【実施例】
【0126】
以下、実施例及び比較例により本発明を説明するが、本発明はこれに限定されるもので
はない。まず、以下の実施例及び比較例における、重合体粒子の体積平均粒子径及び粒子
径の変動係数の測定方法、重合体粒子の製造に使用した種粒子の体積平均粒子径の測定方
法、重合体粒子の製造の固液分離工程におけるX値(濾材を通過した媒体の単位時間当た
りの量(kg/min))の測定方法、重合体粒子の製造の洗浄工程におけるY値(濾材
を通過した洗浄液の単位時間当たりの量(kg/min))の測定方法、重合体粒子にお
ける界面活性剤の含有量の測定方法(液体クロマトグラフ質量分析法(LC−MS−MS
)による測定方法)重合体粒子のTOF−SIMSによる測定方法、重合体粒子のゲル分
率の測定方法、及び、重合体粒子の分散安定化時間の測定方法を説明する。
【0127】
〔重合体粒子の体積平均粒子径及び粒子径の変動係数の測定方法〕
体積平均粒子径は、コールターマルチサイザーIII(ベックマン・コールター株式会
社製測定装置)により測定する。測定は、ベックマン・コールター株式会社発行のMul
tisizer
TM 3ユーザーズマニュアルに従って校正されたアパチャーを用いて実施
するものとする。
【0128】
なお、測定に用いるアパチャーの選択は、測定する重合体粒子の想定の体積平均粒子径
が1μm以上10μm以下の場合は50μmのサイズを有するアパチャーを選択し、測定
する重合体粒子の想定の体積平均粒子径が10μmより大きく30μm以下の場合は10
0μmのサイズを有するアパチャーを選択し、重合体粒子の想定の体積平均粒子径が30
μmより大きく90μm以下の場合は280μmのサイズを有するアパチャーを選択し、
重合体粒子の想定の体積平均粒子径が90μmより大きく150μm以下の場合は400
μmのサイズを有するアパチャーを選択するなど、適宜行う。測定後の体積平均粒子径が
想定の体積平均粒子径と異なった場合は、適正なサイズを有するアパチャーに変更して、
再度測定を行う。
【0129】
又、50μmのサイズを有するアパチャーを選択した場合、Current(アパチャ
ー電流)は−800、Gain(ゲイン)は4と設定し、100μmのサイズを有するア
パチャーを選択した場合、Current(アパチャー電流)は−1600、Gain(
ゲイン)は2と設定し、280μmおよび400μmのサイズを有するアパチャーを選択
した場合、Current(アパチャー電流)は−3200、Gain(ゲイン)は1と
設定する。
【0130】
測定用試料としては、重合体粒子0.1gを0.1重量%ノニオン性界面活性剤水溶液
10m1中にタッチミキサー(ヤマト科学株式会社製、「TOUCHMIXER MT−
31」)および超音波洗浄器(株式会社ヴェルヴォクリーア製、「ULTRASONIC
CLEANER VS−150」)を用いて分散させ、分散液としたものを使用する。
コールターマルチサイザーIIIの測定部に、ISOTON(登録商標)II(ベックマ
ン・コールター株式会社製:測定用電解液)を満たしたビーカーをセットし、ビーカー内
を緩く攪拌しながら、前記分散液を滴下して、コールターマルチサイザーIII本体画面
の濃度計の示度を5〜10%に合わせた後に、測定を開始する。測定中はビーカー内を気
泡が入らない程度に緩く攪拌しておき、重合体粒子を10万個測定した時点で測定を終了
する。重合体粒子の体積平均粒子径は、10万個の粒子の体積基準の粒度分布における算
術平均である。
【0131】
重合体粒子の粒子径の変動係数(CV値)を、以下の数式によって算出する。
【0132】
重合体粒子の粒子径の変動係数=(重合体粒子の体積基準の粒度分布の標準偏差
÷重合体粒子の体積平均粒子径)×100
【0133】
〔種粒子の体積平均粒子径の測定方法〕
種粒子の体積平均粒子径の測定は、レーザー回折・散乱方式粒度分布測定装置(ベック
マン・コールター株式会社製「LS 13 320」)およびユニバーサルリキッドサン
プルモジュールによって行う。
【0134】
測定には、種粒子0.1gを0.1重量%ノニオン性界面活性剤水溶液10m1中にタ
ッチミキサー(ヤマト科学株式会社製、「TOUCHMIXER MT−31」)および
超音波洗浄器(株式会社ヴェルヴォクリーア製、「ULTRASONIC CLEANE
R VS−150」)を用いて分散させ、分散液としたものを使用する。
【0135】
また、上記のレーザー回折・散乱方式粒度分布測定装置のソフトウェアにおいて、ミー
理論に基づいた評価のために必要となる以下に示す光学的なパラメータを、設定する。
【0136】
<パラメータ>
液体(ノニオン性界面活性剤水溶液)の屈折率B.I.の実部=1.333(水の屈折率
)
固体(測定対象の種粒子)の屈折率の実部=種粒子の屈折率
固体の屈折率の虚部=0
固体の形状因子=1
また、測定条件及び測定手順は、以下の通りとする。
【0137】
<測定条件>
測定時間:60秒
測定回数:1
ポンプ速度:50〜60%
PIDS相対濃度:40〜55%程度
超音波出力:8
<測定手順>
オフセット測定、光軸調整、バックグラウンド測定を行った後、上記した分散液を、ス
ポイトを用いて、上記のレーザー回折・散乱方式粒度分布測定装置のユニバーサルリキッ
ドサンプルモジュール内へ注入する。上記のユニバーサルリキッドサンプルモジュール内
の濃度が上記のPIDS相対濃度に達し、上記のレーザー回折・散乱方式粒度分布測定装
置のソフトウェアが「OK」と表示したら、測定を開始する。なお、測定は、ユニバーサ
ルリキッドサンプルモジュール中でポンプ循環を行うことによって上記種粒子を分散させ
た状態、かつ、超音波ユニット(ULM ULTRASONIC MODULE)を起動
させた状態で行う。
【0138】
また、測定は室温で行い、得られたデータから、上記のレーザー回折・散乱方式粒度分
布測定装置のソフトウェアにより、上記の予め設定された光学的なパラメータを用いて、
種粒子の体積平均粒子径(体積基準の粒度分布における算術平均径)を算出する。
【0139】
なお、種粒子の屈折率については、種粒子を構成する重合体の屈折率を入力し測定を実
施した。例えば、後述する実施例及び比較例の製造に使用した種粒子を構成する重合体は
、ポリメタクリル酸メチル又はポリメタクリル酸エチルであるため、既知であるポリメタ
クリル酸メチル及びポリメタクリル酸エチルの屈折率1.495を入力した。
【0140】
〔X値の測定方法〕
固液分離工程において、粗生成物に含まれる媒体を濾材に通過させることを開始してか
ら、前記媒体の濾材の通過を終了させるまでの時間T
1(min)を測定する。また、固
液分離工程において得られた濾液(媒体)の総重量G
1(kg)を計量する。そして、以
下の算出式により、濾材を通過した媒体の単位時間当たりの量X(kg/min)を求め
る。
X(kg/min)=G
1(kg)/T
1(min)
【0141】
〔Y値の測定方法〕
洗浄工程で用いた洗浄液の重量G
2(kg)を測定する。また、洗浄工程において、洗
浄液を濾材に通過させることを開始してから、洗浄工程に用いた洗浄液の重量G
2(g)
の0.8倍の重量の洗浄液が濾材を通過するまでに費やした時間T
2(min)を測定す
る。そして、以下の算出式により、濾材を通過した洗浄液の単位時間当たりの量Y(kg
/min)を求める。
Y(kg/min)=0.8×G
2(kg)/T
2(min)
【0142】
〔重合体粒子における界面活性剤の含有量の測定方法〕
重合体粒子中の界面活性剤の含有量は、重合体粒子を溶媒により抽出し、液体クロマト
グラフ質量分析計(LC/MS/MS装置)を用いて測定する。
【0143】
なお、後述する実施例及び比較例の重合体粒子における界面活性剤の含有量の測定には
、LC/MS/MS装置として、Thermo Fisher Scientific製
の「UHPLC ACCELA」、及びThermo Fisher Scientif
ic製の「Linear Ion Trap LC/MS
n LXQ」を用いた。
【0144】
また、後述する実施例及び比較例における重合体粒子は、界面活性剤として、ジ(2−
エチルヘキシル)スルホコハク酸塩、ポリオキシエチレンスチレン化フェニルエーテル硫
酸エステル塩(後述の式(A)参照)、アルケニルコハク酸塩(後述の式(C)参照)、
及び、ポリオキシエチレンスチレン化フェニルエーテル(後述の式(E)参照)のうちの
少なくとも1つを使用しており、実施例及び比較例の重合体粒子における界面活性剤の含
有量は、以下に示す方法により、測定した。
【0145】
試料としての重合体粒子約0.10gを遠沈管に精秤し、抽出液としてのメタノール5
mLをホールピペットで注加して、重合体粒子と抽出液とをよく混合させる。15分間、
超音波抽出を行った後、3500rpmで15分間遠心分離を行い、これにより得られた
上澄みを試験液とする。
【0146】
この試験液中の界面活性剤濃度をLC/MS/MS装置を用いて測定する。そして、測
定された試験液中の界面活性剤濃度(μg/ml)と、試料として用いた重合体粒子の重
量(試料重量(g))と、抽出液の量(抽出液量(ml))とから、下記算出式により、
重合体粒子中の界面活性剤の含有量(μg/g)を求める。なお、抽出液量は、5mlで
ある。
【0147】
界面活性剤の含有量(μg/g)
={試験液中の界面活性剤濃度(μg/ml)×抽出液量(ml)}÷試料重量(g)
【0148】
なお、界面活性剤濃度は、LC/MS/MS装置を用い、得られたクロマトグラム上の
ピーク面積値から予め作成した検量線より含有量を算出する。また、重合体粒子が、複数
種の界面活性剤を含む場合には、それら界面活性剤の各々について、検量線を作成して、
作成した検量線により界面活性剤濃度を算出し、算出した各界面活性剤の界面活性剤濃度
の合計を、上記算出式における「試験液中の界面活性剤濃度(μg/ml)」として、重
合体粒子中の界面活性剤の含有量を求める。
【0149】
検量線作成方法は、実施例及び比較例で使用した界面活性剤の種類に応じて、以下の通
りである。
【0150】
〔ジ(2−エチルヘキシル)スルホコハク酸塩の検量線作成方法〕
ジ(2−エチルヘキシル)スルホコハク酸塩の約1000ppm中間標準液(メタノー
ル溶液)を調製後、さらにメタノールで段階的に希釈して0.1ppm、0.2ppm、
0.5ppm、1.0ppm、2.0ppmの検量線作成用標準液を調製する。各濃度の
検量線作成用標準液を後述するLC測定条件及びMS測定条件にて測定し、モニターイオ
ンm/z=421.3(プリカーサーイオン)→227.2(プロダクトイオン)のクロ
マトグラム上のピーク面積値を得る。各濃度と面積値をプロットして最小二乗法により近
似曲線(二次曲線)を求め、これを定量用の検量線とする。
【0151】
−ポリオキシエチレンスチレン化フェニルエーテル硫酸エステル塩の検量線作成方法−
ポリオキシエチレンスチレン化フェニルエーテル硫酸エステル塩の約1000ppm中
間標準液(メタノール溶液)を調製後、さらにメタノールで段階的に希釈して0.1pp
m、0.5ppm、1.0ppm、2.0ppm、10.0ppmの検量線作成用標準液
を調製する。各濃度の検量線作成用標準液を後述するLC測定条件及びMS測定条件にて
測定し、モニターイオンm/z=601.4(プリカーサーイオン)→301.2(プロ
ダクトイオン)のクロマトグラム上のピーク面積値を得る。各濃度と面積値をプロットし
て最小二乗法により近似曲線(二次曲線)を求め、これを定量用の検量線とする。
【0152】
−アルケニルコハク酸塩の検量線作成方法−
アルケニルコハク酸塩の約1000ppm中間標準液(メタノール溶液)を調製後、さ
らにメタノールで段階的に希釈して0.03ppm、0.15ppm、0.60ppm、
1.5ppm、3.0ppmの検量線作成用標準液を調製する。各濃度の検量線作成用標
準液を後述するLC測定条件及びMS測定条件にて測定し、モニターイオンm/z=33
9.3(プリカーサーイオン)→295.2(プロダクトイオン)のクロマトグラム上の
ピーク面積値を得る。各濃度と面積値をプロットして最小二乗法により近似曲線(二次曲
線)を求め、これを定量用の検量線とする。
【0153】
−ポリオキシエチレンスチレン化フェニルエーテルの検量線作成方法−
ポリオキシエチレンスチレン化フェニルエーテルの約1000ppm中間標準液(メタ
ノール溶液)を調製後、さらにメタノールで段階的に希釈して0.1ppm、0.5pp
m、2.5ppm、5.0ppm、10.0ppmの検量線作成用標準液を調製する。各
濃度の検量線作成用標準液を後述するLC測定条件及びMS測定条件にて測定し、モニタ
ーイオンm/z=980.5(プリカーサーイオン)→963.2(プロダクトイオン)
のクロマトグラム上のピーク面積値を得る。各濃度と面積値をプロットして最小二乗法に
より近似曲線(二次曲線)を求め、これを定量用の検量線とする。
【0154】
実施例及び比較例で使用した界面活性剤の種類に応じた、LC測定条件は、以下の通り
である。
【0155】
−ジ(2−エチルヘキシル)スルホコハク酸塩、ポリオキシエチレンスチレン化フェニ
ルエーテル硫酸エステル塩、及び、ポリオキシエチレンスチレン化フェニルエーテルのL
C測定条件−
測定装置:UHPLC ACCELA(Thermo Fisher Scientif
ic製)
カラム:Thermo Fisher Scientific製 Hypersil G
OLD C18 1.9μm(内径2.1mm、長さ100mm)
カラム温度:40℃
移動相:(A:10mM酢酸アンモニウム/B:アセトニトリル)
移動相条件:(0min=B濃度90%、0→0.5min=B濃度90%→100%、
0.5→1min=B濃度100%、1→1.1min=B濃度100%→90%、1.
1→3min=B濃度90%)
流量:0.3mL/min
ポンプ温度:室温(25℃)
注入量:2μL
測定時間:3min
【0156】
−アルケニルコハク酸塩のLC測定条件−
測定装置:UHPLC ACCELA(Thermo Fisher Scientif
ic製)
カラム:Thermo Fisher Scientific製 Hypersil G
OLD C18 1.9μm(内径2.1mm、長さ100mm)
カラム温度:40℃
移動相:(A:10mM酢酸アンモニウム/B:アセトニトリル=25/75)
流量:0.3mL/min
ポンプ温度:室温(25℃)
注入量:2μL
測定時間:5min
【0157】
実施例及び比較例で使用した界面活性剤の種類に応じた、MS測定条件は、以下の通り
である。
【0158】
−ジ(2−エチルヘキシル)スルホコハク酸塩のMS測定条件−
測定装置:Linear Ion Trap LC/MS
n LXQ(Thermo F
isher Scientific製)
イオン化法(Ionization):(ESI/negative)
シースガス(Sheath Gas):30arb
補助ガス(AUX Gas):10arb
スイープガス(Sweep Gas):0arb
スプレー電圧(I Spray Voltage):5.0kV
キャピラリー温度(Capillary Temp):350℃
キャピラリー電圧(Capillary voltage):−20V
チューブレンズ電圧(Tube lens Voltage):−100V
Monitoring ion(m/Z):ジ(2−エチルヘキシル)スルホコハク酸塩
(n=421.3/n2=227.2)
【0159】
−ポリオキシエチレンスチレン化フェニルエーテル硫酸エステル塩のMS測定条件−
測定装置:Linear Ion Trap LC/MS
n LXQ(Thermo Fi
sher Scientific製)
イオン化法(Ionization):(ESI/negative)
シースガス(Sheath Gas):30arb
補助ガス(AUX Gas):10arb
スイープガス(Sweep Gas):0arb
スプレー電圧(I Spray Voltage):5.0kV
キャピラリー温度(Capillary Temp):350℃
キャピラリー電圧(Capillary voltage):−20V
チューブレンズ電圧(Tube lens Voltage):−100V
Monitoring ion(m/Z):ポリオキシエチレンスチレン化フェニルエー
テル硫酸エステル塩(n=601.4/n2=301.2)
【0160】
−アルケニルコハク酸塩のMS測定条件−
測定装置:Linear Ion Trap LC/MS
n LXQ(Thermo Fi
sher Scientific製)
イオン化法(Ionization):(ESI/negative)
シースガス(Sheath Gas):30arb
補助ガス(AUX Gas):10arb
スイープガス(Sweep Gas):0arb
スプレー電圧(I Spray Voltage):5.0kV
キャピラリー温度(Capillary Temp):350℃
キャピラリー電圧(Capillary voltage):−20V
チューブレンズ電圧(Tube lens Voltage):−100V
Monitoring ion(m/Z):アルケニルコハク酸塩(n=339.3/n
2=295.3)
【0161】
−ポリオキシエチレンスチレン化フェニルエーテルのMS測定条件−
測定装置:Linear Ion Trap LC/MS
n LXQ(Thermo Fi
sher Scientific製)
イオン化法(Ionization):(ESI/negative)
シースガス(Sheath Gas):30arb
補助ガス(AUX Gas):10arb
スイープガス(Sweep Gas):0arb
スプレー電圧(I Spray Voltage):5.0kV
キャピラリー温度(Capillary Temp):350℃
キャピラリー電圧(Capillary voltage):−20V
チューブレンズ電圧(Tube lens Voltage):−100V
Monitoring ion(m/Z):ポリオキシエチレンスチレン化フェニルエー
テル(n=980.5/n2=963.2)
【0162】
〔重合体粒子のTOF−SIMSによる測定方法〕
重合体粒子(試料)を飛行時間型二次イオン質量分析計(TOF−SIMS)により測
定し、界面活性剤に由来するピークが検出されることを確認する。
【0163】
例えば、重合体粒子を飛行時間型二次イオン質量分析計(ION−TOF社製の「TO
F−SIMS 5」)の試料台に固定し、以下の測定条件にて測定を行う。測定には帯電
補正用電子銃を使用して、正と負、両方の二次イオンを検出した上で、界面活性剤に由来
するピークが検出されることを確認する。
【0164】
<測定条件>
一次イオン:Bi
32+
一次イオン加速電圧:25kV
測定面積:200μm角
【0165】
なお、実施例及び比較例では、界面活性剤(アニオン性界面活性剤及び/又はノニオン
性界面活性剤)に由来するピークが検出される。そこで、上記飛行時間型2次イオン質量
分析計により測定される、正イオンの総イオン強度及び負イオンの総イオン強度の合計に
対する、界面活性剤に由来する負イオンのイオン強度の比を、イオン強度比として求める
。
【0166】
具体的には、実施例1〜7及び比較例1〜2では、界面活性剤として、アニオン性界面
活性剤であるジ(2−エチルヘキシル)スルホコハク酸ナトリウムを使用しており、上記
飛行時間型2次イオン質量分析計による測定においては、ジ(2−エチルヘキシル)スル
ホコハク酸ナトリウムに由来する負イオンのフラグメントのピークが複数検出される。検
出されるジ(2−エチルヘキシル)スルホコハク酸ナトリウムに由来する負イオンのフラ
グメントのうち、ジ(2−エチルヘキシル)スルホコハク酸イオン(分子式:C
20H
37S
O
7-、分子量421)が、最も高いイオン強度を示すことから、実施例1〜7及び比較例
1〜2では、ジ(2−エチルヘキシル)スルホコハク酸イオン(分子式:C
20H
37SO
7-
、分子量421)を評価イオン種とし、正イオンの総イオン強度及び負イオンの総イオン
強度の合計に対する、ジ(2−エチルヘキシル)スルホコハク酸イオンのイオン強度の比
を、イオン強度比として求める。
【0167】
また、実施例8では、界面活性剤として、アニオン性界面活性剤である下記式(A)で
表されるポリオキシエチレンスチレン化フェニルエーテル硫酸エステルアンモニウムを使
用しており、上記飛行時間型2次イオン質量分析計による測定においては、下記式(A)
で表されるポリオキシエチレンスチレン化フェニルエーテル硫酸エステルアンモニウムに
由来する負イオンのフラグメントのピークが複数検出される。検出される下記式(A)で
表されるポリオキシエチレンスチレン化フェニルエーテル硫酸エステルアンモニウムに由
来する負イオンのフラグメントのうち、下記式(B)で表されるスチレン化フェニルオキ
シイオン(分子式:C
22H
21O
-、分子量301)が、最も高いイオン強度を示すことか
ら、実施例8では、スチレン化フェニルオキシイオン(分子式:C
22H
21O
-、分子量3
01)を評価イオン種とし、正イオンの総イオン強度及び負イオンの総イオン強度の合計
に対する、下記式(B)で表されるスチレン化フェニルオキシイオン(分子式:C
22H
21
O
-、分子量301)のイオン強度の比を、イオン強度比として求める。
【0168】
【化1】
【0169】
(式(A)中、nはエチレンオキシ基(−CH
2CH
2O−)の繰り返し単位数を意味す
る。)
【0170】
【化2】
【0171】
また、実施例9では、界面活性剤として、アニオン性界面活性剤である下記式(C)で
表されるアルケニルコハク酸ジカリウムを使用しており、上記飛行時間型2次イオン質量
分析計による測定においては、下記式(C)で表されるアルケニルコハク酸ジカリウムに
由来する負イオンのフラグメントのピークが複数検出され、最もイオン強度の高い負イオ
ン種として、下記式(D1)又は式(D2)で表されるアルケニルコハク酸の一価イオン
(分子式:C
20H
35O
4-、分子量339)が検出された。すなわち、検出される下記式(
C)で表されるアルケニルコハク酸ジカリウムに由来する負イオンのフラグメントのうち
、下記式(D1)又は式(D2)で表されるアルケニルコハク酸の一価イオン(分子式:
C
20H
35O
4-、分子量339)が、最も高いイオン強度を示すことから、実施例9では、
下記式(D1)又は式(D2)で表されるアルケニルコハク酸の一価イオン(分子式:C
20H
35O
4-、分子量339)を評価イオン種とし、正イオンの総イオン強度及び負イオン
の総イオン強度の合計に対する、下記式(D1)又は式(D2)で表されるアルケニルコ
ハク酸の一価イオン(分子式:C
20H
35O
4-、分子量339)のイオン強度の比を、イオ
ン強度比として求める。
【0172】
【化3】
【0173】
(式(C)中、Rは、アルケニル基を意味する。)
【0174】
【化4】
【0175】
(式(D1)及び式(D2)中、R’は、炭素数16のアルケニル基を意味する。)
【0176】
また、実施例10では、界面活性剤として、アニオン性界面活性剤である上記式(A)
で表されるポリオキシエチレンスチレン化フェニルエーテル硫酸エステルアンモニウムと
、ノニオン性界面活性剤である下記式(E)で表されるポリオキシエチレンスチレン化フ
ェニルエーテルとを使用しており、上記飛行時間型2次イオン質量分析計による測定にお
いては、上記式(A)で表されるポリオキシエチレンスチレン化フェニルエーテル硫酸エ
ステルアンモニウム及び下記式(E)で表されるポリオキシエチレンスチレン化フェニル
エーテルに由来する負イオンのフラグメントのピークが複数検出される。検出される上記
式(A)で表されるポリオキシエチレンスチレン化フェニルエーテル硫酸エステルアンモ
ニウム及び下記式(E)で表されるポリオキシエチレンスチレン化フェニルエーテルに由
来する負イオンのフラグメントのうち、上記式(B)で表されるスチレン化フェニルオキ
シイオン(分子式:C
22H
21O
-、分子量301)が、最も高いイオン強度を示すことか
ら、実施例10では、上記式(B)で表されるスチレン化フェニルオキシイオン(分子式
:C
22H
21O
-、分子量301)を評価イオン種とし、正イオンの総イオン強度及び負イ
オンの総イオン強度の合計に対する、上記式(B)で表されるスチレン化フェニルオキシ
イオン(分子式:C
22H
21O
-、分子量301)のイオン強度の比を、イオン強度比とし
て求める。
【0177】
【化5】
【0178】
(式(E)中、nはエチレンオキシ基(−CH
2CH
2O−)の繰り返し単位数を意味す
る。)
【0179】
〔重合体粒子のゲル分率の測定方法〕
200mLナスフラスコに、試料としての重合体粒子1.0gと、沸騰石0.03gと
を精秤して投入し、更にトルエン100mLを注加した後、前記ナスフラスコに冷却管を
装着し、130℃に保ったオイルバスに前記ナスフラスコを浸けて24時間還流する。
【0180】
還流後、前記ナスフラスコ内の内容物(溶解液)を、ADVANTEC社製のガラスフ
ァイバーフィルター「GB−140(φ37mm)」及び「GA−200(φ37mm)
」を装着して秤量したTOP社製のブフナーロート型フィルター3G(硝子粒子細孔直径
20〜30μm、容量30mL)を用いて濾過し、前記ブフナーロート型フィルター3G
内に固形分を回収する。そして、前記ブフナーロート型フィルター3G内に回収した固形
分を、前記ブフナーロート型フィルター3Gごと、130℃の真空オーブンにて1時間乾
燥させた後、ゲージ圧0.06MPaで2時間乾燥させてトルエンを除去し、室温まで冷
却する。
【0181】
冷却後、前記ブフナーロート型フィルター3G内に前記固形分を含んだ状態で、ブフナ
ーロート型フィルター3Gとガラスファイバーフィルターと固形分の総重量を測定した。
そして、測定した総重量から、ブフナーロート型フィルター3Gとガラスファイバーフィ
ルターの重量および沸騰石の重量を差し引きし、乾燥粉体の重量(g)を求めた。
【0182】
そして、乾燥粉体の重量(g)と、ナスフラスコに投入した試料の重量(g)とを用い
て、以下の算出式により、ゲル分率を算出した
ゲル分率(重量%)={乾燥粉体(g)/試料重量(g)}×100
【0183】
〔重合体粒子の分散安定化時間の測定方法〕
分散媒に重合体粒子を分散させてなる分散液の粘度値は、分散液中での重合体粒子の分
散状態の変化に伴って変化する。そこで、分散液を調製後、1時間毎に前記分散液の粘度
値を測定して、粘度値の変化率を求め、得られた変化率が所定の範囲内となるまでに要す
る時間、すなわち、分散液中で重合体粒子の分散状態が安定化するのに要する時間(分散
安定化時間)を測定した。
【0184】
具体的には、以下の方法により、変化率が所定の範囲内となるまでに要する時間を測定
した。
【0185】
(1)分散液の調製方法
10mlのサンプル管に、重合体粒子0.15gと、分散媒としてのメチルエチルケト
ン0.90gとを添加し、超音波洗浄器(株式会社ヴェルヴォクリーア製「ULTRAS
ONIC CLEANER VS−150」)を用いて1分間撹拌し、メチルエチルケト
ン中に重合体粒子を分散させて、分散液を得る。この分散液に、さらに、アクリル系樹脂
(DIC株式会社製の「アクリディック(登録商標)A−811」)を2.10g添加し
、上記超音波洗浄器で2分程度撹拌して、メチルエチルケトン及びアクリル系樹脂中に重
合体粒子を分散させ、分散液を調製する。
【0186】
(2)粘度値の測定方法
分散液の粘度値の測定は、粘度計(日本ルフト株式会社製の微量サンプル粘度計m−V
ROC)を用いて、次に示す方法により行う。なお、上記粘度計は、粘度値の測定前に、
予め、測定環境下に30分以上放置しておくものとする。
【0187】
測定対象の分散液を超音波洗浄器で30分撹拌し、次いで、10分静置させた後、上記
粘度計を用いて前記分散液の粘度(mPa・s)を測定する。そして、粘度の測定値(m
Pa・s)と測定温度(K)とを用いて、下記算出式により、単位温度(K)あたりの粘
度値V(mPa・s/K)を求める。
粘度値V(mPa・s/K)=測定値(mPa・s)÷測定温度(K)
【0188】
(3)分散安定化時間の測定方法
分散液の調製から1時間おきに、上記粘度値の測定方法に従って、分散液の粘度値V(
mPa・s/K)を測定する。測定した分散液の粘度値VをV
T(mPa・s/K)とし
、この分散液の1時間前の粘度値をV
T-1(mPa・s/K)として、下記算出式により
、変化率W(%)を求める。
W=((V
T-1−V
T)/V
T-1)×100
【0189】
変化率Wが−1%超〜1%未満の範囲内となるまで、1時間おきに粘度値の測定を実施
する。そして、分散液の調製後、粘度値の上記変化率Wが−1%超〜1%未満の範囲内と
なるまでの経過時間Tを測定し、経過時間Tを分散安定化時間とした。
【0190】
〔種粒子の製造例1〕
攪拌機、温度計及び還流コンデンサーを備えたセパラブルフラスコに、水性媒体として
の水1000gと、(メタ)アクリル酸エステル系単量体としてのメタクリル酸エチル1
80gと、分子量調整剤としてのn−オクチルメルカプタン3.6gとを仕込み、セパラ
ブルフラスコの内容物を攪拌しながらセパラブルフラスコの内部を窒素置換し、セパラブ
ルフラスコの内温を55℃に昇温した。さらにセパラブルフラスコの内温を55℃に保ち
ながら、重合開始剤としての過硫酸カリウム0.9gを水80gに溶解させた水溶液を、
セパラブルフラスコ内の内容物に添加した後、12時間重合反応させた。重合後の反応液
を400メッシュ(目開き32μm)の金網で濾過し、固形分としてポリメタクリル酸エチ
ルからなる種粒子(種粒子(1)という)を14重量%含有するスラリーを作製した。こ
のスラリーに含まれる種粒子(1)は、体積平均粒子径が0.76μmの真球状粒子であ
った。
【0191】
〔種粒子の製造例2〕
攪拌機及び温度計を備えた5Lの反応器に、(メタ)アクリル酸エステル系単量体とし
てのメタクリル酸メチル450gと、分子量調整剤としてのn−オクチルメルカプタン4
.5gと、重合開始剤としての2,2’−アゾビスイソブチロニトリル4.5gとを混合
した。得られた混合物を、イオン交換水1800gに界面活性剤としてのジ(2−エチル
ヘキシル)スルホコハク酸ナトリウム(日油株式会社製の「ラピゾール(登録商標)A−
80」、液温25℃の水に対する溶解度;1.5g/100ml)を純分として4.5g
添加したものに混合し、ホモミキサー(プライミクス株式会社製の「T.Kホモミキサー
MARK 2.5型」)にて8000rpmで10分間処理し、乳化液を得た。
【0192】
上記反応器内の上記乳化液に、種粒子の製造例1で製造した種粒子(1)のスラリーを
、固形分(種粒子)として12.6gとなるように加え、室温雰囲気下で5時間攪拌した
。その後、高分子系分散安定剤としてのポリビニルピロリドン(株式会社クラレ製の「P
VP−90」)15gを溶解させた水溶液900gを上記反応器に投入し、攪拌しながら
55℃で12時間重合反応させた。
【0193】
重合後の反応液を400メッシュ(目開き32μm)の金網で濾過し、固形分としてポリ
メタクリル酸エチル及びポリメタクリル酸メチルからなる種粒子(以下、種粒子(2)と
いう)を14重量%含有するスラリーを作製した。このスラリーに含まれる種粒子(2)
は、体積平均粒子径が2.30μmの真球状粒子であった。
【0194】
〔実施例1:重合体粒子の製造例〕
(1)重合工程
(メタ)アクリル酸エステル系単量体としてのメタクリル酸メチル(MMA)280g
と、スチレン系単量体としてのスチレン(St)280gと、多官能ビニル系単量体とし
てのエチレングリコールジメタクリレート(EGDMA)240gと、重合開始剤として
の2,2’−アゾビスイソブチロニトリル4gと、重合開始剤としての過酸化ベンゾイル
4gとを溶解して得られた単量体混合物を、水性媒体としてのイオン交換水800gにア
ニオン性界面活性剤としてのジ(2−エチルヘキシル)スルホコハク酸ナトリウム(日油
株式会社製の「ラピゾール(登録商標)A−80」、液温25℃の水に対する溶解度;1
.5g/100ml)を純分として8g添加したものと混合し、ホモミキサー(プライミ
クス株式会社製の「T.KホモミキサーMARK 2.5型」)に入れて10000rp
mで10分間処理して乳化液を得た。この乳化液に、種粒子の製造例1で得られた種粒子
(1)のスラリーを、固形分(種粒子)として4.2gとなるように加え、30℃で5時
間撹拌し、分散液を得た。
【0195】
この分散液に、高分子分散安定剤としてのポリビニルアルコール(日本合成化学株式会
社製の「ゴーセノール(登録商標)GM−14L」)40gと、重合禁止剤としての亜硝
酸ナトリウム0.64gとを溶解させた水溶液2400gを加え、その後60℃で5時間
、次いで105℃で3時間攪拌して重合反応を行い、重合体粒子のスラリー(以下、スラ
リー(1)という)を、粗生成物として得た。
【0196】
(2)固液分離工程
図1に示す構成を有する加圧濾過器1の耐圧容器2に、粗生成物Pとして重合体粒子の
スラリー(1)を投入して、耐圧容器2内の濾材3としての濾布(敷島カンバス株式会社
製の「T713」)上に重合体粒子のスラリー(1)を充填した後、圧縮気体供給機によ
って耐圧容器2内における濾材3の上側空間Sに圧縮気体を供給することによって耐圧容
器2の内部(具体的には、濾材3の上側空間S)を、0.08MPaに加圧した。これに
より、粗生成物Pとしての重合体粒子のスラリー(1)を加圧濾過・脱水して、重合体粒
子のスラリー(1)から水性媒体としての水を濾液として除去した。濾液の量が2.24
kg(重合工程で使用した水の重量の70%)以上となり、耐圧容器2の内圧が、0.0
64MPa(加圧時の圧力の80%)以下となった時点で、加圧を終了した。これにより
、濾材3上に重合体粒子のケーキが得られた。なお、本実施例で使用した加圧濾過器1の
濾材3(濾布)と被濾過物(すなわち、粗生成物P)との界面は、円形状であり、その直
径は、耐圧容器2の内部空間の底面の径(
図1の符号Rで示す径)と同じ、0.115m
である。よって、本実施例で使用した加圧濾過器1の濾材3(濾布)と被濾過物(すなわ
ち、粗生成物P)との界面の面積Aは、0.0104m
2である。なお、本実施例の固液
分離工程で得られた濾液(媒体)の総重量G
1は2.46kgであり、粗生成物Pに含ま
れる媒体(水)を濾材3に通過させることを開始してから、前記媒体の濾材3の通過を終
了させるまでの時間T
1は55.7分であった。
【0197】
(3)洗浄工程
濾材3上に上記重合体粒子のケーキを保持させたままで、洗浄液としての水を耐圧容器
2内の濾材3上に供給した後、圧縮気体供給機によって耐圧容器2内における濾材3の上
側空間Sに圧縮気体を供給することによって耐圧容器2の内部(具体的には、濾材3の上
側空間S)を、0.08MPaに加圧した。これにより、加圧濾過・脱水が行われて、上
記重合体粒子のケーキが洗浄されると共に、洗浄後の水が濾液として除去され、濾材3上
に洗浄後の重合体粒子が得られた。洗浄は、重合工程で得られた重合体粒子(重合工程で
使用したビニル系単量体の合計量800g)の重量の10倍以上の重量の洗浄液を用い、
濾液の導電率が、洗浄前の水の導電率の2.0倍以下(具体的には、15μS以下)とな
り、耐圧容器2の内圧が、0.064MPa(加圧時の圧力の80%)以下となるまで行
った。なお、本実施例の洗浄工程で用いた洗浄液としての水の重量G
2は、12kg(重
合工程で得られた重合体粒子の15倍の重量)であり、上記重合工程で使用した界面活性
剤の種類毎に上記算出式(4)により算出した洗浄液の重量の下限値Dの合計量10.7
kg(8(g)÷1.5(g/100ml)×2000=10667(g))よりも多い
重量であった。また、本実施例の洗浄工程において、洗浄液を濾材3に通過させることを
開始してから、9.6kg(洗浄工程で用いた洗浄液としての水の重量G
2の0.8倍の
重量)の洗浄液が濾材3を通過するまでに費やした時間T
2(min)は、230.8分
であった。
【0198】
(4)後処理工程
洗浄工程により得られた洗浄後の重合体粒子を、真空乾燥機で乾燥させ、気流分級機(
日清エンジニアリング株式会社製の「ターボクラシファイア(TC−15)」)を用いて
分級し、目的の重合体粒子を得た。
【0199】
〔実施例2:重合体粒子の製造例〕
固液分離工程において、耐圧容器2の内部を0.15MPaに加圧して、濾液の量が2
.24kg(重合工程で使用した水の重量の70%)以上となり、耐圧容器2の内圧が0
.12MPa(加圧時の圧力の80%)以下となった時に、当該固液分離工程を終了した
以外は、実施例1と同様にして、目的の重合体粒子を得た。なお、本実施例の固液分離工
程で得られた濾液(媒体)の総重量G
1は2.48kgであり、粗生成物Pに含まれる媒
体(水)を濾材3に通過させることを開始してから、前記媒体の濾材3の通過を終了させ
るまでの時間T
1は46.6分であった。なお、本実施例の洗浄工程で用いた洗浄液とし
ての水の重量G
2は、12kg(重合工程で得られた重合体粒子の15倍の重量)であり
、上記重合工程で使用した界面活性剤の種類毎に上記算出式(4)により算出した洗浄液
の重量の下限値Dの合計量10.7kg(8(g)÷1.5(g/100ml)×200
0=10667(g))よりも多い重量であった。また、本実施例の洗浄工程において、
洗浄液を濾材3に通過させることを開始してから、9.6kg(洗浄工程で用いた洗浄液
としての水の重量G
2の0.8倍の重量)の洗浄液が濾材3を通過するまでに費やした時
間T
2(min)は、355.6分であった。
【0200】
〔実施例3:重合体粒子の製造例〕
(1)重合工程
種粒子の製造例1で得られた種粒子(1)のスラリーの使用量を、固形分(種粒子)と
して16.7gとした以外は、実施例1の重合工程と同様にして、重合体粒子のスラリー
(以下、スラリー(2)という)を、粗生成物として得た。
【0201】
(2)固液分離工程
粗生成物として、重合体粒子のスラリー(1)に代えて、重合体粒子のスラリー(2)
を使用し、耐圧容器2の内部を0.20MPaに加圧し、濾液の量が2.24kg(重合
工程で使用した水の重量の70%)以上となり、耐圧容器2の内圧が0.16MPa(加
圧時の圧力の80%)以下となった時に固液分離工程を終了した以外は、実施例1の固液
分離工程と同様にして、重合体粒子のスラリー(2)から水性媒体としての水を除去した
。なお、本実施例の固液分離工程で得られた濾液(媒体)の総重量G
1は2.38kgで
あり、粗生成物Pに含まれる媒体(水)を濾材3に通過させることを開始してから、前記
媒体の濾材3の通過を終了させるまでの時間T
1は73.9分であった。
【0202】
(3)洗浄工程
耐圧容器2の内部を0.20MPaに加圧し、濾液の導電率が、洗浄前の水の導電率の
2.0倍以下(具体的には、15μS以下)となり、耐圧容器2の内圧が、0.16MP
a(加圧時の圧力の80%)以下となるまで洗浄を行った以外は、実施例1の洗浄工程と
同様にして、濾材3上の重合体粒子のケーキを洗浄し、濾材3上に洗浄後の重合体粒子を
得た。なお、本実施例の洗浄工程で用いた洗浄液としての水の重量G
2は、12kg(重
合工程で得られた重合体粒子の15倍の重量)であり、上記重合工程で使用した界面活性
剤の種類毎に上記算出式(4)により算出した洗浄液の重量の下限値Dの合計量10.7
kg(8(g)÷1.5(g/100ml)×2000=10667(g))よりも多い
重量であった。また、本実施例の洗浄工程において、洗浄液を濾材3に通過させることを
開始してから、9.6kg(洗浄工程で用いた洗浄液としての水の重量G
2の0.8倍の
重量)の洗浄液が濾材3を通過するまでに費やした時間T
2(min)は、346.6分
であった。
【0203】
(4)後処理工程
洗浄工程により得られた洗浄後の重合体粒子を、真空乾燥機で乾燥させ、気流分級機(
日清エンジニアリング株式会社製の「ターボクラシファイア(TC−15)」)を用いて
分級し、目的の重合体粒子を得た。
【0204】
〔実施例4:重合体粒子の製造例〕
(1)重合工程
種粒子として、種粒子の製造例1で得られた種粒子(1)のスラリーを固形分(種粒子
)として4.2gに代えて、種粒子の製造例2で得られた種粒子(2)のスラリーを固形
分(種粒子)として18.7g使用したこと以外は、実施例1の重合工程と同様にして、
重合体粒子のスラリー(以下、スラリー(3)という)を、粗生成物として得た。
【0205】
(2)固液分離工程
粗生成物として、重合体粒子のスラリー(1)に代えて、重合体粒子のスラリー(3)
を使用し、耐圧容器2の内部を0.15MPaに加圧し、濾液の量が2.24kg(重合
工程で使用した水の重量の70%)以上となり、耐圧容器2の内圧が0.12MPa(加
圧時の圧力の80%)以下となった時に固液分離工程を終了した以外は、実施例1の固液
分離工程と同様にして、重合体粒子のスラリー(3)から水性媒体としての水を除去した
。なお、本実施例の固液分離工程で得られた濾液(媒体)の総重量G
1は2.50kgで
あり、粗生成物Pに含まれる媒体(水)を濾材3に通過させることを開始してから、前記
媒体の濾材3の通過を終了させるまでの時間T
1は49.7分であった。
【0206】
(3)洗浄工程
耐圧容器2の内部を0.20MPaに加圧し、濾液の導電率が、洗浄前の水の導電率の
2.0倍以下(具体的には、15μS以下)となり、耐圧容器2の内圧が、0.16MP
a(加圧時の圧力の80%)以下となるまで洗浄を行った以外は、実施例1の洗浄工程と
同様にして、濾材3上の重合体粒子のケーキを洗浄し、濾材3上に洗浄後の重合体粒子を
得た。なお、本実施例の洗浄工程で用いた洗浄液としての水の重量G
2は、12kg(重
合工程で得られた重合体粒子の15倍の重量)であり、上記重合工程で使用した界面活性
剤の種類毎に上記算出式(4)により算出した洗浄液の重量の下限値Dの合計量10.7
kg(8(g)÷1.5(g/100ml)×2000=10667(g))よりも多い
重量であった。また、本実施例の洗浄工程において、洗浄液を濾材3に通過させることを
開始してから、9.6kg(洗浄工程で用いた洗浄液としての水の重量G
2の0.8倍の
重量)の洗浄液が濾材3を通過するまでに費やした時間T
2(min)は、119.7分
であった。
【0207】
(4)後処理工程
洗浄工程により得られた洗浄後の重合体粒子を、真空乾燥機で乾燥させ、気流分級機(
日清エンジニアリング株式会社製の「ターボクラシファイア(TC−15)」)を用いて
分級し、目的の重合体粒子を得た。
【0208】
〔実施例5:重合体粒子の製造例〕
(1)重合工程
上記単量体混合物において、スチレン系単量体としてのスチレン(St)を配合せず、
(メタ)アクリル酸エステル系単量体としてのメタクリル酸メチル(MMA)の配合量を
560gとし、多官能ビニル系単量体としてのエチレングリコールジメタクリレート(E
GDMA)の配合量を240gとしたこと以外は、実施例1の重合工程と同様にして、重
合体粒子のスラリー(以下、スラリー(4)という)を、粗生成物として得た。
【0209】
(2)固液分離工程
粗生成物として、重合体粒子のスラリー(1)に代えて、重合体粒子のスラリー(4)
を使用し、耐圧容器2の内部を0.15MPaに加圧し、濾液の量が2.24kg(重合
工程で使用した水の重量の70%)以上となり、耐圧容器2の内圧が0.12MPa(加
圧時の圧力の80%)以下となった時に固液分離工程を終了した以外は、実施例1の固液
分離工程と同様にして、重合体粒子のスラリー(4)から水性媒体としての水を除去した
。なお、本実施例の固液分離工程で得られた濾液(媒体)の総重量G
1は2.48kgで
あり、粗生成物Pに含まれる媒体(水)を濾材3に通過させることを開始してから、前記
媒体の濾材3の通過を終了させるまでの時間T
1は46.1分であった。
【0210】
(3)洗浄工程
耐圧容器の内部を0.15MPaに加圧し、濾液の導電率が、洗浄前の水の導電率の2
.0倍以下(具体的には、15μS以下)となり、耐圧容器2の内圧が、0.12MPa
(加圧時の圧力の80%)以下となるまで洗浄を行った以外は、実施例1の洗浄工程と同
様にして、濾材3上の重合体粒子のケーキを洗浄し、濾材3上に洗浄後の重合体粒子を得
た。なお、本実施例の洗浄工程で用いた洗浄液としての水の重量G
2は、12kg(重合
工程で得られた重合体粒子の15倍の重量)であり、上記重合工程で使用した界面活性剤
の種類毎に上記算出式(4)により算出した洗浄液の重量の下限値Dの合計量10.7k
g(8(g)÷1.5(g/100ml)×2000=10667(g))よりも多い重
量であった。また、本実施例の洗浄工程において、洗浄液を濾材3に通過させることを開
始してから、9.6kg(洗浄工程で用いた洗浄液としての水の重量G
2の0.8倍の重
量)の洗浄液が濾材3を通過するまでに費やした時間T
2(min)は、263.7分で
あった。
【0211】
(4)後処理工程
洗浄工程により得られた洗浄後の重合体粒子を、真空乾燥機で乾燥させ、気流分級機(
日清エンジニアリング株式会社製の「ターボクラシファイア(TC−15)」)を用いて
分級し、目的の重合体粒子を得た。
【0212】
〔実施例6:重合体粒子の製造例〕
(1)重合工程
上記単量体混合物において、(メタ)アクリル酸エステル系単量体としてのメタクリル
酸メチル(MMA)を配合せず、スチレン系単量体としてのスチレン(St)の配合量を
560gとし、多官能ビニル系単量体としてのエチレングリコールジメタクリレート(E
GDMA)の配合量を240gとしたこと以外は、実施例1の重合工程と同様にして、重
合体粒子のスラリー(以下、スラリー(5)という)を、粗生成物として得た。
【0213】
(2)固液分離工程
粗生成物として、重合体粒子のスラリー(1)に代えて、重合体粒子のスラリー(5)
を使用し、耐圧容器2の内部を0.15MPaに加圧し、濾液の量が2.24kg(重合
工程で使用した水の重量の70%)以上となり、耐圧容器2の内圧が0.12MPa(加
圧時の圧力の80%)以下となった時に固液分離工程を終了した以外は、実施例1の固液
分離工程と同様にして、重合体粒子のスラリー(5)から水性媒体としての水を除去した
。なお、本実施例の固液分離工程で得られた濾液(媒体)の総重量G
1は2.48kgで
あり、粗生成物Pに含まれる媒体(水)を濾材3に通過させることを開始してから、前記
媒体の濾材3の通過を終了させるまでの時間T
1は45.3分であった。
【0214】
(3)洗浄工程
耐圧容器2の内部を0.10MPaに加圧し、濾液の導電率が、洗浄前の水の導電率の
2.0倍以下(具体的には、15μS以下)となり、耐圧容器2の内圧が、0.08MP
a(加圧時の圧力の80%)以下となるまで洗浄を行った以外は、実施例1の洗浄工程と
同様にして、濾材3上の重合体粒子のケーキを洗浄し、濾材3上に洗浄後の重合体粒子を
得た。なお、本実施例の洗浄工程で用いた洗浄液としての水の重量G
2は、12kg(重
合工程で得られた重合体粒子の15倍の重量)であり、上記重合工程で使用した界面活性
剤の種類毎に上記算出式(4)により算出した洗浄液の重量の下限値Dの合計量10.7
kg(8(g)÷1.5(g/100ml)×2000=10667(g))よりも多い
重量であった。また、本実施例の洗浄工程において、洗浄液を濾材3に通過させることを
開始してから、9.6kg(洗浄工程で用いた洗浄液としての水の重量G
2の0.8倍の
重量)の洗浄液が濾材3を通過するまでに費やした時間T
2(min)は、183.6分
であった。
【0215】
(4)後処理工程
洗浄工程により得られた洗浄後の重合体粒子を、真空乾燥機で乾燥させ、気流分級機(
日清エンジニアリング株式会社製の「ターボクラシファイア(TC−15)」)を用いて
分級し、目的の重合体粒子を得た。
【0216】
〔実施例7:重合体粒子の製造例〕
(1)重合工程
上記単量体混合物において、(メタ)アクリル酸エステル系単量体としてのメタクリル
酸メチル(MMA)を配合せず、スチレン系単量体としてのスチレン(St)の配合量を
560gとし、多官能ビニル系単量体として、エチレングリコールジメタクリレート(E
GDMA)240gに代えて、ジビニルベンゼン(DVB)240gを配合したこと以外
は、実施例1の重合工程と同様にして、重合体粒子のスラリー(以下、スラリー(6)と
いう)を、粗生成物として得た。
【0217】
(2)固液分離工程
粗生成物として、重合体粒子のスラリー(1)に代えて、重合体粒子のスラリー(6)
を使用し、耐圧容器2の内部を0.10MPaに加圧し、濾液の量が2.24kg(重合
工程で使用した水の重量の70%)以上となり、耐圧容器2の内圧が0.08MPa(加
圧時の圧力の80%)以下となった時に固液分離工程を終了した以外は、実施例1の固液
分離工程と同様にして、重合体粒子のスラリー(6)から水性媒体としての水を除去した
。なお、本実施例の固液分離工程で得られた濾液(媒体)の総重量G
1は2.50kgで
あり、粗生成物Pに含まれる媒体(水)を濾材3に通過させることを開始してから、前記
媒体の濾材3の通過を終了させるまでの時間T
1は77.2分であった。
【0218】
(3)洗浄工程
耐圧容器2の内部を0.15MPaに加圧し、濾液の導電率が、洗浄前の水の導電率の
2.0倍以下(具体的には、15μS以下)となり、耐圧容器2の内圧が、0.12MP
a(加圧時の圧力の80%)以下となるまで洗浄を行った以外は、実施例1の洗浄工程と
同様にして、濾材3上の重合体粒子のケーキを洗浄し、濾材3上に洗浄後の重合体粒子を
得た。なお、本実施例の洗浄工程で用いた洗浄液としての水の重量G
2は、12kg(重
合工程で得られた重合体粒子の15倍の重量)であり、上記重合工程で使用した界面活性
剤の種類毎に上記算出式(4)により算出した洗浄液の重量の下限値Dの合計量10.7
kg(8(g)÷1.5(g/100ml)×2000=10667(g))よりも多い
重量であった。また、本実施例の洗浄工程において、洗浄液を濾材3に通過させることを
開始してから、9.6kg(洗浄工程で用いた洗浄液としての水の重量G
2の0.8倍の
重量)の洗浄液が濾材3を通過するまでに費やした時間T
2(min)は、151.9分
であった。
【0219】
(4)後処理工程
洗浄工程により得られた洗浄後の重合体粒子を、真空乾燥機で乾燥させ、気流分級機(
日清エンジニアリング株式会社製の「ターボクラシファイア(TC−15)」)を用いて
分級し、目的の重合体粒子を得た。
【0220】
〔実施例8:重合体粒子の製造例〕
(1)重合工程
アニオン性界面活性剤として、ジ(2−エチルヘキシル)スルホコハク酸ナトリウム(
日油株式会社製の「ラピゾール(登録商標)A−80」、液温25℃の水に対する溶解度
;1.5g/100ml)を純分として8gに代えて、上記式(A)で表されるポリオキ
シエチレンスチレン化フェニルエーテル硫酸エステルアンモニウム(第一工業製薬株式会
社製の「ハイテノール(登録商標)NF08」、液温25℃の水に対する溶解度;1.2
g/100ml)を純分として8g使用したこと以外は、実施例1の重合工程と同様にし
て、重合体粒子のスラリー(以下、スラリー(7)という)を、粗生成物として得た。
【0221】
(2)固液分離工程
粗生成物として、重合体粒子のスラリー(1)に代えて、重合体粒子のスラリー(7)
を使用した以外は、実施例1の固液分離工程と同様にして、重合体粒子のスラリー(7)
から水性媒体としての水を除去した。なお、本実施例の固液分離工程で得られた濾液(媒
体)の総重量G
1は2.44kgであり、粗生成物Pに含まれる媒体(水)を濾材3に通
過させることを開始してから、前記媒体の濾材3の通過を終了させるまでの時間T
1は6
0.1分であった。
【0222】
(3)洗浄工程
実施例1の洗浄工程と同様にして、濾材3上の重合体粒子のケーキを洗浄し、濾材3上
に洗浄後の重合体粒子を得た。なお、本実施例の洗浄工程で用いた洗浄液としての水の重
量G
2は、15.0kg(重合工程で得られた重合体粒子の18.75倍の重量)であり
、上記重合工程で使用した界面活性剤の種類毎に上記算出式(4)により算出した洗浄液
の重量の下限値Dの合計量13.3kg(8(g)÷1.2(g/100ml)×200
0=13333(g))よりも多い重量であった。た。また、本実施例の洗浄工程におい
て、洗浄液を濾材3に通過させることを開始してから、12.0kg(洗浄工程で用いた
洗浄液としての水の重量G
2の0.8倍の重量)の洗浄液が濾材3を通過するまでに費や
した時間T
2(min)は、311.7分であった。
【0223】
(4)後処理工程
洗浄工程により得られた洗浄後の重合体粒子を、真空乾燥機で乾燥させ、気流分級機(
日清エンジニアリング株式会社製の「ターボクラシファイア(TC−15)」)を用いて
分級し、目的の重合体粒子を得た。
【0224】
〔実施例9:重合体粒子の製造例〕
(1)重合工程
アニオン性界面活性剤として、ジ(2−エチルヘキシル)スルホコハク酸ナトリウム(
日油株式会社製の「ラピゾール(登録商標)A−80」、液温25℃の水に対する溶解度
;1.5g/100ml)を純分として8gに代えて、上記式(C)で表されるアルケニ
ルコハク酸ジカリウム(花王株式会社製の「ラムテルASK」、液温25℃の水に対する
溶解度;1.7g/100ml)を純分として8g使用したこと以外は、実施例1の重合
工程と同様にして、重合体粒子のスラリー(以下、スラリー(8)という)を、粗生成物
として得た。
【0225】
(2)固液分離工程
粗生成物として、重合体粒子のスラリー(1)に代えて、重合体粒子のスラリー(8)
を使用した以外は、実施例1の固液分離工程と同様にして、重合体粒子のスラリー(8)
から水性媒体としての水を除去した。なお、本実施例の固液分離工程で得られた濾液(媒
体)の総重量G
1は2.49kgであり、粗生成物Pに含まれる媒体(水)を濾材3に通
過させることを開始してから、前記媒体の濾材3の通過を終了させるまでの時間T
1は6
2.0分であった。
【0226】
(3)洗浄工程
実施例1の洗浄工程と同様にして、濾材3上の重合体粒子のケーキを洗浄し、濾材3上
に洗浄後の重合体粒子を得た。なお、本実施例の洗浄工程で用いた洗浄液としての水の重
量G
2は、12.0kg(重合工程で得られた重合体粒子の15倍の重量)であり、上記
重合工程で使用した界面活性剤の種類毎に上記算出式(4)により算出した洗浄液の重量
の下限値Dの合計量9.4kg(8(g)÷1.7(g/100ml)×2000=94
12(g))よりも多い重量であった。また、本実施例の洗浄工程において、洗浄液を濾
材3に通過させることを開始してから、9.6kg(洗浄工程で用いた洗浄液としての水
の重量G
2の0.8倍の重量)の洗浄液が濾材3を通過するまでに費やした時間T
2(mi
n)は、250.7分であった。
【0227】
(4)後処理工程
洗浄工程により得られた洗浄後の重合体粒子を、真空乾燥機で乾燥させ、気流分級機(
日清エンジニアリング株式会社製の「ターボクラシファイア(TC−15)」)を用いて
分級し、目的の重合体粒子を得た。
【0228】
〔実施例10:重合体粒子の製造例〕
(1)重合工程
アニオン性界面活性剤として、ジ(2−エチルヘキシル)スルホコハク酸ナトリウム(
日油株式会社製の「ラピゾール(登録商標)A−80」、液温25℃の水に対する溶解度
;1.5g/100ml)を純分として8gに代えて、上記式(A)で表されるポリオキ
シエチレンスチレン化フェニルエーテル硫酸エステルアンモニウム(第一工業製薬株式会
社製の「ハイテノール(登録商標)NF08」、液温25℃の水に対する溶解度;1.2
g/100ml)を純分として8g使用し、高分子分散安定剤としてのポリビニルアルコ
ール(日本合成化学株式会社製の「ゴーセノール(登録商標)GM−14L」)40gに
代えて、ノニオン性界面活性剤としての上記式(E)で表されるポリオキシエチレンスチ
レン化フェニルエーテル(第一工業製薬株式会社製の「ノイゲン(登録商標)EA−16
7」、液温25℃の水に対する溶解度;1.1g/100ml)を純分として8g使用し
たこと以外は、実施例1の重合工程と同様にして、重合体粒子のスラリー(以下、スラリ
ー(9)という)を、粗生成物として得た。
【0229】
(2)固液分離工程
粗生成物として、重合体粒子のスラリー(1)に代えて、重合体粒子のスラリー(9)
を使用した以外は、実施例1の固液分離工程と同様にして、重合体粒子のスラリー(9)
から水性媒体としての水を除去した。なお、本実施例の固液分離工程で得られた濾液(媒
体)の総重量G
1は2.44kgであり、粗生成物Pに含まれる媒体(水)を濾材3に通
過させることを開始してから、前記媒体の濾材3の通過を終了させるまでの時間T
1は6
5.8分であった。
【0230】
(3)洗浄工程
実施例1の洗浄工程と同様にして、濾材3上の重合体粒子のケーキを洗浄し、濾材3上
に洗浄後の重合体粒子を得た。なお、本実施例の洗浄工程で用いた洗浄液としての水の重
量G
2は、30.0kg(重合工程で得られた重合体粒子の37.5倍の重量)であり、
上記重合工程で使用した界面活性剤の種類毎に上記算出式(4)により算出した洗浄液の
重量の下限値Dの量の合計量27.9kg({8(g)÷1.2(g/100ml)×2
000}+{8(g)÷1.1(g/100ml)×2000}=13333+1454
5=27878(g))よりも多い重量であった。また、本実施例の洗浄工程において、
洗浄液を濾材3に通過させることを開始してから、24.0kg(洗浄工程で用いた洗浄
液としての水の重量G
2の0.8倍の重量)の洗浄液が濾材3を通過するまでに費やした
時間T
2(min)は、633.2分であった。
【0231】
(4)後処理工程
洗浄工程により得られた洗浄後の重合体粒子を、真空乾燥機で乾燥させ、気流分級機(
日清エンジニアリング株式会社製の「ターボクラシファイア(TC−15)」)を用いて
分級し、目的の重合体粒子を得た。
【0232】
〔比較例1:重合体粒子の比較製造例〕
(1)重合工程
実施例1の重合工程と同様にして、重合体粒子のスラリー(以下、スラリー(1)とい
う)を、粗生成物として得た。
【0233】
(2)固液分離工程
耐圧容器2の内部を0.10MPaに加圧して、濾液の量が2.24kg(重合工程で
使用した水の重量の70%)以上となり、耐圧容器2の内圧が0.08MPa(加圧時の
圧力の80%)以下となった時に、当該固液分離工程を終了した以外は、実施例1の固液
分離工程と同様にして、重合体粒子のスラリー(1)から水性媒体としての水を除去した
。なお、本実施例の固液分離工程で得られた濾液(媒体)の総重量G
1は2.49kgで
あり、粗生成物Pに含まれる媒体(水)を濾材3に通過させることを開始してから、前記
媒体の濾材3の通過を終了させるまでの時間T
1は82.5分であった。
【0234】
(3)洗浄工程
洗浄工程で用いる洗浄液としての水の重量G
2を4.0kg(重合工程で得られた重合
体粒子の5倍の重量)とし、耐圧容器2の内部を0.10MPaに加圧して、濾液の導電
率が洗浄前の水の導電率の2.0倍以下(具体的には、15μS以下)となることを確認
せず、耐圧容器2の内圧が、0.08MPa(加圧時の圧力の80%)以下となるまで洗
浄を行った以外は、実施例1の洗浄工程と同様にして、濾材3上の重合体粒子のケーキを
洗浄し、濾材3上に洗浄後の重合体粒子を得た。なお、本実施例の洗浄工程において、洗
浄液を濾材3に通過させることを開始してから、3.2kg(洗浄工程で用いた洗浄液と
しての水の重量G
2の0.8倍の重量)の洗浄液が濾材3を通過するまでに費やした時間
T
2(min)は、74.1分であった。
【0235】
〔比較例2:重合体粒子の比較製造例〕
(1)重合工程
実施例1の重合工程と同様にして、重合体粒子のスラリー(以下、スラリー(1)とい
う)を、粗生成物として得た。
【0236】
(2)固液分離工程
耐圧容器2の内部を0.25MPaに加圧して、濾液の量が2.24kg(重合工程で
使用した水の重量の70%)以上となり、耐圧容器2の内圧が0.20MPa(加圧時の
圧力の80%)以下となった時に、当該固液分離工程を終了した以外は、実施例1の固液
分離工程と同様にして、重合体粒子のスラリー(1)から水性媒体としての水を除去した
。なお、本実施例の固液分離工程で得られた濾液(媒体)の総重量G
1は2.45kgで
あり、粗生成物Pに含まれる媒体(水)を濾材3に通過させることを開始してから、前記
媒体の濾材3の通過を終了させるまでの時間T
1は19.5分であった。
【0237】
(3)洗浄工程
洗浄液としての水を8.0kg(重合工程で得られた重合体粒子の10倍の重量)以上
使用し、耐圧容器2の内部を0.20MPaに加圧して、濾液の導電率が洗浄前の水の導
電率の2.0倍以下となり、耐圧容器2の内圧が、0.16MPa(加圧時の圧力の80
%)以下となるまで洗浄を行った以外は、実施例1の洗浄工程と同様にして、濾材3上の
重合体粒子のケーキを洗浄し、濾材3上に洗浄後の重合体粒子を得た。なお、本実施例の
洗浄工程で用いた洗浄液としての水の重量G
2は、12.0kg(重合工程で得られた重
合体粒子の15倍の重量)であり、上記重合工程で使用した界面活性剤の種類毎に上記算
出式(4)により算出した洗浄液の重量の下限値Dの合計量10.7kg(8(g)÷1
.5(g/100ml)×2000=10667(g))よりも多い重量であった。また
、本実施例の洗浄工程において、洗浄液を濾材3に通過させることを開始してから、9.
6kg(洗浄工程で用いた洗浄液としての水の重量G
2の0.8倍の重量)の洗浄液が濾
材3を通過するまでに費やした時間T
2(min)は、80.2分であった。
【0238】
実施例1〜10及び比較例1〜2について、重合工程で得られる重合体粒子のスラリー
の番号(スラリーNo.)、このスラリーに含まれる重合体を構成する単量体混合物の組
成(重合体組成)、固液分離工程におけるX値(濾材を通過した媒体の単位時間当たりの
量(kg/min))の測定結果、洗浄工程におけるY値(濾材を通過した洗浄液の単位
時間当たりの量(kg/min))の測定結果、洗浄工程で用いた洗浄液(水)の量(k
g)、得られた重合体粒子の体積平均粒子径(μm)及び粒子径の変動係数(CV値(%
))の測定結果、得られた重合体粒子中に含まれる(重合工程で使用した)界面活性剤の
化合物名、得られた重合体粒子中の界面活性剤の含有量(ppm)の測定結果、得られた
重合体粒子のTOF−SIMSによる測定結果(正イオンの総イオン強度及び負イオンの
総イオン強度の合計に対する、界面活性剤に由来する負イオンのイオン強度の比(イオン
強度比)、得られた重合体粒子のゲル分率(%)の測定結果、及び、重合体粒子の分散安
定化時間の測定結果(分散液の調製から、粘度値の変化率が−1%超〜1%未満となるま
での経過時間T)を表1に示す。また、実施例1〜10及び比較例1〜2の重合体粒子の
TOF−SIMSによる測定結果の詳細、具体的には、TOF−SIMSにより検出され
た正イオンのフラグメントのイオン強度の合計(正イオンの総イオン強度)、TOF−S
IMSにより検出された負イオンのフラグメントのイオン強度の合計(負イオンの総イオ
ン強度)、TOF−SIMSにより検出された界面活性剤に由来する負イオンのうち最も
高いイオン強度を示す負イオン(評価イオン種)、この負イオン(評価イオン種)のイオ
ン強度、並びに、正イオンの総イオン強度及び負イオンの総イオン強度の合計に対する、
負イオン(評価イオン種)のイオン強度の比(即ち、イオン強度比)を、表2に示す。
【0239】
【表1】
【0240】
【表2】
【0241】
実施例1〜10及び比較例1〜2の固液分離工程及び洗浄工程で使用した加圧濾過器1
(
図1参照)の濾材3(濾布)と濾過物(すなわち、粗生成物P)との界面の面積Aは、
0.0104(m
2)である。このため、実施例1〜10及び比較例1〜2において、上
記条件式(1)で示されるX値(濾材を通過した媒体の単位時間当たりの量(kg/mi
n))の上限値は、0.0572kg/minとなる。また、上記条件式(2)で示され
るY値(濾材を通過した洗浄液の単位時間当たりの量(kg/min))の上限値は、0
.0884kg/minとなる。
【0242】
表1に示す結果より、固液分離工程におけるX値及び洗浄工程におけるY値が、それぞ
れ、上記上限値以下で、洗浄に使用した洗浄液(水)の量が8.0kg以上(重合体粒子
の重量の10倍以上)である実施例1〜10で得られる重合体粒子は、洗浄に使用した洗
浄液(水)の量が8.0kg未満(重合体粒子の重量の10倍未満)である比較例1で得
られる重合体粒子、及び、固液分離工程におけるX値及び洗浄工程におけるY値が上記上
限値よりも大きい比較例2で得られる重合体粒子と比べて、イオン強度比が小さく、重合
体粒子の表面における界面活性剤の量の少ないものであることが分かった。つまり、本発
明の製造方法によれば、固液分離工程及び洗浄工程により、重合工程で使用した界面活性
剤の重合体粒子表面への付着量を低減できることが認められた。
【0243】
また、界面活性剤の含有量が0ppm超〜50ppm未満の範囲内にある実施例1〜1
0の重合体粒子は、界面活性剤の含有量が156ppmの比較例1の重合体粒子と比べて
、分散媒に分散させて分散液とした場合に、この分散液の粘度値が安定するまでの時間(
すなわち、粘度値の変化率が−1%超〜1%未満となるまでの時間)が短かった。すなわ
ち、界面活性剤の含有量が0ppm超〜50ppm未満の範囲内にある実施例1〜10の
重合体粒子は、界面活性剤の含有量が156ppmの比較例1の重合体粒子と比べて、分
散媒に対して均一に分散するまでの時間が短いことが認められた。
【0244】
〔実施例11:光学フィルムの製造例〕
10mlのサンプル管に、実施例1で得られた重合体粒子0.15gと、メチルエチル
ケトン0.90gとを添加し、超音波洗浄器(株式会社ヴェルヴォクリーア製「ULTR
ASONIC CLEANER VS−150」)を用いて1分間撹拌し、メチルエチル
ケトン中に重合体粒子を分散させて、分散液を得る。この分散液に、さらに、アクリル系
樹脂(DIC株式会社製の「アクリディック(登録商標)A−811」)を2.10g添
加し、上記超音波洗浄器で2分程度撹拌して、コーティング用樹脂組成物を得た。このコ
ーティング用樹脂組成物を12時間静置させた後、コーティング用樹脂組成物にメチルエ
チルケトン5.40gを添加し、上記超音波洗浄器にて1分間撹拌して、コーティング用
樹脂組成物の希釈液を得た。
【0245】
得られたコーティング用樹脂組成物の希釈液をPETフィルム上に、75μmスリット
のコーターを使用して塗工した。塗工後、温度を70℃に保った乾燥機に入れて1時間放
置することにより、光学フィルムを得た。
【0246】
〔実施例12:光学フィルムの製造例〕
実施例1で得られた重合体粒子0.15gに代えて、実施例2で得られた重合体粒子0
.15gを使用した以外は、実施例11と同様にして、光学フィルムを得た。
【0247】
〔実施例13:光学フィルムの製造例〕
実施例1で得られた重合体粒子0.15gに代えて、実施例3で得られた重合体粒子0
.15gを使用した以外は、実施例11と同様にして、光学フィルムを得た。
【0248】
〔実施例14:光学フィルムの製造例〕
実施例1で得られた重合体粒子0.15gに代えて、実施例4で得られた重合体粒子0
.15gを使用した以外は、実施例11と同様にして、光学フィルムを得た。
【0249】
〔実施例15:光学フィルムの製造例〕
実施例1で得られた重合体粒子0.15gに代えて、実施例5で得られた重合体粒子0
.15gを使用した以外は、実施例11と同様にして、光学フィルムを得た。
【0250】
〔実施例16:光学フィルムの製造例〕
実施例1で得られた重合体粒子0.15gに代えて、実施例6で得られた重合体粒子0
.15gを使用した以外は、実施例11と同様にして、光学フィルムを得た。
【0251】
〔実施例17:光学フィルムの製造例〕
実施例1で得られた重合体粒子0.15gに代えて、実施例7で得られた重合体粒子0
.15gを使用した以外は、実施例11と同様にして、光学フィルムを得た。
【0252】
〔実施例18:光学フィルムの製造例〕
実施例1で得られた重合体粒子0.15gに代えて、実施例8で得られた重合体粒子0
.15gを使用した以外は、実施例11と同様にして、光学フィルムを得た。
【0253】
〔実施例19:光学フィルムの製造例〕
実施例1で得られた重合体粒子0.15gに代えて、実施例9で得られた重合体粒子0
.15gを使用した以外は、実施例11と同様にして、光学フィルムを得た。
【0254】
〔実施例20:光学フィルムの製造例〕
実施例1で得られた重合体粒子0.15gに代えて、実施例10で得られた重合体粒子
0.15gを使用した以外は、実施例11と同様にして、光学フィルムを得た。
【0255】
〔比較例3:光学フィルムの比較製造例〕
実施例1で得られた重合体粒子0.15gに代えて、比較例1で得られた重合体粒子0
.15gを使用した以外は、実施例11と同様にして、光学フィルムを得た。
【0256】
〔比較例4:光学フィルムの比較製造例〕
実施例1で得られた重合体粒子0.15gに代えて、比較例1で得られた重合体粒子0
.15gを使用し、コーティング用樹脂組成物の静置時間を12時間から24時間に変更
した以外は、実施例11と同様にして、光学フィルムを得た。
【0257】
〔比較例5:光学フィルムの比較製造例〕
実施例1で得られた重合体粒子0.15gに代えて、比較例2で得られた重合体粒子0
.15gを使用した以外は、実施例11と同様にして、光学フィルムを得た。
【0258】
実施例11〜20並びに比較例3〜5の光学フィルムについて、以下に示す方法により
、光学特性を評価した。
【0259】
〔光学特性の評価方法〕
光学フィルムを6cm×6cmの正方形状にカットしたものを試験片とする。試験片の
コーティング用樹脂組成物が塗工された面の上下左右の4つの端部及び中央部(計5箇所
)のそれぞれのヘイズを、JIS K 7136に従って、日本電色工業株式会社製の「
NDH−4000」を使用して測定する。そして、測定した5箇所のヘイズ(%)の最大
値、最小値、及び平均値を用いて、以下の算出式により、ヘイズ差(%)を算出し、その
ヘイズ差(%)を、以下の評価基準により評価した。
【0260】
<ヘイズ差(%)の算出式>
R={(Hz
MAX−Hz
MIN)/Hz
AVE)}×100
R:ヘイズ差(%)
Hz
MAX:5箇所のヘイズ(%)の最大値
Hz
MIN:5箇所のヘイズ(%)の最小値
Hz
AVE:5箇所のヘイズ(%)の平均値
<評価基準>
◎:ヘイズ差が0.5%未満
○:ヘイズ差が0.5%以上1.0%未満
△:ヘイズ差が1.0%以上3.0%未満
×:ヘイズ差が3.0以上
【0261】
実施例11〜20並びに比較例3〜5の光学フィルムについて、光学フィルムの製造に
使用した重合体粒子の実施例番号及び界面活性剤含有量、コーティング用樹脂組成物の静
置時間、並びに、光学フィルムの光学特性の評価結果を表3に示す。
【0262】
【表3】
【0263】
界面活性剤の含有量が0ppm超〜50ppm未満の範囲内にある重合体粒子を含むコ
ーティング用樹脂組成物を塗工してなる光学フィルム(実施例11〜20の光学フィルム
)は、界面活性剤の含有量が50ppm以上の重合体粒子を含むコーティング用樹脂組成
物を塗工してなる光学フィルム(比較例3〜5)と比べて、ヘイズ差が少なく、光拡散性
のむらが少ないものであることが認められた。すなわち、界面活性剤の含有量が0ppm
超〜50ppm未満の範囲内にある重合体粒子を含む光学フィルムでは、安定した光学特
性(防眩性及び光拡散性)が得られることが認められた。
【0264】
また、界面活性剤の含有量が50ppm以上の比較例1の重合体粒子は、表1に示す結
果から、静置時間を16時間以上とすることで粘度が安定し、分散媒に均一に分散する(
分散状態が安定化する)ことが認められたため、比較例4の光学フィルムの作製において
、コーティング用樹脂組成物の静置時間を24時間として、コーティング用樹脂組成物中
に重合体粒子が均一に分散するようにしたが、表3に示されるように、比較例4の光学フ
ィルムでは、ヘイズ差が大きく、安定した光学特性が得られなかった。
【0265】
これに対して、界面活性剤の含有量が0ppm超〜50ppm未満の範囲内にある実施
例1〜10、及び界面活性剤の含有量が59ppmである比較例2の重合体粒子は、表1
に示す結果より、11時間〜13時間と短い時間で、粘度が安定し、分散媒に均一に分散
する(分散状態が安定化する)と認められた。そこで、実施例1〜10の重合体粒子を使
用する実施例11〜20の光学フィルムの作製及び比較例2の重合体粒子を使用する比較
例5の光学フィルムの作製においては、コーティング用樹脂組成物の静置時間を12時間
として、コーティング用樹脂組成物中に重合体粒子が均一に分散するようにした。
【0266】
この結果、表3に示されるように、界面活性剤の含有量が0ppm超〜50ppm未満
の範囲内にある実施例1〜10の重合体粒子を使用して作製された実施例11〜20の光
学フィルムでは、ヘイズ差が小さく、安定した光学特性が得られた。一方、界面活性剤の
含有量が59ppmである比較例2を使用して作製した比較例5の光学フィルムでは、実
施例11〜20の光学フィルムと比べて、ヘイズ差が大きく、安定した光学特性が得られ
なかった。
【0267】
このことから、界面活性剤の含有量が0ppm超〜50ppm未満の範囲内にある重合
体粒子は、当該重合体粒子をバインダーに分散させて得られるコーティング用樹脂組成物
をフィルム基材上へ塗工して塗膜を形成する過程において、前記樹脂組成物中での分散状
態をほぼ安定に維持することができ、光学フィルムに安定した光学特性を付与できる分散
安定性に優れたものであると言える。また、界面活性剤の含有量が0ppm超〜50pp
m未満の範囲内にある重合体粒子を含むコーティング用樹脂組成物を塗工してなる光学フ
ィルムは、上記したように、ヘイズ差が少なく、光学特性が安定しており、品質安定性に
優れると言える。
【0268】
本発明は、その精神または主要な特徴から逸脱することなく、他のいろいろな形で実施
することができる。そのため、上述の実施例はあらゆる点で単なる例示にすぎず、限定的
に解釈してはならない。本発明の範囲は特許請求の範囲によって示すものであって、明細
書本文には、なんら拘束されない。さらに、特許請求の範囲の均等範囲に属する変形や変
更は、全て本発明の範囲内のものである。
【0269】
また、この出願は、2013年9月30日に日本で出願された特願2013−2045
77に基づく優先権を請求する。これに言及することにより、その全ての内容は本出願に
組み込まれるものである。