【解決手段】複数の底面凹部11を有する底面部10と、側面凸部25を有する側面部24と背面凸部29を有する背面部26と前面部とを有し側面凸部25および背面凸部29をそれぞれ底面凹部11に係合させて底面部10の上に配される立面部20と、裏面部と平面視における外形形状が五角形の便座部34および蓋部38とを有し立面部20の上方部と裏面部とを係合させて立面部20の上に配される天面部30と、を備え、裏面部と便座部34にはそれぞれ開口部37が形成され、記蓋部38は便座部34の後方の辺を中心に便座部34に対して回動させることができ、蓋部38の前方の2つの辺にはそれぞれ五角形の外方に膨らんだ膨出部が設けられ、膨出部の前端は蓋部38の前端と同じ位置か後ろにある。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施形態を列記して説明する。
本開示の組み立て式トイレは、
[1]複数の底面凹部を有する底面部と、側面凸部を有する側面部と背面凸部を有する背面部と前面部とを有し前記側面凸部および前記背面凸部をそれぞれ前記底面凹部に係合させて前記底面部の上に配される立面部と、裏面部と平面視における外形形状が五角形の便座部および蓋部とを有し前記立面部の上方部と前記裏面部とを係合させて前記立面部の上に配される天面部と、を備え、前記裏面部と前記便座部にはそれぞれ開口部が形成され、前記蓋部は前記便座部の後方の辺を中心に前記便座部に対して回動させることができ、前記蓋部の前方の2つの辺にはそれぞれ五角形の外方に膨らんだ膨出部が設けられ、前記膨出部の前端は前記蓋部の前端と同じ位置か後ろにある。
【0010】
同構成によれば、蓋部が便座部に対して回動させることができるように設けられているため、蓋部を閉じた状態にしておけば先回の使用時の排泄物が見えることはなく、また臭いも閉じ込めておくことができる。また、蓋部の前方の2つの辺にはそれぞれ五角形の外方に膨らんだ膨出部が設けられているため、蓋部が閉じられた状態から開く際に、膨出部に手を掛けやすい。さらに膨出部の前端は蓋部の前端と同じ位置か後ろにあるため、蓋部の部材の原単位をむやみに大きくする必要がない。
【0011】
[2]前記側面部の上方の辺は前方が下がっていることが好ましい。
【0012】
同構成によれば、組み立て式トイレの使用者の上体が前傾姿勢となり上体が使用者の重心に近づくことで、快適性をより向上させることができる。
【0013】
[3]前記便座部は複数枚の段ボールを重ねて構成され、前記複数の段ボールのうちの少なくとも2枚は目方向を交差させて重ねられていることが好ましい。
【0014】
同構成によれば、段ボールという汎用性の高い部材が用いられているため、専用材を用いる場合と比較して生産コストを低く抑えることができる。また複数の段ボールを重ねることで、1枚の段ボールを用いる場合と比較して強度を高くすることができる。さらに複数の段ボールのうちの2枚は、強度が高い目方向を互いに交差させて重ねられているため、荷重がかかる方向が必ずしも定まらない便座部の強度をバランスよく高めることができる。
【0015】
[4]前記立面部は目方向が上下方向である段ボールで構成され、前記背面部は2つの面で構成され、前記2つの面は前記背面凸部よりも左右方向の寸法が狭い範囲で前記背面凸部の上方に設けられたアリ溝と桟とで係合されていることが好ましい。
【0016】
同構成によれば、荷重が概ね上下方向だけにかかる立面部について、目方向を複数方向とする場合と比較して生産コストを低く抑えることができる。また、組み立てる際に2つの面をアリ溝と桟とを係合して背面部とすることで、生産工程で予め2つの面を貼り合わせる場合などと比較し、生産コストを低く抑えることができる。さらに、背面凸部よりも左右方向の寸法が狭い範囲で前記背面凸部の上方にアリ溝と桟とを係合させることで背面凸部の左右方向の動きが底面凹部で拘束されるので、アリ溝と桟とが互いに開く方向に荷重がかかった場合にも、簡易な構造で係合に十分な強度を確保することができる。
【0017】
[5]前記蓋部は目方向が左右方向である段ボールで構成されていることが好ましい。
【0018】
同構成によれば、その役目として臭いの発散と目隠しの機能が求められ、便座部等と比較して高い強度は求められていない蓋部を、目方向を一方向とした段ボールで構成することで、目方向を複数方向とする場合と比較して生産コストを低く抑えることができる。
【0019】
[6]前記便座部の最上面と前記蓋部は1枚の段ボールで構成されていることが好ましい。
【0020】
1枚の段ボールの目方向は左右方向であるので、同構成によれば、予め生産工場などで特段の加工をすることなく折り曲げるだけで、便座部に対して蓋部を回動させることができる。また、便座部の最上面と蓋部を1枚の段ボールで構成できるので、生産コストを低く抑えることができる。
【0021】
[本開示の実施形態の詳細]
本開示の組み立て式トイレの具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。各図面では、説明の便宜上、構成の一部を誇張または簡略化して示す場合がある。また、各部分の寸法比率については各図面で異なる場合がある。なお本開示はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。本明細書における「平行」や「直交」は厳密に平行や直交の場合のみではなく、本実施形態における作用効果を奏する範囲内で概ね平行や直交の場合も含まれる。
【0022】
(組み立て式トイレ100の全体構成)
図1〜
図18に示すように、組み立て式トイレ100は、底面部10と、底面部10の上に配される立面部20と、立面部20の上に配される天面部30とを備えている。
組み立て式トイレ100は、紙製、木製、樹脂製または金属製などの種々の材料を用いた板状の部材で形成される。本実施形態では、金属等に比べて軽量である紙製の段ボールを、目方向を交差させて重ねたり、目方向を揃えて重ねたり、あるいは1枚だけ用いることで各部が形成されている。
以下の説明において、上方とは
図1中の上方、前方とは
図8中の左方、後方とは
図8中の右方、左右方向とは
図9中および
図15中の左右方向を言うものとする。
【0023】
(底面部10の構成)
底面部10は、本実施形態では、
図16および
図17に示すように段ボールを4枚重ねて形成されている。その目方向は、上の2枚が同じ方向、下の2枚が上の2枚と直交する方向とされている。
【0024】
底面部10には、左右方向の両側方と後方に、底面部10の一部を板厚方向に凹ませて、または底面部10に穴をあけることで複数の底面凹部11が形成される。本実施形態では、
図15〜
図17に示すように、重ねられた4枚の段ボールの全てに穴をあけることで底面凹部11が形成されている。
【0025】
(立面部20の構成)
立面部20は、
図2〜
図4、
図6および
図11などに示すように、組み立て式トイレ100の前方の面である前面部21と、後方の面である背面部26と、前面部21と背面部26とをつなぐ側面部24とを備えている。本実施形態では、
図11に示すように段ボールを一体ものとして立面部20を形成し、その一体ものである立面部20を適宜折り曲げることで前面部21と側面部24と背面部26とを形成している。立面部20は、
図12に示すように2枚の段ボールを重ねて形成されており、その目方向は2枚とも上下方向とされている。
【0026】
(前面部21の構成)
前面部21は、
図3、
図4、
図6および
図11に示すように、最前面部22と、側前面部23とを備えている。
【0027】
(側面部24の構成)
側面部24の下方の辺の前方には、
図2、
図4および
図11に示すように、側面凸部25が形成され、側面凸部25を底面凹部11に係合することで底面部10と側面部24が固定される。
【0028】
側面部24の上方の辺は、
図8および
図11に示すように、前方が下がるように形成されている。
【0029】
(背面部26の構成)
背面部26の下方の辺の左右方向の中央には、
図2および
図11に示すように、背面凸部29が形成され、背面凸部29を底面凹部11に係合することで底面部10と背面部26が固定される。
【0030】
背面部26は、
図2、
図7および
図11などに示すように、2つの面から構成されている。各々の面にアリ溝27と桟28が形成され、これらを係合させることで背面部26が形成される。本実施形態では、アリ溝27と桟28はそれぞれ2つずつ形成されている。
【0031】
アリ溝27と桟28は、
図2および
図11に示すように、背面凸部29の上方に形成されている。アリ溝27と桟28の左右方向の寸法は、背面凸部29よりも狭い寸法とされている。
【0032】
(天面部30の構成)
天面部30は、
図2〜
図6、
図9、
図13などに示すように、組み立て式トイレの上方の面を構成し、裏面部31と、便座部34と、蓋部38とを備えている。
【0033】
(裏面部31の構成)
裏面部31は、本実施形態では、
図14に示すように段ボールを4枚重ねて形成されている。その目方向は、上の2枚が同じ方向、下の2枚が上の2枚と直交する方向とされている。裏面部31は、立面部20の上方部と係合させることで立面部20に対して固定される。裏面部31には、前方が楕円の一部、後方が円の一部をつなげた形状の、排泄物を通過させるための開口部37が形成されている。
【0034】
(便座部34の構成)
便座部34は、本実施形態では、
図14に示すように段ボールを5枚重ねて形成されている。その目方向は、下の2枚が同じ方向、その2枚の上の2枚が下の2枚と直交する方向とされている。便座部34には、前方が楕円の一部、後方が円の一部をつなげた形状の、排泄物を通過させるための開口部37が形成され、その開口部37は裏面部31の開口部37と同一の形状とされている。便座部34の平面視における外形形状は五角形である。
【0035】
(蓋部38の構成)
蓋部38は、目方向が左右方向である段ボールで形成されている。本実施形態では、
図7、
図9、
図13および
図14などに示すように、前記便座部34の後方の辺に設けられたヒンジ部35において便座部34の最上面と連結されており、1枚の段ボールで形成されている。
【0036】
蓋部38の平面視における外形形状は五角形であり、
図9、
図10など、また
図18のハッチング部で示すように蓋部38の前方の2つの辺にはそれぞれ五角形の外方に膨らんだ膨出部39が、それらの前端が蓋部38の前端と同じ位置か後ろになるように形成されている。
【0037】
本実施形態の作用効果について説明する。
(1)複数の底面凹部11を有する底面部10と、側面凸部25を有する側面部24と背面凸部29を有する背面部26と前面部21とを有し側面凸部25および背面凸部29をそれぞれ底面凹部11に係合させて底面部10の上に配される立面部20と、裏面部31と平面視における外形形状が五角形の便座部34および蓋部38とを有し立面部20の上方部と裏面部31とを係合させて立面部20の上に配される天面部30と、を備え、裏面部31と便座部34にはそれぞれ開口部37が形成され、蓋部38は便座部34の後方の辺を中心に便座部34に対して回動させることができ、蓋部38の前方の2つの辺にはそれぞれ五角形の外方に膨らんだ膨出部39が設けられ、膨出部39の前端は蓋部38の前端と同じ位置か後ろにある。
【0038】
同構成によれば、蓋部38が便座部34に対して回動させることができるように設けられているため、蓋部38を閉じた状態にしておけば先回の使用時の排泄物が見えることはなく、また臭いも閉じ込めておくことができる。また、蓋部38の前方の2つの辺にはそれぞれ五角形の外方に膨らんだ膨出部39が設けられているため、蓋部38が閉じられた状態から開く際に、膨出部39に手を掛けやすい。さらに膨出部39の前端は蓋部38の前端と同じ位置か後ろにあるため、材料の原単位をむやみに大きくする必要がない。
【0039】
底面部10は、段ボールを4枚重ねて形成されている。その目方向は、上の2枚が同じ方向、下の2枚が上の2枚と直交する方向とされている。
【0040】
同構成によれば、荷重がかかる方向が必ずしも定まらない底面部10の強度をバランスよく高めることができる。
【0041】
底面凹部11は、重ねられた4枚の段ボールの全てに穴をあけることで形成されている。
【0042】
同構成によれば、生産工程で一気に裁断で形成できるので、底面凹部11を厚み方向の一部に形成する場合と比較し、生産コストを低く抑えることができる。
【0043】
便座部34の平面視における外形形状は五角形である。
【0044】
同構成によれば、組み立て式トイレの使用者のひざ下の収まりがよい。
【0045】
便座部34には、前方が楕円の一部、後方が円の一部をつなげた形状の、排泄物を通過させるための開口部37が形成され、その開口部37は裏面部31の開口部37と同一の形状とされている。
【0046】
同構成によれば、生産工程において裏面部31と便座部34を貼り合わせる際、図示しない治具に裏面部31の開口部37と便座部34の開口部37の両方を当接させることで容易に位置合わせができる。
(2)側面部24の上方の辺は前方が下がっている。
【0047】
同構成によれば、組み立て式トイレの使用者の上体が前傾姿勢となり上体が使用者の重心に近づくことで、快適性をより向上させることができる。
【0048】
(3)便座部34は複数枚の段ボールを重ねて構成され、複数の段ボールのうちの少なくとも2枚は目方向を交差させて重ねられている。
【0049】
同構成によれば、段ボールという汎用性の高い部材が用いられているため、専用材を用いる場合と比較して生産コストを抑えることができる。また複数の段ボールを重ねることで、1枚の段ボールを用いる場合と比較して強度を高くすることができる。さらに複数の段ボールのうちの2枚は、強度が高い目方向を互いに交差させて重ねられているため、荷重がかかる方向が必ずしも定まらない便座部34の強度をバランスよく高めることができる。
【0050】
便座部34の段ボールの目方向は、下の2枚が同じ方向、その上の2枚が下の2枚と直交する方向とされている。
【0051】
同構成によれば、荷重がかかる方向が必ずしも定まらない便座部14の強度をさらにバランスよく高めることができる。
【0052】
(4)立面部20は目方向が上下方向である段ボールで構成され、背面部26は2つの面で構成され、2つの面は背面凸部29よりも左右方向の寸法が狭い範囲で背面凸部29の上方に設けられたアリ溝27と桟28とで係合されている。
【0053】
同構成によれば、荷重が概ね上下方向だけにかかる立面部20について、目方向を複数方向とする場合と比較して生産コストを低く抑えることができる。また、組み立てる際に2つの面をアリ溝27と桟28とを係合して背面部26とすることで、生産工程で予め2つの面を貼り合わせる場合などと比較し、生産コストを低く抑えることができる。さらに、背面凸部よりも左右方向の寸法が狭い範囲で背面凸部29の上方にアリ溝と桟とを係合させることで背面凸部29の左右方向の動きが底面凹部11で拘束されるので、アリ溝27と桟28とが互いに開く方向に荷重がかかった場合にも、簡易な構造で係合に十分な強度を確保することができる。
【0054】
立面部20は、組み立て式トイレ100の前方の面である前面部21と、後方の面である背面部26と、前面部21と背面部26とをつなぐ側面部24とを一体ものの段ボールで形成し、立面部20を適宜折り曲げることで前面部21と、側面部24と、背面部26とを形成している。立面部20は、2枚の段ボールを重ねて形成されており、その目方向は2枚とも上下方向とされている。
【0055】
同構成によれば、目方向が上下方向なので上下方向の荷重に強く、かつ目方向に沿って折り曲げやすいので前面部21、側面部24、背面部26を形成しやすい。
【0056】
(5)前記蓋部38は目方向が左右方向である段ボールで構成されている。
【0057】
同構成によれば、その役目として臭いの発散と目隠しの機能が求められ、便座部34等と比較して高い強度は求められていない蓋部38を、目方向を一方向とした段ボールで構成することで、目方向を複数方向とする場合と比較して生産コストを低く抑えることができる。
【0058】
(6)便座部34の最上面と蓋部38は1枚の段ボールで構成されている。
【0059】
1枚の段ボールの目方向は左右方向であるので、同構成によれば、予め生産工場などで特段の加工をすることなく折り曲げるだけで、便座部34に対して蓋部38を回動させることができる。また、便座部34の最上面と蓋部38を1枚の段ボールで構成できるので、生産コストを低く抑えることができる。
【0060】
蓋部38は、便座部34の後方の辺に設けられたヒンジ部35において便座部34の最上面と連結されており、1枚の段ボールで形成されている。
【0061】
同構成によれば、生産工程で1枚の段ボールを裁断するだけで良いので、複数枚の段ボールで構成する場合と比較し生産コストを下げることができる。また1枚の段ボールで形成されているので、別体ものを連結した場合と比較し、蓋部38を回動させる際の耐久性が高い。
【0062】
なお上述したのはあくまでも一実施形態であり、当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を加えた態様で実施することができる。