特開2021-187466(P2021-187466A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2021-187466(P2021-187466A)
(43)【公開日】2021年12月13日
(54)【発明の名称】プラスチック容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 1/02 20060101AFI20211115BHJP
   B32B 5/32 20060101ALI20211115BHJP
   B32B 1/02 20060101ALI20211115BHJP
   B29C 49/04 20060101ALI20211115BHJP
   B29C 49/22 20060101ALI20211115BHJP
【FI】
   B65D1/02 110
   B65D1/02BRQ
   B32B5/32ZBP
   B32B1/02
   B29C49/04
   B29C49/22
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2020-92389(P2020-92389)
(22)【出願日】2020年5月27日
(71)【出願人】
【識別番号】000104674
【氏名又は名称】キョーラク株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK特許業務法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【弁理士】
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】青木 達郎
【テーマコード(参考)】
3E033
4F100
4F208
【Fターム(参考)】
3E033AA20
3E033BA13
3E033BA30
3E033BB08
3E033CA20
3E033DA03
3E033DB01
3E033FA03
3E033GA02
4F100AK41A
4F100AK41B
4F100BA02
4F100BA07
4F100BA10A
4F100DA01A
4F100DJ01A
4F100DJ01B
4F100EH202
4F100GB16
4F100GB23
4F100JC00B
4F208AA24
4F208AG03
4F208AG07
4F208AG20
4F208AH55
4F208LA01
4F208LB01
4F208LB22
4F208LG04
4F208LG06
4F208LG11
4F208LG26
(57)【要約】
【課題】外観及び生分解速度に優れたプラスチック容器を提供する。
【解決手段】本発明によれば、ダイレクトブロー成形によって形成されたプラスチック容器であって、前記容器は、前記容器の最外層と、前記最外層よりも前記容器の内側に設けられた発泡層を備え、前記最外層及び前記発泡層は、生分解性樹脂で構成され、前記最外層の発泡倍率は、前記発泡層の発泡倍率よりも低い、容器が提供される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ダイレクトブロー成形によって形成されたプラスチック容器であって、
前記容器は、前記容器の最外層と、前記最外層よりも前記容器の内側に設けられた発泡層を備え、
前記最外層及び前記発泡層は、生分解性樹脂で構成され、
前記最外層の発泡倍率は、前記発泡層の発泡倍率よりも低い、容器。
【請求項2】
請求項1に記載の容器であって、
前記発泡層は、前記容器の最内層である、容器。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の容器であって、
前記容器は、前記発泡層よりも前記容器の内側に設けられた最内層を備え、
前記最内層は、生分解性樹脂で構成され、
前記最内層の発泡倍率は、前記発泡層の発泡倍率よりも低い、容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラスチック容器に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、マヨネーズ等の内容物を収容可能なプラスチック容器が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016−190654号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のようなプラスチック容器は、土壌中での分解速度が極めて遅いので、土壌中に廃棄されると半永久的に残ってしまう。そこで、生分解性樹脂を用いてプラスチック容器を作製することが考えられるが、生分解性樹脂であっても生分解速度はそれほど速くはないので、生分解速度を向上させることが望まれている。
【0005】
生分解速度を向上させる手段としては、プラスチック容器を発泡樹脂で構成することが考えられる。発泡樹脂は、表面積が大きいので、生分解速度が向上することが期待される。
【0006】
しかし、発泡樹脂でプラスチック容器を形成すると、廃棄前にも生分解がある程度進んでしまうため、プラスチック容器の外観が悪化してしまうという問題が生じる場合がある。
【0007】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、外観及び生分解速度に優れたプラスチック容器を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によれば、ダイレクトブロー成形によって形成されたプラスチック容器であって、前記容器は、前記容器の最外層と、前記最外層よりも前記容器の内側に設けられた発泡層を備え、前記最外層及び前記発泡層は、生分解性樹脂で構成され、前記最外層の発泡倍率は、前記発泡層の発泡倍率よりも低い、容器が提供される。
【0009】
本発明のプラスチック容器は、生分解性樹脂で構成された発泡層を備えるために生分解速度が高められ、かつ生分解性樹脂で構成された最外層の発泡倍率が発泡層の発泡倍率よりも低いので、最外層の生分解速度は比較的低くなる。このため、外観及び生分解速度に優れたプラスチック容器となる。
【0010】
以下、本発明の種々の実施形態を例示する。以下に示す実施形態は互いに組み合わせ可能である。
好ましくは、前記記載の容器であって、前記発泡層は、前記容器の最内層である、容器である。
好ましくは、前記記載の容器であって、前記容器は、前記発泡層よりも前記容器の内側に設けられた最内層を備え、前記最内層は、生分解性樹脂で構成され、前記最内層の発泡倍率は、前記発泡層の発泡倍率よりも低い、容器である。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】プラスチック容器1とキャップ13を示す正面図である。
図2】本発明の第1実施形態の容器1の層構成図である。
図3】本発明の第2実施形態の容器1の層構成図である。
図4】本発明の第3実施形態の容器1の層構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について説明する。以下に示す実施形態中で示した各種特徴事項は、互いに組み合わせ可能である。また、各特徴事項について独立して発明が成立する。
【0013】
1.第1実施形態
1−1.プラスチック容器の構成
【0014】
図1は、本発明の第1実施形態のプラスチック容器1の概略図を示す。図1に示すように、容器1は、内容物を収容する容器である。容器1は、ねじ山11が形成された注出口12から、胴部14等を絞って内容物を外に出すものであり、通常、注出口12はキャップ13が装着されて封止されている。容器1は、ダイレクトブロー成形によって形成されたダイレクトブロー成形体である。ダイレクトブロー成形の詳細は後述する。
【0015】
容器1は、多層構成を有する。図2は、容器1の層構成の一例であり、容器1の最外層2と、最外層2よりも容器1の内側に設けられた発泡層3を備える。本実施形態では、容器1は、二層構成となっており、最外層2及び発泡層3は、それぞれ、容器1の最外層及び最内層である。
【0016】
最外層2及び発泡層3は、生分解性樹脂で構成される。生分解性樹脂は、土壌中の微生物によって生分解可能な樹脂であり、ポリ乳酸、(ポリ乳酸/ポリブチレンサクシネート系)ブロックコポリマー、ポリカプロラクトン、ポリ(カプロラクトン/ブチレンサクシネート)、ポリブチレンサクシネート、ポリ(ブチレンサクシネート/アジペート)、ポリ(ブチレンサクシネート/カーボネート)、ポリ(エチレンテレフタレート/サクシネート)、ポリ(ブチレンアジペート/テレフタレート)、ポリ(テトラメチレンアジペート/テレフタレート)、ポリエチレンサクシネート、ポリビニールアルコール 、ポリグリコール酸などが挙げられ、ポリブチレンサクシネートが好ましい。ポリブチレンサクシネートは、成形性及び生分解性が優れているからである。生分解性樹脂の一例は、三菱ケミカル社製、BioPBSである。
【0017】
発泡層3の発泡倍率は、例えば、1.1〜4倍であり、1.2〜2.5倍が好ましい。この発泡倍率は、例えば具体的には例えば、1.1、1.2、1.5、2.0、2.5、3.0、3.5、4.0倍であり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。発泡層3は、発泡しているので表面積が大きく、生分解速度が高い。一例では、発泡層3の発泡倍率が1.5倍である場合、表面積が3〜4倍程度となり、生分解速度もそれに応じて速くなる。また、発泡層3を設けることによって、容器1の軽量化、断熱性向上、遮光性向上という効果も奏される。発泡は、化学発泡であってもよく、物理発泡であってもよい。化学発泡剤の一例は、東京インキ社製のPEX CF40E−Jである。化学発泡剤の添加剤は、例えば、1〜5質量%であり、2〜4質量%が好ましい。
【0018】
最外層2は、発泡していても非発泡であってもよい。非発泡の場合は発泡倍率が1である。最外層2の発泡倍率は、発泡層3よりも低い。このため、最外層2の生分解速度が発泡層3よりも遅くなり、容器1の使用中に、生分解によって容器1の外観が悪化することが抑制される。なお、容器1を土壌中に廃棄した後は、最外層2は土壌中の微生物に触れやすいので、最外層2の発泡倍率が低くても生分解が促進される。
【0019】
容器1の全層の肉厚は、例えば0.4〜1.0mmであり、0.5〜0.6mmであることが好ましい。容器1の全層の肉厚に対する、最外層2及び発泡層3の肉厚の割合は、それぞれ、例えば5〜40%及び60〜95%であり、10〜30%及び70〜90%が好ましく、15〜25%及び75〜85%がさらに好ましい。この場合、容器1の外観及び生分解速度が特に優れるからである。最外層2の肉厚の割合は、容器1の用途に応じて設定可能である。例えば、容器1が劣化しやすい環境で使用される場合や、容器1の使用期間が長い場合には、最外層2の肉厚の割合を高くすることによって、容器1の外観悪化の抑制を優先させることが好ましい。
【0020】
1−2.プラスチック容器1の製造方法
容器1は、ダイレクトブロー成形によって形成することができる。ダイレクトブロー成形では、押出ヘッドから押し出された溶融状態の筒状の積層パリソンを一対の分割金型で挟んでパリソン内部にエアーを吹き込むことによって容器1を製造する。
【0021】
容器1を構成する各層(本実施形態では最外層2及び発泡層3)に相当する層を有する積層パリソンを用いてダイレクトブロー成形を行うことによって所望の層構成を有する容器1を製造することができる。積層パリソンは、積層パリソンを構成する複数層を共押出することによって形成可能である。このような方法であれば、容器1を構成する各層の材料、肉厚、発泡倍率等の制御が容易である。
【0022】
2.第2実施形態
図3を用いて、本発明の第2実施形態について説明する。本実施形態は、容器1の層構成の違いが第1実施形態との相違点である。以下、相違点を中心に説明する。
【0023】
本実施形態では、容器1は、図3に示すように、最外層2側から順に、最外層2と、発泡層3と、最内層4を備える。最内層4は、発泡層3よりも容器1の内側に設けられている。最外層2及び最内層4は、それぞれ、容器1の最外層及び最内層である。
【0024】
最外層2と発泡層3の説明は、以下の説明に反しない限り第1実施形態と同様である。最内層4は、生分解性樹脂で構成される。生分解性樹脂は、第1実施形態で説明した通りである。
【0025】
最内層4は、発泡していても非発泡であってもよい。非発泡の場合は発泡倍率が1である。最内層4の発泡倍率は、発泡層3よりも低い。このため、最外層2の生分解速度が発泡層3よりも遅くなり、生分解による容器1の内面劣化が抑制される。また、発泡層3よりも発泡倍率が低い最外層2と最内層4によって発泡層3が挟まれるので、容器1の成形が安定しやすい。なお、容器1を土壌中に廃棄した後は、最内層4は、発泡層3よりも土壌中の微生物に触れやすいので、最内層4の発泡倍率が低くても生分解が促進される。
【0026】
容器1の全層の肉厚に対する、最外層2、発泡層3、最内層4の肉厚の割合は、それぞれ、例えば10〜50%、40〜80%、3〜30%であり、20〜40%、50〜70%、4〜20%が好ましく、25〜35%、55〜65%、5〜15%がさらに好ましい。この場合、容器1の外観、生分解速度及び成形性が特に優れるからである。
【0027】
発泡層3は、容器1の成形時に発生するスクラップを再生して得られるリプロ材料を含む樹脂組成物で構成されることが好ましい。これによって、スクラップを有効活用することができる。スクラップには、容器1の全層が含まれているので、リプロ材料は、容器1の全層のそれぞれを構成する樹脂組成物を混合したものとなる。容器1は、全層が生分解性樹脂で構成されるので、リプロ材料も生分解性樹脂となる。発泡層3を構成する樹脂組成物は、リプロ材料のみを含んでもよく、リプロ材料と、バージンの生分解性樹脂の混合物であってもよい。
【0028】
3.第3実施形態
図4を用いて、本発明の第3実施形態について説明する。本実施形態は、容器1の層構成の違いが第2実施形態との相違点である。以下、相違点を中心に説明する。
【0029】
本実施形態では、容器1は、図4に示すように、最外層2側から順に、最外層2と、接着樹脂層5と、バリア層6と、接着樹脂層7と、発泡層3と、最内層4を備える。最外層2と、発泡層3と、最内層4の説明は、以下の説明に反しない限り第2実施形態と同様である。
【0030】
バリア層6は、ガスバリア性が高い生分解性樹脂で構成される。このような樹脂としては、ブテンジオールビニルアルコールコポリマー(BVOH)などが挙げられる。BVOHの市販品としては、ニチゴーGポリマー(三菱ケミカル株式会社製)が挙げられる。
【0031】
接着樹脂層5,7は、生分解性の接着性樹脂で構成される。このような樹脂としては、例えば、生分解性酸変性ポリエステル系樹脂であるBTR8002P(三菱ケミカル株式会社製)が挙げられる。接着樹脂層5,7を設けることによって、接着樹脂層5,7に隣接する層間の接着性が向上する。
【0032】
容器1の全層の肉厚に対する、発泡層3、最内層4の肉厚の割合は、第2実施形態で説明した通りである。容器1の全層の肉厚に対する最外層2の肉厚の割合は、例えば、3〜30%であり、5〜25%が好ましく、10〜20%がさらに好ましい。容器1の全層の肉厚に対する接着樹脂層5と、バリア層6と、接着樹脂層7の肉厚の割合は、それぞれ、例えば、1〜10%であり、2〜8%が好ましく、3〜7%がさらに好ましい。この場合、容器1の外観、生分解速度、成形性、ガスバリア性が特に優れるからである。
【符号の説明】
【0033】
1 :プラスチック容器
2 :最外層
3 :発泡層
4 :最内層
5 :接着樹脂層
6 :バリア層
7 :接着樹脂層
11 :ねじ山
12 :注出口
13 :キャップ
14 :胴部
図1
図2
図3
図4