【解決手段】訓練データを受信するニューラルネットワーク訓練モデルを含むプロセッサを含む、関心対象の心構造を自動的に検出するようにニューラルネットワークを訓練するためのシステム及び方法。訓練データは、心臓内に位置付けられた第1のカテーテルの電極によって受信された第1の心構造に関する第1の電気生理学的データを含む第1の入力と、第1の心構造に関する第2のデータを含む第2の入力と、を含む。ニューラルネットワーク訓練モデルは、出力として、訓練データに基づいて、第1の心構造が関心対象の心構造であるか否かの判定を生成する。
前記一次元信号及び前記距離データに対して、前記第1のニューラルネットワーク及び前記第2のニューラルネットワークをモノリシックに訓練することを更に含む、請求項1に記載のシステム。
【発明を実施するための形態】
【0024】
心臓内の特定の構造の位置を自動的に検出すること、より好ましくは、心臓内のヒス束の位置を自動的に検出すること、及びニューラルネットワークを訓練して、心臓内のそのような特定の構造の位置を自動的に検出することを提供する方法、システム、及びプログラムが提供される。
【0025】
図1は、患者の生体指標(すなわち、患者データ)を遠隔監視及び通信するための例示的なシステム100のブロック図である。
図1に示す例では、システム100は、患者104に関連付けられた患者生体計測監視及び処理装置102と、ローカルコンピューティングデバイス106と、遠隔コンピューティングシステム108と、第1のネットワーク110と、第2のネットワーク120と、を備える。
【0026】
例示的な一実施形態によれば、監視及び処理装置102は、患者の身体の内部にある装置(例えば、皮下移植可能)であってもよい。監視及び処理装置102は、経口注射、静脈又は動脈を介した外科的挿入、内視鏡処置、又は腹腔鏡処置を含む任意の適用可能な方法を介して患者に挿入されてもよい。
【0027】
例示的な一実施形態によれば、監視及び処理装置102は、患者の外部にある装置であってもよい。例えば、以下により詳細に記載されるように、監視及び処理装置102は、取り付け可能なパッチ(例えば、患者の皮膚に取り付けられる)を含んでもよい。監視及び処理装置102はまた、1つ又は2つ以上の電極を有するカテーテル、プローブ、血圧カフ、体重計、ブレスレット又はスマートウォッチ生体計測トラッカ、グルコースモニタ、連続正気道圧力(continuous positive airway pressure、CPAP)マシン、又は患者の健康若しくは生体指標に関する入力を提供し得る実質上任意のデバイスを含んでもよい。
【0028】
例示的な一実施形態によれば、監視及び処理装置102は、患者の内部にある構成要素及び患者の外部にある構成要素の両方を含むことができる。
【0029】
単一の監視及び処理装置102が、
図1に示されている。しかしながら、例示的なシステムは、複数の患者生体計測監視及び処理装置を含んでもよい。患者生体計測監視及び処理装置は、1つ又は2つ以上の他の患者生体計測監視及び処理装置と通信してもよい。追加的に又は代替的に、患者生体計測監視及び処理装置は、ネットワーク110と通信してもよい。
【0030】
1つ又は2つ以上の監視及び処理装置102は、患者生体計測データ(例えば、電気信号、血圧、体温、血糖値又は他の生体計測データ)を取得することができ、かつ取得された患者の生体指標を表す患者生体計測データの少なくとも一部分、並びに1つ又は2つ以上の他の監視及び処理装置102から取得された患者の生体指標に関連付けられた追加情報を受信することができる。追加情報は、例えば、ウェアラブルデバイスなどの追加のデバイスから得られる診断情報及び/又は追加情報であってもよい。各監視及び処理装置102は、それ自体の取得された患者の生体指標、並びに1つ又は2つ以上の他の監視及び処理装置102から受信されたデータを含むデータを処理してもよい。
【0031】
図1では、ネットワーク110は、近距離ネットワーク(例えば、ローカルエリアネットワーク(LAN)、又はパーソナルエリアネットワーク(PAN))の一例である。情報は、Bluetooth、Wi−Fi、Zigbee、Z−Wave、近接場通信(near field communication、NFC)、ウルトラバンド、Zigbee、又は赤外線(infrared、IR)などの様々な近距離無線通信プロトコルのうちのいずれか1つを使用して、監視及び処理装置102とローカルコンピューティングデバイス106との間で、近距離ネットワーク110を介して送信されてもよい。
【0032】
例示的な一実施形態では、ネットワーク120は、有線ネットワーク、無線ネットワークであってもよく、又は1つ若しくは2つ以上の有線及び無線ネットワークを含んでもよい。例えば、ネットワーク120は、長距離ネットワーク(例えば、広域ネットワーク(WAN)、インターネット、又はセルラーネットワーク)であってもよい。情報は、様々な長距離無線通信プロトコル(例えば、TCP/IP、HTTP、3G、4G/LTE、又は5G/New Radio)のいずれか1つを使用して、ネットワーク120を介して送信されてもよい。
【0033】
例示的な一実施形態では、患者監視及び処理装置102は、患者生体計測センサ112、プロセッサ114、ユーザ入力(user input、UI)センサ116、メモリ118、及び送信受信機(すなわち、送受信機)122を含むことができる。患者監視及び処理装置102は、ネットワーク110を介して、任意の数の様々な患者の生体指標を継続的又は周期的に監視、記憶、処理、及び通信してもよい。患者の生体指標の例としては、電気信号(例えば、ECG信号及び脳生体指標)、血圧データ、血糖データ、及び体温データが挙げられる。患者の生体指標は、心臓血管疾患(例えば、不整脈、心筋症、及び冠動脈疾患)及び自己免疫疾患(例えば、I型及びII型糖尿病)などの任意の数の様々な疾患にわたって治療するために監視及び通信され得る。
【0034】
一実施形態では、患者生体計測センサ112は、例えば、生体計測患者の生体指標の種類を感知するように構成された1つ又は2つ以上のセンサを含んでもよい。例えば、患者生体計測センサ112は、電気信号(例えば、心臓信号、脳信号又は他の生体電気信号)を取得するように構成された電極、体温センサ、血圧センサ、血糖センサ、血液酸素センサ、pHセンサ、加速度計、及びマイクロフォン)を含んでもよい。
【0035】
例示的な一実施形態では、以下により詳細に記載されるように、患者生体計測監視及び処理装置102は、心臓のECG信号を監視するためのECGモニタであってもよい。ECGモニタの患者生体計測センサ112は、ECG信号を取得するための1つ又は2つ以上の電極を含んでもよい。ECG信号は、様々な心臓血管疾患の治療に使用され得る。
【0036】
例示的な一実施形態では、送受信機122は、別個の送信機及び受信機を含むことができる。代替的に、送受信機122は、単一のデバイスに統合された送信機及び受信機を含んでもよい。
【0037】
例示的な一実施形態では、プロセッサ114は、患者生体計測センサ112によって取得されたメモリ118内の患者生体計測データなどの患者データを記憶し、送受信機122の送信機を介してネットワーク110上で患者データを通信するように構成されてもよい。1つ又は2つ以上の他の監視及び処理装置102からのデータはまた、以下により詳細に記載されるように、送受信機122の受信機によって受信されてもよい。
【0038】
例示的な一実施形態によれば、監視及び処理装置102は、例えば、タップ又はタッチなどのユーザ入力を受信するように構成された圧電センサ又は静電容量センサであってもよいUIセンサ116を含む。例えば、UIセンサ116は、患者104が監視及び処理装置102の表面をタップ又はタッチすることに応答して、容量性結合を実装するように制御されてもよい。ジェスチャ認識は、抵抗容量性、表面容量性、投影容量性、表面弾性波、圧電及び赤外線タッチなどの、様々な容量型のうちのいずれか1つを介して実装することができる。静電容量センサは、表面のタップ又はタッチが監視デバイスを起動させるように、表面の小さい領域又は長さにわたって配置されてもよい。
【0039】
以下でより詳細に説明するように、プロセッサ114は、UIセンサ116であり得る静電容量センサの異なるタッピングパターン(例えば、シングルタップ又はダブルタップ)に選択的に応答するように構成されてもよく、その結果、パッチの異なるタスク(例えば、データの取得、記憶、又は送信)が、検出されたパターンに基づいて起動されてもよい。いくつかの実施形態では、ジェスチャが検出されると、可聴フィードバックが処理装置102からユーザに与えられてもよい。
【0040】
例示的な一実施形態では、システム100のローカルコンピューティングデバイス106は、患者生体計測監視及び処理装置102と通信し、第2のネットワーク120を介して遠隔コンピューティングシステム108へのゲートウェイとして機能するように構成されてもよい。ローカルコンピューティングデバイス106は、例えば、ネットワーク120を介して他のデバイスと通信するように構成された、スマートフォン、スマートウォッチ、タブレット、又は他のポータブルスマートデバイスであってもよい。代替的に、ローカルコンピューティングデバイス106は、例えば、モデム及び/又はルータ能力を含む固定された基地局、PCの無線モジュールを介して処理装置102と遠隔コンピューティングシステム108との間で情報を通信するための実行可能プログラムを使用するデスクトップコンピュータ又はラップトップコンピュータ、又はUSBドングルなどの、固定式又はスタンドアローンデバイスであってもよい。患者の生体指標は、ローカルエリアネットワーク(LAN)(例えば、パーソナルエリアネットワーク(PAN))などの近距離無線ネットワーク110を介して、近距離無線技術規格(例えば、Bluetooth、Wi−Fi、ZigBee、Z−波、及び他の近距離無線規格)を使用して、ローカルコンピューティングデバイス106と患者生体計測監視及び処理装置102との間で通信されてもよい。いくつかの実施形態では、ローカルコンピューティングデバイス106はまた、以下により詳細に記載されるように、取得された患者電気信号及び取得された患者電気信号に関連する情報を表示するように構成されてもよい。
【0041】
いくつかの例示的な実施形態では、遠隔コンピューティングシステム108は、監視された患者の生体指標及び監視された患者に関連付けられた情報のうちの少なくとも一方を、長距離ネットワークであるネットワーク120を介して受信するように構成されてもよい。例えば、ローカルコンピューティングデバイス106が携帯電話である場合、ネットワーク120は、無線セルラーネットワークであってもよく、情報は、上述の無線技術のいずれかなどの無線技術規格を介してローカルコンピューティングデバイス106と遠隔コンピューティングシステム108との間で通信されてもよい。以下により詳細に記載されるように、遠隔コンピューティングシステム108は、患者の生体指標及び関連する情報のうちの少なくとも一方を医療専門家(例えば、医師)に提供する(例えば、視覚的に表示及び/又は聴覚的に提供する)ように構成されてもよい。
【0042】
図2は、ネットワーク120と通信するコンピューティング環境200の一例のシステム図である。いくつかの例では、コンピューティング環境200は、パブリッククラウドコンピューティングプラットフォーム(Amazon Web Services又はMicrosoft Azureなど)、ハイブリッドクラウドコンピューティングプラットフォーム(HP Enterprise OneSphereなど)又はプライベートクラウドコンピューティングプラットフォームに組み込まれる。
【0043】
図2に示すように、コンピューティング環境200は、好ましくは、本明細書に記載される実施形態が実装され得るコンピューティングシステムの一実施例である遠隔コンピューティングシステム108(以下、コンピュータシステム)を含む。
【0044】
遠隔コンピューティングシステム108は、1つ又は2つ以上のプロセッサを含むことができるプロセッサ220を介して、様々な機能を実行することができる。例えば、機能は、監視された患者の生体指標及び関連する情報を分析することと、医師によって判定された又はアルゴリズム駆動された閾値及びパラメータに従って、警告、追加情報又は命令を(例えば、ディスプレイ266を介して)提供することとを含んでもよい。以下により詳細に記載されるように、遠隔コンピューティングシステム108は、医療従事者が他の患者よりも重大なニーズを有する患者を識別及び優先することを患者情報が可能にし得るように、患者情報ダッシュボードを(例えば、ディスプレイ266を介して)医療従事者(例えば、医師)に提供するために使用することができる。
【0045】
図2に示すように、コンピュータシステム210は、バス221などの通信機構、又はコンピュータシステム210内の情報を通信するための他の通信機構を含んでもよい。コンピュータシステム210は、情報を処理するためにバス221と結合された1つ又は2つ以上のプロセッサ220を更に含む。プロセッサ220は、1つ又は2つ以上のCPU、GPU、又は当該技術分野において既知の任意の他のプロセッサを含んでもよい。
【0046】
コンピュータシステム210はまた、情報及びプロセッサ220によって実行される命令を記憶するためにバス221に結合されたシステムメモリ230を含むことができる。システムメモリ230は、読み取り専用システムメモリ(read only system memory、ROM)231及び/又はランダムアクセスメモリ(ramdom access memory、RAM)232などの揮発性及び/又は不揮発性メモリの形態のコンピュータ可読記憶媒体を含んでもよい。システムメモリRAM232は、他の動的記憶デバイス(単数又は複数)(例えば、ダイナミックRAM、スタティックRAM、及びシンクロナスDRAM)を含んでもよい。システムメモリROM231は、他の静的記憶デバイス(単数又は複数)(例えば、プログラマブルROM、消去可能PROM、及び電気的消去可能なPROM)を含んでもよい。加えて、システムメモリ230は、プロセッサ220による命令の実行中に一時変数又は他の中間情報を記憶するために使用することができる。基本入力/出力システム233(basic input/output system、BIOS)は、システムメモリROM231に記憶され得る情報を、始動時などに、コンピュータシステム210内の要素間で転送するルーチンを含んでもよい。RAM232は、プロセッサ220に即座にアクセス可能である、かつ/又はプロセッサ220によって現在操作されているデータ及び/又はプログラムモジュールを含んでもよい。システムメモリ230は、例えば、オペレーティングシステム234、アプリケーションプログラム235、他のプログラムモジュール236、及びプログラムデータ237を更に含んでもよい。
【0047】
例示的な一実施形態では、コンピュータシステム210はまた、磁気ハードディスク241及び取り外し可能な媒体ドライブ242(例えば、フロッピーディスクドライブ、コンパクトディスクドライブ、テープドライブ、及び/又はソリッドステートドライブ)などの、情報及び命令を記憶するための1つ又は2つ以上の記憶デバイスを制御するためにバス221に結合されたディスクコントローラ240を含む。記憶デバイスは、適切なデバイスインターフェース(例えば、小型コンピュータシステムインターフェース(small computer system interface、SCSI)、統合デバイス電子機器(integrated device electronics、IDE)、ユニバーサルシリアルバス(Universal Serial Bus、USB)、又はFireWire)を使用して、コンピュータシステム210に追加されてもよい。
【0048】
コンピュータシステム210はまた、コンピュータユーザに情報を表示するための、陰極線管(cathode ray tube、CRT)又は液晶ディスプレイ(liquid crystal display、LCD)などのモニタ又はディスプレイ266を制御するためにバス221に結合されたディスプレイコントローラ265を含んでもよい。図示されたコンピュータシステム210は、ユーザ入力インターフェース260と、コンピュータユーザと対話し、プロセッサ220に情報を提供するための、キーボード262及びポインティングデバイス261などの1つ又は2つ以上の入力デバイスとを含む。ポインティングデバイス261は、例えば、プロセッサ220に方向情報及びコマンド選択を通信し、ディスプレイ266上のカーソル移動を制御するためのマウス、トラックボール、又はポインティングスティックであってもよい。ディスプレイ266は、ポインティングデバイス261及び/又はキーボード262による方向情報及びコマンド選択の通信を補完する、又は置き換える入力を可能にし得るタッチスクリーンインターフェースを提供してもよい。
【0049】
コンピュータシステム210は、システムメモリ230などのメモリに含まれる1つ又は2つ以上の命令の1つ又は2つ以上のシーケンスを実行するプロセッサ220に応答して、本明細書に記載される機能及び方法の一部分又は各々を実行してもよい。そのような命令は、ハードディスク241又は取り外し可能な媒体ドライブ242などの別のコンピュータ可読媒体からシステムメモリ230に読み込むことができる。ハードディスク241は、本明細書に記載される実施形態によって使用される1つ又は2つ以上のデータストア及びデータファイルを含んでもよい。データストアコンテンツ及びデータファイルは、セキュリティを改善するために暗号化されてもよい。プロセッサ220はまた、システムメモリ230に含まれる命令の1つ又は2つ以上のシーケンスを実行するために、マルチ処理構成で採用されてもよい。代替的な実施形態では、ハードワイヤード回路は、ソフトウェア命令の代わりに、又はソフトウェア命令と組み合わせて使用することができる。したがって、実施形態は、ハードウェア回路とソフトウェアとの任意の特定の組み合わせに限定されない。
【0050】
上述のように、コンピュータシステム210は、本明細書に記載される実施形態に従ってプログラムされた命令を保持し、本明細書に記載されるデータ構造、テーブル、記録、又は他のデータを含むための、少なくとも1つのコンピュータ可読媒体又はメモリを含んでもよい。本明細書で使用するとき、用語「コンピュータ可読媒体」は、実行のためにプロセッサ220に命令を提供することに関与する、任意の非一時的な有形媒体を指す。コンピュータ可読媒体は、不揮発性媒体、揮発性媒体、及び伝送媒体を含むがこれらに限定されない多くの形態を採ることができる。不揮発性媒体の非限定的な例としては、ハードディスク241又は取り外し可能な媒体ドライブ242などの、光ディスク、ソリッドステートドライブ、磁気ディスク、及び光磁気ディスクが挙げられる。揮発性媒体の非限定的な例としては、システムメモリ230などの動的メモリが挙げられる。伝送媒体の非限定的な例としては、バス221を構成するワイヤを含む、同軸ケーブル、銅線、及び光ファイバが挙げられる。伝送媒体はまた、電波及び赤外線データ通信の間に生成されるものなどの音響波又は光波の形態を採ることができる。
【0051】
コンピューティング環境200は、ローカルコンピューティングデバイス106への論理接続、及びパーソナルコンピュータ(ラップトップ又はデスクトップ)、モバイルデバイス(例えば、患者モバイルデバイス)、サーバ、ルータ、ネットワークPC、ピアデバイス、又は他の共通ネットワークノードなどの1つ又は2つ以上の他のデバイスへの論理接続を使用してネットワーク化された環境内で動作するコンピュータシステム210を更に含むことができ、典型的には、コンピュータシステム210に関して上述した要素の多く又は全てを含む。ネットワーク環境で使用される場合、コンピュータシステム210は、インターネットなどのネットワーク120を介して通信を確立するためのモデム272を含んでもよい。モデム272は、ネットワークインターフェース270を介して、又は別の適切な機構を介してシステムバス221に接続されてもよい。
【0052】
図1及び
図2に示されるようなネットワーク120は、インターネット、イントラネット、ローカルエリアネットワーク(local area network、LAN)、広域ネットワーク(wide area network、WAN)、メトロポリタンエリアネットワーク(metropolitan area network、MAN)、直接接続若しくは一連の接続、セルラー電話ネットワーク、又はコンピュータシステム610と他のコンピュータ(例えば、ローカルコンピューティングデバイス106)との間の通信を容易にすることができる任意の他のネットワーク若しくは媒体を含む、当該技術分野で一般的に既知である任意のネットワーク又はシステムであり得る。
【0053】
図3は、本開示の1つ又は2つ以上の特徴を実装することができる例示的なデバイス300のブロック図である。デバイス300は、例えば、ローカルコンピューティングデバイス106であってもよい。デバイス300は、例えば、コンピュータ、ゲームデバイス、ハンドヘルドデバイス、セットトップボックス、テレビ、携帯電話、又はタブレットコンピュータを含むことができる。デバイス300は、プロセッサ302と、メモリ304と、記憶デバイス306と、1つ又は2つ以上の入力デバイス308と、1つ又は2つ以上の出力デバイス310と、を含む。デバイス300はまた、任意選択的に、入力ドライバ312及び出力ドライバ314を含むことができる。デバイス300は、人工知能アクセラレータを含む、
図3に示されていない追加の構成要素を含むことができることが理解される。
【0054】
様々な代替例では、プロセッサ302は、中央処理装置(central processing unit、CPU)、グラフィック処理ユニット(graphics processing unit、GPU)、同じダイ上に位置するCPU及びGPU、又は1つ若しくは2つ以上のプロセッサコアを含み、各プロセッサコアは、CPU又はGPUであり得る。様々な代替例では、メモリ304は、プロセッサ302と同じダイ上に位置するか、又はプロセッサ302とは別個に位置する。メモリ304は、揮発性メモリ又は不揮発性メモリ、例えば、ランダムアクセスメモリ(RAM)、ダイナミックRAM、又はキャッシュを含む。
【0055】
記憶デバイス306は、固定又は取り外し可能な記憶手段、例えば、ハードディスクドライブ、ソリッドステートドライブ、光ディスク、又はフラッシュドライブを含む。入力デバイス308は、限定するものではないが、キーボード、キーパッド、タッチスクリーン、タッチパッド、検出器、マイクロフォン、加速度計、ジャイロスコープ、バイオメトリックスキャナ、又はネットワーク接続(例えば、無線IEEE802信号の送信及び/又は受信のための無線ローカルエリアネットワークカード)を含む。出力デバイス310は、限定するものではないが、ディスプレイ、スピーカ、プリンタ、触覚フィードバックデバイス、1つ又は2つ以上のライト、アンテナ、又はネットワーク接続(例えば、無線IEEE802信号の送信及び/又は受信のための無線ローカルエリアネットワークカード)を含む。
【0056】
入力ドライバ312は、プロセッサ302及び入力デバイス308と通信し、プロセッサ302が入力デバイス308から入力を受信することを可能にする。出力ドライバ314は、プロセッサ302及び出力デバイス310と通信し、プロセッサ302が出力デバイス310に出力を送信することを可能にする。入力ドライバ312及び出力ドライバ314は、任意選択的な構成要素であり、入力ドライバ312及び出力ドライバ314が存在しない場合、デバイス300は、同じ方式で動作することに留意されたい。出力ドライバ314は、表示デバイス318に結合された加速処理デバイス(accelerated processing device、「APD」)316を含んでもよい。APDは、プロセッサ302からの計算コマンド及びグラフィックレンダリングコマンドを受け付け、それらの計算コマンド及びグラフィックレンダリングコマンドを処理し、表示のために表示デバイス318に画素出力を提供する。以下に更に詳細に記載されるように、APD316は、単一命令複数データ(single-instruction-multiple-data、「SIMD」)パラダイムに従って計算を実行する、1つ又は2つ以上の並列処理ユニットを含む。したがって、様々な機能がAPD316によって、又はAPD316と連携して実行されるものとして本明細書に記載されているが、様々な代替例では、APD316によって実行されるものとして記載される機能は、追加的に又は代替的に、ホストプロセッサ(例えば、プロセッサ302)によって駆動されず、かつ表示デバイス318にグラフィカル出力を提供する類似の能力を有する他のコンピューティングデバイスによって実行される。例えば、SIMDパラダイムに従って処理タスクを実行する任意の処理システムは、本明細書に記載される機能を実行することができることが企図される。代替的に、SIMDパラダイムに従って処理タスクを実行しないコンピューティングシステムは、本明細書に記載される機能を実行することが企図される。
【0057】
図4は、
図3の例示的なデバイスを組み込んだ人工知能システム400の機能的グラフィック描写を示す。システム400は、データ410、マシン420、モデル430、複数の予測される転帰440、及び基盤となるハードウェア450を含む。システム400は、複数の転帰440を予測できるようにするモデル430を構築しながら、データ410を使用してマシン420を訓練することによって動作する。システム400が、ハードウェア450に対して動作してもよい。そのような構成では、データ410は、ハードウェア450に関連してもよく、例えば、監視及び処理装置102に由来してもよい。例えば、データ410は、進行中のデータ又はハードウェア450に関連する出力データであり得る。マシン420は、ハードウェア450に関連付けられたコントローラ又はデータ収集として動作してもよく、又はこれに関連付けられていてもよい。モデル430は、ハードウェア450によって達成される転帰を予測するために、ハードウェア450の動作をモデル化すると共に、ハードウェア450から収集されたデータ410をモデル化するように構成され得る。ハードウェア450は、予測される転帰440を使用して、ハードウェア450からの特定の望ましい転帰440を提供するように構成されていてもよい。
【0058】
図5は、
図4の人工知能システムにおいて実行される一般的な方法500を示す。方法500は、ステップ510でハードウェアからデータを収集することを含む。このデータは、ハードウェアからの現在収集されている履歴データ若しくは他のデータ、又はその様々な組み合わせを含んでもよい。例えば、このデータは、外科的処置中の測定を含んでもよく、処置の転帰と関連付けることができる。例えば、心臓の温度を収集し、心臓処置の転帰と相関させることができる。
【0059】
ステップ520で、方法500は、ハードウェア上でマシンを訓練することを含む。訓練は、ステップ510で収集されたデータの分析及び相関を含み得る。例えば、心臓の場合、温度及び転帰のデータが、処置中の心臓の温度と転帰との間に相関又は関連が存在するか否かを判定するために訓練されてもよい。
【0060】
方法500は、ステップ530でハードウェアに関連するデータに基づいてモデルを構築することを含む。モデルの構築が、以下に説明するように、物理的ハードウェア又はソフトウェアモデリング、アルゴリズムモデリングなどを含んでもよい。このモデリングが、収集され訓練されたデータを表現することを目指してもよい。
【0061】
方法500は、ステップ540でハードウェアに関連するモデルの転帰を予測することを含む。この転帰の予測が、訓練されたモデルに基づいてもよい。例えば、心臓の場合、処置中の温度が97.7〜100.2の時に処置から肯定的な転帰が得られると、所与の処置において、処置中の心臓の温度に基づいて転帰を予測することができる。このモデルは初歩的なものであるが、本開示の理解を深めるために例示的な目的で提供されている。
【0062】
本システム及び方法は、マシンを訓練し、モデルを構築し、アルゴリズムを使用して結果を予測するように動作する。これらのアルゴリズムを使用して、訓練されたモデルを解き、ハードウェアに関連する転帰を予測してもよい。これらのアルゴリズムは、一般に分類アルゴリズム、回帰アルゴリズム及びクラスタリングアルゴリズムに区分することができる。
【0063】
例えば、分類アルゴリズムは、予測される変数である従属変数が複数のクラスに分割され、所与の入力に対して1つのクラス、すなわち従属変数を予測する状況で使用される。したがって、分類アルゴリズムは、転帰を所定数の一定の事前定義された転帰から予測するために使用される。分類アルゴリズムが、単純ベイズアルゴリズム、決定木、ランダムフォレスト分類器、ロジスティック回帰、サポート・ベクター・マシン及びk近傍法を含んでもよい。
【0064】
一般的に、単純ベイズアルゴリズムは、ベイズ定理に従い、確率論的アプローチに従う。他の確率論に基づくアルゴリズムも使用可能であり、一般に、例示的な単純ベイズアルゴリズムについて以下に説明するものと同様の確率論の原理を使用して動作することが理解されよう。
【0065】
図6は、単純ベイズ計算の確率の例を示す。ベイズ定理の確率論的アプローチは、本質的には、データに直接ジャンプする代わりに、アルゴリズムがターゲットのクラスごとに事前確率のセットを持っていることを意味する。データが入力された後、単純ベイズアルゴリズムは、事前確率を更新して事後確率を形成してもよい。これは、以下の式:
【0067】
この単純ベイズアルゴリズム及びベイズアルゴリズムは、一般に、入力がn個のクラスの所与のリストに属しているか否かを予測する必要がある場合に有用であり得る。n個全てのクラスの確率は非常に低いため、確率論的アプローチを使用することができる。
【0068】
例えば、
図6に示すように、ゴルフをプレーする人は、第1のデータセット610に示されている外の天気を含むが、これらに限定されない要因に依存する。第1のデータセット610は、第1の列に天気を示し、第2の列にその天気に関連するプレーの結果を示す。頻度テーブル620では、特定の事象が発生する頻度が生成される。頻度テーブル620では、ある人が各気象条件においてゴルフをプレーするか又はプレーしない頻度が求められる。そこから、尤度テーブルがコンパイルされ、初期確率が生成される。例えば、天気が曇りである確率は0.29だが、プレーの一般的な確率は0.64である。
【0069】
事後確率が、尤度テーブル630から生成されてもよい。これらの事後確率は、気象条件及びゴルフがそれらの気象条件でプレーされるか否かについての質問に答えるように構成されてもよい。例えば、外が晴れであり、かつゴルフがプレーされる確率は、ベイズ式:
P(はい|晴れ)=P(晴れ|はい)×P(はい)/P(晴れ)
によって表されてもよい。
尤度テーブル630によると、
P(晴れ|はい)=3/9=0.33、
P(晴れ)=5/14=0.36、
P(はい)=9/14=0.64
である。
したがって、P(はい|晴れ)=.33×.64/.36又は約0.60(60%)である。
【0070】
一般に、決定木はフローチャートに似たツリー構造であり、各外部ノードは属性のテストを示し、各ブランチはそのテストの結果を表す。リーフノードは、実際の予測ラベルを含む。決定木は、ツリーのルートから始まり、リーフノードに到達するまで属性値が比較される。決定木は、高次元のデータを処理する場合、及びデータの準備に費やされた時間がほとんどない場合に、分類器として使用することができる。決定木は、単純決定木、線形決定木、代数決定木、確定的決定木、ランダム化決定木、非確定的決定木及び量子決定木の形態を採ることができる。例示的な決定木を、以下に
図7で示す。
【0071】
図7は、ゴルフをプレーするか否かを決定する際の、上記のベイズの例と同じ構造に沿った決定木を示している。決定木において、第1のノード710は、決定木を下に進むための選択肢として、天気が晴れ712、曇り714、及び雨716である場合を調べる。天気が晴れである場合、木の枝は、気温を調べる第2のノード720に続く。この例では、ノード720の気温は、高722又は正常724であり得る。ノード720で気温が高722である場合、ゴルフ「いいえ」723の予測結果が発生する。ノード720で気温が正常724である場合、ゴルフ「はい」725の予測結果が発生する。
【0072】
更に、第1のノード710から、曇り714、ゴルフ「はい」715の結果が発生する。
【0073】
第1のノードの天気710から、雨716の結果として、(再び)第3のノード730が温度を調べる。第3のノード730で気温が正常732である場合、ゴルフをプレーする「はい」733となる。第3のノード730で気温が低734である場合、ゴルフをプレーしない「いいえ」735となる。
【0074】
この決定木から、あるゴルファーは、曇天715の場合、正常の気温の晴天725の場合、及び正常の気温の雨天733の場合はゴルフをプレーするが、このゴルファーは、晴天の高温723又は降雨の低温735の場合はプレーしない。
【0075】
ランダムフォレスト分類器は、決定木のコミッティーであり、各決定木は、データの属性のサブセットを与えられ、そのサブセットに基づいて予測する。決定木の実際の予測値のモードが考慮され、最終的なランダムフォレストの回答が提供される。ランダムフォレスト分類器は一般に、スタンドアロンの決定木に存在する過剰適合を軽減することで、より堅牢かつ正確な分類器となっている。
【0076】
図8は、衣服の色を分類するための例示的なランダムフォレスト分類器を示す。
図8に示すように、ランダムフォレスト分類器は、5つの決定木810
1、810
2、810
3、810
4及び810
5(集合的に又は概略的に決定木810と称される)を含む。木の各々は、衣服の色を分類するように設計されている。個々の木は概ね
図7の決定木として動作するので、木及び行われる決定の各々の考察は、提供されない。この図では、5つの木のうち3つ(810
1、810
2、810
4)は、衣服が青色であると判定し、1つは、衣服が緑色(810
3)であると判定し、残りの木は、衣服が赤色(810
5)であると判定する。ランダムフォレストは、5つの木のこれらの実際の予測値を受け取り、実際の予測値のモードを計算して、衣服が青色であるというランダムフォレストの回答を提供する。
【0077】
ロジスティック回帰は、バイナリ分類タスクのもう1つのアルゴリズムである。ロジスティック回帰は、シグモイド関数とも呼ばれるロジスティック関数に基づいている。このS字曲線は、任意の実数値を取り、これを0と1との間でマッピングして、漸近的にこれらの限界に近づくことができる。ロジスティックモデルは、合格/不合格、勝ち/負け、生存/死亡、又は健康/病気など、特定のクラス又は事象が存在する確率をモデル化するために使用できる。これは、画像に猫、犬、ライオンなどが含まれているか否かの判定など、いくつかのクラスの事象をモデル化するように拡張され得る。画像において検出される各オブジェクトには、0と1との間の確率が割り当てられ、これらの確率の合計は、1となる。
【0078】
ロジスティックモデルでは、「1」とラベル付けされた値の対数オッズ(オッズの対数)は、1つ又は2つ以上の独立変数(「予測子」)の線形結合であり、独立変数は各々、バイナリ変数(インジケータ変数でコード化された2つのクラス)又は連続変数(任意の実数値)であり得る。「1」とラベル付けされた値の対応する確率は、0(確実に「0」の値)と1(確実に「1」の値)との間で変化する可能性があることから、このようにラベル付けされ、ロジスティック関数は、対数オッズを確率に変換する関数であることから、このように称される。対数オッズスケールの測定単位は、ロジスティック単位の別名であるロジットと呼ばれる。プロビットモデルなどの、ロジスティック関数の代わりにシグモイド関数が異なる類似のモデルも使用できる。ロジスティックモデルの特徴は、独立変数のうちの1つを増加させると、与えられた結果のオッズが一定の割合で乗法的にスケーリングされ、各独立変数がそれ自体のパラメータを有することである。バイナリ従属変数の場合、これはオッズ比を一般化する。
【0079】
バイナリロジスティック回帰モデルでは、従属変数には2つのレベル(カテゴリ)がある。3つ以上の値を有する出力は、多項ロジスティック回帰によってモデル化され、複数のカテゴリが順序付けられている場合は、順序ロジスティック回帰(例えば、比例オッズ順序ロジスティックモデル)によってモデル化される。ロジスティック回帰モデル自体は、出力の確率を入力に関して単純にモデル化し、統計的分類を実行しない(分類器ではない)が、例えば、カットオフ値を選択し、確率がカットオフよりも大きい入力を1つのクラスとして、確率がカットオフ未満である入力を他のクラスとして分類することにより、分類器の作成に使用できる。これは、バイナリ分類器を作成する一般的な方法である。
【0080】
図9は、例示的なロジスティック回帰を示す。この例示的なロジスティック回帰は、変数のセットに基づいた結果の予測を可能にする。例えば、個人の成績点平均に基づいて、学校に受け入れられる結果を予測することができる。成績点平均の過去の履歴と合格との関係により、予測を行うことができる。
図9のロジスティック回帰は、成績点平均変数920の分析が、0から1によって定義される結果910を予測することを可能にする。S字曲線の下端930では、成績点平均920は、受け入れられないという結果910を予測する。S字曲線の上端940では、成績点平均920は、受け入れられるという結果910を予測する。ロジスティック回帰を使用して、住宅価値、保険セクタの顧客生涯価値などを予測することができる。
【0081】
サポート・ベクター・マシン(support vector machine:SVM)を使用して、2つのクラス間のマージンを可能な限り離してデータを並べ替えることができる。これは、マージン最大化分離と呼ばれる。SVMは、その目的のためにデータセット全体を使用する線形回帰とは異なり、超平面をプロットしながらサポートベクターを考慮することが可能である。
【0082】
図10は、例示的なサポート・ベクター・マシンを示す。例示的なSVM1000では、データは、正方形1010及び三角形1020として表される2つの異なるクラスに分類され得る。SVM1000は、ランダムな超平面1030を描画することによって動作する。この超平面1030は、超平面1030と各クラスからの最も近いデータポイント1050との間の距離(線1040で示される)を比較することによって監視される。超平面1030に最も近いデータポイント1050は、サポートベクターとして既知である。超平面1030は、これらのサポートベクター1050に基づいて描かれ、最適な超平面は、各サポートベクター1050からの最大距離を有する。超平面1030とサポートベクター1050との間の距離は、マージンとして既知である。
【0083】
SVM1000は、超平面1030とサポートベクター1050との間の距離が最大になるように超平面1030を使用することによって、データ分類に使用され得る。このようなSVM1000を、例えば心臓疾患を予測するために使用してもよい。
【0084】
k近傍法(k Nearest Neighbors:KNN)は、一般に基本的なデータ分散を想定しておらず、合理的に短い訓練フェーズを実行する一連のアルゴリズムを指す。一般に、KNNは複数のクラスに分割された多数のデータポイントを使用して、新しいサンプルポイントの分類を予測する。運用上、KNNは新しいサンプルで整数Nを指定する。新しいサンプルに最も近いシステムのモデル内のN個のエントリが選択される。これらのエントリの最も一般的な分類が判定され、その分類が新しいサンプルに割り当てられる。KNNは一般に、訓練セットが増加するにつれて記憶空間を増加させる必要がある。これは、推定時間が訓練ポイントの数に比例して増加することも意味する。
【0085】
回帰アルゴリズムでは、出力は連続量であるため、目標変数が連続的な変数である場合に回帰アルゴリズムを使用することができる。線形回帰は、回帰アルゴリズムの一般的な例である。線形回帰は、一貫した変数を考慮して、真の品質(住宅コスト、コール回数、全ての取引など)を測定するために使用可能である。変数と結果との間のつながりが、最適な線を当てはめることによって求められる(このことから線形回帰)。この最適線は回帰線として既知であり、直接条件Y=a×X+bで表される。線形回帰は、次元数が少ないアプローチで最もよく使用される。
【0086】
図11は、例示的な線形回帰モデルを示す。このモデルでは、予測変数1110が測定変数1120に対してモデル化される。予測変数1110及び測定変数1120のインスタンスのクラスタは、データポイント1130としてプロットされている。次に、データポイント1130は、最適線1140に当てはめられる。次に、後続の予測で最適線1140を使用するが、測定変数1120が与えられている場合、線1140を使用して、そのインスタンスの予測変数1110を予測する。線形回帰を使用して、外科的処置における転帰、金融ポートフォリオの性能、給与予測、不動産、及び交通機関における到着予定時刻での到着をモデル化及び予測することができる。
【0087】
クラスタリングアルゴリズムを、データセットのモデル化及び訓練に使用してもよい。クラスタリングでは、入力は、特徴の類似性に基づいて2つ又は3つ以上のクラスタに割り当てられる。クラスタリングアルゴリズムは、通常、ガイダンスなしでデータからパターン及び有用な洞察を学習する。例えば、K平均クラスタリングなどの教師なし学習アルゴリズムを使用して、視聴者を興味、年齢、地理などに基づいて類似のグループにクラスタリングすることができる。
【0088】
K平均クラスタリングは、一般に、単純な教師なし学習アプローチとみなされる。K平均クラスタリングでは、同様のデータポイントを一緒にクラスタリングし、クラスタの形でバインドすることができる。データポイントを一緒にバインドする方法の1つは、データポイント群の重心を計算することによって行われる。K平均クラスタリングにおいて、効果的なクラスタを判定する際、各ポイントのクラスタの重心からの距離が評価される。データポイントと重心との間の距離に応じて、データは最も近いクラスタに割り当てられる。クラスタリングの目的は、一連のラベルなしデータの固有のグループ化を判定することである。K平均における「K」は、形成されたクラスタの数を表す。クラスタの数(基本的には、データの新しいインスタンスが分類され得るクラスの数)は、ユーザによって判定され得る。この判定は、例えば、フィードバックを使用し、訓練中にクラスタのサイズを見ることで行うことができる。
【0089】
K平均は、データセットが別個かつ良好に分離された点を有する場合に使用され、そうでなければ、クラスタが分離されていない場合、モデリングは、クラスタを不正確にレンダリングすることがある。加えて、データセットに多数の外れ値が含まれている場合、又はデータセットが非線形である場合には、K平均を回避することができる。
【0090】
図12は、K平均クラスタリングを示す。K平均クラスタリングでは、データポイントがプロットされ、K値が割り当てられる。例えば、
図12のK=2の場合、データポイントは、描写1210に示されるようにプロットされる。次に、ステップ1220で、ポイントが同様の中心に割り当てられる。クラスタの重心が、1230に示すように識別される。重心が識別されると、1240に示すように、データポイントと各クラスタの重心との間の距離が最小となるようにポイントがクラスタに再割り当てされる。次に、クラスタの新しい重心が、描写1250に示されるように判定され得る。データポイントがクラスタに再割り当てされて、クラスタの新しい重心が形成されると、反復又は一連の反復が発生して、クラスタのサイズを最小化し、最適な重心を判定することができる。次に、新しいデータポイントが測定されると、その新しいデータポイントが重心及びクラスタと比較され、そのクラスタで識別され得る。
【0091】
アンサンブル学習アルゴリズムを使用してもよい。これらのアルゴリズムは、複数の学習アルゴリズムを使用して、構成要素である学習アルゴリズムのいずれかのみから得られるよりも優れた予測パフォーマンスを実現する。アンサンブル学習アルゴリズムは、仮説空間を検索するタスクを実行して、特定の問題について良好な予測を行う、好適な仮説を見つける。仮説空間に特定の問題に非常に適した仮説が含まれている場合でも、適切な仮説を見つけるのは非常に難しい場合がある。アンサンブルアルゴリズムは、複数の仮説を組み合わせてより良い仮説を形成する。アンサンブルという用語は通常、同じ基本学習器を使用して複数の仮説を生成する方法で用いられる。複数分類器システムのより広い概念は、同じ基本学習器によって誘導されない仮説のハイブリダイゼーション(hybridization of hypotheses)も網羅する。
【0092】
アンサンブルの予測を評価するには、通常、単一のモデルの予測を評価するよりも多くの計算が必要になるため、アンサンブルは、多くの余分な計算を実行することにより、貧弱な学習アルゴリズムを補う方法と考えることができる。決定木などの高速アルゴリズムは、一般にはランダムフォレストなどのアンサンブル法で使用されているが、より低速のアルゴリズムでもアンサンブル法の恩恵を受けることができる。
【0093】
アンサンブルは、訓練後に使用して予測を行うことができるため、それ自体が監視付き学習アルゴリズムである。したがって、訓練されたアンサンブルは、単一の仮説を表す。しかしながら、この仮説は、それが構築されたモデルの仮説空間内に含まれているとは限らない。したがって、アンサンブルは、それらが表すことができる関数において、より多くの柔軟性を有するように示され得る。この柔軟性により、理論的には、単一のモデルよりも訓練データを過剰適合させることができるが、実際には、一部のアンサンブル法(特にバギング)は、訓練データの過剰適合に関連する問題を低減する傾向がある。
【0094】
経験的に、モデル間にかなりの多様性がある場合、アンサンブルアルゴリズムはより良い結果をもたらす傾向がある。したがって、多くのアンサンブル法は、それらが組み合わせるモデル間の多様性を促進することを目指している。直感的ではないが、(エントロピ低減決定木などの)非常に慎重なアルゴリズムよりも強力なアンサンブルを生成するために、(ランダム決定木などの)よりランダムなアルゴリズムを使用することができる。しかしながら、様々な強力な学習アルゴリズムの使用は、多様性を促進するためにモデルを簡略化しようとする手法を使用することよりも効果的であることが示されている。
【0095】
アンサンブルの構成要素分類器の数は、予測の精度に大きな影響を与える。このことは、オンラインのアンサンブル分類器の場合、アンサンブルのサイズとビッグデータストリームの量及び速度とを先験的に判定するために、更に重要となる。理論上のフレームワークは、理想的な数の構成要素分類器がアンサンブルに存在し、分類器がこの数より多いか又は少ないと精度が低下することを示唆している。理論上のフレームワークは、クラスラベルと同じ数の独立した構成要素分類器を使用すると、最も高い精度が得られることを示している。
【0096】
アンサンブルのいくつかの一般的なタイプには、ベイズ最適分類器、ブートストラップ集約(バギング)、ブースティング、ベイズモデル平均化、ベイズモデルの組み合わせ、モデルのバケット及びスタッキングが含まれる。
図13は、バギングが並行して実行されており(1310)、ブースティングが順次に実行されている(1320)例示的なアンサンブル学習アルゴリズムを示している。
【0097】
ニューラルネットワークは、ニューロンのネットワーク又は回路、あるいは現代的な意味では、人工ニューロン又はノードで構成される人工ニューラルネットワークである。生物学的ニューロンのつながりが、重みとしてモデル化される。正の重みは興奮性のつながりを反映し、負の値は抑制性のつながりを意味する。入力は重みで修正され、線形結合を使用して合計される。活性化関数が、出力の振幅を制御することができる。例えば、出力の許容範囲は通常0〜1であるが、−1〜1の場合もある。
【0098】
これらの人工ネットワークは、予測モデリング、適応制御及びアプリケーションに使用でき、データセットを介して訓練することができる。経験から生じる自己学習がネットワーク内で発生する可能性があり、複雑で一見無関係な一組の情報から結論を導き出すことができる。
【0099】
完全を期すために、生物学的ニューラルネットワークは、化学的に接続されたニューロン又は機能的に関連付けられたニューロンのグループから構成される。1つのニューロンが他の多くのニューロンに接続されていてもよく、ネットワーク内のニューロン及び接続の総数が広範囲にわたってもよい。シナプスと呼ばれる接続は、通常、軸索から樹状突起へと形成されるが、樹状突起間シナプス及び他の接続も可能である。電気的な信号伝達とは別に、神経伝達物質の拡散から生じる他の信号伝達形態がある。
【0100】
人工知能、認知モデリング及びニューラルネットワークは、生物学的神経システムのデータ処理方法に着想を得た情報処理パラダイムである。人工知能及び認知モデリングは、生物学的ニューラルネットワークのいくつかの特性をシミュレートしようとする。人工知能分野では、人工ニューラルネットワークが音声認識、画像分析及び適応制御にうまく適用され、(コンピュータゲーム及びビデオゲームにおける)ソフトウェアエージェント又は自律ロボットが構築されている。
【0101】
ニューラルネットワーク(neural network:NN)は、人工ニューラルネットワーク(artificial neural network:ANN)又はシミュレートニューラルネットワーク(simulated neural network:SNN)と呼ばれる人工ニューロンの場合、情報処理に計算への接続論的アプローチに基づいて数学的モデル又は計算モデルを使用する、天然のニューロン又は人工ニューロンの相互接続されたグループである。ほとんどの場合、ANNは、ネットワークを通って流れる外部情報又は内部情報に基づいてその構造を変更する適応型システムである。より実際的には、ニューラルネットワークは非線形の統計データモデリングツール又は意思決定ツールである。これらを、入力と出力の間の複雑な関係をモデル化するため及びデータのパターンを見つけるために使用することができる。
【0102】
人工ニューラルネットワークは、処理要素と要素パラメータとの間の接続によって判定される複雑でグローバルな挙動を示すことができる単純な処理要素(人工ニューロン)のネットワークを含む。
【0103】
人工ニューラルネットワークの1つの古典的なタイプは、再帰型ホップフィールドネットワークである。人工ニューラルネットワークモデルの有用性は、それらを使用して、観測から関数を推定し、かつそれを使用することができるという事実にある。教師なしニューラルネットワークは、入力分布の顕著な特徴をキャプチャする入力の表現の学習、及び、最近では、観測データの分布関数を暗黙的に学習することができるディープラーニングアルゴリズムにも使用することができる。ニューラルネットワークでの学習は、データ又はタスクの複雑さのためにそのような関数の設計を手作業では行えない用途において特に有用である。
【0104】
ニューラルネットワークは、様々な分野において使用することができる。人工ニューラルネットワークが適用されるタスクは、以下の広いカテゴリにわたる傾向がある:関数近似、又は時系列予測及びモデリングを含む回帰分析、パターン及び配列認識、新規性の検出及び逐次的な意思決定を含む分類、フィルタリング、クラスタリング、ブラインド信号分離、及び圧縮を含むデータ処理。
【0105】
ANNの適用領域には、非線形システムの識別及び制御(車両制御、プロセス制御)、ゲームのプレー及び意思決定(バックギャモン、チェス、レース)、パターン認識(レーダシステム、顔識別、オブジェクト認識)、シーケンス認識(ジェスチャ、スピーチ、手書きテキスト認識)、医療診断、金融アプリケーション、データマイニング(又はデータベースでの知識発見、すなわち「KDD」)、視覚化、並びに電子メールスパムフィルタリングが含まれる。例えば、オブジェクト認識のために訓練された写真から生じるユーザの興味のセマンティックプロファイルを作成することが可能である。
【0106】
図14は、例示的なニューラルネットワークを示す。ニューラルネットワークには、1410
1及び1410
2などの複数の入力で表される入力層がある。入力1410
1、1410
2は、ノード1420
1、1420
2、1420
3、1420
4を含むものとして示されている隠れ層に供給される。これらのノード1420
1、1420
2、1420
3、1420
4は組み合わされて、出力層において出力1430を生成する。ニューラルネットワークは、単純な処理要素であるノード1420
1、1420
2、1420
3、1420
4の隠れ層を介して単純な処理を実行し、これらのノードは、処理要素と要素パラメータとの間の接続によって判定される複雑でグローバルな挙動を示すことができる。
【0107】
図14のニューラルネットワークがハードウェアで実装されてもよい。
図15を参照すると、ハードウェアベースのニューラルネットワークが示されている。
【0108】
心不整脈及び特に心房細動(atrial fibrillation、AF)は、特に老年人口では、一般的かつ危険な病状として存続する。正常な洞律動を有する患者では、心房、心室、及び興奮伝導組織からなる心臓は、電気的に興奮して、同期的な、パターン化した形で拍動する。心不整脈を有する患者では、心臓組織の異常領域は、正常な洞調律を有する患者におけるような、通常の伝導組織に関連する同期的な拍動周期には従わない。これに対して、心組織の異常領域では隣接組織への異常な伝導が行われ、これにより心臓周期が乱れて非同期的な心律動となる。そのような異常な伝導は、例えば、洞房(sino-atrial、SA)結節の領域内、房室(AV)結節及びヒス束の伝導経路に沿って、又は心室及び心房の壁を形成する心筋組織内などの、心臓の様々な領域で発生することが、以前より既知である。
【0109】
カテーテルアブレーションベースの治療に、心臓組織、特に心内膜及び心臓容積の電気的特性をマッピングすること、並びにエネルギーの印加によって心臓組織を選択的にアブレーションすることが含まれてもよい。心臓マッピング、例えば、心組織に沿った波動伝播の電位マップ(電圧マップ)、又は様々な組織が位置する場所までの到達時間のマップ(局所興奮時間(local time activation、LAT)マップ)の生成を用いて、心組織の局所的機能障害を検出することができる。心臓マッピングに基づくものなどのアブレーションにより、不要な電気信号が心臓のある部分から別の部分へと伝播するのを停止させる又は修正することができる。
【0110】
心房細動及び心室頻拍などの困難な疾患を医師が治療する際の心臓アブレーション及び他の心臓電気生理学的処置は、ますます複雑化している。難治性不整脈の治療は現在、関心対象の心腔の解剖学的構造を再構成するために、3次元(3D)マッピングシステムの使用に依存している。例えば、心臓病専門医は、心臓内EGM信号を解析して、非通常型心房粗動及び心室頻拍を含む様々な心臓疾患を治療するためのアブレーションポイントを判定するために、Biosense Webster,Inc.(Diamond Bar,California)製のCARTO(登録商標)3 3Dマッピングシステムのコンプレックス細分化心房電位図(CFAE)モジュールなどのソフトウェアに依存する。3Dマップは、これらの困難な不整脈の解剖学的及び機能的基質を表す、組織の電気生理学的特性に関する複数の情報を提供することができる。
【0111】
電極カテーテルは、長年にわたり医療現場で一般的に使用されている。電極カテーテルは、心臓内の電気活動を刺激及びマッピングし、異常な電気活動が見られる部位をアブレーションするために使用される。使用時には、電極カテーテルは、主要な静脈又は動脈、例えば大腿動脈に挿入された後、対象の心腔内へと導かれる。典型的なアブレーション処置は、その遠位端に少なくとも1つの電極を有するカテーテルを心腔内に挿入することを伴う。参照電極が、一般的には患者の皮膚にテープで貼り付けられるか、あるいは心臓内又は心臓付近に位置付けられている第2のカテーテルによって、提供される。RF(高周波)電流をアブレーションカテーテルの先端電極に通電すると、参照電極に向かって先端電極の周囲の媒質(すなわち、血液及び組織)に電流が流れる。電流の分布は、組織より高い導電性を有する血液と比較した場合、組織と接触している電極表面の量に依存する。組織の加熱は、組織の電気抵抗に起因して生じる。組織が十分に加熱されると、心臓組織において細胞破壊が引き起こされ、結果として、非電導性である心臓組織内に損傷部が形成される。このプロセスの間に、加熱された組織から電極自体への伝導によって電極も加熱される。電極の温度が十分に高くなり、場合により60℃を超えると、脱水された血液タンパク質の薄く透明な皮膜が、電極の表面上に形成され得る。温度が上昇し続けると、この脱水層が徐々に厚くなり得、電極表面上に血液が凝固する。脱水された生物学的材料は、心内膜組織よりも高い電気抵抗を有するため、電気エネルギーの組織内部への流れに対するインピーダンスもまた増大する。インピーダンスが十分に高くなると、インピーダンス上昇が起こり、カテーテルを身体から抜いて先端部電極をきれいにしなければならない。
【0112】
カテーテルアブレーションを成功裏に実行するための必要条件は、心不整脈の原因及び心臓の周囲領域が心腔内で正確に位置特定されることを必要とする。そのような位置特定は、心腔に導入されたマッピングカテーテルによって電位が検出され空間的に分解される電気生理学的調査によって行うことができる。したがって、この電気生理学的調査、いわゆる電気解剖学的マッピングは、モニタ上に表示することができる3Dマッピングデータを提供する。多くの場合、マッピング機能及び治療機能(例えば、アブレーション)は、単一のカテーテル又はカテーテル群によって提供され、それにより、マッピングカテーテルはまた、同時に治療(例えば、アブレーション)カテーテルとして動作する。
【0113】
心臓マッピングは、1つ又は2つ以上の技術を使用して実施することができる。第1の技術の一例として、心臓マッピングは、心臓内の正確な位置の関数として、心組織の電気特性、例えば、局所興奮時間を感知することによって実施されてもよい。対応するデータは、遠位先端部に電気及び位置センサを有するカテーテルを使用して、心臓の中へと前進される1つ又は2つ以上のカテーテルで取得されてもよい。一例として、位置及び電気活動は、心臓の内側表面上の約10〜約20箇所の点で最初に測定されてもよい。これらのデータ点は、一般に、心臓表面の予備的な再構成又はマップを満足な品質で生成するのに十分なものとすることができる。予備的なマップは、心臓の電気活動の更に包括的なマップを生成するために、追加の点で取られたデータと結合されてもよい。臨床的な状況において、100以上の部位におけるデータを集積して、心腔の電気活動の詳細な包括的マップを生成することも珍しいことではない。その後、生成された詳細なマップは、心臓の電気活動の伝播を改変させ正常な心調律を回復させるための治療上の行動指針、例えば、組織のアブレーションに関する決定を下すための基準となり得る。
【0114】
位置センサを収容するカテーテルを使用して、心臓表面の各点の軌跡を判定し得る。これらの軌跡を使用して、組織の収縮力などの運動特性を推測することができる。そのような運動特性を示すマップは、軌跡情報が心臓内の十分な数の点でサンプリングされるときに構築されてもよい。
【0115】
心臓内のある点における電気活動は、典型的には、遠位先端に又はその近くに電気センサを収容したカテーテルを、心臓内のその点へと前進させ、組織をセンサと接触させ、その点におけるデータを取得することによって測定することができる。多電極カテーテルは、複数の電極を有する線形カテーテル、バルーンを形成する複数のスパイン上に分散された電極を含むバルーンカテーテル、複数の電極を有するラッソーカテーテル若しくはループカテーテル、又は任意の他の適用可能な形状などの任意の適用可能な形状を使用して実装されてもよい。
【0116】
一例によれば、多電極カテーテルを心腔内に前進させることができる。各電極の位置及び向きを確定するために、前後方向(Anteroposterior、AP)及び横方向の蛍光図が取得されてもよい。身体表面ECGから得られる洞調律におけるP波の開始などの一時的な基準に対して、心臓表面と接触する各電極から電位図を記録することができる。本明細書で更に開示されるシステムは、電気活動を記録するそれらの電極と、心内膜壁に近接していないことに起因しない電極とを区別することができる。初期電位図が記録された後、カテーテルを再位置付けすることができ、蛍光図及び電位図を再度記録することができる。次いで、電気マップを、上記のプロセスの繰り返しから構築することができる。
【0117】
別の実施例によれば、心腔の電位分布をマッピングするための技術及び装置を実装することができる。心臓内多電極マッピングカテーテルアセンブリは、患者の心臓に挿入されてもよい。このマッピングカテーテルアセンブリは、一体的な基準電極、又は好ましくは、コンパニオン基準カテーテルを有する多電極アレイを含むことができる。電極は、実質的に球状のアレイの形態で展開されてもよい。電極アレイは、基準電極によって、又は心内膜表面と接触される基準カテーテルによって、心内膜表面上のある点を空間的に参照することができる。好ましい電極アレイカテーテルは、多数の個々の電極部位(例えば、少なくとも24個)を担持してもよい。加えて、この実施例の技術は、アレイ上の各電極部位の位置を知ること、並びに心臓の幾何学的形状を知ることにより実装することができる。これらの位置は、好ましくは、インピーダンスプレチスモグラフィの技術によって判定される。
【0118】
他の実施例によれば、身体パッチ及び/又は身体表面電極は、患者の身体上に又は患者の身体に近接して位置付けられてもよい。1つ又は2つ以上の電極を有するカテーテルは、患者の身体内(例えば、患者の心臓内)に位置付けられてもよく、カテーテルの位置は、カテーテルの1つ又は2つ以上の電極と身体パッチ及び/又は身体表面電極との間で送信及び受信された信号に基づいて、システムによって判定されてもよい。加えて、カテーテル電極は、患者の身体内(例えば、心臓内)から生体データ(例えば、LAT値)を感知してもよい。生体データは、患者の身体部分(例えば、心臓)のレンダリングを表示することができ、かつカテーテルの位置によって判定されるように、身体部分の形状に重ね合わされた生体データを示すことができるように、カテーテルの判定された位置に関連付けられてもよい。
【0119】
心電図(ECG)信号などの電気信号は、多くの場合、心臓処置前及び/又は心臓処置中に検出される。例えば、ECG信号を使用して、不整脈が信号を発生させる心臓の潜在的な位置を識別することができる。一般に、ECGは、心臓の電気活動を説明する信号である。ECG信号はまた、心臓の部分をマッピングするために使用されてもよい。
【0120】
ECG信号は、心臓の心房筋及び心室筋の収縮(脱分極)及び弛緩(再分極)によって生成される。
図16の信号1602によって示されるように、ECG信号は、P波(心房脱分極に起因する)、QRS群(心房再分極及び心室脱分極に起因する)、並びにT波(心室再分極に起因する)を含む。ECG信号を記録するために、電極を人体上の特定の位置に定置することができ、又はカテーテルを介して人体内に位置付けることができる。アーチファクト(例えば、ノイズ)は、ECG信号などの電子信号とマージされて、時に心臓疾患の診断及び/又は治療の障害を生じさせる、望ましくない信号である。電気信号のアーティファクトは、ベースラインワンダー、電力線干渉、筋電図(electromyogram、EMG)ノイズ、電力線ノイズなどであり得る。
【0121】
加えて、生体計測(例えば、生体電位)患者モニタは、ECG又は脳波(electroencephalogram、EEG)などの生体電位の測定を行うために表面電極を使用してもよい。これらの測定の忠実度は、患者への電極の接続の有効性によって制限される。電気インピーダンスとして既知である電流の流れに対する電極システムの抵抗は、接続の有効性を特徴付ける。典型的には、インピーダンスが高いほど、測定の忠実度が低くなる。いくつかの機構は、より低い忠実度をもたらすことがある。
【0122】
図17は、本開示の主題の1つ又は2つ以上の特徴を実装することができる例示的なシステム1720の図である。システム1720の全て若しくは一部を使用して、訓練データセットの情報を収集することができ、かつ/又はシステム1720の全て若しくは一部を使用して、訓練済みモデルを実装することができる。システム1720は、体内器官の組織領域を損傷させるように構成された、カテーテル1740などの構成要素を含むことができる。カテーテル1740はまた、電子信号を含む生体データを取得するように更に構成されていてもよい。カテーテル1740は、ポイントカテーテルであるように示されているが、1つ又は2つ以上の要素(例えば、電極)を含む任意の形状のカテーテルを使用して、本明細書に開示される実施形態を実装することができることが理解されよう。システム1720は、テーブル1729上に横になっている患者1728の心臓1726などの身体部分内へと医師1730によってナビゲートすることができるシャフトを有するプローブ1721を含む。実施形態によれば、複数のプローブが提供されてもよいが、簡潔さのために、この実施例では単一のプローブ1721が記載されているが、プローブ1721が複数のプローブを表してもよいことが理解されるであろう。
図17に示されるように、医師1730は、カテーテル1740の近位端部の近くのマニピュレータ及び/又はシース1723からの偏向を使用して、シャフト1722の遠位端部を操作しながら、シース1723を通してシャフト1722を挿入することができる。差し込み
図1725に示されるように、カテーテル1740は、シャフト1722の遠位端部に取り付けることができる。カテーテル1740は、折りたたまれた状態でシース1723を通して挿入することができ、次いで、心臓1726内で拡張することができる。本明細書で更に説明するように、カテーテル1740は、少なくとも1つのアブレーション電極1747及びカテーテル針を含むことができる。
【0123】
実施形態によれば、カテーテル1740は、心臓1726の心室の組織領域をアブレーションするように構成されていてもよい。差し込み
図1745は、心臓1726の心室内部のカテーテル1740を拡大して示している。図示するように、カテーテル1740は、カテーテルの本体に結合された少なくとも1つのアブレーション電極1747を含むことができる。他の実施形態によれば、カテーテル1740の形状を形成するスプラインを介して複数の要素が接続されてもよい。1つ又は2つ以上の他の要素(図示せず)を設けることができ、それらは、アブレーションを行うか又は生体データを取得するように構成された任意の要素であってよく、電極、トランスデューサ又は1つ若しくは2つ以上の他の要素であり得る。
【0124】
本明細書に開示する実施形態によれば、電極1747などのアブレーション電極は、心臓1726などの体内器官の組織領域にエネルギーを供給するように構成されていてもよい。エネルギーは、熱エネルギーであり得、組織領域の表面から始まって組織領域の厚さに延在する組織領域への損傷を引き起こす可能性がある。
【0125】
本明細書に開示される実施形態によれば、生体データは、LAT、電気活動、トポロジー、双極マッピング、卓越周波数、インピーダンスなどのうちの1つ又は2つ以上を含んでもよい。局所活性化時間は、正規化された初期開始点に基づいて計算された、局所活性化に対応する閾値活動の時点であり得る。電気活動は、1つ又は2つ以上の閾値に基づいて測定され得る任意の適用可能な電気信号であってよく、信号対ノイズ比及び/又は他のフィルタに基づいて、検知及び/又は拡張され得る。トポロジーは、身体部分又は身体部分の一部の物理的構造に対応し得、身体部分の異なる部分に関する、又は異なる身体部分に関する物理的構造における変化に対応し得る。主要周波数は、身体部分の一部に行き渡る周波数又は周波数の範囲であり得、同じ身体部分の異なる部分において異なり得る。例えば、心臓の肺静脈の主要周波数は、同じ心臓の右心房の主要周波数と異なり得る。インピーダンスは、身体部分の所与の領域における抵抗測定値であり得る。
【0126】
図17に示すように、プローブ1721及びカテーテル1740は、コンソール1724に接続することができる。コンソール1724は、カテーテルに信号を送信及びカテーテルから信号を受信するため、並びにシステム1720の他の構成要素を制御するための、好適なフロントエンド及びインターフェース回路1738を備える汎用コンピュータなどのプロセッサ1741を含むことができる。いくつかの実施形態では、プロセッサ1741は、電気活動などの生体データを受信し、所与の組織領域が電気を伝導するか否かを判定するように更に構成されていてもよい。一実施形態によれば、プロセッサは、コンソール1724の外部にあってもよく、例えば、カテーテル内、外部デバイス内、モバイルデバイス内、クラウドベースのデバイス内に位置してもよく、又はスタンドアロン型プロセッサであってもよい。
【0127】
上述したように、プロセッサ1741は、汎用コンピュータを含んでもよく、このコンピュータは、本明細書に記載されている機能を実行するためにソフトウェアでプログラムされてもよい。ソフトウェアは、例えば、ネットワーク上で、汎用コンピュータに電子形態でダウンロードされてよく、又は代替的に若しくは追加的に、磁気メモリ、光学メモリ、若しくは電子メモリなどの、非一時的有形媒体上で提供及び/若しくは記憶されてもよい。
図17に示す例示的な構成は、本明細書に開示される実施形態を実装するように修正されてもよい。本開示の実施形態は、他のシステム構成要素及び設定を使用して、同様に適用することができる。加えて、システム1720は、電気活動を感知するための要素、有線又は無線コネクタ、処理及び表示デバイスなどの、追加の構成要素を含んでもよい。
【0128】
一実施形態によれば、プロセッサ(例えば、プロセッサ1741)に接続されたディスプレイ1727は、別個の病院などの遠隔位置に、又は別個の医療提供者ネットワーク内に位置してもよい。加えて、システム1720は、心臓などの患者の器官の解剖学的測定値及び電気的測定値を取得し、心臓アブレーション処置を実行するように構成された、外科用システムの一部であってもよい。かかる外科用システムの一例は、Biosense Websterにより販売されているCarto(登録商標)システムである。
【0129】
システム1720はまた、及び任意選択的に、超音波、コンピュータ断層撮影(computed tomography、CT)、磁気共鳴映像法(magnetic resonance imaging、MRI)、又は当該技術分野において既知の他の医療撮像技術を使用して、患者の心臓の解剖学的測定値などの生体データを取得することができる。システム1720は、カテーテル、心電図(electrocardiogram、EKG)、又は心臓の電気特性を測定する他のセンサを使用して電気的測定値を取得することができる。次いで、解剖学的測定値及び電気的測定値を含む生体データは、
図17に示されるように、マッピングシステム1720のメモリ1742内に記憶されてもよい。生体データは、メモリ1742からプロセッサ1741に送信されてもよい。代替的に、又は加えて、生体データは、ネットワーク1762を使用して、ローカル又は遠隔であってもよいサーバ1760に送信されてもよい。
【0130】
ネットワーク1762は、イントラネット、ローカルエリアネットワーク(LAN)、広域ネットワーク(WAN)、メトロポリタンエリアネットワーク(MAN)、直接接続若しくは一連の接続、セルラー電話ネットワーク、又はマッピングシステム1720とサーバ1760との間の通信を容易にすることが可能な任意の他のネットワーク若しくは媒体などの、当該技術分野で一般的に既知である任意のネットワーク又はシステムであってもよい。ネットワーク1762は、有線、無線、又はこれらの組み合わせであってよい。有線接続は、イーサネット、ユニバーサルシリアルバス(Universal Serial Bus、USB)、RJ−11、又は当該技術分野において一般的に既知である任意の他の有線接続を使用して実装することができる。無線接続は、Wi−Fi、WiMAX、及びBluetooth、赤外線、セルラーネットワーク、衛星、又は当該技術分野において一般的に既知である任意の他の無線接続方法を使用して実装することができる。加えて、いくつかのネットワークは、ネットワーク1762内の通信を容易にするために、単独で又は互いに通信して動作することができる。
【0131】
場合によっては、サーバ1760は、物理的サーバとして実装されてもよい。他の場合では、サーバ1762は、仮想サーバ、パブリッククラウドコンピューティングプロバイダ(例えば、Amazon Web Services(AWS)(登録商標))として実装されてもよい。
【0132】
例示的な一実施形態によれば、サーバ1760は、ニューラルネットワーク1790などの機械学習アルゴリズムを記憶するプロセッサとして実装することができる、又はそれと通信することができる。別の実施形態では、ニューラルネットワーク1790は、コンソール1724内に実装することができる。例えば、限定するものではないが、ニューラルネットワーク1790は、1つ若しくは複数のCPUプロセッサ上、1つ若しくは複数のGPUプロセッサ上、1つ若しくは複数のFPGAチップ上、又はIntel(登録商標)Nervana(商標)Neural Network Processorなどのディープラーニング計算を実行する専用のASIC上に実装されてもよい。例示的な一実施形態によれば、ニューラルネットワーク1790は、限定するものではないが、医療処置室内に、病院若しくは医療施設のサーバ若しくはプロセッサ上に、リモートサーバ若しくはプロセッサ上に、又はクラウド内に位置することができる。
【0133】
制御コンソール1724は、ケーブル1739によって身体表面電極1743に接続されてもよく、身体表面電極は、患者1730に貼り付けられる接着性皮膚パッチを含むことができる。電流追跡モジュールと連動するプロセッサは、患者の身体部分(例えば、心臓1726)内部のカテーテル1740の位置座標を判定することができる。位置座標は、身体表面電極1743とカテーテル1740の電極1747又は他の電磁構成要素との間で測定されるインピーダンス又は電磁場に基づいてもよい。追加的に又は代替的に、位置パッドは、ベッド1729の表面上に位置してもよく、ベッド1729とは別個であってもよい。
【0134】
プロセッサ1741は、典型的にはフィールドプログラマブルゲートアレイ(field programmable gate array、FPGA)として構成されているリアルタイムノイズ低減回路と、続いてアナログ−デジタル(analog-to-digital、A/D)ECG(electrocardiograph、心電計)又はEMG(electromyogram、筋電図)信号変換集積回路と、を含むことができる。プロセッサ1741は、A/D ECG又はEMG回路から別のプロセッサへ信号を伝えることができ、かつ/又は本明細書に開示される1つ又は2つ以上の機能を実行するようにプログラムすることができる。
【0135】
制御コンソール1724はまた、制御コンソールが電極1747から信号を伝達し、かつ/又はこれに信号を伝達することを可能にする、入力/出力(input/output、I/O)通信インターフェースを含むことができる。
【0136】
処置中、プロセッサ1741は、ディスプレイ1727上での医師1730への身体部分レンダリング1735の提示を容易にし、身体部分レンダリング1735を表すデータをメモリ1742内に記憶することができる。メモリ1742は、ランダムアクセスメモリ又はハードディスクドライブなどの任意の好適な揮発性メモリ及び/又は不揮発性メモリを備えてもよい。いくつかの実施形態では、医療専門家1730は、タッチパッド、マウス、キーボード、ジェスチャ認識装置などの1つ又は2つ以上の入力デバイスを使用して、身体部分レンダリング1735を操作することが可能であり得る。例えば、入力デバイスを使用して、レンダリング1735が更新されるように、カテーテル1740の位置を変更することができる。代替的な実施形態では、ディスプレイ1727は、身体部分レンダリング1735を提示することに加えて、医療専門家1730からの入力を受け取るように構成されていてもよいタッチスクリーンを含んでもよい。
【0137】
一実施形態によれば、ヒス束などの心臓内の特定の構造の位置を自動的に検出及び識別するために、ニューラルネットワーク1790が提供されてもよい。ニューラルネットワーク1790は、
図14及び
図15に関連して上述した形態であってもよい。
【0138】
ヒス束は、CSのオリフィス付近に由来する心筋の一部である。ヒス束は、心房と心室との間に位置する房室(AV)結節から心臓の心室に電気インパルスを伝達する役割を果たすという点で、心臓の電気伝導系の重要な部分である。ヒス束は、心臓内の脆弱な位置に位置付けられており、カテーテルアブレーション処置中に誤ってアブレーションされた場合、心臓の電気伝導系に有害かつ望ましくない影響をもたらすことがある。従来のアブレーション処置の間、医師は、アブレーション処置中にヒス束を回避することができるように、心臓内のその位置を識別するためにヒス束を手動でタグ付けすることができる。ヒス束のそのような手動タグ付けは、面倒かつ時間がかかる。手動タグ付けはまた、心電図(ECG)信号がヒス束インパルスのように見えるように出現するが、インパルスの位置がヒス束の位置に正確に対応しない、偽陽性読み取りをもたらすことがある。他の従来のアブレーション処置では、医師は、ヒス束をタグ付けしないことがあり、これは、アブレーション処置中の患者のリスクを増加させる。
【0139】
図18Aの例示的な実施形態によれば、
図17のニューラルネットワーク1790の例示を提供するニューラルネットワーク1800は、入力データ1810を受信して、ニューラルネットワーク1800を訓練し、アブレーション処置などの処置中に医師による手動識別よりも高い効率及び信頼性で、ヒス束1820などの関心対象の心構造を自動的に識別する。入力データ1810の非限定的な例としては、マッピングカテーテルなどのカテーテルの電極若しくは双極電極対によって受信された心内電位図(intracardiac electrogram、EGM)若しくはECG信号1830、第1のマッピングカテーテルの電極と第2の基準カテーテル上の点の間の距離1840(典型的にはミリメートルで測定される)、又は他の入力1850を挙げることができる。他の入力1850としては、第1のマッピングカテーテルの電極と第2の基準カテーテル上の点との間の距離が所定の閾値未満であるか否かを示す離散ブール値(すなわち、0又は1)、カテーテル内の力センサによって測定したときのカテーテルによって関心対象の心構造に印加される力(典型的にはグラムで測定される)、カテーテルの電極と関心対象の心構造との間の近接性を示す指標、カテーテルの電極によって測定された関心対象の心構造のインピーダンス値(典型的にはオームで測定される)、身体表面電極(単数又は複数)によって受信された心電図(ECG)信号1830、関心対象の心構造の手動マッピングデータ、及びカテーテルの電極によって測定された任意の他の電気生理学的データを挙げることができる。
【0140】
一実施形態では、入力データ1810のうちの1つ又は2つ以上は、ニューラルネットワーク1800に供給される。入力データ1810は、限定するものではないが、病院若しくは医療施設、リモートサーバの位置、又はクラウド内を含むが、これらに限定されない様々な位置に記憶することができる。訓練データ1810は、リアルタイムで、所定の間隔で、又は要求に応じて、ニューラルネットワーク1800に転送されてもよい。訓練されると、ニューラルネットワーク1800は、カテーテルアブレーション処置中にリアルタイムでヒス束1820を識別することができる。
【0141】
一実施形態では、ニューラルネットワーク1800の出力1820は、限定するものではないが、マッピングカテーテルの電極がヒス束などの関心対象の心構造に十分に近いか否かを示す離散ブール値、及びマッピングカテーテルの電極によって測定された関心対象の心臓の特性と手動マッピングによって取得されたものなどの関心対象の心構造の特性との間の一致を示す一致指標などの連続値を含むことができる。
【0142】
例示的な一実施形態によれば、ニューラルネットワーク1800は、畳み込みニューラルネットワーク(CNN)、又は長・短期記憶(long short-term memory、LSTM)ニューラルネットワークなどのリカレントニューラルネットワーク(RNN)を含むことができる。畳み込みニューラルネットワーク(CNN)は、コンピュータビジョン及び/又は画像認識の分野で好ましく使用されるディープラーニングアルゴリズムである。CNNは、一方を他方から区別するために、入力画像内の様々な態様又は特徴に重要性(学習可能な重み)を割り当てる。LSTMニューラルネットワークは、ディープラーニングに使用されるフィードバック接続を有するリカレントニューラルネットワークである。
【0143】
例示的な一実施形態では、各訓練の後、その出力を含む訓練モデルは、その精度を検証するために、ゴールドスタンダードデータベースなどの標準データベースに対して実行することができる。非限定的な一実施例では、ゴールドスタンダードデータベースは、問題の心構造(例えば、ヒス束)であることが既知である点、この構造「ではない」ことが既知である点、関連するカテーテル位置、ECG信号、及び他の関連パラメータからなる。例示的な一実施形態では、新たに訓練されたモデルの精度が閾値を下回る場合、又は代替的に、新たに訓練されたモデルの精度が以前のモデルの精度未満である場合、モデルを廃棄することができる。同様に、新たに訓練されたモデルの精度が閾値以上である場合、又は代替的に、新たに訓練されたモデルの精度が以前のモデルの精度よりも高い場合、モデルは、現場のマッピングシステムに公開することができる。例示的な一実施形態では、新しいモデルの公開は、例えば、オペレータがウェブアドレスからファイルをダウンロードして、それをマッピングシステム1720にアップロードすることによって、手動で実行することができる。代替的に、新しいモデルは、インターネットを介して現場のマッピングシステム1720にプッシュされてもよい。
【0144】
図18Bは、ニューラルネットワーク1800を訓練して、心臓内の特定の構造の位置を自動的に検出及び識別するためのモジュール1860の例示的な実施形態を示すフロー図である。
図18Bは、
図18Aと併せて心臓内のヒス束を自動的に識別するモジュールを示しているが、当業者は、他の心構造又は信号をモジュール1860に従って識別することができることを認識するであろう。
【0145】
例えば、心臓アブレーション処置中に、複数のカテーテルを利用して、心臓の様々なデータ記録を取得することができる。
図19Aは、心臓1910の電気生理学的データを取得するために使用される複数の心内カテーテル及び身体表面電極を示す。例示的な一実施形態によれば、例えば、カテーテルは、限定するものではないが、アブレーションカテーテル1920、CS基準カテーテル1930、及びヒス束マッピングカテーテル1940を含むことができる。所望により、右室心尖部(right ventricular apex、RVA)カテーテル1950などの他のプローブも使用されてもよい。アブレーションカテーテル1920は、上で考察されるようにアブレーション処置を実行するために利用される。CS基準カテーテル1930は、心臓1910の冠状静脈洞1932の内側に定置される。ヒス束マッピングカテーテル1940は、ヒス束に接触し、本明細書で考察される、
図20に示されるように、ヒス束電位図(HBE)を記録するように構成されている。身体表面電極1960は、上述し、かつ
図16及び
図20に示されるように、身体表面身体上に位置付けられて、心臓のECG信号を記録する。
【0146】
例示的な一実施形態によれば、カテーテル1920、1930、1940、1950、及び電極1960から取得された電気生理学的データは、分析及びディスプレイ1727に出力するためにプロセッサ1741などのプロセッサに供給されてもよく、好ましくは、
図17に示すようにニューラルネットワーク1790に送信される。
【0147】
ステップ1865で、ニューラルネットワーク1800は、第1のカテーテルから第1の入力データを受信する。一実施形態では、第1の入力データ1810は、好ましくは、電気生理学的データであり、より好ましくは、第1のカテーテルの電極又は双極電極対によって受信された心内電位図(EGM)信号1840である。一実施形態では、第1のカテーテルは、関心対象の心構造からEGM信号を受信するマッピングカテーテルである。一実施形態では、第1のカテーテルは、
図19A〜
図19Bに示すような、ヒス束電位図(HBE)信号を受信するヒス束マッピングカテーテル1940である。第1のカテーテルは、複数の電極を含むことができる。
図19Bは、4つの電極1942a、1942b、1942c、1942dを有するヒス束マッピングカテーテル1940を示す。しかしながら、当業者であれば、ヒス束マッピングカテーテル1940は、任意の数の電極を含むことができることを認識するであろう。ヒス束マッピングカテーテル1940は、電極1942a、1942b、1942c、1942dのいずれかでEGM信号を受信することができる。
【0148】
ステップ1875で、ニューラルネットワーク1800は、追加の入力データを受信する。一実施形態では、追加の入力データは、ヒス束マッピングカテーテル1940の電極1942bなどの第2の電極から受信された第2のEGM信号であってもよい。当業者であれば、追加の入力データは、ヒス束マッピングカテーテル1940の異なる電極から受信された複数のEGM信号を含むことができることを認識するであろう。
【0149】
本開示の態様を例示するのに役立つように、
図20は、本開示の方法に従って使用することができる例示的な身体表面ECG及び心内HBE記録2010及び2020それぞれを示す。HBE記録2020に示すように、A波は、低い右心房興奮を示し、ヒス束活動は、Hで示され、V偏向は、心室興奮を示す。従来、A波の開始と後続のV偏向の開始との間の期間は、AV間隔2022として既知である。ヒス束マッピングカテーテル1940がヒス束と接触すると、HBE信号は、好ましくは、HBE記録2020に示されるようなパターンを有する。
【0150】
当該技術分野において既知であり、かつ上で考察されるように、身体表面電極1960は、基準電極として機能し、図示されるように、P波、QRS群、及びT波を含む心周期の身体表面ECG記録2010を生成する。P波は、心房室の分極段階を表し、QRS群は、心室の再分極を表し、T波は、心室の脱分極を表す。それに対応して、P波の開始とQRS群の開始との間の期間は、PR間隔2012として既知である。線2030は、身体表面ECG記録2010において電気インパルスがヒス束を通過する点を示す。
【0151】
一実施形態では、ニューラルネットワーク1800は、入力データに基づいて、ヒス束の位置に対応するHBE信号などの電気生理学的データを識別する。例えば、ニューラルネットワーク1800は、入力データがヒス束に対応する電気生理学的データを含むか否かを識別する。
【0152】
しかしながら、HBE信号がHBE記録2020に示されるようなパターンを有する場合であっても、ヒス束マッピングカテーテル1940がヒス束に近接しているが接触していない場合など、ヒス束マッピングカテーテル1940が偽陽性読み取り値を示すことがあることがありうる。したがって、ニューラルネットワークはまた、本明細書で考察されるように、ヒス束マッピングカテーテル1940の電極とCS基準電極1930との間の距離に依拠してもよい。
【0153】
一実施形態では、追加の入力データはまた、ヒス束マッピングカテーテル1940上の電極と基準カテーテル上の電極との間の距離を含むことができる。例えば、基準カテーテルは、
図19A〜
図19Bに示されるように、心臓の冠状静脈洞内に挿入されるCS基準カテーテル1930であってもよい。例えば、ヒス束は、解剖学的にCSに近接して位置付けられていることがよく理解されている。例示的な一実施形態によれば、ヒス束マッピングカテーテル1940上の電極とCS基準カテーテル1930上の電極との間の距離は、HBE記録2020の信頼性を判定するための近接データとして使用される。
【0154】
一実施形態では、CS基準カテーテル1930は、複数の電極を含むことができる。
図19Bは、10個の電極1932a、1932b、1932c、1932d、1932e、1932f、1932g、1932h、1932i、1932jを有するCS基準カテーテル1940を示すが、当業者であれば、CS基準カテーテル1940は、任意の数の電極を含むことができることを認識するであろう。一実施形態では、距離は、ヒス束マッピングカテーテル1940の各電極1942a〜dとCS基準カテーテル1930上の最も近い点との間で測定することができる。例えば、
図19Bに示すように、距離D3は、ヒス束マッピングカテーテル1940の電極1942cとCS基準カテーテル1930上の最も近い点との間の距離である。代替的に、又は加えて、距離は、ヒス束マッピングカテーテル1940の各電極1942a〜dとCS基準カテーテル1930の最も近い電極1932a〜jとの間で測定することができる。代替的に、又は加えて、距離は、ヒス束マッピングカテーテル1940の各電極1942a〜dと、電極1932a〜jのうちの1つのいずれかであり得るCS基準カテーテル1930の選択された電極との間で測定することができる。
【0155】
当業者であれば、ステップ1865及び1885で参照される第1の入力データ及び追加の入力データは、本明細書で考察される入力データ、及びカテーテルの電極によって測定される任意の他の電気生理学的データのいずれかであり得ることを認識するであろう。
【0156】
ステップ1885で、ニューラルネットワーク1800は、ヒス束などの関心対象の心構造の位置を識別するために、各受信された入力データに機械学習アルゴリズムを適用する。例えば、ヒス束マッピングカテーテル1940の各電極1942a〜dによって受信されたEGM、及び各電極1942a〜dとCS基準カテーテル1930の最も近い点との間の距離を使用して、電極1942a〜dのいずれかがヒス束上に位置付けられているか否か、かつそうである場合には、どの電極がヒス束上に位置付けられているかを判定することができる。例えば、
図19Bに示すように、ヒス束マッピングカテーテル1940の電極1942cによって受信されたEGM、及び電極1942cとCS基準カテーテル1930との間の距離D3を、ニューラルネットワーク1800の入力として使用して、ヒス束マッピングカテーテル1940の電極1942cがヒス束上に位置付けられているか否かを判定することができる。以下により詳細に記載されるように、電極がヒス束上に位置付けられているか否かの判定は、例えば、ECG信号、CSカテーテルからの距離、及び力、接触状態を含む他の入力の精査を含んでもよい。
【0157】
別の実施例では、ヒス束マッピングカテーテル1940の第1の選択された電極におけるHBE記録2020がヒス束の特性を有するが、
図19Aの距離D2を参照して示されるように、第1の選択された電極の空間的位置がCS基準カテーテル1930からの所定の閾値又は範囲より大きい距離を有する場合、ニューラルネットワーク1800は、第1の選択された電極がヒス束の正確な位置ではないと判定する。一方、HBE記録2020がヒス束の特性を有し、かつ
図19Aの距離D1を参照して示されるように、ヒス束マッピングカテーテル1940に沿った第2の選択された電極の空間的位置がCS基準カテーテル1930からの所定の閾値又は範囲未満の距離を有する場合、ニューラルネットワーク1800は、第2の選択された電極がヒス束の正確な位置であると判定する。
【0158】
一実施形態では、ニューラルネットワークは、医師によって手動でマークされたヒス束の位置、CS基準カテーテル1930までの手動でマークされたヒス束の距離、及びHBE記録2020又はECG記録2010などの電気生理学的データに基づいて所定の閾値を学習する。
【0159】
結果として、ニューラルネットワーク1800は、ヒス束マッピングカテーテル2040の電極によって受信されたEGMデータなどの第1のカテーテルから受信された電気生理学的データ、並びに任意選択的に、第1のカテーテルの他の電極から受信されたEGMデータ、CS基準カテーテルなどの第2のカテーテルから受信された電気生理学的データ、手動マッピングデータ、ECGデータ、EGMデータ、距離データ、力データ、近接指標データ、インピーダンスデータ、及びカテーテルの電極によって測定される任意の他の電気生理学的データなどの追加のデータなどの入力データに基づいて、ヒス束などの心臓内の特定の構造の位置を自動的に検出するように学習する。この追加のデータは、ヒス束を検出することに関連してもよく、追加のデータは重要ではなく見える場合があるが、本明細書に記載されるAIアルゴリズムは、これらの入力データのうちのデータとの相関及び重要性を見出すことができる。
【0160】
ステップ1890で、ニューラルネットワーク1800は、第1のカテーテルの電極がヒス束などの関心対象の心構造上に位置付けられている、又はそれに十分に近接して位置付けられているか否かの出力を生成する。上で考察されるように、ニューラルネットワークの出力は、限定するものではないが、カテーテルの電極がヒス束などの関心対象の心構造に十分に近いか否かを示す離散ブール値、又はカテーテルの電極によって測定された関心対象の心構造の特性と手動マッピングによって取得されたものなどの関心対象の心構造の特性との間の一致を示す一致指標などの連続値を含むことができる。
【0161】
別の実施形態では、ニューラルネットワーク1800を使用して、心臓内の局所的異常心室興奮(Local Abnormal Ventricular Activations、LAVA)信号を検出することができる。そのような実施形態では、LAVA信号及び非LAVA信号は、モデル内の訓練データとして使用され、ニューラルネットワークは、臨床環境においてLAVA信号を自動的に検出するために、LAVA信号と非LAVA信号とを区別するように学習する。
【0162】
関心対象の心構造を自動的に識別するための畳み込みニューラルネットワーク(CNN)2100の例示的な実施形態を
図21に示す。
図21に示すように、CNN2100は、好ましくは、入力データ2110を受信する。入力データは、単一の入力又は複数の入力2110−1、2110−2、2110−3、...、2110−nを含むことができ、「n」は、複数の入力の最後である。例として、限定するものではないが、第1の入力2110−1は、マッピングカテーテルの第1の電極によって受信された第1のEGM信号を含むことができ、第2の入力2110−2は、マッピングカテーテルの第2の電極によって受信された第2のEGM信号を含むことができ、第3の入力2110−3は、マッピングカテーテルの第1の電極と基準カテーテルの最も近い電極との間の距離を含むことができ、最後の入力(2110−n)は、マッピングカテーテルの第2の電極と基準カテーテルの最も近い電極との間の距離を含むことができる。入力2110は、ノード2120−1、2120−2、2120−3、...2120−nを含む第1の隠れ層2120、及び任意選択的に、ノード2130−1、2130−2、2130−3、...2130−nを含む第2の又はそれより多くの隠れ層2130に提供され、これらは、組み合わされて、ブール値又は一致指標などの出力2140を生成する。例えば、CNN2100では、全てのEGM入力2110は、出力2140を計算するために一度にニューラルネットワークに供給される。ニューラルネットワークは、以下により具体的に記載されるように、例えば、隠れ層に出力を提供するために、1つ又は2つ以上のプール層及び平坦化層に供給する一連の畳み込み層を含んでもよい。
【0163】
関心対象の心構造を自動的に識別するための、長・短期記憶(LSTM)ニューラルネットワークなどのリカレントニューラルネットワーク(RNN)2200の例示的な実施形態を
図22に示す。
図22に示すように、RNN2200は、好ましくは、入力データ2210を受信する。入力データ2210は、単一の入力又は複数の入力2210−1、2210−2、2210−3、...、2210−nを含むことができ、「n」は、複数の入力の最後である。例として、限定するものではないが、第1の入力2210−1は、マッピングカテーテルの第1の電極によって受信された第1のEGM信号を含むことができ、第2の入力2210−2は、マッピングカテーテルの第1の電極と基準カテーテルの最も近い電極との間の距離を含むことができ、第3の入力2210−3は、マッピングカテーテルの電極から受信された力データを含むことができ、最後の入力2210−nは、マッピングカテーテルの電極から受信されたインピーダンスデータを含むことができる。入力2210は、RNN2200に提供され、組み合わされて、ブール値又は一致指標などの出力2240を生成する。例えば、RNN2200では、EGM入力2210−1は、1つずつニューラルネットワークに供給される。より多くのEGMサンプルがRNN2200に供給されると、出力2240は、より正確になる。
【0164】
図18Bのステップ1895では、出力2140又は2240などのニューラルネットワーク1800の出力は、ニューラルネットワーク1800を訓練するために使用される。具体的には、ニューラルネットワーク1800の出力は、システム出力を提供し、この出力は、改善された出力を達成するためにニューラルネットワーク1800を再帰的に訓練するために更に提供される。例えば、上で考察されるように、各訓練の後、その出力を含む訓練モデルは、その精度を検証するために、ゴールドスタンダードデータベースなどの標準データベースに対して実行することができる。例えば、出力は、ヒス束がある場所又はない場所を示す正当な出力であってもよく、出力は、アルゴリズムを更に訓練するために使用されてもよい。加えて、
図22の矢印2230を参照して示すように、新たに訓練されたモデルの精度が閾値以上である場合、又は代替的に、新たに訓練されたモデルの精度が以前のモデルの精度よりも高い場合、モデルは、ニューラルネットワークの入力として使用することができる。
【0165】
一実施形態では、ニューラルネットワーク1800の訓練は、病院若しくは医療施設などの心臓処置が行われる施設、又はトレーニングセンタなどの遠隔位置で監督されてもよい。
【0166】
ニューラルネットワーク1800が訓練されると、ニューラルネットワーク1800をリアルタイムで利用して、ヒス束などの心臓内の特定の構造の位置を自動的に検出することができる。
【0167】
図23は、説明されるような本システムの実装形態2300を示す。実装形態2300は、ヒス束検出の確率(又は位置)及びヒス束ではない検出の確率)又は位置を含む出力1820を生成するための、距離ECG入力1830、カテーテルからの距離1840、及び他の入力1850を含む、ネットワーク2100への一連の入力を含む。上述したように、ECG入力1830は、第1のECG1830
1、第2のECG1830
2、...、最後のECG1830
Nを含む任意の数のECGデータを含むことができる。
【0168】
ネットワーク2100は、例えば、本明細書に記載されるようなCNNネットワークであってもよい。簡略化のために、ネットワーク2100は、複数のプール層2320と相互接続され、かつ1つ又は2つ以上の再送信及び/又は完全に接続された層を含むことができる複数の平坦化層2330と更に相互接続された、複数の畳み込み層2310を含んでもよい。理解されるように、Softmax層2340は、ネットワーク2100内の最後の層であってもよい。
【0169】
畳み込み層2310は、少なくとも
図21に関してを含めて、本明細書で説明されている。プール層2320は、特徴マップの次元を低減するために使用されてもよい。プール層2320は、学習するパラメータの数及びネットワーク2100内で実行される計算の量を低減するために使用されてもよい。プール層2310は、畳み込み層2310によって生成された特徴マップの領域内に存在する特徴を要約する。平坦化層2330は、プールされた特徴マップを完全に接続された層に渡された単一の列に変換し、完全に接続された層をニューラルネットワーク2100に追加する。
【0170】
Softmax層2340は、K個の実数値のベクトルを合計が1であるK個の実数値のベクトルに変える関数を提供する。入力値は、正、負、ゼロ、又は1より大きい値でもよい。Softmax層2340は、Softmax層2340への入力を0〜1の値に変換して、確率としての解釈を可能にすることができる。入力のうちの1つが小さい又は負である場合、Softmax層2340は、入力を小さい確率に変換してもよく、入力が大きい場合、Softmax層2340は、入力を大きい確率に変える。
【0171】
Softmax層2340は、softargmax関数、又はマルチクラスロジスティック回帰と称されることがある。Softmax層2340は、マルチクラス分類に使用することができるロジスティック回帰の一般化であってもよく、その公式は、ロジスティック回帰に使用されるシグモイド関数と非常に類似している。Softmax層2340の機能は、クラスが互いに排他的であるときにのみ分類器に使用することができる。
【0172】
Softmax層2340は、スコアを、ユーザに表示することができる又は他のシステムへの入力として使用することができる正規化された確率分布に変換する。Softmax層2340は、ニューラルネットワーク2100の最終層であって、ヒス束の確率及びヒス束ではない確率を含む出力1820を生成することができる。
【0173】
距離1840をネットワーク2100への入力として直接供給することによって、訓練は、追加の時間を必要とし得る。
【0174】
図24は、説明されるような本システムの実装形態2400を示す。実装形態2400は、ヒス束の確率及びヒス束ではない確率を含む出力1820を生成するための、ECG入力1830を含む、ネットワーク2100への一連の入力を含む。上述したように、ECG入力1830は、第1のECG1830
1、第2のECG1830
2、...、最後のECG1830
Nを含む任意の数のECGデータを含むことができる。
【0175】
ネットワーク2100は、例えば、本明細書に記載されるようなCNNネットワークであってもよい。簡略化のために、ネットワーク2100は、複数のプール層2320と相互接続され、かつ1つ又は2つ以上のresnet及び/又は完全に接続された層を含むことができる複数の平坦化層2330と更に相互接続された、複数の畳み込み層2310を含んでもよい。理解されるように、Softmax層2340は、ネットワーク2100内の最後の層であってもよい。
【0176】
ECG入力1830は、Softmax層2340の前に終了するネットワーク2100内に提供されてもよい。
【0177】
カテーテルからの距離の入力1840は、ECG入力1830とは別個に入力として提供されてもよい。重みを乗じてバイアス2420を加えた後に、距離入力1840は、活性化関数2430に提供されてもよい。dが距離であり、bがバイアスであり、wが重みであり、fが活性化関数である場合、活性化関数の出力は、f(wd+b)である。当該技術分野において理解されるように、活性化関数2430は、入力又は入力のセットを所与として、そのノードの出力を定義する。活性化関数2430としては、例えば、シグモイド、双曲線正接、ELU、及びLeakyReLUなどの関数を挙げることができる。softmax層2340の入力は、活性化関数2430の出力によって乗算されてもよい。Softmax層2340は、スコアを、ユーザに表示することができる又は他のシステムへの入力として使用することができる正規化された確率分布に変換する。Softmax層2340は、ニューラルネットワーク2100の最終層であって、ヒス束の確率及びヒス束ではない確率を含む出力1820を生成することができる。代替的に、2つの入力を取り、かつ2つの出力を与えるsoftmax層2340の代わりに、−∞〜+∞の単一の出力を、ニューラルネットワーク2330によって生成してもよく、この出力を、シグモイドなどの活性化関数によって0〜1の確率に変換してもよい。この構成では、最終の活性化関数の入力は、活性化関数2430の出力によって乗算されてもよい。
【0178】
図25は、説明されるような本システムの実装形態2500を示す。実装形態2500は、ヒス束の確率及びヒス束ではない確率を含む出力1820を生成するための、ECG入力1830を含む、ネットワーク2100への一連の入力を含む。上述したように、ECG入力1830は、第1のECG1830
1、第2のECG1830
2、...、最後のECG1830
Nを含む任意の数のECGデータを含むことができる。ネットワーク2100は、ヒス束の中間確率2520を出力することができる。
【0179】
ネットワーク2100は、例えば、本明細書に記載されるようなCNNネットワークであってもよい。簡略化のために、ネットワーク2100は、複数のプール層2320と相互接続され、かつ1つ又は2つ以上のresnet及び/又は完全に接続された層を含むことができる複数の平坦化層2330と更に相互接続された、複数の畳み込み層2310を含んでもよい。
【0180】
カテーテルからの距離の入力1840及び他の入力1850は、畳み込みネットワークの畳み込み層2310、プール層2320、及び平坦化層2330の後に提供されてもよい。図示されるように、3つ全ての層2310、2320、2330は、理解されるように、距離1840及び他の入力1850、又は層2310、2320、2330の一部分のみを飛ばしてもよい。距離入力1840及び任意の他の入力1850は、ECGネットワーク2100の出力に提供され、1つ又は2つ以上の隠れ層2500を有する非畳み込みニューラルネットワークを使用して組み合わされて、ヒス束の確率及びヒス束ではない確率を含む出力1820を生成することができる。このネットワークアーキテクチャでは、入力は、スカラ、例えば、距離及び印加された力であるため、入力は、「単に別の入力」として処理されて、このネットワークの訓練に時間がかかりすぎることになる場合があり、このネットワークの収束が困難となる。
図24及び
図25に記載された構成は、この問題を解決する。
【0181】
2つのネットワーク2100、2510が図示されているが、これらのネットワークは、単一のネットワークとしてモノリシックに訓練される。心臓内の2つの位置が探索され、一方が、所望の位置(ヒス束)であり、他方が、心臓内の何らかの遠隔位置にある単なる任意の点であると仮定する。この例のために、これらの2つの位置から受信したECG信号が非常に類似しており、どちらがヒス束であるかを理解する唯一の方法が距離を見ることであると仮定する。第1のニューラルネットワークは、距離が入力ではないので、距離に関する情報を提供されていない。第1のネットワークが単独で訓練される場合、2つの非常に類似した信号は、ヒス束として一度、「ヒス束ではない」として一度、ニューラルネットワークに供給される必要があり、ニューラルネットワーク内に混乱を引き起こす。ニューラルネットワークは、収束しないことになる。
【0182】
この例では、より良好な理解を提供するために、この例は、2つの非常に類似した信号を含んだ。ニューラルネットワークは、ヒス束を判定するために信号の何らかの「属性」を学習することができ、この属性は別の位置にも存在し得るため、異なる信号でさえも、同じ問題が依然として存在するであろう。人間はこの差を理解するであろうが、単一の入力としてECGを入力するニューラルネットワークは、混乱することがあり、その収束は困難であろう。最良の場合では、訓練は、時間がかかりすぎ、最悪の場合では、ネットワークは、収束しないであろう。
【0183】
2つのネットワークをモノリシックな全体として訓練する際、第1のネットワークは、距離が大きすぎる場合に「ゴミ」出力を与える自由を有し、依然として収束する。
図24では、乗算は、距離が大きすぎる場合、「ゴミ」の影響を低減することができる。
図25では、第2のニューラルネットワークは、距離及び他のパラメータがヒス束の確率が低いことを示す場合、「ゴミ」の影響を低減することができる。また、手作りのアルゴリズムとは異なり、このネットワークは、関連する距離がどのようなものであるかを学習する。このネットワークは、距離が十分に大きい場合、活性化関数2430が「ゼロに近い」係数を出力する必要があることを学習することができる。「ゼロに近い」係数は、第1のネットワークの出力にかかわらず、第2のネットワークによってヒス束の確率を低いとして出力させることができる。
【0184】
一般に、カットオフは、結果の助けにならない。例えば、距離が1cm未満であったECG信号が考慮される場合、全ての他の信号は、訓練フェーズ中に除外される。理論的には、そのような構成及びカットオフは、同じ「高速収束」の利点を提供し、これはまた、問題を解決するであろう。距離の影響は、離散関数ではなく、連続関数であるべきである。
図24及び
図25のアーキテクチャの効果は、ニューラルネットワークが距離の影響を表す関数を構築するように学習するかのようなものである。訓練中、ネットワークは、遠く離れた点の入力に次第に重要性を与えなくなる。この解決策は、印加された力、組織近接指標などの任意の追加のスカラ入力に拡張可能である。
【0185】
図25では、第1のネットワークは、信号の異なる属性を示すためにより多くの出力を出力することができ、第2のネットワークは、属性を距離と組み合わせるように学習することができる。例えば、距離が小さい場合、第2のネットワークは、属性A、B、及びCなどの属性により重要性を与えるように学習することができる。距離が大きい場合、第2のネットワークは、属性D及びEなどの属性により重要性を与えるように学習することができる。
【0186】
ネットワーク2100の第1の部分は、softmax若しくはシグモイド層で終了してもよく、又は終了しなくてもよい。softmax又はシグモイド層で終了する場合、ネットワークの第2の部分への入力は、0〜1である。そうでなければ、ネットワークの第2の部分への入力は、−∞〜+∞である。
【0187】
ヒス束の自動検出は、本明細書に記載されるニューラルネットワークを利用する結果として本明細書に記載されているが、本開示の主題は、ヒス束の自動検出に限定されない。他の心構造及び/又は信号の自動識別は、開示される主題の範囲内である。例えば、心電サイクルは、心房を介してかつ房室(AV)結節を介してヒス束に電気インパルスを伝達する洞房(SA)結節から開始する。ヒス束は、AV結節から左及び右の束枝に電気インパルスを伝達し、次いで、電気信号を心室に提供するプルキンエ線維に伝達する。一実施形態では、本明細書に開示される主題を使用して、SA結節、左及び右の束枝、プルキンエ繊維などを含むが、これらに限定されない、心電サイクル内の他の心構造を自動的に検出することができる。加えて、別の例として、本明細書に開示される主題を使用して、先で考察されるように、LAVA信号を検出することができる。別の実施形態では、本明細書に開示される主題は、カテーテルの位置を検出するために使用することができ、カテーテルが心房室から心室へと意図せず移動した場合を検出するための医師への警告システムとして機能することができる。
【0188】
特徴及び要素が特定の組み合わせで上に記載されるが、当業者であれば、特徴又は要素の各々を単独で又は他の特徴及び要素と組み合わせて使用することができることを理解するであろう。加えて、プロセスステップは、特定の順序で上述されているが、ステップは、他の望ましい順序で実行することができる。
【0189】
本明細書に記載される方法、プロセス、モジュール、及びシステムは、コンピュータ又はプロセッサで実行するために、コンピュータ可読媒体に組み込まれるコンピュータプログラム、ソフトウェア、又はファームウェアで実装することができる。コンピュータ可読媒体の例には、電子信号(有線又は無線接続を介して送信される)及びコンピュータ可読記憶媒体が挙げられる。コンピュータ可読記憶媒体の例には、読み取り専用メモリ(read only memory、ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、レジスタ、キャッシュメモリ、半導体メモリ装置、磁気媒体、例えば、内蔵ハードディスク及び取り外し可能なディスク、磁気光学媒体、並びに光学媒体、例えば、CD−ROMディスク及びデジタル多用途ディスク(DVD)が挙げられるが、これらに限定されない。ソフトウェアに関連するプロセッサを使用して、WTRU、UE、端末、基地局、RNC、又は任意のホストコンピュータで使用するための無線周波数送受信機を実装することができる。
【0190】
本明細書の更なる実施形態は、ある実施形態に、本明細書の任意の1つ若しくは2つ以上の他の実施形態に由来する1つ若しくは2つ以上の要素を付加することによって、かつ/又はある実施形態に由来する1つ若しくは2つ以上の要素を、本明細書の1つ若しくは2つ以上の他の実施形態由来の1つ若しくは2つ以上の要素と置換することによって、形成されてもよい。
【0191】
したがって、開示された主題は、開示された特定の実施形態に制限されず、添付の特許請求の範囲、上記の説明によって定義され、かつ/又は添付の図面に示される本開示の趣旨及び範囲内にある全ての修正を包含することを意図するものと理解される。
【0192】
〔実施の態様〕
(1) 心構造を自動的に検出するためのシステムであって、
第1の心構造に関する電気生理学的データを受信するように、心臓内に位置付けられた複数の感知デバイスであって、各々が、一次元信号を提供する、複数の感知デバイスと、
ニューラルネットワークを含むプロセッサであって、
前記複数の感知デバイスのうちの少なくとも1つから前記一次元信号を受信し、
一対の前記複数の感知デバイス間の距離に関する距離データを受信し、
受信した前記一次元信号に前記ニューラルネットワークを適用して、出力を判定し、
前記距離に重み及びバイアスを適用し、
重み付けされ、かつバイアスをかけられた前記距離に活性化関数を適用し、
判定された前記出力に前記活性化関数の前記出力を乗算して、前記電気生理学的データ及び前記距離データに基づいて、前記第1の心構造が関心対象の前記心構造であるか否かを判定する、
プロセッサと、
を備える、システム。
(2) 関心対象の前記心構造が、ヒス束を含む、実施態様1に記載のシステム。
(3) 前記複数の感知デバイスによって受信された前記第1の心構造に関する前記電気生理学的データが、ECG信号を含む、実施態様1に記載のシステム。
(4) 前記複数の感知デバイスが、複数の異なる電極を含む、実施態様1に記載のシステム。
(5) 前記距離データが、マッピング電極の前記距離である、実施態様1に記載のシステム。
【0193】
(6) 前記ニューラルネットワークが、畳み込みニューラルネットワーク又はリカレントニューラルネットワークである、実施態様1に記載のシステム。
(7) 前記一次元信号及び前記距離データに対して、前記ニューラルネットワークをモノリシックに訓練することを更に含む、実施態様1に記載のシステム。
(8) 心構造を自動的に検出するための方法であって、
心臓内に位置付けられた複数の感知デバイスを介して、複数の一次元信号を含む電気生理学的データを受信することと、
ニューラルネットワークを介して、前記複数の感知デバイスのうちの少なくとも1つから、前記一次元信号を受信し、かつ一対の前記複数の感知デバイス間の距離に関する距離データを受信することと、
受信した前記一次元信号に前記ニューラルネットワークを適用して、出力を判定することと、
前記距離に重み及びバイアスを適用し、重み付けされ、かつバイアスをかけられた前記距離に活性化関数を適用することと、
判定された前記出力に前記活性化関数の前記出力を乗算して、前記電気生理学的データ及び前記距離データに基づいて、前記第1の心構造が関心対象の前記心構造であるか否かを判定することと、
を含む、方法。
(9) 関心対象の前記心構造が、ヒス束を含む、実施態様8に記載の方法。
(10) 前記複数の感知デバイスによって受信された前記第1の心構造に関する前記電気生理学的データが、ECG信号を含む、実施態様8に記載の方法。
【0194】
(11) 前記複数の感知デバイスが、複数の異なる電極を含む、実施態様8に記載の方法。
(12) 前記距離データが、マッピング電極の前記距離である、実施態様1に記載のシステム。
(13) 前記ニューラルネットワークが、畳み込みニューラルネットワーク又はリカレントニューラルネットワークである、実施態様1に記載のシステム。
(14) 前記一次元信号及び前記距離データに対して、前記ニューラルネットワークをモノリシックに訓練することを更に含む、実施態様1に記載のシステム。
(15) 心構造を自動的に検出するためのシステムであって、
第1の心構造に関する電気生理学的データを受信するために心臓内に位置付けられた複数の感知デバイスであって、各々が、一次元信号を提供する、複数の感知デバイスと、
第1のニューラルネットワークを含むプロセッサであって、前記複数の感知デバイスのうちの少なくとも1つから前記一次元信号を受信し、受信した前記一次元信号に前記ニューラルネットワークを適用して、出力を判定する、プロセッサと、を備え、
前記プロセッサが、少なくとも一対の前記複数の感知デバイス間の距離に関する複数のスカラ値を受信し、前記複数のスカラ値に重み及びバイアスを適用し、重み付けされ、かつバイアスをかけられた前記距離に活性化関数を適用する、第2のニューラルネットワークを含み、
前記第1のニューラルネットワークの前記出力及び前記第2のニューラルネットワークを組み合わせて、前記電気生理学的データ及び前記距離データに基づいて、前記第1の心構造が関心対象の前記心構造であるか否かを判定する、システム。
【0195】
(16) 関心対象の前記心構造が、ヒス束を含む、実施態様15に記載のシステム。
(17) 前記複数の感知デバイスによって受信された前記第1の心構造に関する前記電気生理学的データが、ECG信号を含む、実施態様15に記載のシステム。
(18) 前記複数の感知デバイスが、複数の異なる電極を含む、実施態様15に記載のシステム。
(19) 前記距離データが、マッピング電極の前記距離である、実施態様15に記載のシステム。
(20) 前記一次元信号及び前記距離データに対して、前記第1のニューラルネットワーク及び前記第2のニューラルネットワークをモノリシックに訓練することを更に含む、実施態様1に記載のシステム。