【解決手段】駆動ローラと、前記駆動ローラに対向して配置された筒状の従動ローラを備える用紙搬送装置において、前記駆動ローラに当接し、連れ回り回転する当接位置と、前記駆動ローラから所定の隙間を開けて退避する退避位置との間を選択的に移動可能に構成される第二の従動ローラを備えた。
前記第二の従動ローラは、前記第二の従動ローラの両端を、それぞれの端部支持体により、軸受部材を介して回転自在に支持するとともに、前記端部支持体に、前記第二の従動ローラの回転中心から偏心して位置する前記支持軸を貫通させて固定し、前記支持軸の両端部分を、支持フレームに回動可能に支持してなる、ことを特徴とする請求項1に記載の用紙搬送装置。
前記第一の従動ローラは、前記支持軸の外周面と前記第一の従動ローラの内周面との間に配置され、前記支持軸に対して前記第一の従動ローラを回転自在に支持する軸受部材とを有する、ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の用紙搬送装置。
前記支持軸に第二の駆動源を連結し、前記第二の駆動源により前記支持軸を所定の角度に回動させることにより、前記第二の従動ローラを当接位置と退避位置に選択的に移動させる制御手段を備える、ことを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか一つに記載の用紙搬送装置。
請求項1乃至請求項4の何れか一つに記載の用紙搬送装置を有し、平面状の用紙を、用紙搬送面に沿って搬送しながら折り曲げ加工する紙折り装置において、前記紙折り装置は、少なくとも、搬送される用紙の所定箇所に糊を塗布する糊塗布部と、搬送される用紙の所定箇所を折り曲げ加工する紙折り部とをさらに備え、用紙搬送時において、前記第二の従動ローラが、糊が塗布された用紙上の糊塗布箇所に直接干渉する場合は、前記第二の従動ローラを前記退避位置に移動させる制御手段を備える、ことを特徴とする紙折り装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記特許文献1に開示される構成にて、用紙を一方向のみに搬送しながら、前記糊塗布部で糊塗布した後、前記搬送ローラ対で前記紙折り部に用紙を導入し、封筒のボトムフラップだけを折り返して圧着した封筒を成果物とする場合は、前記構成で足りるが、一部のユーザーからは、前記成果物をさらに逆方向に搬送して、前記搬送ローラ対のニップ部にて前記封筒のトップフラップも折り返したいとの要望がある。この場合、前記搬送ローラ対に着目すると、前記搬送ローラ対の上ローラの幅方向長さが不足する為、同じ構成では均一に折り返すことができない。
【0005】
本発明の目的は、前記ユーザーからの要望に適応できると共に、小型で簡易且つ安価に構成でき、封筒を製作する製袋機に好適な用紙搬送装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、請求項1記載の発明は、第一の駆動源に連結され回転する駆動ローラと、前記駆動ローラに対向して配置された筒状の従動ローラを備える用紙搬送装置において、前記従動ローラの中空内部を貫通する支持軸を有し、前記支持軸の同軸上に、前記駆動ローラに常時当接し、連れ回り回転する第一の従動ローラと、前記支持軸を所定角度に回動させることにより、前記駆動ローラに当接し、連れ回り回転する当接位置と、前記駆動ローラから所定の隙間を開けて退避する退避位置との間を選択的に移動可能に構成される第二の従動ローラとを配設する、ことを特徴とするものである。
【0007】
請求項2記載の発明は、請求項1に記載の用紙搬送装置において、前記第二の従動ローラは、前記第二の従動ローラの両端を、それぞれの端部支持体により、軸受部材を介して回転自在に支持するとともに、前記端部支持体に、前記第二の従動ローラの回転中心から偏心して位置する前記支持軸を貫通させて固定し、前記支持軸の両端部分を、支持フレームに回動可能に支持してなる、ことを特徴とするものである。
【0008】
請求項3記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の用紙搬送装置において、前記第一の従動ローラは、前記支持軸の外周面と前記第一の従動ローラの内周面との間に配置され、前記支持軸に対して前記第一の従動ローラを回転自在に支持する軸受部材とを有する、ことを特徴とするものである。
【0009】
請求項4記載の発明は、請求項1乃至請求項3の何れか一つに記載の用紙搬送装置において、前記支持軸に第二の駆動源を連結し、前記第二の駆動源により前記支持軸を所定の角度に回動させることにより、前記第二の従動ローラを当接位置と退避位置に選択的に移動させる制御手段を備える、ことを特徴とするものである。
【0010】
請求項5記載の発明は、請求項1乃至請求項4の何れか一つに記載の用紙搬送装置を有し、平面状の用紙を、用紙搬送面に沿って搬送しながら折り曲げ加工する紙折り装置において、前記紙折り装置は、少なくとも、搬送される用紙の所定箇所に糊を塗布する糊塗布部と、搬送される用紙の所定箇所を折り曲げ加工する紙折り部とをさらに備え、用紙搬送時において、前記第二の従動ローラが、糊が塗布された用紙上の糊塗布箇所に直接干渉する場合は、前記第二の従動ローラを前記退避位置に移動させる制御手段を備える、ことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0011】
請求項1記載の発明によれば、支持軸を所定角度に回動させることにより、第二の従動ローラを駆動ローラに対して、退避位置と当接位置に容易に変更可能である。前記第二の従動ローラを退避位置に設定することにより、第二の従動ローラと駆動ローラ間に所定の隙間が形成され、搬送する用紙上面が第二の従動ローラに接触することはなく、第一の従動ローラと駆動ローラ間の搬送力だけで用紙を搬送させることができる。したがって、搬送する用紙上面に糊塗布箇所等、第二の従動ローラに干渉されたくない箇所が存在する場合は、容易に回避することができる。又、搬送する用紙上面に、第二の従動ローラに干渉されたくない箇所が存在しない場合は、第二の従動ローラを当接位置に設定することにより、第一の従動ローラと駆動ローラ間のニップ部、及び第二の従動ローラと駆動ローラ間のニップ部の双方で、用紙を広範囲にニップ(圧接)しながら用紙を搬送することができる。
【0012】
請求項2記載の発明によれば、簡易且つ安価な構成で、第二の従動ローラを退避位置と当接位置に容易に変更可能である。その結果、装置全体を小型とすることができる。
【0013】
請求項3記載の発明によれば、第一の従動ローラは、前記第二の従動ローラにおける退避位置と当接位置の動きに影響されることなく、第二の従動ローラの支持軸の同軸上で、駆動ローラに常時当接し、連れ回り回転させることができる。
【0014】
請求項4記載の発明によれば、支持軸に第二の駆動源を連結し、前記第二の駆動源により前記支持軸を所定の角度に回動させることにより、前記第二の従動ローラを自動的に当接位置と退避位置に位置変更が可能である為、操作者にとって便利である。
【0015】
請求項5記載の発明によれば、請求項1乃至請求項4の何れか一つに記載の用紙搬送装置を有する紙折り装置において、前記紙折り装置は、少なくとも、糊塗布部と紙折り部とをさらに備え、用紙搬送時において、前記第二の従動ローラが、糊が塗布された用紙上の糊塗布箇所に直接干渉する場合は、前記第二の従動ローラは前記退避位置に移動する。
したがって、搬送する用紙上面の糊塗布箇所が前記第二の従動ローラに干渉されないように容易に回避することができる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1は、本発明の紙折り装置(第2折り部6)を採用した一実施形態の製袋機10を示している。
図1は、製袋機10の全体構成図である。製袋機10は、搬送方向上流側から順に、給紙部1、第1クリース加工部2、第2クリース加工部4、第1折り部3、糊塗布部5、第2折り部6、及び排紙部7を、装置本体10Aに備えている。
【0018】
一般的形態の「洋式封筒」は、横長の長方形を有しており且つ封じ口が長辺に形成されている。製袋機10にて洋式封筒を製作する際には、例えば、
図4に示されるように、用紙100の後方面部102の両側の折り返した片部103に糊を塗布し、前方面部101を折り返して片部103に圧着させている。
【0019】
具体的には、製袋機10は、
図2(a)に示されている平面状の用紙100を、F方向に搬送しながら
図2(b)及び
図2(c)に示されるように加工することによって、洋式封筒90を製作するようになっている。
【0020】
用紙100は、前方面部101(ボトムフラップ)と、後方面部102と、後方面部102の両側に張り出した糊代用片部103と、最後方面部104と、からなっている。用紙100は、
図2(b)に示されるように、後方面部102と片部103との境界線である第1折り目111で、折り加工され、更に、
図2(c)に示されるように、前方面部101と後方面部102との境界線である第2折り目112で、折り加工されるようになっている。第1折り目111で折り返された片部103の表面には、糊が塗布される。そして、第2折り目112で折り返された前方面部101は、その両縁部が片部103に接合される。なお、第1折り目111は、搬送方向に沿っている。第2折り目112は、搬送方向に対して直交した方向(すなわち幅方向)に沿っている。
【0021】
成果物としては、
図2(c)の洋式封筒90でもよいが、
図2(c)に示される洋式封筒90を、F´方向に搬送しながら
図3(a)から
図3(b)に示されるように加工することによって、最後方面部104(トップフラップ)が、後方面部102と最後方面部104との境界線である第3折り目113で、更に折り加工されるように構成してもよい。前記構成によれば、封筒に内容物を挿入した後、テープや糊を用いて封をする際、折り癖がついている為、最後方面部104を折り返した前方面部101にきれいに封緘することができる。
【0022】
[給紙部1]
給紙部1は、エア吸引ベルト式のエア給紙ユニット12と、用紙積載量に応じて上昇、下降するエレベータ式の給紙トレイ11と、エア給紙ユニット12により送り出された用紙をさらに搬送方向下流側に搬送する搬送ローラ81と、を有している。又、前記エア給紙ユニット12には、給紙トレイ11上に積載される用紙の最上面の用紙がエア給紙ユニット12の下面に吸着されたことを検出するセンサ22と、給紙トレイ11上に積載される用紙の最上面の上限位置を検出するセンサ21が配置されている。
【0023】
なお、製袋機10では、搬送ローラ81の他に、6つの搬送ローラ対82、84、85、86、87、88を備えている。6つの搬送ローラ対は、用紙100が搬送される搬送面200を構成しており、搬送面200は、エア給紙ユニット12から搬送ローラ対88に至るまで、同一平面である。又、前記用紙が搬送される搬送面200上には、各位置における用紙の通過を検出(重送を検出)するセンサ23、センサ24、センサ25、センサ26、センサ27、センサ28が配置されている。各センサは、例えば、光学式の透過センサを用いる。
【0024】
[第1クリース加工部2]
第1クリース加工部2は、
図1に示すように、上部が凸状の上型と、下部が凹状の下型で構成され、用紙100の第2折り目112、第3折り目113として、用紙搬送方向と直角方向に横クリースを形成するようになっている。クリース加工部2としては、公知の機構を採用できる。尚、第1クリース加工部2は、上部が凹状の上型と、下部が凸状の下型で構成されるようにしてもよい。
[第2クリース加工部4]
第2クリース加工部4は、
図1に示すように、クリース刃83が丸刃状で外周部に凸部が形成された上刃と、丸刃状で外周部に凹部が形成された下刃で構成され、搬送方向と直角方向の幅方向2箇所に設置され、用紙100の第1折り目111(2箇所)に用紙搬送方向に沿って縦クリースを形成するようになっている。第1クリース加工部4としては、公知の機構を採用できる。
【0025】
[第1折り部3]
第1折り部3は、用紙搬送方向と直角方向の幅方向両側に対向して配置された1対の折り装置3a、3bからなっている。各折り装置3a、3bは、搬送方向に沿った回転軸31の回りを回動するフラップ板32を有しており、
図17(a)のように、幅方向外側に位置している状態のフラップ板32上に載せられた用紙100の片部103を、
図17(b)のように、フラップ板32を回動させることによって、後方面部102の表面に合わせるように、内側に折り返すことができる。
【0026】
[糊塗布部5]
糊塗布部5は、幅方向両側に対向して配置された1対の塗布装置5a、5bからなっている。なお、塗布装置5aと塗布装置5bとは、左右対称の構成を有している。
【0027】
塗布装置5a、5bは、ノズル部と、位置設定機構と、上下駆動機構と、を有している(不図示)。ノズル部は、搬送される用紙に所定のタイミングで糊を塗布できるようになっている。
【0028】
[第2折り部6]
図1に示すように、第2折り部6は、平面状の用紙100を、搬送面200に沿って搬送しながら折り曲げ加工する紙折り装置であって、用紙搬送方向上流側に配置された第一の搬送ローラ対86と、用紙搬送方向下流側に配置された第二の搬送ローラ対87と、両ローラ対の間に設置された切替ゲート板63と、切替ゲート板63の上方に配置された折り板62と、を備えている。
【0029】
図13に示すように、前記用紙搬送装置としての第一の搬送ローラ対86は、第一の駆動源(不図示)に連結され回転する駆動ローラ862と、駆動ローラ862に対向して配置された筒状の従動ローラ861を備える。さらに、従動ローラ861は、従動ローラ861の中空内部を貫通する支持軸72の同軸上に、駆動ローラ862に常時当接し、連れ回り回転する第一の従動ローラ8612と、支持軸72を所定角度に回動させることにより、駆動ローラ862に当接し、連れ回り回転する当接位置と、駆動ローラ862から所定の隙間を開けて退避する退避位置との間を選択的に移動可能に構成される第二の従動ローラ8611、8613を配設している。
【0030】
尚、本実施例では、支持軸72の同軸上に、第一の従動ローラ8612と、第一の従動ローラ8612の両側に第二の従動ローラ8611、8613をそれぞれ配設し、又、駆動ローラ862はそれらを共用できる長さを有しており、第二の従動ローラ8611と第二の従動ローラ8613の両ローラが駆動ローラ862に対して当接位置と退避位置との間を同位相にて移動するように構成されている。
【0031】
尚、
図14は、第二の従動ローラ8611、8613が駆動ローラ862に当接し、連れ回り回転する当接位置に配設されている状態を示している断面図であり、
図13は、第二の従動ローラ8611、8613が駆動ローラ862から所定の隙間を開けて退避する退避位置に配設されている状態を示している断面図である。
【0032】
図15は、第二の従動ローラ8613の構造を示す断面図である。具体的には、第二の従動ローラ8613は、アルミ等の金属材料でできた中空ローラ76であって、その表面層はゴムその他の弾性材料層で構成される。第二の従動ローラ8613の両端を、それぞれの端部支持体73により、軸受部材74を介して回転自在に支持するとともに、端部支持体73に、第二の従動ローラ8613の回転中心から偏心して位置する支持軸72を貫通させてネジ78、79を用いて一体的に固定している。尚、ネジ78の長さは、組立時を考慮してネジ79より短いものが使用され、組付け後、中空ローラ76の内部に収まるような長さに設定されている。
【0033】
支持軸72の両端部分は、軸受91を介して、支持フレーム75に回動可能に支持されている。前記軸受91は、支持フレーム75に形成された長穴(不図示)に支持されると共に、スプリング92で駆動ローラ側に加圧されている。尚、第二の従動ローラ8611については、第二の従動ローラ8613と同様の構成である為、ここでは説明を省略する。
【0034】
尚、前述の第二の従動ローラ8611、8613の当接位置と退避位置への移動は、操作者が支持軸72に取付けられた調整ダイヤルをマニュアルで回動させるように構成しても良いが、さらに好ましくは、支持軸72にギヤモータ等の第二の駆動源70を連結し、第二の駆動源70により支持軸72を所定の角度に回動させることにより、第二の従動ローラ8611、8613を当接位置と退避位置に選択的に、自動的に移動させる制御手段を備えるように構成してもよい。そうすることにより、操作者にとって便利である。
【0035】
図16は、第一の従動ローラ8612の構造を示す断面図であり、具体的には第一の従動ローラ8612は、アルミ等の金属材料でできた中空ローラであって、その表面層はゴムその他の弾性材料層で構成される。第一の従動ローラ8612は、支持軸72の外周面と第一の従動ローラ8612の内周面との間に配設され、支持軸72に対して第一の従動ローラ8612を回転自在に支持する軸受部材77とを有する。尚、第一の従動ローラ8612は、支持軸72に対して直接固定されておらず、同軸上の両側に配設され、支持軸72に対してそれぞれネジ78、79を用いて固定された第二の従動ローラ8611、8613により軸方向の移動を阻止している。
【0036】
以上の構成によれば、支持軸72を所定角度に回動させることにより、第二の従動ローラ8611、8613を駆動ローラ862に対して、退避位置と当接位置に容易に変更可能である。第二の従動ローラ8611、8613を退避位置に設定することにより、第二の従動ローラ8611、8613と駆動ローラ862間に所定の隙間が形成され、搬送する用紙上面が第二の従動ローラ8611、8613に接触することはなく、第一の従動ローラ8612と駆動ローラ862間の搬送力だけで用紙を搬送させることができる。したがって、搬送する用紙上面に糊塗布箇所等、第二の従動ローラ8611、8613に干渉されたくない箇所が存在する場合は、容易に回避することができる。又、第二の従動ローラ8611、8613を当接位置に設定することにより、第一の従動ローラ8612と駆動ローラ862間のニップ部、及び第二の従動ローラ8611、8613と駆動ローラ862間のニップ部の双方で、糊塗布箇所上に折り返された用紙を広範囲に均一に圧着することができる。
【0037】
前述のように、本発明においては、第二の従動ローラ8611、8613が退避して用紙の糊塗布箇所等を回避する構成及び、第二の従動ローラ8611、8613が当接してニップ部で圧接する構成が、一つの用紙搬送装置(紙折り装置)で実現できる。したがって、簡易且つ安価に構成でき、その結果、装置全体を小型とすることができる。
【0038】
[加圧部8]
加圧部8は、上下動可能な上型8aと、不動の下型8bで構成され、第2折り部6にて折り曲げ加工された用紙100の折り部に対して、上型、下型により挟み込むことによって、さらに圧力を加えて、折り部を強固なものとする。
【0039】
[排紙部7]
排紙部7は、搬送ローラ対88と排紙トレイ71とを有している。搬送ローラ対88は、排出ローラとして作動するように設けられている。具体的には、搬送ローラ対88は、
図1に示されるように、第2折り部6の第二搬送ローラ対87の近傍且つ搬送方向下流に、配置されている。排紙トレイ71は、搬送面200よりも下方の位置から斜め上方に向けて且つ搬送方向下流に向けて、傾斜している。
【0040】
次に、前記構成の製袋機10の作動について説明する。
【0041】
まず、
図2に示されている用紙100を給紙トレイ11上に載置する。このとき、前方面部101は搬送方向下流側に位置している。そして、スイッチ(図示せず)をオンして、作動を開始する。
【0042】
(1)給紙トレイ11上の最上面の用紙100は、エア給紙ユニット12におけるエア吸引ベルトに吸着されながら搬送ローラ対81に向けて送り出され、搬送ローラ対81に用紙100が受け渡された後、搬送ローラ対81により、さらに搬送方向下流側に搬送される。その後、第1クリース加工部2を通過する。その際、第1クリース加工部2が作動して、用紙100の第2折り目112、第3折り目113にクリースが形成される。これにより、前方面部101は、後方面部102側へ折り返しやすくなる。又、最後方面部104は、折り返された前方面部101側へ折り返しやすくなる。
【0043】
(2)第1クリース加工部2から搬送ローラ82により搬送されて来た用紙100は、第2クリース加工部4を通過する。このとき、用紙100の第1折り目111(幅方向左右2箇所)は、搬送方向と直角方向の幅方向2箇所に設置された第2クリース加工部4のクリース刃83(丸刃)の直下にそれぞれ位置している。そして、第2クリース加工部4が作動して、第1折り目111にクリースが形成される。これにより、片部103(幅方向左右2箇所)は、内側へ折り返しやすくなる。
【0044】
(3)第2クリース加工部4によりクリースが形成された用紙100は、第1折り部3において停止する。このとき、第1折り部3の両折り装置3a、3bのフラップ板32は、用紙100の幅方向外側に位置しており、用紙100の両側の片部103は、フラップ板32上に載っている(
図17(a))。尚、
図17において用紙100は、図面上、手前から奥側に向かって搬送される。次いで、フラップ板32が内側の下ガイド板33向けて回動し、これにより、片部103がクリース加工済の第1折り目111にて内側へ折り返されて後方面部102の表面に合わされる(
図17(b))。その後、フラップ板32は、外側の下ガイド板33から離れる方向に回動する。そして、搬送ローラ対85によって、片部103が折り返された用紙100が搬送方向下流へ搬送される。外側に回動したフラップ板32は、次の用紙100が来るまで、その状態に維持される。なお、フラップ板32が内側に回動した状態で、片部103が折り返された用紙100が搬送方向下流へ搬送され、次の用紙100が搬送されて来る前に、フラップ板32が外側へ回動するように作動してもよい。
【0045】
(4)片部103が折り返された用紙100は、搬送ローラ対85によって搬送方向下流へ搬送され、糊塗布部5を通過する。糊塗布部5においては、用紙100の折り返された両側の片部103の通過が開始する時に、搬送方向と直角方向の幅方向2箇所に設置されたノズル部5a、5bが下方に移動して、片部103の表面に当接し、片部103の通過が終了する時に、ノズル部5a、5bが上方へ移動して、片部103の表面からノズル部5a、5bが離れる。これにより、折り返された片部103の表面に糊が塗布される。なお、折り返された片部103は、ノズル部5a、5bの搬送方向上流に位置している搬送ローラ対85によって、押圧された状態で、又は、押圧された後に、ノズル部5a、5bを通過する。よって、ノズル部5a、5bによる糊塗布作業を、安定して行うことができる。
【0046】
(第2折り部6における用紙の加工)
第2折り部6は、平面状の用紙100を、搬送面200に沿って搬送しながら折り曲げ加工する紙折り装置であって、用紙搬送方向上流側に配置された第一の搬送ローラ対86と、用紙搬送方向下流側に配置された第二の搬送ローラ対87と、両ローラ対の間の用紙搬送面200に設置された切替ゲート板63と、切替ゲート板63に対向して配置された折り板62と、装置全体の作動を制御する制御手段(不図示)を備えており、
【0047】
切替ゲート板63は、搬送される用紙100に干渉して、用紙搬送方向を用紙搬送面200から外に曲げ、用紙100の先端部を前記第二の搬送ローラ対87の一方のローラ表面に向けて案内する第一の案内位置と、前記第二の搬送ローラ対87のニップ部873に向けて用紙搬送面200に沿って案内する第二の案内位置との間で切り替え可能となっており、
【0048】
折り板62は、略水平状態のまま、切替ゲート板63に向けて移動可能に構成され、第二の案内位置に配置する前記切替ゲート板63に近接する折りたたみ位置と、切替ゲート板63から所定の間隔を置いて退避する退避位置との間で切り替え可能となっており、
【0049】
前記制御手段は、前記第一の案内位置に配置された前記切替ゲート板63によって、搬送される用紙100の先端部を、前記第二の搬送ローラ対87の一方のローラ表面に向けて所定量だけ通過するように案内した後、切替ゲート板63を前記第二の案内位置に切り替え、その後、切替ゲート板63上の用紙100を挟み込むように、退避位置に配置されている折り板62を略水平状態で折りたたみ位置に下降させることによって、用紙100の先端部を第二の搬送ローラ対87の一方のローラ表面に沿って折り返すように制御するようになっている。
【0050】
具体的には、一実施例として、以下(5−1)から(5−8)に示すように、順次加工する。
【0051】
(5−1)片部103に糊が塗布された用紙100は、搬送ローラ対85によって第2折り部6へ(F方向に)搬送される。このとき、切替ゲート板63は、第一の案内位置として第二の搬送ローラ対87に向けて上向きに設定されている。それ故、
図5に示すように、用紙100は、切替ゲート板63によって用紙100の先端部を第二の搬送ローラ対87の上ローラ871の上方表面を通過するように上向きに案内され、用紙100の第2折り目112の位置が折り位置(折り板62の端部621の直下の位置)に到達した時に搬送を一旦停止する。尚、この間、折り板62は待避位置を維持する。
【0052】
尚、搬送ローラ対85によって、片部103に糊が塗布された用紙100が、第2折り部6へ搬送される際には、支持軸72を所定角度に回動させて、第二の従動ローラ8611、8613が、糊が塗布された用紙上の糊塗布箇所に干渉しないように、前記第二の従動ローラ8611、8613は退避位置に移動させる。このとき、
図18に示すように、糊が塗布された片部103の位置は、退避位置に移動した第二の従動ローラ8611、8613の位置にそれぞれ、対応している。
又、第一の従動ローラ8612は、第二の従動ローラ8611、8613の動きに影響されることなく、支持軸72の同軸上で、駆動ローラ862に常時当接し、連れ回り回転させることができる。したがって、搬送する用紙上面の糊塗布箇所が前記第二の従動ローラに干渉されないように容易に回避することができ、前記用紙100の糊が塗布されていない範囲をニップして、切替ゲート板63に向けて移送することができる。
【0053】
(5−2)次に、
図6に示すように、折り板62は待避位置を維持したまま、切替ゲート板63を第二の案内位置(略水平位置)に移動する。
【0054】
(5−3)次に、
図7に示すように、切替ゲート板63上の用紙100を挟み込むように、前記退避位置に配置されている折り板62を略水平状態で折りたたみ位置に下降させることによって、用紙100の前方面部101を前記第二の搬送ローラ対87の上側ローラ871表面に沿って第2折り目112から折り返す。この時、切替ゲート板63と下降後の折り板62が近接する距離は、少なくとも、折り板62と前記切替ゲート板63との間を、前記用紙が搬送できるだけの隙間が確保されるように構成する。例えば、約1mmの隙間が確保される。
【0055】
以上によれば、紙折り機構として、用紙挿入空間(分流経路)及び、ストッパを設ける必要がない為、構造の複雑化を招くことなく、簡易で安価に構成できる。又、制御手段により、種々の折り仕様に合わせて折り位置を自動的に調整する為、操作性の良い紙折り装置を提供することができる。さらに、折り返された片部にしわができるのを防止すると共に、折り加工する場合においても、ストッパ等の折り機構内部に糊が付着して成果物の品質に悪影響を及ぼすことがない。
【0056】
(5−4)次に、
図8に示すように、折り板62の下降により前記用紙100の前方面部101(ボトムフラップ)を折り返した後、さらに、第一の搬送ローラ対86により、用紙の先端部を折り返した後の用紙先端折り返し部105を、第二の搬送ローラ対87のニップ部873に向けて搬送し、第二の搬送ローラ対87のニップ部873で用紙の先端折り返し部105を挟み込んでF方向に搬送することにより、用紙先端折り返し部105を押圧して折り込む。そして、前方面部101全体が折り返されて後方面部102の表面に合わされていき、その際、前方面部101の両縁部が片部103に接合される。これにより、洋式封筒90が得られる。尚、F方向への搬送は、用紙100の最後方面部104が所定量だけ第一の搬送ローラ対86のニップ部863を抜けるまで搬送する。このとき、用紙100は、折り板62と切替ゲート板63との隙間を通して(両板にガイドされながら)搬送される。これによれば、皺等が発生することなく確実に、次段の第二搬送ローラ対87のニップ部873による押圧加工部に受け渡すことができる。
【0057】
以上によれば、折り板の下降により用紙の先端部を折り返した後、折り返した後の用紙先端折り返し部を、第二の搬送ローラ対87のニップ部873で押圧して折り込むように制御する為、用紙に確実に折り癖を付けることができる。
【0058】
成果物としては、この洋式封筒90でもよいが、洋式封筒90を、F´方向に逆搬送しながら折り曲げ加工することによって、最後方面部104(トップフラップ)が、後方面部102と最後方面部104との境界線である第3折り目113で、更に折り加工されるように構成してもよい。前記構成によれば、封筒に内容物を挿入した後、操作者がテープや糊を用いて封をする際、折り癖がついている為、最後方面部104を、折り返した前方面部101にきれいに封緘することができる。前記後方面部104を折りたたむ加工方法について以下に続けて説明する。
【0059】
(5−5)切替ゲート板63は、さらに、第三の案内位置として、前記第一の搬送ローラ対86に向けて上向き、に切り替え可能となっており、又、前記第一の搬送ローラ対86及び前記第二の搬送ローラ対87は正転、逆転可能に構成されている。
【0060】
前述のように、第二の搬送ローラ対87が前記用紙100の先端折り返し部105を、第二の搬送ローラ対87のニップ部873で押圧後、
図9に示すように、折り板62を退避位置に退避させると共に、前記切替ゲート板63を第三の案内位置として、第一の搬送ローラ対86に向けて上向きに切り替え、その後、第二の搬送ローラ対87を逆回転し、前記用紙100をF´方向に下流側から上流側に逆方向に搬送することにより、前記用紙の最後方面部104を、前記第一の搬送ローラ対86の上ローラ861の上方表面を所定量だけ通過するように上向きに案内され、用紙100の第3折り目113の位置が折り位置(折り板62の端部622の直下の位置)に到達した時に、搬送を一旦停止する。尚、この間、折り板62は待避位置を維持する。
【0061】
(5−6)次に、
図10に示すように、折り板62は待避位置を維持したまま、切替ゲート板63を第二の案内位置(略水平位置)に移動する。
【0062】
(5−7)次に、
図11(a)に示すように、切替ゲート板63上の用紙100を挟み込むように、前記退避位置に配置されている折り板62を略水平状態で折りたたみ位置に下降させることによって、用紙100の最後方面部104を前記第二の搬送ローラ対86の上側ローラ861の表面に沿って第3折り目113から折り返す。この時、切替ゲート板63と下降後の折り板62が近接する距離は、少なくとも、前記折り板と前記切替ゲート板との間を、前記用紙が搬送できるだけの隙間が確保されるように構成する。例えば、約2mmの隙間が確保される。
【0063】
図11(b)は、
図11(a)における用紙100の折りたたみ状態を模式的に示した図である。用紙100の前方面部101は、第2折り目112から後方面部102上に折りたたまれ、又、最後方面部104は、第3折り目113から折り返されている。
【0064】
以上によれば、同一の折り機構上で、用紙の搬送方向における前端部(前方面部101)及び、後端部(最後方面部104)の二箇所を折り返すことができる為、作業効率が良い。又、省スペース且つ安価に構成できる。
【0065】
(5−8)次に、
図12(a)に示すように、折り板62の下降により用紙100の最後方面部104を折り返した後、さらに、第二の搬送ローラ対87により、用紙の後端部を折り返した後の用紙後端折り返し部106を、第一の搬送ローラ対86のニップ部863に向けて搬送し、第一の搬送ローラ対86のニップ部863で用紙の先端折り返し部106を挟み込んでF´方向に所定量だけ搬送することにより、用紙先端折り返し部106を押圧して折り込む。
【0066】
このとき、支持軸72を所定角度に回動させて、第二の従動ローラ8611、8613は駆動ローラ862に当接し、連れ回り回転する当接位置に移動させる。(第一の従動ローラ8612は駆動ローラ862に常に当接し、連れ回り回転する。)したがって、第一の従動ローラ8612と駆動ローラ間862のニップ部、及び第二の従動ローラ8611、8613と駆動ローラ862間のニップ部の双方で、折り返された最後方面部104(トップフラップ)を広範囲(少なくとも封筒幅の範囲)に均一に圧接することができる。
【0067】
そして、最後方面部104全体が折り返されて後方面部102の表面に合わされていき、その後、できあがった成果物としての洋封筒90を第2折り部6の下流部に設置された加圧部8に向けてF方向に搬送する。
【0068】
図12(b)は、
図12(a)における用紙100の折りたたみ状態を模式的に示した図である。用紙100の前方面部101は、第2折り目112から後方面部102上に折りたたまれ、又、最後方面部104は、第3折り目113から折り返され、後方面部102上に折りたたまれた前方面部101上に、さらに重ねて折りたたまれている。
【0069】
以上によれば、折り板62の下降により用紙100の搬送方向における前端部及び、後端部を折り返した後、第二の搬送ローラ対87及び、第一の搬送ローラ対86のニップ部で押圧して折り込むように制御する為、用紙に確実に折り癖(折り目)を付けることができる。
【0070】
又、第一の搬送ローラ対86の用紙搬送方向上流側に、クリース加工部2を備えており、前記クリース加工部2は、前記平面状の用紙100を折り曲げ加工する際の折り目(第2折り目112、第3折り目113)に、予め、クリースを形成して折り起点を作るようになっている為、きれいに精度よく折ることができる。又、用紙の折り曲げ加工時に発生する印刷割れを抑制することができる。
【0071】
(6)次に、第2折り部6から加圧部8に搬送された洋封筒90は、折り部105、106が加圧部8の上型8aと下型8bの間で、順次、挟み込まれ加圧される。したがって、折り部105、106が強固なものとなる。加圧後の洋封筒90は搬送ローラ対88により、排紙部7に向けて搬送され、排紙トレイ71上に排紙される。
【0072】
本発明においては、一実施形態として、封筒を製作する製袋機の紙折り装置に好適な用紙搬送装置として説明したが、単なる用紙搬送装置として、種々の機械に適用可能であり、又、前記実施の形態に限定されるものではなく、種々変更を加えて実施することが可能である。