記録される必要がある。パルス幅は、約10ナノ秒であり得る。比較して、10MHzのペンシルビームに関して、ビーム内のファイバに関するヒット間の平均時間は、約1,000ナノ秒であろう。したがって、低重複確率が、達成される。
【0071】
WEPLの観点からの追跡平面の厚さが、トレードオフであり、シンチレーティングファイバ間にいかなる間隙も伴わない大きいフィールドサイズに拡張可能である、本開示の非複雑性高速システムに関して、価値のあるトレードオフである。トレードオフは、所与の分解能に関してわずかに高い線量を伴い、相対的線量増加は、撮像されるべき物体を含む、相対的材料増加とほぼ同一である。例えば、余剰の1cmの追跡材料は、20cmの物体を撮像するために線量を5%だけ増加させるであろう。将来的により最適化された設計を用いて、2%または3%を得ることが、可能であり得る。しかしながら、はるかに大きい利得が、上記に説明されるように、残留飛程測定のための方略を最適化することによって可能である。
【0072】
本技術の検出器のいくつかの実施形態は、最大10MHzの平均陽子速度、ならびに20ナノ秒と同程度に少ない時間内に、またはそれを下回る時間内に分離された陽子の飛程および位置の測定において活用される。検出器が隣接するバンチにおける事象を分解できない場合、これらの事象は、破棄される必要があり、所与の画像品質に関して線量をわずかに増加させるであろうことが想定される。加えて、光電子増倍管の利得は、低飛程事象に対して良好な信号対雑音を取得するために十分に高くなるべきであるが、特に、10MHzにおいて動作するとき、高飛程(高いパルス高)事象に対して光電子増倍管の電流限界内に留まるために十分に低くなるべきであることが想定される。
【0073】
本技術の検出器のいくつかの実施形態は、感受性検出器面積を横断して3.0mmまたはそれよりも良好なWEPLにおける陽子あたり分解能を実証するために活用される。これは、患者への線量に対する陽子飛程分解能を最適化するための重要な仕様である。あまり良好ではない分解能も、依然として、機能的であろうが、患者への増加された線量をもたらすであろう。画像が、1mmまたはそれよりも良好な分解能を取得するために、多くの陽子測定値を平均化するであろう。安定した光電子増倍管利得が、そのような分解能を達成するために重要であり得る。頻繁かつ効率的な較正方略および代替光電子増倍管選択肢が、考慮され得る。
【0074】
本技術の検出器の実施形態は、良好な空間分解能を維持するために、0.3mmの横断位置分解能を用いて、追跡平面あたり97%を上回る陽子検出効率を実証するように活用され得る。検出されない陽子は、画像分解能を改良することなく線量を増加させる。検出効率が十分に高くない場合、光収率が、設計を通して増加され得る。代替は、付加的材料を追跡検出器に追加する欠点を伴う、より厚いシンチレーティングファイバを使用すること、広い面積を伴うシリコン光電子増倍管センサが、アクセス可能であり、より高い量子効率を用いて、多アノード光電子増倍管の代替となり得ることを含む。
【0075】
較正に関して、LEDパルス化が、フォトダイオードに対して光電子増倍管利得を維持する。フォトダイオードは1.0の利得で非常に安定しているため、
図7の概念は、非常に効果的である。陽子ビームデータが、次いで、合計エネルギー信号、x位置信号、およびy位置信号を較正するために使用される。較正データは、フィールドおよび陽子残留飛程を横断する横断位置の3次元グリッドにおいて取得され得る。データは、測定された合計エネルギー信号、x位置信号、およびy位置信号の座標を伴う次元グリッドにおいてビン分割されることができる。ビン毎に、平均の真のエネルギー、x位置、およびy位置が、記憶される。任意の事象に関して、次元グリッドは、ルックアップテーブルとして使用され、有用である場合、測定された量から真の量を補間することができる。
【0076】
本開示の残留飛程検出器の性能に関して、測定値は、陽子の停止点であるため、飛程スタックが、本質的に、測定値における飛程ストラグリングを追加する。同様に、セグメント化された熱量計が、陽子が停止するセグメントの前のセグメントにおける材料から飛程ストラグリングを追加する。本開示の残留飛程検出器のモノリシック設計は、測定値の残留飛程を限定する方略と組み合わせられて、残留飛程測定値が、飛程検出器自体の材料によってではなく、陽子が患者から出射するときの飛程ストラグリングによって限定されている可能性等のいくつかの利点を有する。飛程分解能が向上するにつれて、送達される線量が2乗に比例して減少するため、これは、有意な影響を及ぼし得る。また、残留飛程を限定することは、核散乱に失われる陽子の割合を低減させ、再び、線量性能を改良する。また、別の利益として、残留飛程検出器における位置測定値が、取得され、例えば、核散乱を排除するために有用な余剰冗長性を追加する。
【0077】
陽子線写真法対陽子コンピュータトモグラフィに関して、陽子線写真法は、患者を通して飛程をチェックする一方、陽子コンピュータトモグラフィは、潜在的に、腫瘍への飛程を直接測定する。陽子コンピュータトモグラフィは、はるかに多くのデータ、ビーム時間、分析、動作複雑性、および全ての方向から撮像するために十分に痩身の患者を使用する。臨床医との対話を通して、実践的飛程チェックが非常に有用であり、長期の陽子コンピュータトモグラフィ開発よりも優先順位が高いことが見出されている。陽子線写真法のための方略は、例えば、処置計画のためにx線コンピュータトモグラフィ走査に継続して依拠すること、計画されたフィールド毎に、整合および飛程チェックのために実際の陽子線写真と比較されるその方向から予期される陽子線写真を示すシミュレーションを前もって準備すること、所望される場合、処置方向に加えて、付加的方向からの飛程チェックが行われ得ること、患者が処置方向において過度に厚い場合、飛程チェックおよび整合が、別の方向から可能であり得ること、患者が全ての方向から過度に厚い場合、整合チェックが、依然として、患者の縁を使用して可能であること、飛程チェックが合格する場合、腫瘍への飛程における誤差が、腫瘍の後方の欠損と合致する腫瘍の前の余剰物質によって、予期せぬキャンセルを伴う必要があるであろうことを含み得る。
【0078】
上記に議論される方法、システム、およびデバイスは、実施例である。種々の構成が、必要に応じて、種々の方法ステップまたは手順、またはシステム構成要素を省略、代用、または追加し得る。例えば、代替構成では、本方法は、説明されるものとは異なる順序において実施され得る、および/または種々の段階が、追加され、省略され、および/または組み合わせられ得る。また、ある構成に関して説明される特徴は、種々の他の構成において組み合わせられ得る。本構成の異なる側面および要素が、類似する様式で組み合わせられ得る。また、技術は、進歩しており、したがって、要素の多くは、実施例であり、本開示または請求項の範囲を限定しない。
【0079】
本説明は、例示的構成のみを提供し、請求項の範囲、可用性、または構成を限定しない。むしろ、本構成の前述の説明は、当業者に説明される技法を実装することを可能にする説明を提供するであろう。種々の変更が、本開示の精神または範囲から逸脱することなく、要素の機能および配列において成され得る。
【0080】
また、構成が、フロー図またはブロック図として描写されるプロセスとして説明され得る。それぞれは動作を連続的プロセスとして説明し得るが、動作の多くは、並行して、または同時に実施されることができる。加えて、動作の順序は、再配列され得る。プロセスは、図に含まれない付加的ステップを有し得る。さらに、本方法の実施例は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、ミドルウェア、マイクロコード、ハードウェア記述言語、またはそれらの任意の組み合わせによって実装され得る。ソフトウェア、ファームウェア、ミドルウェア、またはマイクロコードにおいて実装されるとき、タスクを実施するためのプログラムコードまたはコードセグメントは、非一過性記憶媒体等の非一過性コンピュータ可読媒体内に記憶され得る。いくつかの実施例では、1つまたはそれを上回るプロセッサが、説明されるタスクを実施する。
【0081】
さらに、本明細書に説明される例示的実施形態は、ネットワーク化コンピューティングシステム環境内のコンピューティングデバイス内の論理動作として実装され得る。論理動作は、(i)コンピューティングデバイス上で起動する一連のコンピュータ実装命令、ステップ、またはプログラムモジュールおよび(ii)コンピューティングデバイス内で起動する相互接続された論理またはハードウェアモジュールとして実装され得る。
【0082】
本主題は、構造的特徴および/または方法論的行為に特有の言語で説明されたが、添付される請求項に定義される主題は、必ずしも、上記に説明される具体的特徴または行為に限定されないことを理解されたい。むしろ、上記に説明される具体的特徴および行為は、請求項を実装する例示的形態として開示される。
前記方法は、前記少なくとも1つの光子検出器の位置が前記第1の追跡検出器または前記第2の追跡検出器の位置と合致していない場合、事象を排除することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
前記少なくとも1つの光子検出器は、複数の光子検出器のうちで最も強い信号を生成し、前記少なくとも1つの光子検出器の位置は、前記最も強い信号が前記第1の追跡検出器または前記第2の追跡検出器の位置と相関していない場合、前記第1の追跡検出器または前記第2の追跡検出器の位置と合致しない、請求項6に記載の方法。
前記方法は、前記少なくとも1つの光子検出器の位置が前記第1の追跡検出器または前記第2の追跡検出器の位置と合致していない場合、事象を排除することをさらに含む、請求項11に記載の方法。
前記少なくとも1つの光子検出器は、複数の光子検出器のうちで最も強い信号を生成し、前記少なくとも1つの光子検出器の位置は、前記最も強い信号が前記第1の追跡検出器または前記第2の追跡検出器の位置と相関していない場合、前記第1の追跡検出器または前記第2の追跡検出器の位置と合致しない、請求項18に記載の方法。