特開2021-183934(P2021-183934A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特開2021-183934探触装置、超音波検査装置、及び、超音波検査方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2021-183934(P2021-183934A)
(43)【公開日】2021年12月2日
(54)【発明の名称】探触装置、超音波検査装置、及び、超音波検査方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 29/265 20060101AFI20211105BHJP
【FI】
   G01N29/265
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2020-89412(P2020-89412)
(22)【出願日】2020年5月22日
(71)【出願人】
【識別番号】595052046
【氏名又は名称】日本シーレーク株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100115255
【弁理士】
【氏名又は名称】辻丸 光一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100154081
【弁理士】
【氏名又は名称】伊佐治 創
(74)【代理人】
【識別番号】100194515
【弁理士】
【氏名又は名称】南野 研人
(72)【発明者】
【氏名】友利 明浩
(72)【発明者】
【氏名】中野 浩志
【テーマコード(参考)】
2G047
【Fターム(参考)】
2G047AA05
2G047AB01
2G047BA03
2G047BC07
2G047DB05
2G047DB18
2G047GB26
2G047GE02
2G047GF24
2G047GH06
2G047GJ08
(57)【要約】
【課題】 配管全体の周方向の割れ等を容易に検出すること可能な探触装置を提供する。
【解決手段】 本発明の探触装置1において、筒状容器111の内部に、探触子112が収容され、探触子112と筒状容器111の内壁との間に、液体が流れることが可能な流路が形成され、探触子112は、超音波を送受信可能であり、探触装置1の先端部は、反射ミラー113及び回転機構114を含み、反射ミラー113は、探触子112から送信された超音波を反射して管2の内壁に対し斜め方向に前記超音波を出射可能であり、かつ、管2の内壁で反射された超音波を反射して探触子112に入射可能であり、回転機構114により、反射ミラー113が、筒状容器111の前記先端部に回転自在に取り付けられており、回転機構114は、前記流路の前記液体の流れを駆動力として反射ミラー113を回転可能である。
【選択図】 図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
探触装置本体部、及び、探触装置先端部を含み、
前記探触部本体部は、筒状容器及び探触子を含み、
前記筒状容器は、検査対象の管内に挿入可能な大きさであり、
前記筒状容器は、前記管内への挿入方向側の先端部と、前記先端部と反対側の後端部を有し、
前記筒状容器の内部に、前記探触子が収容され、
前記探触子と前記筒状容器の内壁との間に、液体が流れることが可能な流路が形成され、
前記流路において、前記液体は、前記後端部から前記先端部に向けて流れることが可能であり、
前記探触子は、超音波を送受信可能であり、
前記探触装置先端部は、前記管内に挿入可能な大きさであり、
前記探触装置先端部は、反射ミラー、及び、回転機構、を含み、
前記反射ミラーは、前記探触子から送信された超音波を反射して前記管の内壁に対し斜め方向に前記超音波を出射可能であり、かつ、前記管の内壁で反射された超音波を反射して前記探触子に入射可能であり、
前記回転機構により、前記反射ミラーが、前記筒状容器の前記先端部に回転自在に取り付けられており、
前記回転機構は、前記流路の前記液体の流れを駆動力として前記反射ミラーを回転可能である、
探触装置。
【請求項2】
前記回転機構は、筒状回転体、及び、板状回転体を含み、
前記筒状回転体は、前記管内の挿入方向側の先端部と、前記先端部と反対側の後端部を有し、
前記筒状回転体の前記先端部に、前記反射ミラーが配置され、
前記筒状回転体の前記後端部に、前記板状回転体が配置され、
前記筒状回転体は、前記板状回転体を介して前記筒状容器の前記先端部に回転自在に取り付けられ、
前記板状回転体は、溝があり、
前記溝において、前記液体は、前記筒状容器の前記先端部から前記筒状回転体の前記先端部に向けて流れることが可能であり、
前記筒状回転体の側部に、前記液体の排出孔が形成されている、
請求項1記載の探触装置。
【請求項3】
探触装置、液体ポンプ、超音波制御装置、超音波データ解析装置、リードケーブル、及び、超音波ケーブルを含み、
前記探触装置は、請求項1又は2記載の探触装置であり、
前記液体ポンプは、前記リードケーブルを通じて前記探触装置の前記筒状容器の前記後端部に前記液体を送液可能であり、
前記リードケーブル内に、前記超音波ケーブルが挿通され、
前記超音波ケーブルにより、前記超音波制御装置と前記探触子が接続され、
前記超音波制御装置により、前記探触子による超音波の送受信が制御され、
前記超音波制御装置と、前記超音波データ解析装置が接続され、
前記超音波データ解析装置は、前記探触子が受信し、かつ、前記超音波制御装置に送信された超音波信号データを解析する、
超音波検査装置。
【請求項4】
前記超音波データ解析装置は、データ解析手段及び表示手段を含み、
前記データ解析手段は、前記管の内壁の一部又は全部をマッピングして管内壁マップを生成し、かつ、前記管内壁マップ上に前記超音波のエコー画像を重ねて管内壁マップ超音波エコー画像を生成し、
前記表示手段は、前記管内壁マップ超音波エコー画像を表示する、
請求項3記載の超音波検査装置。
【請求項5】
前記データ解析手段は、前記管の軸方向に対し垂直方向の管断面をマッピングして管断面マップを生成し、かつ、前記管断面マップ上に前記超音波のエコー画像を重ねて管断面マップ超音波エコー画像を生成し、
前記表示手段は、前記管断面マップ超音波エコー画像を表示する、
請求項3又は4記載の超音波検査装置。
【請求項6】
管の周方向傷を超音波で検査する超音波検査法であって、
前記管内に超音波送受信機を挿入し、
前記超音波送受信機から前記管の内壁に対し斜め方向に対し、超音波を前記管の周方向に回転させながら送信し、
前記超音波送受信機で前記送信された超音波の反射を受信する、
超音波検査方法。
【請求項7】
前記管内に液体を送液し、
前記管内を前記液体で満たした状態で前記超音波を前記管の周方向に回転させながら送信する、
請求項6記載の超音波検査方法。
【請求項8】
前記超音波送受信装置として、請求項1又は2記載の探触装置を用いる、
請求項6又は7記載の超音波検査方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、探触装置、超音波検査装置、及び、超音波検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
化学工業の各種プラント及び工場では、多数の配管があり、配管の割れ及び腐食等を超音波で検査する非破壊検査が実施されている。超音波を用いた検査は、配管に水を送液しながら超音波を発信し、液体を媒体として超音波が配管内壁に照射され、その超音波のエコーで配管の割れ及び腐食等を検出する方法である(例えば、特許文献1)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第5042153号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
配管の周方向の割れ又は腐食を検出するためには、超音波を配管内壁の斜め方向から照射する必要があるが、従来の方法では、手動で超音波を斜め方向に照射していたため、配管全体の周方向の割れ等を検出することは困難であった。
【0005】
そこで、本発明は、配管全体の周方向の割れ等を容易に検出することが可能な、探触装置、超音波検査装置、及び、超音波検査方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するために、本発明の探触装置は、
探触装置本体部、及び、探触装置先端部を含み、
前記探触部本体部は、筒状容器及び探触子を含み、
前記筒状容器は、検査対象の管内に挿入可能な大きさであり、
前記筒状容器は、前記管内への挿入方向側の先端部と、前記先端部と反対側の後端部を有し、
前記筒状容器の内部に、前記探触子が収容され、
前記探触子と前記筒状容器の内壁との間に、液体が流れることが可能な流路が形成され、
前記流路において、前記液体は、前記後端部から前記先端部に向けて流れることが可能であり、
前記探触子は、超音波を送受信可能であり、
前記探触装置先端部は、前記管内に挿入可能な大きさであり、
前記探触装置先端部は、反射ミラー、及び、回転機構、を含み、
前記反射ミラーは、前記探触子から送信された超音波を反射して前記管の内壁に対し斜め方向に前記超音波を出射可能であり、かつ、前記管の内壁で反射された超音波を反射して前記探触子に入射可能であり、
前記回転機構により、前記反射ミラーが、前記筒状容器の前記先端部に回転自在に取り付けられており、
前記回転機構は、前記流路の前記液体の流れを駆動力として前記反射ミラーを回転可能である、装置である。
【0007】
本発明の超音波検査装置は、
探触装置、液体ポンプ、超音波制御装置、超音波データ解析装置、リードケーブル、及び、超音波ケーブルを含み、
前記探触装置は、本発明の探触装置であり、
前記液体ポンプは、前記リードケーブルを通じて前記探触装置の前記筒状容器の前記後端部に前記液体を送液可能であり、
前記リードケーブル内に、前記超音波ケーブルが挿通され、
前記超音波ケーブルにより、前記超音波制御装置と前記探触子が接続され、
前記超音波制御装置により、前記探触子による超音波の送受信が制御され、
前記超音波制御装置と、前記超音波データ解析装置が接続され、
前記超音波データ解析装置は、前記探触子が受信し、かつ、前記超音波制御装置に送信された超音波信号データを解析する、装置である。
【0008】
本発明の超音波検査方法は、
管の周方向傷を超音波で検査する超音波検査法であって、
前記管内に超音波送受信機を挿入し、
前記超音波送受信機から前記管の内壁に対し斜め方向に対し、超音波を前記管の周方向に回転させながら送信し、
前記超音波送受信機で前記送信された超音波の反射を受信する、方法である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、例えば、水等の液体の送液により反射ミラーを回転させることができるため、超音波を配管の周方向に回転させながら管内壁に斜め方向に照射可能となる。その結果、本発明によれば、配管全体の周方向の割れ等の傷を容易に検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、実施形態1の装置の構成の一例を示す模式図である。
図2図2は、実施形態2の装置の構成の一例を示す模式図である。
図3図3(a)は、実施形態2の装置における液体の流れの一例を示す模式図であり、図3(b)は、反射ミラー及び回転機構の構成の一例を示す模式図である。
図4図4は、検査対象の管の周方向傷を超音波で検査する一例を示す模式図である。
図5図5は、検査対象の管内に傷がない場合の超音波の伝搬の一例を示す模式図である。
図6図6は、検査対象の管内に傷がある場合の超音波の伝搬の一例を示す模式図である。
図7図7は、超音波信号データの解析の一例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の探触装置において、例えば、
前記回転機構は、筒状回転体、及び、板状回転体を含み、
前記筒状回転体は、前記管内の挿入方向側の先端部と、前記先端部と反対側の後端部を有し、
前記筒状回転体の前記先端部に、前記反射ミラーが配置され、
前記筒状回転体の前記後端部に、前記板状回転体が配置され、
前記筒状回転体は、前記板状回転体を介して前記筒状容器の前記先端部に回転自在に取り付けられ、
前記板状回転体は、溝があり、
前記溝において、前記液体は、前記筒状容器の前記先端部から前記筒状回転体の前記先端部に向けて流れることが可能であり、
前記筒状回転体の側部に、前記液体の排出孔が形成されている、という態様であってもよい。
【0012】
本発明の超音波検査装置において、例えば、
前記超音波データ解析装置は、データ解析手段及び表示手段を含み、
前記データ解析手段は、前記管の内壁の一部又は全部をマッピングして管内壁マップを生成し、かつ、前記管内壁マップ上に前記超音波のエコー画像を重ねて管内壁マップ超音波エコー画像を生成し、
前記表示手段は、前記管内壁マップ超音波エコー画像を表示する、という態様であってもよい。
【0013】
本発明の超音波検査装置において、例えば、
前記データ解析手段は、前記管の軸方向に対し垂直方向の管断面をマッピングして管断面マップを生成し、かつ、前記管断面マップ上に前記超音波のエコー画像を重ねて管断面マップ超音波エコー画像を生成し、
前記表示手段は、前記管断面マップ超音波エコー画像を表示する、という態様であってもよい。
【0014】
本発明の超音波検査方法において、例えば、
前記管内に液体を送液し、
前記管内を前記液体で満たした状態で前記超音波を前記管の周方向に回転させながら送信する、という態様であってもよい。
【0015】
本発明の超音波検査方法において、例えば、
前記超音波送受信装置として、本発明の探触装置を用いる、という態様であってもよい。
【0016】
次に、本発明の実施形態について図を用いて説明する。本発明は、以下の実施形態には限定されない。以下の各図において、同一部分には、同一符号を付している。また、各実施形態の説明は、特に言及がない限り、互いの説明を援用でき、各実施形態の構成は、特に言及がない限り、組合せ可能である。
【0017】
[実施形態1]
図1は、本実施形態の超音波検査装置1の構成の一例を示す模式図である。図1に示すように、本装置1は、探触装置11、液体ポンプ12、超音波データ解析装置13、超音波制御装置14、リードケーブル15、及び、超音波ケーブル(図示せず)を含む。
【0018】
探触装置11は、後述の実施形態2記載の探触装置11である。
【0019】
液体ポンプ12は、リードケーブル15を通じて、図2に示す探触装置11の筒状容器111の後端部に液体(例えば、水)を送液可能である。具体的に、液体ポンプ12は、例えば、水圧を上げることで、前記液体を送液可能である。
【0020】
リードケーブル15内に、前記超音波ケーブルが挿通される。前記超音波ケーブルにより、超音波制御装置14と探触子112が接続される。リードケーブル15及び前記超音波ケーブルの長さは、特に制限されず、検査対象の管の長さに応じて適宜設定可能である。
【0021】
超音波制御装置14により、探触子112による超音波の送受信が制御される。
【0022】
超音波制御装置14と、超音波データ解析装置13が接続される。超音波制御装置14及び超音波データ解析装置13は、例えば、通信回線網を介して接続される。前記通信回線網は、特に制限されず、公知のネットワークを使用でき、例えば、有線でも無線でもよい。前記通信回線網は、例えば、インターネット回線、WWW(World Wide Web)、電話回線、LAN(Local Area Network)、SAN(Storage Area Network)、DTN(Delay Tolerant Networking)等があげられる。無線通信としては、例えば、WiFi(Wireless Fidelity)、Bluetooth(登録商標)等が挙げられる。前記無線通信としては、各装置が直接通信する形態(Ad Hoc通信)、アクセスポイントを介した間接通信のいずれであってもよい。
【0023】
超音波データ解析装置13は、探触子112が受信し、かつ、超音波制御装置14に送信された超音波信号データを解析する。超音波データ解析装置13は、例えば、パーソナルコンピュータ(PC、例えば、デスクトップ型、ノート型)、スマートフォン、タブレット端末等の形態であってもよいし、サーバであってもよい。前記解析については、後述する。
【0024】
超音波データ解析装置13は、例えば、データ解析手段及び表示手段を含んでもよい。具体的には、後述する。
【0025】
[実施形態2]
図2及び図3に基づき、探触装置11を説明する。図2は、探触装置11の構成の一例を示す模式図である。探触装置11は、探触装置本体部、及び、探触装置先端部を含む。前記探触部本体部は、図2に示すように、筒状容器111及び探触子112を含む。筒状容器111の内部に、探触子112が収容される。筒状容器111は、前記管内への挿入方向側の先端部と、前記先端部と反対側の後端部を有する。前記探触装置先端部は、図2に示すように、反射ミラー113、及び、回転機構114、を含む。
【0026】
前記探触装置先端及び筒状容器111の大きさは、検査対象の管2内に挿入可能な大きさであればよく、特に制限されない。検査対象の管2は、特に制限されない。具体的に、検査対象の管2の材質は、例えば、銅合金、ステンレス鋼、鋼、ニッケル合金等の金属であることが好ましい。
【0027】
図3(a)は、液体の流れの一例を示す模式図である。図3(a)に示すように、探触子112と筒状容器111の内壁との間に、液体3が流れることが可能な流路が形成される。前記流路において、液体3は、前記後端部から前記先端部に向けて流れることが可能である。液体3は、特に制限されないが、例えば、水である。液体3は、例えば、前述と同様に、液体ポンプ12から、リードケーブル15を通じて、筒状容器111の後端部に送液される。検査対象の管2の内部は、例えば、予め液体3によって満たされていてもよいし、液体ポンプ12による送液により液体3によって満たされてもよい。
【0028】
探触子112は、超音波を送受信可能である。前記超音波の周波数は、検査対象の管2及び液体3の種類に応じて、適宜設定可能である。前記超音波の送受信については、後述する。
【0029】
反射ミラー113は、探触子112から送信された超音波を反射して検査対象の管2の内壁に対し斜め方向に前記超音波を出射可能であり、かつ、検査対象の管2の内壁で反射された超音波を反射して探触子112に入射可能である。反射ミラー113は、回転機構114により、筒状容器111の前記先端部に回転自在に取り付けられている。反射ミラー113の角度は特に制限されず、適宜設定可能である。
【0030】
回転機構114は、前記流路の液体3の流れを駆動力として反射ミラー113を回転可能である。図3(b)は、反射ミラー113及び回転機構114の構成の一例を示す模式図である。図3(b)に示すように、回転機構114は、例えば、筒状回転体114a、及び、板状回転体114bを含む。筒状回転体114aは、検査対象の管2内の挿入方向側の先端部と、前記先端部と反対側の後端部を有する。反射ミラー113は、筒状回転体114aの前記先端部に配置される。板状回転体114bは、筒状回転体114aの前記後端部に配置される。筒状回転体114aは、板状回転体114bを介して前記筒状容器の前記先端部に回転自在に取り付けられる。板状回転体114bには、溝(図示せず)がある。前記溝において、液体3は、筒状容器111の前記先端部から筒状回転体114aの前記先端部に向けて流れることが可能である。筒状回転体114aの側部に、液体3の排出孔が形成されている。すなわち、筒状容器111の後端部に送液された液体3が、前記流路を流れて、板状回転体114bの前記溝を流れる。そして、板状回転体114bは、液体3が前記溝を流れる力を駆動力として、回転し、連動して筒状回転体114aが回転する。前記回転の方向は、例えば、右回りでもよいし、左回りでもよい。筒状回転体114a及び板状回転体114bは、一体成形品であってもよい。
【0031】
図3(b)に示すように、回転機構114は、例えば、さらに、ベアリング114c及び固定治具114dを含んでもよい。ベアリング114cは、例えば、筒状容器111、筒状回転体114a及び板状回転体114bに接して配置される。固定治具114dは、例えば、筒状容器111、ベアリング114c及び筒状回転体114aに接して配置される。ベアリング114c及び固定治具114dは、筒状回転体114aを筒状容器111の前記先端部に固定して支持可能なものであればよく、特に制限されない。
【0032】
[実施形態3]
図4に基づき、超音波検査方法について説明する。本実施形態の超音波検査方法は、管の周方向傷を超音波で検査する方法である。
【0033】
まず、図4に示すように、検査対象の管2内に超音波送受信機を挿入する。前記超音波送受信機は、超音波を送受信可能な装置であればよく、特に制限されないが、例えば、前記実施形態1記載の超音波検査装置1における探触装置11、すなわち、前記実施形態2記載の探触装置11である。以下、超音波送受信機を探触装置11として示す。探触装置11は、例えば、管2内の中心に挿入されることが好ましい。検査対象の管2内は、流体3によって満たされている。次に、探触装置11から管2の内壁に対し斜め方向に対し、超音波4を管2の周方向に回転させながら送信する。そして、探触装置11で前記送信された超音波4の反射を受信する。この結果、例えば、超音波データ解析装置13により、超音波4の反射の有無に基づき、管2内の傷2aの有無を検出できる。さらに、例えば、受信した超音波4の反射(超音波信号データ)を解析することにより、管2内の傷2aの有無や傷2aの状態等を検出することができる。
【0034】
また、本実施形態の超音波検査方法は、例えば、図4に示すように、管2内に液体3を送液し、管2内を液体3で満たした状態で超音波4を管2の周方向に回転させながら送信してもよい。
【0035】
[実施形態4]
図5及び図6に基づき、超音波の伝搬の一例を示す。
【0036】
超音波4の反射がない場合の一例について説明する。図5は、管2内に傷2aがない場合の超音波4の伝搬の一例を示す。図5に示すように、探触子112は、超音波4を送信する。前記送信した超音波4は、反射ミラー113によって、管2の内壁に対し斜め方向に出射される。出射された超音波4は、液体3を伝搬し、管2の内壁表面に斜めに入射する。入射した超音波4は、例えば、管2の内壁内を伝搬し、その後消滅する。すなわち、超音波4の反射がなく、探触装置11による受信が実行されない。この場合は、例えば、管2内に傷2aがないとみなされる。
【0037】
一方で、超音波4の反射がある場合の一例について説明する。図6は、管2内に傷2aがある場合の超音波4の伝搬の一例を示す。図6に示すように、探触子112は、超音波4を送信する。前記送信した超音波4は、反射ミラー113によって、管2の内壁に対し斜め方向に出射される。出射された超音波4は、液体3を伝搬し、管2の内壁表面に斜めに入射する。入射した超音波4は、例えば、管2の内壁内を伝搬し、傷2aに当たる。傷2aに当たった超音波4は、反射され、管2の内壁内を伝搬し、出射される。出射された超音波4は、液体3を伝搬し、反射ミラー113に当たり、探触子112に入射される。探触子112は、入射された超音波4を受信する。超音波データ解析装置13は、例えば、超音波ケーブル15を介して前記超音波信号データ(超音波4の信号データ)を取得して解析する。
【0038】
[実施形態5]
図7に基づき、超音波信号データの解析について説明する。超音波データ解析装置13は、例えば、前述のように、データ解析手段及び表示手段131を含んでもよい。表示手段131は、例えば、LEDディスプレイ、液晶ディスプレイ等である。図7の上段に、傷2aがある管2の内壁の一例を示す。表示手段131は、例えば、前記超音波信号データを表示してもよい。図7の表示手段131における左上に、前記超音波信号データの一例を示す。図7において矢印は、管2の内壁の傷2aを示す波形である。前記データ解析手段は、管2の内壁の一部又は全部をマッピングして管内壁マップを生成し、かつ、前記管内壁マップ上に前記超音波のエコー画像を重ねて管内壁マップ超音波エコー画像を生成する。表示手段131は、前記管内壁マップ超音波エコー画像を表示する。図7の表示手段131における左下に、管2の内壁の一部をマッピングした管内壁マップに基づく管内壁マップ超音波エコー画像を示す。また、図7の表示手段131における右下に、管2の内壁の全部をマッピングした管内壁マップに基づく管内壁マップ超音波エコー画像を示す。また、前記データ解析手段は、例えば、前記管の軸方向に対し垂直方向の管断面をマッピングして管断面マップを生成し、かつ、前記管断面マップ上に前記超音波のエコー画像を重ねて管断面マップ超音波エコー画像を生成してもよい。そして、表示手段131は、例えば、前記管断面マップ超音波エコー画像を表示してもよい。図7の表示手段131における右上に、前記管断面マップ超音波エコー画像を示す。このように、超音波データ解析装置13による解析によれば、例えば、探触装置11を挿入した管2の端部から傷2aがある場所までの長さ、傷2aの長さ、管2内に挿入した探触装置11を中心とした傷2aがある方向等を検出することができる。
【0039】
以上、実施形態を参照して本発明を説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。本発明の構成や詳細には、本発明のスコープ内で当業者が理解しうる様々な変更をできる。
【産業上の利用可能性】
【0040】
本発明によれば、配管全体の周方向の割れ等を容易に検出することができ、特に、配管の検査において有用である。
【符号の説明】
【0041】
1 超音波検査装置
2 検査対象の管
3 液体(水)
4 超音波
11 探触装置
12 ポンプ
13 超音波データ解析装置
14 超音波制御装置
15 リードケーブル
111 筒状容器
112 探触子
113 反射ミラー
114 回転機構
114a 筒状回転体
114b 板状回転体
114c ベアリング
114d 固定治具
131 表示手段

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7