API分類に準拠したグループII基油又はグループIII基油から選択される少なくとも1つの鉱物基油と、ポリオールエステルから選択される少なくとも1つのエステルと、ポリイソブチレンを含む、ガスエンジンを潤滑するための潤滑組成物であって、前記潤滑組成物の全体重量に対して50wt%以上の鉱物基油と、5wt%以上のポリオールエステルとを含むことを特徴とする潤滑組成物の使用。
前記エステルが、8個以上の炭素原子を含む、飽和又は不飽和の、直鎖状又は分枝状のカルボン酸及びポリオールのエステルから選択される、請求項1〜4のいずれか1項に記載の使用。
前記ポリオールエステルが、請求項6〜9のいずれか1項に記載のモノカルボン酸及びポリオールの少なくとも1つの第1エステルと、前記第1エステルとは異なる、請求項6〜9のいずれか1項に記載のモノカルボン酸及びポリオールの少なくとも1つの第2エステルとの混合物を含む、請求項1〜9のいずれか1項に記載の使用。
前記エステルが、請求項8又は9に記載のポリオールと、請求項6又は7に記載の少なくとも1つの第1モノカルボン酸と、16個以上の炭素原子を含む直鎖状又は分枝状の、飽和又は不飽和のジカルボン酸から選択される少なくとも1つの第2カルボン酸との間のエステル化反応により得られた、請求項1〜10のいずれか1項に記載の使用。
ガスエンジンを潤滑するための、潤滑組成物中での、API分類に準拠したグループII基油又はグループIII基油から選択される少なくとも1つの鉱物基油と、ポリオールエステルから選択される少なくとも1つのエステルと、ポリイソブチレンの使用。
少なくとも1つのエンジンの機械部品を、API分類に準拠したグループII基油又はグループIII基油から選択される少なくとも1つの鉱物基油と、ポリオールエステルから選択される少なくとも1つのエステルと、ポリイソブチレンとを含む潤滑組成物に接触させることを含むガスエンジンを潤滑する方法であって、前記潤滑組成物が、前記潤滑組成物の全体重量に対して50wt%以上の鉱物基油と、5wt%以上のポリオールエステルとを含むことを特徴とする、方法。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下で示されるパーセントは、活性成分の重量パーセントに相当する。
【0028】
本発明に係る潤滑組成物は、少なくとも1つの鉱物基油を含む。
【0029】
本発明に係る潤滑組成物で使用される鉱物基油は、API分類により規定された分類におけるグループI、II又はIIIに属する鉱物起源の油(又はATIEL分類におけるそれらの等価物)(表A)又はそれらの混合物であることができる。
【0031】
本発明の好ましい実施形態において、基油は、API分類に準拠したグループIIの基油又はグループIIIの基油である。
【0032】
本発明のより好ましい実施形態において、基油は、API分類に準拠したグループIIの基油である。
【0033】
本発明の別の好ましい実施形態において、潤滑組成物は、潤滑組成物の全体重量に対して50wt%以上、好ましくは50〜90wt%、より好ましくは60〜90wt%、さらにより好ましくは65〜90wt%、有利には65〜85wt%の鉱物基油を含む。
【0034】
本発明の別のより好ましい実施形態において、潤滑組成物は、潤滑組成物の全体重量に対して70wt%以上、好ましくは70〜90wt%、より好ましくは75〜90wt%、有利には75〜85wt%の鉱物基油を含む。
【0035】
本発明に係る潤滑組成物はまた、ポリオールエステルから選択される少なくとも1つのエステルを含む。
【0036】
本発明に係るポリオールとは、少なくとも1つのポリオールで少なくとも1つのカルボン酸をエステル化することで得られる任意のエステルを意味する。
【0037】
本発明に係るカルボン酸とは、モノカルボン酸及びポリカルボン酸を意味する。
【0038】
本発明の1つの実施形態において、エステルは、8個以上の炭素原子を含む飽和又は不飽和の、直鎖状又は分枝状のカルボン酸及びポリオールのエステルから選択される。
【0039】
本発明の好ましい実施形態において、カルボン酸は、直鎖状又は分枝状の、飽和又は不飽和のモノカルボン酸である。
【0040】
したがって、カルボン酸は、以下:
−飽和かつ直鎖状モノカルボン酸;
−不飽和かつ直鎖状モノカルボン酸;
−飽和かつ分枝状モノカルボン酸;
−不飽和かつ分枝状モノカルボン酸
から選択することができる。
【0041】
本発明の別の好ましい実施形態において、カルボン酸は、8〜20個の炭素原子、好ましくは8〜18個の炭素原子を含む。
【0042】
本発明の特定の実施形態において、カルボン酸は、14〜18個の炭素原子、好ましくは16〜18個の炭素原子を含む。
【0043】
本発明の別の特定の実施形態において、カルボン酸は、8〜12個の炭素原子、好ましくは8〜10個の炭素原子を含む。
【0044】
したがって、カルボン酸は、以下:
−8〜20個の炭素原子、好ましくは8〜18個の炭素原子、より好ましくは14〜18個の炭素原子、有利には16〜18個の炭素原子を含む飽和かつ直鎖状モノカルボン酸;
−8〜20個の炭素原子、好ましくは8〜18個の炭素原子、より好ましくは14〜18個の炭素原子、有利には16〜18個の炭素原子を含む不飽和かつ直鎖状モノカルボン酸;
−8〜20個の炭素原子、好ましくは8〜18個の炭素原子、より好ましくは14〜18個の炭素原子、有利には16〜18個の炭素原子を含む飽和かつ分枝状モノカルボン酸;
−8〜20個の炭素原子、好ましくは8〜18個の炭素原子、より好ましくは14〜18個の炭素原子、有利には16〜18個の炭素原子を含む不飽和かつ分枝状モノカルボン酸;
から選択することができる。
【0045】
カルボン酸はまた、
−8〜12個の炭素原子、好ましくは8〜10個の炭素原子を含む飽和かつ直鎖状モノカルボン酸;
−8〜12個の炭素原子、好ましくは8〜10個の炭素原子を含む不飽和かつ直鎖状モノカルボン酸;
−8〜12個の炭素原子、好ましくは8〜10個の炭素原子を含む飽和かつ分枝状ノカルボン酸;
−8〜12個の炭素原子、好ましくは8〜10個の炭素原子を含む不飽和かつ分枝状モノカルボン酸;
から選択することができる。
【0046】
本発明に係るカルボン酸の例としては、ペラルゴン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸又はオレイン酸が挙げられる。
【0047】
本発明の別の好ましい実施形態において、ポリオールは、3個以上の−OH基、好ましくは3〜8個の−OH基、より好ましくは6〜8個の−OH基を含む。
【0048】
本発明のより好ましい実施形態において、ポリオールは、3、4又は6個の−OH基を含む。
【0049】
本発明の別の好ましい実施形態において、ポリオールは、3〜10個の炭素原子、好ましくは3〜8個の炭素原子、より好ましくは3〜6個の炭素原子を含む。
【0050】
本発明に係るポリオールの例としては、グリセロール、トリメチロールプロパン、ペンタエリトリトール又はジペンタエリトリトールが挙げられる。
【0051】
本発明の特定の実施形態において、ポリオールエステルは、上で規定したようなモノカルボン酸及びポリオールの少なくとの1つの第1エステルと、第1エステルとは異なり、上で規定したモノカルボン酸及びポリオールの少なくとも1つの第2エステルとの混合物を含む。
【0052】
本発明のより特定の実施形態において、エステルは、
−モノカルボン酸及びポリオールの少なくとも1つのトリエステルと、
−モノカルボン酸及びポリオールの少なくとも1つのジエステルとの混合物を含み、当該モノカルボン酸及びポリオールは上で規定したようなものである。
【0053】
本発明のさらにより特定の実施形態において、エステルは、
−14〜18個の炭素原子、有利には16〜18個の炭素原子を含む、飽和又は不飽和、好ましくは飽和のモノカルボン酸及びトリメチルプロパンの少なくとも1つのトリエステルと、
−14〜18個の炭素原子、有利には16〜18個の炭素原子を含む、飽和又は不飽和、好ましくは飽和のモノカルボン酸及びトリメチルプロパンの少なくとも1つのジエステルとの混合物を含む。
【0054】
本発明に係るポリオールエステルの例として、Oleon社により販売されるRadialube7250(登録商標)を挙げることができる。
【0055】
本発明の別の特定の実施形態において、エステルは、上で規定したようなポリオールと、上で規定したような少なくとも1つの第1モノカルボン酸と、16個以上の炭素原子を含む直鎖状又は分枝状の、飽和又は不飽和のジカルボン酸から選択される少なくとも1つの第2ジカルボン酸との間のエステル化反応により得られる。
【0056】
本発明の別のより特定の実施形態において、エステルは、
−3〜4個の−OH基及び3〜6個の炭素原子を含むポリオールと、
−8〜20個の炭素原子、好ましくは8〜18個の炭素原子を含む、直鎖状又は分枝状の、少なくとも1つの飽和の第1モノカルボン酸と、
−16個以上の炭素原子を含む直鎖状又は分枝状の、飽和のジカルボン酸から選択される少なくとも1つの第2カルボン酸との間のエステル化反応により得られる。
【0057】
本発明の別のより特定の実施形態において、エステルは、
−ペンタエリトリトール又はトリメチロールプロパンから選択されるポリオールと、
−8〜18個の炭素原子を含む直鎖状又は分枝状の、少なくとも1つの飽和又は不飽和の第1モノカルボン酸と、
−16〜36個の炭素原子を含む飽和の、直鎖状又は分枝状のジカルボン酸から選択される少なくとも1つの第2カルボン酸との間のエステル化反応により得られる。
【0058】
本発明の別のより特定の実施形態において、エステルは、
−ペンタエリトリトールと、
−18個の炭素原子を含む直鎖状又は分枝状の、少なくとも1つの飽和又は不飽和の第1モノカルボン酸と、
−16〜36個の炭素原子を含む飽和の、直鎖状又は分枝状のジカルボン酸から選択される少なくとも1つの第2カルボン酸との間のエステル化反応により得られる。
【0059】
本発明に係るポリオールエステルの例として、Croda社製のPriolube1874(登録商標)、又はNYCO社製のNycobase8851(登録商標)を挙げることができる。
【0060】
本発明の別の特定の実施形態において、エステルは、上で規定したようなポリオールと、8〜12個の炭素原子、好ましくは8〜10個の炭素原子を含む直鎖状又は分枝状の、少なくとも1つの飽和又は不飽和のモノカルボン酸との間のエステル化反応により得られる。
【0061】
本発明の別のより特定の実施形態において、エステルは、
−ジペンタエリトリトールと、
−8〜12個の炭素原子、好ましくは8〜10個の炭素原子を含む直鎖状又は分枝状の、少なくとも1つの飽和又は不飽和のモノカルボン酸との間のエステル化反応により得られる。
【0062】
本発明の1つの実施形態において、潤滑組成物は、潤滑組成物の全体重量に対して2wt%以上、好ましくは5wt%以上、より好ましくは5〜30wt%、有利には5〜25wt%又は5〜15wt%のポリオールエステルを含む。
【0063】
本発明に係る潤滑組成物はまた、本発明に係るポリオールエステルを除いた、上述したようなAPI分類に準拠したグループI、IV又はVの油から選択される追加の基油を含むことができる。
【0064】
本発明に係る追加の基油は、特に、合成油、例えばポリアルキレングリコール、及びポリアルファオレフィンから選択することができる。基油として使用されるポリアルファオレフィンは、例えば、4〜32個の炭素原子を含むモノマー、例えば、オクテン又はデセンから得られ、その動粘度は、ASTM D445に従って、100℃で1.5〜15mm
2/sである。それらの平均分子量は、一般的にASTM D5296に従って、250〜3000である。
【0065】
多くの添加剤を、本発明に係る潤滑組成物中で使用することができる。
【0066】
本発明に係る潤滑組成物で使用される添加剤は、特に、摩擦改質剤、洗剤添加剤、耐摩耗添加剤、極圧剤、粘度指数向上剤、分散剤、耐酸化剤、流動点向上剤、消泡剤、増粘剤、及びそれらの混合物から選択することができる。
【0067】
耐摩耗添加剤及び極圧剤は、摩擦面の表面上に吸着された保護膜を形成することで当該摩擦面を保護する。
【0068】
多種の耐摩耗添加剤が存在する。本発明に係る潤滑組成物のために好ましくは、耐摩耗添加剤が、リン−硫黄含有添加剤、例えば、アルキルチオリン酸金属、特にアルキルチオリン酸亜鉛、より具体的にはジアルキルジチオリン酸亜鉛(ZnDTP)から選択される。好ましい化合物は、式Zn(SP(S)(OR
1)(OR
2))
2を有し、式中、R
1及びR
2は、同一であるか又は異なることができ、独立して、アルキル基、好ましくは1〜18個の炭素原子を含むアルキル基を示す。
【0069】
リン酸アミンはまた、本発明に係る潤滑組成物中で使用することができる耐摩耗添加剤である。しかしながら、これらの添加剤により提供されるリンは、当該添加剤が灰生成剤であるため、自動車の触媒システムの毒として作用することがある。これらの影響は、リン酸アミンを非リン系添加剤、例えば、ポリスルフィド、特に硫黄含有オレフィンで部分的に置き換えることで最小化することができる。
【0070】
有利には、本発明に係る潤滑組成物は、潤滑組成物の全体重量に対して0.01〜6wt%、好ましくは0.05〜4wt%、より好ましくは0.1〜2wt%の耐摩耗添加剤及び極圧剤を含むことができる。
【0071】
有利には、本発明に係る潤滑組成物は、少なくとも1つの摩擦改質剤を含むことができる。摩擦改質剤は、金属元素を提供する化合物及び灰非含有化合物から選択することができる。金属元素を提供する化合物のうち、Mo、Sb、Sn、Fe、Cu及びZnのような遷移金属錯体であって、その配位子が酸素、窒素、硫黄又はリンを含む炭化水素化合物であることができる遷移金属錯体を挙げることができる。灰非含有摩擦改質剤は、一般的に有機源のものであり、アルコキシル化アミン、アルコキシル化脂肪族アミン、脂肪族エポキシド、ホウ酸塩脂肪族エポキシド、又は脂肪族アミンから選択することができる。本発明によれば、脂肪族化合物は、10〜24個の炭素原子を含む少なくとも1つの炭化水素基を含む。
【0072】
有利には、本発明に係る潤滑組成物は、潤滑組成物の全体重量に対して0.01〜2wt%、又は0.01〜5wt%、好ましくは0.1〜1.5wt%又は0.1〜2wt%の摩擦改質剤を含むことができる。
【0073】
有利には、本発明に係る潤滑組成物は、少なくとも1つの耐酸化剤を含むことができる。
【0074】
耐酸化剤は、一般的に、使用中の潤滑組成物の劣化を遅らせるために作用する。この劣化は、特に、堆積物の形成、スラッジの現出、又は潤滑組成物の粘度増加を引き起こすことがある。
【0075】
耐酸化剤は、特に、ヒドロペルオキシドのラジカル抑制剤又は破壊剤として作用する。一般的に使用される耐酸化剤のうち、フェノール系の耐酸化剤、アミン系の耐酸化剤、リン硫黄系の耐酸化剤を挙げることができる。これらの耐酸化剤の一部、例えば、リン硫黄系耐酸化剤は、灰生成剤である場合がある。フェノール系耐酸化剤は、灰を含まないことがあり、又は中性又は塩基性金属塩の形態であることがある。耐酸化剤は、特に、立体障害フェノール、立体障害フェノールエステル、及びチオエーテルを含む立体障害フェノール、ジフェニルアミン、少なくとも1つのC
1〜C
12アルキル基で置換されたジフェニルアミン、N,N’−ジアルキルアリールジアミン、及びそれらの混合物から選択することができる。
【0076】
好ましくは、本発明によれば、立体障害フェノールは、アルコール機能を有する炭素の少なくとも1つの隣接炭素が少なくとも1つのC
1〜C
10アルキル基、好ましくはC
1〜C
6アルキル基、好ましくはC
4アルキル基、好ましくはter−ブチル基で置換されたフェノール基を含む化合物から選択される。
【0077】
アミノ化合物は、任意選択でフェノール系耐酸化剤と組み合わせて使用できる別分類の耐酸化剤である。アミン化合物の例は、芳香族アミン、例えば式NR
3R
4R
5の芳香族アミンであり、式中、R
3が、任意選択で置換された脂肪族基又は芳香族基を示し、R
4が任意選択で置換された芳香族基を示し、R
5が、水素、アルキル基、アリール基、又は式R
6S(O)
zR
7であり、ここで、R
6がアルキレン基又はアルケニレン基であり、R
7がアルキル基、アルケニル基、又はアリール基を示し、Zが0、1又は2を示す。
【0078】
硫化アルキルフェノール又はそれらのアルカリ金属塩及びアルカリ土類金属塩はまた、耐酸化剤として使用することができる。
【0079】
別分類の耐酸化剤は銅化合物、例えば、チオリン酸銅又はジチオリン酸銅、銅及びカルボン酸塩、ジチオカルバミン酸塩、スルホン酸塩、フェネート、銅アセチルアセトナートである。銅塩I及びII、コハク酸、又は無水塩をまた使用することができる。
【0080】
本発明に係る潤滑組成物は、当業者に公知の全種類の耐酸化剤を含有することができる。
【0081】
有利には、潤滑組成物は、少なくとも1つの灰非含有耐酸化剤を含むことができる。
【0082】
また有利には、本発明に係る潤滑組成物は、潤滑組成物の全体重量に対して0.5〜2wt%の少なくとも1つの耐酸化剤を含むことができる。
【0083】
本発明に係る潤滑組成物はまた、少なくとも1つの洗剤添加剤を含むことができる。
【0084】
洗剤添加剤により、一般的に、二次酸化及び燃焼生成物の溶解による金属部品の表面上での堆積物形成を低減することができる。
【0085】
本発明に係る潤滑組成物中で使用することができる洗剤添加剤は、一般的に当業者に公知である。洗剤添加剤は、長い親油性炭化水素鎖及び親水性ヘッドを含むアニオン性化合物であることができる。関連するカチオンは、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の金属カチオンであることができる。
【0086】
洗剤添加剤は、好ましくは、カルボン酸のアルカリ金属又はアルカリ土類金属塩、スルホン酸塩、サリチル酸塩、ナフタレン酸塩、及びフェネート塩から選択される。
【0087】
これらの金属塩は、一般的に、化学量論的量又はそれ以上、したがって化学量論量超で金属を含む。そして、これは、過塩基化した洗剤添加剤に関し、洗剤添加剤に過塩基化特性をもたらす過剰な金属は、油中で不溶な金属塩、例えば、炭酸塩、水酸化物、シュウ酸塩、酢酸塩、グルタミン酸塩、好ましくは炭酸塩の形態である。
【0088】
有利には、本発明に係る潤滑組成物は、潤滑組成物の全体重量に対して0.5〜4wt%の洗剤添加剤を含むことができる。
【0089】
また有利には、本発明に係る潤滑組成物はまた、少なくとも1つの流動点抑制剤を含むことができる。
【0090】
パラフィン結晶の形成を遅らせることで、流動点抑制剤は、一般的に、本発明に係る潤滑組成物の低温挙動を改善させる。
【0091】
流動点抑制剤の例として、アルキルポリメタクリレート、ポリアクリレート、ポリアリールアミド、ポリアルキルフェノール、ポリアルキルナフタレン、及びアルキル化ポリスチレンを挙げることができる。
【0092】
有利には、本発明に係る潤滑組成物はまた、少なくとも1つの分散剤を含むことができる。
【0093】
分散剤は、マンニッヒ塩基、スクシンイミド及びそれらの誘導体から選択することができる。
【0094】
また有利には、本発明に係る潤滑組成物は、潤滑組成物の全体重量に対して0.2〜10wt%の分散剤を含むことができる。
【0095】
本発明の潤滑組成物はまた、少なくとも1つの増粘剤、例えば、ポリイソブチレン又はその誘導体を含むことができる。
【0096】
本発明の好ましい実施形態において、潤滑組成物は増粘剤としてポリイソブチレンを含むことができる。
【0097】
そのような実施形態では、特に、高温で、潤滑組成物の洗剤特性をさらに改善することが可能となる。
【0098】
有利には、本発明に係る潤滑組成物は、潤滑組成物の全体重量に対して0.1〜5wt%の増粘剤を含むことができる。
【0099】
本発明の潤滑組成物はまた、少なくとも1つの粘度指数向上剤を含むことができる。粘度指数向上剤の例としては、スチレン、ブタジエン及びイソプレンの水素化又は非水素化のポリマーエステル、ホモポリマー又はコポリマー、ポリアクリレート、ポリメタクリレート(PMA)、又は代替的にオレフィンコポリマー、特にエチレン/プロピレンコポリマーが挙げられる。
【0100】
本発明に係る潤滑組成物は、様々な形態であることができる。本発明に係る潤滑組成物は、特に、無水組成物であることができる。
【0101】
好ましくは、この潤滑組成物はエマルジョンではない。
【0102】
好ましくは、本発明に係る潤滑組成物は、(ASTM D445に従って測定して)、12cSt以上、好ましくは12〜17cStのKV100により特徴付けられる。
【0103】
上述した潤滑組成物は、ガスエンジンを潤滑するために使用される。
【0104】
上述した潤滑組成物は、任意のタイプのガス、特に低メタン価、好ましくは80未満、より好ましくは60未満のメタン価を有するガスを使用してガスエンジンを潤滑するために使用される。
【0105】
メタン価がより低い値になると、ガスの燃焼品質が低くなることが理解されるべきである。
【0106】
本発明に係るガスエンジンとは、特に、
−定置式ガスエンジン;
−可動式ガスエンジン、特に、車両用ガスエンジン、例えば、重量品用車両又は公共輸送用車両、例えばバスだけでなく、海洋車両、例えばボート用のガスエンジン
を意味する。
【0107】
好ましい実施形態において、上述した潤滑組成物は、定置式ガスエンジンを潤滑するために使用される。
【0108】
本発明はまた、ガスエンジンを潤滑するための、潤滑組成物中での少なくとも1つの鉱物基油と、ポリオールエステルから選択される少なくとも1つのエステルとの使用に関する。
【0109】
鉱物基油、ポリオールエステル、及びガスエンジンに対して記載された全ての特性及び好ましい態様は、本使用に適用される。
【0110】
本発明はまた、少なくとも1つのエンジンの機械部品を、少なくとも1つの鉱物基油と、ポリオールエステルから選択される少なくとも1つのエステルとを含む潤滑組成物に接触させることを含むガスエンジンの潤滑方法に関する。
【0111】
潤滑組成物及びガスエンジンに対して説明された全ての特徴及び好ましい態様は、本方法に適用される。
【0112】
本発明の様々な態様は、以下の非限定的な例によって例示することができる。
【実施例】
【0113】
例1:本発明に係る潤滑組成物の調製
本発明に係る潤滑組成物CL1の種々の成分を表1に示す製品の性質及び量に従って混合した。パーセントは重量パーセントに対応する。
【0114】
【表2】
【0115】
例2:潤滑組成物CL1の酸化性能の評価
評価は、潤滑組成物を、150℃の温度で48時間窒素酸化物で酸化することで行った。
【0116】
耐酸化性は、酸化前後でASTM D445に従って100℃で測定した動粘度の差を測定することで評価され、粘度の増加率として表現される。パーセントが低いほど、耐酸化性が良好である。
【0117】
35%以下の粘度増加率であれば、許容される耐酸化性に相当する。
【0118】
結果を表2に示す。
【0119】
【表3】
【0120】
結果は、本発明に係る潤滑組成物が許容できる耐酸化性を有することを示している。
【0121】
例3本発明に係る潤滑組成物の調製
本発明に係る潤滑組成物CL2、CL3及びCL4及び比較の潤滑組成物CC1の種々の成分を、表3に示した製品の性質及び量に従って混合した。
【0122】
パーセントは重量パーセントに対応する。
【0123】
【表4】
【0124】
例4:潤滑組成物CL2、CL3及びCL4の貯蔵安定性の評価
室温で目視評価を行い、当該目視評価は、組成物中にかすみが存在するかに基づく。
【0125】
結果を表4に示す。
【0126】
【表5】
【0127】
結果は、本発明に係る潤滑組成物が経時的に安定であることを示している。
【0128】
例5:潤滑組成物CL2及びCC1の洗剤特性の評価
この評価は、GFC Lu29−A−15に従ったPCT試験により行った。
【0129】
評点の値が高いほど、潤滑組成物の洗剤特性が良好である。
【0130】
結果を表5に示す。
【0131】
【表6】
【0132】
結果は、本発明に係る潤滑組成物が、特に高温において、改善した洗剤特性を有することを示している。
【0133】
例6:本発明に係る潤滑組成物の調製
本発明に係る潤滑組成物CL5、CL6、CL7、CL8、CL9及びCL10、並びに比較の潤滑組成物CC2の種々の成分を、表6に示される製品の性質及び量に従って混合した。パーセントは重量パーセントに対応する。
【0134】
【表7】
【0135】
例7:潤滑組成物CL5、CL6、CL7、CL8、CL9及びCL10の貯蔵安定性の評価
目視評価を例4と同様に行った。
【0136】
結果を表7に示す。
【0137】
【表8】
【0138】
結果は、本発明に係る潤滑組成物が経時的に安定であることを示している。
【0139】
例8:潤滑組成物CL5、CL6、CL8、CL9及びCL10並びに潤滑組成物CC2の耐酸化性の評価
評価を例2に記載したものと同様に行った。
【0140】
結果を表8に示す。
【0141】
【表9】
【0142】
結果は、本発明に係る潤滑組成物が良好な耐酸化性を有することを示している。
【0143】
例9:潤滑組成物CL5、CL7及びCL9の洗剤特性の評価
この評価は、例5に示されるものと同様に行った。
【0144】
結果を表9に示す。
【0145】
【表10】
【0146】
結果は、本発明に係る潤滑組成物が、特に高温において、改善した洗剤特性を有することを示している。
【0147】
例10:潤滑組成物CL5、CL6、CL7、CL8、CL9及びCL10の洗剤特性の評価
この評価はGFC L−27−T−07に従ったMCT試験により行った。評点の値が高いほど、潤滑組成物の洗剤特性が良好である。
【0148】
最初のワニスの出現時の温度が高いほど、高温での洗剤特性が良好である。
【0149】
結果を表10に示す。
【0150】
【表11】
【0151】
結果は、本発明に係る潤滑組成物が、特に高温において、改善した洗剤特性を有することを示している。
【0152】
結果はまた、特に高温において、ポリイソブチレンの追加によりさらに洗剤特性が改善することができることを示している。
【0153】
例11:本発明に係る潤滑組成物の調製
本発明に係る潤滑組成物CL11の種々の成分を、表11に示された製品の性質及び量に従って混合した。
【0154】
パーセントは重量パーセントに対応する。
【0155】
【表12】
【0156】
例12:潤滑組成物CL11の耐酸化性の評価
この評価を例2で説明したものと同様に行った。
【0157】
結果を表12に示す。
【0158】
【表13】
【0159】
結果は、本発明に係る潤滑組成物が良好な耐酸化性を有することを示している。
【0160】
例13:潤滑組成物CL11の洗剤特性の評価
この評価を、例5及び例10で説明したものと同様に行った。
【0161】
結果を表13に示す。
【0162】
【表14】
【0163】
結果は、本発明に係る潤滑組成物が、特に高温において、改善した洗剤特性を有することを示している。