【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、飲食物収容容器の外径が購入者の手にとって大きい場合には(例えばラージサイズ)、その購入者が各片手でその飲食物収容容器をそれぞれ持つことは容易ではない。また、一人の購入者が飲食物収容容器を同時に3つ以上持ち帰りたい場合があり、そのような場合には、最早、その数の全部を手で持って帰ることはできない。
【0006】
このような場合、厚紙を用いて形成された搬送用具を用いることが考えられる。この搬送用具は、厚紙を折り込むことによりベースを形成し、そのベース上面に飲食物収容容器の下部を嵌め込むための凹所を複数形成することとなっており、複数の飲食物収容容器を同時に持ち運ぶに当たり、その各凹所に飲食物収容容器の下部をそれぞれ嵌め込んだ上で、そのベースを手で持って運ぶこととなる。しかし、上記搬送用具を用いて多くの数の飲食物収容容器を持ち運ぼうとした場合、それに応じた多数の凹所を形成するためのベース上面の面積を大きくすると共に、そのベースの強度を高めなければならない。その一方で、上記搬送用具は、一人の購入者が持ち運べるベース上面の平面的な大きさには自ずと限界があり、これに伴い、そのベース上面に形成される凹所の数は制約されることになる。
【0007】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたもので、その目的は、持ち運ぶことができる飲食物収容容器の数を効率的に高めることができる飲食物収容容器用蓋及びその蓋を用いた飲食物収容容器を提供することにある。
【0008】
前記目的を達成するために本発明にあっては、下記(1)〜(9)とした構成とされている。
【0009】
(1)容器本体の開口を覆う天面板部と、該天面板部の外周側から該天面板部の裏面側に連続的に伸びて前記容器本体の開口を前記天面板部が覆うようにされたとき該容器本体の開口周縁部に係合可能となる側周壁部と、を備える飲食物収容容器用蓋において、
前記天面板部の表面に、少なくとも、前記容器本体の下部が嵌合できる凹所が形成されている構成とされている。
【0010】
上記構成によれば、当該蓋をもって容器本体の開口を施蓋すれば、その蓋における凹所に別の飲食物収容容器の下部を嵌合できることになり、飲食物収容容器を順次、倒すことなく安定した状態で積み上げることができ、飲食物収容容器を積み上げた状態で支障なく持ち運ぶことができる。このため、当該蓋における天面板部に凹所を形成するだけの簡単な構成により、飲食物収容容器を手で直接もって運ぶ場合、搬送用具を用いる場合のいずれの場合でも、持ち運ぶことができる飲食物収容容器の数を増大させることができ、持ち運ぶことができる飲食物収容容器の数を効率的に高めることができる。また、当該蓋を容器本体から外して飲料を飲むに際しては、当該蓋の側周壁部が区画する領域の径(側周壁部先端(下端)における径)が凹所の径(容器本体の底面外径)よりも大きいことから、当該蓋の凹所に容器本体の下部を嵌合してその蓋(側周縁部先端(下端))を介して容器本体をテーブル上面等の載置面に載置したときには、テーブル上面等の載置面に容器本体自体を載置する場合よりも、安定性を高めることができる。このため、特に、振動を生じる乗り物等において、当該蓋を、容器本体の転倒防止を高める容器受け又はコースタとして用いることができる。
【0011】
(2)前記(1)の構成の下で、
前記凹所の内周壁が、該凹所の開口から該開口に近い側において、前記容器本体の下部を緩嵌合するための緩嵌合部として形成されている一方、該凹所の内周壁には、該緩嵌合部よりも凹所の底部側において、該容器本体の下部を密嵌合するための密嵌合部が形成されている構成とされている。
【0012】
この構成によれば、当該蓋が用いられる容器本体とは異なる別の容器本体の下部を当該蓋の凹所に嵌合するに当たり、その容器本体の下部を、緩嵌合部に容易に進入させた上で、密嵌合部に押し込むことができ、凹所に対して容器本体の下部を容易に密嵌合状態で嵌合することができる。
【0013】
(3)前記(1)の構成の下で、
前記凹所の内周壁は、該凹所の底部から開口に向けて段階的に拡径されて、内径が異なった複数の内周壁部をもって形成され、
前記複数の内周壁部のうちの一つが、前記容器本体の下部を嵌合するための内周壁部とされ、
前記複数の内周壁部のうちの他のものが、前記容器本体の下部外径とは異なる下部外径を有する容器本体の下部を嵌合するための内周壁部とされている構成とされている。
【0014】
上記構成によれば、下部外径が同じである容器本体の下部だけでなく、下部外径が異なる容器本体の下部を当該蓋の該当内周壁部に嵌合できることになり、当該蓋を用いれば、飲食物収容容器上に、同一の下部外径の飲食物収容容器だけでなく、異なった下部外径の飲食物収容容器を積み上げ保持でき、便宜性を高めることができる。
【0015】
(4)前記(3)の構成の下で、
前記複数の内周壁部のうちの一つが、前記凹所の底部から立ち上がる下段側内周壁部とされ、
前記複数の内周壁部のうちの他のものが、前記下段側内周壁部の上側において、段差部を経て拡径された状態の下で前記凹所の開口にまで立ち上がる上段側内周縁部とされている構成とされている。
【0016】
この構成によれば、当該蓋が用いられる容器本体と同じ下部外径を有する容器本体の下部を下段側内周壁部に嵌合でき、その容器本体の下部外径よりも大きい下部外径を有する容器本体の下部を上段側内周壁部に嵌合できることになり、当該蓋上に、下部外径が異なる2種類の容器本体のいずれかを安定的に積み上げることができる。
【0017】
(5)前記(1)〜(4)のいずれかの構成の下で、
前記凹所の内周壁に、該凹所の開口から底部内面に至る溝が形成されている構成とされている。
【0018】
この構成によれば、溝は、当該蓋のブレ止めと回転防止、さらには、当該蓋の積み重ね時のブロッキングを防止するだけでなく、飲食物収容容器内に冷たい飲食物を収容した状態の下で、当該蓋を容器受け又はコースタとして使用すべく、その容器本体の下部を当該蓋の凹所に嵌合したときには、その容器本体の外側側面に結露が生じても、その結露水をその容器本体の外側側面を伝って落下させ、その結露水を、溝を利用してさらに凹所内に落とし込むことができる。このため、容器本体における外側側面から結露水を排除できると共に、その結露水を視認できない状態(凹所内に収容状態)として、飲食物収容容器の使用時の見栄えを向上させることができる。
【0019】
(6)前記(1)〜(5)のいずれかの構成の下で、
前記側周縁部の先端が、載置面に対する載置端として、前記凹所の底部よりも該凹所底部の裏面側外方に位置されている構成とされている。
【0020】
この構成によれば、当該蓋の凹所に容器本体の下部を嵌合して当該蓋を容器受け又はコースタとして用いるときには、側周縁部のきわめて細い先端(下端)だけが伝導面積として載置面に当接し、載置面と当該蓋の裏面との間には断熱層としての空気層が存在することになる。これにより、容器本体内に収容される飲食物の温度が変化することを極力抑制することができる。
【0021】
(7)前記(1)〜(6)のいずれかの構成の下で、
飲み口が、前記凹所の径方向外方位置に設けられて、飲料容器用蓋とされている構成とされている。
【0022】
この構成によれば、飲み口を有する飲料容器用蓋であっても、前述の(1)と同様の作用効果を得ることができる。
【0023】
(8)前記(7)の構成の下で、
前記飲み口が、前記天面板部表面から上方に突設され、
前記飲み口の先端面に、前記天面板部の表面側と裏面側とを連通する飲料流出入孔が形成され、
前記飲み口には、該飲み口における先端面の外側縁から前記側周縁部の先端側に向けて垂下する縦壁部が形成され、
前記縦壁部のうち、前記飲み口における先端面の外側縁に連続する部分が、該飲み口における先端面の外側縁よりも内方側に引っ込むように傾斜されている構成とされている。
【0024】
この構成によれば、飲み口先端面と、縦壁部のうち、飲み口先端面の外側縁から連続する部分とが、尖った形状を形成しており、その尖った形状の先端(飲み口先端面の外側縁又は縦壁部の上端)に至った飲料は、微視的には、表面張力に基づき、その粒形化(接触角の増大化)、その増径化が促進される傾向となり、その粒形化した飲料の重量は、飲み口先端面の外側縁部分での表面張力に基づく引っ張り力に早期に打ち勝つことになる。このため、飲料を飲む者が飲み口から口を外したときには、同時に、飲み口先端面の外側縁において、飲料の液切れが的確に行われ、飲料の液滴が縦壁部を伝うような事態の発生を防止できる。また、縦壁部は、飲み口先端面の外側縁に連続する部分と、それに続く部分と、その両者が形成するへこみ部分とを形成することになり、飲料を飲む者の下唇を縦壁部に沿わせつつ、上記各部分により、その下唇の移動を抑制できる。これにより、飲み口に対する飲料を飲む者の口の安定化を図ることができ、飲み易さを高めることができる。
【0025】
(9)有底筒状の容器本体と、該容器本体の開口を施蓋する蓋と、を備え、該蓋が、前記容器本体の開口を覆う天面板部と、該天面板部の外周側から該天面板部の裏面側に連続的に延びて前記容器本体の開口を前記天面板部が覆うようにされたとき該容器本体の開口周縁部に係合可能となる側周壁部と、を備えている飲食物収容容器において、
前記蓋における天面板部の表面に、少なくとも、前記容器本体の下部が嵌合できる凹所が形成されている構成されている。
【0026】
この構成によれば、前述の(1)の蓋を用いることから、持ち運ぶことができる数を効率的に高めることができる飲食物収容容器を提供できる。