【解決手段】 生きている被験体の身体の近くに磁界を発生させる磁気追跡システムと、身体の表面上の整合点と接触し得る遠位端を有するプローブと、を含む、装置。このプローブは、遠位端と整合点との間の接触の質を示す第1の信号を出力する、遠位端内に位置付けられた接触センサを有する。遠位端内には、磁気追跡システムの座標フレーム内の整合点のそれぞれの位置を示す第2の信号を出力する磁気検出器が位置付けられる。プロセッサが、被験体の断層画像を受信し、第1の信号によって示される接触の質に基づいて、整合点が妥当であることを確認し、妥当な整合点の位置を用いて、磁気追跡システムの座標フレーム内で断層画像を整合させる。
前記所定の範囲が、前記身体の前記表面上の接地素子の位置に反応して、かつ、前記接地素子と前記表面との接触の度合いに反応して評価されている、請求項1に記載の装置。
前記身体の前記表面上の接地素子の位置に反応して、かつ、前記接地素子と前記表面との接触の度合いに反応して、前記所定範囲を評価することを含む、請求項6に記載の方法。
【背景技術】
【0003】
被験体の画像を用いた磁気追跡システムの整合を実施するために、先行技術のシステムでは、磁気追跡システムによって追跡されるプローブが、被験体の所定の特徴に位置付けられる。追跡システムにより決定されるプローブの特徴位置は、被験体の画像、典型的にはコンピューター断層(CT)画像から決定される特徴位置と相関し、この相関性を用いて、この画像を追跡システムと整合させる。しかしながら、所定の特徴にプローブを位置付けることは、典型的に正確ではなく、正しい位置から1mm超異なり得る。例えば、所与の特徴において、プローブが被験体に押し付けられ、その位置で皮膚を押圧し、不正確な整合につながる場合がある。代替的に、別の位置において、プローブは特徴に接触すらせず、この場合もまた不正確な整合につながる場合がある。
【0004】
開示内容が参照により本明細書に組み込まれる、PCT出願であるYagelへの国際公開第2002/000093A2号は、記憶された画像データに対する標的物体の画像の整合のためのシステムを記載する。二次元画像が、基準座標システムと、以前に得られた標的の三次元画像との両方と整合されて、基準座標システムから標的への座標変換を提供する。
【0005】
開示内容が参照により本明細書に組み込まれる、Shahidiへの米国特許出願第2007/0276234号は、使用者が患者内の表面下の標的部位に医療器具を導くことを助けると主張される方法を記載する。この方法は、少なくとも1つの術中超音波画像を生成し、かつ超音波画像(複数可)上の標的部位を示すと述べられている。
【0006】
開示内容が参照により本明細書に組み込まれる、Schwartzらへの米国特許第8,636,519号は、ヒトの操作者によって把持されるように適応された遠位端及び近位端を有する実物大模型プローブを記載する。実際の患者を模倣した実物大模型患者は、実物大模型患者内への実物大模型プローブの遠位端の侵入を可能にする開口部を有する。力発生器は、ヒトの操作者に感じられ得る力を近位端に適用するように実物大模型プローブに連結され、制御器は、遠位端を追跡するように構成される。
【0007】
開示内容が参照により本明細書に組み込まれる、Galloway,Jr.らへの米国特許第7,072,707号は、画像誘導手術を実施する間に用いるための物理空間データの収集及び処理のための方法を記載する。物理空間データは、外科的に露出した組織の物理的表面点を精査することによって収集されると述べられている。この物理空間データは、物理的表面点のそれぞれに対する3D座標を提供する。収集された物理空間データに基づいて、画像空間と物理空間との両方における外科的位置を示すために用いられる、点ベースの整合が決定される。
【0008】
開示内容が参照により本明細書に組み込まれる、Maらへの米国特許第9,019,262号は、撮像プローブの視野の位置及び配向に対応する、表示された三次元画像を変換するための方法を記載する。第1の座標空間における組織の三次元画像が表示され得る。第2の座標空間における撮像プローブの視野が構成され得、第1及び第2の座標空間が同時整合(co-register)され得る。
【0009】
開示内容が参照により本明細書に組み込まれる、Nelsonらへの米国特許出願第2009/0299174号は、ヒト患者内の器具を追跡するための方法を記載する。この器具は、ヒトにおける血管又は他の通路を通過するように構成された遠位部分を有する、伸長した可撓性部材などの伸長した本体を有する。この器具は、遠位部分を通る内腔と、遠位部分に応答器を有する磁気マーカーとを更に含み得る。
【0010】
本特許出願において参照により組み込まれている文献は、組み込まれたこれらの文献中において、いずれの用語も本明細書において明示又は暗示的になされている定義と矛盾している程度に定義されている場合を除き、本出願の一体部分と見なされるべきであり、本明細書における定義だけが考慮されるべきである。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一実施形態は、装置であって、
生きている被験体の身体の近傍に磁界を発生させるように構成されている磁気追跡システムと、
身体の表面上の1つ又は2つ以上の整合点と接触するように構成された遠位端を有するプローブであって、
遠位端内に位置付けられ、かつ、遠位端と1つ又は2つ以上の整合点との間の接触の質を示す第1の信号を出力するように構成された接触センサ、及び、
遠位端内に位置付けられ、かつ、磁気追跡システムの座標フレーム内の1つ又は2つ以上のそれぞれの整合点のそれぞれの位置を示す、磁界に反応した第2の信号を出力するように構成された磁気検出器を備える、プローブと、
被験体の断層画像を受信するように、かつ、第1の信号によって示される接触の質に基づいて、1つ又は2つ以上の整合点が妥当であることを確認するように、かつ、妥当であると確認された1つ又は2つ以上の整合点の位置を用いて、磁気追跡システムの座標フレーム内で断層画像を整合させるように構成されたプロセッサと、を備える、装置を提供する。
【0012】
一実施形態では、接触センサは、電極からなり、1つ又は2つ以上の整合点が妥当であることを確認することは、整合点のそれぞれと接触した際に電極によって測定されるインピーダンスが所定範囲内にあることを確認することを含む。この所定範囲は、インピーダンスが20kHzにおいて測定されるときに20kΩ〜40kΩであってよい。代替的又は追加的に、この所定範囲は、身体の表面上の接地素子の位置に反応して、かつ、接地素子と表面との接触の度合いに反応して評価され得る。
【0013】
開示される一実施形態では、本装置は、剛性プローブ組立体を形成するように、プローブに接続されたハンドルを含む。
【0014】
更に開示される一実施形態では、1つ又は2つ以上の整合点は、プローブの使用者の肉眼に対して可視的であるように選択される。
【0015】
また更に開示される一実施形態では、1つ又は2つ以上の整合点は、身体の表面上で静止するように選択される。
【0016】
代替的に、接触センサは、力センサからなり、1つ又は2つ以上の整合点が妥当であることを確認することは、各整合点と接触した際に力センサによって測定される力が所定範囲内にあることを確認することを含む。この所定範囲は、2gm〜8gmであってよい。代替的又は追加的に、この所定範囲は、プローブの使用者が身体の表面上の事前選択された点に接触することに反応して評価される。
【0017】
本発明の一実施形態に従って、方法であって、
磁気追跡システムを用いて、生きている被験体の身体の近傍に磁界を発生させることと、
プローブの遠位端を身体の表面上の1つ又は2つ以上の整合点と接触させることであって、プローブが、
遠位端内に位置付けられ、かつ、遠位端と1つ又は2つ以上の整合点との間の接触の質を示す第1の信号を出力するように構成された接触センサ、及び
遠位端内に位置付けられ、かつ、磁気追跡システムの座標フレーム内の1つ又は2つ以上のそれぞれの整合点のそれぞれの位置を示す、磁界に反応した第2の信号を出力するように構成された磁気検出器を備える、接触させることと、
被験体の断層画像を受信することと、
第1の信号によって示される接触の質に基づいて、1つ又は2つ以上の整合点が妥当であることを確認することと、
妥当であると確認された1つ又は2つ以上の整合点の位置を用いて、磁気追跡システムの座標フレーム内で断層画像を整合させることと、を含む、方法が、更に提供される。
【0018】
本開示は、図面と併せて、以下の本開示の実施形態の詳細説明からより完全に理解されるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0020】
概観
本発明の実施形態は、磁気追跡システムを被験体の画像と整合させる過程を、先行技術の整合システムよりも正確にする。接触センサが、磁気追跡システムによって追跡されるプローブ内に組み込まれ、このセンサは、画像を用いた整合のために用いられている被験体の特徴におけるプローブと被験体の皮膚との接触の「度合い」即ち質の数値的指数を提供する。(特徴の位置も画像内で決定される。)一実施形態では、このセンサは、電極を含み、電極によって測定されるインピーダンスは、接触の度合いを定量化するため、及び接触が妥当であるという指標を提示するために用いられる。代替的な一実施形態では、このセンサは、力センサを含み、測定される力の値は、接触が妥当であると示すために用いられる。
【0021】
開示される一実施形態では、整合装置は、生きている被験体、典型的にはヒト被験体の身体の近傍に磁界を発生させるよう構成されている磁気追跡システムを備える。本装置の使用者が、プローブの遠位端を身体の表面上の1つ又は2つ以上の整合点と接触させる。接触センサが、遠位端内に位置付けられ、遠位端と、1つ又は2つ以上の整合点との間の接触の質を示す第1の信号を出力する。磁気検出器がまた、遠位端内に位置付けられ、磁気追跡システムの座標フレーム内の1つ又は2つ以上のそれぞれの整合点のそれぞれの位置を示す、磁界に反応した第2の信号を出力する。
【0022】
開示される実施形態はまた、被験体の断層画像を受信するプロセッサを備える。このプロセッサは、第1の信号によって示される接触の質に基づいて、1つ又は2つ以上の整合点が妥当であることを確認する。次いでプロセッサは、妥当であると確認された1つ又は2つ以上の整合点の位置を用いて、磁気追跡システムの座標フレーム内で断層画像を整合させる。
【0023】
(発明の詳細な説明)
図1は、本発明の一実施形態に従った、表面整合システム10の概略図である。
図2A及び2Bは、本発明の実施形態に従った、プローブの概略図である。
図3は、本発明の一実施形態に従った、動作システム10で実施される工程のフローチャートである。システム10は、本明細書において、例として、被験体14のコンピューター断層(CT)画像を備えると想定される、磁気追跡システム12を画像と整合させるために用いられる。追跡システム12は、被験体に実施される医学的手技の間に被験体14に挿入される、カテーテル又はガイドワイヤなどの1つ又は2つ以上の器具の位置及び配向を追跡するために用いられる。以下に記載されるように、追跡システム12は、被験体の外側にある整合プローブ28の位置及び配向を追跡することもできる。プローブ28は、システム10の使用中に専門家30によって把持され得るハンドル32に固定接続される(図には専門家の手のみが示されている)。プローブ28とハンドル32との組み合わせは、専門家30による所望の位置へのプローブの位置付けを容易にする剛性プローブ組立体31を形成する。
【0024】
以下の説明では、明確さ及び簡潔さのために、上記に言及された医学的手技は、表面整合システム10及び磁気追跡システム12が、鼻洞の領域内及びその周囲で動作するように構成されていると想定されるように、被験体14の鼻洞への侵襲的手技を含むものと想定される。しかしながら、システム10及び12は、腎臓又は腹部などの被験体の他の領域内及び周囲で動作するように構成されてもよいことが理解され、当業者であれば、本明細書における記載をかかる他の領域に適応させることができるであろう。
【0025】
追跡システム12は、プローブ追跡モジュール20と通信している処理ユニット18を備えるシステムプロセッサ16によって操作される。モジュール20の機能を以下に記載する。プロセッサ16は、マウス又はトラックボールなどのポインティングデバイスを典型的に含む動作制御装置24を備えるコンソール22内に実装され得る。図に示されるように、コンソール22は接地している。専門家30が、動作制御装置を用いてプロセッサと対話し、このプロセッサは、以下に記載されるように、システム10及び12によって生成される結果をスクリーン34上で専門家に提示するために用いられ得る。
【0026】
プロセッサ16は、プロセッサのメモリ内に記憶されたソフトウェアを用いてシステム10を操作する。ソフトウェアは、例えば、ネットワークを介して、電子的形態でプロセッサ16にダウンロードされてもよいし、又は代替的若しくは追加的に、磁気メモリ、光メモリ、若しくは電子メモリなどの、非一時的な有形媒体上に提供かつ/若しくは記憶されてもよい。
【0027】
上記に言及された被験体14内の器具を追跡するため、並びにプローブ28を追跡するために、処理ユニット18は、プローブ追跡モジュール20を用いて複数の磁界発生器40を操作する。典型的には被験体14が麻酔されていない場合に該当する、一実施形態では、発生器40、典型的にはコイルは、フレーム44に固定され、これは次に、
図1に図示されるように被験体14の頭部26に留め付けられ、接地される。被験体14が麻酔され、床上で横臥位の静止した頭部を有する場合に該当する、代替的な一実施形態では、発生器は、典型的には、フレーム44を用いることなく被験体の頭部の近くに(besides)床上に置かれることによって、互いに対して、かつ頭部に対して固定される。この場合、接地パッチ43が被験体14の皮膚に取り付けられてよい。
【0028】
発生器は、被験体の頭部の内側及び外側に交番磁界を放射し、その磁界が、器具内及びプローブ28内の磁気検出器内で信号を発生させる。信号は、典型的にプローブ28の場合では、プローブをコンソール22に接続するケーブル50を介して処理ユニット18及びモジュール20に伝達され戻され、これらは、信号を分析して、発生器40に対する器具及びプローブ28の位置及び配向を提供する。磁界発生器40が磁気追跡システム12の基準座標フレーム41を定義することは理解されるであろう。
【0029】
Diamond Bar,CAのBiosense Websterにより生産されているCarto(登録商標)システムは、本明細書に記載されるものと同様の追跡システムを用いて、被験体内に挿入されたプローブの遠位先端部の位置及び配向を追跡する。
【0030】
以下により詳細に記載されるように、システムプロセッサ16は、被験体14の頭部26のデジタル化されたCT画像54を記憶する。このデジタル化されたCT画像は、整合システム10内で用いるため、並びに、とりわけ、被験体の頭部の画像58をスクリーン34上に生成するために、処理ユニット18によってアクセスされ得る。整合の過程中、プローブ28は、被験体14の表面36、即ち、被験体の皮膚と接触させられる(したがって、表面36は本明細書において皮膚36とも称される)。
【0031】
図2Aは、本発明の一実施形態に従った、プローブ28の断面の概略図である。プローブ28は、本明細書において1つ又は2つ以上のコイルを備えると想定される磁気検出器60を備え、これは、プローブの遠位先端部64に位置付けられ、かつ、発生器40によって送信された磁界に反応して信号を発生させる。この信号は、典型的には導電性ケーブル又は代替的には光ファイバーケーブルを含み得る信号伝達ケーブル68によって、コンソール22の処理ユニット及びプローブ追跡モジュールに伝達される。ケーブル68が光ファイバーケーブルを含む場合、検出器60内で生成された電気信号は、光電変換器(図には示されていない)を用いて、光ファイバーケーブル内での送信のために光信号に変換されてもよい。代替的に、検出器60によって生成された信号は、処理ユニット42及びモジュール46に無線で伝達されてもよい。上述のように、処理ユニットは、プローブ追跡モジュールを用いて、信号からプローブ28の位置及び配向を決定する。
【0032】
遠位先端部64に位置付けられた検出器60を有することに加えて、遠位先端部は、プローブの外側表面76から僅かに突出するか、又はそれとぴったり重なる、電極72も備える。電極72が表面76から突出するように構成される場合、その突出部は典型的に約100マイクロメートルである。導電性ケーブル80が、電極72をシステムコンソール22に接続する。電極72及びケーブル80は、コンソール22の接地から電気的に分離されており、以下に記載されるように、この場合、電極はプローブ28の接触センサとして働き、本明細書において接触センサ72とも称される。
【0033】
図2Bは、本発明の代替的な一実施形態に従った、プローブ28Aの断面の概略図である。以下に記載される相違点は別として、プローブ28Aの配向は、プローブ28の配向と概して同様であり(
図2A)、プローブ28と28Aとの両方において同じ参照番号によって示される要素は、構成及び配向において概して同様である。プローブ28とは対照的に、プローブ28Aは、その遠位先端部に電極を備えない。むしろ、力センサ90がプローブ内に据え付けられており、その結果、力センサが遠位先端部64に対する力を測定することができる。力センサは、当該技術分野において既知の任意の簡便な力センサであってよく、例えば、上記に言及されたCarto(登録商標)システム内に備えられているものと同様のセンサであってよい。典型的には、力センサ90は、遠位先端部に対する力の規模及び方向を測定するように構成される。
【0034】
力センサ90からの信号は、実質的に、検出器60からの信号に関して上述されたように、無線で、又はケーブル96によって、処理ユニット18に伝達され得る。処理ユニットは、信号を分析して、プローブ28Aの遠位先端部にかけられた力の定量的値を提供するように構成される。
【0035】
図3は、本発明の一実施形態に従った、表面整合システム10を操作する際に実施される工程のフローチャートである。以下の説明は、別段の記載がある場合を除いて、プローブ28が、本システムによって生成される整合のために用いられること、また、フレーム44が、被験体14に取り付けられていることを想定する。当業者であれば、必要に応じて、プローブ28Aが用いられる場合、及び/又はフレーム44が用いられない場合に合わせて、この説明を適応させることができるであろう。
【0036】
画像取得工程150において、システムプロセッサ16は、本明細書において被験体14の頭部のCT画像を含むと想定される断層画像を取得する。CT画像は、典型的にはCT機内で生成され、次いで、デジタル化されたCT画像54としてシステムプロセッサにより記憶される。工程150は、フローチャートの後続の工程の前に実施され、典型的には、これらの工程のある日数分前に実施されてよい。
【0037】
据え付け工程152では、フレーム44及びその取り付けられた発生器40が、被験体14の頭部に留め付けられる。発生器がコンソール22に接続され、モジュール20を用いて処理ユニット18により起動される。被験体14の一部分が接地に接続される。一実施形態では、フレーム44は導電性であり、フレームを被験体に留め付けることが被験体を接地させるように接地されている。
【0038】
位置付け工程154において、専門家30がハンドル32を把持し、被験体14の表面、即ち皮膚上のある数の所定の整合点のうちの1つと、プローブ28を接触させる。典型的にフローチャートの工程の実施前に専門家30によって選択される整合点は典型的に約3〜4つあり、これらのうち1つは工程154において選択される。所定の点は、典型的に、被験体の鼻の先端部、又は被験体の両目の間の眉の点など、幾何学的に明確に定義された皮膚上の点である。所定の点は、専門家30の自然な眼に対して可視的であるように選択され、かつ、幾何学的に明確に定義されるだけではなく、静止している被験体の皮膚の一部分上にあるようにも選択される。
【0039】
プローブ28を被験体の皮膚と近接させると、検出器60が、検出器を通過する発生器40からの磁界に反応して信号を発生させる。
【0040】
信号取得工程156では、検出器60からの信号がプロセッサ16により受信される。加えて、プロセッサが、電極に交流電流を注入することによって、本明細書において接触センサ72とも呼ばれる電極72と、接地との間のインピーダンスを測定する。接触センサ72及びその接続ケーブル80は、接地から分離されており、その結果、センサ72が被験体14の皮膚に接触しない間、測定されるインピーダンスは大きく、典型的には約10MΩ以上の規模である。被験体の皮膚と接触すると、インピーダンスは大幅に低減する。
【0041】
接触センサ72と接地との間の実際のインピーダンスは、センサと皮膚との接触の「度合い」即ち質、並びにフレーム44又は接地パッチ43の接触の位置及び度合いに依存する。例えば、接触が極度に軽い場合、インピーダンスは約100kΩであり得る。その一方で、接触センサ72が被験体の皮膚に押し込まれるほど接触が非常に強い場合、インピーダンスは、約10kΩ以下の規模まで低下し得る。
【0042】
本発明の実施形態は、接触センサ72と接地との間のインピーダンスに関して許容範囲を設ける。一実施形態では、この許容範囲は、20kHzの周波数を用いて、20kΩ〜40kΩである。20kΩ未満では、プローブが、1mm又は更にはそれを超えて過度に皮膚を押圧し得る。40kΩ超では、接触がほとんど又は全くなくなり得る。代替的な一実施形態では、この許容範囲は、必要以上の実験をすることなく専門家30によって決定され、かつ、フレーム44及び/若しくはパッチ43の接触の位置付け並びに/又は度合いに依存する。
【0043】
プローブ28Aの場合、本発明の実施形態は、力センサ90を接触センサとして用いる(したがって、力センサ90は、本明細書において接触センサ90とも称される)。工程156において、プロセッサは、接触センサ90によって検知された力を記録する。センサ90が被験体14の皮膚に接触しない場合、センサによって検知される力はゼロである。センサ90が皮膚に押し込まれるほど接触が強い場合、センサによって測定される力は典型的に10gm以上である。
【0044】
接触センサ72(電極)と同様に、センサ90によって測定される力に対して、力の許容範囲が設けられる。一実施形態では、この許容範囲は2gm〜8gmである。2gm未満では、接触がほとんど又は全くなくなり得、8gm超では、プローブが皮膚を過度に押圧し得る。代替的な一実施形態では、この力の許容範囲は、必要以上の実験をすることなく専門家30によって、即ち、被験体の皮膚上の選択された点にプローブ28で接触している専門家によって決定される。
【0045】
決定工程158において、プロセッサ16が、接触センサ、電極72、又は力センサ90からの指数がその許容範囲内である(プローブ28又はプローブ28Aが被験体14の皮膚と妥当な接触をなしていることを示す)かを照合する。
【0046】
工程158が正の答えを返す場合、信号記録工程160において、プロセッサは、検出器60からの工程156の信号を妥当な信号として記録する。プロセッサは、プローブの接触が妥当な接触であるという、聴覚的又は視覚的な信号などの信号を専門家30に提供してもよい。この場合の視覚的信号の一例は、スクリーン34(
図1)上の画像58内の対応する位置に緑色の記号を位置付けることである。
【0047】
工程158が負の答えを返す場合、拒絶工程162において、プロセッサは、工程156の信号を記録せず、典型的に、許容される接触が達成されていないという聴覚的及び/又は視覚的な警告を専門家30に発行する。この場合の視覚的警告の一例は、画像58内に赤色の記号を位置付けることである。加えて、この警告は、許容される接触を実現するためにプローブの遠位端を調節する方法の指標を、専門家に提供し得る。例えば、何らかの接触がなされているがその接触が軽すぎることを接触センサが示す場合、専門家は、接触の強度を上昇させるよう勧告され得る。接触が強すぎることをセンサが示す場合、専門家は、接触強度を低減させるよう勧告され得る。
【0048】
調節工程164において、専門家は、許容される接触の達成を試みてプローブを調節し、フローチャートは工程154に戻る。
【0049】
線166によって示されるように、各磁気信号が妥当であるとして記録されると、フローチャートは工程154に戻る。
【0050】
全ての整合点が工程154において処理され、それらの対応する磁気信号が妥当であるとして工程160において記録されたら、変換工程168において、プロセッサ16が、記録された磁気信号を、磁気追跡システムにより、即ちフレーム44に取り付けられた発生器40により定義される基準フレーム内の位置に変換する。
【0051】
最終工程170において、プロセッサは、工程168において決定された位置の値を、CT画像の対応する位置値と整合させる。
【0052】
フローチャートの過程に従うことにより、プロセッサ16は、被験体14の皮膚との妥当な接触があるときにのみ磁気信号を妥当であるとして記録することが理解されるであろう。妥当な接触がない場合、プロセッサは磁気信号値を記録しない。
【0053】
上述の実施形態は、例として引用されたものであること、及び本発明は、上に具体的に示されて記載されているものに限定されるものではないということが理解されるであろう。むしろ、本発明の範囲は、上文に記載された様々な特徴の組み合わせ及び部分的組み合わせ、並びに、先行技術において開示されていないが前述の記載を読めば当業者が発想するであろうそれらの変更例及び改良例の両方を含む。
【0054】
〔実施の態様〕
(1) 装置であって、
生きている被験体の身体の近傍に磁界を発生させるように構成されている磁気追跡システムと、
前記身体の表面上の1つ又は2つ以上の整合点と接触するように構成された遠位端を有するプローブであって、
前記遠位端内に位置付けられ、かつ、前記遠位端と前記1つ又は2つ以上の整合点との間の接触の質を示す第1の信号を出力するように構成された接触センサ、及び
前記遠位端内に位置付けられ、かつ、前記磁気追跡システムの座標フレーム内の前記1つ又は2つ以上のそれぞれの整合点のそれぞれの位置を示す、前記磁界に反応した第2の信号を出力するように構成された磁気検出器を備える、プローブと、
前記被験体の断層画像を受信するように、かつ、前記第1の信号によって示される接触の前記質に基づいて、前記1つ又は2つ以上の整合点が妥当であることを確認するように、かつ、妥当であると確認された前記1つ又は2つ以上の整合点の前記位置を用いて、前記磁気追跡システムの前記座標フレーム内で前記断層画像を整合させるように構成されたプロセッサと、を備える、装置。
(2) 前記接触センサが、電極を含み、前記1つ又は2つ以上の整合点が妥当であることを確認することは、前記整合点のそれぞれと接触した際に前記電極によって測定されるインピーダンスが所定範囲内にあることを確認することを含む、実施態様1に記載の装置。
(3) 前記所定範囲は、前記インピーダンスが20kHzにおいて測定されるときに20kΩ〜40kΩである、実施態様2に記載の装置。
(4) 前記所定範囲が、前記身体の前記表面上の接地素子の位置に反応して、かつ、前記接地素子と前記表面との接触の度合いに反応して評価されている、実施態様2に記載の装置。
(5) 剛性プローブ組立体を形成するように、前記プローブに接続されたハンドルを備える、実施態様1に記載の装置。
【0055】
(6) 前記1つ又は2つ以上の整合点が、前記プローブの使用者の肉眼に対して可視的であるように選択されている、実施態様1に記載の装置。
(7) 前記1つ又は2つ以上の整合点が、前記身体の前記表面上で静止するように選択されている、実施態様1に記載の装置。
(8) 前記接触センサが、力センサを含み、前記1つ又は2つ以上の整合点が妥当であることを確認することは、各整合点と接触した際に前記力センサによって測定される力が所定範囲内にあることを確認することを含む、実施態様1に記載の装置。
(9) 前記所定範囲が、2gm〜8gmである、実施態様8に記載の装置。
(10) 前記所定範囲が、前記プローブの使用者が前記身体の前記表面上の事前選択された点に接触することに反応して評価されている、実施態様8に記載の装置。
【0056】
(11) 方法であって、
磁気追跡システムを用いて、生きている被験体の身体の近傍に磁界を発生させることと、
プローブの遠位端を前記身体の表面上の1つ又は2つ以上の整合点と接触させることであって、前記プローブが、
前記遠位端内に位置付けられ、かつ、前記遠位端と前記1つ又は2つ以上の整合点との間の接触の質を示す第1の信号を出力するように構成された接触センサ、及び
前記遠位端内に位置付けられ、かつ、前記磁気追跡システムの座標フレーム内の前記1つ又は2つ以上のそれぞれの整合点のそれぞれの位置を示す、前記磁界に反応した第2の信号を出力するように構成された磁気検出器を備える、接触させることと、
前記被験体の断層画像を受信することと、
前記第1の信号によって示される接触の前記質に基づいて、前記1つ又は2つ以上の整合点が妥当であることを確認することと、
妥当であると確認された前記1つ又は2つ以上の整合点の前記位置を用いて、前記磁気追跡システムの前記座標フレーム内で前記断層画像を整合させることと、を含む、方法。
(12) 前記接触センサが、電極を含み、前記1つ又は2つ以上の整合点が妥当であることを確認することは、前記整合点のそれぞれと接触した際に前記電極によって測定されるインピーダンスが所定範囲内にあることを確認することを含む、実施態様11に記載の方法。
(13) 前記所定範囲は、前記インピーダンスが20kHzにおいて測定されるときに20kΩ〜40kΩである、実施態様12に記載の方法。
(14) 前記身体の前記表面上の接地素子の位置に反応して、かつ、前記接地素子と前記表面との接触の度合いに反応して、前記所定範囲を評価することを含む、実施態様12に記載の方法。
(15) 剛性プローブ組立体を形成するように、前記プローブにハンドルを接続することを含む、実施態様11に記載の方法。
【0057】
(16) 前記1つ又は2つ以上の整合点を、前記プローブの使用者の肉眼に対して可視的であるように選択することを含む、実施態様11に記載の方法。
(17) 前記1つ又は2つ以上の整合点を、前記身体の前記表面上で静止するように選択することを含む、実施態様11に記載の方法。
(18) 前記接触センサが、力センサを含み、前記1つ又は2つ以上の整合点が妥当であることを確認することは、各整合点と接触した際に前記力センサによって測定される力が所定範囲内にあることを確認することを含む、実施態様11に記載の方法。
(19) 前記所定範囲が、2gm〜8gmである、実施態様18に記載の方法。
(20) 前記プローブの使用者が前記身体の前記表面上の事前選択された点に接触することに反応して、前記所定範囲を評価することを含む、実施態様18に記載の方法。