【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 舗装 2019 Vol.54における公開 令和1年6月1日に発行した舗装 2019 Vol.54において、補修計画策定装置を公開した。 土木学会令和元年度全国大会における公開 令和1年9月5日、香川大学幸町キャンパスで開催された土木学会令和元年度全国大会において、補修計画策定装置を公開した。 ハイウェイテクノフェアにおける公開 令和1年10月8日及び同月9日、東京ビッグサイトで開催されたハイウェイテクノフェアにおいて、補修計画策定装置を公開した。 新技術交流イベントin静岡2019における公開 令和1年10月30日、グランシップ大ホール海で開催された新技術交流イベントin静岡2019において、補修計画策定装置を公開した。 第33回日本道路会議における公開 令和1年11月8日、都市センターホテルで開催された第33回日本道路会議において、補修計画策定装置を公開した。 橋梁・トンネル技術展における公開 令和1年11月27日乃至同月29日、幕張メッセで開催された橋梁・トンネル技術展において、補修計画策定装置を公開した。
【課題】 予算を考慮してどの道路構造物(有形物)の補修を優先させるべきかを定めて有形物の補修計画を策定し、道路管理業務を効果的に軽減する補修計画策定装置を提供する。
【解決手段】 補修計画策定システムは、道路を走行しながら有形物及びその周囲の地形や形状をその表面上の位置情報とともに測定し、その測定結果を点群データとして取得する測定車両10と、有形物等の形状を示す点群データ及び有形物の構造や性質等に関する有形物データを管理し、各有形物の補修計画を策定する補修計画策定装置20と、道路管理者により操作される管理者端末30と、有形物を利用する利用者により操作される利用者端末40とを有して構成される。
【発明を実施するための形態】
【0019】
<第1の実施の形態>
(第1の実施の形態の構成)
(1)補修計画策定システムの全体構成
本実施の形態における補修計画策定システムは、道路及びその周辺の構造物等(以下、道路及び構造物等をまとめて「有形物」という。)が損傷又は劣化した際の補修計画を策定し、道路管理事業を行う道路管理者に提供するものである。
なお、本実施の形態において、有形物とは、道路及び道路周辺における構造物をいい、例えば、道路(線路、水路等も含む)、道路標識、街路灯、電柱、信号機、歩道、側溝、ガードレール、中央分離帯、トンネル、橋脚等の構造体等をいう。
【0020】
図1は、本発明の第1の実施の形態における補修計画策定システムの構成を示す図である。
図に示すように、補修計画策定システムは、道路を走行しながら有形物及びその周囲の地形や形状をその表面上の位置情報とともに測定し、その測定結果を点群データとして取得する測定車両10と、当該有形物等の形状を示す点群データを測定車両10から取得して管理するとともに、当該有形物の構造や性質等に関する有形物データ等を管理し、各有形物の補修計画を策定する補修計画策定装置20と、道路管理者により操作される端末であって当該補修計画策定装置20からネットワークを介して上記点群データ及び有形物データを取得し、表示する管理者端末30と、有形物を利用する利用者により操作される端末であって有形物の補修を要請する際に用いられる利用者端末40とを有して構成される。
以下、上記補修計画策定システムを構成する測定車両10、補修計画策定装置20、管理者端末30及び利用者端末40の構成について、さらに詳細に説明する。
【0021】
(2)測定車両10の構成
測定車両10は、道路を走行中又は停車中に、有形物及びその周囲の建造物や設置物について点群データを取得するとともに、撮影を行って画像データを取得する装置を搭載した車両である。
図2は、本発明の第1の実施の形態における測定車両10の構成を示す図であり、
図3は、その測定車両10の外観を示す図である。
図2,3に示すように、測定車両10は、CPU等から構成され測定車両10における点群データ及び画像データの取得動作全体を制御する制御部11と、ハードディスクやメモリ等から構成され取得した点群データ及び画像データ等を格納する情報格納部12と、測定車両10の走行中又は停車中に道路周囲にレーザを照射するとともに、その反射光を受光して点群データを取得するレーザスキャナ13と、測定車両10の現在位置情報を取得するGPS(Global Positioning System)14と、測定車両10の車体の姿勢を示す情報を取得するIMU(Inertial Measurement Unit)15と、計時を行う計時部16と、道路及びその周囲の風景を撮影するカメラ17と、測定車両10の走行距離を計測するオドメータ18と、ネットワーク又は情報記録媒体と接続して情報の入出力を行う情報入出力部19とを有して構成される。
【0022】
本実施の形態において、測定車両10は、いわゆるモービルマッピングシステムの原理を利用して走行中又は停車中に道路及びその周囲の点群データを取得するものである。
測定車両10が道路を走行中又は停車中、レーザスキャナ13は、道路周囲の対象物(有形物、道路周囲の建造物・設置物を含む)にレーザを発射し、その反射光を受光する。このとき、レーザスキャナ13は、発射時・受光時の時刻を計時部16から取得得るとともに、発射方向(角度)を検出して点群データを取得する。
また、情報格納部12にはレーザスキャナ13の測定車両10の車体との相対的な位置・照射角度・受光角度の関係等の情報が格納されており、測定車両10の現在位置に基づいて、レーザスキャナ13の現在位置及び姿勢等が特定可能に構成されている。
【0023】
カメラ17は、上記レーザスキャナ13による点群データの取得と同時に、道路周囲の風景等をカラーで撮影し、画像データを取得する。
また、情報格納部12にはカメラ17の撮影角度、画角、測定車両10の車体との相対的な位置・角度の関係等の情報が格納されており、測定車両10の現在位置に基づいて、カメラ17の現在位置及び撮影角度(姿勢)等が特定可能に構成されている。
【0024】
GPS14及びオドメータ18は、測定車両10の車体の現在位置を計測する。
IMU15は、ジャイロセンサと加速度センサとで構成され、測定車両10の車体の姿勢を計測する。ジャイロセンサは測定車両10の3軸方向xyzそれぞれの角速度を検出し、加速度センサは測定車両10の3軸方向xyzそれぞれの加速度を検出する。
IMU15は、測定車両10の3軸方向xyzそれぞれの角速度と加速度とを示すデータを慣性データとして生成する。慣性データには、計時部16から取得した検出時刻(取得時刻)毎に角速度と加速度とが設定されている。
【0025】
上記取得された点群データ及び画像データは、情報格納部12に格納される。
格納後、情報入出力部19により上記点群データ及び画像データは補修計画策定装置20に出力される。
【0026】
(3)補修計画策定装置20の構成
図4は、本発明の第1の実施の形態における補修計画策定装置20の構成を示す図である。
補修計画策定装置20は、道路管理者等により管理されるサーバ装置であって、上述した測定車両10から点群データ及び画像データを取得するとともに、これら取得したデータに基づいて各有形物の補修計画を策定する。
【0027】
補修計画策定装置20は、CPU等から構成され補修計画策定装置20全体の動作を制御する制御部21と、ハードディスクやメモリ等から構成され入力した情報やネットワークを介して受信した情報等を格納する情報格納部22と、ネットワークを介して情報の送受信を行う通信部23とを有して構成される。
【0028】
情報格納部22は、各有形物個々の基本的な各項目の情報を含む有形物基本データを管理するデータベースである有形物DB221と、損傷ランクを決定される際に用いられるテーブルである損傷ランクTB222とを格納する。
また、情報格納部22は、点群データと、画像データと、点群データに関連するデータと、地図データと、有形物データとを格納する。
上記有形物DB221において管理されている各有形物の有形物基本データと有形物データとは、有形物個々の識別情報である有形物IDに対応付けられている。
補修計画策定装置20は、管理者端末30からの要求に応じて、上記点群データ、有形物データ及び有形物基本データ等を提供する。
【0029】
点群データとは、測定車両10がレーザスキャナ13により照射したレーザ光の反射光を受光した場合、その反射したと推定される位置に点状にモデル化した物体が存在したと認識したときの当該点の空間座標情報(X,Y,Z)を含む情報をいう(以下、単に「座標情報」ともいう。)。
その点の集合を点群といい、有形物等の物体は点群で表現される。すなわち、有形物の空間位置は、複数の点群データにより定めることができる。
【0030】
点群データは、画面上では微小な点の集合である点群で表示される。あらゆる視点及び拡大縮小率での表示が可能であり、例えば、道路を走行する自動車の搭乗者の視点からの立体画像で表示することもできるし、垂直上方からの見た平面地図状の画像を表示することもできる。
【0031】
画像データは、測定車両10がカメラ17により撮影した画像のデータであり、動画及び静止画を含む。
【0032】
点群データに関連するデータは、点群データを編集して生成されるデータであり、例えば、後述するカラー点群データ及び重畳画像データ等がある。
【0033】
地図データは、各地点、各領域の地図画像と、緯度経度情報と、住所情報とが互いに対応付けられている地図のデータであり、各有形物の位置が示されている。
制御部21は、緯度経度情報又は住所情報が入力されると、当該入力された緯度経度情報又は住所情報に対応付けられている地点又は領域を含む地図画像を所定の縮尺で抽出し、出力する。
【0034】
有形物データは、有形物の性質等を示すデータである。
有形物データは、測定車両10が取得した全点群データのうち補修計画策定装置20により画像認識された有形物個々を表す点群データである有形物点群データと、有形物の外観の画像及び有形物の設置場所周辺の風景画像を含む有形物画像データと、有形物の位置を地図上で示した地図データである有形物地図データとを含む。
【0035】
図5は、本発明の第1の実施の形態における有形物DB221のデータ構成の一例を示す図である。また、
図6は、その有形物DB221が管理する項目の1つである「損傷指標」を詳細に示した図である。
図の例では、有形物DB221は、有形物の種類と、有形物の位置情報と、有形物の損傷ランクと、有形物の損傷指標と、有形物の製造年月日と、有形物の最終補修年月日と、有形物のサイズ情報と、有形物の補修単価と、有形物の所定距離内に存在する他の有形物の有形物IDと、有形物に対する補修要請情報とを、各有形物を識別する有形物IDに対応付けて管理している。
【0036】
以下、上記有形物DB221で管理される有形物基本データの各項目について説明する。
【0037】
(a)有形物の「種類」
「種類」は、有形物の種類を示す項目である。
「種類」は、例えば、道路、トンネル、橋脚、道路標識、街路灯、電柱、信号機、歩道、側溝、ガードレール、中央分離帯等がある。
また、「種類」は、各種類の分類をさらに細分化した下位分類を含むようにしてもよい。
【0038】
(b)有形物の「位置情報」
有形物の位置情報には、例えば、有形物の位置の緯度経度情報、住所情報等が含まれる。
「緯度経度情報」は、有形物が設置、建設又は敷設等されている位置の緯度経度を示す。
例えば、有形物の領域又は全体形状に基づいて、有形物の中心又は重心を計算し、その中心部分又は重心部分の緯度経度を代表値として「緯度経度情報」として登録されていてもよい。
「住所情報」は、有形物が設置、建設又は敷設等されている位置の住所等を示す。
住所情報は、通常の「東京都千代田区・・・」のような住所の他、「高速3号渋谷線」等のような路線名及び「6.1」等のようなキロポストで表してもよい。
【0039】
(c)「損傷指標」
損傷指標は、一般的に有形物の損傷の程度を表す指標である。
本実施の形態では、一例として、損傷指標は、道路舗装の損傷の程度を表す指標であるMCI(Maintenance Control Index)及び/又はIRI(International Roughness Index)が用いられている。
後述のように、本実施の形態では、補修計画策定装置20は、損傷指標を用いて、各有形物の損傷ランクを決定し、優先的に損傷の補修を行うべき有形物を特定する。
なお、損傷指標は、有形物の損傷の程度を表す指標であれば、上記MCI及びIRIに限定されない。
その損傷ランクの決定方法の詳細については後述する。
【0040】
(d)「損傷ランク」
損傷ランクは、各有形物の損傷の程度を表す指標である。
上述のように、補修計画策定装置20は、損傷ランクを上記損傷指標及び損傷ランクTB222に基づいて決定する。その補修優先ランクの決定方法の詳細については後述する。
損傷ランクは、後述の例では、A〜Dの4段階に設定されており、Aが最も損傷の程度が高く、B,Cの順に段階的に損傷の程度が低く設定されている。Dは致命的な損傷が存在しない。
補修計画策定装置20は、後述の損傷有形物画面情報における、地図上で各有形物に該当する領域において損傷ランクの表示の設定を行う。
例えば、補修計画策定装置20は、各損傷ランクに異なる色を対応付け、上記各有形物に該当する領域を当該対応付けられた色で表示するようにしてもよい。このように各損傷ランクを色別で表示することにより、道路管理者は、損傷有形物画面情報を閲覧して、損傷ランクの高く、補修の優先度の高い有形物を容易に把握することが可能となる。
【0041】
(e)「有形物の製造(設置・建設・敷設)年月日及び最終補修年月日」
「製造年月日」は、各有形物が設置、建設又は敷設等がされた時期を示す項目である。
また、「最終補修年月日」は、有形物の製造後に補修された最新の時期を示す項目である。
道路管理者は、「製造年月日」又は「最終補修年月日」からの経過期間に基づいて、各有形物の補修、交換又は検査の時期の目安にすることができる。
【0042】
(f)「有形物のサイズ情報」
「サイズ情報」は、有形物の長さや幅等のサイズを示す項目である。
例えば、有形物が道路である場合には、その道路の該当区間のその幅と長さ又は面積等を示す。
「サイズ情報」は、道路管理者等が所定の測量機器等を用いて測定したものであってもよいし、上述の有形物点群データの座標情報に基づいて算出したものであってもよい。
【0043】
(g)「有形物の補修単価」
「補修単価」は、補修単位あたりの補修費用を示す項目である。
例えば、道路舗装の補修単価は、1m
2あたり1万円の補修費用である。
【0044】
(h)「有形物の所定距離内に存在する他の有形物の有形物ID」
「有形物の所定距離内に存在する他の有形物の有形物ID」は、各有形物から所定距離内に位置する他の有形物を示す項目である。
例えば、ある有形物に隣接する他の有形物がある場合、より具体的には、道路の連続する区間同士がある場合、上記項目を管理することにより、これら連続区間の道路同士を対応付けることができる。
このように、有形物DB221は、所定距離内に位置する有形物を対応付けて管理することにより、連続する複数の有形物をまとめて補修する計画を策定することができ、補修工事の費用及び労力の軽減が可能となる。
【0045】
(i)「補修要請情報」
「補修要請情報」は、利用者が投稿した、有形物の損傷要請に関するコメント内容及び各有形物に対する当該投稿の回数を示す項目である。
例えば、利用者は有形物の1つである道路上において自動車を運転している際、異音を聞こえた場合等には、利用者端末40を用いて、当該道路に関する上記損傷要請に関するコメントを入力して補修計画策定装置20へ送信する。
補修計画策定装置20は、上記損傷要請に関するコメントを受信すると、有形物DB221における該当する有形物IDに対応付けて、「補修要請情報」として登録する。また、補修計画策定装置20は、補修要請のコメントの回数を1増加させて併せて上記「補修要請情報」として登録する。
【0046】
図7は、本発明の第1の実施の形態における損傷ランクTB222のデータ構成の一例を示す図である。
図の例では、損傷ランクTB222では、損傷ランクはA〜Dの4段階で設定されており、Aが最も損傷の程度が高く、B,Cの順に段階的に損傷の程度が低く設定されている。Dは致命的な損傷が存在しない。
図の例では、損傷ランクA,B,C,Dは、それぞれ「赤」、「黄」、「緑」、「青」と異なる色が対応付けられており、管理者端末30は、損傷有形物画面情報を補修計画策定装置20から受信すると、当該損傷有形物画面情報において、各損傷ランクの有形物を、各対応付けられた色で表示する。
【0047】
上述のとおり、補修計画策定装置20は、損傷指標に基づいて損傷ランクを決定する。
図の例では、損傷ランクTB222は、損傷ランクの決定に用いられる損傷指標として、MCI及びIRIを管理している。
損傷ランクTB222において、MCI及びIRIは、その数値の範囲が各損傷ランクに対応付けられている。
図の例では、損傷ランクTB222において、MCIが「2未満」、IRIが「8以上」の範囲は損傷ランク「A」に対応付けられており、MCIが「2以上4未満」、IRIが「8以上」の範囲は損傷ランク「B」に対応付けられており、MCIが「4以上6未満」、IRIが「3以上8未満」の範囲は損傷ランク「C」に対応付けられており、MCIが「6以上」、IRIが「0以上3未満」の範囲は損傷ランク「D」に対応付けられている。
例えば、補修計画策定装置20は、任意に設定された損傷指標の1つに基づき、当該損傷指標の数値に該当した損傷ランクに決定するようにしてもよいし、複数の損傷指標の数値に基づきそれぞれ損傷ランクを仮に決定し、これら仮に決定した損傷ランクのうち最も高い又は低いものを最終的に損傷ランクとして決定するようにしてもよい。
この損傷ランクの決定方法は、上記方法に限定されず、他の方法により決定してもよい。また、補修計画策定装置20は、図の例に示した以外の損傷指標に基づいて損傷ランクを決定するようにしてもよい。
【0048】
(4)管理者端末30の構成
図8は、本発明の第1の実施の形態における管理者端末30の構成を示す図である。
管理者端末30は、道路管理者により操作される情報処理装置である。
例えば、管理者端末30は、スマートフォン、タブレット端末、ウェアラブル端末、携帯電話、PDA、PHS、PC等の情報処理装置である。
【0049】
管理者端末30は、CPU等から構成され管理者端末30全体の動作を制御する制御部31と、ハードディスクやメモリ等から構成され入力した情報やネットワークを介して受信した情報等を格納する情報格納部32と、ネットワークを介して情報の送受信を行う通信部33と、ディスプレイ等から構成され情報を画面表示する表示部34と、キーやマウス等から構成され情報の入力等を行う操作部35とを有して構成される。
【0050】
道路管理者は、管理者端末30を用いて、有形物の位置情報又は有形物ID等の検索条件を設定したうえで、各有形物の有形物基本データの検索を行うことができる。
例えば、道路管理者は、管理者端末30の操作部35を操作して、「東京都中央区」等の大まかな位置情報を入力して、当該「東京都中央区」の地図を表示部34上に表示させ、当該地図上に表示された有形物にマウス(操作部35)を用いてカーソルを合わせる等して有形物を指定して、補修計画策定装置20に対して有形物基本データの取得を要求すると、補修計画策定装置20は当該取得要求に応じて、当該指定された有形物の有形物基本データを有形物DB221から抽出し、管理者端末30へ送信する。
管理者端末30は上記補修計画策定装置20から受信した有形物基本データを表示し、道路管理者は、その表示された有形物基本データの内容を確認したり、有形物基本データの各項目の変更又は追記を行ったりすることができる。
【0051】
有形物に損傷が発生している場合には、その損傷の程度に応じて上記地図上の有形物に彩色される等、特徴的な表示がされる。道路管理者は、その表示を確認して、有形物の補修計画を策定することができる。
【0052】
また、道路管理者は、管理者端末30を用いて、有形物の補修工事の予算を入力し、補修計画策定装置20へ送信すると、補修計画策定装置20は、当該予算内で優先的に補修工事を行うべき有形物を抽出して補修計画を策定し、当該補修計画の内容が表示された補修計画画面情報を管理者端末30へ送信する。
管理者端末30は上記補修計画策定装置20から受信した補修計画画面情報を表示し、道路管理者は、その表示された補修計画画面情報の内容を確認して、有形物の補修工事を効率よく施工するとともに、有形物の損傷に起因する事故等を未然に防ぐことができる。
【0053】
(5)利用者端末40の構成
図9は、本発明の第1の実施の形態における利用者端末40の構成を示す図である。
利用者端末40は、利用者により操作される情報処理装置である。
例えば、利用者端末40は、スマートフォン、タブレット端末、ウェアラブル端末、携帯電話、PDA、PHS、PC等の情報処理装置である。
【0054】
利用者端末40は、CPU等から構成され利用者端末40全体の動作を制御する制御部41と、ハードディスクやメモリ等から構成され入力した情報やネットワークを介して受信した情報等を格納する情報格納部42と、ネットワークを介して情報の送受信を行う通信部43と、ディスプレイ等から構成され情報を画面表示する表示部44と、キーやマウス等から構成され情報の入力等を行う操作部45とを有して構成される。
【0055】
利用者は、利用者端末40を用いて、有形物の位置情報等の検索条件を設定したうえで、有形物の補修の要請を行うことができる。
例えば、利用者は、自動車を運転している際に、道路のわだちによって走行が不安定になった経験があった場合、利用者端末40の操作部45を操作して、その道路の大まかな位置情報を入力して、当該道路の位置情報に応じた地図を表示部44上に表示させ、当該地図上に表示された有形物にマウス(操作部45)を用いてカーソルを合わせる等して有形物を指定して、補修計画策定装置20に対して有形物の補修の要請を行うための補修要請情報を送信すると、補修計画策定装置20は当該補修要請情報に応じて、有形物DB221における当該指定された有形物の有形物基本データに、当該補修要請情報を追記する。
道路管理者は、管理者端末30を用いて、上記補修要請情報を閲覧することができ、当該有形物を優先的に補修する等、有形物の補修計画の策定の際に参考にすることができる。
また、補修計画策定装置20は、上記補修要請情報に基づいて、有形物の補修優先ランクを変更する。具体的には、補修計画策定装置20は、補修要請の多い有形物については補修優先ランクを上昇させ、優先的に補修を行うよう補修計画を生成し、道路管理者に提供する。
【0056】
(第1の実施の形態の動作)
〔1〕動作の概略
図10は、本発明の第1の実施の形態における補修計画策定システムによる全体動作の流れを示すフローチャートである。
図に示すように、まず、測定車両10は道路を走行しながら地形や有形物にレーザを照射させて測定を行い、有形物の点群データ(有形物点群データ)を取得するとともに、地形や有形物を撮影し、有形物の画像データ(有形物画像データ)を取得する(ステップS1)。
【0057】
次に、補修計画策定装置20は、測定車両10から点群データ及び画像データを取得し、これら取得したデータに基づいて、点群データに関連するデータ(後述する重畳画像データ等)を生成する(ステップS2)。
【0058】
次に、補修計画策定装置20は、上記取得した点群データについて、各有形物について画像認識を行い、各有形物個々の有形物点群データ及び有形物画像データを抽出し、これら抽出したデータを対応付けて、各有形物の基本的なデータ(有形物基本データ)を生成する(ステップS3)。
【0059】
次に、補修計画策定装置20は、上記有形物点群データ及び有形物画像データに基づいて、各有形物の損傷を検出し、各有形物の損傷ランクの決定する(ステップS4)。
【0060】
次に、補修計画策定装置20は、有形物基本データの一部を登録し、更新する(ステップS5)。
例えば、ステップS5において、補修計画策定装置20は、有形物基本データにおける有形物の製造年月日及び最終補修年月日等の各項目を追加登録する。
【0061】
次に、補修計画策定装置20は、各有形物について、上記損傷ランクに基づいて補修優先ランクを決定し、当該決定した補修優先ランクに基づいて有形物の補修計画を策定する(ステップS6)。
【0062】
このように、補修計画策定装置20は、各有形物の損傷を検出して、その損傷の度合い等に応じて、どの有形物を優先的に補修すべきかを示す有形物の補修計画を策定するので、限られた予算の中で、有形物の補修を適切に進めることが可能となる。
以下、上記ステップS1〜6の各動作について詳細に説明する。
【0063】
〔2〕点群データ等の取得(ステップS1)
(1)点群データの取得
以下、測定車両10が道路を走行中又は停車中に点群データを取得するときの動作について説明する。
【0064】
測定車両10は、走行中又は停車中に、自車両に備えられているレーザスキャナ13を用いて、道路周囲にレーザを照射する。このとき、レーザの光軸は仰俯角及び方位角を変えることにより垂直方向及び水平方向に走査され、走査範囲内にて微小角度ごとにレーザパルスが発射される。そして、レーザスキャナ13は、その発射したレーザの反射光を受光する。
また、制御部11は、このレーザの発射時刻及び対象物の反射光の受光時刻を計時部16から取得し、このレーザの発射から反射光を受光するまでの時間に基づいてレーザスキャナ13と対象物との間の距離を計測する。
さらに、レーザスキャナ13は、受光した反射光の光強度を測定する。
【0065】
また、測定車両10の走行中又は停車中には、レーザスキャナ13からレーザの発射方向の情報、GPS14又はオドメータ18により測定車両10の現在位置情報、IMU15により測定車両10の車体の姿勢を示す情報が、それぞれ取得される。
これら各情報は、計時部16により計時される時刻情報とそれぞれ対応付けられ、情報格納部12に格納される。
【0066】
レーザスキャナ13の位置・姿勢は、測定車両10の位置・姿勢と一定の関係にあるから、制御部11は、測定車両10の位置・姿勢及びレーザの発射方向の情報に基づいて、レーザスキャナ13の位置・姿勢を求める。
制御部11は、上記レーザスキャナ13と対象物との間の距離、レーザスキャナ13の位置・姿勢を示す情報といった各情報に基づいて、レーザパルスを反射した対象物を構成する各座標点の空間座標(三次元座標)を表す点群データを算出する。
例えば、上記各座標点の座標の「1」が「10km」を示すといったように、座標は実際の距離と変換可能な数値であるものとする。
点群を構成する各座標点の点群データの空間座標情報は、GPS14により得られた緯度経度情報と対応付けられる。
また、点群データの空間座標情報は、緯度、経度及び海抜からの標高により表されてもよい。
【0067】
図11は、本発明の第1の実施の形態における点群データの一例を示す図である。
図に示すように、情報格納部12には、点群データとして、測定した各座標点(の空間座標情報)(X,Y,Z)と、その受光した反射光の光強度とがそれぞれ対応付けられて格納されている。
【0068】
(2)点群データの立体画像化
補修計画策定装置20は、上記のように取得された点群データを利用して、以下のように点群データによる立体画像を生成することができる。
図12は、本発明の第1の実施の形態における空間座標を平面に投影し平面座標を求めることを説明するための図である。
図に示すように、補修計画策定装置20は、視点の座標を(Px,Py,Pz)としたときに、点群データの各座標点(X,Y,Z)を、投影座標点(x,y)に投影した座標を求める。
このようにして、補修計画策定装置20は、点群データの各座標点(X,Y,Z)に基づいて、ある視点から見た風景の立体画像を生成することができる。
図13は、本発明の第1の実施の形態における点群データによる立体画像の表示例を示す図である。
図に示す例では、道路を走行する自動車の搭乗者に近い視点から見た風景の立体画像が点群により表現されており、道路管理者は、撮影画像と同様に、当該点群データによる風景画像を確認することにより、有形物等の状態を容易に把握することができる。
【0069】
(3)点群データの平面地図化
また、上述のとおり、点群データの空間座標を平面に投影する際、地上垂直方向からの視点から見た任意の表示倍率の点群による画像を表示させることにより、当該点群の画像を通常の平面地図と同様に利用することもできる(以下、当該平面地図状に表される点群データを「点群地図情報」という)。
【0070】
(4)画像データの取得
測定車両10は、道路上を走行中又は停車中に、上記点群データに加え、カメラ17で道路周囲を撮影し、画像データ(カラー)を取得する。
制御部11は、その画像データとともに、その撮影した時刻を計時部17から取得し、これらを対応付けて情報格納部12に格納する。
また、制御部11は、カメラ17の位置・姿勢は、測定車両10の位置・姿勢と一定の関係にあることから、測定車両10の位置・姿勢の情報に基づいて、上記画像撮影時のカメラ17の位置・姿勢を求める。
【0071】
図14は、本発明の第1の実施の形態における画像データの一例を示す図である。
図の例では、撮影された画像データ(撮影画像)を、撮影時のカメラ17の位置・姿勢に対応付けられて情報格納部12に格納されている。
図15は、本発明の第1の実施の形態における画像データの画像表示例を示す図である。
図に示すように、画像データは、通常のカメラ等で撮影された静止画又は動画を表す。
【0072】
上記のように、収納装置10が点群データ及び画像データを取得した後、補修計画策定装置20は、これら点群データ及び画像データをネットワークを介して、又は情報記録媒体を介して測定車両10から取得する。
【0073】
〔3〕点群データに関連するデータの生成(ステップS2)
(1)重畳画像データの生成
補修計画策定装置20は、測定車両10から取得した点群データ及び画像データに基づいて、画像データに点群データを重畳したデータである重畳画像データを生成する。
【0074】
補修計画策定装置20は、画像データに含まれる撮影画像及び撮影時のカメラ17の位置・姿勢・画角に基づいて、撮影画像の視野内にある点群データの各座標点(X,Y,Z)を抽出する。
以下、
図12を用いて、重畳画像データの生成について説明すると、補修計画策定装置20は、視点の座標を(Px,Py,Pz)としたときに、抽出した各座標点(X,Y,Z)を、撮影画像の座標系(投影座標点)(x,y)に投影した座標を求める。
このように、点群データにおける各座標点(X,Y,Z)を、撮影画像の座標系(x,y)に投影した座標を求めたことから、各座標点(X,Y,Z)は、撮影画像に投影された投影座標点(x,y)と対応付けられる。
補修計画策定装置20は、これを利用して、撮影画像上の各投影座標点(x,y)に対して、これに対応する各座標点の座標(X,Y,Z)を重畳した画像データ(重畳画像データ)を作成することができる。
【0075】
このように、補修計画策定装置20は、上記点群データの座標点と、撮影画像(画像データ)の投影座標点とを対応付けることにより、点群データの座標点が指定されると、これに対応した画像データを抽出することができるようになる。
【0076】
図16は、本実施の形態における重畳画像データの一例を示す図である。
図の例では、画像データ(撮影画像)と、その画像データ(撮影画像)の各投影座標点(x,y)に各座標点の座標(X,Y,Z)とが対応付けられて補修計画策定装置20に格納されている。
また、補修計画策定装置20は、各重畳画像データを、撮影画像ごとに管理することが可能であり、各重畳画像データに後述の有形物IDを対応付けて格納することにより、道路管理者は、調べたい有形物の形状や現況等を容易かつ迅速に検索することが可能となる。
また、空間座標を平面に投影する際、視点の座標を変更することにより、あらゆる角度から見た任意の表示倍率の重畳画像データの画像を生成することができる。例えば、運転者の視点からの画像を生成することもできるし、垂直方向上方の視点からの画像(鳥俯瞰図)を生成し通常の平面地図と同様に利用することもできる。
【0077】
(2)地図データと点群データの紐付け
上述のとおり、補修計画策定装置20は、各地点に対して地図座標点の座標(X,Y)の情報が対応付けられている地図データを格納している。この地図座標点の各座標(X,Y)は点群データの各座標点(X,Y,Z)のXY座標と同一又は変換可能に設定されている。以下、本実施の形態では両座標のXY座標は一致しているものとして説明を進める。
【0078】
補修計画策定装置20は、各座標点の座標(X,Y)に基づいて、上記点群データと地図データとを紐付けて格納する。
これにより、補修計画策定装置20は、地図データ上で地図座標点(X,Y)が指定されると、その地図座標点(X,Y)に紐付けられている点群データの座標点(X,Y,Z)を抽出し、その抽出した座標点(X,Y,Z)及びその座標点から所定距離内の各座標点(X,Y,Z)を含む点群データを表示することができる。
【0079】
また、上記のとおり、本実施の形態における補修計画策定システムにおいては、点群データと画像データの紐付けもされることから、各座標点の座標(X,Y)をキーにして、点群データ、画像データ及び地図データを紐付けすることができ、さらに、その座標(X,Y)に位置する有形物の属性データを管理者端末30により入力し、紐付けることができる。
【0080】
このように、補修計画策定装置20は、道路管理事業に係る各種データを各座標点の座標(X,Y)をキーにして紐付けして管理するので、各種データの総合窓口として道路管理事業における点検業務の効率化を支援し、例えば、地理情報システム(GIS:Geographic Information System)のプラットフォームとしての機能を果たすことができる。
【0081】
また、道路管理者は、管理者端末30の操作部35を用いて、有形物の名称や住所等を検索キーとして入力し、補修計画策定装置20へ送信することにより、補修計画策定装置20からその検索結果である有形物の有形物データを迅速に取得することができ、特に緊急時のリードタイムの短縮が可能となる。
【0082】
〔4〕有形物基本データの生成(ステップS3)
(1)有形物の抽出
図17は、本発明の第1の実施の形態における補修計画策定システムによる有形物の認識動作の流れを示すフローチャートである。
以下、本図に沿って、説明を進める。
【0083】
補修計画策定装置20は、測定車両10から取得した点群データを情報格納部22に格納している。
補修計画策定装置20の制御部21は画像認識を行い、情報格納部22に格納されている点群データによる全体画像から、点群データによる有形物の画像を表す有形物点群データを抽出し、その有形物の種類を特定する(ステップS101)。
【0084】
ステップS101において、制御部21が点群データによる全体画像から抽出する特徴量は、例えば、対象物の局所情報に対するSIFT(Scale−Invariant Feature Transform)特徴量やSURF(Speeded Up Robust Features)特徴量等であるとしてもよい。
情報格納部22には、各種類の有形物の点群データによる画像モデルの特徴量(特徴点)データが有形物の種類の情報に対応付けられて格納されている。
制御部21が、この各種類の有形物の画像モデルの特徴量データを利用して、例えば、DNN(Deep Neural Network)又はCNN(Convolutional Neural Network)等といったニューラルネットワークを用いたディープラーニングにより画像認識を行ってもよい。
この画像認識の方法については、ディープラーニングを用いた一般的な画像認識の方法を用いるとしてよく、その詳細な内容については説明を省略する。
【0085】
また、制御部21は、点群データによる画像の画像認識に代えて、有形物を構成する点群の空間座標点の座標情報について、予め情報格納部22に格納されている各種類の有形物モデルの空間座標点の座標情報の相対的位置の特徴量データ(特徴量ベクトル)を利用して、ディープラーニングにより有形物の認識を行うようにしてもよい。
【0086】
ステップS101において、制御部21は、所定領域における点群データによる画像のうち、例えば、道路、道路標識又は街路灯等の有形物の特徴量データを用いて、各有形物の画像認識を行い、道路、道路標識又は街路灯等を構成する点群データ(有形物点群データ)を抽出する。
ここで、抽出された有形物点群データには、各有形物を構成する各座標点の座標情報及び緯度経度情報が含まれる。
【0087】
制御部21は、ステップS101における画像認識の際、上記抽出した有形物と特徴量データが合致した有形物モデルの種類を特定する。制御部21は、この特定した有形物の種類の情報を有形物点群データに対応付ける(ステップS102)。
【0088】
上述の重畳画像データの生成処理において、点群データにおける各座標点(X,Y,Z)と、撮影画像(測定車両10による撮影画像の画像データ)に投影された投影座標点(x,y)とが対応付けられている。
制御部21は、これを利用して、上記有形物点群データにおける座標点に対応付けられている上記撮影画像に投影された投影座標点を特定し、上記特定した投影座標点を含む撮影画像である有形物画像データを抽出する(ステップS103)。
ここで抽出された有形物画像データは、上記抽出された有形物の画像を含む。
【0089】
次に、制御部21は、情報格納部22に格納されている地図データから、上記抽出した有形物の有形物点群データの緯度経度情報に該当する有形物地図データを抽出する(ステップS104)。
ここで、例えば、制御部21は、有形物点群データの緯度経度情報を含む所定範囲の地図領域の地図データを有形物地図データとして抽出する。
【0090】
次に、上記抽出した有形物点群データ、有形物画像データ及び有形物地図データに対して、各有形物を識別するための固有の有形物IDを付与し、これら有形物点群データ、有形物画像データ及び有形物地図データを互いに対応付ける(ステップS105)。
【0091】
次に、制御部21は、上記付与された有形物IDごとに、有形物基本データを作成する(ステップS106)。
補修計画策定装置20の情報格納部22は、複数の有形物基本データを、有形物DB221において管理する。
また、情報格納部22は、各有形物基本データを、同一の有形物IDに対応付けられた上記有形物点群データ、有形物画像データ及び有形物地図データと紐づけて格納する。
以上で、動作を終了する。
【0092】
ステップS106の段階では、有形物基本データの各項目等のうち有形物ID以外の各項目は空白である。
【0093】
このように、補修計画策定装置20は、有形物基本データ、有形物点群データ、有形物画像データ及び有形物地図データを互いに対応付けるので、各有形物ごとに、その損傷の程度、その補修の優先度、画像及び設置位置が示された地図の情報を総合して管理することができるようになる。
【0094】
〔5〕損傷ランクの決定(ステップS4)
図18は、本発明の第1の実施の形態における補修計画策定システムによる損傷ランクの決定動作の流れを示すフローチャートである。
以下、本図に沿って説明を進める。
【0095】
まず、補修計画策定装置20の制御部21は、有形物基本データに対応付けられている有形物点群データの緯度経度情報を、有形物基本データの一部である有形物の位置情報として有形物DB221に記録する(ステップS201)。
上記有形物点群データの緯度経度情報とは、当該有形物点群データを構成する点群の座標情報の全部又は一部(代表値)そのもの又は対応付けられている緯度経度情報である。
【0096】
次に、補修計画策定装置20の制御部21は、ある有形物IDに対応付けられている有形物点群データを抽出し、その抽出した有形物点群データの座標情報に基づいて、有形物のサイズ情報を計算する(ステップS202)。
制御部21は、上記計算した有形物のサイズ情報を有形物基本データの一項目として有形物DB221に記録する。
ここで計算するサイズ情報の内容は、有形物の種類に応じて異なるようにしてもよい。
例えば、有形物が道路である場合、制御部21は、その該当区間の道路を構成する点群の座標情報に基づいて、その道路の長さ又は面積をサイズ情報として計算する。
【0097】
次に、制御部21は、上記抽出した有形物点群データの座標情報に基づいて、各有形物間の相対的位置の判断を行う。ここで、制御部21は、有形物DB221を参照し、ある有形物の所定距離内の他の有形物が存在するか否かを判断し、存在する場合はその有形物ID抽出する(ステップS203)。
制御部21は、上記判断対象の有形物の有形物IDに対応付けて、上記検出した所定距離内の他の有形物の有形物IDを有形物基本データの一項目として有形物DB221に記録する。
例えば、制御部21は、ステップS203において、ある有形物の中心(重心)又は端部の点群の座標情報から100m以内に位置する点群を含む他の有形物が存在するか否かを判断する。
【0098】
次に、制御部21は、有形物点群データ及び有形物画像データ等に基づいて、各有形物について損傷指標を算出する(ステップS204)。
例えば、制御部21は、ステップS204において、上記損傷指標として、舗装の路面性状調査において一般的に使用されるMCI(Maintenance Control Index)及び/又はIRI(International Roughness Index)を算出してもよい。
【0099】
MCIは、舗装の「ひび割れ率」、「わだち掘れ量」及び「平坦性(σ)」の路面性状値によって定量的に評価するものである。
例えば、制御部21は、MCIを算出する際、「ひび割れ率」については、有形物画像データに基づいて算出する。具体的には、制御部21は、舗装面の有形物画像データに表されている舗装のひび割れ画像を認識してトレースし、ひび割れ変状図を作成して「ひび割れ率」を算出する。このひび割れの画像認識については、ディープラーニングを用いた一般的な画像認識の方法を用いるとしてよく、その詳細な内容については説明を省略する。
例えば、制御部21は、「わだち掘れ量」及び「平坦性(σ)」については、有形物点群データに基づいて算出する。具体的には、制御部21は、舗装面の有形物点群データに基づいて、舗装面の横断方向の切断面を所定間隔ごとに切り分け、その横断方向の切断面の形状に基づいて「わだち掘れ量」を算出する。また、制御部21は、舗装面の有形物点群データに基づいて、舗装面の縦断方向の切断面を所定間隔ごとに(例えば100mごとに)切り分け、その縦断方向の切断面の形状に基づいて「平坦性(σ)」を算出する。
【0100】
制御部21は、上記算出した「平坦性(σ)」に基づいて、IRIを算出する。
IRIの計算式として下記の式1を用いるが、あくまでも一例であり、他の計算式を用いてもよい。
IRI=1.33σ+0.24 ・・・・・(式1)
【0101】
次に、制御部21は、損傷ランクTB222を参照して、上記算出した損傷指標に基づいて各有形物に損傷が存在しているか否かを判断し、損傷ランクを決定する(ステップS205)。
以上で、損傷ランクの決定動作が終了する。
【0102】
損傷ランクの評価方法としては、例えば、制御部21は、有形物DB221における各有形物の損傷指標について、複数の損傷指標のうちより高い方の損傷ランクを採用する、すなわち、複数の損傷指標のいずれかの条件を満たす損傷ランクを採用する。
図7の例に示される損傷ランクTB222において、例えば、MCIが「1」、IRIが「5」の有形物の場合は、MCIは「2未満」に該当するので損傷ランク「A」と評価でき、IRIは「3以上8未満」に該当するので損傷ランク「C」と評価できる。この場合、制御部21は、より高い損傷ランクである「A」で最終的に決定する。
【0103】
また、他の損傷ランクの評価方法としては、例えば、制御部21は、有形物DB221における各有形物の損傷指標について、複数の損傷指標のうち、より低い方の損傷ランクを採用する、すなわち、複数の損傷指標の全ての条件を満たす損傷ランクを採用する。
図7の例に示される損傷ランクTB222において、例えば、MCIが「1」、IRIが「5」の有形物の場合は、MCIは「2未満」に該当するので損傷ランク「A」と評価でき、IRIは「3以上8未満」に該当するので損傷ランク「C」と評価できる。この場合、制御部21は、より低い損傷ランクである「C」で最終的に決定する。
【0104】
制御部21がより高い方、低い方のいずれを最終的な損傷ランクとして決定するかについては、道路管理者は、管理者端末30を用いて、補修計画策定装置20にアクセスし、予め設定することができる。
道路管理者は、有形物の損傷による事故等の危険性を強く考慮する場合には、管理者端末30を用いて高い方の損傷ランクで決定されるように設定することにより、事故の発生を未然に防ぐことが可能となる。
一方、道路管理者は、有形物の損傷による事故等の危険性はさほどないと考える場合には、管理者端末30を用いて低い方の損傷ランクで決定されるように設定することにより、補修が必要な他の有形物の補修を優先的に行うよう適切な補修計画を策定することが可能となる。
【0105】
〔6〕有形物基本データの登録・更新(ステップS5)
(1)道路管理者による有形物基本データの登録・更新
上記のとおり、補修優先ランクの決定(ステップS4)において、有形物基本データの項目の一部である「有形物の位置情報」、「サイズ情報」、「所定距離内の他の有形物」、「損傷指標及び損傷ランク」が登録される。
その他、道路管理者は、管理者端末30を用いて補修計画策定装置20が管理する有形物DB221にアクセスして、有形物基本データの項目の一部を登録又は更新することができる。
図19は、本発明の第1の実施の形態の補修計画策定システムにおける道路管理者による有形物基本データの登録・更新動作の流れを示すフローチャートである。
以下、本図に沿って説明を進める。
【0106】
まず、道路管理者は、管理者端末30の操作部35を操作して、有形物基本データの登録又は更新を要求する旨の情報(登録更新要求)を入力する(ステップS301)。
管理者端末30の通信部33は、上記入力された有形物基本データの登録更新要求を補修計画策定装置20へ送信する(ステップS302)。
【0107】
補修計画策定装置20の通信部23は、上記有形物基本データの登録更新要求を管理者端末30から受信すると、制御部21は、有形物基本データの登録又は更新対象の有形物の指定用の画面情報を情報格納部22から抽出し、通信部23は、その抽出された画面情報を管理者端末30へ送信する(ステップS303)。
【0108】
管理者端末30の通信部33は、上記有形物の指定用の画面情報を補修計画策定装置20から受信すると、表示部34は、当該受信された画面情報を表示する(ステップS304)。
有形物の指定用の画面情報は、例えば、有形物点群データの緯度経度情報と対応付けられた有形物地図データによる地図を含むものである。
【0109】
道路管理者は、操作部35を用いて、有形物基本データの登録対象の有形物を指定する(ステップS305)。
例えば、道路管理者は、操作部35を用いて、表示部34に表示された地図上における有形物の位置にカーソルを合わせる等して、今回、有形物基本データの登録又は更新対象の有形物(の位置)を指定する。
【0110】
管理者端末30は、道路管理者により指定された有形物を指定する情報(有形物の指定情報)を補修計画策定装置20へ送信する(ステップS306)。
ここで、有形物の指定情報とは、上記指定された有形物に対応付けられている緯度経度情報であってもよい。
【0111】
補修計画策定装置20の通信部23が有形物の指定情報を管理者端末30から受信すると、制御部21は、当該有形物の指定情報に該当する有形物の有形物基本データを有形物DB221から抽出し、通信部23はその抽出した有形物基本データを管理者端末30へ送信する(ステップS307)。
例えば、上記有形物の指定情報が緯度経度情報の場合には、制御部21は、有形物DB221を参照し、その緯度経度情報が有形物の位置情報として記録されている有形物の有形物基本データを抽出する。
【0112】
管理者端末30の通信部33は、上記有形物基本データを補修計画策定装置20から受信すると、表示部34は、当該受信された有形物基本データを表示する(ステップS308)。
道路管理者は、操作部35を用いて、表示部34に表示された有形物基本データの未登録の項目に登録したり、登録済みの項目を更新したりする(ステップS309)。
例えば、道路管理者は、操作部35を用いて、有形物の製造年月日、有形物の最終補修年月日、及び有形物の補修単価等の有形物基本データの各項目を入力する。
【0113】
ここで入力される有形物の製造年月日及び最終補修年月日は、補修計画策定装置20が補修優先ランクを決定する際に用いられる。
すなわち、補修計画策定装置20は、補修したことが無い有形物については製造年月日、補修したことがある有形物については最終補修年月日を基準にしてどれくらいの期間が経過したかに基づいて、当該補修優先ランクを決定する。
補修計画策定装置20は、同じ損傷ランクの有形物であっても、長期間経過した有形物については損傷が生じている可能性が高いと判断し、補修優先ランクをより高く決定し、優先的に補修を行うよう補修計画を策定する。
【0114】
上記入力される補修単価は、例えば単位面積又は単位長あたりの補修費用である。
例えば、補修計画策定装置20は、下記の式(2)に基づいて、各有形物の補修費用を算定する。
(有形物の補修費用)=(補修単価)×(有形物のサイズ情報)
・・・式(2)
【0115】
管理者端末30の通信部33は、上記入力された有形物基本データの各項目の情報を補修計画策定装置20へ送信する(ステップS310)。
【0116】
補修計画策定装置20の通信部23は、上記有形物基本データの各項目の情報を管理者端末30から受信すると、当該受信した各項目に該当する、有形物DB221の有形物基本データの各項目について登録又は更新を行う(ステップS311)。
以上で、道路管理者による有形物基本データの登録・更新動作が終了する。
【0117】
上記のとおり、道路管理者は、管理者端末30を用いて、有形物の製造年月日及び最終補修年月日の各項目を入力することにより、補修優先ランクを適切に定めることができ、適確な補修計画を策定することができる。
また、道路管理者は、管理者端末30を用いて、有形物の補修単価を入力することにより、有形物の補修費用を容易に算定することができる。
【0118】
(2)利用者による補修要請情報の登録
有形物の利用者は、道路管理者に対して、利用している有形物についての補修要請を行うことができる。
例えば、利用者が自動車で道路を走行中に異音がした場合には、道路の舗装に損傷が生じている可能性があるため、利用者端末40を用いて、道路管理者に対して舗装の補修の要請を行う。
図20は、本発明の第1の実施の形態における補修計画策定システムによる有形物の補修要請動作の流れを示すシーケンスチャートである。
以下、本図に沿って説明を進める。
【0119】
まず、利用者は、利用者端末40の操作部45を操作して、補修要請情報の登録を要求する旨の情報(登録要求)を入力すると、通信部43は、当該入力された登録要求を補修計画策定装置20へ送信する(ステップS401)。
【0120】
補修計画策定装置20の通信部23は上記登録要求を受信すると、制御部21は補修要請情報の登録用の画面情報を情報格納部22から抽出し、通信部23はその抽出された補修要請情報の登録用の画面情報を利用者端末40へ送信する(ステップS402)。
【0121】
利用者端末40の通信部43は、上記補修要請情報登録用の画面情報を補修計画策定装置20から受信すると、表示部44は、当該受信された画面情報を表示する(ステップS403)。
図21は、本発明の第1の実施の形態における補修要請情報の登録用の画面情報の一例を示す図である。
図の例では、補修要請情報の登録用の画面情報には、「補修要請を行う有形物の種類」及び「位置」、並びに「補修が必要な理由」等の補修要請情報の各項目の入力欄が設けられている。
利用者は、表示部44に表示されている上記入力欄に対して、操作部45を用いて補修要請情報の各項目を入力する(ステップS404)。
例えば、利用者は、有形物の種類「道路の舗装」、有形物の位置「高速4号新宿線 新宿入口付近」、補修が必要な理由「ポットホール」等と入力してもよく、有形物の位置に関しては、補修要請情報の登録用の画面情報上に有形物地図データによる地図を表示し、マウス等の操作部45を用いて該当位置を指定するようにしてもよい。
【0122】
利用者端末40の通信部43は、上記入力された補修要請情報の各項目を示す情報を補修計画策定装置20へ送信する(ステップS405)。
このとき、利用者端末40が送信する補修要請情報の各項目の情報は、利用者が入力した情報及び利用者が指定した地図上の位置に該当する緯度経度等の位置情報である。
【0123】
補修計画策定装置20の通信部23が上記補修要請情報の各項目の情報を受信すると、制御部21は、有形物DB221を参照し、上記受信した位置情報等に基づいて、該当する有形物を検出する。そして、制御部21は、その検出した有形物の有形物IDに対応付けて、上記受信した各項目の情報を補修要請情報として有形物DB221に登録する(ステップS406)。
また、制御部21は、今回の補修要請情報の各項目の登録に応じて登録回数を1増加させて、補修要請情報として有形物DB221に登録する(ステップS407)。
以上で、補修要請情報の登録動作が終了する。
【0124】
補修要請情報が有形物DB221に登録されると、道路管理者は、管理者端末30を用いて、補修計画策定装置20にアクセスし、各有形物の補修要請情報の内容を確認することができる。道路管理者は、その補修要請情報の内容に応じて、有形物の補修工事等を行う。
【0125】
〔7〕補修計画の策定(ステップS6)
(1)損傷有形物画面情報の表示
上記のとおり、有形物基本データの登録及び更新が行われ、損傷ランクが決定されると、道路管理者は、補修計画策定システムを利用して、有形物の補修計画の策定を行うことができるようになる。
図22は、本発明の第1の実施の形態における補修計画策定システムによる損傷有形物画面情報の表示動作の流れを示すシーケンスチャートである。
以下、本図に沿って説明を進める。
【0126】
まず、道路管理者は、管理者端末30の操作部35を操作して、補修計画策定装置20に対して損傷ランクの画面情報の取得要求のための検索条件を入力する(ステップS501)。
具体的には、道路管理者は、操作部35を用いて、検索条件として、損傷ランクの画面情報において表示させたい有形物の位置情報、又は損傷ランク等を入力する。
例えば、検索条件として「東京都港区」のように位置情報を設定する。
また、例えば、損傷ランクA〜Dまでの4段階評価であり、Aが最も損傷の程度が重く、B,Cの順に損傷の程度が軽く、Dは損傷が認められないと定義した場合に、検索条件を「損傷ランクB以上」等と設定する。
【0127】
管理者端末30の通信部33は、上記入力された検索条件を補修計画策定装置20へ送信する(ステップS502)。
【0128】
補修計画策定装置20の通信部23は、上記検索条件を受信すると、制御部21は、有形物DB221等を参照し、検索条件(位置情報及び損傷ランク)に合致した有形物の検索を行う(ステップS503)。
【0129】
次に、制御部21は、検索処理を実行し、検索条件に合致した有形物を抽出すると、抽出した有形物の一覧を示すリストを生成する(ステップS504)。
このリストは、抽出された各有形物の有形物基本データにより構成される。
【0130】
次に、制御部21は、上記リストに示された複数の有形物に対して、複数の有形物のうちどの有形物を優先的に補修すべきかを表す補修優先ランクを決定し、当該決定された補修優先ランクの順に有形物を並べ替える(ステップS505)。
以下、この補修優先ランクの決定方法の一例について説明する。
【0131】
まず、制御部21は、上記決定済みの損傷ランクの高い順に有形物のランク付けを行う。このとき、制御部21は、同じ損傷ランクの有形物については、未補修の有形物の製造年月日及び補修済みの有形物の最終補修年月日から現在に至るまでの経過期間の長い順にランク付けを行う。
【0132】
また、制御部21は、各有形物の有形物基本データにおける補修要請情報を参照し、当該補修要請情報の登録回数の多い有形物については補修優先ランクを上昇させる。
例えば、補修要請情報の登録回数が10回以上の場合はランクを「3」上昇、5〜9回の場合は「2」上昇、1〜4回の場合は「1」上昇のように、登録回数が多いほど補修優先ランクの上昇幅も大きくする。
このように、制御部21が補修を要請された回数の多い有形物について補修優先ランクを上昇させることにより、利用者が損傷を発見した有形物を優先的に補修を行うよう、適切な補修計画を策定することが可能となる
【0133】
また、制御部21は、各有形物の有形物基本データにおける位置情報を参照し、高い損傷ランクの有形物から所定距離内の有形物については補修優先ランクを上昇させる。
例えば、損傷ランクAの有形物から所定距離内の有形物については補修優先ランクを「3」上昇、損傷ランクBの有形物から所定距離内の有形物については補修優先ランクを「1」上昇のように、所定距離内の有形物の損傷ランクが高いほど補修優先ランクの上昇幅を大きくする。
また、例えば、損傷ランクAの有形物に隣接している有形物については補修優先ランクを「3」上昇、損傷ランクAの有形物から100m以内の有形物については補修優先ランクを「1」上昇のように、同じ損傷ランクであっても近い有形物ほど補修優先ランクの上昇幅を大きくする。
また、例えば、損傷ランクAの道路から100m以内の道路については補修優先ランクを「3」上昇、損傷ランクAの道路から100以内の橋脚については補修優先ランクを「1」上昇のように、同じ損傷ランク、同じ距離であっても、同じ種類の有形物については異なる種類の有形物よりも補修優先ランクの上昇幅を大きくする。
このように、制御部21は、高い補修優先ランクの有形物に隣接等する他の有形物の補修優先ランクを上昇させることにより、複数の有形物の補修工事をまとめて1つにして施工することにより、工期の短縮及び工事の効率化を図ることが可能となる。
【0134】
次に、制御部21は、検索条件に合致し抽出された有形物の有形物基本データを参照し、その合致した有形物の位置情報(緯度経度情報)に基づいて、それら有形物の位置を示す画像(後述のマークMk)を地図データ上に合成して、損傷有形物地図データ生成する(ステップS506)。
【0135】
次に、制御部21は、上記損傷有形物地図データに上記リストを合成して、損傷の可能性がある有形物の画面情報(損傷有形物画面情報)を生成する(ステップS507)。
通信部23は、上記生成された損傷有形物画面情報を管理者端末30へ送信する(ステップS508)。
【0136】
管理者端末30の通信部33は、上記損傷有形物画面情報を受信すると、表示部34はその受信した損傷有形物画面情報を表示する(ステップS509)。
図23は、本発明の第1の実施の形態における損傷有形物画面情報の一例を示す図である。
図の例では、地
図Mp上の有形物の位置にマークMkが表示されている。各マークMkを区別するため、マークMkそれぞれには番号が振られている。
また、表示部34は、損傷有形物画面情報の各マークMkが表示されている地
図Mp上の有形物そのものに対して、損傷ランクに応じた特徴的な表示を行う。図の例では、地
図Mp上の有形物に対して、損傷ランクに応じてそれぞれ異なる彩色が行われている。道路管理者は、この各損傷ランクに対応する色を確認することにより、地
図Mp上の各有形物の損傷ランクを容易に把握することができるようになっている。
また、損傷有形物画面情報には、検索条件に合致した損傷の可能性のある有形物のリストLtが表示されている。
リストLtには、上記のとおり決定された補修優先ランクの順に複数の有形物が示されている。すなわち、リストLtの上位に掲載されている有形物ほど、補修の優先度が高い。
リストLtには、各有形物ごとに、マークMkに振られた番号と、損傷ランクと、損傷指標及びこれに関連する数値とが表示されている。
損傷指標に関連する数値としては、例えば、ひび割れの長さの平均値、ひび割れの長さの最大値、わだち掘れの深さの平均値、又はわだち掘れの深さの最大値等である。
道路管理者は、操作部35を操作してソートの条件を入力することにより、リストLtに表示されている有形物基本データをソートする(並べ替える)ことができる。例えば、損傷ランク、損傷指標、損傷指標に関連する数値、それぞれの高い順又は低い順にソートすることができる。
さらに、損傷有形物画面情報上には、補修計画策定ボタンが設けられている。後述のとおり、道路管理者は操作部35を操作して補修計画策定ボタンを押下(指定)することにより、損傷有形物画面情報のリストLtにリストアップされた有形物を対象として、補修計画の策定を行うことができる。
【0137】
また、図の例では、損傷有形物画面情報には、損傷ランクTB222の一部が表示されている。
道路管理者は、その損傷ランクTB222の一部を確認することにより、補修優先ランクの決定方法を容易に把握することができるようになっている。
【0138】
損傷有形物画面情報のマークMkは、検索条件に合致した有形物の有形物IDに対応付けられている。
道路管理者が、管理者端末30の操作部35を操作してマークMkをクリック等して指定すると、表示部34は、制御部31による制御のもと、リストLtに表示されている、その指定されたマークMkに対応付けられている有形物IDの有形物基本データ部分の色を変える等、他の有形物基本データと区別した特徴的な表示を行う(ステップS510)。
【0139】
以上のとおり、管理者端末30は、道路管理者の入力した検索条件に合致した有形物についての情報を損傷有形物画面情報上に表示するので、所定の地域における所定の損傷ランク以上の有形物を容易に確認することができ、有形物の補修計画の策定を効率よく行うことが可能となる。
特に、損傷有形物画面情報の地
図Mp上には、例えば各損傷ランクごとに異なる色で有形物が表されており、道路管理者は、各有形物の損傷の程度を容易に把握することができる。
【0140】
また、損傷有形物画面情報のリストLtには、補修優先ランクの順に有形物が並べられて表示されているので、道路管理者は、どの有形物を優先的に補修すべきかを容易に判断することが可能となる。
【0141】
以上説明した例では、「位置情報」及び「損傷ランク」を検索条件にしていたが、これはあくまでも一例であり、道路管理者は、その他の検索条件で検索を行ってもよい。
【0142】
(2)補修計画の策定
上記のとおり、管理者端末30は、道路管理者により指定された検索条件に合致した有形物を表す損傷有形物画面情報を表示する。
道路管理者は、その損傷有形物画面情報の補修計画策定ボタンを押下することで、以下のとおり、損傷有形物画面情報のリストLtにリストアップされた有形物を対象として、補修計画の策定を行うことができる。
図24,25は、本発明の第1の実施の形態における補修計画策定システムによる補修計画の策定動作の流れを示すシーケンスチャートである。
以下、本図に沿って説明を進める。
【0143】
まず、道路管理者は、管理者端末30の操作部35を操作して、補修計画策定ボタンを押下すると、通信部33は、補修計画の策定要求を補修計画策定装置20へ送信する(ステップS601)。
【0144】
補修計画策定装置20の通信部23は、上記補修計画の策定要求を管理者端末30から受信すると、制御部21は、補修計画の策定条件を入力するための画面情報(策定条件入力用画面情報)を情報格納部22から抽出し、通信部23は、その抽出された策定条件入力用画面情報を管理者端末30へ送信する(ステップS602)。
【0145】
管理者端末30の通信部33は、上記策定条件入力用画面情報を受信すると、表示部34は、その受信された策定条件入力用画面情報を表示する(ステップS603)。
図26は、本発明の第1の実施の形態における策定条件入力用画面情報の一例を示す図である。
図の例では、策定条件入力用画面情報には、予算総額の入力欄と、補修対象の有形物の指定欄と、補修単価の入力欄とが設けられている。
【0146】
道路管理者は、操作部35を操作して、上記予算総額の入力欄に補修計画の予算総額の値を入力する(ステップS604)。
【0147】
次に、道路管理者は、操作部35を操作して、上記補修対象の有形物の指定欄において、補修を予定している有形物を指定する(ステップS605)。
この有形物の指定方法としては、例えば、地
図Mp上のマークMkを選択してもよいし、リストLt上の対象の有形物を選択してもよいし、対象の有形物の有形物IDを入力してもよい。
【0148】
次に、道路管理者は、操作部35を操作して、上記補修単価の入力欄に、上記指定した補修対象の有形物の補修単価を入力する(ステップS606)。
なお、本例では、補修単価は道路管理者が入力したが、補修計画策定装置20の制御部21が、既に有形物DB221に登録済みの値を抽出するようにしてもよい。
【0149】
通信部33は、上記入力された補修計画の予算総額の値と、上記指定された有形物の有形物IDと、補修単価の各情報を補修計画策定装置20へ送信する(ステップS607)。
【0150】
補修計画策定装置20の通信部23は、上記補修計画の予算総額の値と、上記有形物の有形物IDと、補修単価の各情報を管理者端末30から受信すると、制御部21は、上記「予算総額の値」を、上記「補修単価」で除算し、「補修可能な有形物のサイズ(補修可能サイズ)」の値を算出する(ステップS608)。
例えば、道路舗装の補修の予算総額の値が「100万円」、道路舗装の補修単価が「1m
2あたり1万円」である場合、制御部21は、(100万円)÷(1万円/m
2)=100m
2と算出する。これは、100m
2分の面積の道路舗装の補修が可能であることを示すものである。
【0151】
次に、制御部21は、上記指定された有形物IDに対応付けられている有形物基本データに含まれる有形物のサイズ情報を有形物DB221から抽出する(ステップS609)。
【0152】
次に、制御部21は、上記抽出した「有形物のサイズ情報の値」と、上記算出した「補修可能サイズの値」とを比較し、「有形物のサイズ情報の値」の方が大きな値であるか否かを判断する(ステップS610)。
【0153】
制御部21は、上記比較の結果、「有形物のサイズ情報の値」の方が大きな値であると判断した場合には(ステップS610/Yes)、上記補修単価に、上記算出した「補修可能サイズの値」を乗算し、当該補修に必要な費用(補修計画費用)の値を算出するとともに(ステップS611)、当該補修計画費用で補修が可能な有形物のサイズ(補修計画サイズ情報)として、上記「補修可能サイズの値」を採用し(ステップS612)、ステップS615の処理に移行する。
【0154】
一方、制御部21は、上記比較の結果、「補修可能サイズの値」の方が大きな値であると判断した場合には(ステップS610/No)、上記補修単価に、上記抽出した「有形物のサイズ情報の値」を乗算し、補修計画費用の値を算出するとともに(ステップS613)、補修計画サイズ情報として、上記「有形物のサイズ情報の値」を採用する(ステップS614)。
【0155】
次に、通信部23は、上記補修計画費用及び補修計画サイズ情報を管理者端末30へ送信する(ステップS615)。
【0156】
管理者端末30の通信部33は、上記補修計画費用及び補修計画サイズ情報を補修計画策定装置20から受信すると、制御部31は、これら受信された補修計画費用及び補修計画サイズ情報に加え、上記入力された補修計画の予算総額の値及び補修単価を用いて、補修計画画面情報を生成し、表示部34は、当該生成された補修計画画面情報を表示する(ステップS616)。
【0157】
図27は、本発明の第1の実施の形態における補修計画画面情報の一例を示す図である。
補修計画画面情報には、上記補修計画の予算総額の値、補修単価、補修計画費用及び補修計画サイズ情報が表示されている。
図の例では、補修計画画面情報には、道路舗装の予算総額の値として「1,000万円」、補修計画費用の値として「500万円」が表示されている。このことから、予算総額のうちまだ「500万円」が予算として残っており、他の有形物の補修計画にその残額を用いることが可能なことが示されている。
また、補修計画画面情報には、道路舗装の補修単価が「1m
2あたり、1万円」であることが表示されている。
また、補修計画画面情報には、道路舗装の補修計画サイズとして「50m
2」が表示されており、上記補修計画費用「500万円」で、道路管理者は「50m
2」の面積の道路舗装の補修工事を行うことができることを示している。
なお、本例で補修を行う道路舗装は、上記補修計画の予算総額内で全体の補修が可能であるため、「サイズ情報=補修可能サイズ=補修計画サイズ=50m
2」となっている。
【0158】
道路管理者は、上記補修計画画面情報の内容を確認することにより、リストLt上位に表示されている有形物の補修に必要な費用、補修可能なサイズ等を容易に把握し、補修計画の策定を容易に行うことが可能となる。
また、道路管理者は、補修計画画面情報を閲覧して、補修計画の予算の残額も把握することができ、その残額を「補修計画の予算総額の入力欄」に入力して、残額が所定の額以下になるまで、補修計画の策定動作を補修計画策定システムに繰り返し実行させることで、予算総額に係る補修計画の策定を容易に行うことが可能となる。
【0159】
(第1の実施の形態のまとめ)
以上説明したように、本発明の第1の実施の形態において、補修計画策定装置20は、補修を優先すべき有形物が示されたリストとともに、道路管理者が指定した有形物について予算総額内で補修計画費用及び補修計画サイズ情報等の算定を行い、これら補修計画費用及び補修計画サイズ等が示された補修計画画面情報を管理者端末30へ送信するので、道路管理者は、どの有形物を優先的に補修すべきかを容易に判断することができるとともに、自ら指定した有形物について予算内で補修可能な補修計画費用及び補修計画サイズ等の情報を取得でき、補修計画を容易に策定することが可能となる。
【0160】
また、本発明の第1の実施の形態において、補修計画策定装置20は、製造年月日又は最終補修年月日から期間が経過した有形物を優先的に補修をするよう補修優先ランクを調整するので、道路管理者は、製造又は補修から期間が経過して損傷が発生している可能性の高い有形物から優先的に補修工事を行うことができ、適切な補修計画を容易に策定することが可能となる。
【0161】
また、本発明の第1の実施の形態において、補修計画策定装置20は、所定以上の補修優先ランクの有形物に隣接又は所定距離内に位置している他の有形物を優先的に補修をするよう補修優先ランクを調整するので、道路管理者は、補修の優先度の高い有形物に加えてその近くに位置する有形物に対しても同時期に補修工事を行うことができ、適切な補修計画を容易に策定することが可能となる。
【0162】
また、本発明の第1の実施の形態において、補修計画策定装置20は、所定回数以上の補修要請情報を受信があった有形物を優先的に補修をするよう補修優先ランクを調整するので、道路管理者は、損傷が発生して利用者から補修の要請があった有形物を優先的に補修工事を行うことができ、適切な補修計画を容易に策定することが可能となる。
【0163】
<第2の実施の形態>
(第2の実施の形態の概要)
以上説明した本発明の第1の実施の形態では、補修計画策定装置20は、製造年月日又は最終補修年月日からの経過年数、補修要請情報の登録回数、あるいは所定距離内の所定以上の損傷ランクの有形物の存在に基づいて補修優先ランクを上昇させ、補修が必要な有形物を上位にしたリストを生成することにより、適切な補修計画を策定することを可能にしていた。
道路管理者は、上記リストを参照し、管理者端末30を用いて、上位の有形物を指定して、補修計画費用及び補修計画サイズ情報等の算定を行っていた。
そして、道路管理者は、管理者端末30を用いて、予算の残額で再度リスト上位の有形物を指定して、予算の残額が所定以下になるまで繰り返し補修計画費用及び補修計画サイズ情報等の算定を行っていた。
これに対し、本発明の第2の実施の形態では、補修計画策定装置20が予算総額内で補修可能な有形物をリストアップして道路管理者に提供するものである。
なお、特記しない限り、本実施の形態の構成及び動作は第1の実施の形態と同様であるものとする。
【0164】
(第2の実施の形態の動作)
(1)補修計画の策定
管理者端末30は、道路管理者により指定された検索条件に合致した有形物を表す損傷有形物画面情報を表示する。
道路管理者は、その損傷有形物画面情報の補修計画策定ボタンを押下することで、以下のとおり、損傷有形物画面情報のリストLtにリストアップされた有形物を対象として、補修計画の策定を行うことができる。
図28,29は、本発明の第2の実施の形態における補修計画策定システムによる補修計画の策定動作の流れを示すシーケンスチャートである。
以下、本図に沿って説明を進める。
【0165】
まず、道路管理者は、管理者端末30の操作部35を操作して、補修計画策定ボタンを押下すると、通信部33は、補修計画の策定要求を補修計画策定装置20へ送信する(ステップS701)。
【0166】
補修計画策定装置20の通信部23は、上記補修計画の策定要求を管理者端末30から受信すると、制御部21は、補修計画の策定条件を入力するための画面情報(策定条件入力用画面情報)を情報格納部22から抽出し、通信部23は、その抽出された策定条件入力用画面情報を管理者端末30へ送信する(ステップS702)。
【0167】
管理者端末30の通信部33は、上記策定条件入力用画面情報を受信すると、表示部34は、その受信された策定条件入力用画面情報を表示する(ステップS703)。
図30は、本発明の第2の実施の形態における策定条件入力用画面情報の一例を示す図である。
図の例では、策定条件入力用画面情報には、予算総額の入力欄が設けられている。
【0168】
道路管理者は、操作部35を操作して、上記予算総額の入力欄に補修計画の予算総額の値を入力する(ステップS704)。
【0169】
通信部33は、上記入力された補修計画の予算総額の値の情報を補修計画策定装置20へ送信する(ステップS705)。
【0170】
補修計画策定装置20の通信部23は、上記補修計画の予算総額の値の情報を管理者端末30から受信すると、制御部21は、上記リストLtにおいて最上位の補修優先ランクの最優先に補修を行うべき有形物の有形物IDを抽出する(ステップS706)。
【0171】
次に、制御部21は、有形物DB221を参照して、上記抽出した有形物IDに対応付けられて登録されている「補修単価」を抽出する(ステップS707)。
【0172】
次に、制御部21は、上記受信した「予算総額の値」を、上記抽出した「補修単価」で除算し、「補修可能な有形物のサイズ(補修可能サイズ)」の値を算出する(ステップS708)。
【0173】
次に、制御部21は、上記抽出された有形物IDに対応付けられている有形物基本データに含まれる有形物のサイズ情報を有形物DB221から抽出する(ステップS709)。
【0174】
次に、制御部21は、上記抽出した「有形物のサイズ情報の値」と、上記算出した「補修可能サイズの値」とを比較し、「有形物のサイズ情報の値」の方が大きな値であるか否かを判断する(ステップS710)。
【0175】
制御部21は、上記比較の結果、「有形物のサイズ情報の値」の方が大きな値であると判断した場合には(ステップS710/Yes)、上記補修単価に、上記算出した「補修可能サイズの値」を乗算し、当該補修に必要な費用(補修計画費用)の値を算出するとともに(ステップS711)、当該補修計画費用で補修が可能な有形物のサイズ(補修計画サイズ情報)として、上記「補修可能サイズの値」を採用し(ステップS712)、ステップS715の処理に移行する。
【0176】
一方、制御部21は、上記比較の結果、「補修可能サイズの値」の方が大きな値であると判断した場合には(ステップS710/No)、上記補修単価に、上記抽出した「有形物のサイズ情報の値」を乗算し、補修計画費用の値を算出するとともに(ステップS713)、補修計画サイズ情報として、上記「有形物のサイズ情報の値」を採用し(ステップS714)、ステップS706の処理に移行し、上記リストLtにおいて最上位の補修優先ランクの有形物の有形物IDを抽出する。
このとき、抽出対象の有形物から、既に抽出済みの有形物は除かれる。また、予算総額から、抽出済みの有形物の補修計画費用が減算される。
このように、制御部21は、補修優先ランクのリストの上位から順に補修計画費用及び補修計画サイズ情報等の算定を行い、1以上の有形物の補修計画費用を合計し、当該合計値(補修計画費用の総費用)が予算総額を超えるまで当該算定を繰り返す。
【0177】
上記のとおり、制御部21が「有形物のサイズ情報の値」の方が、「補修可能サイズの値」よりも大きな値であると判断した場合には(ステップS710/Yes)、通信部23は、上記抽出された補修対象の有形物、補修単価、上記有形物個々の補修計画費用、補修計画費用の総費用及び補修計画サイズ情報の各情報を管理者端末30へ送信する(ステップS715)。
【0178】
管理者端末30の通信部33は、上記補修対象の有形物、補修単価、上記補修計画費用及び補修計画サイズ情報の各情報を補修計画策定装置20から受信すると、制御部31は、これら受信された情報に加え、上記入力された補修計画の予算総額の値を用いて、補修計画画面情報を生成し、表示部34は、当該生成された補修計画画面情報を表示する(ステップS716)。
【0179】
図31は、本発明の第2の実施の形態における補修計画画面情報の一例を示す図である。
補修計画画面情報には、
上記補修計画の予算総額の値、
上記1以上の補修対象の有形物、
当該補償対象の各有形物の補修単価、
当該補償対象の各有形物の補修計画費用、
当該補償対象の各有形物の補修計画サイズ情報
及び補修計画費用の総費用(補修対象の全有形物の補修計画費用の合計)
が表示されている。
図の例では、補修計画画面情報には、道路舗装の予算総額の値として「1,000万円」が表示されており、この「1,000万円」の予算総額で補修可能な有形物として、2つの有形物の補修単価、補修計画費用及び補修計画サイズ情報がそれぞれ表示されている。
これら1以上の有形物の補修計画費用の合計は、上記予算総額の値以下であり、予算内で収まっている。
【0180】
道路管理者は、上記補修計画画面情報の内容を確認することにより、予算内で有形物の補修を行うことができる範囲等を容易に把握し、補修計画の策定を容易に行うことが可能となる。
【0181】
(第2の実施の形態のまとめ)
以上説明したように、本発明の第2の実施の形態では、補修計画策定装置20は、予算総額内で補修優先ランクのリストの上位から順に補修計画費用及び補修計画サイズ情報等の算定を行い、1以上の有形物の補修計画費用を合計し、当該合計値が予算総額を超えるまで当該算定を繰り返し、各有形物の補修計画費用及び補修計画サイズ等が示された補修計画画面情報を管理者端末30へ送信するので、道路管理者は、自ら有形物を指定することなく、予算内で補修可能な1以上の有形物及び各有形物の補修計画費用及び補修計画サイズ等の情報を取得でき、補修計画を容易に策定することが可能となる。
【0182】
<実施形態のまとめ>
以上説明したように、本発明の第1の実施の形態において、補修計画策定装置20は、補修を優先すべき有形物が示されたリストとともに、道路管理者が指定した有形物について予算総額内で補修計画費用及び補修計画サイズ情報等の算定を行い、これら補修計画費用及び補修計画サイズ等が示された補修計画画面情報を管理者端末30へ送信するので、道路管理者は、どの有形物を優先的に補修すべきかを容易に判断することができるとともに、自ら指定した有形物について予算内で補修可能な補修計画費用及び補修計画サイズ等の情報を取得でき、補修計画を容易に策定することが可能となる。
【0183】
また、以上説明したように、本発明の第2の実施の形態では、補修計画策定装置20は、予算総額内で補修優先ランクのリストの上位から順に補修計画費用及び補修計画サイズ情報等の算定を行い、1以上の有形物の補修計画費用を合計し、当該合計値が予算総額を超えるまで当該算定を繰り返し、各有形物の補修計画費用及び補修計画サイズ等が示された補修計画画面情報を管理者端末30へ送信するので、道路管理者は、自ら有形物を指定することなく、予算内で補修可能な1以上の有形物及び各有形物の補修計画費用及び補修計画サイズ等の情報を取得でき、補修計画を容易に策定することが可能となる。
【0184】
上記の測定車両10のモービルマッピングシステム、補修計画策定装置20、管理者端末30及び利用者端末40は、主にCPUとメモリにロードされたプログラムによって実現される。ただし、それ以外の任意のハードウェアおよびソフトウェアの組合せによってこの装置またはサーバを構成することも可能であり、その設計自由度の高さは当業者には容易に理解されるところである。
また、上記の測定車両10のモービルマッピングシステム、補修計画策定装置20、管理者端末30又は利用者端末40をソフトウェアモジュール群として構成する場合、このプログラムは、光記録媒体、磁気記録媒体、光磁気記録媒体、または半導体等の記録媒体に記録され、上記の記録媒体からロードされるようにしてもよいし、所定のネットワークを介して接続されている外部機器からロードされるようにしてもよい。
【0185】
なお、上記の実施の形態は本発明の好適な実施の一例であり、本発明の実施の形態は、これに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変形して実施することが可能となる。
例えば、本実施の形態では、有形物のデータの取得や解析を目的としていたが、道路とは独立した物であっても、有形物と同様に、データの取得や解析を行うことができる。
また、本実施の形態では、補修計画策定システムを道路管理事業に利用していたが、この「道路」は狭義の「道路」にとどまらず、様々な「交通網」の意味を含む。すなわち、本実施の形態における補修計画策定システムは、他の事業分野にも適用可能である。例えば、鉄道、河川、運河又は海上における運航等の他の交通管理事業にも利用可能であり、この場合、列車や船舶等の移動手段が測定車両10と同様の機能を備え、各種データの取得を行う。
また、上記車両、列車、船舶の他、ドローン、飛行機、ヘリコプター等の移動手段が測定車両10と同様の機能を備え、空中から各種データ収集を行うことも可能である。
また、測定車両10と同様の機能を備えた装置を人が持ち運び、各種データの収集を行うこともできる。
また、道路の他、空港や一般的なビルディングのように建築物や各種施設の敷地内、さらには、道路又は施設等の存在しない山野、浜辺、農耕地等においても測定車両10と同様の機能を備えた各種移動手段及び装置を用いて各種データの収集が行われる。