【解決手段】気体封入方法は、袋50を間欠的に移送して気体吹込処理位置P1に配置する工程と、気体吹込処理位置P1において、袋50のうち気体収容部54に連通する気体案内路56に吹込ノズル11を挿入する工程と、気体吹込処理位置P1において、一対の挟み込み部材15によって、気体案内路56に位置している吹込ノズル11を袋50の外側から挟む工程と、気体吹込処理位置P1において、吹込ノズル11が袋50を介して一対の挟み込み部材15により挟まれている状態で、吹込ノズル11から気体を噴出し、気体収容部54に気体を送り込む工程と、気体吹込処理位置P1において、吹込ノズル11が気体案内路56に位置している状態で気体案内路56を気密に閉鎖する工程とを含む。
前記袋のうち前記気体案内路を形成するフィルム部材の移動を規制部材によって制限しつつ、前記気体案内路に前記吹込ノズルを挿入する請求項1に記載の気体封入方法。
前記閉鎖デバイスが前記気体収容部を気密に閉鎖するように前記閉鎖デバイスを前記袋に接触させる気密閉鎖位置と、前記閉鎖デバイスが前記気体収容部を気密に閉鎖しないように前記閉鎖デバイスを前記袋から離間させる閉鎖退避位置とに、前記閉鎖デバイスを移動させる閉鎖移動機構を備える請求項3又は4に記載の気体封入装置。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1は、前段処理位置P0に配置されている袋50の一例を示す平面図である。
図2は、気体吹込処理位置P1に配置されている袋50の一例を示す平面図である。
図3〜
図11は、気体吹込処理位置P1に配置されている袋50及び気体封入装置10の概略構成を例示し、気体封入方法の一例を説明する図である。
図1及び
図2では、紙面の手前側は実際の気体封入装置10及び袋50の上側に対応し、紙面の奥側は実際の気体封入装置10及び袋50の下側に対応し、紙面に平行な方向は実際の気体封入装置10及び袋50の水平方向に対応する。
図3〜
図11では、紙面の左側は実際の気体封入装置10及び袋50の上側に対応し、紙面の右側は実際の気体封入装置10及び袋50の下側に対応し、紙面の上下方向や紙面に垂直な方向は実際の気体封入装置10及び袋50の水平方向に対応する。
【0017】
本説明において、特にことわりがない限り、水平方向は重力が作用する鉛直方向と直角を成す方向を意味し、上下方向は水平方向と直角を成す方向を意味する。
【0018】
[袋]
袋50は、本体部51と、本体部51から突出している突出部52とを備える。図示の袋50において、本体部51は全体として概ね上下方向に延在し、突出部52は全体として概ね水平方向に延在する。
【0019】
本体部51は、お互いに向かい合うように配置されている表側フィルム部材57及び裏側フィルム部材58と、スパウト61とを有する。スパウト61は、袋移送機構25の一部を構成する袋保持部24によって保持される。図示のスパウト61は水平方向に延びる円環状の鍔61aを有し、当該鍔61aが袋保持部24に対して水平方向に挿入されることによって、袋50は袋保持部24により吊り下げ保持される。そして袋50は、袋移送機構25によって袋保持部24とともに移動される。本実施形態の袋移送機構25は、袋50を間欠的に移送し、前段処理位置P0(
図1参照)及び気体吹込処理位置P1(
図2参照)を含む複数の処理位置に袋50を順次配置する。
【0020】
突出部52は、上側に位置する表側フィルム部材57と、下側に位置する裏側フィルム部材58とを有し、表側フィルム部材57及び裏側フィルム部材58はお互いに向かい合うように配置されている。図示の突出部52では、単一の表側フィルム部材57及び単一の裏側フィルム部材58が、お互いに向かい合うように配置され、お互いに両側縁部において接合されている。本実施形態では、突出部52のうち外部側の先端部の少なくとも一部において、表側フィルム部材57及び裏側フィルム部材58のうちの一方が他方よりも突出している。図示の例では、突出部52を形成する裏側フィルム部材58の外部側の先端部のうち、両側縁部(すなわちエッジシール部62)以外の部分が四角形状に切り欠かれており、当該切り欠かれた部分が切欠部65を構成する。したがって表側フィルム部材57は、切欠部65に対応する箇所において、裏側フィルム部材58よりも突出している。
【0021】
袋50の本体部51及び突出部52において、お互いに向かい合うように配置されている表側フィルム部材57及び裏側フィルム部材58はお互いに縁部において接合され、接合された縁部によりエッジシール部62が構成されている。ただし、突出部52のうちの外部側縁部の少なくとも一部では、表側フィルム部材57及び裏側フィルム部材58がお互いに接合されず、気体案内路56の開閉自在な開口部68(
図4参照)が形成されている。エッジシール部62を形成するための接合方法は限定されない。表側フィルム部材57及び裏側フィルム部材58は、例えば接着剤等の他の部材を介して接合されてもよいし、熱圧着等によって直接的に接合されてもよい。
【0022】
本体部51は、内容物を収容するための内容物収容部53と、気体を収容するための気体収容部54の少なくとも一部と、外部及び内容物収容部53に連通する内容物案内路55とを有する。突出部52は、外部及び気体収容部54に連通する気体案内路56を有する。内容物収容部53、気体収容部54及び気体案内路56は、表側フィルム部材57と裏側フィルム部材58との間の空間によって形成される。内容物案内路55は、スパウト61が有する貫通孔によって形成される。
【0023】
図示の袋50において、内容物収容部53は、気体収容部54により外側から覆われている。
図7〜
図11に示すように、本体部51のうち内容物収容部53及び気体収容部54が重なり合って形成される部分では、表側フィルム部材57はインナー表側フィルム部材57a及びアウター表側フィルム部材57bを有し、裏側フィルム部材58はインナー裏側フィルム部材58a及びアウター裏側フィルム部材58bを有する。インナー表側フィルム部材57a及びインナー裏側フィルム部材58aは、お互いに向かい合うように配置され、お互いに縁部において接合されている。アウター表側フィルム部材57b及びアウター裏側フィルム部材58bは、インナー表側フィルム部材57a及びインナー裏側フィルム部材58aの外側において、お互いに向かい合うように配置され、お互いに縁部において接合されている。インナー表側フィルム部材57aは、アウター表側フィルム部材57bに接合されていてもよいし、接合されていなくてもよい。インナー裏側フィルム部材58aは、アウター裏側フィルム部材58bに接合されていてもよいし、接合されていなくてもよい。
【0024】
内容物収容部53は、インナー表側フィルム部材57a及びインナー裏側フィルム部材58aによって区画される。インナー表側フィルム部材57a及びインナー裏側フィルム部材58aはスパウト61に対して気密に接合しており、スパウト61の貫通孔(すなわち内容物案内路55)が内容物収容部53に連通する。一方、気体収容部54の一部は、インナー表側フィルム部材57a、アウター表側フィルム部材57b、インナー裏側フィルム部材58a及びアウター裏側フィルム部材58bにより区画されており、インナー表側フィルム部材57a及びインナー裏側フィルム部材58aを介して内容物収容部53に隣り合うように配置されている。アウター表側フィルム部材57b及びアウター裏側フィルム部材58bは、突出部52の裏側フィルム部材58につながっている。気体収容部54は、気体案内路56には連通するが、内容物収容部53には連通しない。
【0025】
[気体封入装置]
気体封入装置10は、気体吹込処理位置P1(
図2参照)に位置づけられている上述の袋50の気体収容部54に気体を封入する。
【0026】
本実施形態の気体封入装置10は、吹込ノズル11、ノズル移動機構12、一対の挟み込み部材15、挟み込み移動機構16及び閉鎖デバイス20を備える。
【0027】
吹込ノズル11は気体を噴出する。すなわち吹込ノズル11は、ノズル先端部11aと、ノズル先端部11aに形成されるノズル噴出口11bと、ノズル噴出口11bに連通するノズルエアー通路11cとを有する。吹込ノズル11に供給された気体は、ノズルエアー通路11cを介してノズル噴出口11bに送られ、ノズル噴出口11bから噴出される。吹込ノズル11から噴出される気体は限定されず、例えば空気、不活性ガス(窒素等)、二酸化炭素、或いはその他の気体が吹込ノズル11から噴出される。吹込ノズル11は、気体封入装置10が作動している間、気体を噴出し続けてもよいし、吹込ノズル11の配置位置及び/又は他の条件に応じて吹込ノズル11からの気体の噴出のオン/オフが切り替えられてもよい。また吹込ノズル11から噴出される気体の圧力は、基本的に一定であってもよいし、変えられてもよい。本実施形態では、吹込ノズル11から噴出される気体の圧力は、相対的に高い圧力である第1調整気圧と、相対的に低い圧力である第2調整気圧とに切り替え可能である。
【0028】
本実施形態のノズル先端部11aは、扁平形状を有する。すなわちノズル先端部11aは、上下方向サイズ(
図2の紙面に垂直な方向のサイズ)よりも大きな幅方向サイズ(
図2の左右方向サイズ)を有する。ノズル先端部11aは袋50の気体案内路56に挿入可能な形状及びサイズを有しており、ノズル先端部11aの幅方向サイズは気体案内路56の幅方向サイズよりも小さい。ノズル先端部11aが扁平形状を有することによって、後述のようにノズル先端部11aが気体案内路56に位置している状態で気体を噴出させる際(
図7参照)、袋50とノズル先端部11aとの間に形成される隙間を小さくすることができ、気体の吹き込み効率を高く維持することができる。
【0029】
ノズル移動機構12は吹込ノズル11を移動させる。ノズル移動機構12の具体的な構成は限定されない。例えば、電気駆動装置(例えばソレノイドやモータ)を具備するアクチュエータ、圧力装置(例えばエアーシリンダなどの動力シリンダ)を具備するアクチュエータ、或いは他のデバイスによってノズル移動機構12を構成可能である。本実施形態のノズル移動機構12は、吹込ノズル11をノズル退避位置Pn1及びノズル吹込位置Pn2に位置づけることができる。ノズル退避位置Pn1は、気体吹込処理位置P1に位置づけられている袋50の気体案内路56の内側に、吹込ノズル11が配置されないような位置である(
図2参照)。ノズル吹込位置Pn2は、気体吹込処理位置P1に位置づけられている袋50の気体案内路56の内側に、吹込ノズル11が配置されるような位置である(
図5参照)。
【0030】
各挟み込み部材15は移動可能に設けられている。挟み込み部材15間には、気体吹込処理位置P1に配置される袋50の突出部52(気体案内路56を含む)が位置づけられる。図示の2つの挟み込み部材15は、上下方向へ対称的に移動し、ノズル吹込位置Pn2に配置される吹込ノズル11のノズル先端部11aからお互いに等距離に配置される。図示の各挟み込み部材15は、袋50の突出部52の幅方向サイズ(すなわち
図2の左右方向サイズ)よりも大きい。
【0031】
一対の挟み込み部材15は、後述のように袋50の外側から吹込ノズル11を挟んで支持することによって(
図6及び
図7参照)、吹込ノズル11から噴出される気体を効率的に気体収容部54に導く働きを有する。そのため、一対の挟み込み部材15が袋50の外側から吹込ノズル11を挟んで支持している状態で、各挟み込み部材15と吹込ノズル11との間の隙間は小さい方が好ましい。したがって各挟み込み部材15の支持面の形状は、吹込ノズル11(特に各挟み込み部材15によって直接的に支持される部分)の表面形状に適合することが好ましい。ただし、各挟み込み部材15の支持面の形状は、吹込ノズル11の表面形状と必ずしも一致していなくてもよく、一対の挟み込み部材15が袋50の外側から吹込ノズル11を挟んで支持している状態で、各挟み込み部材15と吹込ノズル11との間に隙間が存在していてもよい。
【0032】
挟み込み移動機構16は各挟み込み部材15を移動させる。挟み込み移動機構16の具体的な構成は限定されず、任意のアクチュエータや他のデバイスによって挟み込み移動機構16を構成可能である。本実施形態の挟み込み移動機構16は、2つの挟み込み部材15を対称的に上下方向に移動させて、各挟み込み部材15を挟み込み退避位置Pc1及び挟み込み支持位置Pc2の各々に位置づける。挟み込み退避位置Pc1に配置されている一対の挟み込み部材15は、気体案内路56に位置している吹込ノズル11を袋50の外側から支持しない(
図5参照)。一方、挟み込み支持位置Pc2に配置されている一対の挟み込み部材15は、気体案内路56に位置している吹込ノズル11を袋50の外側から挟んで支持する(
図6〜
図8参照)。
【0033】
閉鎖デバイス20は、気体収容部54を気密に閉鎖する。本実施形態の閉鎖デバイス20は、上下方向に移動可能に設けられた2つのシーリング部材により構成されている。これらの2つのシーリング部材は、表側フィルム部材57及び裏側フィルム部材58を挟んで密着させた状態で、表側フィルム部材57及び裏側フィルム部材58をお互いに対して溶着させる。これにより、密着箇所(
図11に示す「接合部S」参照)において表側フィルム部材57及び裏側フィルム部材58を気密に接合し、気体収容部54と気体案内路56との間の連通を遮断する。閉鎖デバイス20のシーリング方式は限定されず、例えば超音波シール方式やヒートシール方式を閉鎖デバイス20は採用可能である。
【0034】
閉鎖移動機構21は閉鎖デバイス20(すなわち2つのシーリング部材)を移動させる。閉鎖移動機構21の具体的な構成は限定されず、任意のアクチュエータや他のデバイスによって閉鎖移動機構21を構成可能である。本実施形態の閉鎖移動機構21は、2つのシーリング部材を対称的に上下方向に移動させて、各シーリング部材を閉鎖退避位置Ph1及び気密閉鎖位置Ph2の各々に位置づける。閉鎖退避位置Ph1に配置されている一対のシーリング部材は、気体収容部54を気密に閉鎖しないように袋50から離間して、突出部52の表側フィルム部材57及び裏側フィルム部材58を密着させない(
図7参照)。一方、気密閉鎖位置Ph2に配置されている一対のシーリング部材は、気体収容部54を気密に閉鎖するように袋50の突出部52に接触して、突出部52の表側フィルム部材57及び裏側フィルム部材58を密着させて気密に接合する。(
図8参照)。
【0035】
本実施形態の気体封入装置10は、更に、規制部材28及び開口デバイス29(
図4参照)を備える。
【0036】
規制部材28は、袋50のうち気体案内路56を形成するフィルム部材の移動を制限する。本実施形態の規制部材28は、突出部52の表側フィルム部材57に対して上方向から向かい合う位置に設けられており、表側フィルム部材57の上方向への移動を制限する。図示の規制部材28は2つの固定部材により構成されている。これらの固定部材は、
図2に示すように、幅方向に離間した位置に固定的に設けられており、突出部52の両サイドのエッジシール部62には接触しうるが、表側フィルム部材57のうち気体案内路56を区画する箇所の少なくとも一部とは接触しない。
【0037】
なお規制部材28は、移動可能に設けられていてもよい。この場合、規制部材28は、袋50のうち気体案内路56を形成するフィルム部材の移動を制限する制限位置(例えば
図3に示される規制部材28の位置)と、当該フィルム部材の移動を制限しない退避位置(図示省略)とに配置しうる。後述の気体封入方法において、袋50のうち気体案内路56を形成するフィルム部材の移動を制限することが求められている工程においてのみ規制部材28が制限位置に配置され、他の工程では規制部材28が退避位置に配置されてもよい。
【0038】
開口デバイス29は、袋50の気体案内路56の開口部68を開いた状態にして、開口部68の開状態を維持する。
図4に示す開口デバイス29は、突出部52の裏側フィルム部材58を吸引保持可能な吸盤を具備する。開口デバイス29は、気体吹込処理位置P1に位置づけられている袋50の突出部52の裏側フィルム部材58を吸盤によって吸引保持しつつ、当該吸盤をチルト動作させることにより、気体案内路56の開口部68を開く。開口デバイス29は、吸盤の吸引のオン及びオフを切り替えることができ、吸盤の吸引をオフにすることで裏側フィルム部材58から吸盤を離すことができる。
【0039】
[気体封入方法]
次に、上述の袋50の気体収容部54に気体を封入する気体封入方法の一例について説明する。
【0040】
袋移送機構25は処理対象の袋50を間欠的に移送して気体吹込処理位置P1に配置する。すなわち処理対象の袋50は、袋保持部24により保持された状態で、袋移送機構25によって前段処理位置P0(
図1参照)から気体吹込処理位置P1(
図2参照)に移動させられる。袋移送機構25は、一度に1つの袋50のみを移送してもよいし、一度に複数の袋50を移送してもよい。例えば、袋移送機構25は、水平方向に等間隔に並べられた複数の袋保持部24を具備し、これらの袋保持部24に保持されている複数の袋50が複数の処理位置に間欠的に移動し、各袋50はそれぞれの処理位置において処理を受けてもよい。
【0041】
袋50が気体吹込処理位置P1に位置づけられている状態で、吹込ノズル11は、
図3に示す第1ノズル退避位置Pn1−aに位置づけられる。これによりノズル先端部11aは、袋50(特に突出部52)とは基本的に接触しない位置であって、切欠部65を介して表側フィルム部材57と向かう位置に配置される。
【0042】
そして吹込ノズル11は、第1ノズル退避位置Pn1−aから移動させられ、
図4に示す第2ノズル退避位置Pn1−bに位置づけられる。これにより吹込ノズル11(特にノズル先端部11a)は、表側フィルム部材57(特に切欠部65と向かい合う部分)に接触しつつ、表側フィルム部材57(特にノズル先端部11aと接触している部分)を裏側フィルム部材58から離れる方向(本例では上方向)に移動させる。この際、表側フィルム部材57は規制部材28により移動が制限される。その一方で、裏側フィルム部材58は開口デバイス29によって保持され、表側フィルム部材57から離れる方向(本例では下方向)に裏側フィルム部材58(特に開口デバイス29によって保持されている部分)が移動させられる。
【0043】
この際、突出部52に対する規制部材28及び開口デバイス29の配置位置は限定されない。気体案内路56への吹込ノズル11のスムーズな挿入を可能にする観点からは、規制部材28及び開口デバイス29は、突出部52のうち開口部68の近傍の部分を支持(すなわち接触)するように設置されることが好ましい。図示の開口デバイス29は、裏側フィルム部材58のうち規制部材28と向かい合う部分であって、突出部52の裏側フィルム部材58の外部側先端部分を保持する。
【0044】
本実施形態の吹込ノズル11は、
図4に示す状態において気体を噴出し、開口部68に当該気体を吹き付けて、開口部68の開口を促すことができる。このように本実施形態では、吹込ノズル11、規制部材28及び開口デバイス29が一体的にそれぞれの機能を発揮することによって、気体案内路56の開口部68が適切に開かれる。
【0045】
そして吹込ノズル11は、第2ノズル退避位置Pn1−bから水平方向に移動させられて、
図5に示すノズル吹込位置Pn2に位置づけられる。これにより、吹込ノズル11の先端側の部分(ノズル先端部11aを含む)が気体案内路56に挿入され、ノズル先端部11aは、挟み込み退避位置Pc1に配置されている挟み込み部材15間に位置づけられる。特に本実施形態では、気体案内路56の開口部68が開口デバイス29(
図4参照)により開かれている状態で、気体案内路56を形成するフィルム部材(すなわち表側フィルム部材57)の移動が規制部材28によって制限されつつ、開口部68を介して気体案内路56に吹込ノズル11が挿入される。これにより、気体吹込処理位置P1において、吹込ノズル11は、スムーズ且つ確実に気体案内路56に挿入される。
【0046】
なお開口デバイス29による裏側フィルム部材58の吸引保持は、吹込ノズル11の一部が気体案内路56に進入した後に解放される。例えば、吹込ノズル11がノズル吹込位置Pn2に向かって移動している間、或いは、吹込ノズル11がノズル吹込位置Pn2に位置づけられた後に、開口デバイス29の吸盤は裏側フィルム部材58の保持を解放して退避位置(図示省略)に位置づけられてもよい。
【0047】
また本実施形態では、少なくとも第2ノズル退避位置Pn1−b(
図4参照)からノズル吹込位置Pn2(
図5参照)に移動する間、一時的に又は全体を通して、吹込ノズル11から気体が噴出される。これにより、気体案内路56を形成する表側フィルム部材57及び裏側フィルム部材58の分離が促され、気体案内路56において吹込ノズル11のための進行スペースを確保することができる。この場合に吹込ノズル11から噴出される気体の圧力は、気体収容部54に気体を充填するための後述の工程(
図7参照)において吹込ノズル11から噴出される気体の圧力よりも小さい。このように低圧(すなわち第2調整気圧)の気体を吹込ノズル11から噴出させることによって、表側フィルム部材57及び裏側フィルム部材58の過度のばたつきを抑えつつ、吹込ノズル11を気体案内路56に適切に挿入することができる。
【0048】
なお吹込ノズル11から気体を噴出させつつ気体案内路56の開口部68に吹込ノズル11を近づけることによって、開口部68の開放を促すことができる。吹込ノズル11から噴出される気体のみによって、吹込ノズル11が十分に進入可能な程度に開口部68を開くことができる場合には、開口デバイス29が省略されてもよい。
【0049】
そして、吹込ノズル11がノズル吹込位置Pn2に位置づけられている状態で、各挟み込み部材15は挟み込み退避位置Pc1から移動させられて、
図6に示す挟み込み支持位置Pc2に位置づけられる。これにより、気体吹込処理位置P1において、気体案内路56に位置している吹込ノズル11は、袋50(特に突出部52)の外側から、一対の挟み込み部材15により挟まれて支持される。その結果、袋50(すなわち表側フィルム部材57及び裏側フィルム部材58)と吹込ノズル11(特にノズル先端部11a)との間のスペースが小さくなり、当該スペースを介した気体のリークを抑えることができる。また吹込ノズル11(特にノズル先端部11a)と袋50との間の位置ずれを防ぐことができる。
【0050】
そして、気体吹込処理位置P1において、吹込ノズル11が袋50を介して一対の挟み込み部材15により挟まれて支持されている状態で、吹込ノズル11から気体が噴出され、気体収容部54に気体が送り込まれる。これにより気体収容部54は
図7に示すように膨らむ。この際、吹込ノズル11から噴出される気体は高圧(すなわち第1調整気圧)を有する。
【0051】
そして、気体吹込処理位置P1において、吹込ノズル11が気体案内路56に位置しつつ気体が気体収容部54において十分な圧力を有するように充填されている状態で、
図8に示すように気体収容部54が閉鎖デバイス20によって閉鎖される。図示の例では、閉鎖デバイス20の2つのシーリング部材が、本体部51及び突出部52の両方に跨がって表側フィルム部材57及び裏側フィルム部材58を気密に接合する。このように袋50の本体部51及び突出部52の両方に接合部S(
図11参照)を形成することによって、後の工程で突出部52が本体部51から切り離されたとしても、気体収容部54に気体を封入した状態を適切に維持することができる。
【0052】
気体収容部54に気体を適切に充填する観点からは、少なくとも閉鎖デバイス20が気体案内路56の閉鎖を完了する前までは、吹込ノズル11からの気体の噴出を継続することが好ましい。閉鎖デバイス20が気体案内路56の閉鎖を完了した後、吹込ノズル11からの気体の噴出は、継続されてもよいし、止められてもよい。
【0053】
その後、挟み込み部材15が挟み込み退避位置Pc1に移動させられ(
図9参照)、吹込ノズル11がノズル退避位置Pn1に移動させられ(
図10及び
図11参照)、閉鎖デバイス20が閉鎖退避位置Ph1に移動させられる(
図11参照)。
【0054】
このようにして気体収容部54に気体が封入された袋50は、袋移送機構25によって、後段に送られてもよいし、気体吹込処理位置P1において他の処理(例えば内容物収容部53に内容物を導入する処理)が行われてもよい。
【0056】
次に、吹込ノズル11に気体を供給する気体供給回路の一例について説明する。
【0057】
図12は、吹込ノズル11に気体を供給する気体供給回路の一例を示す回路図である。
【0058】
本実施形態の気体供給回路は、吹込ノズル11に気体を供給する気体配管80と、圧縮気体を気体配管80に供給する気体供給源71と、気体配管80を流れる気体の圧力を調整する圧力調整デバイス76とを有する。
【0059】
気体配管80は、気体供給源71に接続される上流気体配管80aと、吹込ノズル11に接続される下流気体配管80dと、上流気体配管80a及び下流気体配管80dの各々に対して並列に接続される第1分岐気体配管80b及び第2分岐気体配管80cとを含む。
【0060】
図12に示す圧力調整デバイス76は、第1分岐気体配管80bに取り付けられる第1圧力レギュレータ72及び第1開閉弁デバイス74と、第2分岐気体配管80cに取り付けられる第2圧力レギュレータ73及び第2開閉弁デバイス75とを有する。
【0061】
第1圧力レギュレータ72は、第1分岐気体配管80bを流れる気体の圧力を、環境圧(例えば大気圧)よりも高い第1調整気圧に調整する。第2圧力レギュレータ73は、第2分岐気体配管80cを流れる気体の圧力を、環境圧よりも高く且つ第1調整気圧よりも低い第2調整気圧に調整する。第1開閉弁デバイス74は、第1分岐気体配管80bの流路を開閉する。第2開閉弁デバイス75は、第2分岐気体配管80cの流路を開閉する。気体配管80の流路を開閉することによって吹込ノズル11への気体の供給を調整する供給調整デバイスが、第1開閉弁デバイス74及び第2開閉弁デバイス75の組み合わせに基づき構成されている。
【0062】
気体供給源71は、環境圧、第1調整気圧及び第2調整気圧よりも高い圧力を有する圧縮気体を、上流気体配管80aに送り出す。気体供給源71から上流気体配管80aに送り出された高圧の気体は、第1圧力レギュレータ72及び第2圧力レギュレータ73のそれぞれにおいて第1調整気圧及び第2調整気圧に調整された後、下流に向けて流される。第1圧力レギュレータ72及び第2圧力レギュレータ73は、供給される気体の圧力を所望圧に調整可能な任意の構成を有することができる。本例の第1圧力レギュレータ72及び第2圧力レギュレータ73は、供給される気体の圧力を所望圧まで低下させる機器で構成されている。ただし気体供給源71から上流気体配管80aに送り出される気体の圧力が、第1調整気圧及び第2調整気圧よりも低い場合、第1圧力レギュレータ72及び第2圧力レギュレータ73は、供給される気体の圧力を所望圧まで上昇させる機器で構成されていてもよい。
【0063】
第1開閉弁デバイス74及び第2開閉弁デバイス75は噴出圧制御装置70に電気的に接続されている。第1開閉弁デバイス74及び第2開閉弁デバイス75は、それぞれ噴出圧制御装置70の制御下で、第1分岐気体配管80b及び第2分岐気体配管80cの流路の開閉を行う。
【0064】
吹込ノズル11から噴出させる気体の圧力を上述の第1調整気圧に調整する場合、噴出圧制御装置70は、第1開閉弁デバイス74を開状態にし、第2開閉弁デバイス75を閉状態にする。これにより、基本的に第2分岐気体配管80cから下流気体配管80dに気体が積極的に送られることはなく、第1圧力レギュレータ72により圧力調整された後の気体が、第1分岐気体配管80bから下流気体配管80dに流れ込んで、吹込ノズル11に供給される。
【0065】
一方、吹込ノズル11から噴出させる気体の圧力を上述の第2調整気圧に調整する場合、噴出圧制御装置70は、第1開閉弁デバイス74を閉状態にし、第2開閉弁デバイス75を開状態にする。これにより、基本的に第1分岐気体配管80bから下流気体配管80dに気体が積極的に送られることはなく、第2圧力レギュレータ73により圧力調整された後の気体が、第2分岐気体配管80cから下流気体配管80dに流れ込んで、吹込ノズル11に供給される。
【0066】
以上説明したように本実施形態の気体封入装置10及び気体封入方法によれば、吹込ノズル11は、気体案内路56にスムーズ且つ高精度に配置され、当該気体案内路56において高圧の気体を噴出することができる。これにより、気体収容部54に対して高圧の気体を確実且つ迅速に充填することができ、気体案内路56を気密に閉鎖することによって高圧の気体を気体収容部54に封入することができる。
【0067】
また本実施形態の袋50は、気体収容部54に気体を封入する処理に適した構造を有しており、上述の気体封入装置10及び気体封入方法によって迅速且つ確実に気体収容部54に所望圧の気体を封入することができる。
【0068】
[第1変形例]
図13は、袋50の第1変形例の概略構成を示す図である。
図13において、気体封入装置10を構成する要素の一部(例えば吹込ノズル11等)の図示が省略されている。
【0069】
袋50が有する切欠部65の形状は、上述の四角形状(
図1及び
図2参照)には限定されず、任意の形状を有しうる。
図13に示す切欠部65は、長方形及び半円が組み合わされた形状を有する。
【0070】
吹込ノズル11(特にノズル先端部11a(少なくとも先端側部分を含む一部))は、切欠部65を通過可能な形状及びサイズを有することが好ましい。上述のように、気体案内路56に吹込ノズル11を挿入するのに先立って開口部68を開くために、吹込ノズル11は、表側フィルム部材57を裏側フィルム部材58から遠ざけるように表側フィルム部材57を押すことが好ましい(
図3及び
図4参照)。そのために、吹込ノズル11は、切欠部65を通過し、表側フィルム部材57のうち切欠部65から露出する部分を押すように移動することで、表側フィルム部材57を裏側フィルム部材58から遠ざけることができる。
【0071】
なお開口デバイス29(
図4参照)は、切欠部65を覆わないように、裏側フィルム部材58を保持してもよいし、切欠部65を覆いつつ裏側フィルム部材58を保持してもよい。ただし、開口デバイス29が負圧を利用して裏側フィルム部材58を保持する場合、開口デバイス29(例えば上述の吸盤)は、切欠部65を覆わないように裏側フィルム部材58を保持することが好ましい。
【0072】
[他の変形例]
本発明は、上述の実施形態及び変形例には限定されない。例えば、上述の実施形態及び変形例の各要素に各種の変形が加えられてもよい。また上述の実施形態及び変形例の構成が、全体的に又は部分的に組み合わせられてもよい。
【0073】
例えば、上述の実施形態では、吹込ノズル11が切欠部65を介して第1ノズル退避位置Pn1−a(
図3参照)から第2ノズル退避位置Pn1−b(
図4参照)に移動することで、気体収容部54の開口部68の開放が促されている。吹込ノズル11から噴出される気体のみによって開口部68を十分に開放することが可能な場合、袋50は切欠部65を持たなくてもよい。
【0074】
吹込ノズル11から噴出される気体の圧力の強さは、上述の実施形態では2段階(すなわち第1調整気圧及び第2調整気圧)で切り替えられるが、3段階以上で切り替えられてもよいし、1段階のみであってもよい。
【0075】
上述の実施形態では、気体収容部54が袋50の本体部51にのみ設けられているが、気体収容部54は、本体部51及び突出部52の両方において設けられていてもよい。この場合、閉鎖デバイス20は、突出部52のうち本体部51から離れた位置において、表側フィルム部材57及び裏側フィルム部材58を気密に接合し、気体収容部54と気体案内路56との間の連通を遮断してもよい。
【0076】
袋50において、内容物収容部53及び気体収容部54の相対的な配置関係は限定されない。例えば、上述の特許文献1の自立パウチのように、内容物収容部53は気体収容部54の外側に位置していてもよい。内容物収容部53が気体収容部54の内側に位置していない場合にも、上述の気体封入方法及び気体封入装置10を用いて気体収容部54に所望圧の気体を迅速に封入することが可能である。このように上述の気体封入方法及び気体封入装置10は、様々な形態の内容物収容部53及び気体収容部54を備える袋50に対し、幅広く応用することが可能である。