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特開2021-186703カートリッジフィルタ連結構造、被処理水の処理装置、及びカートリッジフィルタの取付け方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2021-186703(P2021-186703A)
(43)【公開日】2021年12月13日
(54)【発明の名称】カートリッジフィルタ連結構造、被処理水の処理装置、及びカートリッジフィルタの取付け方法
(51)【国際特許分類】
   B01D 27/00 20060101AFI20211115BHJP
   C02F 1/42 20060101ALI20211115BHJP
【FI】
   B01D27/00
   C02F1/42 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2020-91287(P2020-91287)
(22)【出願日】2020年5月26日
(71)【出願人】
【識別番号】591030651
【氏名又は名称】水ing株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100100354
【弁理士】
【氏名又は名称】江藤 聡明
(72)【発明者】
【氏名】塩澤 靖
【テーマコード(参考)】
4D025
4D116
【Fターム(参考)】
4D025AA01
4D025AB05
4D025AB06
4D025AB24
4D025BA17
4D025BA24
4D025BA26
4D025BB02
4D025BB07
4D025BB15
4D025BB17
4D116BB01
4D116BC11
4D116BC23
4D116BC44
4D116BC46
4D116DD05
4D116EE03
4D116FF14B
4D116FF15B
4D116GG12
4D116HH13B
4D116KK04
4D116QA02C
4D116QA02D
4D116QA04C
4D116QA04E
4D116QB03
4D116QB04
4D116QB25
4D116QB50
(57)【要約】
【課題】ハウジング内の被処理水の流れを堰き止めることなく、ハウジング内に直列に配置される複数のカートリッジフィルタの中心軸位置を固定することができる、カートリッジフィルタ連結構造を提供すること。
【解決手段】円筒状のハウジング12内に、該円筒形のハウジングの内径よりも外径が小さい筒状であって中心部に集水管が挿通されたカートリッジフィルタ20−1,20−2を複数直列配置し、前記複数直列配置された隣り合うカートリッジフィルタを連結するカートリッジフィルタ連結構造30において、隣り合うカートリッジフィルタ20−1,20−2の集水管22を連結する連結管32と、前記連結管に取付けられ、該連結管の径方向外側に広がって前記ハウジングの内径と対応する径の直径を有する円盤状又は円弧盤状であって、表面に少なくとも1つの通水孔が形成されたサポート材34と、を備えた。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
円筒状のハウジング内に、該円筒形のハウジングの内径よりも外径が小さい筒状であって中心部に集水管が挿通されたカートリッジフィルタを複数直列配置し、前記複数直列配置された隣り合うカートリッジフィルタを連結するカートリッジフィルタ連結構造において、
隣り合うカートリッジフィルタの集水管を連結する連結管と、
前記連結管に取付けられ、該連結管の径方向外側に広がって前記円筒状のハウジングの内径と対応する径の直径を有する円盤状又は円弧盤状であって、表面に少なくとも1つの通水孔が形成されたサポート材と、
を備えたことを特徴とするカートリッジフィルタ連結構造。
【請求項2】
円筒状のハウジングと、
該円筒状のハウジングの内径よりも外径が小さい筒状であって中心部に集水管が挿通され、前記円筒状のハウジング内に複数直列配置されるカートリッジフィルタと、
前記直列配置された隣り合うカートリッジフィルタを連結するカートリッジフィルタ連結構造と、を備えた被処理水の処理装置であって、
前記カートリッジフィルタ連結構造は、
隣り合うカートリッジフィルタの集水管を連結する連結管と、
前記連結管に取付けられ、該連結管の径方向外側に広がって前記円筒状のハウジングの内径と対応する径の直径を有する円盤状又は円弧盤状であって、表面に少なくとも1つの通水孔が形成されたサポート材と、
を備えた連結部材で構成されることを特徴とする被処理水の処理装置。
【請求項3】
前記連結部材は、さらに、
前記サポート材の両面から突出し、前記連結管を囲む筒状であって、前記カートリッジフィルタの外径よりも小さい外径を有するスペーサ材を備えたことを特徴とする請求項2に記載の被処理水の処理装置。
【請求項4】
前記連結管は、両端が尖鋭状に形成されていることを特徴とする請求項2又は3に記載の被処理水の処理装置。
【請求項5】
前記カートリッジフィルタの軸方向の両端部に配置される支持部材を備え、
前記ハウジングは、軸方向が水平になるように配置されており、
前記支持部材は、前記カートリッジフィルタの下面と前記円筒状のハウジングの内壁との間に配置されて、前記カートリッジフィルタの下面と端面とに当接する断面L字状であって、前記カートリッジフィルタの外周に沿う円弧状に形成されたことを特徴とする請求項2〜4のいずれか1項に記載の被処理水の処理装置。
【請求項6】
請求項2〜5のいずれか1項に記載の被処理水の処理装置におけるカートリッジフィルタの取付け方法であって、
前記円筒状のハウジング内に第1のカートリッジフィルタを導入する第1のカートリッジフィルタの導入工程と、
前記円筒状のハウジング内に前記第1のカートリッジフィルタを導入した後、該円筒状のハウジング内に前記連結部材を導入する連結部材の導入工程と、
前記円筒状のハウジング内に前記連結部材を導入した後、前記連結部材の前記連結管の一方の端部を前記第1のカートリッジフィルタの集水管に挿入する工程と、
前記円筒状のハウジング内に第2のカートリッジフィルタを導入し、前記連結部材の他方の端部を前記第2のカートリッジフィルタの集水管に挿入する工程と、
を含むことを特徴とするカートリッジフィルタの取付け方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カートリッジフィルタを用いた処理装置、特に、ハウジングからカートリッジフィルタを取り出して、新たなカートリッジフィルタと交換でき、交換作業が比較的容易であることから、製薬工場、化学工業、食品工業などにおける水処理や、地下水や温泉などの水処理に利用される、複数のカートリッジフィルタを連結するカートリッジフィルタ連結構造、カートリッジフィルタ連結構造を備えた被処理水の処理装置、及び該処理装置におけるカートリッジフィルタの取付け方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、浄水処理、排水処理、汚泥処理、浸出水処理などの水処理技術として、被処理水中に含まれるイオン(例えば、ホウ素、フッ素、砒素など)や微粒子などを除去するためのカートリッジフィルタを備えた処理装置が知られている。
【0003】
カートリッジフィルタは、一般に、円筒状のフィルタ部の中心部に集水管が挿通されて構成されている。この様な構成のカートリッジフィルタは、同じく円筒状のハウジング内に収容され、上記集水管は、ハウジング内からハウジング外まで延びる排水管に接続される。
【0004】
このようなカートリッジフィルタ及びハウジングを備えた被処理水の処理装置では、被処理水の供給管からハウジング内に被処理水が供給されると、被処理水は、カートリッジフィルタの外周面などからフィルタ部内に流入し、被処理水内のイオン等が吸着された後、集水管及び排水管を通ってハウジングの外部へ流出する。
【0005】
工業用として使用されるカートリッジフィルタは大型であり、使用後には液体を吸収して重量が大きくなるため、交換容易性などの観点から、軸方向の長さが大きい一つのハウジングに対し、軸方向の長さが小さい複数のカートリッジフィルタを直列に配列するものが知られている。
【0006】
例えば、特許文献1には、円筒状のハウジングの内部に、複数の円筒状のカートリッジフィルタを軸方向に直列に配置した被処理水の処理装置が記載れている。各カートリッジフィルタの外径は、ハウジングの内径よりも小さく設定されており、ハウジングと各カートリッジフィルタとは中心軸が一致するように配置されている。隣り合うカートリッジフィルタは、カートリッジフィルタの集水管同士を連結する連結管で連結されている。連結管の周囲には、連結管を覆って隣り合うカートリッジフィルタの端部プレート同士を繋ぐ接続リングが設けられている。
【0007】
この処理装置では、被処理水が各カートリッジフィルタの外周面からフィルタ部に入り込んでろ過される。ろ過後の処理水は、集水管に連結された排出管を通ってハウジングの外部へ排出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2012−206036号公報
【0009】
特許文献1に記載の処理装置では、ハウジングの内壁とカートリッジフィルタの外周面との間に隙間が形成されているため、ハウジング内に被処理水を供給されると、各カートリッジフィルタに作用する浮力の影響により、各カートリッジフィルタには、ハウジングの中心軸に対して、カートリッジフィルタの中心軸がずれるような力が作用する。隣り合うカートリッジフィルタの中心軸がずれると、連結部において隙間が生じ、液体の漏れが発生する虞がある。
【0010】
特許文献1に記載の処理装置では、接続リングにより隣り合うカートリッジフィルタの端部同士を接続して結合力を強化することで、連結部に隙間が発生することを防止している。
【0011】
しかしながら、接続リングによる補強では、カートリッジフィルタ同士の中心軸のずれ自体を抑制することができないことから、例えば、被処理水の水圧が高い場合には、連結部から液漏れが発生する懸念がある。
【0012】
それ故、ハウジング内の被処理水の流れを堰き止めることなく、カートリッジフィルタの中心軸位置を固定することができる連結構造が求められていた。
【0013】
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、その目的は、ハウジング内の被処理水の流れを堰き止めることなく、ハウジング内に直列に配置される複数のカートリッジフィルタの中心軸位置を固定することができる、カートリッジフィルタ連結構造、カートリッジフィルタ連結構造を有する被処理水の処理装置、及び該処理装置におけるカートリッジフィルタの取付け方法を提供することにある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記課題を解決するために、本発明は、以下の構成とすることができる。
(1)本発明のカートリッジフィルタ連結構造は、円筒状のハウジング内に、該円筒形のハウジングの内径よりも外径が小さい筒状であって中心部に集水管が挿通されたカートリッジフィルタを複数直列配置し、前記複数直列配置された隣り合うカートリッジフィルタを連結するカートリッジフィルタ連結構造において、隣り合うカートリッジフィルタの集水管を連結する連結管と、前記連結管に取付けられ、該連結管の径方向外側に広がって前記円筒状のハウジングの内径と対応する径の直径を有する円盤状又は円弧盤状であって、表面に少なくとも1つの通水孔が形成されたサポート材と、を備えたことを特徴とする。
【0015】
(2)本発明の被処理水の処理装置は、円筒状のハウジングと、該円筒状のハウジングの内径よりも外径が小さい筒状であって中心部に集水管が挿通され、前記円筒状のハウジング内に複数直列配置されるカートリッジフィルタと、前記直列配置された隣り合うカートリッジフィルタを連結するカートリッジフィルタ連結構造と、を備えた被処理水の処理装置であって、前記カートリッジフィルタ連結構造は、隣り合うカートリッジフィルタの集水管を連結する連結管と、前記連結管に取付けられ、該連結管の径方向外側に広がって前記円筒状のハウジングの内径と対応する径の直径を有する円盤状又は円弧盤状であって、表面に少なくとも1つの通水孔が形成されたサポート材と、を備えた連結部材で構成されることを特徴とする。
【0016】
(3)上記処理装置において、前記連結部材は、さらに、前記サポート材の両面から突出し、前記連結管を囲む筒状であって、前記カートリッジフィルタの外径よりも小さい外径を有するスペーサ材を備えたことを特徴とする。
【0017】
(4)上記処理装置において、前記連結管は、両端が尖鋭状に形成されていることを特徴とする。
【0018】
(5)上記処理装置において、前記カートリッジフィルタの軸方向の両端部に配置される支持部材を備え、前記ハウジングは、軸方向が水平になるように配置されており、前記支持部材は、前記カートリッジフィルタの下面と前記フィルタハウジングの内壁との間に配置されて、前記カートリッジフィルタの下面と端面とに当接する断面L字状であって、前記カートリッジフィルタの外周に沿う円弧状に形成されたことを特徴とする。
【0019】
(6)本発明のカートリッジフィルタの取付け方法は、上記被処理水の処理装置におけるカートリッジフィルタの取付け方法であって、前記円筒状のハウジング内に第1のカートリッジフィルタを導入する第1のカートリッジフィルタの導入工程と、前記円筒状のハウジング内に前記第1のカートリッジフィルタを導入した後、該円筒状のハウジング内に前記連結部材を導入する連結部材の導入工程と、前記円筒状のハウジング内に前記連結部材を導入した後、前記連結部材の前記連結管の一方の端部を前記第1のカートリッジフィルタの集水管に挿入する工程と、前記円筒状のハウジング内に第2のカートリッジフィルタを導入し、前記連結部材の他方の端部を前記第2のカートリッジフィルタの集水管に挿入する工程と、を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明のカートリッジフィルタ連結構造、及び被処理水の処理装置によれば、ハウジング内の被処理水の流れを堰き止めることなく、ハウジング内に直列に配置される複数のカートリッジフィルタの中心軸位置を固定することができる。また、本発明のカートリッジフィルタの取付け方法によれば、簡易にカートリッジフィルタを取付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明のカートリッジフィルタ連結構造を備えた被処理水の処理装置の実施形態を示す断面図である。
図2図1の連結構造部分の断面図であり、ハウジング内に挿入されたカートリッジフィルタに本発明のカートリッジフィルタ連結構造を取付けた状態を示す図である。
図3】支持部材の斜視図である。
図4】(a)は連結管の正面図、(b)は連結管の断面図である。
図5】(a)はサポート材の正面図、(b)はサポート材のX−X線に沿う断面図である。
図6】(a)はスペーサ材の正面図、(b)はスペーサ材の断面図である。
図7】カートリッジフィルタを取付け方法の説明図である。
図8】カートリッジフィルタを取付け方法の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照して本発明を説明する。図1は、本発明のカートリッジフィルタ連結構造を被処理水の処理装置の実施形態を示す断面図であり、図2は、図1の連結構造部分の断面図である。被処理水の処理装置10(以下、単に「処理装置10」とも称する)は、浄水処理、排水処理、汚泥処理などの水処理に用いられ、被処理水中のホウ素などのイオンを吸着する複数のカートリッジフィルタ20−1,20−2を備えている。
【0023】
処理装置10は、円筒状のハウジング12と、ハウジング12内に直列状に複数配置される筒状のカートリッジフィルタ20−1,20−2と、各カートリッジフィルタ20−1,20−2を連結するカートリッジフィルタ連結構造30(以下、単に「連結構造30」とも称する)と、各カートリッジフィルタ20−1,20−2を支持する支持部材44−1,44−2とを備える。本実施形態の処理装置10は、ハウジング12の軸方向が水平方向となるように設置される。
【0024】
ハウジング12は、内部にカートリッジフィルタ20を収容する容器である。本実施形態においてハウジング12は、両端が開口した円筒状に形成されている。ハウジング12の両端の開口は、円盤状の端部プレート14A,14Bで覆われている。ハウジング12及び端部プレート14A,14Bは、樹脂材料、金属材料、又はこれらの組み合わせた材料等で形成することができる。本実施形態では、ハウジング12と各端部プレート14A,14Bとが別部品で形成されており、ボルトなどの固定部材を用いて結合・固定されているが、これらは一体に形成されていてもよい。各端部プレート14A,14Bには、それぞれ、ハウジング12の内部と外部とを連通する給水管16−1,16−2と排水管18−1,18−2とが設けられている。
【0025】
給水管16−1,16−2は、ハウジング12内に被処理水を供給するための配管であり、端部プレート14A,14Bの中央部から径方向外側にずれた位置に配置されている。各給水管16−1,16−2は、ハウジング12の中心軸を挟んで反対側(図示例では、ハウジング12の中心軸と挟んで上方側と下方側)に位置するように配置される。排水管18−1,18−2は、カートリッジフィルタ20を通過した処理水をハウジング12の外部へ排出するための配管であり、端部プレート14A,14Bの中央部に配置されている。排水管18−1,18−2は、一端がハウジング12内に突出しており、その先端は、軸方向に垂直な面に対して傾斜した切り口を有する尖鋭状に形成されている。
【0026】
各端部プレート14A,14Bの内面(ハウジング12の内側を向く面)には、この内面からハウジング12内に突出する端部スペーサ材19−1,19−2が設けられている。各スペーサ部材19−1,19−2は、図示していないボルト等の固定部材により、各端部プレート14A,14Bに固定されている。端部スペーサ材19−1,19−2は、排水管18−1,18−2を囲む筒状に形成されており、その外径は、カートリッジフィルタ20の外径よりも小さく、後述する一対のスペーサ材40−1,40−2の外径とほぼ等しい大きさに形成されている。端部スペーサ19−1,19−2は、スペーサ材40−1,40−2とともに、各カートリッジフィルタ20の両端部を軸方向内側に押圧して保持している。
【0027】
カートリッジフィルタ20は、ハウジング12の内径よりも外径の小さい筒状であって、本実施形態では円筒状に形成されている。カートリッジフィルタ20は、フィルタ部24と、フィルタ部24の中央部に挿通された集水管22とを有している。集水管22は、透水性を有しており、例えば、管の壁部が格子状に形成された有孔管や、管の壁部に複数の孔が形成された有孔管とすることができる。
【0028】
フィルタ部24は、被処理水中に含まれるホウ素、フッ素、砒素などのイオンを除去可能なフィルタ機能を有する。本実施形態では、フィルタ部24が、ホウ素を吸着するためのグルカミン固定化布を集水管22に巻回することにより形成されている。グルカミン固定化布としては、グルカミン、特にN−メチル−D−グルカミンを有する不織布や織布を使用することが好ましい。グルカミン固定化布は、例えば、放射線(電子線)照射によりメタクリル酸グリシジルを布にグラフト重合した後、更にN−メチル−D−グルカミンを反応させることにより形成することができる。グルカミン固定化布の基材となる不織布や織布としては、有機高分子から形成された不織布や織布を使用することが好ましい。
【0029】
カートリッジフィルタ20の両端には、取外し可能なエンドキャップ26が設けられている。エンドキャップ26は非透水性の材質のものであり、これを配置することにより、カートリッジフィルタ20に流入した被処理水が集水管22に流入するまでに外部に漏れ出ることを阻止することができる。
【0030】
各カートリッジフィルタ20−1,20−2は、ハウジング12内に設置された状態で、一対の支持部材44−1,44−2により、両端部が下方から支持されている。
【0031】
図1に示すように、支持部材44は、設置状態で、カートリッジフィルタ20の下面となる下方側の外周面25とハウジン12の内壁12aとの間に配置される。支持部材44は、例えば、PVC等の樹脂材料で形成することができ、カートリッジフィルタ20の下面と端面とに当接する断面L字状に形成されている。本実施形態では、支持部材44がカートリッジフィルタ20の端部を構成しているエンドキャップ26に当接している。図3に示すように、支持部材44は、カートリッジフィルタ20の外周に沿う円弧状に形成されている。支持部材44は、円弧角度は、120°以下であることが好ましく、90°以下であることがより好ましい。本実施形態では、支持部材44の円弧角度が約60°に設定されている。
【0032】
図3に示すように、本実施形態の支持部材44は、カートリッジフィルタ20の外周面25に沿うように湾曲する板状の下部支持片47と、下部支持片47の円弧状の一側辺から垂直に突出する当接片48とを有する。下部支持片47は、設置状態で、カートリッジフィルタ20の下面(即ち、外周面)に当接する部位であり、当接片48は、設置状態で、カートリッジフィルタ20の端面に当接する部位である。下部支持片47の厚さは、ハウジング12内で、カートリッジフィルタ20の下方に設置された状態で、カートリッジフィルタ20の中心軸がハウジング12の中心軸と一致する厚さに設定されている。下部支持片47の外周面には、軸方向に延びる少なくとも1つの溝46が形成されていることが好ましい。本実施形態では、1つの支持部材44に2つの溝46−1,46−2を形成しているが、溝46の数は、3つ以上であってもよい。
【0033】
図1に示すように、カートリッジフィルタ20は、一対の支持部材44−1,44−2及び連結構造30を用いて、集水管22の中心軸がハウジング12の中心軸と同軸となるように、ハウジング12内に複数配置される。図示例では、2つのカートリッジフィルタ20−1,20−2を配置しているが、数は2つに限られず、3つ以上であってもよい。既述のとおり、カートリッジフィルタ20の外径は、ハウジング12の内径よりも小さく形成されており、設置状態では、ハウジング12の内壁12aとカートリッジフィルタ20の外周面25との間に、周方向の全域に亘って隙間Sが形成される。
【0034】
次に、図1図2及び図4図6を用いて、各カートリッジフィルタ20−1,20−2を連結する連結構造30について説明する。連結構造30を構成している連結部材30Aは、連結管32と、サポート材34と、スペーサ材40−1,40−2とを備えている。連結管32、サポート材34及びスペーサ材40−1,40−2は、PVC等の樹脂材料、金属材料、又はこれらの組み合わせた材料等で形成することができる。
【0035】
連結管32は、隣り合うカートリッジフィルタ20−1,20−2の集水管22を連結する管である。図4に示すように、連結管32は、管壁から液体の流入・流出のない非透水性の管とすることができる。連結管32の外径は、カートリッジフィルタ20の集水管22内に挿入可能であって、且つ集水管22の内径とほぼ等しい径に形成されている。
【0036】
連結管32の両端部の外周面には、それぞれ、環状溝31が形成されている。各環状溝31内には、集水管22との連結状態において液密性を保持するための環状のシール材33が装入されている。本実施形態においてシール材33は、ゴム材料で形成されたOリングである。
【0037】
図4(b)に示すように、連結管32は、両端が、軸方向に垂直な面に対して傾斜した切り口を有する尖鋭状に形成されている。このように、連結管32の両端に尖鋭部32a,32bを設けることで、連結管32を集水管22内に挿入して連結する際に、挿入作業を容易にすることができる。また、連結管32の両端を尖鋭状にすることで、集水管22が連結管32によって塞がれる領域を少なくすることができるので、集水効果を高めることができる。さらに、連結管32は、後述するスペーサ材40−1,40−2に対して固定されておらず、軸周りに回転可能であるため、カートリッジフィルタ20に対して脱着する際に、連結管32が回転することでカートリッジフィルタ20への負荷を低減することができる。
【0038】
サポート材34は、図1に示すように、連結管32の軸方向の中央部に取付けられ、連結管32の径方向外側に広がる円盤状又は180°以上の円弧盤状に形成される。本実施形態のサポート材34は、図5に示すように、円弧の角度が約240°の円弧盤状に形成されており、約120°の円弧状の欠落部38を有している。サポート材34の中央部は円盤状に形成されており、その中央には、連結管32が挿通される挿通孔35が形成されている。サポート材34の中央部には、挿通孔35を囲むように、挿通孔35よりも小径の複数の孔39が形成されている。
【0039】
サポート材34には、表面に少なくとも1つの通水孔36が形成されている。本実施形態では、図5(a)に示すように、間にリブ37を挟む態様で、サポート材34に6つの円形の通水孔36が形成されている。なお、通水孔36の形状は円形に限られず、四角形や、楕円形、円弧形等であってもよい。また、通水孔36は6つに限られず、1つ以上であればよい。通水孔36を複数形成する場合には、各通水孔36は、リブ37を介してサポート材34の周方向に等間隔に形成されることが好ましい。
【0040】
スペーサ材40−1,40−2は、ハウジング12内に設置された設置状態で、隣り合うカートリッジフィルタ20−1,20−2の間のスペースを確保するものであり、サポート材34の両面から突出するように一対設けられる。各スペーサ材40−1,40−2は、連結管32を囲む筒状に形成され、本実施形態では図6に示すように、円筒状に形成され、中央部に、連結管32が挿通される挿通孔42を有している。スペーサ材40の外径は、カートリッジフィルタ20の外径よりも小さく形成されている。図1及び図2に示すように、本実施形態では、スペーサ材40をサポート材34に取付けた状態で、スペーサ材40の径方向外側に、サポート材34の通水孔36が位置するように、サポート材34の通水孔36の位置とスペーサ材40の外径とが設定されている。スペーサ材40の厚さ、即ち、軸方向の長さは、サポート材34の板厚よりも大きく形成されている。
【0041】
図1図2及び図5図6に示すように、サポート材34と各スペーサ材40−1,40−2とは、サポート材34の孔39と、各スペーサ材40−1,40−2の孔44とにボルト等の固定部材42を挿入して、互いに結合される。連結管32と、サポート材34及び各スペーサ材40−1,40−2とは、接合面に塗布された図示しない接着剤等により、互いに結合することができる。
【0042】
連結管32、サポート材34及び一対のスペーサ材40−1,40−2が結合された連結部材30Aは、連結管32の一端部を一方のカートリッジフィルタ20−1の集水管22内に挿入し、連結管32の他端部を他方のカートリッジフィルタ20−2の集水管22内に挿入することで、2つのカートリッジフィルタ20−1,20−2を直列状に連結する。このように、複数のカートリッジフィルタ20を直列配置することにより、1つのカートリッジフィルタ20の軸方向長さを小さくして、交換作業を効率的に進めることができる。また、異なる対象物を吸着可能なカートリッジフィルタ20を組み合わせて使用することも可能である。
【0043】
処理装置10を構成するハウジング12、カートリッジフィルタ20、支持部材44及び連結部材30Aや、これらの構成部材などのサイズは、特に限定されないが、作業者が交換作業を効率的に進めるために、人が持ち運びすることができるサイズとすることが好ましい。例えば、ハウジング12の軸方向長さは、約400〜800mm、直径は、約100〜300mmとすることができる。カートリッジフィルタ20のサイズは、ハウジング12の大きさに応じて適宜決定される。また、カートリッジフィルタ20の重量は、使用後に水分を含んだ状態で、人が持ち運びできる重量とすることが好ましく、例えば、水分を含まない使用前の状態で20kg以下、水分を含んだ状態で20kgを超える重量となるように設定することができる。
【0044】
次に、図7及び図8を用いて、処理装置10における、連結構造30を用いたカートリッジフィルタの取付け方法の一例を説明する。
【0045】
まず、ハウジング12の一方の開口端部から、ハウジング12内に第1のカートリッジフィルタ20−1を導入する。ハウジング12の他方の端部は、端部プレート14Bで覆われている。第1のカートリッジフィルタ20−1は、軸方向の両端部を一対の支持部材44−1,44−2により下方から支持された状態で、ハウジング12内に導入される。第1のカートリッジフィルタ20−1の中心軸は、支持部材44−1,44−2によって支持されることで、ハウジング12の中心軸とほぼ一致する。
【0046】
その後、図7に示すように、ハウジング12内に、連結部材30Aを導入し、連結部材30Aの連結管32の一方の端部を第1のカートリッジフィルタ20−1の集水管22に挿入する。さらに、連結部材30Aをハウジング12内に押し込んで、一方のスペーサ材40−2を第1のカートリッジフィルタ20のエンドキャップ26に当接させる。
【0047】
連結部材30Aを導入した後、図8に示すように、ハウジング12内に第2のカートリッジフィルタ20−2を導入し、連結部材30Aの他方の端部を第2のカートリッジフィルタ20−2の集水管22内に挿入する。第2のカートリッジフィルタ20−2は、一対の支持部材44により、両端部を下方から支持された状態で導入される。
【0048】
第2のカートリッジフィルタ20−2のエンドキャップ26が、連結部材30Aの一方のスペーサ部材40−1に当接した状態で、第2のカートリッジフィルタ20−2をハウジング12内に押し込むことにより、第1のカートリッジフィルタ20−1、連結部材30A及び第2のカートリッジフィルタ20−2が、一体となって、ハウジング12の端部プレート14B側まで押し込まれる。この押し込み作業により、端部プレート14Bに取付けられた排水管18−1が第1のカートリッジフィルタ20−1の集水管22に挿入され、端部プレート14Bの端部スペーサ材19−2に第1のカートリッジフィルタ20−1のエンドキャップ26が当接する。その後、ハウジング12の開口端部に、端部プレート14Aを取付けることで、ハウジング12内に2つのカートリッジフィルタ20−1,20−2が取付けられた状態となる。
【0049】
このように、本実施形態の処理装置10におけるカートリッジフィルタ20−1,20−2は、連結部材30の連結管32の両端部を各カートリッジフィルタ20−1,20−2の集水管22内に挿入する簡易な手順で、ハウジング12内に取付けることができる。
【0050】
次に、上述した処理装置10における被処理水の処理方法について説明する。まず、図1の矢印Aの方向の一方の給水管16−1から、ハウジング12内に被処理水を供給する。この際、矢印B方向の他方の給水管16−2からの被処理水の供給は行われていない状態である。供給された被処理水はカートリッジフィルタ20−1,20−2を通って集水管22内部に流入する。被処理水に含まれるホウ素は、カートリッジフィルタ20−1,20−2を通過する際にフィルタ部24のグルカミン基と結合することによって捕捉される。集水管22内部に流入した処理水は、一方の排水管18に向かって矢印A’の方向に流れ、ハウジング12の外部へ流出する。
【0051】
上記の処理を所定時間行った後、今度は図1の矢印Bの方向の他方の給水管16−2からハウジング12内に被処理水を供給する。この際、もう一方の給水管16−2からの被処理水の供給は行われていない状態である。供給された被処理水はカートリッジフィルタ20−1,20−2を通って集水管22内部に流入する。カートリッジフィルタ20−1,20−2を通過する際に被処理水に含まれるホウ素がフィルタ部24によって捕捉される。集水管22内部に流入した処理水は、他方の排水管18−2に向かって矢印B’の方向に流れ、ハウジング12の外部へ流出する。
【0052】
なお、上記実施例に代えて、ハウジング12の中心部にある排水管18−1,18−2をハウジング12内に被処理水を供給するための給水管とし、ハウジング12の外周側にある給水管16−1,16−2をハウジング12の外部へ処理水を排出するための排出管とすることができる。
【0053】
上述した被処理水の処理装置10では、カートリッジフィルタ20−1,20−2が自重によって下方へ向かう重力を受けるとともに、被処理水を処理する際に、被処理水の浮力の影響を受ける。本実施形態の処理装置10では、ハウジング12内に直列配置されたカートリッジ2つのカートリッジフィルタ20−1,20−2の間に、サポート材34を有する連結構造30を用いることで、重力や浮力の影響を受けても、連結管32の中心軸をハウジング12の中心軸位置に安定して保持することができる。具体的には、サポート材34の直径が、ハウジング12の内径とほぼ等しく形成されているので、サポート材12の円中心は、ハウジング12中心軸位置と一致するようになる。これにより、連結管32の中心軸は、ハウジング12の中心軸位置と一致するように安定保持され、この連結管32に接続された各カートリッジフィルタ20−1,20−2の中心軸も、ハウジング12の中心軸と一致する位置で安定した状態で保持される。その結果、各カートリッジフィルタ20−1,20−2が、自重や、ハウジング12内を流れる被処理水による浮力の影響を受けたとしても、中心軸をハウジング12の中心軸に一致させることができる。
【0054】
また、各カートリッジフィルタ20−1,20−2は、端部スペーサ材19−1,19−2及び連結部材30Aのスペーサ材40−1,40−2により、両端から軸方向内側に押圧・保持されているので、ハウジング12内の各カートリッジフィルタ20−1,20−2の安定性がより向上する。
【0055】
また、連結構造30を構成しているサポート材34には通水孔36が形成されているので、被処理水は、この通水孔36を通ってハウジング12内を流れることができ、被処理水の流れが堰き止められることもない。本実施形態では、サポート材34を円盤状ではなく、欠落部38を有する円弧盤状としているので、被処理水がより流れやすくなっている。
【0056】
また、本実施形態の連結構造30では、サポート材34の両側に設けられたスペーサ材40−1,40−2により、各カートリッジフィルタ20−1,20−2の間にスペースを設けることで、被処理水を一方のカートリッジフィルタ20側から、他方のカートリッジフィルタ20側へ流れやすくすることができる。さらに、各カートリッジフィルタ20を支持する支持部材44に溝46を設けているので、被処理水はこの溝46を通って流れることも可能である。
【0057】
また、使用済みのカートリッジフィルタ20を交換する際に、カートリッジフィルタ20が支持部材44によって支持されることで、カートリッジフィルタ20の変形や破損を防止することができる。具体的には、カートリッジフィルタ20の交換のためにハウジング12内の水抜きをすると、湿潤状態にあるカートリッジフィルタ20は重量が大きいため、支持部材44がない場合には、カートリッジフィルタ20に連結されている排水管18や連通管32にも荷重がかかり、これによってカートリッジフィルタ20が変形・破損し、カートリッジフィルタ20の再生利用ができなくなる虞がある。本実施形態では、支持部材44により、高重量のカートリッジフィルタ20を下方側から支持することで、カートリッジフィルタ20の変形・破損を防止することができる。
【0058】
なお、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0059】
例えば、上述した実施形態では、イオン吸着用のカートリッジフィルタを用いているが、本発明のカートリッジフィルタ連結構造は、被処理水中の微粒子を捕集するろ過機能を有するカートリッジフィルタの連結に適用することも可能である。
【符号の説明】
【0060】
10 被処理水の処理装置
12 ハウジング
20−1,20−2 カートリッジフィルタ
30 連結構造(カートリッジフィルタ連結構造)
30A 連結部材
32 連結管
34 サポート材
40−1,40−2 スペーサ材
44 支持部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8