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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2021-183747(P2021-183747A)
(43)【公開日】2021年12月2日
(54)【発明の名称】伸縮性腕章
(51)【国際特許分類】
   A41D 13/08 20060101AFI20211105BHJP
【FI】
   A41D13/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2020-90143(P2020-90143)
(22)【出願日】2020年5月22日
(71)【出願人】
【識別番号】397055300
【氏名又は名称】株式会社敬相
(74)【代理人】
【識別番号】100169155
【弁理士】
【氏名又は名称】倉橋 健太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100075638
【弁理士】
【氏名又は名称】倉橋 暎
(72)【発明者】
【氏名】櫛田 祐造
【テーマコード(参考)】
3B011
【Fターム(参考)】
3B011AA09
3B011AB01
3B011AC12
3B011AC17
(57)【要約】
【課題】種々のサイズの腕章を用意する必要がなく、伸縮性のある、しかも、幅方向に皺になることのない、腕章装着時の作業者の着用操作性を改良した伸縮性腕章を提供する。
【解決手段】屋内、屋外作業において着衣の腕部に巻き付けて装着する伸縮性腕章1である。所定の幅及び長さを有する細長矩形状の伸縮性素材を縫製加工し、外面に印刷を施した腕章本体1Aと、腕章本体1Aの内面の少なくとも1箇所に取付けた補強部材10と、腕章本体1Aの長手方向一端の外面に取り付けた第1の調整止め具30A及び第1の調整止め具30Aが取付けられた端部とは反対側の長手方向他端の内面に取り付けられ、第1の調整止め具30Aと係合して腕部に巻き付けられた腕章の直径を変更可能とする第2の調整止め具30Bと、所定長さの弾性紐状体であって、その両端部が、第1の調整止め具が取付けられた端部に取り付けられた止め補助具20と、を有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
屋内、屋外作業において着衣の腕部に巻き付けて装着する伸縮性腕章であって、
所定の幅及び長さを有する細長矩形状の伸縮性素材を縫製加工し、外面に印刷を施した腕章本体と、
前記腕章本体の内面の少なくとも1箇所に、前記腕章本体の長手方向に沿って所定の長さとされ、且つ、前記腕章本体の幅方向に前記腕章本体の幅と略等しい長さだけ延在して取付けた補強部材と、
前記腕章本体の長手方向に沿って所定の長さとされ、且つ、前記腕章本体の幅方向に前記腕章本体の幅と略等しい長さだけ延在して、前記腕章本体の長手方向一端の外面に取り付けた第1の調整止め具と、
前記腕章本体の長手方向に沿って所定の長さとされ、且つ、前記腕章本体の幅方向に前記腕章本体の幅と略等しい長さだけ延在して、前記第1の調整止め具が取付けられた端部とは反対側の長手方向他端の内面に取り付けられ、記第1の調整止め具と係合して腕部に巻き付けられた前記腕章の直径を変更可能とする第2の調整止め具と、
所定長さの弾性紐状体であって、その両端部が、前記第1の調整止め具が取付けられた端部に取り付けられた止め補助具と、
を有することを特徴とする伸縮性腕章。
【請求項2】
前記第1及び第2の調整止め具は、面ファスナー部材であることを特徴とする請求項1に記載の伸縮性腕章。
【請求項3】
前記第1の調整止め具の前記腕章本体の長手方向に沿った長さは、前記第2の調整止め具の前記腕章本体の長手方向に沿った長さより大とされることを特徴とする請求項1又は2に記載の伸縮性腕章。
【請求項4】
前記止め補助具は、ゴム紐であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかの項に記載の伸縮性腕章。
【請求項5】
前記補強部材は、面ファスナー部材であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかの項に記載の伸縮性腕章。
【請求項6】
前記補強部材は、前記腕章本体の上端縁部及び下端縁部に隣接した位置にて前記腕章本体に取り付けられることを特徴とする請求項1〜5のいずれかの項に記載の伸縮性腕章。
【請求項7】
前記補強部材は、剛軟度が30〜45mmであることを特徴とする請求項1〜6のいずれかの項に記載の伸縮性腕章。
【請求項8】
前記伸縮性素材は、ポリアミド系繊維、ポリエステル系繊維、ポリオレフィン系繊維、アクリル系繊維、ウレタン系繊維などの合成繊維を、単独で、又は、組み合わせて作製された織物、ニット、又は、不織布とされることを特徴とする請求項1〜7のいずれかの項に記載の伸縮性腕章。
【請求項9】
前記伸縮性素材は、ポリエステル繊維とポリウレタン繊維の組合せにて作製したトリコットであることを特徴とする請求項8に記載の伸縮性腕章。
【請求項10】
前記外面への印刷は、昇華転写プリントにて行うことを特徴とする請求項1〜9のいずれかの項に記載の伸縮性腕章。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、屋内、屋外の工事現場の作業、或いは、屋外における交通整理などの作業(本明細書、特許請求の範囲においては、これら作業を纏めて「屋内、屋外作業」と呼ぶ。)において、作業着などの着衣の腕部に取り付けて利用する伸縮性腕章に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば工事現場にて利用する腕章は、伸縮性のない帯状の薄手のプラスチックシートを輪仕立てにて作製し、表面に文字、図形、記号等が印刷されている。作業者は、装着に際しては、腕章を着衣の上から腕部に通し、適宜、安全ピンやクリップなどで作業着に固定し、取り付けていた。
【0003】
しかしながら、安全ピンやクリップは、金属製のものが多く、特に、電気、通信関連の屋内、屋外の工事現場での作業において、これら導電性のものを作業着に付けていることは、電気的ショートの問題を引き起こし、最悪の場合には、関連の機器を破壊し、その復旧に多くの時間が必要となったりする。更には、屋外での作業においては、落雷の心配もあり、作業者の安全性の点からも望ましくない。また、雨天時に雨具等の着用が余儀なくされる場合には、一旦、腕章を付けていた作業着から安全ピンを外して、腕章を作業着から外し、腕章を雨具に着け直し、腕章を再度安全ピンなどで雨具に固定することが必要とされ、安全ピンの取り外し、取り付け操作に手間が掛かり、面倒であった。このことは、屋外での交通整理などの作業においても同様であった。また、安全ピンは衣服に穴を空けいためてしまう恐れもある。
【0004】
一方、細長帯状に形成されている腕章を腕に巻き付け、帯状腕章の両端に取り付けた雄型突起、雌型突起からなる面ファスナー(所謂、マジックテープ:登録商標)を使用して、帯状腕章を腕に固定し取り付けることも行われている。しかし、このような従来の腕章では、使用中にズレることがあり、頻繁にズレを直すことが必要とされ、煩わしいものであった。
【0005】
そこで、特許文献1は、本願添付の図5(a)、(b)に図示するように、プラスチックシートなどとされる伸縮性のない帯状の腕章本体201の一端の内面にゴム紐202の両端を固定した腕章200を提案している。この腕章200は、腕部への装着に際して、先ず、輪状のゴム紐202に腕を通すことによって腕章本体201を上腕部に取り付け、その後、帯状腕章本体201を腕の周りに巻き付け、次いで、帯状腕章本体201の一端と他端に取り付けた自在テープ又はホックなどとされる止め具203、204を係合することによって腕章200を腕部に装着する構成とされる。
【0006】
斯かる構成の腕章200は、輪状となったゴム紐202を上腕部に巻き付けて締め付け、固定することによって、ゴム紐202に取り付けられた腕章本体201を上腕部の周りに保持する構成とされているので、上述した従来の帯状腕章を腕に巻き付けて面ファスナーを使用して取り付ける構成の腕章に比較すると腕章自体が使用中に上腕部からズレ落ちることを防ぐことができる。しかし、腕章本体201自体が直接上腕部に密着して固定されているわけではなく、上腕部に巻き付けた腕章本体201自体が上腕部に沿って上下方向に移動したり傾いたりして、作業着の所望の装着位置よりズレることがある。そのために頻繁にこの位置ズレを直すことが必要とされる。更に、この腕章200はゴム紐202にて作業者の腕部を弾性的に締め付けて固定するタイプとされており、従って、作業者の体格の違い、男性か女性か、などによって、腕の周りに巻き付けるゴム紐はその寸法を異なるものとせざるを得ない。そのために、腕章200は、腕章本体201自体のサイズと共に、更に、ゴム紐202の寸法をも異ならせて、例えば大、中、小の三種類用意するか、或いは、図5(b)に示すように、ゴム紐202の長さだけを調整する調整具205を備えた構成とする必要がある。
【0007】
また、上述したように、従来の腕章は、プラスチックシート等の洗濯が不可能な素材で作製されている場合が多く、汚れが目立ち、不衛生であり、頻繁に交換を必要とし、コスト面でも問題がある。
【0008】
そこで、特許文献2に記載され、また、本願添付の図6に示すように、屋内、屋外作業において着衣の腕部に取り付ける輪仕立伸縮性腕章300が提案されている。
【0009】
つまり、輪仕立伸縮性腕章300は、帯状の伸縮性素材を輪状に縫製加工し、表面に印刷を施し、幅W、直径Dとされ、更に、輪仕立伸縮性腕章300は、腕章300の内周面の少なくとも1箇所に、腕章300の円周方向に沿って所定の長さ(L1)とされ、且つ、腕章1の幅(W)方向に腕章1の幅(W)と略等しい長さだけ延在した内面補強部材301を取り付ける、構成とされる。
【0010】
斯かる構成の輪仕立伸縮性腕章300は、
(1)安全ピンやクリップなどによる作業着への固定が必要なく、作業着(着衣)への取り付け、取り外し操作が極めて容易であり、しかも、電気的に絶縁性である。
(2)また、表面に印刷が可能で、耐候性、耐水性に優れ、更には、洗濯可能である。特に、輪仕立伸縮性腕章300は、内面補強部材301を取り付けることにより、装着中に幅方向に皺が寄ることがない。
といった特長を有するものである。
【0011】
更に、斯かる構成の輪仕立伸縮性腕章300は、図7(a)、(b)に図示するように、サイズ調整用面ファスナー部材302、303を設けることにより、輪仕立伸縮性腕章300の直径Dを直径Ddへと小さく(Dd<D)し得る構成とすることにより種々のサイズの輪仕立伸縮性腕章を用意する必要がない、といった特長を有するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開平9−281895号公報
【特許文献2】実用新案登録第3160180号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明者らは特許文献2に記載の輪仕立伸縮性腕章300の実用試験を種々試みたところ、以下のことが分かった。つまり、特許文献2に記載の輪仕立伸縮性腕章300は、上述のように、サイズ調整用面ファスナー部材302、303を設けることにより、輪仕立伸縮性腕章300の直径Dを変更し得る構成とはされているが、実際に輪仕立伸縮性腕章300を使用してみると、図7(b)に示すように、サイズ調整用ファスナー部材302、303を使用して伸縮性素材を適当長さにて折り込み、輪仕立伸縮性腕章300のサイズを小さくするように調整することは、その操作性に問題があり、実用上輪仕立伸縮性腕章300のサイズ調整は困難であることが分かった。また、この輪仕立伸縮性腕章300は、直径Dは規定寸法にて作製されており、大きくサイズ調整するためには、伸縮性腕章300を最大限に伸長拡大する必要があるが、この伸長拡大に伴い、腕締め付け力が増大し、拡大伸長するにも限度がり、それ以上のサイズ調整することは問題があり、実用面で更なる改善が望まれていた。
【0014】
本発明は、上記腕章の更なる改良に関するものである。
【0015】
本発明の目的は、上記輪仕立伸縮性腕章300が有する上記特長(1)、(2)を生かし、更に、腕章装着時の作業者の着用操作性を改良した伸縮性腕章を提供することである。
【0016】
つまり、本発明の主たる目的は、種々のサイズの腕章を用意する必要がなく、伸縮性のある、しかも、幅方向に皺になることのない、腕章装着時の作業者の着用操作性を改良し、実用性が向上した伸縮性腕章を提供することである。
【0017】
本発明の他の目的は、安全ピンやクリップなどによる作業着への固定が必要なく、作業着への取り付け、取り外し操作が極めて容易で、しかも、電気的に絶縁性であり、表面に印刷が可能で、耐候性、耐水性に優れ、更には、洗濯可能とされる、伸縮性のある、しかも、幅方向に皺になることのない、腕章装着時の作業者の着用操作性を改良し、実用性が向上した伸縮性腕章を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0018】
上記目的は本発明に係る伸縮性腕章にて達成される。要約すれば、本発明は、屋内、屋外作業において着衣の腕部に巻き付けて装着する伸縮性腕章であって、
所定の幅及び長さを有する細長矩形状の伸縮性素材を縫製加工し、外面に印刷を施した腕章本体と、
前記腕章本体の内面の少なくとも1箇所に、前記腕章本体の長手方向に沿って所定の長さとされ、且つ、前記腕章本体の幅方向に前記腕章本体の幅と略等しい長さだけ延在して取付けた補強部材と、
前記腕章本体の長手方向に沿って所定の長さとされ、且つ、前記腕章本体の幅方向に前記腕章本体の幅と略等しい長さだけ延在して、前記腕章本体の長手方向一端の外面に取り付けた第1の調整止め具と、
前記腕章本体の長手方向に沿って所定の長さとされ、且つ、前記腕章本体の幅方向に前記腕章本体の幅と略等しい長さだけ延在して、前記第1の調整止め具が取付けられた端部とは反対側の長手方向他端の内面に取り付けられ、記第1の調整止め具と係合して腕部に巻き付けられた前記腕章の直径を変更可能とする第2の調整止め具と、
所定長さの弾性紐状体であって、その両端部が、前記第1の調整止め具が取付けられた端部に取り付けられた止め補助具と、
を有することを特徴とする伸縮性腕章である。
【0019】
本発明の一実施態様によると、前記第1及び第2の調整止め具は、面ファスナー部材である。
【0020】
本発明の他の実施態様によると、前記第1の調整止め具の前記腕章本体の長手方向に沿った長さは、前記第2の調整止め具の前記腕章本体の長手方向に沿った長さより大とされる。
【0021】
本発明の他の実施態様によると、前記止め補助具は、ゴム紐である。
【0022】
本発明の他の実施態様によると、前記補強部材は、面ファスナー部材である。
【0023】
本発明の他の実施態様によると、前記補強部材は、前記腕章本体の上端縁部及び下端縁部に隣接した位置にて前記腕章本体に取り付けられる。
【0024】
本発明の他の実施態様によると、前記補強部材は、剛軟度が30〜45mmである。
【0025】
本発明の他の実施態様によると、前記伸縮性素材は、ポリアミド系繊維、ポリエステル系繊維、ポリオレフィン系繊維、アクリル系繊維、ウレタン系繊維などの合成繊維を、単独で、又は、組み合わせて作製された織物、ニット、又は、不織布とされる。
【0026】
本発明の他の実施態様によると、前記伸縮性素材は、ポリエステル繊維とポリウレタン繊維の組合せにて作製したトリコットである。
【0027】
本発明の他の実施態様によると、前記外面への印刷は、昇華転写プリントにて行う。
【発明の効果】
【0028】
本発明の伸縮性腕章は、種々のサイズの腕章を用意する必要がなく、伸縮性のある、しかも、幅方向に皺になることがなく、また、腕章装着時の作業者の着用操作性を大きく改良し、実用性を大幅に向上した腕章である。本発明の伸縮性腕章は、安全ピンやクリップなどによる作業着への固定の必要がなく、作業着への取り付け、取り外し操作を極めて容易に行うことができ、腕章装着時の作業者の着用操作性を大きく改良する。また、電気的に絶縁性であり、表面に印刷が可能で、耐候性、耐水性に優れ、更には、洗濯可能とされ、実用性が向上した腕章である。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1図1は、本発明に係る伸縮性腕章の一実施例の斜視図である。
図2図2(a)〜(d)は、本発明に係る伸縮性腕章の製造方法の一実施例を説明するための工程図である。
図3図3(a)、(b)は、縫製加工の一例を説明するための図であり、図3(a)は、腕章の表側の一部を示し、図3(b)は、腕章の裏側の一部を示す。
図4図4(a)は、本発明に係る伸縮性腕章を作業者の作業着上腕部に装着する際の一例を説明する斜視図であり、図4(b)は、伸縮性腕章の使用方法の一例を説明する斜視図である。
図5図5(a)、(b)は、従来の腕章の一例を説明する斜視図である。
図6図6は、従来の輪仕立伸縮性腕章の他の例を説明する斜視図である。
図7図7(a)、(b)は、従来の輪仕立伸縮性腕章の他の例を説明する斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明に係る伸縮性腕章を図面に則して更に詳しく説明する。
【0031】
実施例1
図1及び図2(a)〜(d)に、本発明に係る伸縮性腕章1の一実施例を示す。
【0032】
本発明に係る伸縮性腕章1は、伸縮性素材にて作製され、所定の幅(W)及び長さ(L)を有する細長矩形状、即ち、帯状に縫製加工された腕章本体1Aを有する。腕章本体1Aは、外面1Aaに所定の文字、図形、記号Sなどの印刷を施し、更に、腕章本体1Aの内面1Abの少なくとも1箇所には、腕章1の皺の発生を防止し得る剛軟性を有した補強部材10が取付けられる。補強部材10は、帯状腕章本体1Aの内面長手方向に沿って所定の長さ(L1)とされ、且つ、腕章本体1Aの幅(W)方向に腕章の幅(W)と略等しい長さ(W1)だけ延在している。また、伸縮性腕章1は、細長帯状腕章本体1Aを腕に巻き付け装着した後腕章1が所定の装着位置から使用中にズレることを防止するために、腕章1を適当な締め付け力で腕に固定して取り付けるための第1、第2の調整止め具30(30A、30B)がそれぞれ帯状腕章本体1Aの長手方向の両端部に設けられている。本実施例では、調整止め具30としては面ファスナーを好適に使用することができ、限定されるものではないが、第1の調整止め具30Aは雌型突起(ループ状)からなる面ファスナーとし、第2の調整止め具30Bは雄型突起(フック状)からなる面ファスナーとした。更に、帯状腕章本体1Aには、作業者が腕章1を使用するに際して、帯状腕章本体1Aの腕への巻き付け操作を容易とするために止め補助具20が帯状腕章本体1Aの長手方向の一端、本実施例では、第1の調整止め具30Aの設けられている側の端部に設けられる。止め補助具20は、本実施例では、ゴム紐にて作製された輪状の弾性紐状体とされる。以下、腕章1を構成する各部材について詳しく説明する。
【0033】
腕章本体1A
伸縮性腕章1は、図2(a)〜(d)に図示するように、細長の所定の幅(W0)及び長さ(L0)に裁断された細長矩形状の伸縮性素材からなる帯状腕章生地部材2を縫製加工することによって輪状(即ち、円筒状)に変形可能とされる腕章本体1Aを有する。腕章本体1Aのサイズとしては、図2(d)に示す収縮時のサイズにおいて、腕章本体1Aの長手方向の長さLが39〜41cm、幅Wが9〜11cmとされ、本実施例では、L=40cm、W=10cmとした。ただし、この寸法に限定されるものではない。詳しくは後述する。腕章本体1Aの表面(外面)1Aaには、必要な文字、図形、記号S等が印刷されている。
【0034】
伸縮性素材とは、ストレッチ織物素材、ストレッチトリコット素材、その他のストレッチ素材である。これらのストレッチ素材は、タテ・ヨコ方向ストレッチ素材が好ましい。また、ストレッチ素材としては、図4(b)にて、詳しくは後述するが、輪状とされた本発明の伸縮性腕章1の直径(D)を収縮時の最小直径に対し1.5〜2.5倍まで拡大した最大直径まで伸張(拡張)し得るようなものとされる。従って。本発明の腕章によれば、腕章1の直径(D)は、帯状腕章本体1Aの一端及び他端にそれぞれ取り付けられた雄型突起、雌型突起からなる面ファスナー(調整止め具)30(30A、30B)を使用して作業者のサイズに応じて適宜に調整され、更に、その時に生じる輪状とされた腕章の伸縮性を利用した締め付け力により腕章1が作業者の腕部からズレ落ちるのを有効に防止することができる。
【0035】
伸縮性素材としては、ナイロン6、ナイロン66等のポリアミド系繊維、ポリエチレンレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル系繊維、ポリオレフィン系繊維、アクリル系繊維、ウレタン系繊維、などの合成繊維を、単独で、又は、組み合わせて作製された織物、ニット、又は、不織布とされる。 伸縮性、印刷可能性、洗濯容易性、などの点を考慮すると、伸縮性素材としては、特に、ポリエステル繊維とポリウレタン繊維の組合せにて作製したトリコット(ストレッチ生地)が好ましい。また、繊維の混率は、ポリエステル繊維が70〜90%、ポリウレタン繊維が30〜10%程度が好ましい。
【0036】
次に、図2(a)〜(d)及び図3(a)、(b)を参照して、本実施例の伸縮性腕章1の製造方法の一例について説明する。本実施例によると、伸縮性腕章1は、上記伸縮性素材を伸縮性のある縫製加工により極めて好適に作製することができる。
【0037】
先ず、図2(a)に示すように、伸縮性素材とされるストレッチ生地が、所定の幅(W0)及び長さ(L0)に裁断され、帯状腕章生地部材2が作製される。
【0038】
帯状腕章生地部材2は、図2(b)に示すように、長手方向両側縁部(上下縁部)5、6、また、両端縁部(左右縁部)3、4に対して、ロックミシンを使用してほつれを防止するためにロック処理(ロック加工)7を行う。ロック処理幅(w1)は、3〜5mm程度とされる。ロック加工7は、布端のほつれを防止し、かつ、ロック加工することによりストレッチ生地2の伸縮性を損なわないものであれば、何れの方法でも構わない。
【0039】
次いで、腕章本体1Aの裏側から見た図2(c)に示すように、本実施例では、帯状腕章生地部材2の上下縁部5、6に対して、1回折ってステッチ処理(振糸ステッチ加工)8を施す。折り幅(w2)は、5〜10mm程度とされる。勿論、2回或いは3回折ってステッチ処理を施しても良い。
【0040】
図3(a)に、表から見た場合のステッチ加工8の状態を示し、図3(b)には、裏から見た場合のロック加工7の状態を示す。
【0041】
なお、帯状腕章生地部材2の左右縁部3、4に対しても、ロック処理後の折り返しステッチ加工を施しても良い。
【0042】
上記工程によって、図2(c)に示すような、本実施例の帯状腕章本体1Aが作製される。上述のように、縫製加工は、縫製加工により作製した腕章本体1Aが、所定の伸張率を有するように加工することが重要である。本発明者の研究実験によれば、伸張率、即ち、収縮時の直径(最小直径)と伸張可能直径(最大直径)の割合、即ち、腕章の伸張可能な直径は、収縮時の最小直径の1.5〜2.5倍となるようにすることが好ましい。
【0043】
つまり、上述の縫製加工にて重要なことは、上記ロック加工7、ステッチ加工8は、図示される本実施例のものに限定されるものではなく、伸縮性腕章1の伸張率が上記範囲内とされるのであれば、何れの方法をも採用し得る。
【0044】
従って、本実施例の縫製方法によって作製した伸縮性腕章1は、伸張率が上記範囲内とされ、輪状とされた腕章1の腕回りへの締め付け力を利用して装着固定されるものであり、安全ピンやクリップなどによる作業着への固定が必要なく、作業着への取り付け、取り外し操作を極めて容易に行うことができる。また、合成繊維にて作製されるために、電気的に絶縁性を有している。
【0045】
また、本実施例にて使用されるストレッチ生地には、裁断する前に、所定の文字、図形、記号Sなどが印刷されるのが好ましく、印刷手法としては、昇華転写プリント(機械捺染)が好ましい。昇華転写プリント(機械捺染)により極めて良好な印刷をなすことができる。
【0046】
昇華転写プリントにおいては、分散染料インクをインクジェットプリンタにより転写紙に印字し、その転写紙と布(ストレッチ生地)を合わせて熱ローラにて加熱することにより気化したインクが合成繊維(化学繊維)の分子構造に入り込み、染色が行われる。特に、機械捺染においては、蒸し工程及び水洗工程を設け、蒸し工程にて色の固着を図り、水洗工程にて、余分な染料等の水洗を行う。
【0047】
従って、本実施例の腕章は、必要な文字、図形、記号Sなどを極めて良好に印刷できると共に、耐候性、耐水性に優れ、更には、洗濯可能である。
【0048】
本発明の伸縮性腕章1を、上記実施例に従って種々の材料及び縫製方法により作製したが、最も好ましいと思われる伸縮性素地(ストレッチ生地)、及び、縫製加工(糸)の特性を表1に示す。
【0049】
【表1】
【0050】
上記表1に示す伸縮性素地(ストレッチ生地)、及び、縫製加工(糸)を使用して作製した本発明の伸縮性腕章1は、電気的に絶縁性であり、屋内、屋外の工事現場用腕章として好適である。また、従来のプラスチック製の腕章のように、湿気の多いところで露が付着するといった問題もなく、肌にも優しいものであった。
【0051】
更に、伸張可能な直径が、収縮時の最小直径の1.5〜2.5倍とされ、安全ピンやクリップなどによる作業着への固定の必要がなく、作業着への取り付け、取り外し操作が極めて容易であった。保形性に優れ、形くずれを起こすこともなかった。また、昇華転写プリントなどによって表面に印刷が可能で、耐候性、耐水性に優れ、更には、頻繁な洗濯も可能であり、汚れや汗のにおいの問題も解決することができ、コスト的にも優れている。
【0052】
補強部材10
本発明によれば、上述したように、腕章1の内面1Abの少なくとも1箇所には、本実施例では、腕章1の長手方向両端位置を除いて、略長手方向中央部の所定長さ領域に位置して腕章の皺の発生を防止し得る剛軟性を有した補強部材10が取付けられる。
【0053】
補強部材10は、本実施例では矩形状とされ、腕章1の円周方向に沿って、即ち、腕章本体1Aの長手方向に沿って所定の長さ(L1)とされ、且つ、腕章本体1Aの幅(W)方向に腕章本体1Aの幅(W)と略等しい長さ(W1)だけ延在している。本実施例にて、補強部材10は、腕章本体1Aの長手方向に沿った長さL1が、1〜5cm、長手方向に直交した腕章本体1Aの幅W方向の長さ、即ち、幅W1は、9〜11cmとされ、具体的には、L1=5cm、W1=10cmとした。
【0054】
補強部材10は、可撓性ではあっても、腕章1が幅W方向に簡単に皺になるのを防止する機能を有するものでなくてはならず、例えば、所定の腰の強さ、即ち、剛軟性を備えた布地等が好ましい。本発明者の実験では、剛軟度(ハートループ法)は、好ましくは30〜45mm、更に好ましくは35〜38mmであることが分かった。
【0055】
本実施例では、斯かる剛軟性(剛軟度)を備えた、面ファスナーを構成する雄型(フック状)突起或いは雌型(ループ状)突起が形成されたいずれか一方の面ファスナー部材を使用して好結果を得ることができた。本実施例では、ループ状突起(雌型)が形成された面ファスナー部材を補強部材10として使用した。
【0056】
具体的には、面ファスナーとしては、例えば、クラレファスニング株式会社製の「マジックテープ」(株式会社クラレの面ファスナーの登録商標)或いは「エコマジック」(株式会社クラレの面ファスナーの登録商標)である、例えば、商品番号:A8693Y−71/B2790Y−00(剛軟度(ハートループ法):35.5/38.0)或いはA86900−71/B27000−00(剛軟度(ハートループ法):35.3/36.6)を使用することができる。補強部材10としては、この面ファスナーのA(フック)テープ、或いは、B(ループ)テープのいずれかの面ファスナー部材を使用してもよいが、本実施例では、B(ループ)テープである面ファスナー部材を使用した。なお、上述のように、面ファスナー部材10の腕章本体1Aの長手方向の長さ(L1)は5cm、幅(W)は10cmのものを使用した。
【0057】
本実施例では、上述したように、補強部材10である面ファスナー部材の基材11側が腕章本体1Aの内面1Abに、即ち、係合突起部12が腕章1の内面に形成するようにして取付けられる。B(ループ)テープである面ファスナー部材を使用することによって、装着性が向上する。特に、補強部材10としてA(フック)テープである面ファスナー部材を使用した場合には、補強部材10自体が持つ剛軟性と相俟って、着衣の種類によっては、腕章装着後において腕章内面と着衣との摩擦を増大させ、腕章1が皺になるのを抑制することができる。
【0058】
補強部材10は、補強部材の全周に亘り、周辺部を接着或いは縫い合わせ(縫製)により腕章本体1Aに接合しても良い。しかし、腕章本体1Aの伸縮性を損なわないためには、補強部材10は、図1に示すように、腕章本体1Aの上端縁部1a及び下端縁部1bに隣接した位置、例えば、上、下端縁部1a、1bから3〜8mm程度離間した位置にて腕章本体1Aに取り付けるのが好ましい。本実施例では、補強部材10は、図1及び図2(c)に示すように、腕章本体1Aの上端縁部及び下端縁部の折り幅(w2)部分にステッチ加工13、14を施すことによって取付けた。
【0059】
このように、本発明者の実験の結果によると、腕章1の上端縁部1a及び下端縁部1bに隣接して、内面補強部材10を腕章1に取り付けても、適当な剛軟度、例えば、好ましくは30〜45mm、更に好ましくは35〜38mm程度の剛軟度を有した面ファスナー部材のような補強シートを使用すると、装着時において腕章に皺が寄らなくなった。
【0060】
補強部材10の数は、腕章の内周面の少なくとも1箇所でよいが、腕章のサイズなどにより、1箇所ではその効果が十分に達成されない場合には、複数箇所、例えば、2〜4箇所とすることができる。本発明では、後述する調整止め具30(30A、30B)が補強部材としても機能するので、図示するように腕章本体長手方向中央部に1箇所設けることで良好な結果を得ることができた。
【0061】
調整止め具30(30A、30B)
図1及び図4(a)、(b)に図示するように、本発明の伸縮性腕章1は、細長帯状腕章本体1Aを腕に巻き付けた後に腕章1が使用中にズレることを防止するために、帯状腕章本体1Aaを腕に適度の締め付け力にて押し付けて固定し取り付けるための調整止め具30(30A、30B)を有している。調整止め具30、即ち、第1及び第2の調整止め具30A、30Bは、本実施例では、帯状腕章本体1Aの両端に取り付けた雄型突起、雌型突起からなる面ファスナー部材とされる。
【0062】
本実施例において、第1の調整止め具30Aは、帯状腕章本体1Aの長手方向一端に、且つ、帯状腕章本体1Aの長手方向に沿って帯状腕章本体1Aの外面1Aaに所定の長さ(L2)の長さにて、且つ、帯状腕章本体1Aの幅(W)方向に腕章の幅(W)と略等しい長さ(W2)だけ延在した矩形状の面ファスナー部材とされる。第1の調整止め具30Aは、矩形状とされる調整止め具30Aの全周に亘り、周辺部を接着或いは縫い合わせ(縫製)により腕章本体1Aに接合する。
【0063】
また、第1の調整止め具30Aは、本実施例では補強部材10に対して腕章1の略直径方向に対向して腕章本体1Aの外面1Aaに配置されており、上述したように、第2の補強部材としての機能をも有している。
【0064】
更に、第2の調整止め具30Bは、第1の調整止め具30Aとは反対側の、腕章本体1Aの長手方向他端に、且つ、帯状腕章本体1Aの長手方向に沿って腕章本体1Aの内面1Abに所定の長さ(L3)の長さにて、且つ、腕章本体1Aの幅(W)方向に腕章本体1Aの幅(W)と略等しい長さ(W3)だけ延在した矩形状の面ファスナー部材とされる。第2の調整止め具30Bは、矩形状とされる調整止め具30Aの全周に亘り、周辺部を接着或いは縫い合わせ(縫製)により腕章本体1Aに接合する。勿論、各面ファスナー部材は、上記補強部材10と同様に面ファスナー部材の基材側が腕章本体1A側となるように取付られる。
【0065】
第2の調整止め具30Bは、先に説明した第1の調整止め具30Aの長さ(L2)より帯状腕章本体1Aの長手方向に沿った長さ(L3)は、その長さが小さくされる。即ち、L2>L3とされる。L2は、L3の2〜5倍程度長くされ、本実施例では、L2は10cm、L3は5cmとした。勿論これに限定されるものではなく、調整範囲を大とするべく、例えば、L2は10cm、L3は2cmとすることもできる。
【0066】
従って、第2の調整止め具30Bは、第1の調整止め具30Aに重ね合わせることにより、面ファスナー部材30A、30Bを互いに係合させ、固着することができる。つまり、第2の調整止め具30Bの第1の調整止め具30Aに対する円周方向係合位置を調整することにより、腕章1の直径(D)を調整することができる。
【0067】
このように、本発明の伸縮性腕章1によれば、サイズ調整止め具30、即ち、面ファスナー部材30A、30Bを設けることにより、種々のサイズの伸縮性腕章を用意する必要がなく、コスト低減を図ることができ、実用性が向上する。
【0068】
調整止め具30としての第1、第2の面ファスナー部材30A、30Bは、上述した補強部材10に関連して説明した面ファスナー部材を使用することができる。
【0069】
つまり、面ファスナーとしては、例えば、具体的には、クラレファスニング株式会社製の「マジックテープ」(株式会社クラレの面ファスナーの登録商標)或いは「エコマジック」(株式会社クラレの面ファスナーの登録商標)である、例えば、商品番号:A8693Y−71/B2790Y−00(剛軟度(ハートループ法):35.5/38.0)或いはA86900−71/B27000−00(剛軟度(ハートループ法):35.3/36.6)を使用することができる。例えば、第1の面ファスナー部材30Aとしては、この面ファスナーのA(フック)テープ、或いは、B(ループ)テープのいずれかの面ファスナー部材を使用してもよいが、本実施例では、B(ループ)テープである面ファスナー部材を使用した。従って、第2の面ファスナー部材30BとしてはA(フック)テープである面ファスナー部材を使用した。
【0070】
上述にて理解されるように、面ファスナー部材30Aは係合面(ループ突起)側が腕章本体1Aの外面1Aaを形成し、面ファスナー部材30Bは係合面(フック突起)側が腕章本体1Aの内面1Abを形成するようにして取付けられる。
【0071】
止め補助具20
止め補助具20は、本実施例では、弾性素材で形成された紐状体とされ、この弾性紐状体の両端部が帯状腕章本体1Aの長手方向一端に取付られる。弾性紐状体としては、ゴム紐が好適に使用され、ゴム紐としては、例えば、平ゴム、丸ゴム等の適度な伸び率(伸度)を有したものを使用し得る。例えば、幅が10〜20mm程度、伸び率1.8〜2.8程度の織りゴム、編みゴム、コールゴムなどの平ゴム紐とすることができ、本実施例では、幅(W20)が15mm、伸び率が2.4倍程度の織りゴム(平ゴム)紐(竹初製紐社製:商品名「上タックゴム」)を使用した。ゴム紐の長さは、輪状とされた時の直径が9〜11cm程度となるような長さ(腕章本体1Aへの取付代を除く)とされる。本実施例では、長さが28cmとされるこの平ゴム紐の両端を取付代(縫い代)1cmにて腕章本体1Aの幅方向略中央部に縫い付けることにより腕章本体1Aに取り付けた。つまり、図2(d)にてL20=13cm、即ち、ゴム紐の輪状時の直径が略8cmとされる。
【0072】
止め補助具20、即ち、弾性紐状体(ゴム紐)は、詳しくは図4(a)を参照して後述するように、腕章1を作業者の作業着上腕部Hに装着するに際して、先ず、輪状としたゴム紐20を作業者の作業着上腕部Hに装着し、腕章本体1Aの作業着への装着を補助するために腕章本体1Aを作業着に仮止めするためのものである。
【0073】
本発明に係る伸縮性腕章1における止め補助具20は、図5を参照して説明した特許文献1に記載する腕章200における輪状ゴム紐202のように腕章を作業着に装着固定するために作業着に締め付け固定するための固定具ではない。つまり、本発明における止め補助具20を構成する紐状体は、未だ輪状とはされていない腕章本体1Aが作業着から滑り落ちない程度に作業者の作業着上腕部Hに軽く巻き付いて取り付けられており作業着上腕部Hから腕章本体1Aの落下を防止する程度の弾性を発生し得るものであればよい。
【0074】
腕章の装着操作
図4(a)、(b)を参照して説明すれば、本発明の伸縮性腕章1を、例えば作業着上腕部に装着するに際しては、先ず、弾性紐状体とされる止め補助具20を輪状として、作業着を着用した作業者の作業着腕部Hを通し、腕章本体1Aの一端を、即ち、本実施例では、第1の調整止め具(面ファスナー)30Aの端部を作業着腕部に仮に保持する。次いで、作業者は、作業着に保持されていない側の腕章本体1Aの他端、即ち、本実施例では、第2の調整止め具(面ファスナー)30Bを、第1の調整止め具(面ファスナー)30Aに重ね合わせて押し付け、第1及び第2の調整止め具30A、30Bを互いに係合させ、腕章本体1Aを輪状とする。
【0075】
斯かる腕章取付け作業において、本発明の腕章1では、帯状の腕章本体1Aは、上述のように、第1の調整止め具(面ファスナー)30Aが設けられた端部が作業着腕部Hに仮固定されているので、作業者は、第2の調整止め具(面ファスナー)30Bを片手で持って、第1の調整止め具(面ファスナー)30Aに重ね合わせて押し付け第1及び第2の調整止め具30A、30Bを互いに係合させることができ、腕章取付け作業が極めて容易であるという特長を有している。また、必要に応じて、第1及び第2の調整止め具30A、30Bの互いの係合位置を調整することによって、腕章本体1Aの腕回りへの締め付け力を調整して腕章を作業着上腕部Hに適合密着固定する。なお、本発明の腕章1では、弾性紐状体とされる止め補助具20は、上述のように、第1の調整止め具(面ファスナー)30Aの端部を作業着腕部Hに仮に保持し、腕章本体2Aが作業着腕部Hから落下するのを防止すればよく、従って、腕章本体1Aを上腕部Hに沿って容易に移動させることができる。つまり、止め補助具20は腕章本体1Aの腕部Hに沿った移動を阻害するものではなく、従って、本発明の腕章1の腕部Hへの取付作業に際して、腕章本体1Aを作業着上腕部Hに巻き付け密着固定すると同時に、腕章1自体を腕部Hに沿って移動し、腕章1を腕部Hの所定設置位置へと調整移動することも容易にできる。
【0076】
図4(b)にて、本実施例では、上述のように、腕章本体1Aの長さLが40cm、第1、第2の調整留め具の長さL2、L3がそれぞれ10cm、5cmとされるので、輪状とされた腕章1の直径は、最小直径が略9cm程度とされ、一方、最大直径は、腕章本体1Aの伸びを考慮すると、15〜20cm程度までへの伸長拡大が可能とされる。
【0077】
上述のように構成される本発明の伸縮性腕章は、種々のサイズの腕章を用意する必要がなく、安全ピンやクリップなどによる作業着への固定が必要なく、作業着(着衣)への取り付け、取り外し操作が極めて容易である。しかも、腕章1は、電気的に絶縁性であり、実用性が向上する。また、表面に印刷が可能で、耐候性、耐水性に優れ、更には、洗濯可能であり、また、本発明の伸縮性腕章は、装着中に幅方向に皺が寄ることがない。
【符号の説明】
【0078】
1 伸縮性腕章
1A 腕章本体
1Aa 腕章本体外面
1Ab 腕章本体内面
2 帯状腕章生地部材
10 補強部材
20 止め補助具
30A 第1の調整止め具
30B 第2の調整止め具
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7