(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2021-187533(P2021-187533A)
(43)【公開日】2021年12月13日
(54)【発明の名称】カードケース
(51)【国際特許分類】
B65D 85/57 20060101AFI20211115BHJP
A45C 11/00 20060101ALI20211115BHJP
【FI】
B65D85/57 Z
A45C11/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2020-96540(P2020-96540)
(22)【出願日】2020年6月3日
(71)【出願人】
【識別番号】596071154
【氏名又は名称】森松株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087778
【弁理士】
【氏名又は名称】丸山 明夫
(72)【発明者】
【氏名】光田 昭男
【テーマコード(参考)】
3B045
3E036
【Fターム(参考)】
3B045BA04
3B045CB05
3B045DA31
3B045FA01
3E036AA01
3E036BA04
3E036CA01
3E036EA00
(57)【要約】
【課題】 カードを収容する際はスムーズに収容でき、焦っている場合には取り出し難くすることで、金融機関の係員等が詐欺被害ではないかと気づくまでの時間を稼ぎ得るカードケースを提供する。
【解決手段】 上面視長方形の軟質樹脂製の中央収容部Aとその各縁から連設された前記中央収容部Aと同一構成の4個の周辺収容部B1〜B4を有するカードケース。中央収容部A及び周辺収容部B1〜B4の各々は、大サイズシート1の全域をその1/2面積サイズで同形状の小サイズシート21,22で重複無く覆って大サイズシート1の縁11〜14にて大サイズシート1に溶着して成る。2枚の小サイズシートの非溶着の各長縁210,220を各々カード収容口31,32と成し、且つ、各周辺収容部B1〜B4を中央収容部A上へ折り畳み可能と成す。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面視長方形の軟質樹脂製の中央収容部と、該中央収容部の各縁から連設された前記中央収容部と同一構成の4個の周辺収容部を有し、
前記中央収容部及び周辺収容部の各々は、大サイズシート1枚の全域をその1/2面積サイズで同形状の小サイズシート2枚で重複無く覆って大サイズシートの周縁にて大サイズシートに溶着して成り、
前記2枚の小サイズシートの非溶着の各長縁を各々カード収容口と成すとともに、前記各周辺収容部を前記中央収容部上へ折り畳み可能と成した、
ことを特徴とするカードケース。
【請求項2】
請求項1に於いて、
前記中央収容部のカード収容口を成す2枚の小サイズシートの非溶着の長縁は相互に当接している、
ことを特徴とするカードケース。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に於いて、
前記中央収容部に連設されている何れかの周辺収容部の連設部と反対側の縁から更にカバーシートを連設して成る、
ことを特徴とするカードケース。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種カード用のカードケースに関する。詳しくは、金融機関等での振込み等の際に、焦っているとカードを取り出し難くなり、そのため、本人や周囲の人が詐欺等の疑いに注意を向ける時間を稼ぐことができるカードケースに関する。また、注意を促すための表示等が描かれた紙片をカードの付近に収容できるカードケースに関する。
【背景技術】
【0002】
金融機関等での振込み等に用いる各種のカードが提供されており、それに伴い、カードを紛失し難くする工夫や、防犯対策を施したカードケースも提案/提供されている。
例えば、カード収容口の構成を工夫してカードの取り出し易さを損なうことなく脱落を防止するようにしたカードケースや、電磁遮蔽を施すことにより情報の漏洩を防ぐようにしたカードケース等である。
【0003】
特開2010−208690号公報(特許文献1)には、多数枚のカードをコンパクトに収容できるとともに、収容したカードを一覧できるようにして、目的のカードを容易に探し出せるようにしたカードケースが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−208690号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年、オレオレ詐欺等の特殊詐欺の被害が社会問題化している。種々の対策が提案/実施されてはいるが、未だ被害が後を絶たず、更なる対策が望まれている。
本発明は係る事情に鑑みたものであり、カードを収容する際には支障が無くスムーズに収容でき、高齢者等の詐欺被害に会い易い人が焦っている場合には取り出し難くすることにより、金融機関の係員や周囲の人々が詐欺被害ではないかと気づいて声掛けするまでの時間を稼ぎ得るカードケースを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の構成を、下記[1]〜[3]に記す。なお、この項([課題を解決するための手段])と次項([発明の効果])に於いて、符号は理解を容易にするために付したものであり、本発明を符号の構成に限定する趣旨ではない。
【0007】
[1]発明1
上面視長方形の軟質樹脂製の中央収容部Aと、該中央収容部Aの各縁から連設された前記中央収容部Aと同一構成の4個の周辺収容部B1〜B4を有し、
前記中央収容部A及び周辺収容部B1〜B4の各々は、大サイズシート1・1枚の全域をその1/2面積サイズで同形状の小サイズシート21,22・2枚で重複無く覆って大サイズシート1の縁11〜14にて大サイズシート1に溶着して成り、
前記2枚の小サイズシートの非溶着の各長縁210,220を各々カード収容口31,32と成すとともに、前記各周辺収容部B1〜B4を前記中央収容部A上へ折り畳み可能と成した、
ことを特徴とするカードケース。
軟質樹脂としては、カード収容時にはカード収容口31/32を手操作で容易に開口でき、慌ててカードを引き出そうとする際には隣接するカード収容口32/31へカードの取り出し側の先端が誤挿入されてしまう程度に撓む(隣接するカード収容口32/31を開口させてしまう)ものであればよく、例えば、ポリプロピレン、塩化ビニル等を用いることができる。
1/2面積サイズとは、小サイズシート21,22が略カード5の面積に等しく(正確にはカード5の面積より若干広い面積)て、2枚の小サイズシート21,22の一長辺210,220を当接させ並べたときに大サイズシートと略同形状になることを言う。
[2]発明2
発明1に於いて、
前記中央収容部Aのカード収容口31,32を成す2枚の小サイズシート21,22の非溶着の長縁210,220は相互に当接している、
ことを特徴とするカードケース。
[3]発明3
発明1又は2に於いて、
前記中央収容部Aに連設されている何れかの周辺収容部B1/B2/B3/B4の連設部と反対側の縁から更にカバーシートCを連設して成る、
ことを特徴とするカードケース。
【発明の効果】
【0008】
発明1は、上面視長方形の軟質樹脂製の中央収容部Aと該中央収容部Aの各縁から連設された前記中央収容部Aと同一構成の4個の周辺収容部B1〜B4を有し、前記中央収容部A及び周辺収容部B1〜B4の各々は大サイズシート1・1枚の全域をその1/2面積サイズで同形状の小サイズシート21,22・2枚で重複無く覆って大サイズシート1の縁11〜14にて大サイズシート1に溶着して成り、前記2枚の小サイズシートの非溶着の各長縁210,220を各々カード収容口31,32と成すとともに前記各周辺収容部B1〜B4を前記中央収容部A上へ折り畳み可能と成したことを特徴とするカードケースであるため、カード収容時には、カード5を大サイズシート1で案内して、カード収容口31/32から容易に挿入することができる。また、詐欺の口車に乗せられる等して焦ってカード5を取り出そうとすると、隣接するカード収容口32/31が強い手操作で開いてしまっているため、カード5の取り出し側の先端が当該隣接するカード収容口32/31からカード収容用のポケットへ挿入されて引っ掛かってしまうため(
図4参照)、簡単に引き出すことはできない。このため、金融機関の係員や周囲の人々が詐欺被害ではないかと気づいて声掛けするまでの時間を稼ぐことができる。
発明2は、発明1に於いて、前記中央収容部Aのカード収容口31,32を成す2枚の小サイズシート21,22の非溶着の長縁210,220は相互に当接していることを特徴とするカードケースであるため、焦ってカードを取り出そうとする際に於ける発明1の作用効果を更に高めることができる。
発明3は、発明1又は2に於いて、前記中央収容部Aに連設されている何れかの周辺収容部B1/B2/B3/B4の連設部と反対側の縁から更にカバーシートCを連設して成ることを特徴とするカードケースであるため、カードを取り出す際にカバーシートCを開く手間が加わり、焦ってカードを取り出そうとする際に於ける発明1や2の作用効果を更に高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施の形態のカードケースの展開状態の上面図。
【
図3】
図1とは異なる実施の形態のカードケースの展開状態の上面図。(中央収容部Aの小サイズシート21,22の非溶着の長縁210,220が相互に当接している実施の形態。)各F部分(5個の各破線枠部分)は、矢視fのように周辺収容部B1〜B4を中央収容部A上へ折り畳む際の折れ目となる部位を示す。
【
図4】
図1内M部分(破線枠部分)の拡大図に、焦ってカード5を取り出そうとしたときの様子(カード5の取出側の先端部分が隣接するポケット内へ侵入している様子)を示した説明図。
【
図5】
図1内M部分(破線枠部分)の拡大図に、カード5を収容しようとしたときの様子を示した説明図。
【
図6】(a)は
図4内矢視Rの説明図、(b)は
図5内矢視Sの説明図。(c)〜(e)は周辺収容部B1〜B4のポケット又は中央収容部Aのカード5を収容しない方のポケットに収容する紙片61〜63の表示例。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。
図1は第1の実施の形態のカードケースの展開状態を示す上面図であり、
図2は
図1内の矢視M部分(破線枠部分)の拡大図である。
【0011】
図示のカードケースは軟質樹脂(塩化ビニル)製であり、上面視で長方形状を成す中央収容部Aと、中央収容部Aの周囲の各縁からそれぞれ一体に連設された4個の周辺収容部B1,B2,B3,B4と、図内左側の周辺収容部B1の左縁から一体に連設されたカバーシートCを有する。振込詐欺でのターゲットとなる重要なICカードは、中央収容部Aの一方のポケット(小サイズシート21下方のポケット、又は、小サイズシート22の下方のポケット)に収容される。中央収容部Aの他方のポケットや、周辺収容部の各ポケット(小サイズシート21,22下方のポケット)群には、比較的重要でないカードや、
図6(c)〜(e)に例示する表示が描かれた紙片を収容することができる。
【0012】
中央収容部Aと、周辺収容部B1,B2,B3,B4は、同一構成を成す。即ち、大サイズシート1と、該大サイズシート1の全域を覆う2枚の小サイズシート21,22とから成る。小サイズシート21,22は、上面視で、収容対象のICカードと略同一形状の長方形である。即ち、収容対象のICカードを収容できる程度に若干大きい相似形状を成す。小サイズシート21,22は、大サイズシート1の1/2面積サイズであるため、小サイズシート21,22の長辺を揃えて並べると、その下に大サイズシート1が過不足無く隠れる。言い換えれば、2枚の小サイズシート21,22で、大サイズシート1の全域を過不足無く覆うことができる。(なお、正確には、後述の
図3の例では2枚の小サイズシート21,22の内側の長辺210,220が相互に当接しているため、該2枚の小サイズシート21,22が大サイズシート1の全域を過不足無く覆っていると言えるが、
図1の例では2枚の小サイズシート21,22の内側の長辺210,220の間に微細な隙間があるため、当該隙間の部分では覆っていないことになる。)
【0013】
上記のように大サイズシート1を過不足無く覆った小サイズシート21,22は、大サイズシート1の周縁の部分で、大サイズシート1に溶着されて一体化される。なお、小サイズシート21,22の内側(大サイズシート1上で大サイズシート1の長辺方向中央の側)の長辺210,220は、大サイズシート1に溶着されない。これにより、小サイズシート21,22の内側の長辺210,220は、小サイズシート21,22の下方のポケットの収容口31,32とされる。正確には、収容口31,32の一部を構成し、収容口の残部は、大サイズシート1の長辺210,220下方の対応部位が構成する。
なお、小サイズシート21,22は、その下方のポケット内に収容されるカード5等を外部から視認できるように透明でなければならないが、カバーシートCや、大サイズシート1は、必ずしも透明でなくてもよい。
【0014】
図5は、カード5を、小サイズシート21の下方に形成されているポケットに収容する際の様子を示し、
図6(b)は
図5内矢視S方向から見た収容口31を示す。
図示のように、収容開始時、収容口31を構成する軟質樹脂製の大サイズシート1の部位(小サイズシート21の長辺210直下の部位)は、カード5に押されて下方へ撓みつつカード5を案内する。このため、カード5は、速やかにポケット内へ収容される。
【0015】
図4は、カード5を、小サイズシート22の下方に形成されているポケットから、冷静さを欠いた状態(焦った状態)で取り出す際の様子を示し、
図6(a)は
図4内矢視R方向から見た収容口32を示す。
図示のように、取り出し開始時、操作者は冷静さを欠いているため、過度な力を込めてカード5をポケットから取り出そうとする。このため、収容口32を構成する軟質樹脂製の小サイズシート22は大きく撓み、収容口32は大きく開口する。このため、カード5の取り出し側先端が、小サイズシート22の下方のポケット内へ入り込んでしまい、カード5の取り出しを妨げる。これにより、カード5を取り出せたとしても、長時間を要することとなり、金融機関等の係員や周囲の人々が注意を向ける時間を稼ぐことができる。
【0016】
図6(c)〜(e)は、中央収容部Aの他方のポケット(カード5を収容しない方のポケット)や、周辺収容部B1〜B4のポケットに収容できる紙片の例示である。これらの紙片を収容しておくと、カード5の所有者は、日々、特殊詐欺について注意を向けることができるとともに、カード5を取り出す際にも注意を払うことでできるため、特殊詐欺被害の軽減に役立つと考えられる。
【0017】
かかるカードケースは、
図3内に矢印f,f,f,fで示すように、中央収容部Aの上に、周辺収容部B1〜B4を折り畳むことができ、折り畳んだ状態では所要の強度を有するため、衣服のポケット等に収納して携行することができる。
図3中、Fで示す5箇所の破線枠内は、折り畳む際の折れ目となる部位を示す。
【0018】
図1に示す第1の実施の形態では、中央収容部Aの小サイズシート21,22の内側の長辺210−長辺220間には、細い隙間が形成されているが、
図3に示す第2の実施の形態のように、長辺210−長辺220を、相互に当接させてもよい。その場合には、冷静さを欠いた状態でのカード5の取り出し時に於ける前述の作用効果(取り出しを妨げる作用効果)を、更に高めることができる。
【0019】
以上のようなカードケース(第1、第2の実施の形態のカードケース)は、例えば、2枚重ねの軟質樹脂(塩化ビニル;少なくとも小サイズシート21,22となる上層のシートは透明な軟質樹脂)から、略十字形状を成す部分(中央収容部Aと、その周囲の周辺収容部B1,B2,B3,B4)を切り出して、所要の部位(下層で大サイズシート1を構成する部位)の周囲と、上層のシートの対応部位とを、溶着することで構成することができる。カバーシートCも一体に切り抜いて同様に構成してもよく、また、別途、周辺収容部B1の縁に溶着して構成してもよい。
【0020】
なお、カバーシートCは、図示の例では周辺収容部B1の左側に連設されているが、これは、他の周辺収容部B2/B3/B4の外側に連設してもよい。
周辺収容部B3の外側に連設する例を、
図1内に二点鎖線で示す。
【符号の説明】
【0021】
1 大サイズシート
11〜14 大サイズシートの縁
21,22 小サイズシート
210,220 小サイズシートの非溶着の長縁
31,32 カード収容口
5 ICカード
61〜63 紙片
A 中央収容部
B1〜B4 周辺収容部
C カバーシート