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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2021-184191(P2021-184191A)
(43)【公開日】2021年12月2日
(54)【発明の名称】デジタル貯金箱システム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 20/06 20120101AFI20211105BHJP
   G06Q 40/02 20120101ALI20211105BHJP
【FI】
   G06Q20/06 300
   G06Q40/02
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2020-89601(P2020-89601)
(22)【出願日】2020年5月22日
(71)【出願人】
【識別番号】520153051
【氏名又は名称】株式会社DCD
(74)【代理人】
【識別番号】110000073
【氏名又は名称】特許業務法人プロテック
(74)【代理人】
【識別番号】100167070
【弁理士】
【氏名又は名称】狹武 哲詩
(74)【代理人】
【識別番号】100108051
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 生央
(72)【発明者】
【氏名】亀井 成
【テーマコード(参考)】
5L055
【Fターム(参考)】
5L055AA14
5L055BB24
(57)【要約】      (修正有)
【課題】単に電子的に預貯金の出し入れができる機能を提供するに留まらず、ユーザに対して貯金を励行する様々な機能を備えたデジタル貯金箱を実現するコンピュータシステム及びアプリケーションソフトウェアを提供する。
【解決手段】デジタル貯金箱システムにおいて、貯金サーバは、ユーザ情報データベースと、ユーザの貯金残高を記憶する貯金箱データベースと、資金移動を行うために必要な情報を記憶する提携機関情報データベースと、貯金箱データベースに記憶された当該貯金箱の情報を編集する貯金箱管理部と、貯金箱データベースの情報に基づき、ユーザ所有の貯金箱と、他の貯金箱又は金融機関若しくは電子マネー事業者との間の入出金を処理する入出金処理部と、入出金処理部による入出金処理に応じて、提携機関情報データベースの情報に基づき、金融機関若しくは電子マネー事業者とでの資金移動を行う提携機関通信部と、を有する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザの属性情報を記憶するユーザ情報データベースと、
ユーザが有する1以上の貯金箱について少なくとも貯金残高を記憶する貯金箱データベースと、
1以上の金融機関及び/又は1以上の電子マネー事業者との間で資金移動を行うために必要な情報を記憶する提携機関情報データベースと、
ユーザからのユーザ所有の貯金箱に対する操作要求を受け付け、貯金箱データベースに記憶された当該貯金箱の情報を編集する貯金箱管理部と、
ユーザからのユーザ所有の貯金箱に対する入出金指示に応じて、又は所定条件に応じて、前記貯金箱データベースの情報に基づき、ユーザ所有の貯金箱と、他の貯金箱又は金融機関若しくは電子マネー事業者との間の入出金を処理する入出金処理部と、
前記入出金処理部による入出金処理に応じて、前記提携機関情報データベースの情報に基づき、金融機関若しくは電子マネー事業者とでの資金移動を行う提携機関通信部と
を有するデジタル貯金箱システムであって、
前記ユーザ情報データベースは、ユーザごとに設定された貯金箱に対する操作の制限に関する情報を記憶しており、
前記貯金箱データベースは、貯金箱ごとに設定された貯金箱に対する操作の制限に関する情報を記憶しており、
前記貯金箱管理部は、前記貯金箱に対する操作の制限のもと、ユーザからのユーザ所有の貯金箱に対する操作要求に対応するデジタル貯金箱システム。
【請求項2】
前記貯金箱データベースは、各貯金箱の入出金履歴を記憶していることを特徴とする請求項1に記載のデジタル貯金箱システム。
【請求項3】
前記貯金箱管理部は、前記貯金箱データベースにおいて、複数のユーザで共有する貯金箱を作成し、それらのユーザごとに当該共有貯金箱に対する操作の制限を設定することができることを特徴とする請求項1又は2に記載のデジタル貯金箱システム。
【請求項4】
前記貯金箱管理部は、ユーザからのユーザ所有の貯金箱に対する入出金指示とともに、当該入出金に付随する情報の入力を受け付け、前記貯金箱データベースに記憶しており、
ユーザからのユーザ所有の貯金箱に対する操作要求として、入出金の付随情報及び/又は入出金履歴の閲覧に対応可能であることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のデジタル貯金箱システム。
【請求項5】
前記貯金箱管理部は、ユーザからのユーザ所有の貯金箱に対する操作要求として、入出金、残高照会、貯金箱の作成・編集・削除、貯金箱に対する操作の制限の設定・編集・削除のうち1以上に対応可能であることを特徴とすることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載のデジタル貯金箱システム。
【請求項6】
前記ユーザ情報データベースは、ユーザ間での管理者及び被管理者の関係並びにそれに基づく被管理者ユーザ所有の貯金箱に対する操作の制限に関する情報を記憶しており、
前記貯金箱管理部は、当該貯金箱に対する操作の制限のもと、被管理者ユーザからの被管理者ユーザ所有の貯金箱に対する操作要求に対応することを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載のデジタル貯金箱システム。
【請求項7】
前記ユーザ情報データベース及び前記貯金箱データベースに記憶された情報に基づいて、ユーザに対する貯金奨励を行う貯金奨励機能部をさらに有しており、
前記貯金奨励機能部は、ユーザに対し、当該ユーザが設定した貯金の目標額、目標達成度、計画内容、計画達成度、前記いずれか1以上に関連したメッセージのうち1以上を含む情報を提示することを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載のデジタル貯金箱システム。
【請求項8】
前記貯金奨励機能部は、ユーザが設定した貯金の目標達成度又は計画達成度が一定水準を下回った場合、当該貯金箱に対する操作の制限を強化することを特徴とする請求項7に記載のデジタル貯金箱システム。
【請求項9】
前記貯金奨励機能部は、同一又は同種の貯金目標を設定した複数のユーザ間で、貯金の目標額、目標達成度、計画内容、計画達成度のうち1以上を相互閲覧可能とすることを特徴とする請求項7又は8に記載のデジタル貯金箱システム。
【請求項10】
前記貯金奨励機能部は、任意の貯金目標又は貯金計画を設定し、これを採用する複数のユーザ間で、貯金の目標達成度又は計画達成度を相互閲覧可能とすることを特徴とする請求項7又は8に記載のデジタル貯金箱システム。
【請求項11】
前記貯金奨励機能部は、前記設定した貯金目標又は貯金計画を達成したユーザに対し、その達成度に応じて報酬を付与することを特徴とする請求項10に記載のデジタル貯金箱システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンピュータネットワーク上に金銭を貯金できるデジタル貯金箱を実現するコンピュータシステム及びアプリケーションソフトウェアに関し、特に、ユーザに対し貯金を励行する様々な機能を備えたものを提供する。
【背景技術】
【0002】
デジタル社会の到来により、電子マネー、オンライン決済などが普及している。現金を使用せず、オンラインバンキング、クレジットカード、電子マネー等を用いて、コンピュータシステム上で、送金や決済を行うことが一般的となっている。
また、送金や決済のみならず、貯金もキャッシュレスで行うことができるユーザ利便性の高いシステムへの要望が高まってきている。
【0003】
特許文献1には、「預貯金の現金化用携帯端末と現金化処理システム」の発明が開示されている。
ここでは、既存のインターネットバンキングシステムを利用して、預金残高を電子マネーとして出金できる携帯端末用アプリケーションソフトウェアが提案されている。
【0004】
特許文献2には、「貯金システム、方法、プログラム」の発明が開示されている。
ここでは、ユーザ間での送金が可能な電子貯金箱を実現するコンピュータシステム及びアプリケーションソフトウェアが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2017−120602号公報
【特許文献2】特許第6564101号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本来、貯金とは、生活資金の余剰金を貯め置く行為であり、その目的は、いざという時に頼れる備蓄金を作ることであったり、特定用途に使うための所定額を目標に漸次貯蓄するものである。子供が貯金をする場合は、特定用途に使うための資金を貯めるという行為を通じて、親がそれを管理し、子供に対し金銭に関する教育を行うという側面もある。また、大人であれ子供であれ、目標額に向かって日々貯金するという行為は、ささやかな楽しみとなり得る。
【0007】
しかしながら、上述した先行技術では、単に電子的に預貯金の出し入れができる機能を提供するに過ぎず、貯金の楽しさ、貯金の励行、教育的側面、ペアレンタルコントロールといった従来の現金での貯金行為に付随していた要素が切り離されてしまっている。
【0008】
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであり、ユーザに対し貯金を励行する様々な機能を備えたデジタル貯金箱を実現するコンピュータシステム及びアプリケーションソフトウェアを提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記解決課題に鑑みて鋭意研究の結果、本発明者は、コンピュータネットワーク上に金銭を貯金できるデジタル貯金箱を実現し、かつ、ユーザに対して、貯金の奨励とお金の教育とを同時に効果的に行うことができるコンピュータシステム及びアプリケーションソフトウェアとして、以下の発明に想到した。
【0010】
すなわち、本発明は、ユーザの属性情報を記憶するユーザ情報データベースと、ユーザが有する1以上の貯金箱について少なくとも貯金残高を記憶する貯金箱データベースと、1以上の金融機関及び/又は1以上の電子マネー事業者との間で資金移動を行うために必要な情報を記憶する提携機関情報データベースと、ユーザからのユーザ所有の貯金箱に対する操作要求を受け付け、貯金箱データベースに記憶された当該貯金箱の情報を編集する貯金箱管理部と、ユーザからのユーザ所有の貯金箱に対する入出金指示に応じて、又は所定条件に応じて、前記貯金箱データベースの情報に基づき、ユーザ所有の貯金箱と、他の貯金箱又は金融機関若しくは電子マネー事業者との間の入出金を処理する入出金処理部と、前記入出金処理部による入出金処理に応じて、前記提携機関情報データベースの情報に基づき、金融機関若しくは電子マネー事業者とでの資金移動を行う提携機関通信部とを有するデジタル貯金箱システムであって、前記ユーザ情報データベースは、ユーザごとに設定された貯金箱に対する操作の制限に関する情報を記憶しており、前記貯金箱データベースは、貯金箱ごとに設定された貯金箱に対する操作の制限に関する情報を記憶しており、前記貯金箱管理部は、前記貯金箱に対する操作の制限のもと、ユーザからのユーザ所有の貯金箱に対する操作要求に対応するデジタル貯金箱システムを提供するものである。
【0011】
本発明のデジタル貯金箱システムにおいて、前記貯金箱データベースは、各貯金箱の入出金履歴を記憶していることを特徴とする。
また、前記貯金箱管理部は、前記貯金箱データベースにおいて、複数のユーザで共有する貯金箱を作成し、それらのユーザごとに当該共有貯金箱に対する操作の制限を設定することができることを特徴とする。
また、前記貯金箱管理部は、ユーザからのユーザ所有の貯金箱に対する入出金指示とともに、当該入出金に付随する情報の入力を受け付け、前記貯金箱データベースに記憶しており、ユーザからのユーザ所有の貯金箱に対する操作要求として、入出金の付随情報及び/又は入出金履歴の閲覧に対応可能であることを特徴とする。
【0012】
本発明のデジタル貯金箱システムにおいて、前記貯金箱管理部は、ユーザからのユーザ所有の貯金箱に対する操作要求として、入出金、残高照会、貯金箱の作成・編集・削除、貯金箱に対する操作の制限の設定・編集・削除のうち1以上に対応可能であることを特徴とすることを特徴とする。
【0013】
本発明のデジタル貯金箱システムにおいて、前記ユーザ情報データベースは、ユーザ間での管理者及び被管理者の関係並びにそれに基づく被管理者ユーザ所有の貯金箱に対する操作の制限に関する情報を記憶しており、前記貯金箱管理部は、当該貯金箱に対する操作の制限のもと、被管理者ユーザからの被管理者ユーザ所有の貯金箱に対する操作要求に対応することを特徴とする。
【0014】
本発明のデジタル貯金箱システムにおいて、前記ユーザ情報データベース及び前記貯金箱データベースに記憶された情報に基づいて、ユーザに対する貯金奨励を行う貯金奨励機能部をさらに有しており、前記貯金奨励機能部は、ユーザに対し、当該ユーザが設定した貯金の目標額、目標達成度、計画内容、計画達成度、前記いずれか1以上に関連したメッセージのうち1以上を含む情報を提示することを特徴とする。
【0015】
本発明のデジタル貯金箱システムにおいて、前記貯金奨励機能部は、ユーザが設定した貯金の目標達成度又は計画達成度が一定水準を下回った場合、当該貯金箱に対する操作の制限を強化することを特徴とする。
【0016】
本発明のデジタル貯金箱システムにおいて、前記貯金奨励機能部は、同一又は同種の貯金目標を設定した複数のユーザ間で、貯金の目標額、目標達成度、計画内容、計画達成度のうち1以上を相互閲覧可能とすることを特徴とする。
【0017】
本発明のデジタル貯金箱システムにおいて、前記貯金奨励機能部は、任意の貯金目標又は貯金計画を設定し、これを採用する複数のユーザ間で、貯金の目標達成度又は計画達成度を相互閲覧可能とすることを特徴とする。
【0018】
本発明のデジタル貯金箱システムにおいて、前記貯金奨励機能部は、前記設定した貯金目標又は貯金計画を達成したユーザに対し、その達成度に応じて報酬を付与する。
【発明の効果】
【0019】
以上、説明したように、本発明のデジタル貯金箱システムによれば、単に電子的に預貯金の出し入れができる機能を提供するに留まらず、ユーザに対し貯金を励行する様々な機能を備えたデジタル貯金箱を実現するコンピュータシステム及びアプリケーションソフトウェアが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の一実施形態にかかるデジタル貯金箱システムの全体構成を概略的に示す模式図である。
図2】本発明の一実施形態にかかるデジタル貯金箱システムを構成する貯金サーバの内部構成を機能的に表した概略図である。
図3】本発明の一実施形態にかかるデジタル貯金箱システムにおいて、ユーザがデジタル貯金箱に入金を行う際の処理の流れを示すシーケンス図である。
図4】本発明の一実施形態にかかるデジタル貯金箱システムにおいて、ユーザがデジタル貯金箱から出金を行う際の処理の流れを示すシーケンス図である。
図5】本発明の一実施形態にかかるデジタル貯金箱システムにおいて、ユーザ間でデジタル貯金箱の残高を利用した送金を行う際の処理の流れを示すシーケンス図である。
図6】本発明の一実施形態にかかるデジタル貯金箱システムにおいて、あるユーザがデジタル貯金箱の残高を利用して他のユーザの預金口座や電子マネーアカウントに対して送金を行う際の処理の流れを示すシーケンス図である。
図7】本発明の一実施形態にかかるデジタル貯金箱システムにおいて、ユーザがデジタル貯金箱を利用して、外部提携機関との間で定期的な又は約定に従った入出金を行うよう設定した際の処理の流れを示すシーケンス図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、添付図面を参照しながら、本発明のデジタル貯金箱システムを実施するための最良の形態を詳細に説明する。図1図7は、本発明の実施の形態を例示する図であり、これらの図において、同一の符号を付した部分は同一物を表わし、基本的な構成及び動作は同様であるものとする。
【0022】
システム構成
図1は、本発明の一実施形態にかかるデジタル貯金箱システムの全体構成を概略的に示す模式図である。
図1において、デジタル貯金箱システムは、貯金サーバと、金融機関システムと、電子マネー事業者システムと、ユーザ端末とがインターネット等のネットワークを介して相互通信可能に接続されることで構成されている。
【0023】
貯金サーバは、本システムのデジタル貯金箱を実現するための主要機能を担う中心的な装置であり、その詳細は後述する。
金融機関システムは、都市銀行、地方銀行、ネット銀行など(あるいは、信託銀行、証券業者、保険業者、貸金業者などを含んでいてもよい)が個々に保有する外部機関との決済等をオンラインで実行するためのコンピュータシステムである。この金融機関システムは、各所に設置されたATMとも接続されている。
電子マネー事業者システムは、現金を使用しない電子的な決済手段を提供する事業者が外部機関との決済等をオンラインで実行するためのコンピュータシステムである。ここで言う電子マネーには、ICカード、磁気カード等を利用するカード型、スマートフォン等のアプリケーションソフトウェア上で機能するアプリ型、プリペイドカード方式、その他のあらゆる物理的あるいは非物理的な電子媒体を利用する形態のものが含まれる。この電子マネー事業者システムは、各所に設置されたICカードリーダライタ端末とも接続されている。
ユーザ端末は、PC、スマートフォンその他の通信機能を有するコンピュータ端末である。
【0024】
図2は、図1に示す本システムを構成する貯金サーバの内部構成を機能的に表した概略図である。
図2において、貯金サーバは、記憶手段として、ユーザ情報データベース、貯金箱データベース、提携機関情報データベースを有し、情報処理手段として、ユーザ情報登録部、貯金箱管理部、提携機関通信部、入出金処理部、貯金奨励機能部、通信処理部を有している。
【0025】
ユーザ情報データベースは、ユーザの属性情報、認証情報、提携機関(金融機関や電子マネー事業者)における利用者登録情報、後述する貯金奨励機能のために必要な情報などを記憶している。
貯金箱データベースは、各ユーザの貯金に関する情報、例えば、貯金残高、入出金履歴、1ユーザが所有する複数の貯金箱の識別子、ユーザごと又は貯金箱ごとに設定された制限などの情報を記憶している。
提携機関情報データベースは、図1に示す金融機関システム及び電子マネー事業者システムその他の提携外部システムと連携して、資金移動をするために必要な情報を記憶している。尚、好ましくは、本システムの運営者自身が資金決済法に基づく資金移動業者の資格を有しており、提携機関情報データベースは、各種法令及び業者間取り決めに従った仕様で構成される。
【0026】
ユーザ情報登録部は、ユーザ端末からの要求を受けて、ユーザ情報の登録・編集・削除などを行う。また、ユーザ端末から本システムにアクセスする際のログイン認証などを行う。
【0027】
貯金箱管理部は、ユーザ端末からの要求を受けて、ユーザが所有する貯金箱に対する操作、例えば、入出金、残高照会、貯金箱の作成・編集・削除、制限の設定・編集・削除などを行う。
【0028】
提携機関通信部は、提携機関情報データベースの情報に基づき、図1に示す金融機関システム及び電子マネー事業者システムその他の提携外部システムと連携して、本システムとこれら外部システムとの間での資金移動の処理をする。
【0029】
入出金処理部は、上記の外部システムとの間での資金移動をする際の貯金箱データベースにおける入出金の処理をする。
【0030】
貯金奨励機能部は、ユーザ情報データベース及び貯金箱データベースに記憶された情報に基づいて、各ユーザに対して(各ユーザ端末を通じて)、貯金行動を奨励するための各種の機能を提供する。その詳細は後述する。
【0031】
通信処理部は、ユーザ端末や外部システムとの間での通信を行うための有線又は無線の通信手段を制御する。
【0032】
各種機能の詳細
以下において、上記の本発明の一実施形態にかかるデジタル貯金箱システムが実現する機能について、その情報処理手順とともに詳細に説明する。
【0033】
(1)入出金・貯金機能
図3は、本システムにおいて、ユーザがデジタル貯金箱に入金を行う際の処理の流れを示すシーケンス図である。
図3(a)において、まず、ユーザ端末は、提携機関(金融機関や電子マネー事業者)の外部システムに対し、本システムの貯金箱(当該ユーザが複数の貯金箱を有する場合そのうち指定された1つ。以下同様。)への入金指示を行う。すなわち、自己の預金口座や電子マネーアカウントから本システムの運営者(所定の資金移動業者である)に対して所定額を資金移動する指示を行う(尚、ユーザによる貯金箱の指定やメモ等の付加情報は、入金指示のメッセージに含めて送信することができる。)。提携外部システムから本システムに入金が行われると、本システムでは、提携機関通信部及び入出金処理部によりこの入金を受け付けるとともに、貯金箱管理部により、ユーザ情報データベースを参照し、入金元のユーザを特定し、貯金箱データベースにおいて、当該ユーザの貯金箱の残高を入金額分増加させる(この際、本システム利用料を控除してもよい。)。その後、貯金箱管理部により、当該ユーザに対し、入金処理結果を通知する。
【0034】
あるいは、図3(b)に示すように、ユーザ端末が本システムに対し入金指示を行い、本システムが提携機関通信部により、提携機関情報データベースを参照し、提携外部システムに対し、本システムの所定ユーザの貯金箱への入金指示を行うようにしてもよい。その後の処理手順は上記と同様である。
【0035】
図4は、本システムにおいて、ユーザがデジタル貯金箱から出金を行う際の処理の流れを示すシーケンス図である。
図4において、まず、ユーザ端末は、本システムに対し出金指示を行う。すなわち、本システムにおけるユーザの貯金箱から自己の預金口座や電子マネーアカウントに対して所定額を資金移動する指示を行う。本システムは、入出金処理部及び提携機関通信部により、提携外部システムに対し、本システムの運営者からユーザが有する所定の預金口座や電子マネーアカウントに対して所定額を資金移動する指示を行う。この出金処理結果が通知されると、本システムでは、貯金箱管理部により、貯金箱データベースにおいて、当該ユーザの貯金箱の残高を出金額分減少させる(この際、本システム利用料を控除してもよい。)。その後、貯金箱管理部により、当該ユーザに対し、出金処理結果を通知する。
【0036】
(2)ユーザ間送金機能
図5は、本システムにおいて、ユーザ間でデジタル貯金箱の残高を利用した送金を行う際の処理の流れを示すシーケンス図である。
図5において、まず、ユーザAはユーザ端末Aを用いて、本システムに対し、ユーザBへの貯金箱上での送金指示を行う。すなわち、本システムにおけるユーザの貯金箱からユーザBの自己の貯金箱に対して所定額を資金移動する指示を行う。本システムは、貯金箱管理部により、ユーザAの貯金箱の残高を送金額分減少させ、ユーザBの貯金箱の残高を送金額分増加させる(この際、本システム利用料を控除してもよい。)。その後、貯金箱管理部により、ユーザ端末A及びユーザ端末Bに対し、送金処理結果を通知する。
【0037】
図6は、本システムにおいて、あるユーザがデジタル貯金箱の残高を利用して他のユーザの預金口座や電子マネーアカウントに対して送金を行う際の処理の流れを示すシーケンス図である。
図6において、まず、ユーザAはユーザ端末Aを用いて、本システムに対し、ユーザBが有する預金口座や電子マネーアカウントへの送金指示を行う。すなわち、本システムにおけるユーザAの貯金箱から、ユーザBの預金口座や電子マネーアカウントに対して所定額を資金移動する指示を行う。本システムは、入出金処理部及び提携機関通信部により、提携外部システムに対し、本システムの運営者からユーザBが有する所定の預金口座や電子マネーアカウントに対して所定額を資金移動する指示を行う。この出金処理結果が通知されると、本システムでは、貯金箱管理部により、貯金箱データベースにおいて、ユーザAの貯金箱の残高を送金額分減少させる(この際、本システム利用料を控除してもよい。)。その後、貯金箱管理部により、ユーザ端末A及びユーザ端末Bに対し、送金処理結果を通知する。
【0038】
(3)決済機能
図7は、本システムにおいて、ユーザがデジタル貯金箱を利用して、外部提携機関との間で定期的な又は約定に従った入出金を行うよう設定した際の処理の流れを示すシーケンス図である。
図7において、まず、ユーザ端末は、本システムと提携外部システムに対し、定期入出金処理の設定を行う。例えば、ユーザが有する金融機関の預金口座や電子マネー事業者のアカウントから、毎月一定額を本システムの貯金箱に入金したり、本システムにおけるユーザの貯金箱からユーザ本人又は他人の金融機関の預金口座や電子マネー事業者のアカウントに毎月一定額を出金したり、ユーザ間で本システムの貯金箱上での定期的な定額の送金を行ったりすることができる。
【0039】
これらの送金機能及び決済機能により、銀行口座・クレジットカードを持たないユーザとの間で決済を行うことが可能となり、月額定額払いのような契約の決済にも利用できることとなる。
【0040】
(4)貯金箱管理機能
上記の基本的なデジタル貯金箱の機能に加え、本システムでは、ユーザ利便性向上を目的として、以下のような付加的機能を備える。
【0041】
(4−1)ペアレンタルコントロール機能
管理者(親など)が被管理者(子供など)による貯金箱への入出金等の操作を管理することができる。被管理者が貯金箱対し所定の被制限操作を行った場合、そのことが管理者に通知され、管理者がこれを承認又は却下することができる。管理者と被管理者の関係性や被制限操作の種類などに関する情報はユーザ情報データベースに記憶されており、これに基づき貯金箱管理部が上記の機能を実現する。
あるいは、管理者が予め、入出金額の上限、期間、期日などの条件を詳細に設定しておき、管理者に承認を求めなくとも、当該条件に基づいて被管理者による操作を制限するようにしてもよい。複数の貯金箱にそれぞれ条件を設定すれば、きめ細やかなペアレンタルコントロールが可能となる。
【0042】
(4−2)貯金箱共有機能
複数のユーザ間、例えば、家族間、友人間、団体所属者間などで同じ貯金箱を共有することができる。この場合、共有者毎に異なる権限(許可される操作の種類、入出金額の上限など)を付与してもよい。共有者や権限などの情報はユーザ情報データベースに記憶されており、これに基づき貯金箱管理部が上記の機能を実現する。サークル、同好会、PTAなどの法人格なき団体は、銀行口座を開設するのが容易でなく、また電子マネーでは共有アカウントを作成することができないのが現状であるが、本システムの共有貯金箱機能を利用すれば、細やかな権限設定、管理ができる共有の資金プールが得られることとなる。
【0043】
(4−3)入出金メモ・履歴閲覧機能
ユーザは、本システムの貯金箱において入出金を行う際、その用途などを入出金メモとして自由に記録することができる。また、ユーザが入出金履歴を閲覧することができる。これらの情報は、貯金箱データベースに記憶されており、これに基づき貯金箱管理部が上記の機能を実現する。このように、ユーザが自己の貯金・入出金行動を見直す機会を与えることで、貯金の奨励に寄与できる。
【0044】
(5)貯金奨励機能
本システムでは、さらに、貯金という行為の特性に着目し、ユーザに貯金を奨励することを目的として、以下のような付加的機能を備える。
【0045】
(5−1)貯金目標管理機能
ユーザが予め貯金目標やそのための貯金計画(例えば、毎月所定額を貯金するなど)を設定すると、これに基づき、様々な目標管理機能が提供される。具体例は下記の通りである。
・ユーザインタフェース画面に目標額、目標達成度、計画内容、計画達成度などを表示する
例えば、「目標額まであと○○円」、「今月はあと○○円貯金しよう!」などの文言を表示する。現在の達成状況を視覚的に(複数種類のアイコンなどで)表示してもよい。
・ユーザインタフェース画面に目標額、目標達成度、計画内容、計画達成度などをグラフ表示する
例えば、円グラフ、棒グラフ、折れ線グラフなどで表示する。あるいは、山登りやドライブなどに例えて、到達地点までどの程度進んでいるかを表示してもよい。
・入出金管理機能やペアレンタルコントロール機能と連動して、達成度が一定水準を下回った場合、出金に制限がかかる(あるいは制限がより厳しくなる)、管理者に通知される、出金に管理者の承認が必要となるなどの制限がかかるようにする。
・貯金の達成度によって、褒めてくれたり叱ってくれたりする機能。
・同一又は同種の目標を設定した他ユーザと目標達成状況を共有し、目標達成を競うことを可能にする。ユーザ同士で相互通信できるチャット等の機能があれば尚良い。
・システム運営者が貯金目標やそのための貯金計画を設定し、広くユーザから参加を募り、ユーザ同士で競いながら貯金目標を達成する、達成者には報酬が支払われる、といったキャンペーンの実施。
これらの機能は、ユーザ情報データベース及び貯金箱データベースに記憶された情報に基づき、貯金箱管理部及び貯金奨励機能部が実現する。
【0046】
(5−2)お金の教育機能
ユーザが設定した貯金目標やそのための貯金計画、並びにユーザの年齢等の属性に基づき、ユーザインタフェース画面にお金に関するリテラシー(マネーリテラシー)を高めるための情報を表示し、ユーザに対するお金の教育を行うことができる。
これらの機能は、ユーザ情報データベース及び貯金箱データベースに記憶された情報に基づき、貯金箱管理部及び貯金奨励機能部が実現する。
【0047】
例えば、上記の
・システム運営者が貯金目標やそのための貯金計画を設定し、広くユーザから参加を募り、ユーザ同士で競いながら貯金目標を達成する、達成者には報酬が支払われる、といったキャンペーンの実施。
において、参加ユーザの年齢等を一定範囲に制限し、かつ、その貯金目標や貯金計画に応じて、キャンペーン実施中、適時適所において、マネーリテラシーを向上させる情報をユーザに提供することで、貯金モチベーションが高まっている状態のユーザに対して、貯金の奨励とお金の教育とを同時に効果的に行うことが可能となる。
【0048】
以上、本発明のデジタル貯金箱システムについて、具体的な実施の形態を示して説明したが、本発明はこれらに限定されるものではない。当業者であれば、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、上記各実施形態における各記憶装置及び各処理機能部の構成及び機能に様々な変更・改良を加えることが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0049】
本発明のデジタル貯金箱システムは、図1〜7に示すように、コンピュータのCPU、メモリ、補助記憶装置、ディスプレイ、入力デバイス等を含むハードウェア資源上に構築されたOS、アプリケーション、データベース、ネットワークシステム等によって実現されるものであり、貯金・入出金の管理及び貯金の奨励という情報処理が上記のハードウェア資源を用いて具体的に実現されるものであるから、自然法則を利用した技術的思想に該当するものであり、コンピュータソフトウェア製造等の産業において利用することができるものである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【手続補正書】
【提出日】2021年1月22日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザの属性情報を記憶するユーザ情報データベースと、
ユーザが有する1以上の貯金箱について少なくとも貯金残高を記憶する貯金箱データベースと、
1以上の金融機関及び/又は1以上の電子マネー事業者との間で資金移動を行うために必要な情報を記憶する提携機関情報データベースと、
ユーザからのユーザ所有の貯金箱に対する操作要求を受け付け、貯金箱データベースに記憶された当該貯金箱の情報を編集する貯金箱管理部と、
ユーザからのユーザ所有の貯金箱に対する入出金指示に応じて、又は所定条件に応じて、前記貯金箱データベースの情報に基づき、ユーザ所有の貯金箱と、他の貯金箱又は金融機関若しくは電子マネー事業者との間の入出金を処理する入出金処理部と、
前記入出金処理部による入出金処理に応じて、前記提携機関情報データベースの情報に基づき、金融機関若しくは電子マネー事業者とでの資金移動を行う提携機関通信部と
前記ユーザ情報データベース及び前記貯金箱データベースに記憶された情報に基づいて、ユーザに対する貯金奨励を行う貯金奨励機能部と
を有するデジタル貯金箱システムであって、
前記ユーザ情報データベースは、ユーザごとに設定された貯金箱に対する操作の制限に関する情報を記憶しており、
前記貯金箱データベースは、貯金箱ごとに設定された貯金箱に対する操作の制限に関する情報を記憶しており、
前記貯金箱管理部は、前記貯金箱に対する操作の制限のもと、ユーザからのユーザ所有の貯金箱に対する操作要求に対応するデジタル貯金箱システムにおいて、
前記貯金箱管理部は、前記貯金箱データベースにおいて、複数のユーザで共有する貯金箱を作成し、それらのユーザごとに当該共有貯金箱に対する操作の制限を設定しており、
前記ユーザ情報データベースは、前記貯金箱を共有するユーザ間での管理者及び被管理者の関係並びにそれに基づく被管理者ユーザ所有の貯金箱に対する操作の制限に関する情報を記憶しており、
前記貯金箱管理部は、ユーザから共有の貯金箱に対して制限された操作の要求があった場合、当該操作要求の諾否を対応する管理者ユーザに求め、承諾された場合のみ当該ユーザによる当該操作を許可することを特徴とし、さらに
前記貯金奨励機能部は、ユーザに対し、当該ユーザが設定した貯金の目標額と目標達成度、又は、計画内容と計画達成度を視覚的表現で提示することを特徴とするデジタル貯金箱システム。
【請求項2】
前記貯金箱データベースは、各貯金箱の入出金履歴を記憶していることを特徴とする請求項1に記載のデジタル貯金箱システム。
【請求項3】
前記貯金箱管理部は、ユーザからのユーザ所有の貯金箱に対する入出金指示とともに、当該入出金に付随する情報の入力を受け付け、前記貯金箱データベースに記憶しており、
ユーザからのユーザ所有の貯金箱に対する操作要求として、入出金の付随情報及び/又は入出金履歴の閲覧に対応可能であることを特徴とする請求項1又は2に記載のデジタル貯金箱システム。
【請求項4】
前記貯金箱管理部は、ユーザからのユーザ所有の貯金箱に対する操作要求として、入出金、残高照会、貯金箱の作成・編集・削除、貯金箱に対する操作の制限の設定・編集・削除のうち1以上に対応可能であることを特徴とする請求項1からのいずれか1項に記載のデジタル貯金箱システム。
【請求項5】
前記貯金奨励機能部は、ユーザが設定した貯金の目標達成度又は計画達成度が一定水準を下回った場合、当該貯金箱に対する操作の制限を強化することを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載のデジタル貯金箱システム。
【請求項6】
前記貯金奨励機能部は、同一又は同種の貯金目標を設定した複数のユーザ間で、貯金の目標額、目標達成度、計画内容、計画達成度のうち1以上を相互閲覧可能とすることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載のデジタル貯金箱システム。
【請求項7】
前記貯金奨励機能部は、任意の貯金目標又は貯金計画を設定し、これを採用する複数のユーザ間で、貯金の目標達成度又は計画達成度を相互閲覧可能とすることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載のデジタル貯金箱システム。
【請求項8】
前記貯金奨励機能部は、前記設定した貯金目標又は貯金計画を達成したユーザに対し、その達成度に応じて報酬を付与することを特徴とする請求項に記載のデジタル貯金箱システム。