特開2021-185777(P2021-185777A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特開2021185777-コロナウイルス検査システム 図000003
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2021-185777(P2021-185777A)
(43)【公開日】2021年12月13日
(54)【発明の名称】コロナウイルス検査システム
(51)【国際特許分類】
   C12M 1/34 20060101AFI20211115BHJP
   B60P 3/00 20060101ALI20211115BHJP
   C12Q 1/04 20060101ALN20211115BHJP
   C12Q 1/686 20180101ALN20211115BHJP
【FI】
   C12M1/34 B
   B60P3/00 N
   C12Q1/04
   C12Q1/686 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2020-92023(P2020-92023)
(22)【出願日】2020年5月27日
(71)【出願人】
【識別番号】520165755
【氏名又は名称】医療法人ハタ・クリニック
(74)【代理人】
【識別番号】100080746
【弁理士】
【氏名又は名称】中谷 武嗣
(72)【発明者】
【氏名】秦 忠世
【テーマコード(参考)】
4B029
4B063
【Fターム(参考)】
4B029AA07
4B029BB13
4B029FA03
4B063QA01
4B063QA18
4B063QA19
4B063QQ02
4B063QQ52
4B063QR62
4B063QS25
4B063QS36
(57)【要約】
【課題】検査希望者が歩いて、又は自転車や車等で、簡単に検査を受けに行くことが可能であって、多数の検査件数を各地域においてこなすことができるコロナウイルス検査システムを提供する。
【解決手段】車両(C)に積載して移動可能なコロナウイルス検査ユニット(1)を、戸外に設けられた仮検査場(S)に設置して検査を行い、検査後は、該車両(C)に積載して他の仮検査場(S)に順次移動、設置、検査を繰り返すコロナウイルス検査システム。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両(C)にコロナウイルス検査ユニット(1)を積載して、戸外に設けた仮検査場(S)まで移送し、該検査ユニット(1)を戸外に設けた上記仮検査場(S)に設置してコロナウイルス検査を行い、検査後は、上記コロナウイルス検査ユニット(1)を上記車両(C)に積載して、戸外に設けた他の仮検査場(S)に、順次、移動、設置、検査を繰り返すことを特徴とするコロナウイルス検査システム。
【請求項2】
上記検査ユニット(1)は、検査員(T)が出入り可能なボックス体(11)と、該ボックス体(11)内に設置されるPCR装置(12)を、備え、
さらに、上記ボックス体(11)は、内部の検査員(T)と外部の被験者(E)とを隔離する透明板(2)を一部に有し、かつ、該透明板(2)は検体採取具(4)を受け入れる検体投入口(5)を有する請求項1記載のコロナウイルス検査システム。
【請求項3】
上記検査ユニット(1)は、検査員(T)が出入り可能なボックス体(11)と、該ボックス体(11)内に設置されるPCR装置(12)と、被験者(E)が出入り可能なもう1つのボックス体(22)と、を備えている請求項1記載のコロナウイルス検査システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コロナウイルス検査システムに関する。
【背景技術】
【0002】
現在、世界的に新型コロナウイルス(COVID−19)が流行しており、感染の有無を判別するPCR(ポリメラーゼ連鎖反応)検査を大規模に行うことが強く求められている。従来の検査方法として、特許文献1に記載の検査方法が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015−23822号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1記載の検査方法を行うためのPCR検査装置を病院に設置するには、「コロナ指定病院」として指定を受けなければならず、指定のための手続きに時間を要し、ウイルス流行に速やかに対応することが困難となっている。また、指定を受けた病院においても、病院内で感染が起こった場合、病院が閉鎖され、医療崩壊につながる虞れもある。
【0005】
また、市役所やショッピングセンターの駐車場等の屋外に仮検査場を設け、検査ユニットを設置して、検査を行うことも行われているが、全国的に広く検査を行うためには、地域住民が短時間で歩いて来ることができる範囲の場所に多数の仮検査場を設ける必要があり、検査ユニットの数が不足している。
【0006】
さらに、検査ユニットの増産が可能になっても、検査機器を扱うことのできる技術者の不足はさらに深刻であり、検査ユニットを各市町村で導入できたとしても、検査機器を扱う技術者の不足により十分な数の検査が行えないという問題があった。
【0007】
そこで、本発明は、限られた検査員・技術者をもって、多人数の検査を効率的に、かつ、広い地域にわたって行うことを可能とするコロナウイルス検査システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係るコロナウイルス検査システム(検査方法)は、車両にコロナウイルス検査ユニットを積載して、戸外に設けた仮検査場まで移送し、該検査ユニットを戸外に設けた上記仮検査場に設置してコロナウイルス検査を行い、検査後は、上記コロナウイルス検査ユニットを上記車両に積載して、戸外に設けた他の仮検査場に、順次、移動、設置、検査を繰り返すものである。
【0009】
また、上記検査ユニットは、検査員が出入り可能なボックス体と、該ボックス体内に設置されるPCR装置を、備え、さらに、上記ボックス体は、内部の検査員と外部の被験者とを隔離する透明板を一部に有し、かつ、該透明板は検体採取具を受け入れる検体投入口を有するものである。
【0010】
また、上記検査ユニットは、検査員が出入り可能なボックス体と、該ボックス体内に設置されるPCR装置と、被験者が出入り可能なもう1つのボックス体と、を備えたものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明のコロナウイルス検査システム(検査方法)によれば、検査希望者が短時間で行くことができ、多数の検査件数を広範な地域においてこなすことができ、ウイルス感染予防に貢献できる。しかも、病院等の医療崩壊を防止できる。これにより、コロナウイルスの早期消滅に貢献できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の実施の一形態を示す構成説明図である。
図2】本発明の検査方法を示す図であり、(A)は検査ユニットを使用して検査をしている状態を示す斜視図、(B)は検体採取を示す説明図である。
図3】検査ユニットを車両に搭載した状態を示す側面図である。
図4】本発明の検査ユニットの他の例を示す斜視図である。
図5】本発明の検査ユニットの別の例を示す簡略側面断面図であり、(A)は2つのボックス体を連結する場合の簡略側面断面図、(B)はボックス体が一体型である場合の簡略側面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図示の実施の形態に基づき本発明を詳説する。
図1図3に示した実施の形態に於て、検査ユニット1は、車両Cにより運搬され、各所に設けられた仮検査場Sに設置される。それぞれの仮検査場Sにおける検査日時を予め設定して、近隣住民に告知する。仮検査場Sが設置される当該地区の状態により、仮検査場Sの設定数を増減する。
【0014】
仮検査場Sは、例えば、医療機関の駐車場等であって、近隣住民が迷わず来訪できる場所とする。仮検査場Sでの検査が終了すると、検査ユニット1は、図3に示すように、再び車両Cに積載され、次の仮検査場Sに向けて運ばれ、同様に検査を行う。これを繰り返すことにより、少数の検査ユニット1で複数場所において検査を順次実施できる。すなわち、車両Cによる検査ユニット1の運搬と予め設定した複数の仮検査場Sとを組み合わせた方法である。また、検査希望者は、特別な準備が必要なく、居住場所の最寄りの仮検査場Sに行って、その場で検査を受けることができる。
【0015】
仮検査場Sの設定は、当該地域の人口等の条件を考慮して、適切な密度で予め設定する。人口密度の高い地域では、検査人数が検査ユニット1の能力に対して過大になることを防ぐため、より細かな設定を行う。この場合、大規模な医療機関等の施設近辺だけでなく、各地区の医療機関、公民館、コミュニティセンタ等の小規模な施設近辺にも設定できる。
【0016】
また、人口密度の低い地域では、検査ユニット1の能力に対して検査希望者の人数が少ない場合が考えられるが、その場合には、1箇所の仮検査場Sにおける検査ユニット1の滞在時間を短めに設定して、より多くの仮検査場Sを順回することができるようにする。いずれの場合にも、仮検査場Sは、車両Cが駐車できる面積及び検査ユニット1が設置できる面積が確保できる場所であれば、すなわち、普通乗用車2台が駐車できる程度の面積があれば、上述の場所に限らず、小規模な公園や、都市部のコインパーキング等の小規模駐車場でも検査が実施できる。
【0017】
図2(A)は、検査実施中の検査ユニット1を示す。検査ユニット1は、検査員Tが出入り可能なボックス体11と、該ボックス体11内に設置されるPCR装置12を、備える。
さらに、上記ボックス体11は、内部の検査員Tと外部の被験者Eとを隔離する透明板2を一部に有し、かつ、該透明板2は検体採取具4を受け入れるための検体投入口5を有する。
検査員Tが検体採取具4(シャーレ等)を検体投入口5を通して被験者Eに渡し、被験者Eは、図2(B)に示すように、検体としての唾液を、検査員Tの指導を受けながら検体採取具4に採取して、検体採取具4に蓋4Aを被せた上で、検体投入口5を通して検査員Tに渡す。また、感染を防ぐ防護服を着用した技術者Gが、検査機器を操作する。検体投入口5からのウイルス侵入を防止するため、検査員Tが入るボックス体11は、軽く与圧することが望ましい。図示省略するが、検体投入口5に、上下にスライドする開閉可能な扉を設けることも好ましい。
【0018】
ここで、技術者Gと検査員Tの両名がボックス体11の中に入れるようにすると、検査ユニット1のサイズが大きくなりすぎて、車両Cによる運搬及び仮検査場Sにおける設置作業が困難となるため、より近くで被験者Eと接触することになる検査員Tのみがボックス体11の中に入ることとした。また、ボックス体11には、ウイルスが不活性化する温度以上の空気を絶えず循環、放出する空気循環装置15、殺菌・減菌用のライト16、及び次亜塩素酸ソーダの噴霧装置17を付設することが望ましい。
【0019】
検査ユニット1が備えるPCR装置12として、例えば、プレシジョン・システム・サイエンス株式会社のgeneLEADシステム(PCR全自動検査システム)を使用することにより、1人あたり10分以下での検査を可能としている。このため、1つの検査ユニット1あたり、1日に100人以上の多人数の検査が可能である。
【0020】
次に、図4は、検査ユニット1の他の例を示す。検査ユニット1は、検査員Tが出入り可能なボックス体11と、該ボックス体11内に設置されるPCR装置12と、被験者Eが出入り可能なもう1つのボックス体22と、を備える。図4においては、ボックス体22内部の様子をわかりやすくするため、ボックス体22を2点鎖線で示す。なお、ボックス体22の内部構成、及び、ボックス体11との連結構造等については、図5(A)又は図5(B)のように構成するのが望ましい。
【0021】
図5は、ボックス体11と、もう1つのボックス体22との配置例を示す。図5(A)は、ボックス体11と、もう1つのボックス体22とが連結される場合であり、図5(B)は、ボックス体11と、ボックス体22が一体状に形成されている場合である。
【0022】
いずれの場合にも、図5(A)又は図5(B)に示すように、ボックス体11とボックス体22のそれぞれに、ウイルスが不活性化する温度以上の空気を絶えず循環、放出する空気循環装置15,25、殺菌・減菌用のライト16,26、及び次亜塩素酸ソーダの噴霧装置17,27を付設することが望ましい。この構成により、検査員Tと被験者Eとの間の感染、及び検査ユニット1の外部で検査を待っている他の被験者への感染が、より確実に予防できる。
【0023】
本発明の方法により、ある県内で検査を行う場合を想定すると、県内の人口密度の高い地域と低い地域とでは、設定される仮検査場Sの数、各仮検査場Sにおいて検査に当てられる時間の長さ、検査を行った人数等の条件が大きく異なることが予想される。そこで、検査を行いながら、これらの条件及び検査結果を各検査ユニット1ごとに集計することで、県内の各地域の感染状況の期間ごとの推移を正確に把握することが可能となる。さらに、他の県、他の地方とも連携して全国的な規模で検査を続けることにより、検査結果が集約され、全国的な規模の感染状況を正確に把握することが可能となる。
【0024】
本発明は、上述の実施例に限定されず、例えば、図2において、ボックス体11は、正面の面積の略半分に透明板2を装備しているが、検査過程を妨げない範囲で透明板2の面積を増減させてもよい。また、図3では、検査ユニット1を車両Cに横積みしているが、より天井高の高い車両Cに縦に積んでもよい。その場合、転倒防止のため、車両Cの荷台に検査ユニット1を固定する枠等を装備する。縦積みの場合、1台の車両Cに複数の検査ユニット1を積むことができ、特に検査需要の多い地域に対応できる。
【0025】
本発明は以上詳しく説明したように、車両Cにコロナウイルス検査ユニット1を積載して、戸外に設けた仮検査場Sまで移送し、該検査ユニット1を戸外に設けた上記仮検査場Sに設置してコロナウイルス検査を行い、検査後は、上記コロナウイルス検査ユニット1を上記車両Cに積載して、戸外に設けた他の仮検査場Sに、順次、移動、設置、検査を繰り返すことを特徴とするコロナウイルス検査システム(検査方法)であるので、検査希望者が短時間で行くことができる仮検査場を多数設け、多数の検査件数を広範な地域においてこなすことができ、ウイルス感染予防に貢献できる。また、検査を行う当該地域の人口等の条件を考慮して、適切な数の仮検査場Sを設定し、検査ユニット1の能力を最大限に発揮させることができる。
【0026】
また、上記検査ユニット1は、検査員Tが出入り可能なボックス体11と、該ボックス体11内に設置されるPCR装置12を、備え、さらに、上記ボックス体11は、内部の検査員Tと外部の被験者Eとを隔離する透明板2を一部に有し、かつ、該透明板2は検体採取具4を受け入れる検体投入口5を有するので、被験者Eが検査員Tの指導を受けながら自ら検体を採取して、効率的に検査を行うことができる。
【0027】
また、上記検査ユニット1は、検査員Tが出入り可能なボックス体11と、該ボックス体11内に設置されるPCR装置12と、被験者Eが出入り可能なもう1つのボックス体22と、を備えているので、検査員Tと被験者Eとの間の感染、及び検査ユニット1の外部で検査を待っている他の被験者への感染が、より確実に予防できる。
【符号の説明】
【0028】
1 検査ユニット
2 透明板
4 検体採取具
5 検体投入口
11 ボックス体
12 PCR装置
22 ボックス体
C 車両
S 仮検査場
T 検査員
E 被験者
図1
図2
図3
図4
図5