【実施例】
【0093】
特に明記しない限り、反応は窒素雰囲気下で行った。シリカゲルによるクロマトグラフィは、250〜400メッシュのシリカゲルを使用し、加圧窒素(約10〜15psi)を使用して溶媒をカラムに通して行った(「フラッシュクロマトグラフィ」)。表示がある場合、溶液および反応混合物を真空下でロータリーエバポレーションにより濃縮した。
【0094】
調製および実施例
調製1. 2−オキソプロパン−1−スルホン酸、ナトリウム塩
【0095】
【化12】
クロロアセトン(9.25g、100mmol)と亜硫酸ナトリウム(14.5g、115mmol)との混合物を含む水(100mL)を24時間撹拌した。混合物を濃縮して乾燥させ、得られた固体をメタノール(300mL)に懸濁させた。混合物を3分間超音波処理し、次いで、ろ過した。ケーキをメタノールで洗浄し、ろ液を濃縮して、表題化合物(15.5g)を得、これをさらに精製することなく直接使用した。
【0096】
調製2. 2−オキソプロパン−1−スルホニルクロリド
【0097】
【化13】
2−オキソプロパン−1−スルホン酸ナトリウム塩(15.5g、97mmol)を含む乾燥トルエン(40mL)の撹拌懸濁液にオキシ塩化リン(40mL)を添加した。混合物を3時間還流し、次いで、加熱をやめ、20℃に冷却した。混合物を減圧下で濃縮し、残留物をジクロロメタン(100mL)で処理した。混合物をろ過し、ケーキをジクロロメタン(20mL)で洗浄した。ろ液を濃縮して、表題化合物(11.8g)を得た。
1H NMR (400 MHz, CDCl
3-d) δ 4.76 - 4.53 (m, 2H), 2.49 (s, 3H).
【0098】
調製3. cis−N−(3−(メチル(7−トシル−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)アミノ)シクロブチル)−2−オキソプロパン−1−スルホンアミド
【0099】
【化14】
cis−N
1−メチル−N
1−(7−トシル−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)シクロブタン−1,3−ジアミン(2.4g、5.3mmol)を含むジクロロメタン(45mL)の溶液にトリエチルアミン(2.68g、26.5mmol)を添加した。2−オキソプロパン−1−スルホニルクロリド(1.24g、6.27mmol)を含むジクロロメタン(5mL)の溶液を0℃で添加し、混合物を20℃に温め、3時間撹拌した。混合物を飽和塩化アンモニウム(30mL)でクエンチした。層を分離し、水層をジクロロメタン(2×10mL)で2回抽出した。合わせた有機層をブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮した。残留物を(石油エーテル:酢酸エチル、1:2)を使用するラッシュクロマトグラフィにより精製して、表題化合物(801mg)を得た。LC/MS[M+H]=491.9。
【0100】
調製4. 2−ヒドロキシ−N−(cis−3−(メチル(7−トシル−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)アミノ)シクロブチル)プロパン−1−スルホンアミド
【0101】
【化15】
N−(3−{メチル[7−(4−メチルベンゼン−1−スルホニル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル]アミノ}シクロブチル)−2−オキソプロパン−1−スルホンアミド(0.801g、1.62mmol)を含むメタノール(10mL)の溶液に、水素化ホウ素ナトリウム(123mg、2.26mmol)を含む10%水酸化ナトリウム(1.6mL)およびメタノール(1.6mL)を0℃で添加した。混合物を30分間撹拌し、次いで、冷却浴から取り出し、20℃で30分間撹拌した。メタノールを減圧下で除去した。残留物を酢酸エチル(15mL)に溶解し、ブライン(10mL)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮した。残留物を、0〜80%の酢酸エチルを含む石油エーテルを使用するフラッシュクロマトグラフィにより精製して、表題化合物(0.76g)を得た。LC/MS[M+H]=494.2。
【0102】
調製5. 2−ヒドロキシ−N−(cis−3−(メチル(7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)アミノ)シクロブチル)プロパン−1−スルホンアミド
【0103】
【化16】
2−ヒドロキシ−N−(cis−3−{メチル[7−(4−メチルベンゼン−1−スルホニル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル]アミノ}シクロブチル)プロパン−1−スルホンアミド(1.13g、2.3mmol)を含むテトラヒドロフラン(10mL)および水(10mL)の混合物に、水酸化リチウム一水和物(273mg、11.4mmol)を20℃で24時間にわたって添加した。混合物を濃縮し、0〜10%のメタノールを含むジクロロメタンを使用するフラッシュクロマトグラフィにより精製した。次いで、混合物を水/アセトニトリルに溶解した、次いで凍結乾燥した。残留物を分取薄層クロマトグラフィ(ジクロロメタン:メタノール、10:1)により精製した。残留物を水/アセトニトリルに溶解し、凍結乾燥した。次いで、残留物を超臨界流体クロマトグラフィ(Chiralpak AD−H(商標)250×30mm I.D.、5μ移動相:45%メタノール(0.1%NH
4OH)を含むCO
2、流速50mL/分、温度35℃、RT3.53および4.07分)により精製して、表題化合物(552mg、71%)を得た。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d
6) δ 11.64 (br s, 1H), 8.11 (s, 1H), 7.44 (d, J = 9.0 Hz, 1H), 7.16 -
7.15 (m, 1H), 6.65 - 6.64 (m, 1H), 5.02 - 4.81 (m, 2H), 4.15 - 3.94 (m, 1H),
3.67 - 3.54 (m, 1H), 3.26 (s, 3H), 3.14 - 2.95 (m, 2H), 2.71 - 2.56 (m, 2H),
2.31 - 2.19 (m, 2H), 1.22 (d, J = 6.0 Hz, 3H), LC/MS [M+H] = 339.9.
【0104】
(実施例1)
(S)−2−ヒドロキシ−N−(cis−3−(メチル(7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)アミノ)シクロブチル)プロパン−1−スルホンアミド(IA)
【0105】
【化17】
2−ヒドロキシ−N−{3−[メチル(7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)アミノ]シクロブチル}プロパン−1−スルホンアミド(532mg、1.57mmol)をSFC(Chiralpak AD−H(商標)250×30mm I.D.、5μ移動相:45%エタノール(0.1%NH
4OH)を含むCO
2、流速50mL/分、温度35℃、RT3.44分)により精製して、表題化合物(223.7mg、42%)を得た。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d
6) δ = 11.69 - 11.57 (m, 1H), 8.10 (s, 1H), 7.43 (d, J = 9.0 Hz, 1H),
7.16 - 7.12 (m, 1H), 6.67 - 6.61 (m, 1H), 4.92 (d, J = 5.0 Hz, 1H), 4.90 - 4.84
(m, 1H), 4.11 - 4.01 (m, 1H), 3.63 - 3.53 (m, 1H), 3.27 - 3.23 (m, 3H), 3.11 -
2.96 (m, 2H), 2.63 - 2.53 (m, 2H), 2.29 - 2.20 (m, 2H), 1.21 (d, J = 6.0 Hz,
3H), LC/MS [M+H] = 340.2.結晶性材料は酢酸エチルから調製することができる。
【0106】
単結晶X線構造
データ収集は、Bruker D8 Quest回折計を用いて室温で行った。データ収集は、オメガおよびファイスキャンからなる。三斜晶系空間群P1においてSHELXソフトウェアスイートを使用する固有位相決定法によって、構造を解明した。続いて、完全行列最小二乗法によって構造を精密化した。すべての非水素原子を見つけ、異方性変位パラメータを使用して精密化した。
【0107】
フーリエ示差マップから窒素および酸素上に位置する水素原子を見つけ、距離を制限することで精密化した。残りの水素原子を計算位置に配置し、それらのキャリア原子上に載せた。最終的な精密化は、すべての水素原子に対する等方性変位パラメータを含んだ。尤度法(Hooft 2008)を使用する絶対構造の解析を、PLATON(Spek 2003)を使用して実行した。提示した試料がエナンチオピュアであると仮定すると、結果は、絶対構造が正確に割り当てられたことを示す。この方法から、構造が正確である確率が100%であることが計算される。Hooftパラメータは(15)のEsdで0.104として報告され、Parsonパラメータは(16)のEsdで0.097として報告されている。非対称単位あたりの2つの同一分子のC13_C27での絶対立体配置は、(−S)_(−S)として確認された。最終R指数は5.9%であった。最終的な示差フーリエから、電子密度の損失または配置の間違いがなかったことが解明された。適正な結晶、データ収集、および精密化を表1にまとめる。原子座標を表2に列挙する。
【0108】
ソフトウェアおよび参考文献
SHELXTL、バージョン5.1、Bruker AXS、1997。PLATON、A.L.Spek、J.Appl.Cryst.2003、36、7〜13。MERCURY、C.F.Macrae、P.R.Edington、P.McCabe、E.Pidcock、G.P.Shields、R.Taylor、M.Towler、およびJ.van de Streek、J.Appl.Cryst.39、453〜457、2006。OLEX2、Dolomanov,O.V.、Bourhis,L.J.、Gildea,R.J.、Howard,J.A.K.、Puschmann,H.、(2009)、J.Appl.Cryst.、42、339〜341。R.W.W.Hooftら、J.Appl.Cryst.(2008)、41、96〜103。H.D.Flack、Acta Cryst.1983、A39、867〜881。
【0109】
【表1】
【0110】
【表2-1】
【0111】
【表2-2】
【0112】
(実施例2)
(R)−2−ヒドロキシ−N−(cis−3−(メチル(7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)アミノ)シクロブチル)プロパン−1−スルホンアミド(IC)
【0113】
【化18】
2−ヒドロキシ−N−{3−[メチル(7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)アミノ]シクロブチル}プロパン−1−スルホンアミド(532mg、1.57mmol)をSFC(Chiralpak AD−H(商標)250×30mm I.D.、5μ移動相:45%エタノール(0.1%NH
4OH)を含むCO
2、流速50mL/分、温度35℃、RT3.88分)により精製して、表題化合物(222.7mg、42%)を得た。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d
6) δ = 11.69 - 11.56 (m, 1H), 8.10 (s, 1H), 7.43 (d, J = 9.0 Hz, 1H),
7.18 - 7.11 (m, 1H), 6.66 - 6.60 (m, 1H), 4.96 - 4.84 (m, 2H), 4.12 - 3.99 (m,
1H), 3.66 - 3.54 (m, 1H), 3.24 (s, 3H), 3.12 - 2.94 (m, 2H), 2.64 - 2.56 (m,
2H), 2.30 - 2.18 (m, 2H), 1.20 (d, J = 6.5 Hz, 3H), LC/MS [M+H] = 340.2.結晶性材料は酢酸エチルから調製することができる。
【0114】
単結晶X線構造
データ収集は、Bruker D8 Quest回折計を用いて室温で行った。データ収集は、オメガおよびファイスキャンからなる。このロットでは積層した板様結晶が得られ、収集のために結晶を分け、載置した。三斜晶系クラス空間群P1においてSHELXソフトウェアスイートを使用する固有位相決定法によって、構造を解明した。続いて、完全行列最小二乗法によって構造を精密化した。すべての非水素原子を見つけ、異方性変位パラメータを使用して精密化した。フーリエ示差マップから窒素および酸素上に位置する水素原子を見つけ、距離を制限することで精密化した。残りの水素原子を計算位置に配置し、それらのキャリア原子上に載せた。最終的な精密化は、すべての水素原子に対する等方性変位パラメータを含んだ。尤度法(Hooft 2008)を使用する絶対構造の分析を、PLATON(Spek 2003)を使用して実行した。提示した試料がエナンチオピュアであると仮定すると、結果は、絶対構造が正確に割り当てられたことを示す。この方法から、構造が正確である確率が100.0であることが計算される。Hooftパラメータは(18)のEsdで0.044として報告され、Parsonパラメータは(19)のEsdで00.050として報告されている。非対称単位あたりの2つの同一分子のC13およびC27での絶対立体配置は、(−R)_(−R)として確認された。P−1に対して偽対称。最終R指数は4.5%であった。最終的な示差フーリエから、電子密度の損失または配置の間違いがなかったことが解明された。適正な結晶、データ収集、および精密化を表3にまとめる。原子座標を表4に列挙する。
【0115】
ソフトウェアおよび参考文献
SHELXTL、バージョン5.1、Bruker AXS、1997。PLATON、A.L.Spek、J.Appl.Cryst.2003、36、7〜13。MERCURY、C.F.Macrae、P.R.Edington、P.McCabe、E.Pidcock、G.P.Shields、R.Taylor、M.Towler、およびJ.van de Streek、J.Appl.Cryst.39、453〜457、2006。OLEX2、Dolomanov,O.V.、Bourhis,L.J.、Gildea,R.J.、Howard,J.A.K.、Puschmann,H.、(2009)、J.Appl.Cryst.、42、339〜341。R.W.W.Hooftら、J.Appl.Cryst.(2008)、41、96〜103。H.D.Flack、Acta Cryst.1983、A39、867〜881。
【0116】
【表3】
【0117】
【表4-1】
【0118】
【表4-2】
【0119】
(実施例3)
(S)−2−ヒドロキシ−N−(cis−3−(メチル(7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)アミノ)シクロブチル)プロパン−1−スルホンアミド(IA)の代替調製
【0120】
【化19】
工程1. (S)−tert−ブチル((1−クロロプロパン−2−イル)オキシ)ジメチルシラン
(S)−(+)−1−クロロプロパン−2−オール(1.0g、10.6mmol)を含むN,N−ジメチルホルムアミド(20mL)の溶液に、ピリジン(1.0g、12.7mmol)およびtert−ブチルジメチルシリルクロリド(1.91g、12.7mmol)を20℃で添加した。20℃で撹拌した後、反応を水(40mL)で希釈した。得られた混合物をメチルtert−ブチルエーテル(2×40mL)で抽出した。有機抽出物を合わせ、ブライン(50mL)で洗浄し、乾燥(Na
2SO
4)させた。溶媒を除去して、表題化合物(2.2g)を得、これをさらに精製することなく使用した。
1H NMR (400 MHz, CDCl
3) δ 3.96 (m, 1H), 3.42 (dd, J = 10.8, 5.9 Hz, 1H), 3.34 (dd, J = 10.7,
5.9 Hz, 1H), 1.23 (d, J = 6.1 Hz, 3H), 0.89 (s, 9H), 0.08 (d, J = 4.1 Hz, 6H).
【0121】
工程2. (S)−S−(2−((tert−ブチルジメチルシリル)オキシ)プロピル)エタンチオエート
(S)−tert−ブチル((1−クロロプロパン−2−イル)オキシ)ジメチルシラン(2.2g、10.5mmol)を含むN,N−ジメチルホルムアミド(20mL)の溶液に、チオ酢酸カリウム(2.41g、21.1mmol)およびヨウ化カリウム(17.5mg、0.10mmol)を20℃で添加した。反応を80℃に温め、20時間撹拌した。反応を室温に冷却し、水(50mL)で希釈し、混合物をメチルtert−ブチルエーテル(40mL×2)で抽出した。有機抽出物を集め、ブライン(60mL)で洗浄し、乾燥(Na
2SO
4)させ、溶媒を除去して表題化合物(2.40g)を得、これを精製することなく使用した。
1H NMR (400 MHz, CDCl
3) δ 3.91 (m, 1H), 3.00 - 2.91 (m, 2H), 2.33 (s, 3H), 1.18 (d, J = 6.1
Hz, 3H), 0.89 (s, 9H), 0.07 (d, J = 6.8 Hz, 6H).
【0122】
工程3. (S)−2−ヒドロキシプロパン−1−スルホニルクロリド
Cl
2(g)を、(S)−S−(2−((tert−ブチルジメチルシリル)オキシ)プロピル)エタンチオエート(0.5g、2.01mmol)を含むジクロロメタン(20mL)および水(10mL)の溶液に0℃で5分間通過させると、溶液が黄色になった。Cl
2(g)の流れを止め、反応を0℃で0.5時間撹拌した。次いで、N
2(g)を反応に通気させて、無色溶液を得た。TLCが、出発材料の減失および新しいスポットの形成を示した。水(20mL)を反応混合物に添加し、次いで、これをジクロロメタン(40mL)で抽出した。有機抽出物を10%NaHCO
3(50mL)、ブライン(50mL)で洗浄し、乾燥(Na
2SO
4)させた。溶媒を除去して、粗表題化合物(0.6g)を無色の油状物として得、これを精製することなく次の工程で使用した。
【0123】
工程4. (S)−2−ヒドロキシ−N−(cis−3−(メチル(7−トシル−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)アミノ)シクロブチル)プロパン−1−スルホンアミド
40mL容のバイアルに、cis−N
1−メチル−N
1−(7−トシル−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)シクロブタン−1,3−ジアミン(200mg、0.375mmol)、Na
2CO
3(199mg、1.88mmol)、テトラヒドロフラン(7mL)、および水(2.5mL)を添加した。2分後、実施例1の工程3(292mg)を含むテトラヒドロフラン(2mL)の溶液を添加した。得られた懸濁液を50℃に加熱し、18時間撹拌した。反応を室温に冷却し、水(20mL)を添加した。得られた混合物を酢酸エチル(20mL×2)で抽出した。有機抽出物を集め、乾燥(Na
2SO
4)させ、溶媒を除去して、粗材料を得、それをクロマトグラフィ(シリカ、EtOAc/石油エーテル、20〜100%)で精製して、表題化合物(30mg)を得た。LC/MS m/z (M+H)
+=494.3。
【0124】
工程5. (S)−2−ヒドロキシ−N−(cis−3−(メチル(7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)アミノ)シクロブチル)プロパン−1−スルホンアミド
(S)−2−ヒドロキシ−N−(cis−3−(メチル(7−トシル−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)アミノ)シクロブチル)プロパン−1−スルホンアミド(45mg、0.091mmol)を含むテトラヒドロフラン:水(5mL:1mL)の溶液に、水酸化リチウム一水和物(23.0mg、0.547mmol)を15℃で添加した。次いで、反応を60℃に温め、16時間撹拌した。水(10mL)を反応に添加し、得られた混合物を酢酸エチル(15mL×4)で抽出した。有機抽出物を合わせ、乾燥(Na
2SO
4)させ、溶媒を除去して、粗材料(30mg)を得、次いで、これをRP−HPLC(Phenomenex Gemini C−18(商標)、250×50mm、10μ、H
2O/CH
3CN+0.05%NH
4OH、10分かけて15〜35%)で精製して、表題化合物(16mg)を得た。
1H NMR (400 MHz, DMSO) δ 11.63 (s, 1H), 8.09 (s, 1H), 7.41 (s, 1H), 7.14 (d, J = 3.6 Hz,
1H), 6.62 (d, J = 3.6 Hz, 1H), 4.89 (ddd, J = 17.2, 7.9, 5.9 Hz, 2H), 4.04 (m,
1H), 3.58 (m, 1H), 3.24 (s, 3H), 3.14 - 2.86 (m, 2H), 2.62 - 2.51 (m, 2H), 2.23
(m, 2H), 1.20 (d, J = 6.2 Hz, 3H);LC/MS m/z (M+H)
+ = 340.1.;Chiral SFC(商標)(Chiralpak AD−3(商標)、150×4.6mm、3μ、40%MeOH(0.05%DEA)を含むCO
2、無勾配で10分、2.5mL/分、T=35℃)R
t=5.54分、99%ee。
【0125】
(実施例4)
(R)−2−ヒドロキシ−N−(cis−3−(メチル(7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)アミノ)シクロブチル)プロパン−1−スルホンアミド(IC)の代替調製
【0126】
【化20】
工程1. (R)−tert−ブチル((1−クロロプロパン−2−イル)オキシ)ジメチルシラン
(R)−(−)−1−クロロプロパン−2−オール(2.0g、21.2mmol、CAS:19141−39−0)を含むN,N−ジメチルホルムアミド(40mL)の溶液に、ピリジン(2.0g、25.4mmol)およびtert−ブチルジメチルシリルクロリド(3.83g、25.4mmol)を20℃で添加した。20時間撹拌した後、反応を水(60mL)で希釈し、得られた混合物をメチルtert−ブチルエーテル(2×80mL)で抽出した。有機抽出物を集め、ブライン(100mL)で洗浄し、乾燥(Na
2SO
4)させた。溶媒を除去して、表題化合物(4.60g)を得、これをさらに精製することなく使用した。
1H NMR (400 MHz, CDCl
3) δ 3.96 (m, 1H), 3.42 (dd, J = 10.8, 5.9 Hz, 1H), 3.34 (dd, J = 10.7,
5.9 Hz, 1H), 1.23 (d, J = 6.1 Hz, 3H), 0.89 (s, 9H), 0.08 (d, J = 4.1 Hz, 6H).
【0127】
工程2. (R)−S−(2−((tert−ブチルジメチルシリル)オキシ)プロピル)エタンチオエート
(R)−tert−ブチル((1−クロロプロパン−2−イル)オキシ)ジメチルシラン(4.60g、22.03mmol)を含むN,N−ジメチルホルムアミド(40mL)の溶液に、チオ酢酸カリウム(5.03g、44.1mmol)およびヨウ化カリウム(36.6mg、0.22mmol)を添加した。80℃で20時間後、反応を室温に冷却し、水(100mL)で希釈し、得られた混合物をメチルtert−ブチルエーテル(100mL×2)で抽出した。有機抽出物を合わせ、乾燥(Na
2SO
4)させ、溶媒を除去して、表題化合物(5.0g)を得た。
1H NMR (400 MHz, CDCl
3) δ 3.90 (m, 1H), 3.00 - 2.91 (m, 2H), 2.33 (s, 3H), 1.18 (d, J = 6.1
Hz, 3H), 0.88 (s, 9H), 0.06 (d, J = 6.7 Hz, 6H).
【0128】
工程3. (R)−2−((tert−ブチルジメチルシリル)オキシ)プロパン−1−スルホニルクロリド
Cl
2(g)を、(R)−S−(2−((tert−ブチルジメチルシリル)オキシ)プロピル)エタンチオエート(0.5g、2.01mmol)を含むジクロロメタン(20mL)および水(10.0mL)の溶液に0℃で5分間通過させると、溶液が黄色になった。Cl
2(g)の流れを止め、反応を0℃で0.5時間撹拌した。次いで、N
2を反応に通気させて、無色の溶液を得た。TLCが、出発材料の減失および新しいスポットの形成を示した。水(20mL)を反応混合物に添加し、次いで、これをジクロロメタン(40mL)で抽出した。有機抽出物を10%NaHCO
3(50mL)、ブライン(50mL)で洗浄し、乾燥(Na
2SO
4)させた。溶媒を除去して、表題化合物(0.4g)を無色の油状物として得、これを精製することなく次の工程で使用した。
【0129】
工程4. (R)−2−((tert−ブチルジメチルシリル)オキシ)−N−((1S,3S)−3−(メチル(7−トシル−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)アミノ)シクロブチル)プロパン−1−スルホンアミド
40mLのバイアルに、cis−N
1−メチル−N
1−(7−トシル−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)シクロブタン−1,3−ジアミン(150mg、0.281mmol)、Na
2CO
3(149mg、1.41mmol)、テトラヒドロフラン(5mL)、および水(2.0mL)を添加した。2分後、実施例2の工程3(292mg、0.75mmol)を含むTHF(2mL)の溶液を添加した。得られた懸濁液を50℃に加熱し、20時間撹拌した。反応を室温に冷却し、水(20mL)を添加した。得られた混合物をEtOAc(20mL×2)で抽出した。有機抽出物を集め、乾燥(Na
2SO
4)させ、溶媒を除去して、粗材料を得、これをクロマトグラフィ(シリカ、EtOAc/石油エーテル、20〜100%)で精製して、表題化合物(60mg)およびTBS基を欠いた材料(20mg)を得た。LC/MS m/z(M+H)
+=608.3(ピーク1);LC/MS
m/z(M+H)
+=494.3(ピーク2)。
【0130】
工程5. (R)−2−ヒドロキシ−N−(cis−3−(メチル(7−トシル−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)アミノ)シクロブチル)プロパン−1−スルホンアミド
(R)−2−((tert−ブチルジメチルシリル)オキシ)−N−(cis−3−(メチル(7−トシル−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)アミノ)シクロブチル)プロパン−1−スルホンアミド(60mg、0.099mmol)を含むジクロロメタン(5mL)の溶液に、トリフルオロ酢酸(1.5mL)を0℃で添加した。15℃で16時間した後、溶媒を除去し、残留物を酢酸エチル(15mL)に溶解した。混合物を飽和NaHCO
3(水溶液)で洗浄し、乾燥(Na
2SO
4)させ、溶媒を除去して、表題化合物(50mg)を得、これを精製することなく次の工程で使用した。LC/MS m/z(M+H)
+=494.3。
【0131】
工程6. (R)−2−ヒドロキシ−N−(cis−3−(メチル(7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)アミノ)シクロブチル)プロパン−1−スルホンアミド
(R)−2−ヒドロキシ−N−(cis−3−(メチル(7−トシル−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)アミノ)シクロブチル)プロパン−1−スルホンアミド(50mg、0.10mmol)を含むテトラヒドロフラン:水(5mL:1mL)の溶液に、水酸化リチウム一水和物(42.5mg、1.01mmol)を15℃で添加した。65℃で16時間後、水(10mL)を添加し、混合物を酢酸エチル(4×10mL)で抽出した。有機抽出物を合わせ、乾燥(Na
2SO
4)させ、溶媒を除去して、粗材料を得、これを分取HPLC(Phenomenex Gemini C−18(商標)、250×50mm、10μ、H
2O/CH
3CN+0.05%NH
4OH、10分かけて15〜35%)で精製して、表題化合物(18mg)を得た。
1H NMR (400 MHz, DMSO) δ 11.63 (s, 1H), 8.10 (s, 1H), 7.43 (d, J = 9.1 Hz, 1H), 7.15 (dd, J
= 3.6, 2.4 Hz, 1H), 6.64 (dd, J = 3.6, 1.9 Hz, 1H), 4.97 - 4.83 (m, 2H), 4.12 -
3.98 (m, 1H), 3.59 (m, 1H), 3.25 (s, 3H), 3.13 - 2.92 (m, 2H), 2.58 (m, 2H),
2.24 (m, 2H), 1.21 (d, J = 6.2 Hz, 3H).; LC/MS m/z (M+H)
+ = 340.0.;Chiral SFC(Chiralpak AD−3(商標)、150×4.6mm、3μ、40%MeOH(0.05%DEA)を含むCO
2、無勾配で10分、2.5mL/分、T=35℃)R
t=6.75分、99%ee。
【0132】
(実施例5)
3−ヒドロキシ−N−(cis−3−(メチル(7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)アミノ)シクロブチル)プロパン−1−スルホンアミド(IB)
cis−N−メチル−N−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イルシクロブタン−1,3−ジアミン(190mg)および炭酸カリウム(240mg)を含む1:1のテトラヒドロフラン:水(各5mL)溶媒混合物の撹拌混合物に、メチル3−(クロロスルホニル)プロパノエート(250mg)を10℃で添加した。混合物を室温に温め、10分間撹拌した。混合物を真空下で濃縮した。残留物をカラムクロマトグラフィ(MeOH/DCM 1:20)で精製して、メチル3−(N−(cis−3−(メチル(7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)アミノ)シクロブチル)スルファモイル)プロパノエート(140mg)を白色固体として得た。
1H NMR (400 MHz, メタノール-d
4): 8.13 (s, 1H), 7.13 (d, 1H), 6.70 (d, 1H), 4.89 (m,
1H), 3.73 (s, 3H), 3.69 (m, 1H), 3.4 (m, 5H), 2.82 (m, 4H), 2.34 (m, 2H). C
15H
21N
5O
4SのMS m/z: 390.2 (M+Na)+.HPLC:Ultimate XB−C18、3pm、3.0*50mmカラム、保持時間:2.13分、移動相:0%アセトニトリル(0.1%TFA)を含む水〜60%アセトニトリル(0.1%TFA)を含む水、波長:220nm。
【0133】
メチル3−(N−(cis−3−(メチル(7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)アミノ)シクロブチル)スルファモイル)プロパノエート(120mg)を含む乾燥テトラヒドロフラン(5mL)の撹拌溶液に、水素化アルミニウムリチウム(50mg)を窒素下0℃で添加した。反応混合物を室温に温め、0.5時間撹拌した。混合物を、メタノールを注意深く添加してクエンチし、カラムクロマトグラフィ(MeOH/DCM、1:10)で直接精製して、3−ヒドロキシ−N−(cis−3−(メチル(7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)アミノ)シクロブチル)プロパン−1−スルホンアミド(50mg)を白色固体として得た。1H NMR (400 MHz, メタノール-d
4): 8.12
(s, 1H), 7.13 (d, 1H), 6.70 (d, 1H), 4.89 (m, 1H), 3.73 (m, 3H), 3.36 (s, 3H),
3.15 (m, 2H), 2.81 (m, 2H), 2.35 (m, 2H), 2.03 (m, 2H); C
14H
21N
5O
3SのMS m/z: 340.2 (M+H)+;HPLC:Ultimate XB−C18、3pm、3.0*50mmカラム、保持時間:1.85分、移動相:0%アセトニトリル(0.1%TFA)を含む水〜60%アセトニトリル(0.1%TFA)を含む水、波長:220nm。
【0134】
(実施例6)
3−ヒドロキシ−N−(cis−3−(メチル(7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)アミノ)シクロブチル)プロパン−1−スルホンアミドの代替調製
cis−N−メチル−N−{7−[(4−メチルフェニル)スルホニル]−7H−ピロロ[2,3−d]−ピリミジン−4−イル}シクロブタン−1,3−ジアミンジヒドロブロミド(988mg)を含むジクロロメタン50mLの混合物に、トリエチルアミン(562mg)およびエチル3−(クロロスルホニル)プロパノエート(743mg)を0℃で添加した。反応混合物を25℃に温め、2時間撹拌した。反応混合物を真空下で蒸発させ、シリカゲルクロマトグラフィ(Biotage、20gのシリコンカラム、石油エーテル:酢酸エチル1:0〜0:1、酢酸エチル:メタノール20:1)で精製して、エチル3−(N−(cis−3−(メチル(7−トシル−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)アミノ)シクロブチル)スルファモイル)プロパノエートを得た。C
23H
29N
5O
6S
2のLCMS m/z:535.9(M+H)+。
【0135】
エチル3−(N−(cis−3−(メチル(7−トシル−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)アミノ)シクロブチル)スルファモイル)プロパノエート(700mg)を含むテトラヒドロフラン50mLの溶液に、水素化アルミニウムリチウム(74.4mg)を0℃で添加した。反応混合物を15時間25℃に温めた。反応混合物を水1mLで注意深くクエンチし、次いで、ろ過した。ろ液を真空下で蒸発させて、粗生成物の3−ヒドロキシ−N−(cis−3−(メチル(7−トシル−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)アミノ)シクロブチル)プロパン−1−スルホンアミドを得、これをさらに精製することなく使用した。C
21H
27N
5O
5S
2のLCMS m/z:494.0(M+H)+。
【0136】
3−ヒドロキシ−N−(cis−3−(メチル(7−トシル−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)アミノ)シクロブチル)プロパン−1−スルホンアミド(400mg)を含むエタノール20mLおよび水10mLの溶液に、LiOH(97mg)を25℃で添加した。反応混合物を90℃に加熱し、2時間撹拌した。反応混合物を冷却し、真空下で蒸発させて、粗生成物を得、これを分取HPLCで精製して、181mgの3−ヒドロキシ−N−(cis−3−(メチル(7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)アミノ)シクロブチル)プロパン−1−スルホンアミドを白色固体として得た。HPLC条件:カラム:DuraShell(商標)150*25mm*5μm、水(0.05%水酸化アンモニウムv/v)−アセトニトリル、1〜41%B、勾配10分、維持時間1分100%B、流速25mL/分;
1H NMR (400 MHz, DMSO-d
6):
11.6 (s, 1H), 8.11 (s, 1H), 7.53 (s, 1H), 7.15 (d, 1H), 6.65 (d, 1H), 4.89 (m,
1H), 4.68 (s, 1H), 3.58 (m, 1H), 3.49 (m, 2H), 3.26 (s, 3H), 3.0 (m, 2H), 2.58
(m, 2H), 2.24 (m, 2H), 1.81 (m, 2H).
【0137】
生物学的評価
1mMのATPにおけるJAK Caliper酵素アッセイ
被験物を、30mMのストック濃度になるようにジメチルスルホキシド(DMSO)に溶解した。11点半対数希釈シリーズをDMSO中で作製し、最大濃度を600μMとした。試験化合物プレートには、100%阻害を定義するために既知の阻害薬を入れた陽性対照ウェル、および阻害なしを定義するためにDMSOを入れた陰性対照ウェルも含めた。化合物プレートを、1〜60倍に希釈して、最大最終アッセイ化合物濃度を10μM、DMSO濃度を2%にした。被験物およびアッセイ対照を、384ウェルプレートに添加した。反応混合物は、20mMのHEPES、pH7.4、10mMの塩化マグネシウム、0.01%のウシ血清アルブミン(BSA)、0.0005%のTween20、1mMのATP、および1μMのペプチド基質を含有していた。JAK1およびTYK2アッセイは、1μMのIRStideペプチド(5FAM−KKSRGDYMTMQID)を含有しており、JAK2およびJAK3アッセイは、1μMのJAKtideペプチド(FITC−KGGEEEEYFELVKK)を含有していた。アッセイを、20nMのJAK1、1nMのJAK2、1nMのJAK3、または1nMのTYK2酵素を添加することによって開始し、JAK1では3時間、JAK2では60分間、JAK3では75分間、またはTYK2では135分間、室温でインキュベートした。酵素濃度およびインキュベーション時間を、新たな酵素調製物ごとに最適化し、確実に20%〜30%リン酸化するように経時的にわずかに変更した。10mMのEDTA、0.1%のコーティング試薬、および100mMのHEPES、pH=7.4の最終濃度物でアッセイを停止させた。アッセイプレートを、Caliper Life Science Lab Chip 3000(LC3000)機器上に置き、各ウェルから、適切な分離条件を使用して試料採取して、非リン酸化およびリン酸化ペプチドを測定した。データを表5に示す。
【0138】
【表5】
【0139】
細胞効能アッセイ:ヒト全血、ヒトケラチノサイト、およびIFNγプライム化THP−1細胞におけるサイトカイン誘導性STATリン酸化
Shulman施設内審査委員会により承認されたPfizerプロトコル(プロトコル番号GOHW RDP−01)に従って、ヒト全血を、健常ドナーから静脈穿刺を介してナトリウムヘパリンが入っているバキュテイナ採血管に収集した。血液を使用前に37℃に温めた。ヒト全血を、96ウェル深型ウェルV底プレート中にアリコート(90μL/ウェル)し、最大60μMの様々な濃度(0.2%DMSO最終)の化合物(5μL/ウェル)を用いて37℃で60分間処理した。これに続いて、IFNα(5000U/mL)、IFNγ(100ng/mL)、IL−6(50ng/mL)、IL−10(30ng/mL)、IL−12(30ng/mL)、IL−15(30ng/mL)、IL−21(50ng/mL)、IL−23(25ng/mL)、IL−27(1000ng/mL)、EPO(2U/mL)、TSLP(50ng/mL)またはPBSでチャレンジし、15分間インキュベートした。サイトカイン刺激の15分前に抗細胞表面抗体を添加し、IL−6処理およびTSLP処理試料には抗CD3−BV421(0.5μL/ウェル)を、IFNγ処理試料には抗CD14−BV421(0.5μL/ウェル)を添加した。試料を温かい1倍溶解/固定緩衝液(700μL/ウェル)で処理して活性化を終了させ、37℃で20分間インキュベートして、赤血球を溶解させた。プレートを300xgで5分間遠心分離し、上清を吸引し、ウェル当たり800μLの染色緩衝液(0.1%FBSおよび0.01%アジ化ナトリウムを含有するD−PBS)で細胞を洗浄した。洗浄した細胞ペレットをウェル当たり350μLの予め冷やした90%メタノールに再懸濁させ、4℃で30分間インキュベートした。90%メタノールの除去後、細胞を染色緩衝液で1回洗浄した。すべての試料を、ウェル当たり150μLの、1:150希釈の所望の抗リン酸化STAT抗体を含む染色緩衝液に最終的に再懸濁させ、IFNγ処理試料では抗pSTAT1−AF647;IL−6処理試料では抗pSTAT1−AF488および抗pSTAT3−AF647;IFNα、IL−10、IL−21、IL−23、およびIL−27処理試料では抗pSTAT3−AF647;IL−12処理試料では抗pSTAT4−AF647;EPO、IL−15、およびTSLP処理試料では抗pSTAT5−AF−647で行った。
【0140】
ヒト初代ケラチノサイトをサプリメントキットと共にDermaLife(商標)培地で培養して、細胞集団を拡大させた。アッセイには細胞の継代2〜5代目を使用した。約80%集密状態で細胞を採取し、温かいDermaLife(商標)培地に懸濁させ、96ウェル深型ウェルV底プレート中にアリコート(90μL/ウェル)にし、37℃で30分間インキュベートした。次いで、細胞を化合物(0.0003〜20μM)で60分間処理し、続いて、IL−4(2ng/mL)またはIL−13(20ng/mL)で37℃で15分間刺激した。IL−22誘導性pSTAT3アッセイでは、ケラチノサイトを24ウェルプレートに播種し、18時間培養した。細胞をDermaLife(商標)基本培地に切り替え、化合物(0.0003〜20μM)で60分間処理し、次いで、IL−22(100ng/mL)で30分間刺激した。0.25%トリプシン/EDTA処理によって細胞を剥離した。刺激したケラチノサイトを2%パラホルムアルデヒドで固定し、90%メタノールで透過処理した。固定し透過処理した細胞を、IL−4およびIL−13処理試料ではAlexaFluor647(商標)標識抗pSTAT6抗体(1〜150希釈)で、IL−22処理試料ではAlexaFluor647標識抗pSTAT3(1〜150希釈)で染色した。
【0141】
THP−1細胞を、10%FBS、50μMの2−メルカプトエタノール、50U/mLのペニシリン、50μg/mLのストレプトマイシン、および2mMのL−グルタミンを含有するRPMI1640培地で維持した。THP−1細胞をIFNγ(20ng/mL)で18時間処理した。IFNγプライム化THP−1細胞をRPMI1640培地に再懸濁させ、化合物(0.0003〜20μM)で60分間処理し、続いて、IL−31(1μg/mL)でさらに10分間刺激した。次いで、2%パラホルムアルデヒドで細胞を固定し、90%メタノールで透過処理した。固定し透過処理した細胞を、AlexaFluor647(商標)標識抗pSTAT3抗体(1〜150希釈)で染色した。
【0142】
4℃で一晩インキュベートした後、抗pSTATで染色した試料を96ウェルポリプロピレンU底プレートに移し、HTSプレートローダーを装備したLSR Fortessa(商標)でフローサイトメトリー分析を行った。ヒト全血試料に関して、pSTATヒストグラム解析のために、IFNα、IL−10、IL−12、IL−15、IL−21、IL−23、およびIL−27処理試料ではリンパ球集団を、IFNγ処理試料ではCD14
+細胞を、IL−6およびTSLP処理試料ではCD3
+細胞を、EPO処理試料では全事象(全集団)をゲーティングした。IL−4、IL−13、IL−22、およびIL−31アッセイでは、ケラチノサイトおよびTHP−1細胞の全集団をゲーティングした。バックグラウンド蛍光を、非刺激細胞を使用して定義し、約0.5%のゲーティングされた集団を含むようにゲートをピークの裾に置いた。ヒストグラム統計解析は、FACSDivaバージョン8.0を使用して行った。pSTATのレベルを評価する相対蛍光単位は、陽性集団の百分率とその平均蛍光を掛けることによって計算した。阻害曲線および半最大阻害濃度(IC
50)値は、Prism(商標)ソフトウェア(バージョン8)またはActivity Baseデータ分析ソフトウェア(ID Business Solutions)を使用して決定した。
【0143】
サイトカイン誘導性STATリン酸化に対する細胞効能
実施例1および3ならびに実施例5および6に従って調製した式IAおよびIBの化合物はそれぞれ、アブロシチニブを摂取するとヒト代謝においてin vivoで形成され、ヒトケラチノサイト、インターフェロンγプライム化THP−1細胞、またはヒト全血におけるIL−4、IL−13、IL−22、IL−31、およびTSLP誘導性のSTATリン酸化に対して、強力なJAK1阻害薬であるアブロシチニブと同様の活性を示す。Gooderham M.J.ら、JAMA Dermatology、155(12)、1371〜1379(2019年10月)。特に、アブロシチニブのように、これらの化合物はすべて、JAK1非依存経路を介してシグナルを伝達するサイトカインとは対照的にJAK1依存経路を介してシグナルを伝達するサイトカインに対してより効能があり、そのため、主にJAK1への影響を介して薬理活性に寄与すると考えられる。同様のシグナル伝達経路におけるアブロシチニブならびに式IAおよびIBの化合物の細胞効能の比較を表6に示す。
【0144】
【表6】