特開2021-183776(P2021-183776A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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▶ 衛藤 武志の特許一覧

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  • 特開2021183776-鋼管の仕口構造部材 図000003
  • 特開2021183776-鋼管の仕口構造部材 図000004
  • 特開2021183776-鋼管の仕口構造部材 図000005
  • 特開2021183776-鋼管の仕口構造部材 図000006
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2021-183776(P2021-183776A)
(43)【公開日】2021年12月2日
(54)【発明の名称】鋼管の仕口構造部材
(51)【国際特許分類】
   E04B 1/24 20060101AFI20211105BHJP
   E04B 1/58 20060101ALI20211105BHJP
【FI】
   E04B1/24 F
   E04B1/24 J
   E04B1/58 508R
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
【全頁数】5
(21)【出願番号】特願2020-89250(P2020-89250)
(22)【出願日】2020年5月21日
(71)【出願人】
【識別番号】515179358
【氏名又は名称】衛藤 武志
(72)【発明者】
【氏名】衛藤 武志
【テーマコード(参考)】
2E125
【Fターム(参考)】
2E125AA04
2E125AA14
2E125AB16
2E125AC16
2E125AG04
2E125AG12
2E125BB13
(57)【要約】
【課題】補強効果の高い仕口構造を簡易に小型に且つ、軽量にする方法を提案する。
【解決手段】本発明に係る鋼管の仕口構造部材は、袋状の繊維強化シートで編成され当該構造部材100を鋼管8の中空部に挿入し、該挿入した構造部材のスリット4と前記鋼管の穿孔7にボルト9を通したのち、接合部材10を前記ボルト、ナット13で前記鋼管とを係合したのちに当該構造部材の内側に流動性硬化材11を充填することで前記ボルトが前記流動性硬化材と定着すると共に前記鋼管の内面と当該構造部材が前記流動性硬化材の押圧により定着する工程を含むことを特徴とした構造部材。
【選択図】 図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
鋼管の仕口構造であって、袋状の繊維強化シートで編成され当該構造部材を鋼管の中空部に挿入し、該挿入した前記構造部材のスリットと前記鋼管の穿孔にボルトを通したのち、仕口の接合部材をナットで前記鋼管とを係合したのちに当該構造部材の内側に流動性硬化材を充填することで前記ボルトが前記流動性硬化材と定着すると共に前記鋼管の内面と当該構造部材が前記流動性硬化材の押圧により定着する工程を含む構造部材。
【請求項2】
前記構造部材をなす繊維強化シートは、高ヤング率の化学繊維からなる織物で袋状に形成された請求項1に記載の構造部材。
【請求項3】
前記繊維強化シートの内面の一軸方向に可撓性リブが前記繊維強化シートと一体で織られるか、あるいは縫製または接着あるいはその両方で係合され配設されている。前記可撓性リブは前記繊維強化シートに使用される織物と同等かそれ以上の高ヤング率の繊維織物又はプラスチックシートあるいは不織布で形成された請求項2に記載の構造部材。
【請求項4】
前記繊維強化シートは袋状とし前記構造部材として使用する。 前記繊維強化シートを袋状にしたときの四方の端部は縫製または接着あるいはその両方で係合されて封止されている請求項2に記載の構造部材。
【請求項5】
前記構造部材には前記流動性硬化材を注入するための注入ホースが配設されている。前記注入ホースは繊維織物又はプラスチックシートあるいは不織布で円筒形に形成されたものが前記繊維強化シートに縫製または接着あるいはその両方で係合された請求項2に記載の構造部材。
【請求項6】
前記構造部材には前記スリットを施したパッキン材が配設されている。前記パッキン材は可撓性ゴム又はプラスチックシートあるいは不織布あるいは繊維織物が前記繊維強化シートに縫製または接着あるいはその両方で係合された請求項2に記載の構造部材。
【請求項7】
前記鋼管の穿孔からでた前記ボルトに前記接合部材と前記鋼管とを前記ナットで係合した後に前記流動性硬化材を前記構造部材の前記注入ホースより充填する請求項1に記載の仕口構造。
【請求項8】
前記鋼管の穿孔にシーブを打ち込み前記ボルトを前記シーブのネジ部に規定の長さまで回転挿入し、接合部材と前記鋼管とをナットで係合した後に、前記流動性硬化材を前記構造部材の前記注入ホースより充填する請求項1に記載の仕口構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鋼管の仕口構造部材に関する。
【背景技術】
【0002】
既設構造物の鋼管に梁を接合する仕口構造(柱、梁)においては鋼管に通し及び内ダイヤフラム構造の構築は困難となる。また、汎用な外ダイヤフラム構造は鋼管と仕口部材間に流動性硬化材を充填するので仕口部が複雑となり大型化と重量増が避けられないので適用範囲が制限される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−353441
【特許文献2】特開2012−77476
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1では、鋼管外周部と接合部材の隙間に流動性硬化材を充填する接合方法が提案されているが、せん断耐力の不足と仕口構造が複雑で大型化する。
【0005】
特許文献2では、仕口部材と鋼管が係合された仕口構造で鋼管柱の外に挿入固定し且つ、有筋コンクリートを鋼管中空部に築造するコンクリート充填鋼管構造であるが、既存鋼管の隠蔽部の施工は困難で且つ、鋼管中空部の全体にコンクリートが充填されるので重量増となる。
【0006】
本発明は補強効果の高い仕口構造を簡易に小型に且つ、軽量にすることで適用範囲の拡大を図るものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る鋼管の仕口構造部材は、袋状の繊維強化シートで編成され当該構造部材を鋼管の中空部に挿入し、該挿入した構造部材のスリットと前記鋼管の穿孔にボルトを通したのち、仕口の接合部材をナットで前記鋼管とを係合したのちに前記構造部材の内側に流動性硬化材を充填することで前記ボルトが前記流動性硬化材と定着すると共に前記鋼管の内面と前記構造部材が前記流動性硬化材の押圧により定着する工程を含むことを特徴とした構造部材。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る鋼管の仕口構造部材は、高ヤング率の化学繊維で作った袋状の繊維強化シートと流動性硬化材の複合構造体を前記鋼管の中空部に構築すれば、通し及び内ダイヤフラム構造同等の強度が得られる。汎用な外ダイヤフラムでの仕口構造では簡素化と省容量化が可能となる。また、ボルトは直に前記流動性硬化材の内で固着するので安定な定着力を生み、その反力は構造部材の全体に及ぶので、せん断抵抗に優れた仕口構造を簡易に小型に且つ、軽量にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】(A)は図2(B)の本発明に係る構造部材100の外観図の鎖線aの位置を、断面図で例示してある。構造部材100をなす繊維強化シート1の断面図、(B)前記構造部材の外観図。
図2】鋼管8の穿孔7、7aとボルト9と前記構造部材を配設した様子を示した図。
図3】相対する接合部材10をボルト9、ナット13で鋼管8と係合して、前記構造部材に流動性硬化材11が充填された図。
図4】接合部材10をボルト9、ナット13で水平に配設された鋼管8と係合して、前記構造部材に流動性硬化材11が充填された図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1(A)前記構造部材をなす繊維強化シート1は、高ヤング率の化学繊維からなる織物で袋状に形成されている。
【0011】
図1(A)のように、前記構造部材をなす前記繊維強化シートの 内面の一軸方向に可撓性リブ2が前記繊維強化シートと一体で織られるか、あるいは縫製または接着あるいはその両方で係合され配設されている。前記可撓性リブは前記繊維強化シートに使用される織物と同等かそれ以上の高ヤング率の繊維織物又はプラスチックシートあるいは不織布で形成されている。
【0012】
図1(B)は、前記繊維強化シートは袋状とし前記構造部材として使用する。 前記繊維強化シートを袋状にしたときの四方の端部は縫製または接着あるいはその両方で係合され封止されている。
【0013】
図1(B)は、前記構造部材には流動性硬化材11を注入するための注入ホース5が配設されている。前記注入ホースは繊維織物又はプラスチックシートあるいは不織布で円筒形に形成されたものが前記繊維強化シートに縫製または接着あるいはその両方で係合されている。
【0014】
図1(B)は、前記構造部材にスリット4を施したパッキン材3が配設されている図である。ボルト9を通す際に前記流動性硬化11が漏出しないためである。前記パッキン材は可撓性ゴム又はプラスチックシートあるいは不織布あるいは繊維織物が前記繊維強化シートに縫製または接着あるいはその両方で係合されている。
【0015】
図2は、鋼管8に穿孔7と相対する穿孔7aとボルト9と前記構造部材を配設した図である。前記構造部材表面には硬化性樹脂12が塗布してあり前記鋼管の挿入口15から挿入し配設してある。前記ボルトは前記鋼管の穿孔7と前記構造部材の前記パッキン材を貫通し相対する穿孔7aを通しておく。
【0016】
図3は、接合部材10をボルト9、ナット13で鋼管8と係合して、前記構造部材に流動性硬化材11が充填された図である。図2のように前記鋼管の前記穿孔からでた前記ボルトに前記接合部材と前記鋼管とをナット13で係合した後に前記流動性硬化材を前記構造部材の前記注入ホースより充填する。
【0017】
図4は、接合部材10をボルト9、ナット13で水平に配設された鋼管8と係合して、前記構造部材に流動性硬化材11が充填された図である。前記鋼管の穿孔にシーブ14を打ち込み前記全ネジ前記ボルトを前記シーブ14のネジ部に規定の長さまで回転挿入し、前記接合部材と前記鋼管とをナット13で係合した後に、前記流動性硬化材を前記構造部材の前記注入ホースより充填する。
【符号の説明】
【0018】
100 構造部材
1 繊維強化シート
2 可撓性リブ
3 パッキン材
4 スリット
5 注入ホース
6 封止
7、7a 穿孔
8 鋼管
9 ボルト
10 接合部材
11 流動性硬化材
12 硬化性樹脂
13 ナット
14 シーブ
図1(A)図の断面位置
図1
図2
図3
図4