【解決手段】草刈機は、縦軸回りに回転する刈刃を有する草刈部と、前記草刈部の周囲を覆うハウジングと、を備え、前記ハウジングは、当該ハウジングの骨組みを構成するフレームと、前記草刈部の周囲を覆うように前記フレームに着脱可能に取り付けられたカバー板と、を有している。好ましくは、ハウジングは、前記草刈部の上方及び周囲を覆い、前記フレームは、前記草刈部の上方に配置された枠状フレームを含み、前記カバー板は、前記枠状フレームの上部に取り付けられ且つ前記草刈部の上方を覆う天板と、前記天板とは別に前記枠状フレームの周囲に取り付けられ且つ前記草刈部の周囲を覆う側板と、を有する。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1,
図2は、本発明の一実施形態に係る草刈機1の全体構成を示す図である。
先ず、
図1,
図2を参照して、草刈機1の全体構成の概要を説明する。
草刈機1は、機体2、草刈部3、車輪4、ハンドル5、駆動機構6を備えている。
以下、説明の便宜上、ハンドル5を把持した状態の作業者の前側(
図1,
図2の矢印A方向)を前方、作業者の後側(
図1,
図2の矢印B方向)を後方、作業者の右側(
図1、
図3の矢印C方向)を右方、作業者の左側(
図1の矢印D方向)を左方として説明する。また、前後方向X(
図1,
図2参照)に直交する方向である水平方向を機体幅方向Y(
図1参照)として説明する。また、機体2の中央部から右部或いは左部へ向かう方向を機体外方という。言い換えれば、機体外方とは、機体幅方向であって、機体2の中央部から離れる方向である。また、機体外方とは反対の方向を機体内方という。言い換えれば、機体内方とは、機体幅方向であって、機体2の中央部に近づく方向である。
【0013】
先ず、草刈機1の全体構成について説明する。
機体2は、ハウジング7とヒンジ8とを有している。ハウジング7は、第1ハウジング7Aと第2ハウジング7Bとを含む。第1ハウジング7Aは、機体幅方向の一方側(右側)に配置されている。第2ハウジング7Bは、機体幅方向の他方側(左側)に配置されている。ヒンジ8は、前後方向Xに延びており、機体幅方向に並んだ第1ハウジング7Aと第2ハウジング7Bとを接続している。第2ハウジング7Bは、第1ハウジング7Aに対して、ヒンジ8の中心軸心(ヒンジ軸心)C1回りに揺動可能である(
図10参照)。
【0014】
草刈部3は、第1草刈部3Aと第2草刈部3Bとを含んでいる。第1草刈部3Aは、機体幅方向の一方側(右側)に配置されている。第2草刈部3Bは、機体幅方向の他方側に配置されている。
図1,
図3に示すように、第1草刈部3Aは、上下方向に延びる縦軸(以下、第1縦軸31という)回りに回転する第1刈刃33を有している。第2草刈部3Bは、上下方向に延びる縦軸(以下、第2縦軸36という)回りに回転する第2刈刃38を有している。第1草刈部3Aは、第1ハウジング7Aにカバーされている。第2草刈部3Bは、第2ハウジング7Bにカバーされている。
【0015】
車輪4は、前輪4Fと後輪4Rとを含む。前輪4Fと後輪4Rは、機体2を走行可能に支持する。前輪4Fは、第1前輪4F1と第2前輪4F2とを含んでいる。第1前輪4F1は、第1草刈部3Aの前方に配置されている。第2前輪4F2は、第2草刈部3Bの前方に配置されている。後輪4Rは、第1草刈部3Aの後方に配置されている。前輪4Fは、駆動輪ではなく、後輪4Rの回転によって実現する草刈機1の走行に伴って回転する従動輪である。後輪4Rは、後述する原動機10からの動力を受けて回転する駆動輪である。
【0016】
ハンドル5は、作業者が草刈機1を操縦するときに把持するための操縦用のハンドルである。ハンドル5は、第1ハウジング7Aの後方に向けて延びている。
駆動機構6は、後輪4R及び草刈部3を駆動するための機構である。駆動機構6は、駆動源としての原動機10と、原動機10から出力される回転動力を後輪4R及び草刈部3に伝達する動力伝達機構60(
図15参照)と、を有している。
【0017】
以下、草刈機1の構成要素について詳しく説明する。
先ず、機体2を構成するハウジング7(第1ハウジング7A、第2ハウジング7B)及びヒンジ8について説明する。
第1ハウジング7Aは、第1草刈部3Aの周囲及び上方を覆う。詳しくは、第1ハウジング7Aは、第1草刈部3Aの周囲の一部(右方と後方)及び上方を覆う。
【0018】
図1,
図2に示すように、第1ハウジング7Aは、上板部71a、後板部71b、前板部71c、側板部71dを有している。上板部71a、後板部71b、前板部71c、側板部71dは、金属等の剛性材料より一体に構成されている。
上板部71aは、一方面(表面)が上方を向き且つ他方面(裏面)が下方を向いており、第1草刈部3Aの上方を覆っている。後板部71bは、上板部71aの後端部から下方に延設されている。後板部71bは、上板部71aから下方に延びるにつれて後方に移行するように傾斜している。後板部71bは、第1草刈部3Aの後方に配置されている。前板部71cは、上板部71aの前端部から上方且つ前方(斜め上前方)に延設されており、第1草刈部3Aの前方に位置している。側板部71dは、上板部71aの右端部から下方に延設されている。
【0019】
第2ハウジング7Bは、第2草刈部3Bの周囲及び上方を覆う。詳しくは、第2ハウジング7Bは、第2草刈部3Bの周囲の一部(左方と後方)及び上方を覆う。第2ハウジング7Bの左後部は、平面視にて円弧状に形成されている。
図4、
図5に示すように、第2ハウジング7Bは、フレーム20とカバー板21とを有している。フレーム20は、第2ハウジング7Bの骨組みを構成する。カバー板21は、枠状フレーム20Aに締結具(ボルトB1及びナット)を用いて着脱可能に取り付けられる。
【0020】
尚、本実施形態の場合、第1ハウジング7Aと第2ハウジング7Bのうち、第2ハウジング7Bのみがフレーム20とカバー板21とから構成されており、第1ハウジング7Aは金属等の剛性材料の一体物から構成されているが、第1ハウジング7Aについても第2ハウジング7Bと同様にフレーム20とカバー板21とから構成してもよい。
フレーム20は、金属等(例えば、アルミニウム等)の剛性材から構成されている。フレーム20は、枠状フレーム20Aと連結フレーム20Bとを含む。
【0021】
枠状フレーム20Aは、金属製の中空のパイプ(四角筒)から構成されている。枠状フレーム20Aは、第2草刈部3Bの上方に配置される。第2草刈部3Bは、平面視にて枠状フレーム20Aの内側に配置される。枠状フレーム20Aは、第1フレーム材20A1、第2フレーム材20A2、第3フレーム材20A3を溶接等によって一体化することにより構成されている。第1フレーム材20A1は、機体幅方向に延びており、枠状フレーム20Aの前部を構成している。第2フレーム材20A2は、第1フレーム材20A1の右端部に接続されて後方に延びており、枠状フレーム20Aの右部を構成している。第3フレーム材20A3は、第1フレーム材20A1の左端部と第2フレーム材20A2の後端部とを接続している。第3フレーム材20A3は、平面視にて略円弧状に湾曲している。
【0022】
第1フレーム材20A1には、当該第1フレーム材20A1を上下方向に貫通する第1孔20aが形成されている。また、
図6,
図7に示すように、第1フレーム材20A1には、当該第1フレーム材20A1を前後方向に貫通する第8孔20hが形成されている。
第2フレーム材20A2には、当該第2フレーム材20A2を上下方向に貫通する第2孔20bが形成されている。第3フレーム材20A3には、当該第3フレーム材20A3を上下方向に貫通する第3孔20cが形成されている。
【0023】
連結フレーム20Bは、金属製のプレートから構成されている。当該プレートは、平面視にて略長方形状であって、対向する長辺の両縁が下方向に折り曲げられている。連結フレーム20Bは、機体幅方向に延びており、枠状フレーム20Aの第2フレーム材20A2と第3フレーム材20A3とを接続している。連結フレーム20Bには、第4孔20d、第5孔20e、第6孔20f、第7孔20gが形成されている。第4孔20dは、連結フレーム20Bの略中心に形成された略円形の孔である。第5孔20eは、第4孔20dの外側近傍に形成されたボルト挿通用の孔である。第6孔20f及び第7孔20gは、連結フレーム20Bの右後部に形成されたボルト挿通用の孔である。
【0024】
フレーム20は、ギヤケース30(
図1、
図6参照)が取り付けられる取付部22を有している。ギヤケース30は、動力伝達機構60の一部を構成し且つ第2刈刃38の回転軸となる第2縦軸36と共に回転するギヤ(後述する第3ベベルギヤ110、第4ベベルギヤ111)を収容するケースである。ギヤケース30は、上下方向に延びるボルト挿通孔30aを有している。
【0025】
取付部22は、枠状フレーム20Aの内部に配置されている。連結フレーム20Bは、取付部22と枠状フレーム20Aとを連結している。
図8に示すように、取付部22は、第1平板部22a、円筒部22b、第2平板部22cを有している。第1平板部22aは、円環状であって、溶接等により連結フレーム20Bの上面に固定されている。円筒部22bは、第1平板部22aの上面から上方に延びている。第2平板部22cは、円筒部22bの内部に固定されており、第1平板部22aと平行に配置されている。第2平板部22cには、円形孔22dと、当該円形孔22dの内縁から外方(円形孔22dの中心から離れる方向)に向けて切り欠かれた切り欠き22eが形成されている。円形孔22dは、連結フレーム20Bの第4孔20dと重ねられる。切り欠き22eは、連結フレーム20Bの第5孔20e及びギヤケース30のボルト挿通孔30aと重ねられる。ギヤケース30のボルト挿通孔30aと取付部22の切り欠き22eの重なり部分にボルトを挿通して当該ボルトにナットを螺合することにより、ギヤケース30が取付部22に取り付けられる。
【0026】
取付部22の円形孔22d及び円筒部22bと連結フレーム20Bの第4孔20dには、第2縦軸36が挿通される。これにより、
図9に示すように、第2縦軸36は、取付部22及び連結フレーム20Bを上下方向に貫通して配置される。
図4,
図5に示すように、カバー板21は、天板21A、側板21B、前板21Cを有している。
【0027】
天板21Aは、枠状フレーム20Aの上部に取り付けられ、第2草刈部3Bの上方を覆う。側板21Bは、枠状フレーム20Aの周囲に取り付けられ、第2草刈部3Bの周囲を覆う。詳しくは、側板21Bは、枠状フレーム20Aの周囲の一部(左部及び後部)に取り付けられ、第2草刈部3Bの周囲の一部(左部及び後部)を覆う。前板21Cは、第2草刈部3Bの前方に位置する。
【0028】
天板21Aは、一方面(表面)が上方を向き且つ他方面(裏面)が下方を向いている。天板21Aは、枠状フレーム20Aの外縁に沿う外形を有している。天板21Aは、第1ボルト挿通孔21A1、第2ボルト挿通孔21A2、第3ボルト挿通孔21A3、第4ボルト挿通孔21A4、第5ボルト挿通孔21A5、中央孔21A6を有している。
第1ボルト挿通孔21A1は、第1フレーム材20A1の第1孔20aと重ねられる。第2ボルト挿通孔21A2は、第2フレーム材20A2の第2孔20bと重ねられる。第3ボルト挿通孔21A3は、第3フレーム材20A3の第3孔20cと重ねられる。第1ボルト挿通孔21A1と第1孔20a、第2ボルト挿通孔21A2と第2孔20b、第3ボルト挿通孔21A3と第3孔20cにそれぞれボルトB1(
図4参照)を挿通して当該ボルトB1にナットを螺合することにより、天板21Aが枠状フレーム20Aに着脱可能に取り付けられる。
【0029】
第4ボルト挿通孔21A4及び第5ボルト挿通孔21A5は、後述する接続部材23を取り付けるために使用される孔であって、取り付け方については後ほど説明する。
中央孔21A6は、連結フレーム20Bの第4孔20d及び取付部22の円形孔22dと重ねて配置される。
天板21Aは、金属から形成してもよいが、金属よりも軽量の材料、例えば樹脂又はゴムから形成されることが好ましい。樹脂としては、例えば、ポリプロピレン、ポリカーボネート、塩化ビニル樹脂、アクリル樹脂等を使用することができる。例えば、天板21Aを透明な樹脂から形成することによって、上方からハウジング7の下方を視認することができる。
【0030】
側板21Bは、金属(例えば鋼)等の剛性材から形成される。側板21Bは、枠状フレーム20Aの第3フレーム材20A3に取り付けられる。側板21Bは、第3フレーム材20A3に沿うように平面視にて湾曲している。側板21Bは、第3フレーム材20A3の上部に重ねられる第1側部位21B1と、この第1側部位21B1から下方に延びる第2側部位21B2とを有している。第1側部位21B1には、第3フレーム材20A3の第3孔20cと対応する位置に凹部21dが形成されている。この凹部21dと第3孔20cとを重ねて、重なり部分にボルトを挿通して当該ボルトにナットを螺合することにより、側板21Bが枠状フレーム20Aの第3フレーム材20A3に着脱可能に取り付けられる。
【0031】
前板21Cは、枠状フレーム20Aの第2フレーム材20A2に取り付けられる。前板21Cは、第2フレーム材20A2の上部に重ねられる第1前部位21C1と、この第1前部位21C1から斜め上前方に延びる第2前部位21C2とを有している。第1前部位21C1には、第1フレーム材20A1の第1孔20aと対応する位置に貫通孔21eが形成されている。この貫通孔21eと第1孔20aとを重ねて、重なり部分にボルトB1を挿通して当該ボルトB1にナットを螺合することにより、前板21Cが枠状フレーム20Aの第1フレーム材20A1に着脱可能に取り付けられる。また、前板21Cは、後述するレバー17が挿通されるレバー挿通孔21fを有している。
【0032】
図1に示すように、第2ハウジング7Bには、前ガード75が取り付けられている。前ガード75は、第2ハウジング7Bの前方に配置されている。前ガード75は、枠状フレーム20Aの第1フレーム材20A1に取り付けられる。前ガード75は、金属等の剛性材からなる棒状体を折り曲げて形成されている。
図1に示すように、ヒンジ8は、第1ハウジング7Aと第2ハウジング7Bとの間において前後方向に延びている。ヒンジ8は、第1ハウジング7Aの左端部と第2ハウジング7Bの右端部とを接続している。
図1に示すように、ヒンジ8は、第1円筒部8aと、第2円筒部8bと、第1円筒部8a及び第2円筒部8bを貫通する軸部とを有している。第1円筒部8aと第2円筒部8bとは、前後方向に交互に配置されている。第1円筒部8aは、第1ハウジング7Aに固定されている。
図5、
図6に示すように、第2円筒部8bは、第2ハウジング7Bの第2フレーム材20A2に固定されている。
【0033】
機体2は、第1ハウジング7Aと第2ハウジング7Bとがヒンジ8により接続されていることによって、第2ハウジング7Bを第1ハウジング7Aに対してヒンジ8の軸部の軸心(ヒンジ軸心)C1(
図1参照)回りに揺動させることができる。これにより、第1ハウジング7Aに対する第2ハウジング7Bの角度を変更(調節)することができる。第2ハウジング7Bを第1ハウジング7Aに対して揺動させる操作は、後述する調節レバー150によって第1ケーブル190を移動させることにより行うことができる。
【0034】
図4,
図5,
図6に示すように、フレーム20には、第1ケーブル190が接続される接続部材23が着脱可能に取り付けられる。フレーム20と接続部材23との間には、天板21Aが介在している。
接続部材23は、縦板部23a、第1下板部23b、第2下板部23c、第3下板部23d、上板部23eを有している。縦板部23aは、一方の面が前方を向き、他方の面が後方を向いて配置され、機体幅方向に延びている。
【0035】
第1下板部23bは、縦板部23aの右下部から後方に向けて屈曲している。第1下板部23bは、第2フレーム材20A2に取り付けられる。第1下板部23bには第1貫通孔23fが形成されている。第1貫通孔23fを第2フレーム材20A2の第2孔20b及び天板21Aの第4ボルト挿通孔21A4と重ねて、重なった孔にボルトB2(
図4参照)を挿通して当該ボルトB2にナットを螺合することにより、第1下板部23bが天板21Aを介して(挟んで)第2フレーム材20A2に取り付けられる。
【0036】
第2下板部23cは、縦板部23aの左下部から後方に向けて屈曲している。第2下板部23cは、連結フレーム20Bに取り付けられる。第2下板部23cには第2貫通孔23gが形成されている。第2貫通孔23gを連結フレーム20Bの第6孔20f及び天板21Aの第4ボルト挿通孔21A4と重ねて、重なった孔にボルトB2を挿通して当該ボルトB2にナットを螺合することにより、第2下板部23cが天板21Aを介して(挟んで)連結フレーム20Bに取り付けられる。
【0037】
第3下板部23dは、第1下板部23bと第2下板部23cとの間において、縦板部23aの下部から前方に向けて屈曲している。第3下板部23dは、連結フレーム20Bに取り付けられる。第3下板部23dには第3貫通孔23hが形成されている。第3貫通孔23hを連結フレーム20Bの第7孔20g及び天板21Aの第5ボルト挿通孔21A5と重ねて、重なった孔にボルトB2を挿通して当該ボルトB2にナットを螺合することにより、第3下板部23dが天板21Aを介して(挟んで)連結フレーム20Bに取り付けられる。
【0038】
上板部23eは、縦板部23aの上部から後方に向けて屈曲してから更に下方に向けて屈曲している。上板部23eには、第1ケーブル190が接続される孔23i(
図10参照)が形成されている。第1ケーブル190の詳細については後述する。
図6、
図7、
図9に示すように、フレーム20には第2前輪4F2が着脱可能に取り付けられる。第2前輪4F2は、前輪本体41と突出部42とを有している。前輪本体41と突出部42は、金属等の剛性材により一体的に形成されている。前輪本体41は、円板部41aと周板部41bとを有している。円板部41aの中心には機体幅方向に延びる回転軸41cが固定されている。周板部41bは、円板部41aの外周から機体幅方向の他方側(左側)に向けて筒状に延出している。周板部41bは、第1前輪4F1が回転したときに主として地面に接触する部分である。突出部42は、周板部41bの外周縁から、前輪本体41の径外方向(回転軸41cから離れる方向)に突出している。突出部42は、前輪本体41の周方向に沿って間隔をあけて複数設けられている。突出部42は、第2前輪4F2が回転したときに地面に食い込むことで滑り止めの機能を発揮する。
【0039】
第2前輪4F2は、支持機構13によって支持されている。支持機構13は、前輪支持部材15と、前輪支持アーム16と、レバー17と、位置決め板24とを有している。支持機構13は、フレーム20に対して着脱可能に取り付けられる。
前輪支持部材15は、フレーム20の第1フレーム材20A1の前部に取り付けられる。前輪支持部材15には、取付孔15aが形成されている。取付孔15aと第1フレーム材20A1の第8孔20hとを重ねて、重なった孔にボルト25を挿通して当該ボルト25にナット26を螺合することにより、前輪支持部材15が第1フレーム材20A1に取り付けられる。前輪支持部材15は、第1フレーム材20A1に固定された状態で前方に延びる。前輪支持部材15の前部には、前輪支持アーム16が取り付けられている。
【0040】
前輪支持アーム16は、右アーム16aと、左アーム16bと、接続部16cと、を有している。右アーム16aは、第1前輪4F1の右方に設けられている。左アーム16bは、第1前輪4F1の左方に設けられている。接続部16cは、右アーム16aの後部と左アーム16bの後部を接続している。
前輪支持アーム16の後部は、軸体18を介して前輪支持部材15の前部に枢支されている。前輪支持アーム16の前部には、回転軸41cが回転可能に支持されている。レバー17の一端側は、前輪支持アーム16の後部に固定されている。これにより、レバー17と前輪支持アーム16は、軸体18を支点として一体的に揺動可能である。
図11の矢印に示すように、軸体18を支点としてレバー17を揺動することによって、第2前輪4F2の高さを変更することができる。
【0041】
レバー17は、前輪支持アーム16の後部から上方且つ後方に延設されている。
図9に示すように、レバー17は、前板21Cのレバー挿通孔21fを貫通して、天板21Aの上方に突出する。位置決め板24は、レバー17の揺動位置を固定するための板である。位置決め板24には、複数のピン挿通孔24aが形成されている。複数のピン挿通孔24aは、軸体18を中心とする円弧状に並んで配置されている。レバー17に突設されたピン27を、複数のピン挿通孔24aのいずれかに挿入することによって、レバー17の揺動位置を固定することができる。
【0042】
第1前輪4F1は、第1ハウジング7Aの前部に取り付けられている。第1前輪4F1は、第2前輪4F2と同様の支持機構によって支持されており、第2前輪4F2と同様に高さを変更することができる。
図1,
図2に示すように、後輪4Rは、第1草刈部3Aの後方(第1刈刃33の後方)に配置されている。また、後輪4Rは、第1ハウジング7Aの後方に配置されている。後輪4Rの大きさ(外径及び幅)は、前輪4Fの大きさ(外径及び幅)に比べて大きい。
【0043】
次に、草刈部3を構成する第1草刈部3Aと第2草刈部3Bについて説明する。
先ず、第1草刈部3Aについて説明する。
図3、
図12、
図13に示すように、第1草刈部3Aは、第1縦軸31と、第1支持体32と、第1刈刃33と、第1草巻付き防止体34と、を有している。
図3に示すように、第1縦軸31は、上下方向に延びる軸回りに回転する。第1縦軸31の下部には、円筒状のボス35が取り付けられている。第1支持体32は、ボス35の下方において第1縦軸31の下部に取り付けられている。
図12に示すように、第1支持体32は、平面視にて略長方形状の板であって、中心部が第1縦軸31に取り付けられ、第1縦軸31の径外方向(軸心から離れる方向)の一方と他方にそれぞれ延設されている。
【0044】
図13に示すように、第1支持体32は、中心穴32a、先端穴32b、中間穴32cを有している。中心穴32aは、第1支持体32の中心に設けられている。先端穴32bは、第1支持体32の一端部と他端部にそれぞれ設けられている。中間穴32cは、中心穴32aと先端穴32bとの間に設けられている。
第1縦軸31の下端部には雄ねじが形成されている。第1縦軸31の雄ねじは第1支持体32の中心穴32aを貫通しており、この貫通した部分にナットN1が螺合されている。これにより、第1支持体32は、ナットN1とボス35との間に挟まれて固定されている。
【0045】
図13等に示すように、第1支持体32には第1刈刃33が取り付けられている。具体的には、第1刈刃33は、第1支持体32の一端側と他端側にそれぞれ取り付けられている。第1刈刃33は、第1支持体32の上方に配置された第1上刃33Uと、第1支持体32の下方に配置された第1下刃33Dとを有している。より詳しくは、第1支持体32の一端側にある第1刈刃33と他端側にある第1刈刃33が、それぞれ第1上刃33Uと第1下刃33Dとを有している。つまり、第1刈刃33は、2つの第1上刃33Uと2つの第1下刃33Dとから構成されている。第1上刃33Uと第1下刃33Dは、同形状であり、第1支持体32を挟んで上下対称に配置されている。
【0046】
第1刈刃33(第1上刃33U及び第1下刃33D)は、基端部33aと、第1延出部33bと、第2延出部33cを有している。基端部33aは、第1支持体32に取り付けられている。第1延出部33bは、基端部33aから離れる方向(第1縦軸31の径外方向)に延びている。第1延出部33bは、基端部33aに対して上斜め方向又は下斜め方向に傾斜している。具体的には、第1上刃33Uの第1延出部33bは、基端部33aから離れるにつれて上方に移行するように傾斜している。第1下刃33Dの第1延出部33bは、基端部33aから離れるにつれて下方に移行するように傾斜している。第2延出部33cは、第1延出部33bの延出端から、基端部33aから離れる方向であって且つ基端部33aと平行な方向(第1縦軸31と直交する方向)に延びている。第2延出部33cの側縁には、草を刈るための刃先33dが形成されている。第2延出部33cの刃先33d及び先端部33e(第1刈刃33の先端部)は、第1支持体32から突出している。言い換えれば、刃先33d及び先端部33eは、第1支持体32と上下方向においてオーバーラップしていない。
【0047】
第1刈刃33の基端部33aは、枢支部材11によって第1支持体32に対して枢支されている。これにより、第1刈刃33は、枢支部材11を支点として縦軸回りに揺動可能である。
図13、
図14に示すように、枢支部材11は、ボルト11aと袋ナット11bとを有している。
図13に示すように、ボルト11aのねじ軸は、第1刈刃33(第1上刃33U及び第1下刃33D)の基端部33aに設けられた穴と、第1支持体32の先端穴32bとを、下方から上方に向けて貫通している。ボルト11aの頭部は、第1下刃33Dの下面に当接している。袋ナット11bは、ボルト11aのねじ軸に螺合されている。袋ナット11bは、第1上刃33Uの上面に当接している。
【0048】
図13に示すように、ボス35の下部には、取付板12が固定されている。取付板12は、ボス35の外周部から第1縦軸31の径外方向の一方と他方にそれぞれ延設されている。取付板12は、第1縦軸31の径外方向の一方側と他方側にそれぞれ取付穴12aを有している。各取付穴12aは、第1支持体32及び第1草巻付き防止体34を取り付けるための穴である。
【0049】
第1草巻付き防止体34は、第1縦軸31に草が巻き付くことを防止するための部材である。第1草巻付き防止体34は、底板34aと筒状部34bとを有している。
底板34aは、円形の板であって、第1草巻付き防止体34の下部に設けられている。
図13に示すように、底板34aは第1穴34cと第2穴34dとを有している。第1穴34cは、底板34aの中心に設けられている。第2穴34dは、底板34aの中心から離れた同心円上に2つ設けられている。第1穴34cには、第1縦軸31の下端部に形成された雄ねじが挿通され、当該雄ねじにナットN1が螺合される。第2穴34dには、ボルトB3のねじ軸が挿通されている。ボルトB3のねじ軸は、底板34aの第2穴34d、第1支持体32の中間穴32c、取付板12の取付穴12aに挿通されている。ボルトB3のねじ軸の先端部は、取付穴12aから突出しており、当該先端部にナットN2が螺合されている。これにより、取付板12に対して、第1支持体32及び第1草巻付き防止体34の底板34aが固定されている。ここで、取付板12は、ボス35を介して第1縦軸31に取り付けられているため、第1縦軸31と共に回転する。そのため、取付板12に固定された第1支持体32及び第1草巻付き防止体34も第1縦軸31と共に回転する。また、第1支持体32の回転に伴って、第1刈刃33が第1縦軸31を中心として回転する。
【0050】
筒状部34bは、円錐台状に形成されている。具体的には、筒状部34bは、底板34aに近づくにつれて(下方に向かうにつれて)小径となる円錐台状に形成されている。筒状部34bは、第1縦軸31の周囲を囲うように配置されており、第1縦軸31と第1刈刃33の基端部33aとの間に位置している。これにより、第1縦軸31に草等が巻き付くことが防止される。
【0051】
第1刈刃33は、第1縦軸31を中心として回転しているとき、遠心力によって第1縦軸31の径外方向(軸心から離れる方向)に延びた位置(
図12に示す位置)にある。第1刈刃33は、第1位置において第1縦軸31を中心として回転しながら草を刈る。しかし、第1刈刃33は、石等の異物に当たると、枢支部材11を支点として第1縦軸31に接近する内方向に揺動する。これにより、第1刈刃33に加わる力を逃がす(低減する)ことができ、第1刈刃33の破損を防ぐことができる。
【0052】
次に、第2草刈部3Bについて説明する。
第2草刈部3Bについては、第1草刈部3Aと異なる点を中心に説明し、第1草刈部3Aと共通する点については説明を省略する。
図3に示すように、第2草刈部3Bは、第2縦軸36と、第2支持体37と、第2刈刃38と、第2草巻付き防止体39と、を有している。
【0053】
第2縦軸36は、上下方向に延びる軸回りに回転する。
図1、
図12に示すように、第2縦軸36は、前後方向において、第1縦軸31よりも後方に配置されている。
図12に示すように、第2刈刃38の先端部の回転軌道R2は、機体幅方向において第1刈刃33の先端部の回転軌道R1とオーバーラップし、前後方向において回転軌道R1よりも後方にずれた位置にある。
【0054】
図12に矢印H,Iで示すように、第1草刈部3Aと第2草刈部3Bとは、互いに反対方向に回転する。より詳しくは、第1草刈部3Aと第2草刈部3Bは共に、機体内方側(機体幅方向の中心付近)において刈刃(第1刈刃33と第2刈刃38)が前方から後方に向かうように回転する。
図3に示すように、第1刈刃33と第2刈刃38は、同じ高さに配置されている。そのため、第1刈刃33と第2刈刃38は、回転軌道R1,R2がオーバーラップしている機体内方側における衝突を回避するために、回転の位相が90°ずれている(
図12参照)。
【0055】
第2草刈部3Bの第2刈刃38のその他の構成は、第1刈刃33の構成と同様であるため説明を省略する。また、第2草刈部3Bの第2支持体37の構成は、第1草刈部3Aの第1支持体32の構成と同様であるため説明を省略する。第2草巻付き防止体39は、第2縦軸36に草が巻き付くことを防止するための部材である。第2草巻付き防止体39の構成は、第1草巻付き防止体34の構成と同様であるため説明を省略する。
【0056】
図15に示すように、駆動機構6は、原動機10と動力伝達機構60を備えている。
原動機10は、草刈部3及び後輪4Rを駆動するための駆動源となる。本実施形態において、原動機10はエンジンであり、詳しくはディーゼルエンジンである。
図1,
図2等に示すように、原動機10は、機体2の第1ハウジング7Aに搭載されている。原動機10は、ハンドル5の前方であって且つ第1草刈部3Aの上方に配置されている。
【0057】
原動機10の出力軸10a(
図15参照)から出力される回転動力は、動力伝達機構60によって後輪4R、第1草刈部3A、第2草刈部3Bに伝達される。
図15に示すように、動力伝達機構60は、後輪動力伝達機構61と、第1動力伝達機構62と、第2動力伝達機構63と、を含む。後輪動力伝達機構61は、原動機10の動力を後輪4Rに伝達する機構である。第1動力伝達機構62は、原動機10の動力を第1草刈部3Aに伝達する機構である。第2動力伝達機構63は、原動機10の動力を第2草刈部3Bに伝達する機構である。
【0058】
図3、
図13、
図15、
図16、
図17に示すように、後輪動力伝達機構61は、遠心クラッチ80、第1軸81、第2軸82、カウンタ軸83、変速装置84、伝動チェーン85を備えている。遠心クラッチ80は、入力側が出力軸10aに連結されている。遠心クラッチ80の出力部材80aは、第1軸81の上端部に連結されている。第1軸81と、原動機10の出力軸10aとは、遠心クラッチ80によって接続又は遮断される。具体的には、遠心クラッチ80は、原動機10がアイドリング状態にあるときには遮断状態となり、出力軸10aから出力される回転動力を第1軸81に伝達しない。一方、原動機10の回転数がアイドリング状態の回転数よりも上昇すると、接続状態となって出力軸10aから出力される回転動力を第1軸81に伝達する。
【0059】
第1軸81の軸心回りに回転する第1ギヤ86と、第2軸82の軸心回りに回転する第2ギヤ87は噛み合っている。そのため、第1軸81に伝達された回転動力は、第1ギヤ86及び第2ギヤ87を介して第2軸82に伝達される。第2軸82に伝達された回転動力は、第1伝動ギヤ88を介してカウンタ軸83に伝達される。第1伝動ギヤ88は、カウンタ軸83と同一軸心上に配置されており、カウンタ軸83と一体的に回転する。
【0060】
カウンタ軸83に伝達された回転動力は、歯車機構90を介して変速装置84の入力軸84aに伝達される。
図3、
図13、
図16に示すように、カウンタ軸83及び変速装置84は、第1伝動ケース101に収容されている。第1伝動ケース101は、軸受を介して第1草刈部3Aの第1縦軸31を縦軸回り(上下方向の軸心回り)に回転可能に支持している。
【0061】
歯車機構90は、ウォームギヤ91とホイールギヤ92とを有している。ウォームギヤ91は、カウンタ軸83と一体的に回転する。ホイールギヤ92は、ウォームギヤ91と噛み合い、入力軸84aと一体的に回転する。入力軸84aには、第1変速ギヤ93と第1スプロケット94が装着されている。
変速装置84は、原動機10から出力される回転動力を変速する。具体的には、変速装置84は、入力軸84aの回転動力を変速して出力軸84bから出力する。
図13、
図15、
図16、
図17に示すように、変速装置84は、シフトギヤ95、第2変速ギヤ96、第2スプロケット97、シフトフォーク98を有している。変速装置84は、シフトギヤ95を第2変速ギヤ96と第2スプロケット97に選択的に係合することによって、高速状態(前進状態)と低速状態(後進状態)に変速操作される。
【0062】
第2変速ギヤ96には、第1変速ギヤ93からの回転動力を伝達可能である。第2スプロケット97には、チェーン99を介して第1スプロケット94からの回転動力を伝達可能である。従って、シフトギヤ95を第2変速ギヤ96に係合させると、第1変速ギヤ93からの回転動力が第1変速ギヤ93を介して出力軸84bに伝達され、出力軸84bは入力軸84aと反対方向に回転する。また、シフトギヤ95を第2スプロケット97に係合させると、第1スプロケット94からの回転動力がチェーン99により第1スプロケット94を介して出力軸84bに伝達され、出力軸84bは入力軸84aと同じ方向に回転する。
【0063】
第1変速ギヤ93と第2変速ギヤ96の歯数比(変速比)は、第1スプロケット94と第2スプロケット97の歯数比(変速比)よりも小さい。そのため、出力軸84bの回転速度は、シフトギヤ95を第2変速ギヤ96に係合させたときが、シフトギヤ95を第2スプロケット97に係合させたときよりも速くなる。
シフトギヤ95を第2変速ギヤ96と第2スプロケット97に選択的に係合する操作は、ハンドル5に設けられた変速レバー(図示略)による変速操作軸89の操作によって、シフトフォーク98を移動させることにより行われる。変速操作軸89は、ケーブル(図示略)を介してハンドル5に取り付けられた変速レバー(図示略)に連結されている。
【0064】
図16に示すように、変速装置84の出力軸84bは、第1伝動ケース101から突出しており、当該突出方向の前方(第1伝動ケース101の右方)にはカバー100が設けられている。カバー100には、伝動チェーン85が収容されている。
図15、
図16に示すように、伝動チェーン85は、出力軸84bに装着された駆動スプロケット103と、後輪4Rの回転軸45に装着された従動スプロケット104に巻き掛けられている。これにより、出力軸84bから出力された回転動力が後輪4Rの回転軸45に伝達され、後輪4Rが回転する。後輪4Rは、シフトギヤ95を第2変速ギヤ96に係合させたときには草刈機1が前進する方向に第1速度で回転し、シフトギヤ95を第2スプロケット97に係合させたときには草刈機1が後進する方向に第1速度よりも低速の第2速度で回転する。
【0065】
第1動力伝達機構62は、原動機10からの回転動力を第1刈刃33に伝達する。
図3、
図15、
図16に示すように、第1動力伝達機構62は、第1伝動ギヤ88と、第2伝動ギヤ78と、刈刃クラッチ79と、を有している。第1伝動ギヤ88は、カウンタ軸83と一体的に回転する。第2伝動ギヤ78は、第1草刈部3Aの第1縦軸31と同一軸心上に配置されており、第1伝動ギヤ88と噛み合っている。刈刃クラッチ79は、第2伝動ギヤ78から第1縦軸31への動力の伝達を接続する状態(以下、「伝達状態」という)又は遮断する状態(以下、「遮断状態」という)に切り換え可能である。
【0066】
第2動力伝達機構63は、原動機10からの回転動力を第2刈刃38に伝達する。
図3、
図15、
図16等に示すように、第2動力伝達機構63は、第1ベベルギヤ105、動力取出軸106、第2ベベルギヤ107、ユニバーサルジョイント108、伝動軸109、第3ベベルギヤ110、第4ベベルギヤ111を備えている。第1ベベルギヤ105は、第1縦軸31に装着されており、第1縦軸31と共に回転する。動力取出軸106は、第1縦軸31と直交する方向(機体幅方向)に延びており、一端側に第2ベベルギヤ107が装着されている。第2ベベルギヤ107は、第1ベベルギヤ105と噛み合っている。動力取出軸106の他端側には、ユニバーサルジョイント108を介して伝動軸109の一端側が連結されている。
【0067】
図3に示すように、ユニバーサルジョイント108は、第1ハウジング7Aと第2ハウジング7Bを接続するヒンジ8の上方を横切るように機体幅方向に延びている。ユニバーサルジョイント108は、2つの蛇腹部108aを有するカバーを有しており、当該カバーは動力取出軸106の他端側と伝動軸109の一端側に亘って装着されている。2つの蛇腹部108aの一方は第1ハウジング7Aの上方に配置され、他方は第2ハウジング7Bの上方に配置されている。ユニバーサルジョイント108は、第1ハウジング7Aに対して第2ハウジング7Bをヒンジ軸心C1回りに揺動させたときに、当該揺動に応じて蛇腹部108aにおいて屈曲可能となっている。
【0068】
図3に示すように、ユニバーサルジョイント108の上方は、第1カバー112と第2カバー113により覆うことができる。第1カバー112は、第1ハウジング7Aの上面に取り付けられており、ユニバーサルジョイント108の右部の上方を覆っている。第2カバー113は、第2ハウジング7Bの上面に取り付けられており、ユニバーサルジョイント108の左部の上方を覆っている。
【0069】
図3、
図15に示すように、伝動軸109の他端側には、第3ベベルギヤ110が装着されている。第3ベベルギヤ110には、第4ベベルギヤ111が噛み合っている。第4ベベルギヤ111は、第2草刈部3Bの第2縦軸36の上端部に装着されている。
図3に示すように、第2動力伝達機構63のうち、伝動軸109、第3ベベルギヤ110、第4ベベルギヤ111は、第2伝動ケース(ギヤケース)30に収容されている。第2伝動ケース30は、第2ハウジング7Bの上方に配置されている。第2伝動ケース30は、軸受を介して第2草刈部3Bの第2縦軸36を縦軸回り(上下方向の軸心回り)に回転可能に支持している。尚、
図3では、フレーム20及び取付部22の図示を省略している。
【0070】
原動機10からの回転動力は、第1縦軸31から第1ベベルギヤ105と第2ベベルギヤ107を介して動力取出軸106に伝達された後、ユニバーサルジョイント108を介して伝動軸109に伝達される。伝動軸109に伝達された回転動力は、第3ベベルギヤ110と第4ベベルギヤ111を介して第2縦軸36に伝達される。
刈刃クラッチ79が伝達状態にあるとき、原動機10からの動力が第1縦軸31を介して第1刈刃33及び第2刈刃38へと伝達される。そのため、第1刈刃33及び第2刈刃38が回転する。刈刃クラッチ79が遮断状態にあるとき、原動機10からの動力は、第1縦軸31に伝達されないため、第1刈刃33と第2刈刃38へも伝達されない。そのため、第1刈刃33及び第2刈刃38は回転しない。刈刃クラッチ79の伝達状態と遮断状態との切り換え操作は、刈刃クラッチレバー(図示略)の操作によりケーブル(図示略)を介して、刈刃操作軸64(
図13、
図16参照)を回動させてシフタ79aを移動させることによって行うことができる。
【0071】
次に、ハンドル5及びハンドル5を支持するハンドル支持部120について説明する。
図1,
図2等に示すように、ハンドル5は、第1ハウジング7Aの後方(第1草刈部3Aの後方)に延設されている。ハンドル5は、機体2から上方に延びるハンドル支持部120の上部に支持されている。ハンドル5とハンドル支持部120とは、連結部130により連結されている。連結部130は、機体2よりも後方(後輪4Rよりも後方)において、ハンドル5とハンドル支持部120とを連結している。
【0072】
ハンドル支持部120は、機体2から上方(上後方)に延びている。ハンドル支持部120は、脚部121と筒部122と支柱123を有している。
脚部121は、機体2の第1ハウジング7Aに取り付けられている。
図1に示すように、脚部121は、一方脚部121a、他方脚部121b、連絡部121cを有している。一方脚部121aと他方脚部121bとは、機体幅方向に間隔をあけて配置されており、機体2から斜め上後方に向けて延びている。一方脚部121aの下端部及び他方脚部121bの下端部は、第1ハウジング7Aに設けられた支持基材9に固定されている。連絡部121cは、機体幅方向に延びており、一方脚部121aの上端部と他方脚部121bの上端部とを連絡している。
【0073】
筒部122は、ハンドル支持部120の下部を構成している。筒部122は、脚部121の上部に取り付けられており、脚部121から斜め上後方に延びている。詳しくは、筒部122は、連絡部121cに取り付けられており、連絡部121cから斜め上後方に延びている。
支柱123は、ハンドル支持部120の上部を構成しており、筒部122から進退可能に突出している。支柱123は、下部が筒部122に挿入されており、上部が筒部122から突出している。支柱123の上部には、ハンドル5を支持する支持台124が設けられている。支持台124には、円柱状の突出部125(
図18参照)が設けられている。突出部125は、支持台124の上面から上方に向けて突出している。
【0074】
図1,
図2に示すように、ハンドル5は、基部5aと、後延部5bと、把持部5cとを有している。尚、説明の都合上、草刈機1の側面図(
図2等)では、ハンドル5の前後方向の中途部よりも後方(縦方向に延びる波線よりも後方)では左部(一方把持部5c1と一方後延部5b1)を図示している。ハンドル5は、ハンドル支持部120から後方に延びている。
図2に示す状態ではハンドル5はハンドル支持部120から水平方向の後方に延びているが、後述するようにハンドル支持部120に対するハンドル5の角度は変更可能である。
【0075】
基部5aは、機体幅方向に延びており、ハンドル支持部120に支持されている。基部5aは、連結部130を介して、ハンドル支持部120の支持台124に支持されている。後延部5bは、基部5aから後方に延びている。後延部5bは、一方後延部5b1と他方後延部5b2を含む。一方後延部5b1は、基部5aの左部から後方に延びている。他方後延部5b2は、基部5aの右部から後方に延びている。把持部5cは、作業者が把持する部分であって、後延部5bの後端に設けられている。把持部5cは、一方把持部5c1と他方把持部5c2とを含む。一方把持部5c1は、一方後延部5b1の後端に設けられており、作業者が左手で把持する。他方把持部5c2は、他方後延部5b2の後端に設けられており、作業者が右手で把持する。
【0076】
図18等に示すように、連結部130は、下部材131と上部材132とを有している。
下部材131は、底板131aと、一方起立板131bと、他方起立板131cとを有している。底板131aと一方起立板131bと他方起立板131cとは、1枚の板を折り曲げることにより一体的に構成されている。底板131aは、ハンドル支持部120の支持台124上に載置されている。底板131aには、円筒部131dが設けられている。円筒部131dは、底板131aの上面から上方に突出している。円筒部131dには、支持台124に設けられた突出部125が嵌め入れられている。円筒部131dは、突出部125に対して上下方向に延びる軸心X1(以下、第1軸心X1又は上下軸心X1という)回りに回動可能となっている。一方起立板131bと他方起立板131cは、互いに間隔をあけて対向して配置され、底板131aから上方に延びている。一方起立板131bの上部及び他方起立板131cの上部には、下方に向けて切り欠かれた切り欠き部131eと、第1ボルト孔131fとが形成されている。
【0077】
上部材132は、上板132aと、一方垂下板132bと、他方垂下板132cとを有している。上板132aと一方垂下板132bと他方垂下板132cとは、1枚の板を折り曲げることにより一体的に構成されている。上板132aは、下部材131の底板131aと対向して配置されている。一方垂下板132bと他方垂下板132cは、互いに間隔をあけて対向して配置され、上板132aから下方に延びている。一方垂下板132bと他方垂下板132cには、第2ボルト孔132dと第1挿通孔132eとが形成されている。
【0078】
下部材131と上部材132とは、第1ボルト孔131fと第2ボルト孔132dとを重ねて、重なった孔にボルト134を挿通し、当該ボルト134にナット133を螺合することによって、組み合わされる(
図19参照)。下部材131と上部材132とが組み合わされた状態において、切り欠き部131eと第1挿通孔132eとが重なり合う。尚、
図19,
図22,
図33,
図34においては、上板132aの図示を省略している。
【0079】
図1,
図2等に示すように、草刈機1は、ハンドル5をハンドル支持部120に対して機体幅方向に延びる軸心X2(以下、第2軸心X2又は機幅軸心X2という)回りに傾動可能とする傾動機構160を備えている。
図18、
図19等に示すように、傾動機構160は、第1係合部161と第2係合部162とを有している。第1係合部161及び第2係合部162は、連結部130に設けられている。第1係合部161及び第2係合部162は、
図20に示すような菊座から構成されている。第1係合部161は、第1中心孔161aを有する円環状の部材であって、一方の面に山部161bと谷部161cとが円周方向に交互に形成されている。第2係合部162は、第2中心孔162aを有する円環状の部材であって、一方の面に山部162bと谷部162cとが円周方向に交互に所定間隔で形成されている。第1係合部161の第1中心孔161a及び第2係合部162の第2中心孔162aには、機体幅方向に延びる横軸163が挿通されている。横軸163は、切り欠き部131eと第1挿通孔132eを貫通して延びている。
【0080】
第1係合部161と第2係合部162は、一方の面(山部と谷部とが形成された面)が対向するように配置されている。第1係合部161の山部と第2係合部162の谷部、第1係合部161の谷部と第2係合部162の山部とが噛み合うことにより、第1係合部161と第2係合部162が係合した状態となる。ここで、第1係合部161と第2係合部162は、山部と谷部とが円周方向に交互に所定間隔で形成されているため、第2係合部162は、第1係合部161に対して第2軸心X2回りに相対的に回転した複数の位置において、第1係合部161と係合することができる。例えば、第1係合部161と第2係合部162の山部が円周方向に9°間隔で形成されている場合、第2係合部162は第1係合部161に対する相対位置を9°単位でずらして係合することができる。この場合、第2係合部162は第1係合部161に対する相対位置は、360/9=40の異なる位置に設定することができる。この場合、ハンドル5の傾動角度を40通りに設定することができる。但し、第1係合部161と第2係合部162の山部の間隔は、適宜変更することができる。
【0081】
第1係合部161は、連結部130の上部材132に固定されており、移動不能である。第2係合部162は、後述する第1操作部171の操作によって、横軸163に沿って移動可能である。第2係合部162は、横軸163に沿う移動によって、第1係合部161に当接して係合する係合位置(
図21(a)参照)と、第1係合部161から離反して係合しない非係合位置(
図21(b)参照)とに移動可能である。第2係合部162は、係合位置にあるときは横軸163の軸心(第2軸心X2)回りに回動不能となり、非係合位置にあるときは横軸163の軸心回りに回動可能となる。第2係合部162が横軸163の軸心回りに回動可能となることにより、ハンドル5がハンドル支持部120に対して横軸163の軸心回りに回動可能となる。
【0082】
第1係合部161は、連結部130の上部材132に固定されている。第1係合部161は、第1係合部161Lと第1係合部161Rとを含む。第1係合部161Lは、一方垂下板132bに固定されている。第1係合部161Rは、他方垂下板132cに固定されている。
図1,
図18、
図19に示すように、第2係合部162は、接続体164を介してハンドル5の基部5aに接続されている。第2係合部162は、第2係合部162Lと第2係合部162Rとを含む。第2係合部162Lは、第1係合部161Lに対して係合可能に配置されている。第2係合部162Rは、第1係合部161Rに対して係合可能に配置されている。
【0083】
接続体164は、接続体164Lと接続体164Rとを含む。接続体164Lは、第2係合部162Lと基部5aの左部とを接続している。接続体164Rは、第2係合部162Rと基部5aの右部とを接続している。接続体164(接続体164L、接続体164R)は、第1接続体165と第2接続体166とから構成されている。第1接続体165は、第1接続孔165aと第1取付孔165bとを有している。第1接続孔165aには基部5aが挿通されており、これによって第1接続体165が基部5aと接続されている。第2接続体166は、板状の部材であって、一方の面が第2係合部162側(機体内方)を向いており、他方の面が第2係合部162と反対側(機体外方)を向いている。第2接続体166は、第2接続孔166aと第2取付孔166bとを有している。第2接続孔166aには第2係合部162が篏合されており、これによって第2接続体166が第2係合部162と接続されている。第1接続体165と第2接続体166とは、第1取付孔165bと第2取付孔166bとを重ねて、重なった孔にボルト168を挿通し、当該ボルト168にナット167を螺合することによって接続される(
図19参照)。
図18に示すように、第2取付孔166bは第2軸心X2を中心とする円弧状の長孔に形成されている。そのため、第1接続体165を第2接続体166に対して第2軸心X2回りに移動させることができる。第1接続体165を第2接続体166に対して移動させることにより、ハンドル5を第2軸心X2回りに移動させることができる。
【0084】
第2接続体166には、受圧体169が固定されている。受圧体169は、接続体164Lの第2接続体166に固定された受圧体169Lと、接続体164Rの第2接続体166に固定された受圧体169Rを含む。受圧体169は、円柱状であって、一方側の端面が第2接続体166の他方の面(機体外方側の面)に固定されている。
図19に示すように、受圧体169は、中心に段付き孔169aが形成されている。段付き孔169aは、小径部169bと大径部169cとを有している。小径部169bは、受圧体169を貫通している。大径部169cは、受圧体169の一方側の端面から他方側の端面に向けて延びているが、受圧体169を貫通していない。横軸163は、段付き孔169aの小径部169bを貫通している。
【0085】
図19に示すように、傾動機構160は、第2係合部162を非係合位置に向けて付勢する付勢部材170を有している。付勢部材170は、圧縮コイルばねから構成されている。付勢部材170は、第1係合部161の第1中心孔161a、第2係合部162の第2中心孔162a、第2接続体166の第2接続孔166a、受圧体169の段付き孔169aの大径部169cに亘って配置されている。横軸163は、付勢部材170の中心を貫通している。
【0086】
付勢部材170は、付勢部材170Lと付勢部材170Rとを含む。付勢部材170Lは、一端側が連結部130の上部材132の一方垂下板132bに当接し、他端側が受圧体169Lの段付き孔169aの大径部169cに当接している。付勢部材170Rは、一端側が連結部130の上部材132の他方垂下板132cに当接し、他端側が受圧体169Rの段付き孔169aの大径部169cに当接している。付勢部材170は、圧縮コイルばねが伸長しようとする弾性反発力によって、受圧体169を連結部130から(上部材132から)離反する方向(機体外方)に向けて付勢している。これにより、第2係合部162が第1係合部161から離反する非係合位置に向けて付勢されている。
【0087】
傾動機構160は、第1操作部171を操作することによって作動する(傾動が可能となる)。別の言い方をすれば、第1操作部171は、傾動機構160についてハンドル5が傾動可能な状態と傾動不能な状態とを切り換える操作を行う部分である。
図18、
図19に示すように、第1操作部171は、支軸172に支持された揺動可能な操作レバーから構成されている。支軸172は、軸支持体173に支持されている。軸支持体173は、横軸163の一端側に固定されている。横軸163の他端側には雄ねじが形成されており、当該雄ねじにナット174が螺合されている。このナット174は、受圧体169Lに当接している。軸支持体173には上下方向に延びる貫通孔173aが形成されている。支軸172は、軸支持体173に形成された貫通孔173aに挿通されることにより、軸支持体173に支持されている。支軸172の両端部は、軸支持体173から突出している。支軸172は、軸支持体173に対して相対的に回動可能である。
【0088】
第1操作部171は、支軸172に取り付けられており、支軸172と共に軸支持体173に対して支軸172の軸心回りに相対的に回動可能である。第1操作部171は、根元部171aと握持部171bとを有している。根元部171aは、支軸172に取り付けられている。握持部171bは、第1操作部171の操作時において操作者(作業者)が握る部分であって、根元部171aから一方向に延びている。
図19に示すように、根元部171aには収容孔171cが形成されており、この収容孔171cに付勢体175が収容されている。付勢体175は、圧縮コイルばねから構成されている。付勢体175を構成する圧縮コイルばねには横軸163が挿通されている。付勢体175は、一端側が受圧体169Rに当接し、他端側が軸支持体173に当接している。付勢体175は、圧縮コイルばねが伸長しようとする弾性反発力によって、ナット174が受圧体169Lに当接した状態を維持する。第1操作部171は、根元部171aに受圧体169Rに当接する当接面171dを有している。当接面171dは、支軸172の中心からの距離が最も長い頂点部171eと、この頂点部171eと連続する曲面部171fと、この曲面部171fと連続する平面部171gとを有している。曲面部171fは、頂点部171eから離れるにつれて支軸172の中心からの距離が次第に減少するように構成されている。平面部171gは、曲面部171fの支軸172の中心からの距離が最小となる部分と連続している。支軸172の中心から平面部171gまでの距離は、支軸172の中心から曲面部171fまでの距離よりも小さい。
【0089】
第1操作部171は、第2係合部162を係合位置に向けて押圧する押圧位置と、第2係合部162を押圧しない非押圧位置とに移動可能である。
図19は、第1操作部171が押圧位置にある状態を示している。
図22の実線は、第1操作部171が非押圧位置にある状態を示している。第1操作部171の押圧位置から非押圧位置への移動は、第1操作部171を支軸172回りに回動させることにより行うことができる(
図22の矢印L参照)。第1操作部171の位置(押圧位置又は非押圧位置)は、第1操作部171を操作しない限りは維持される。つまり、操作者が第1操作部171を操作しない限りは、押圧位置と非押圧位置とが切り換わることはない。
【0090】
第1操作部171が
図19に示す押圧位置にあるとき、握持部171bが横軸163に対して略直角方向に延びる。このとき、当接面171dの頂点部171eが受圧体169Rに当接し、受圧体169Rを第2係合部162側に向けて押圧する。第2係合部162は、受圧体169に押されることによって、付勢部材170の付勢力に抗して係合位置に移動する。これにより、第2係合部162は第1係合部161と係合し、横軸163の軸心(第2軸心X2)回りに回動不能となる。その結果、ハンドル5がハンドル支持部120に対して回動不能となり、ハンドル支持部120に対するハンドル5の傾動位置が固定される。
【0091】
第1操作部171が
図22に示す非押圧位置にあるとき、握持部171bが横軸163と略同じ方向に延びる。このとき、当接面171dの平面部171gが受圧体169Rに当接する。すると、支軸172の中心から平面部171gまでの距離が、支軸172の中心から曲面部171fまでの距離よりも小さいことにより、当接面171dが受圧体169Rを押す力が小さくなる。そのため、第2係合部162は、付勢部材170の付勢力によって非係合位置に移動する。これにより、第2係合部162は第1係合部161から離反して横軸163の軸心(第2軸心X2)回りに回動可能となる。その結果、ハンドル5がハンドル支持部120に対して回動可能となり、ハンドル支持部120に対するハンドル5の傾動位置を変更することができる。
【0092】
ハンドル支持部120に対するハンドル5の傾動位置を変更する場合には、先ず、第1操作部171を押圧位置から非押圧位置に移動することによって、第1係合部161と第2係合部162との係合を解除する。次いで、ハンドル5をハンドル支持部120に対して横軸163の軸心(第2軸心X2)回りに傾動させることによって、所望の傾動位置とする。最後に、第1操作部171を非押圧位置から押圧位置に移動することによって、第1係合部161と第2係合部162とを再び係合させる。これにより、ハンドル支持部120に対するハンドル5の傾動位置を固定することができる。
【0093】
図23に示すように、ハンドル5は、機体2の上方に重なる位置まで傾動することが可能である。これによって、草刈機1の前後方向の長さを短くすることができるため、草刈機1の収納や運搬を容易化することが可能となる。
次に、傾動機構160の別の実施形態(第二実施形態)について説明する。以下、第二実施形態の傾動機構160について、上述した実施形態(第一実施形態)の傾動機構160と異なる点を中心に説明し、第一実施形態の傾動機構160と共通する構成については説明を省略する。
【0094】
図24,
図25は、第二実施形態の傾動機構160を備えた草刈機1を示している。
図26,
図27,
図28,
図29は、第二実施形態の傾動機構160を示す図である。
図26等に示すように、第二実施形態の傾動機構160は、被係止部176、係止部177、保持部198を有している。
被係止部176は、ハンドル5の基部5aに設けられている。被係止部176は、機体幅方向に延びる第2軸心X2回りに延びる外周面が正多角形状に形成されている。本実施形態の場合、被係止部176は、第2軸心X2回りに延びる外周面が正六角形状に形成されている。但し、被係止部176の第2軸心X2回りに延びる外周面の形状は、正六角形状には限定されず、例えば、正八角形状、正十角形状、正十二角形状等の形状であってもよい。正多角形の角の数に対応してハンドル5が採り得る傾動角度の数が決定する。例えば、被係止部176が正六角形状の外周面を有する場合、ハンドル5が採り得る傾動角度の数は6つとなる。
【0095】
被係止部176は、ハンドル5の基部5aの機体幅方向の中心付近に形成されている。被係止部176は、機体幅方向に延びる正多角形柱状であり、本実施形態の場合は正六角形柱状である。被係止部176は、ハンドル5の基部5aの太さに比べて太く形成されている。
被係止部176は、溶接等によってハンドル5の基部5aと一体化されている。そのため、被係止部176は、ハンドル5を機体幅方向に延びる第2軸心X2回りに傾動させたときに、ハンドル5の傾動に伴って第2軸心X2回りに回動可能である。
【0096】
係止部177は、連結部130に設けられており、被係止部176に係止可能である。係止部177は、被係止部176に係止されることによって、ハンドル5とハンドル支持部120とを連結する。つまり、係止部177は、連結部130を兼ねている。
図26,
図30等に示すように、係止部177は、下部位178と上部位179とを有している。
【0097】
下部位178は、台部180、受け部181、下当接部182を有している。
台部180は、台底板180a、第1起立板180b、第2起立板180cを有している。台底板180aと第1起立板180bと第2起立板180cとは、1枚の板を折り曲げることにより一体的に構成されている。台底板180aは、ハンドル支持部120の支持台124上に載置される。台底板180aには、円筒体180dが設けられている。円筒体180dは、台底板180aの上面から上方に突出している。円筒体180dには、支持台124に設けられた突出部125が嵌め入れられる。円筒体180dは、突出部125に対して上下方向に延びる第1軸心X1回りに回動可能となっている。第1起立板180bと第2起立板180cは、互いに間隔をあけて対向して配置され、台底板180aから上方に延びている。第1起立板180bの上部及び第2起立板180cの上部には、下方に向けて切り欠かれた切り欠き部180eが形成されている。
【0098】
受け部181は、略四角筒状の部材であって、第1起立板180bから第2起立板180cにわたって延びている。受け部181は、第1起立板180b及び第2起立板180cに形成された切り欠き部180eに嵌め入れられて溶接等により固定されている。受け部181には、第1起立板180bと第2起立板180cとの間の位置に凹み部181aが形成されている。凹み部181aは、下方に向けて凹んでいる。
【0099】
下当接部182は、受け部181に形成された凹み部181aに嵌め入れられて溶接等により固定されている。下当接部182は、受け部181が延びる方向と直角方向(第2軸心X2方向)に延びている。下当接部182は、被係止部176の外周面の下半分の少なくとも1つの面に当接可能な部分である。下当接部182は、正多角形を水平方向に半分に切断した形状に形成されている。本実施形態の場合、下当接部182は、正六角形を水平方向に半分に切断した等脚台形状に形成されている。
図26に示すように、下当接部182は、正六角形状の被係止部176の下半分の3つの面のうち2つの面に下方から当接可能となっている。
【0100】
上部位179は、揺動部183、上当接部184、覆い部185を有している。
揺動部183は、下部位178の上方に配置されており、枢支軸186によって受け部181と枢支されている。枢支軸186は、受け部181が延びる方向と直角方向(下当接部182が延びる方向と平行な方向)に延びている。揺動部183は、枢支軸186を支点として受け部181に対して揺動可能である。揺動部183には、上方に向けて凹んだ凹み部183aが形成されている。
図30に示すように、揺動部183は、先端側(枢支軸186から遠い側)において第1部分183bと第2部分183cとに分かれている。第1部分183bと第2部分183cとは、枢支軸186が延びる方向に並んでいる。第1部分183bの上部と第2部分183cの上部とは、接続板194によって接続されている。第1部分183bと第2部分183cとの間には隙間G1が形成されており、この隙間G1にはボルト187が通されている。ボルト187の軸部187aは受け部181の上部を貫通しており、この軸部187aに形成されたねじ部187bにはナット188(
図26参照)が螺合されている。ボルト187の軸部187aの上部は接続板194を貫通しており、ボルト187の頭部187cは接続板194の上方に位置している。
【0101】
上当接部184は、揺動部183に形成された凹み部183aに配置されている。上当接部184は、揺動部183が延びる方向と直角方向(第2軸心X2方向)に延びており、下当接部182の上方に位置している。上当接部184は、被係止部176の外周面の上半分の少なくとも1つの面に当接可能な部分である。上当接部184は、互いに間隔をあけて対向配置された一対の縦板184aと、一対の縦板184aの上部同士を接続する横板184bとを有している。上当接部184は、横板184bの下面が、正六角形状の被係止部176の上半分の3つの面のうち1つの面(最も上部の面)に上方から当接可能となっている。
【0102】
覆い部185は、上当接部184を上方から覆う部材である。覆い部185は、揺動部183に形成された凹み部183aに嵌め入れられて固定されている。覆い部185は、ハンドル5の基部5aの長さ方向に隔てて配置された一対の板材189を有している。一対の板材189の間の距離は、上当接部184及び被係止部176の第2軸心X2方向の長さよりも長い(
図27参照)。一対の板材189には、上方に向けて円弧状に切り欠かれた切欠き部189aが形成されている。切欠き部189aは、ハンドル5の基部5aの外周面の略上半分に沿う形状を有している。
【0103】
係止部177は、被係止部176の外周面を挟持する挟持状態(
図26参照)と、被係止部176の外周面を挟持しない非挟持状態(
図28参照)とに変更可能である。
図26に示す挟持状態においては、下当接部182が被係止部176の下半分の3つの面のうち2つの面に下方から当接し、上当接部184の横板184bが被係止部176の上半分の3つの面のうち1つの面(最も上部の面)に上方から当接する。このように、係止部177は、挟持状態にあるとき、下当接部182と上当接部184とが接近することによって、被係止部176の外周面の複数の面に上方と下方から当接する内周面を形成する。これにより、被係止部176は、第2軸心X2回りに回動不能となる。一方、
図28に示す非挟持状態においては、上当接部184が被係止部176から離反する。これにより、被係止部176は、第2軸心X2回りに回動可能となる。
【0104】
保持部198は、係止部177を挟持状態に保持可能とする部材である。保持部198は、機体幅方向に延びる支持軸195によって揺動可能に支持されている。保持部198は、基端部198aと延出部198bとを有している。基端部198aは、支持軸195に取り付けられている。延出部198bは、保持部198の操作時において操作者が握る部分であって、基端部198aから一方向(支持軸195から離れる方向)に延びている。
【0105】
保持部198は、基端部198aに接続板194の上面に当接する当接面198cを有している。当接面198cは、湾曲部198dと直線部198eとを有している。湾曲部198dと直線部198eとは連続して形成されている。支持軸195の中心から湾曲部198dまでの距離は、支持軸195の中心から直線部198eまでの距離よりも長い。
保持部198は、支持軸195の長さ方向に間隔をあけて配置された一対の板部198fを有している。この一対の板部198fの間に、ボルト187の上部と中間部材196が配置されている。中間部材196は、一対の縦板196aと、一対の縦板196aの下部同士を繋ぐ繋ぎ板196bとを有している。支持軸195は、一対の縦板196aと保持部198の一対の板部198fを貫通している。繋ぎ板196bには、ボルト187の上部が貫通している。繋ぎ板196bは、ボルト187の頭部187cと接続板194との間に介在されている。
【0106】
保持部198は、支持軸195回りの第1揺動位置(
図26参照)と第2揺動位置(
図28参照)に揺動可能である。
図26に示すように、保持部198が第1揺動位置にあるとき、保持部198の当接面198cの湾曲部198dが接続板194の上面に当接する。このとき、上部位179の揺動部183は、接続板194を介して湾曲部198dによって下方に押さえ付けられる。これにより、係止部177は、第1揺動位置において被係止部176の外周面を挟持する挟持状態に保持される。この状態では、被係止部176は、外周面が上当接部184と下当接部182との間に挟持されるため、第2軸心X2回りに回動不能となる。
【0107】
図28に示すように、保持部198が第2揺動位置にあるとき、保持部198の当接面198cの直線部198eが接続板194の上面に当接する。このとき、上部位179の揺動部183は、湾曲部198dによって下方に押さえ付けられない状態となり、挟持状態の保持が解除される。これにより、係止部177は、被係止部176の外周面を挟持しない非挟持状態となる。この状態で、上部材132の揺動部183を下部材131の受け部181に対して上方に揺動する(矢印H参照)ことによって、被係止部176の外周面から上当接部184が離反するため、被係止部176が第2軸心X2回りに回動可能となる。その結果、ハンドル5がハンドル支持部120に対して回動可能となり、ハンドル支持部120に対するハンドル5の傾動位置を変更することができる。
【0108】
ハンドル支持部120に対するハンドル5の傾動位置を変更する場合には、先ず、保持部198を支持軸195回りに回動し(
図28の矢印K参照)、第1揺動位置(
図26参照)から第2揺動位置(
図28参照)に移動することにより、係止部177が被係止部176の外周面を挟持する挟持状態の保持を解除する。次いで、上部材132の揺動部183を下部材131の受け部181に対して上方に揺動する(矢印H1参照)ことによって、被係止部176の外周面から上当接部184を離反させる。続いて、
図29に示すように、ハンドル5をハンドル支持部120に対して第2軸心X2回りに傾動させることによって、所望の傾動位置とする。続いて、上部材132の揺動部183を下部材131の受け部181に対して下方に揺動する(矢印H2参照)ことによって、被係止部176の外周面に上当接部184を当接させる。最後に、保持部198を第2揺動位置から第1揺動位置に移動することにより、
図26に示す状態に戻るため、ハンドル支持部120に対するハンドル5の傾動位置を固定することができる。
【0109】
草刈機1は、ハンドル5をハンドル支持部120に対して上下方向に延びる第1軸心X1回りに回動可能とする回動機構200(
図18,
図19参照)を備えている。回動機構200は、第2操作部210(
図1、
図2等参照)を操作することによって作動する(回動が可能となる)。別の言い方をすれば、第2操作部210は、回動機構200についてハンドル5が回動可能な状態と回動不能な状態とを切り換える操作を行う部分である。第2操作部210の構成については後述する。
【0110】
回動機構200は、支持台124と、連結部130と、可動部材201とを有している。
支持台124及び連結部130の構成は、上述した通りである。支持台124は、ハンドル支持部120の上部に設けられている。支持台124には、円柱状の突出部125が設けられている。連結部130は、ハンドル5の下部と支持台124とを連結している。連結部130は、支持台124上で第1軸心X1回りに回動可能である。
【0111】
以下、回動機構200について、上述した第一実施形態の傾動機構160を備えた草刈機1を例として説明するが、第二実施形態の傾動機構160を備えた草刈機1にも同様の回動機構200が備えられている。
図19に示すように、支持台124は、第1軸心X1を中心として円弧状又は円環状に配置された複数の第1通孔124aを有している。本実施形態の場合、第1通孔124aは、第1軸心X1を中心として円弧状に配置されている。第1通孔124aの数は、特に限定されないが、本実施形態の場合は5つである。支持台124の上面には、円筒状の筒体202が固定されている。筒体202の内部孔は、第1通孔124aの1つに重なっている。
【0112】
連結部130は、1つの第2通孔130aを有している。第2通孔130aは、連結部130の下部材131の底板131aに形成されている。尚、第二実施形態の傾動機構160を備えた草刈機1の場合は、第2通孔130aは、台部180の台底板180aに形成される。第2通孔130aは、連結部130の第1軸心X1回りの回動によって、複数の第1通孔124aのいずれかに選択的に重なる。
【0113】
可動部材201は、円柱状のピンである。可動部材201は、支持台124に対する連結部130の回動を許容する第1位置と回動を阻止する第2位置とに移動可能である。
図31(a)は可動部材201が第1位置にある状態を示し、
図31(b)は可動部材201が第2位置にある状態を示している。可動部材201は、第1位置にあるとき、第1通孔124aと第2通孔130aの少なくとも一方の孔(本実施形態の場合、第1通孔124aと第2通孔130aの両方)から離脱する。そのため、支持台124に対する連結部130の第1軸心X1回りの回動が許容される。可動部材201は、第2位置にあるとき、第1通孔124a及び第2通孔130aに挿通される。そのため、支持台124に対する連結部130の第1軸心X1回りの回動が阻止される。
【0114】
可動部材201は、第2操作部210の操作によって第1位置と第2位置とに移動する。
図1、
図2に示すように、第2操作部210は、ハンドル5の把持部である一方把持部5c1の近傍に配置されている。第2操作部210の近傍には、アクセルレバー(図示略)が配置される。
図32に示すように、第2操作部210は、揺動可能なレバーから構成されている。以下、第2操作部210をレバー210ともいう。レバー210は、機体幅方向に延びる軸211に支持され、機体幅方向に延びる第3軸心X3回りに揺動可能である。軸211は、ハンドル5の一方後延部5b1の後部から下方に延びる軸支持材212から右方(機体内方)に延びている。レバー210は、押圧部210aと軸受け部210bとを有している。押圧部210aは、平板状であって、第2操作部210の操作時において操作者が指等で押さえる部分である。
図1に示すように、押圧部210aは、ハンドル5の一方把持部5c1の機体内方側(右側)に配置されている。押圧部210aは、操作者が一方把持部5c1を把持した状態において指(親指等)で操作可能な位置に配置されている。
図32に示すように、押圧部210aは、上下方向において、一方把持部5c1と重なる高さに配置されている。軸受け部210bは、押圧部210aの前部から下方に延びている。軸受け部210bの下部には軸211が挿通されている。軸受け部210bは、押圧部210aと共に軸211回りに揺動可能である。軸受け部210bの上部には接続孔210cが形成されている。
【0115】
レバー210は、押圧部210aを親指等で上から押圧することによって、第3軸心X3回りの一方(下方)に向けて揺動し、上位置(
図32の実線参照)から下位置(
図32の仮想線参照)に移動する。レバー210は、図示しないバネによって第3軸心X3回りの他方(上方)に向けて付勢されている。そのため、押圧部210aの押圧をやめることによって、レバー210は第3軸心X3回りの他方(上方)に向けて揺動し、下位置(
図32の仮想線参照)から上位置(
図32の実線参照)に移動する。
【0116】
レバー210と可動部材201とは第2ケーブル220により接続されている。第2ケーブル220は、外筒部材(アウター)221とワイヤ(インナー)222とを有している。ワイヤ222は、外筒部材221に対して移動可能に収容されている。
外筒部材221の一端部は、第1保持部251に保持されている。
図1に示すように、第1保持部251は、ハンドル5の一方後延部5b1の後部に固定されている。第2ケーブル220の一端部であるワイヤ222の一端部は、外筒部材221の一端部から突出し、軸受け部210bの接続孔210cに接続されている。外筒部材221の他端部は、第2保持部252に保持されている。
図18に示すように、第2保持部252は、筒体202の上部に保持されている。第2ケーブル220の他端部であるワイヤ222の他端部は、外筒部材221の他端部から突出し、可動部材201の上端に接続されている。
【0117】
第2ケーブル220は、レバー210の揺動操作により移動して、可動部材201を第1位置(
図31(a)参照)と第2位置(
図31(b)参照)とに移動させる。
レバー210を操作していない状態では、レバー210は初期位置(
図32の実線位置)にあり、レバー210からワイヤ222に引張力が作用していない。この状態では、可動部材201は第1通孔124a及び第2通孔130aに挿通された第2位置(
図31(b)参照)にある。そのため、支持台124に対する連結部130の第1軸心X1回りの回動が阻止され、ハンドル支持部120に対するハンドル5の回動が不能となる。
【0118】
レバー210を操作する(押圧部210aを押圧する)と、レバー210は初期位置から操作位置(
図32の仮想線位置)に移動し、レバー210からワイヤ222に引張力が作用する。そのため、可動部材201が上方に移動し(
図18の矢印E参照)、第1通孔124a及び第2通孔130aから離脱した第1位置(
図31(a)参照)となる。そのため、支持台124に対する連結部130の第1軸心X1回りの回動が許容され、ハンドル5をハンドル支持部120に対する回動が可能となる。この状態で、ハンドル5をハンドル支持部120に対して第1軸心X1回りの一方(左方)(
図33参照)又は一方(右方)(
図34参照)に回動することができる。
【0119】
ハンドル5をハンドル支持部120に対して所望の角度に回動させた状態で、レバー210の操作を解除する(押圧部210aの押圧をやめる)と、レバー210は初期位置に戻り、可動部材201が第1通孔124a及び第2通孔130aに挿通される。そのため、支持台124に対する連結部130の第1軸心X1回りの回動が阻止され、ハンドル5をハンドル支持部120に対して所望の角度だけ回動させた位置で固定することができる。
【0120】
ハンドル5は、ハンドル支持部120に対して第1軸心X1回りの一方(左方)に回動すると第2ハウジング7B側に回動し、他方(右方)に回動すると第1ハウジング7A側に回動する。つまり、回動機構200によって、ハンドル5を第1ハウジング7A側又は第2ハウジング7B側に回動することができる。
図35は、ハンドル5を第2ハウジング7B側に回動した状態を示す図である。尚、回動機構200は、ハンドル5を機体2の上方に重なる位置まで回動可能とする構成であってもよい(
図36参照)。この様な構成は、第1通孔124aの数を増やす(例えば、第1通孔124aを第1軸心X1を中心として円環状に配置する)ことにより実現することができる。この様な構成を採ることにより、
図36に示すように、ハンドル5を機体2の上方に重なる位置まで回動して草刈機1の前後方向の長さを短くすることができるため、草刈機1の収納や運搬を容易化することが可能となる。
【0121】
図32に示すように、第1操作部171と第2操作部210は、第1操作部171の操作時の可動域Z1と第2操作部210の操作時の可動域Z2が上下方向にオーバーラップする高さに配置されている。これにより、操作者は第1操作部171と第2操作部210とを概ね同じ高さ位置で操作することが可能となるため、2つの操作部を操作する際に体勢を上下方向に大きく変化させる必要がなく、操作性に優れている。
【0122】
本発明において、傾動機構160を操作する第1操作部171と、回動機構200を操作する第2操作部210とは、機体幅方向の同じ側(左側又は右側)に配置する構成を採用することができる。この構成を採る場合、第一実施形態の第1操作部171を構成する操作レバー、支軸172、軸支持体173、付勢体175を、第2操作部210と機体幅方向の同じ側(左側)に配置すればよい。このような配置とすることによって、操作者は第1操作部171と第2操作部210とを機体幅方向の同じ側で操作することが可能となるため、操作性に優れている。
【0123】
草刈機1は、ハンドル支持部120を伸縮可能とする伸縮機構225を備えている。
図37,
図38,
図39に示すように、伸縮機構225は、筒部122と支柱123とを有している。
上述したように、筒部122は、ハンドル支持部120の下部を構成している。支柱123は、ハンドル支持部120の上部を構成しており、筒部122から進退可能に突出している。伸縮機構225は、支柱123が筒部122からの突出する長さを変更することによって、ハンドル支持部120を伸縮することができる。
【0124】
伸縮機構225は、第3操作部230を操作することによって作動する(伸縮が可能となる)。別の言い方をすれば、第3操作部230は、伸縮機構225についてハンドル支持部120が伸縮可能な状態と伸縮不能な状態とを切り換える操作を行う部分である。
第3操作部230は、第1部位230a、第2部位230b、第3部位230cを有している。第1部位230a、第2部位230b、第3部位230cは、それぞれ円柱状に形成されている。第1部位230a、第2部位230b、第3部位230cは、一体的に構成されている。第1部位230aは、操作者が把持する部分であって、機体幅方向に延びている。第1部位230aが延びる方向は、筒部122が延びる方向に対して略直角方向である。第1部位230aは、基端側から先端側に向かうにつれて筒部122から離れている。第2部位230bは、第1部位230aの基端側から第1部位230aに対して略直角方向に延びている。第2部位230bは、一端側が第1部位230aと繋がり、他端側が第3部位230cと繋がっている。第3部位230cは、第2部位230bの他端側から第2部位230bに対して略直角方向であって第1部位230aから離れる方向に延びている。第3部位230cが延びる方向は、筒部122が延びる方向に対して略直角方向である。第3部位230cは、筒部122の外面の近傍に配置されており、筒部122を横切るように延びている。第3操作部230は、第1部位230aを把持して押し引きすることによって、第3部位230c回りに回動することができる。
【0125】
第3操作部230の第3部位230cには、押圧部材231が固定されている。押圧部材231は、第3部位230cに沿って機体幅方向に延びる部材である。押圧部材231は、第3部位230cよりも外径が小さい円柱状に形成されている。押圧部材231は、可撓板232に当接している。
可撓板232は、筒部122に形成された第1スリット122aに沿って配置されている。第1スリット122aは、筒部122の一部を機体幅方向に直線状に切り欠いて形成されている。可撓板232は、押圧部材231と支柱123の外面との間に配置されており、機体幅方向に延びている。可撓板232は、一方の面が押圧部材231に当接し、他方の面が支柱123の外面に対向している。可撓板232の一端側は、筒部122から突出している。可撓板232の一端側は、筒部122の外面に突設された突設部233に対して締結材234により固定されている。可撓板232の他端側は、固定されておらず、自由端となっている。そのため、可撓板232は、一端側のみが固定された片持ち状態にあり、一端側を支点として撓み変形が可能である。可撓板232は、第1スリット122a内で撓み変形することによって、支柱123の外面に対して当接又は離反する。可撓板232は、可撓板232の一方の面が押圧部材231により押圧されることによって撓み変形する。
【0126】
筒部122には、第3操作部230の第3部位230cを保持する保持体235が設けられている。保持体235は、内保持体236と外保持体237と保持板238を有している。
内保持体236は、左板236a、右板236b、連結板236cを有している。左板236aは、筒部122の左側の外面に固定されており、斜め後下方に向けて延びている。右板236bは、筒部122の右側の外面に固定されており、斜め後下方に向けて延びている。連結板236cは、左板236aと右板236bとを連結している。連結板236cは、筒部122の第1スリット122aが設けられた側の面と間隔をあけて対向配置されている。内保持体236には、筒部122側に向けてU字状に切り欠かれた第2スリット236dが形成されている。第2スリット236d内には、第3操作部230の第3部位230cが配置されている。
【0127】
外保持体237は、板状の部材であって、内保持体236の連結板236cに対してボルト239によって固定されている。外保持体237には、第3操作部230の回動範囲を規制する規制部240が設けられている。規制部240は、第3操作部230を所定角度(例えば、約90°)まで回動操作したときに、第2部位230bが当たる位置に配置されることによって、第3操作部230の回動範囲を規制する。
【0128】
保持板238は、外保持体237と第3部位230cとの間に配置されている。第3操作部230は、第3部位230cが保持板238と外保持体237との間に挟まれることによって位置決めされて保持されている。保持板238にはねじ棒241が接続されており、ねじ棒241は外保持体237を貫通している。ねじ棒241にはナット242が螺合されており、これによって保持板238が外保持体237に取り付けられている。
【0129】
図40(a)は、伸縮機構225を作動させていない状態、即ちハンドル支持部120が伸縮可能となっていない状態を示す。この状態では、第3操作部230の第2部位230bは、支柱123に沿って斜め上方に延びている。また、第2部位230bと押圧部材231と可撓板232とが直線上に並んでおり、可撓板232は撓み変形して支柱123の外面に当接(圧接)している。そのため、支柱123は、可撓板232との間の静止摩擦力によって筒部122に対する移動が不能となっており、筒部122に対する支柱123の位置が固定されている。つまり、ハンドル支持部120が伸縮不能となっている。
【0130】
図40(b)は、伸縮機構225を作動させた状態、即ちハンドル支持部120が伸縮可能となった状態を示す。この状態は、
図40(a)に示す状態から、矢印Fに示すように第3操作部230を第3部位230c回りに回動させる。これにより、第2部位230b及び押圧部材231と可撓板232との位置関係が変化し、可撓板232が押圧部材231から受ける押圧力が減少する。これにより、可撓板232の撓み変形した状態から復元し、支柱123の外面から離反する。その結果、支柱123は筒部122に対する移動が可能となる。つまり、ハンドル支持部120が伸縮可能となる。この状態で、支柱123を筒部122に対して移動させることによって、ハンドル支持部120を伸長又は短縮することができる。
【0131】
ハンドル支持部120を所望の長さに伸長又は短縮した後、第3操作部230を第3部位230c回りに回動させて、
図40(a)に示す状態に戻すことによって、ハンドル支持部120の長さを所望の長さで固定することができる。
図37,
図38に示すように、伸縮機構225は、下動規制部243を有している。下動規制部243は、筒部122に対する支柱123の下方への移動量を規制する。下動規制部243は、支柱123の外面から隆起する部分であって、当該外面に板を溶接する等の方法により構成されている。支柱123を筒部122に対して下方に移動させたとき、下動規制部243が筒部122の上端面に当たることによって、支柱123がそれ以上は下方に移動することができなくなる(
図41(a)参照)。そのため、筒部122に対する支柱123の下方への移動量が規制される。
【0132】
図42に示すように、伸縮機構225は、上動規制部244を有している。上動規制部244は、筒部122に対する支柱123の上方への移動量を規制する。上動規制部244は、係止部材245、支点軸246、ばね247を有している。係止部材245は、支点軸246に枢支されている。係止部材245は、一端側に爪状部245aを有し、他端側にばね受け部245bを有している。爪状部245aは、筒部122に形成された第1長孔122bに嵌め入れられており、先端が支柱123の外面に当接している。支点軸246は、係止部材245の他端側寄りの中途部に挿通され、軸支材248に取り付けられている。軸支材248は、筒部122の外面に固定されている。ばね247は、圧縮コイルばねであって、係止部材245のばね受け部245bと筒部122の外面との間に介装されている。ばね247は、ばね受け部245bを筒部122の外面から離れる方向に付勢している。これにより、係止部材245は、爪状部245aの先端が支柱123の外面に押し当てられている。
図41,
図43に示すように、支柱123の下部には第2長孔123aが形成されている。第2長孔123aは、支柱123が上限位置にある状態(支柱123が筒部122の上端から最も突出した状態)で、第1長孔122bと重なる位置に形成されている。
【0133】
図41(a)、
図43(a)に示すように、支柱123が上限位置にある状態では、第1長孔122bと第2長孔123aとは重なっておらず、係止部材245は爪状部245aの先端が第1長孔122bに嵌め入れられて支柱123の外面に押し当てられている。この状態では、支柱123が筒部122に対して移動可能である。
図41(a)、
図43(a)の状態から支柱123を筒部122に対して上方に移動させ、支柱123が上限位置に達すると、第1長孔122bと第2長孔123aとが重なり、係止部材245は爪状部245aの先端が第1長孔122bを通って第2長孔123aの縁部に係止される(
図41(b)、
図43(b)参照)。これにより、支柱123がそれ以上は上方に移動することができなくなる。そのため、筒部122に対する支柱123の上方への移動量が規制され、支柱123が筒部122から抜けることを防止できる。
【0134】
草刈機1は、上記したような伸縮機構225を備えることによって、操作者の身長等に応じてハンドル5の高さを操作し易い最適な高さに調整することができる。そのため、身長の高低に関わらず、草刈機1を容易に操作することが可能となる。
第1操作部171、第2操作部210、第3操作部230は、操作時の可動域の少なくとも一部が筒部122の上端よりも上方に配置されている。つまり、第1操作部171、第2操作部210、第3操作部230は、いずれも操作時の可動域がハンドル5を把持した操作者の手の高さと近い高さに配置されている。そのため、操作者は、第1操作部171、第2操作部210、第3操作部230のいずれを操作する場合であっても、腰を大きく曲げる等の大幅な姿勢変更を行う必要が無く、操作性に優れている。
【0135】
草刈機1は、上述した回動機構200と伸縮機構225を備えていることによって、草刈機1を左方又は右方に旋回する操作を容易に行うことができる。
草刈機1を左方又は右方に旋回する操作を行う場合、ハンドル5を旋回する側に回動させると、草刈機1の旋回操作を容易に行うことができる。例えば、草刈機1を左方(第2ハウジング7B側)に旋回する操作を行う場合、
図35に示すように、ハンドル5を左方に回動させると、操作者Sが旋回する側(ヒンジ8の中心軸心C1に対して左側)に立つことになるため、操作者の移動距離が少なくて済み、左方への旋回操作を容易に行うことができる。逆に、草刈機1を右方(第1ハウジング7A側)に旋回する操作を行う場合、ハンドル5を右方に回動させると、右方への旋回操作を容易に行うことができる。
【0136】
また、草刈機1を左方又は右方に旋回する操作を行う場合、ハンドル支持部120を短縮することにより、操作者はハンドル5に対して体重をかけながら草刈機1を左方又は右方に向ける操作を行うことができるため、草刈機1の旋回操作を容易に行うことができる。
そのため、回動機構200と伸縮機構225の両方を備えることによって、草刈機1の旋回操作を容易に行うことができる。
【0137】
次に、上述した第1ケーブル190の操作方法等について説明する。
第1ケーブル190は、ハンドル5に設けられた調節レバー150によって操作することができる。
図1に示すように、調節レバー150は、ハンドル5の他方後延部5b2の機体内方側(左側)に配置されている。調節レバー150の機体内方側(左側)には、変速レバー(図示略)が配置される。
【0138】
調節レバー150は、第1ハウジング7Aに対する第2ハウジング7Bの角度を調節するためのレバーである。
図44に示すように、調節レバー150は、調節レバー本体151とケーブル接続部152とを有している。
図1に示すように、調節レバー本体151は、他方把持部5c2の前方に配置されている。
図44に示すように、調節レバー本体151は、上下方向に延びており、下部が横軸143に支持されている。調節レバー本体151の下部は、横軸143を介してブラケット144に支持されている。ブラケット144は、他方後延部5b2に固定されている。調節レバー本体151は、ブラケット144の溝穴144aを通って上下方向に延びている。
図44に実線と仮想線で表したように、調節レバー本体151は、横軸143回りに回動可能である。
【0139】
調節レバー150を横軸143回りに回動させることにより、調節レバー本体151を溝穴144aに沿って前後方向に移動させることができる。調節レバー本体151は、溝穴144aに形成された複数の係止部144b(
図1参照)に選択的に係止することができる。これにより、調節レバー150を前後方向の複数の位置に選択的に固定することができる。
【0140】
図44に示すように、ケーブル接続部152は、調節レバー本体151の下部に設けられている。ケーブル接続部152には、横軸153を介して第1ケーブル190の一端部(基端部)が接続されている。つまり、第1ケーブル190の一端部(基端部)は、ハンドル5に設けられた操作部としての調節レバー150に接続されている。
図1に示すように、第1ケーブル190の他端側(先端側)は、第1ハウジング7Aの上方を通って第2ハウジング7Bの上方まで延びている。
【0141】
第1ケーブル190は、外筒部材(アウター)191とワイヤ(インナー)192とを有している。外筒部材191の一端部は、ブラケット144の前部に設けられた保持部146に保持されている。ワイヤ192は、外筒部材191に対して移動可能に収容されており、外筒部材191から突出した一端部(第1ケーブル190の基端部)がケーブル接続部152に接続されている。
図10に示すように、外筒部材191の他端部は、第1ハウジング7Aの上方に支持されている。具体的には、外筒部材191の他端部は、第1ハウジング7Aの上面に固定された中間支持体197に支持されている。
図1に示すように、中間支持体197は、第1ハウジング7Aの上面の左部に固定されており、ヒンジ8の上方の位置に外筒部材191の他端部を支持している。
【0142】
図10に示すように、第1ケーブル190の他端部(先端部)であるワイヤ192の他端部は、第2ハウジング7Bのフレーム20に取り付けられた接続部材23の孔23iに接続されている。これにより、第1ケーブル190は、調節レバー150の操作に基づいて、第2ハウジング7Bを揺動させる引張力の付与又は解除を行うことができる。
調節レバー本体151を後方に揺動して溝穴144aの後方に位置する係止部144bに係止したとき、第1ケーブル190のワイヤ192がハンドル5側に引っ張られた状態となり、外筒部材191の他端部から突出するワイヤ192の突出量が小さくなる。このとき、
図10に実線で示すように、第2ハウジング7Bが第1ハウジング7Aに対して傾いていない位置に保持される。調節レバー本体151を溝穴144aの前方に位置する係止部144bに係止したとき、第1ケーブル190のワイヤ192が接続部材23側に引っ張られた状態となり、外筒部材191の他端部から突出するワイヤ192の突出量が大きくなる。
図10に仮想線で示すように、この状態では、第2ハウジング7Bが第1ハウジング7Aに対して傾斜した第2位置に保持される。
【0143】
調節レバー150を横軸143回りに回動させて、調節レバー本体151を複数の係止部144bに対して選択的に係止することによって、第1ハウジング7Aに対する第2ハウジング7Bの角度を調節することができる。
第2ハウジング7Bが第1ハウジング7Aに対して傾いていない位置に保持された状態では、第1刈刃33と第2刈刃38とが同じ高さに並ぶため、広い面積の平面の草刈りを行うことができる。第2ハウジング7Bが第1ハウジング7Aに対して傾斜した位置に保持された状態では、第1刈刃33に対して第2刈刃38が傾斜するため、平面部と法面(斜面)部とを有する畦や土手等において、第1刈刃33によって平面部の草刈り、第2刈刃38によって法面部の草刈りを行うことができる。また、平面部に対する法面部の傾斜角度に応じて、第1ハウジング7Aに対する第2ハウジング7Bの角度を調節することができる。
【0144】
上記実施形態の草刈機1によれば、以下の効果を奏することができる。
草刈機1は、縦軸回りに回転する刈刃を有する草刈部3と、草刈部3の周囲を覆うハウジング7とを備え、ハウジング7は、当該ハウジング7の骨組みを構成するフレーム20と、草刈部3の周囲を覆うようにフレーム20に着脱可能に取り付けられたカバー板21と、を有している。
【0145】
この構成によれば、ハウジング7がフレーム20にカバー板21を取り付けた構造であるため、フレーム20とカバー板21とを別素材から構成することができる。そのため、例えばカバー板21のみを軽量の素材から構成することによって、ハウジング7の軽量化が可能となり、操作性に優れた草刈機1を得ることができる。また、カバー板21がフレーム20に対して着脱可能であるため、カバー板21が損傷したり腐食したりした場合には、フレーム20は交換せずにカバー板21のみを交換することができるため、メンテナンス性に優れており、経済的である。
【0146】
また、ハウジング7は草刈部3の上方及び周囲を覆い、フレーム20は草刈部3の上方に配置された枠状フレーム20Aを含み、カバー板21は枠状フレーム20Aの上部に取り付けられ且つ草刈部3の上方を覆う天板21Aと、天板21Aとは別に枠状フレーム20Aの周囲に取り付けられ且つ草刈部3の周囲を覆う側板21Bとを有する。
この構成によれば、天板21Aと側板21Bとを枠状フレーム20Aから個別に取り外して交換することができる。そのため、例えば、石等の飛散によって側板21Bが損傷した場合には、天板21Aは交換せずに側板21Bのみを交換することができる。そのため、メンテナンス性に優れている。
【0147】
また、草刈機1は、原動機10と、原動機10の動力を縦軸36に伝達する動力伝達機構60とを備え、動力伝達機構60は、縦軸の上方に配置されたギヤケース30に収容され且つ縦軸と共に回転するギヤ110,111を含み、フレーム20は、枠状フレーム20Aの内部に配置され且つギヤケース30が取り付けられる取付部22を有している。
この構成によれば、フレーム20に取付部22を介してギヤケース30を取り付けることができるため、ギヤを収容したギヤケース30を確実且つ強固にフレーム20に支持させることができる。
【0148】
また、フレーム20は、取付部22と枠状フレーム20Aとを連結する連結フレーム20Bを有している。
この構成によれば、連結フレーム20Bによって枠状フレーム20Aを補強しつつ、取付部22をフレーム20に取付可能とすることができる。
また、草刈部3は、第1縦軸31回りに回転する第1刈刃33を有する第1草刈部3Aと、第2縦軸36回りに回転する第2刈刃38を有する第2草刈部3Bとを含み、ハウジング7は、第1草刈部3Aの少なくとも上方を覆う第1ハウジング7Aと、第2草刈部3Bの少なくとも上方を覆う第2ハウジング7Bと、を含み、第1ハウジング7Aと第2ハウジング7Bとはヒンジ8を介して連結されており、第1ハウジング7Aには、原動機10が搭載されるとともに操縦用のハンドル5が取り付けられており、第1ハウジング7A及び第2ハウジング7Bのうち、第2ハウジング7Bがフレーム20とカバー板21とを有している。
【0149】
この構成によれば、第2ハウジング7Bを軽量化することができるため、平面部と法面部とを有する畦や土手等において、第1ハウジング7Aを平面部側に配置し、第2ハウジング7Bを法面側に配置することによって、草刈機1の重心位置を平面部側に位置させることができる。そのため、草刈機1が法面側に滑り落ちにくくなり、草刈機1を安定して安全に操作することが可能となる。
【0150】
また、第2ハウジング7Bは、当該第2ハウジング7Bに取り付けられたケーブル190を移動させることによってヒンジ8を支点として第1ハウジング7Aに対して揺動可能であり、フレーム20にはケーブル190が接続される接続部材23が取り付けられている。
この構成によれば、接続部材23がフレーム20に取り付けられることによって、ケーブル190が移動して接続部材23に負荷が加わっても当該負荷をフレーム20で受けることができる。
【0151】
また、枠状フレーム20Aは中空のパイプから構成されており、天板21Aが樹脂又はゴムから形成され、側板21Bが金属から形成されている。
この構成によれば、枠状フレーム20Aと天板21Aが軽量化されることによってハウジングの軽量化が可能となって操作性が向上するとともに、石が飛散して当たる可能性がある側板21Bには高い強度をもたせることができるため安全性に優れている。
【0152】
また、草刈機1は、回転する刈刃を有する草刈部3と、草刈部3の上方を覆うハウジング7を有する機体2と、機体2から上方に延びるハンドル支持部120と、ハンドル支持部120の上部に支持された操縦用のハンドル5と、ハンドル支持部120を伸縮可能とする伸縮機構225と、ハンドル5をハンドル支持部120に対して上下方向に延びる第1軸心X1回りに回動可能とする回動機構200と、を備えている。
【0153】
この構成によれば、ハンドル5を支持するハンドル支持部120を伸縮することができるとともに、ハンドル5をハンドル支持部120に対して上下方向に延びる軸心回りに回動することができる。そのため、操作者の体格や草刈機1の操作状況等に対応してハンドル5の位置を変更することができ、優れた操作性を確保することができる。また、草刈機1を左方又は右方に旋回する操作を行う場合、ハンドル5を回動させるとともにハンドル支持部120を短縮することにより、操作者はハンドル5に対して体重をかけながら草刈機1を左方又は右方に向ける操作を行うことができるため、草刈機1の旋回操作を容易に行うことができる。
【0154】
また、ハンドル5は、ハンドル支持部120に支持された基部5aと、基部5aから後方に延びる後延部5bと、後延部5bの後端に設けられて作業者が把持する把持部5cと、を有し、把持部5cの近傍には、回動機構200についてハンドル5が回動可能な状態と回動不能な状態とを切り換える操作を行う操作部210が配置されている。
この構成によれば、操作部210が把持部5cの近傍にあるため、作業者は把持部5cの近くで手を大きく移動させずに操作部210を操作することができ、操作性に優れている。
【0155】
また、回動機構200は、ハンドル支持部120の上部に設けられた支持台124と、ハンドル5の下部と支持台124とを連結し且つ支持台124上で第1軸心X1回りに回動可能な連結部130と、支持台124に対する連結部130の回動を許容する第1位置と回動を阻止する第2位置とに移動可能な可動部材201と、を有し、可動部材201は、操作部210の操作によって第1位置と第2位置とに移動する。
【0156】
この構成によれば、操作部210の操作により可動部材201を移動させることによって、支持台124に対する連結部130の回動を許容又は阻止することができるため、回動機構200の作動状態と非作動状態との切り換えを容易に行うことができる。
また、支持台124は、第1軸心X1を中心として円弧状又は円環状に配置された複数の第1通孔124aを有し、連結部130は、当該連結部130の第1軸心X1回りの回動によって複数の第1通孔124aのいずれかに選択的に重なる第2通孔130aを有し、可動部材201は、第1位置にあるときは第1通孔124aと第2通孔130aの少なくとも一方の孔から離脱し、第2位置にあるときは第1通孔124a及び第2通孔130aに挿入される。
【0157】
この構成によれば、支持台124に対する連結部130の回動の許容と阻止の切り換えを確実に行うことができる。そのため、連結部130の不用意な回動を防止することができる。
また、操作部210は揺動可能なレバー210から構成され、レバー210と可動部材201とはケーブル220により接続され、ケーブル220は、レバー210の揺動操作により移動して、可動部材201を第1位置と第2位置とに移動させる。
【0158】
この構成によれば、レバー210の揺動によって可動部材201を移動させることができるため、操作部210の操作性に優れている。
また、刈刃は、第1縦軸31回りに回転する第1刈刃33と、第2縦軸36回りに回転する第2刈刃38とを含み、ハウジング7は、第1刈刃33の少なくとも上方を覆う第1ハウジング7Aと、第2刈刃38の少なくとも上方を覆う第2ハウジング7Bと、を含み、第1ハウジング7Aと第2ハウジング7Bとはヒンジ8を介して連結されており、第1ハウジング7Aには、原動機10が搭載されるとともにハンドル5が取り付けられており、ハンドル5は、第2ハウジング7B側に向けて回動可能である。
【0159】
この構成によれば、ハンドル5を第2ハウジング7B側に向けて回動させることによって、旋回する方向が重量物である原動機10が搭載された第1ハウジング7A側と反対側の第2ハウジング7B側であっても、操作者Sが旋回する側に立つことになるため、操作者の移動距離が少なくて済み、第2ハウジング7B側への旋回操作を容易に行うことができる。
【0160】
また、回動機構200は、ハンドル5を機体2の上方に重なる位置まで回動可能とする。
この構成によれば、ハンドル5を機体2の上方に重なる位置まで回動して草刈機1の前後方向の長さを短くすることができるため、草刈機1の収納や運搬を容易化することが可能となる。
【0161】
また、ハンドル5をハンドル支持部120に対して機体幅方向に延びる第2軸心X2回りに傾動可能とする傾動機構160を備え、傾動機構160は、ハンドル5を機体2の上方に重なる位置まで傾動可能とする。
この構成によれば、ハンドル5を機体2の上方に重なる位置まで傾動することによって、草刈機1の前後方向の長さを短くすることができるため、草刈機1の収納や運搬を容易化することが可能となる。
【0162】
また、草刈機1は、回転する刈刃を有する草刈部3と、草刈部3の上方を覆うハウジング7を有する機体2と、機体2から上方に延びるハンドル支持部120と、ハンドル支持部120の上部に支持された操縦用のハンドル5と、ハンドル支持部120とハンドル5とを連結する連結部130と、ハンドル5をハンドル支持部120に対して機体幅方向に延びる機幅軸心X2回りに傾動可能とする傾動機構160と、を備え、傾動機構160を作動する際に操作される第1操作部171が連結部130に設けられている。
【0163】
この構成によれば、傾動機構160によってハンドル5をハンドル支持部120に対して機体幅方向に延びる軸心X2回りに回動することができる。そのため、操作者の体格や草刈機の操作状況等に対応してハンドル5の傾きを変化させることができ、優れた操作性を実現することができる。また、傾動機構160を作動する際に操作される第1操作部171がハンドル5とハンドル支持部120とを連結する連結部130に設けられているため、第1操作部171の操作性に優れている。
【0164】
また、草刈機1は、ハンドル5をハンドル支持部120に対して上下方向に延びる上下軸心X1回りに回動可能とする回動機構200を備え、第1操作部171と回動機構200を作動する際に操作される第2操作部210とは、操作時の可動域が上下方向にオーバーラップする高さに配置されている。
この構成によれば、操作者は第1操作部171と第2操作部210とを概ね同じ高さ位置で操作することが可能となるため、操作性に優れている。
【0165】
また、草刈機1は、機体2を走行可能に支持する前輪4F及び後輪4Rを備え、ハンドル5はハンドル支持部120から後方に延びており、連結部130は後輪4Rよりも後方に配置されている。
この構成によれば、ハンドル5を把持する操作者の手に対して連結部130を近づけて配置することができるため、操作者は大きく手を動かさずとも連結部130に設けられた第1操作部171を操作することができ、操作性に優れている。
【0166】
また、第1操作部171と第2操作部210は、機体幅方向の同じ側に配置されている。
この構成によれば、操作者は第1操作部171と第2操作部210とを機体幅方向の同じ側で操作することが可能となるため、操作性に優れている。
また、草刈機1は、ハンドル支持部120を伸縮可能とする伸縮機構225を備え、伸縮機構225は、ハンドル支持部120の下部を構成する筒部122と、ハンドル支持部120の上部を構成し且つ筒部122から進退可能に突出する支柱123と、を有し、伸縮機構225を作動する際に操作される第3操作部230と、第1操作部171及び第2操作部210は、操作時の可動域の少なくとも一部が筒部122の上端よりも上方に配置されている。
【0167】
この構成によれば、第1操作部171、第2操作部210、第3操作部230は、いずれも操作時の可動域がハンドル5を把持した操作者の手の高さと近い高さに配置されるため、操作者は、第1操作部171、第2操作部210、第3操作部230のいずれを操作する場合であっても、腰を大きく曲げる等の大幅な上下方向の姿勢変更を行う必要が無く、操作性に優れている。
【0168】
また、傾動機構160は、連結部130に設けられた第1係合部161と、ハンドル5の傾動に伴って機幅軸心X2回りに回動可能であって且つ機幅軸心X2回りの複数の位置で第1係合部161に係合可能な第2係合部162と、を有し、第2係合部162は、第1操作部171の操作によって、第1係合部161に係合して回動不能となる係合位置と、第1係合部161から離反して回動可能となる非係合位置とに移動可能である。
【0169】
この構成によれば、第1操作部171の操作により、第1係合部161と第2係合部162とを係合させることによってハンドル5がハンドル支持部120に対して傾動不能な状態とし、第1係合部161と第2係合部162との係合を解除することによってハンドル5がハンドル支持部120に対して傾動可能な状態とすることができる。そのため、ハンドル5がハンドル支持部120に対して傾動不能な状態と傾動可能な状態とを簡単に且つ確実に切り換えることができる。
【0170】
また、傾動機構160は、第2係合部162を非係合位置に向けて付勢する付勢部材170を有し、第1操作部171は、第2係合部162を係合位置に向けて押圧する押圧位置と押圧しない非押圧位置とに移動可能であり、第2係合部162は、第1操作部171を押圧位置としたときは付勢部材170の付勢力に抗して係合位置に移動し、非押圧位置としたときは付勢部材170の付勢力によって非係合位置に移動する。
【0171】
この構成によれば、第1操作部171を押圧位置とすることによって、第2係合部162を係合位置に確実に移動させることができ、第1係合部161と第2係合部162とが係合した状態(ハンドル5が傾動不能な状態)を少ない力で確実に実現することができる。そのため、使用時に不用意にハンドル5が傾動する危険を回避することができる。また、第1操作部171を非押圧位置としたときは付勢部材170の付勢力によって第2係合部162を非係合位置に自動的に戻すことができる。
【0172】
また、傾動機構160は、ハンドル5の傾動に伴って機幅軸心X2回りに回動可能な被係止部176と、連結部130に設けられ且つ被係止部176に係止可能な係止部177と、を有し、被係止部176は、機幅軸心X2回りに延びる外周面が正多角形状に形成され、係止部177は、外周面を挟持する挟持状態と、外周面を挟持しない非挟持状態とに変更可能であって、挟持状態にあるときに外周面の複数の面に当接する内周面を形成する。
【0173】
この構成によれば、係止部177を被係止部176の外周面を挟持する挟持状態とすることによって、ハンドル5の傾動を確実に不能とすることができる。また、係止部177を被係止部176の外周面を挟持しない非挟持状態とすることによって、容易にハンドル5の傾動を可能とすることができる。
また、傾動機構160は、係止部177を挟持状態に保持可能な保持部198を有し、保持部198は、機体幅方向に延びる支持軸195回りの第1揺動位置と第2揺動位置に揺動可能であって、第1揺動位置において係止部177を挟持状態に保持し、第2揺動位置において保持を解除する。
【0174】
この構成によれば、保持部198を操作することによって、係止部177を挟持状態に保持してハンドル5の傾動を不能とし、また係止部177の挟持状態の保持を解除してハンドル5の傾動を可能とすることができる。また、保持部198によって、小さい力でハンドル5の傾動が不能である安全な状態を確実に得ることができる。
以上、本発明について説明したが、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。