特開2021-185794(P2021-185794A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2021-185794(P2021-185794A)
(43)【公開日】2021年12月13日
(54)【発明の名称】トンネル栽培用のアーチ支柱
(51)【国際特許分類】
   A01G 13/02 20060101AFI20211115BHJP
   A01G 7/06 20060101ALI20211115BHJP
   A01M 29/12 20110101ALI20211115BHJP
【FI】
   A01G13/02 G
   A01G7/06 A
   A01M29/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2020-92835(P2020-92835)
(22)【出願日】2020年5月28日
(71)【出願人】
【識別番号】520188134
【氏名又は名称】篠塚 政嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100129056
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 信雄
(72)【発明者】
【氏名】篠塚 政嗣
【テーマコード(参考)】
2B022
2B024
2B121
【Fターム(参考)】
2B022EA01
2B022EA10
2B022EB10
2B024EB02
2B121AA11
2B121CA02
2B121CB47
2B121CB61
2B121CC02
2B121CC21
2B121EA26
2B121FA13
(57)【要約】
【課題】作物の生育途中での施肥等を可能にすると共に、ビニールなどの被覆材を開放した際の害虫の侵入を防除し得るトンネル栽培用のアーチ支柱を提供する。
【解決手段】畝Gをビニールなどの被覆材Bでトンネル状に覆って作物を栽培するトンネル栽培に用いられるアーチ支柱10であって、中空部21を有するパイプフレーム20をアーチ状に屈曲することで成形されて成り、該パイプフレーム20の中空部21における所定中間箇所には、薬剤Yを収納可能な収納部22が形成されると共に、該パイプフレーム20のアーチ状を成す内周側面所定箇所には、中空部21と貫通する一乃至複数の噴出孔23が形成されて成る手段を採る。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
畝(G)をビニールなどの被覆材(B)でトンネル状に覆って作物を栽培するトンネル栽培に用いられるアーチ支柱(10)であって、
該アーチ支柱(10)は、中空部(21)を有するパイプフレーム(20)をアーチ状に屈曲することで成形されて成り、
該パイプフレーム(20)の中空部(21)における所定中間箇所には、薬剤(Y)を収納可能な収納部(22)が形成されると共に、該パイプフレーム(20)のアーチ状を成す内周側面所定箇所には、中空部(21)と貫通する一乃至複数の噴出孔(23)が形成されて成ることを特徴とするトンネル栽培用のアーチ支柱(10)。
【請求項2】
前記噴出孔(23)に開閉蓋(24)が備えられて成ることを特徴とする請求項1記載のトンネル栽培用のアーチ支柱(10)。
【請求項3】
前記パイプフレーム(20)が、所定中間箇所で複数に分割され且つ着脱可能に成形されて成ることを特徴とする請求項1または請求項2記載のトンネル栽培用のアーチ支柱(10)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、農作物や園芸植物の栽培において、畝をビニールなどでトンネル状に覆って作物を栽培するトンネル栽培に用いられるアーチ支柱に関するものである。
【背景技術】
【0002】
トンネル栽培は、トンネル状の支柱にビニールなどの被覆材を被せて保温し、その中で農作物や園芸植物を栽培する手法であって、従来より、種苗や野菜を栽培する際の植物保護を目的とした栽培方法として行われている。作物を栽培するためには、畑に畝を作った方が良く育つことが知られており、これは土の流出を防ぎ、根土の通気性を高めて根の成長を促進させるために行われるもので、トンネル栽培は、この畝の上方をさらにビニールなどの被覆材で覆うようにした栽培方法である。具体的には、畝上にて70〜80cm程度の所定間隔をおいてアーチ状の支柱を設置し、その上にビニールなどの被覆材を被覆することでトンネルを形成して、いわば小型のビニールハウス風の態様を採るものである。かかるトンネル栽培は、植え付けたばかりの作物を強い日差しや気温の変化から保護して防寒・防霜・保温効果を奏すると共に、強風や湿度の調節を可能にし、さらには害虫防除機能を発揮するものであって、弱い葉物の野菜や生育初期の作物のために理想的な環境をもたらすものとして、多く採用されている。
【0003】
トンネル栽培では、ビニールなどの被覆材で被覆しまった後に施肥を行うことが困難であるため、施肥する場合には、被覆以前に行う必要がある。しかしながら、作物によっては生育途中で施肥が必要な場合もあり、本来的にはトンネル栽培により生育を行いたくとも、そのような作物には不向きな栽培法であった。
また、トンネル栽培では、換気のために被覆したビニールなどの被覆材を部分的に開閉する作業が必須となるが、開放した際に害虫がトンネル内に侵入してしまうことがあり、その後に閉塞してしまうことで、せっかくの作物が害虫に食い荒らされてしまうこともあった。
【0004】
上記の様な問題を解決すべく、トンネル栽培における種々の技術提案が従来からなされている。かかる従来の技術提案として、例えば、トンネル栽培等に用いられる耕作地を覆う防虫や保温の為の被覆材にあって、被覆材の縁に縁の持上り防止の重しを取付た状態で簡便且つ容易に開閉が行え、閉じればその状態を保持し開けなくする事を可能にする縁を備えた「農業用被覆材」(特許文献1)が提案され、公知技術となっている。
【0005】
しかしながら、かかる「農業用被覆材」の提案は、トンネル被覆資材を土に埋める事なく気密性を保ち密着固定でき、且つ、被覆材の開閉に要する労力と作業時間の短縮を図ることで、害虫の攻撃・被害を受け難くするものであるが、被覆材を開放した際の害虫の侵入を確実に防除するものではなく、未だ上記問題を解決するものではなかった。
【0006】
また、従来の技術提案として、例えば、トンネル用支柱に被覆して栽培作物を覆うトンネルを形成するトンネル栽培用の防虫ネットに、収穫する作物を取りだす収穫用ファスナー付開口部を形成した「農業用防虫ネット」(特許文献2)が提案され、公知技術となっている。
【0007】
しかしながら、かかる「農業用防虫ネット」の提案は、防虫ネットに収穫用ファスナー付開口部を形成することで、該ファスナーを開いてトンネル内部から収穫する作物を取り出すことができるにとどまり、未だ上記問題を解決するものではなかった。
【0008】
本出願人は、植物保護を目的としたトンネル栽培に着目し、作物の生育途中での施肥等を可能にすると共に、ビニールなどの被覆材を開放した際の害虫の侵入を防除する手段はないものかという着想の下、これらを解決し得るトンネル栽培用のアーチ支柱を開発し、本発明における「トンネル栽培用のアーチ支柱」の提案に至るものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2016−19545号公報
【特許文献2】特開2001−218530号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、上記問題点に鑑み、作物の生育途中での施肥等を可能にすると共に、ビニールなどの被覆材を開放した際の害虫の侵入を防除し得るトンネル栽培用のアーチ支柱を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するため、本発明は、畝をビニールなどでトンネル状に覆って作物を栽培するトンネル栽培に用いられるアーチ支柱であって、該アーチ支柱は、中空部を有するパイプフレームをアーチ状に屈曲することで成形されて成り、該パイプフレームの中空部における所定中間箇所には、薬剤を収納可能な収納部が形成されると共に、該パイプフレームのアーチ状を成す内周側面所定箇所には、中空部と貫通する一乃至複数の噴出孔が形成されて成る手段を採る。
【0012】
また、本発明は、前記噴出孔に開閉蓋が備えられて成る手段を採る。
【0013】
さらに、本発明は、前記パイプフレームが、所定中間箇所で複数に分割され着脱可能に成形されて成る手段を採る。
【発明の効果】
【0014】
本発明にかかるトンネル栽培用のアーチ支柱によれば、該アーチ支柱を構成するパイプフレームの中空部に薬剤を収納可能な収納部が形成されると共に、アーチ状を成す内周側面所定箇所に中空部と貫通する噴出孔が形成されることで、収納部に収納した薬剤が気化しつつ中空部を通って噴出孔から噴出されることとなって、被覆材にてトンネル状に覆われたトンネル栽培において、トンネル内を各種効能を有する気化した薬剤で充満させることができるため、作物の生育途中での施肥等を可能にすると共に、ビニールなどの被覆材を開放した際の害虫の侵入を防除し得る、といった従来にない優れた効果を奏する。
【0015】
また、本発明にかかるトンネル栽培用のアーチ支柱によれば、収納される薬剤の種類として、作物に対して好適な防虫剤や植物生長調整剤、肥料、害虫が嫌う芳香を奏する芳香剤などを選択的に採用することができ、また、一のトンネル栽培において複数存するアーチ支柱ごと、これら各種効能を奏する薬剤を重複して使用することで、例えば防虫効果と施肥効果とを同時に発揮させることが可能となる、といった優れた効果を奏する。
【0016】
さらに、本発明にかかるトンネル栽培用のアーチ支柱によれば、薬剤の形態について、収納部に収納し得るものであれば、固形状や液状、粒状など限定されるものではなく、各種形態の薬剤を採用し得る、といった優れた効果を奏する。
【0017】
またさらに、本発明にかかるトンネル栽培用のアーチ支柱によれば、噴出孔に開閉蓋を備えて該噴出孔の数や大きさを適宜調節することで、気化した薬剤の噴出量を作物の生長時期や種類、生育環境に合わせて任意に調整することができる、といった優れた効果を奏する。
【0018】
さらにまた、本発明にかかるトンネル栽培用のアーチ支柱によれば、パイプフレームが所定中間箇所で複数に分割され着脱可能に成形される態様を採用することによって、格納ならびに運搬が容易であると共に、設営作業も容易となり、さらには、噴出孔の数や大きさが異なるパイプフレームを組み合わせたり、薬剤の形態によって異なる構造を有する収納部を備えたパイプフレームを組み合わせるなど、構造設計の自由度が増す、といった優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明にかかるトンネル栽培用のアーチ支柱の実施形態を示す説明図である。(実施例1)
図2】本発明にかかるトンネル栽培用のアーチ支柱の他の実施形態を示す説明図である。(実施例2)
図3】本発明にかかるトンネル栽培用のアーチ支柱の他の実施形態を示す説明図である。(実施例3)
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明にかかるトンネル栽培用のアーチ支柱10は、畝Gをビニールなどの被覆材Bでトンネル状に覆って作物を栽培するトンネル栽培に用いられるアーチ支柱10であって、中空部21を有するパイプフレーム20をアーチ状に屈曲することで成形されて成り、該パイプフレーム20の中空部21における所定中間箇所には、薬剤Yを収納可能な収納部22が形成されると共に、該パイプフレーム20のアーチ状を成す内周側面所定箇所には、中空部21と貫通する一乃至複数の噴出孔23が形成されて成る手段を採用したことを最大の特徴とする。
以下、本発明にかかるトンネル栽培用のアーチ支柱10の実施形態を、図面に基づいて説明する。
【0021】
尚、本発明にかかるトンネル栽培用のアーチ支柱10は、以下に述べる実施例に限定されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲内、すなわち同一の作用効果を発揮できる形状や寸法、構造等の範囲内で、適宜変更することができるものである。
【実施例1】
【0022】
図1は、本発明にかかるトンネル栽培用のアーチ支柱10の実施形態を示す説明図であり、(a)は全体図、(b)は使用態様図である。
該アーチ支柱10は、中空部21を備えた所定の長さ及び太さを有するパイプフレーム20を、アーチ状に屈曲することで成形されて成る。
【0023】
パイプフレーム20は、所定長さ及び太さを有し、長手方向に貫通した中空部21を備えた棒状体であって、全体外形が長尺の円筒棒状体若しくは多角筒棒状体をアーチ状に屈曲して成形されている。該パイプフレーム20の材質については、特に限定するものではないが、例えば、農業用のアルミ又は鋼パイプを金属メッキならびに合成樹脂コーティングしたものや、軽量化の観点から全体が合成樹脂により成形されて成るものが使用される。
【0024】
中空部21は、パイプフレーム20を長手方向に貫通して備えられるもので、気化した薬剤Yが通気可能な所定径を有して形成されることで、後述する収納部22に収納された薬剤Yの流路として機能する。
【0025】
収納部22は、パイプフレーム20の中空部21における所定中間箇所に備えられるもので、中空部21の一部空間を利用して形成されて成り、薬剤Yを収納可能な空間として機能する。これにより、収納部22に収納された薬剤Yは、中空部21を流路として移動可能となっている。該収納部22の形成箇所については、特に限定はないが、後述する噴出孔23からの薬剤Yの均一的放出に鑑みると、図示の様にアーチ状を成すパイプフレーム20の頂上部近傍に形成される態様が好ましい。該収納部22は、外部から薬剤Yを収納可能とすべく、パイプフレーム20におけるアーチ状を成す外周側面が、図示の様に開口されている。
【0026】
収納部22の開口は、開閉蓋により開放及び閉塞を可能とする態様が好適である。かかる開閉蓋を備えることで、薬剤Yを収納後に開口を閉塞することが可能となり、薬剤Yの収納形態を安定的に保持することができると共に、収納した薬剤Yの開口からの蒸散を防止して、全てを中空部21へ気化移動させることが可能となるため、長期的な薬効に資する。かかる開閉蓋は、開口を閉塞し得る構造であれば、その具体的構造について特に限定するものではないが、例えば図2に示す様に、柔軟性を有して内側に付勢するホース状のキャップにスリットを設けた構造のものが考えられ、それをパイプフレーム20に嵌め込み適宜スライドさせることで、開口を開放したり閉塞したりすることが可能である。
【0027】
尚、図示してはいないが、収納部22とそれ以外の中空部21とを分ける壁体を備える態様が好ましく、固形状や液状、粒状など各種形態の薬剤Yを収納部22に収納した場合に、壁体が存することで薬剤Yが他の中空部21へ流出することなく、定位置に留まらせることが可能となり、収納性に資することとなる。但し、薬剤Yが気化した後は、収納部22から他の中空部21へ移動可能にすべく、壁体の少なくとも一部若しくは全部が網体や格子体、微細孔などといった通気性が備わる形態となっていることを要する。
【0028】
噴出孔23は、アーチ状を成すパイプフレーム20の内周側面所定箇所において、中空部21と貫通して形成される。該噴出孔23の形状は、中空部21と貫通するものであれば特に限定はなく、例えば丸小孔や方形長孔、スリット状孔などの形状を採用し得る。噴出孔23の数についても、特に限定するものではなく、パイプフレーム20の長さや噴出孔23の形状、希望する薬剤Yの噴出量などを考慮して適宜決定し得るものであり、一のパイプフレーム20に一乃至複数の噴出孔23が形成される。
【0029】
ところで、収納部22に収納する薬剤Yの種類については任意であり、例えば、作物に対して好適な防虫剤や植物生長調整剤、肥料、農薬、害虫が嫌う芳香を奏する芳香剤などを選択的に採用することが可能である。また、該薬剤Yの形態についても特に限定はなく、固形状や液状、粒状などあらゆる形態の薬剤Yを収納することが可能である。尚、図示の様に、これら任意の種類及び各種形態の薬剤Yを適宜カプセル内部に充填することで形成されたカプセル体により、収納部22への薬剤Yの収納を行う態様が好適である。すなわち、収納部22へ薬剤Yが充填されたカプセル体を収納する態様であって、かかる態様を採用することにより、薬剤Yの収納作業が容易であると共に、複数種の薬剤Yを調合して一つのカプセル体に充填することで、例えば防虫と施肥など複数の効能を一のカプセル体にて発揮させることも可能である。このとき、充填された薬剤Yが気化して中空部21へ流出し得るべく、カプセル体の外皮の少なくとも一部に通気構造を備えることが必要となる。
【0030】
以上の構成から成る本発明にかかるトンネル栽培用のアーチ支柱10について、その使用態様は次のとおりである。
すなわち、図1(b)に示す様に、畝Gには作物の苗あるいは種が適宜植えられている。その畝Gの上方にて、常法に従い70〜80cm程度の所定間隔をおいて複数のアーチ支柱10を埋設する。各アーチ支柱10におけるパイプフレーム20の収納部22に、必要に応じて適宜薬剤Yを収納する。収納する薬剤Yは、栽培作物に好適なもので、全アーチ支柱10に同種の薬剤Yを収納する態様のほか、各アーチ支柱10ごと別種の薬剤Yを収納して複数の効能を発揮させる態様も可能である。そして、アーチ支柱10の上からビニールなどの被覆材Bを覆い被せることで、簡易的なトンネルを形成する。収納部22に収納された薬剤Yは、経時的に気化して収納部22からパイプフレーム20の中空部21を移動し、噴出孔23からトンネル内へ噴出される。これにより、トンネル内が薬剤Yで充満し、栽培作物に好適な薬効が効果的に発揮されることとなる。
【0031】
尚、パイプフレーム20の中空部21は、長手方向に貫通していることから、噴出孔23とは別に、パイプフレーム20の端部も気化した薬剤Yが噴出され得る。したがって、中空部21を移動した薬剤Yについて、地中に埋設されたパイプフレーム20の端部から地中へ噴出させることで、栽培作物の根に栄養を付与する様な使用態様も可能である。
【0032】
このように、本発明にかかるトンネル栽培用のアーチ支柱10は、被覆材Bにてトンネル状に覆われたトンネル栽培において、防虫剤や植物生長調整剤、肥料、芳香剤などといった各種効能を有する気化した薬剤Yが、経時的に噴出することでトンネル内を気化した薬剤Yで充満させることが可能となり、作物の生育途中での施肥等を可能にすると共に、ビニールなどの被覆材Bを開放した際の害虫の侵入を防除し得ることとなる。
【実施例2】
【0033】
他の実施例について、図2に基づき説明する。実施例1と同様の部分は省略する。
図2は、本発明にかかるトンネル栽培用のアーチ支柱10の他の実施形態を示す説明図であり、具体的には、噴出孔23に開閉蓋24が備えられて成る手段を採るものである。
【0034】
実施例1において、アーチ支柱10の収納部22に薬剤Yを収納して気化した薬剤Yが噴出孔23から噴出されることで、トンネル内における作物の生育環境を好適にし得ることを説明した。しかしながら、栽培作物によっては、生育時期や時間の経時的変化によって薬剤Yの必要量が変化する場合が想定され、また、収納する薬剤Yの種類によって必要な噴出量を適宜調整したい場合も想定される。
そこで本実施例は、噴出孔23の数や大きさを適宜調節できる手段を採用することで、かかる課題を解決するものである。
【0035】
開閉蓋24は、噴出孔23を閉塞し得る構造であれば、その具体的構造について特に限定するものではないが、例えば図2に示す様に、柔軟性を有して内側に付勢するホース状のキャップにスリットを設けた構造のものが考えられ、それをパイプフレーム20に嵌め込み適宜スライドさせることで、噴出孔23の数や大きさを調節することが可能である。
【0036】
また、図示していないが、開閉蓋24の構造として、各噴出孔23に一つずつキャップ体を嵌合させる態様なども採用可能であり、必要に応じてキャップ体を装脱することで、噴出孔23の数や噴出位置を調節することが可能である。
同じく図示していないが、開閉蓋24の構造として、予めパイプフレーム20に噴出孔23を開閉し得るスライド式開閉扉が備えられる態様も考えられ、かかるスライド式開閉扉のスライド量を調節することで、噴出孔23の大きさを調節することが可能である。
【0037】
以上のとおり、噴出孔23に開閉蓋24が備わる手段を採用することで、該噴出孔23の数や位置、大きさを適宜調節することが可能であって、作物の生長時期や種類、薬剤Yの種類などに合わせて薬剤Yの噴出量を適宜調節することで、最適な生育環境をトンネル内に創出することが可能となる。
【実施例3】
【0038】
他の実施例について、図3に基づき説明する。実施例1乃至2と同様の部分は省略する。
図3は、本発明にかかるトンネル栽培用のアーチ支柱10の他の実施形態を示す説明図であり、具体的には、パイプフレーム20が、所定中間箇所で複数に分割され且つ着脱可能に成形されて成る手段を採るものである。
【0039】
本発明にかかるトンネル栽培用のアーチ支柱10は、アーチ状に屈曲して成形されているため、格納時や運搬時において嵩張ることが想定される。また、設営時におけるアーチ支柱10の配設箇所や栽培作物などによって、噴出孔23の大きさや数を変更したい場合も想定される。
そこで本実施例は、パイプフレーム20を所定中間箇所で複数に分割する手段を採用することで、かかる課題を解決するものである。
【0040】
パイプフレーム20における複数に分割され且つ着脱可能な構造については、特に限定するものではなく、常法手段を採用することが可能である。また、分割箇所についても、特に限定はなく、例えば図3に示す様に、アーチ状のパイプフレーム20の所定箇所で二分割に分離し得る態様が考え得る。このとき、分割箇所には、夫々雄雌の鞘管部と突出部が形成されることで、適宜装脱可能となっている。
【0041】
また、図示していないが、パイプフレーム20の分割箇所として、中央の収納部22を備える部分と左右の噴出孔23を備える部分との二箇所にて三分割に分離し得る態様が考え得る。このとき、分離した噴出孔23を備える部分のパイプフレーム20について、該噴出孔23の大きさや数の異なる複数形態のパイプフレーム20を幾つか用意し、必要に応じて適宜変更する態様を採用し得る。かかる態様により、噴出孔23を備えるパイプフレーム20を交換することで、薬剤Yの噴出量を適宜調節することが可能であって、最適な生育環境をトンネル内に創出することが可能となる。
【0042】
以上のとおり、パイプフレーム20が分割・着脱可能に成形される手段を採用することで、格納ならびに運搬が容易になると共に、設営作業も容易となり、さらには、噴出孔23の数や大きさが異なるパイプフレーム20を組み合わせたり、薬剤Yの形態によって異なる構造を有する収納部22を備えたパイプフレーム20を組み合わせるなど、構造設計の自由度が増すこととなる。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本発明にかかるトンネル栽培用のアーチ支柱は、畝をビニールなどでトンネル状に覆って作物を栽培するトンネル栽培だけでなく、農業用のビニールハウス栽培など、支柱を使用し被覆材で覆って作物を栽培・生育させる態様の栽培手法に広く採用することが可能である。よって、本発明にかかる「トンネル栽培用のアーチ支柱」の産業上の利用可能性は、極めて大であるものと思料する。
【符号の説明】
【0044】
10 アーチ支柱
20 パイプフレーム
21 中空部
22 収納部
23 噴出孔
24 開閉蓋
Y 薬剤
G 畝
B 被覆材(ビニール)
図1
図2
図3