【課題】本発明は、版カブリや印刷ひげ、ミスチングによる印刷汚れを抑制し、良好な印刷適性を示し、難接着基材においても十分なラミネート強度を発現するグラビアインキを提供することを目的とする。
前記インキ100質量%中に、前記テルペンフェノール樹脂を0.2〜10質量%、かつ前記ワックスを0.01〜1質量%含有し、ワックスが、脂肪酸アミド、炭化水素系ワックスから選ばれる少なくとも一種を含む、ラミネート用グラビアインキ。
ワックスが、脂肪酸アミドを含み、前記脂肪酸アミドが、モノアミド、置換アミド、およびビスアミドからなる群より選ばれる少なくとも一種である、請求項1または2に記載のラミネート用グラビアインキ。
更に、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂を含有し、ポリウレタン樹脂と塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂との質量比(ポリウレタン樹脂:塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂)が、95:5〜30:70である、請求項1〜3いずれかに記載のラミネート用グラビアインキ。
ポリウレタン樹脂が、セバシン酸を含む二塩基酸とジオールとの縮合物であるポリエステルポリオール由来の構成単位を含む、請求項1〜6いずれかに記載のラミネート用グラビアインキ。
有機溶剤が、エステル系有機溶剤とアルコール系有機溶剤とを含み、その質量比(エステル系有機溶剤:アルコール系有機溶剤)が、40:60〜90:10である、請求項1〜7いずれかに記載のラミネート用グラビアインキ。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下に例を挙げて本発明の実施形態を詳細に説明するが、以下に記載する事項は本発明の実施形態の一例ないし代表例であり、本発明はその要旨を超えない限りこれらの内容に限定されない。
【0023】
本発明は、ポリウレタン樹脂、有機溶剤、テルペンフェノール樹脂、およびワックスを含有するラミネート用グラビアインキであって、本発明者は、各構成成分の適切な材料選択、さらには最適量について検討を重ねた結果、グラビア印刷適性および耐ブロッキング性に優れ、かつOPPフィルムやPEフィルム等の低極性基材を使用した場合でも良好なラミネート強度を発現することを見出した。
【0024】
なお本明細書において「グラビアまたはフレキソインキ」を単に「インキ」または「印刷インキ」と表記する場合があるが同義である。グラビアまたはフレキソインキから形成された層は「印刷層」または「インキ皮膜」と記す。
【0025】
(バインダー樹脂)
バインダー樹脂とは本発明のラミネート用グラビアにおける結着樹脂をいい、有機溶剤に可溶な熱可塑性樹脂であることが好ましい。本発明で用いられるメインとなるバインダー樹脂はポリウレタン樹脂とテルペンフェノール樹脂である。バインダー樹脂はガラス転移温度が−80℃以上20℃未満であるポリウレタン樹脂その他の樹脂と、ガラス転移温度が30℃以上200℃以下である塩化ビニル共重合樹脂、セルロース系樹脂その他の樹脂とを併用することが好ましい。更には、前者のガラス転移温度が−60℃〜0℃、後者のガラス転移温度が50℃〜190℃であることが好ましい。なお、本明細書においてガラス転移温度とは、動的粘弾性測定における測定値であり、Tanδにおける極大値をいう。またバインダー樹脂はインキ総質量中に5〜15質量%含有することが好ましく、7〜13質量%含有することが好ましい。
【0026】
本発明で用いられるバインダー樹脂は、主にポリウレタン樹脂が用いられる。バインダー樹脂総量中、ポリウレタン樹脂を合計で30〜95質量%含有することが好ましい。基材への接着性が良好となるためである。ポリウレタン樹脂の重量平均分子量は10,000〜100,000であることが好ましい。さらに好ましくは30,000〜80,000である。重量平均分子量が10,000〜100,000の範囲内であると、ラミネート強度が向上傾向にある。またガラス転移温度が−60℃〜−20℃であることが好ましく、−50℃〜−30℃であることが更に好ましい。また、使用するポリウレタン樹脂として、環境負荷低減やインキ性能の観点からバイオマスポリウレタン樹脂を含有することが好ましい。バイオマスポリウレタン樹脂はポリウレタン樹脂総質量中に30質量%以上含有することが好ましく、40質量%以上含有することがなお好ましい。バイオマスポリウレタン樹脂とは、バイオマス由来の構成単位を有するポリウレタン樹脂をいう。
【0027】
本発明で用いられるメインとなるバインダー樹脂はポリウレタン樹脂とテルペンフェノール樹脂であるが、下記の樹脂を一種または二種以上混合して用いることが好ましい。例としては、セルロース系樹脂、ポリアミド樹脂、塩化ビニル共重合樹脂(塩化ビニル−アクリル系共重合樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂等)、ロジン系樹脂、塩素化ポリオレフィン樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂、酢酸ビニル樹脂、アクリル樹脂、スチレン樹脂、ダンマル樹脂、スチレン−マレイン酸共重合樹脂、ポリエステル樹脂、アルキッド樹脂、ケトン樹脂、環化ゴム、塩化ゴム、ブチラール、ポリアセタール樹脂、石油樹脂、およびこれらの変性樹脂などを挙げることができる。ただしこれらに限定されない。
【0028】
また上記のように、バインダー樹脂は少なくとも2種の樹脂を含有することが望ましい。ポリウレタン樹脂を単独で用いた場合に比べ、分散安定性や、良好なラミネート強度、印刷適性を補完することが可能となるからである。中でもポリウレタン樹脂と、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂、塩化ビニル−アクリル系共重合樹脂は好適に用いられる。これら補助バインダー樹脂の含有量は、インキの総質量中に1〜6質量%含有することが好ましい。その他に、ロジン樹脂では、ロジンエステル、ロジン変性マレイン酸樹脂等を使用して良い。
【0029】
ポリウレタン樹脂と、塩化ビニル共重合樹脂の質量比率は95:5〜30:70で含むことが好ましく、95:5〜40:60で含むことがより好ましく、95:5〜50:50で含むことがなお好ましく、90:10〜65:35で含むことが更に好ましい。
また、バイオマスポリウレタン樹脂と、塩化ビニル共重樹脂との合計はバインダー樹脂総質量中に60質量%以上含有することが好ましく、70質量%以上含有することがなお好ましく、80質量%以上含有することが更に好ましい。
【0030】
(テルペンフェノール樹脂)
本発明で用いられるテルペンフェノール樹脂としては、たとえば、α−ピネン、β−ピネン、リモネン、ターピノーレン等のテルペン類を、フェノール類の存在する反応系内で重合する方法等により製造されるものを使用できる。なお、フェノール類としては、フェノール、ビスフェノールA、またはクレゾール、キシレノール、p−t−ブチルフェノール、p−オクチルフェノール、p−ノニルフェノール等のアルキルフェノール類があげられる。
本発明では、基材選択やウレタン樹脂、溶剤種に応じて水素化テルペンフェノール樹脂や芳香族変性テルペンフェノール樹脂も好適に使用できる。
【0031】
テルペンフェノール樹脂の重量平均分子量は、300〜10,000であることが好ましく、400〜5,000であることがなお好ましく、400〜2,000であることが更に好ましく、300以上であれば耐ブロッキング性に優れ、10,000以下であれば基材への濡れやインキ中の他成分との相溶性に優れることで版カブリ、版詰まりといった印刷適性が良好となる。さらにはラミネート強度も向上する。
また、本発明において、望外の効果として、印刷ひげやミスチング性も改善傾向にある。理由は定かではないが、ポリプロピレン(OPP)基材に対しての転移性(濡れやすさ)、曳糸性が変化することで改善につながったと思われる。
【0032】
テルペンフェノール樹脂は、一般にフェノール部位の多寡により、水酸基価がコントロールされる。本発明ではヤスハラケミカル製のテルペンフェノールが好適に使用されるが、水酸基価としては、50〜250mgKOH/gであることが好ましく、60〜230mgKOH/gであることがなお好ましい。当該テルペンフェノール樹脂としては、YSポリスターKシリーズ(例:K−125)、YSポリスターNシリーズ(例:N−125)、YSポリスターNシリーズ(例:N−125)、YSポリスターGシリーズ(例:G−150)、YSポリスターSシリーズ(例:G−145)、YSポリスターTシリーズ(例:G−160)、YSポリスターUシリーズ(例:U−130)となる。傾向として、水酸基価が高いほどアルコールとの相溶性が高く、アルコール比率が高い希釈溶剤を用いても版カブリ、版づまり等の印刷適性に悪影響を及ぼしにくくなる。
【0033】
テルペンフェノール樹脂は耐ブロッキング性、基材密着性両立のため、軟化点が90〜180℃であることが好ましく。110〜165℃であることがなお好ましい。また、インキ100質量%中に当該テルペンフェノール樹脂を0.2〜10質量%含有することが好ましく、1.0〜5.0質量%含有することがなお好ましい。ポリウレタン樹脂と、テルペンフェノール樹脂の質量比率は99:1〜50:50で含むことが好ましく、90:10〜65:35で含むことがなお好ましい。
【0034】
本発明におけるポリウレタン樹脂は、ポリオールと、ポリイソシアネートとを縮合反応させてなるポリウレタン樹脂や、ポリオールと、ポリイソシアネートとの縮合反応物である末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマーと、ポリアミンとの反応(鎖延長という)により得られるポリウレタン樹脂(ポリウレタンウレア樹脂)が好ましい。ポリオールとしては高分子ポリオールを含むことが特に好ましい。なお、ポリオール、ポリイソシアネートおよびポリアミンのいずれかがバイオマス由来成分を含む必要がある。
【0035】
(ポリオール)
ポリウレタン樹脂の組成であるポリオールとして、炭素数4から10の二塩基酸、具体的には、セバシン酸、アゼライン酸、コハク酸等を原料成分として反応させたポリエステルポリオールを含有することが好ましい。また、ポリエステルポリオールの数平均分子量が400〜10,000であることが好ましい。なお、ポリオール中、ポリエステルポリオールを50質量%以上含有することが好ましく、70質量%以上含有することがなお好ましい。
更に、上記ポリエステルポリオール以外のポリオールを併用してもよい。例えば、ポリエーテルポリオール、ポリラクトンポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリオレフィンポリオール、ひまし油ポリオール、水素添加ひまし油ポリオール、ダイマージオール、水添ダイマージオールなどが挙げられる。好ましくはポリエーテルポリオールおよび/またはポリエステルポリオールである。これらはポリオール総量中、50質量%未満で使用することが好ましい。
【0036】
(ポリエステルポリオール)
ポリエステルポリオールとしては、例えば、多塩基酸とジオールとのエステル化反応により得られる縮合物等が挙げられる。
多塩基酸としては二塩基酸であることが好ましく、以下に限定されるものではないが、セバシン酸、アゼライン酸およびコハク酸から選ばれる少なくとも一種の二塩基酸を含むことが好ましい。セバシン酸、アゼライン酸およびコハク酸はバイオマス由来であることが好ましい。中でも二塩基酸総量中、セバシン酸を55質量%以上含有することが好ましい。
なお、更にアジピン酸、無水フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、マレイン酸、フマル酸、コハク酸、シュウ酸、マロン酸、ピメリン酸、アゼライン酸、スベリン酸、グルタル酸、1、4−シクロヘキシルジカルボン酸、ダイマー酸、水添ダイマー酸等の二塩基酸を併用することも好ましい。併用する二塩基酸はバイオマス由来の二塩基酸であってもよいし、バイオマス由来でない二塩基酸であってもよい。併用する二塩基酸としてはアジピン酸、ダイマー酸等がより好ましい。
ジオールとしては、分岐状ジオールおよび直鎖上ジオールを含むことが好ましく、これらは例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、ネオペンチルグリコール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、3,3,5−トリメチルペンタンジオール、2、4−ジエチル−1,5−ペンタンジオール、1,12−オクタデカンジオール、1,2−アルカンジオール、1,3−アルカンジオール、1−モノグリセライド、2−モノグリセライド、1−モノグリセリンエーテル、2−モノグリセリンエーテル、ダイマージオール、水添ダイマージオール等が好適に挙げられる。
【0037】
上記のうち分岐状ジオールとしては、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール(以下、BEPGとも記載する)と、2−メチル−1,3−プロパンジオール(以下、MPOとも記載する)、3−メチル−1,5−ペンタンジオール(MPDとも記載する)、ネオペンチルグリコール(NPGとも記載する)、1,2−プロピレングリコール(以下、PGとも記載する)、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオール、1,3−ブタンジオール、ジプロピレングリコール等が好適に挙げられる。中でも、MPO、MPD、BEPG、NPG、PG、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオールから選ばれる少なくとも一種の分岐状ジオールであることが好ましく、NPGおよび/またはBEPGを用いることがさらに好ましく、BEPGを用いることが特に好ましい。
【0038】
上記直鎖状ジオールとしては、以下に限定されないが、アルキレングリコールであることが好ましく、かかる化合物としては、エチレングリコール(EGとも記載する)、ジエチレングリコール、1,3−プロパンジオール(1,3PDとも記載する)、1,4−ブタンジオール(1,4―BDとも記載)、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,4−ブチンジオール、1,4−ブチレンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール等が挙げられる。
中でも炭素数8以下、好ましくは炭素数6以下、更に好ましくは炭素数4以下、特に好ましくは炭素数3以下の直鎖状ジオールが好ましく、EG、1,3PD、1,4−BD、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール、などが好ましい。さらにバイオマス度および物性の観点からは、EG、1,3PD、1,4−BDが特に好ましい。
【0039】
なお、分岐状ジオール単位と直鎖状ジオール単位はそれぞれをひとつのポリエステルポリオール中に存在させてもよいし、分岐状ジオール単位のみを含むポリエステルポリオールと、直鎖状ジオール単位のみを含むポリエステルポリオールを混合物原料として利用し、バイオマスウレタン樹脂としてもよい。およそ同一の効果が得られる。本発明では、二塩基酸100質量%中に、セバシン酸を55質量%以上含有することが好ましく、65質量%以上含有することがなお好ましく、75質量%以上で含有することが更に好ましい。また、上記ジオール100質量%中に、分岐状ジオールと直鎖状ジオールは、質量比(分岐状ジオール/直鎖状ジオール)で、5/95〜95/5で含有することが好ましく、20/80〜80/20で含有することがなお好ましい。また、更に本発明の効果を奏するには、上記ジオール100質量%中に、分岐状ジオールと直鎖状ジオールは、質量比(分岐状ジオール/直鎖状ジオール)で、40/60〜85/15であることが好ましく、45/55〜80/20であることがなお好ましく、50/50〜70/30であることが更に好ましい。これら組成により、ミスチング・印刷ひげその他の印刷適性、ラミネート強度向上、耐ブロッキング性向上の効果を向上させるためである。
【0040】
(ポリイソシアネート)
上記ポリイソシアネートとしてはジイソシアネートが好ましく、かかる化合物としては、芳香族、脂肪族または脂環族の各種公知のジイソシアネートを使用することができる。例えば、1,5−ナフチレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルジメチルメタンジイソシアネート、4、4’−ジベンジルイソシアネート、ジアルキルジフェニルメタンジイソシアネート、テトラアルキルジフェニルメタンジイソシアネート、1,3−フェニレンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ブタン−1,4−ジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソプロピレンジイソシアネート、メチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、シクロヘキサン−1,4−ジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート、1,3−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、m−テトラメチルキシリレンジイソシアネートやダイマー酸のカルボキシル基をイソシアネート基に転化したダイマージイソシアネート等が代表例として挙げられる。これらは単独または2種以上を混合して用いることができる。中でもイソホロンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートが好ましく、溶解性の観点からイソホロンジイソシアネートがさらに好ましい。
【0041】
(ポリアミン)
上記ポリアミンは有機ジアミンが好ましく、かかるジアミンとしては、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、イソホロンジアミン、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジアミンなどが挙げられる。また、2−ヒドロキシエチルエチレンジアミン、2−ヒドロキシエチルプロピルジアミン、2−ヒドロキシエチルプロピレンジアミン、ジ−2−ヒドロキシエチルエチレンジアミン、ジ−2−ヒドロキシエチレンジアミン、ジ−2−ヒドロキシエチルプロピレンジアミン、2−ヒドロキシピロピルエチレンジアミン、ジ−2−ヒドロキシピロピルエチレンジアミンなど分子内に水酸基を有するアミン類も用いることが出来る。これらの有機ジアミンは単独または2種以上を混合して用いることができるが、イソホロンジアミンが好ましい。さらに、ジエチレントリアミン、イミノビスプロピルアミン:(IBPA、3,3’−ジアミノジプロピルアミン)、N−(3−アミノプロピル)ブタン−1,4−ジアミン:(スペルミジン)、6,6−イミノジヘキシルアミン、3,7−ジアザノナン−1,9−ジアミン、N,N’−ビス(3−アミノプロピル)エチレンジアミン等のアミノ基数が3以上の多官能アミンを、上記有機ジアミンと併用することもできる。
【0042】
本発明において、ポリウレタン樹脂は、アミン価を有することが好ましい。ポリウレタンウレア樹脂のアミン価は0.5〜15mgKOH/gであることが好ましく、1〜13mgKOH/gであることがなお好ましい。この範囲内であると、基材に対するラミネート強度が向上傾向にある。
【0043】
ポリアミンを用いた鎖延長反応には、モノアミンを反応停止剤として使用してもよい。反応停止剤としては、例えばジブチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミンなどのジアルキルアミン類などの他、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、トリ(ヒドロキシメチル)アミノメタン、等の水酸基を有するアミン類も用いることができる。
【0044】
(バイオマスポリウレタン樹脂)
上記ポリウレタン樹脂は、バイオマスポリウレタン樹脂を含むことが好ましい。バイオマスポリウレタン樹脂とは、バイオマス由来の化合物から合成されるポリウレタン樹脂をいう。バイオマスポリウレタン樹脂はポリウレタン樹脂総質量中に30質量%以上含有することが好ましく、50質量%以上含有することがなお好ましい。本発明におけるバイオマスポリウレタン樹脂はバインダー樹脂として機能する。バイオマスポリウレタン樹脂の重量平均分子量は10,000〜100,000であることが好ましい。さらに好ましくは30,000〜80,000である。重量平均分子量が10,000〜100,000の範囲内であると、ラミネート強度が向上傾向にある。またガラス転移温度が−60℃〜−20℃であることが好ましく、−50℃〜−30℃であることが更に好ましい。
バイオマス由来の化合物としては、以下に限定されないが、例えば、植物由来であるセバシン酸、アゼライン酸、コハク酸、ダイマー酸などのバイオマス二塩基酸、植物由来であるエチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,3−プロパンジオール、などのバイオマスジオール、当該バイオマス二塩基酸およびバイオマスジオールを構成単位とするバイオマスポリオール、植物由来であるグリセリン、ヒマシ油ポリオールなどのバイオマスポリオール、植物由来であるロジンおよびロジン誘導体などが挙げられる。
【0045】
(バイオマス度)
本発明におけるバイオマスポリウレタン樹脂は、以下に記すバイオマス度が40質量%〜100質量%であることが好ましく、55質量%〜100質量%であることがより好ましい。また本発明におけるバイオマスポリウレタン樹脂を含むバインダーを有するグラビアまたはフレキソインキの不揮発分中のバイオマス度、すなわち印刷層のバイオマス度は、5質量%以上であることが好ましく、7質量%以上であることが好ましく、10質量%以上であることがなお好ましい。
【0046】
なお、バイオマス度とは化合物中に含まれる植物由来その他のバイオマス由来成分の割合をいう。すなわち、バイオマス度とは以下の式(4)で表される値である。
式(4)バイオマス度=100×化合物中のバイオマス由来成分総質量/化合物の総質量
例えば、ポリエステル樹脂のバイオマス度は以下のように計算する。バイオマス由来原料と、バイオマス由来でない原料との反応物である場合、反応前の原料に換算して、計算する。例えば、二塩基酸とジオールとの反応物であるポリエステル樹脂(ポリエステルポリオール)の場合、
バイオマス度=100×(バイオマス二塩基酸+バイオマス由来ジオール)/(すべての二塩基酸+すべてのジオール)
である。「すべての二塩基酸」とは、バイオマス由来二塩基酸およびバイオマス由来でない二塩基酸の合計をいい、「すべてのジオール」およびバイオマス由来ジオールおよびバイオマス由来でないジオールの合計をいう。
【0047】
(塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂)
塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂としては、塩化ビニルと酢酸ビニルが共重合したものであり、分子量としては重量平均分子量で5,000〜100,000のものが好ましく、20,000〜70,000が更に好ましい。塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂の固形分100質量%中の酢酸ビニルモノマー由来の構造は、1〜30質量%が好ましく、塩化ビニルモノマー由来の構造は、70〜95質量%であることが好ましい。この場合有機溶剤への溶解性が向上し、更に基材への密着性、皮膜物性、ラミネート強度等が良好となる。
また、有機溶剤への溶解性が向上するため、ケン化反応あるいは共重合でビニルアルコール由来の水酸基を含むものが更に好ましく、水酸基価として20〜200mgKOH/gであることが好ましい。また、ガラス転移温度は50℃〜90℃であることが好ましい。
【0048】
(塩化ビニル−アクリル共重合樹脂)
塩化ビニル−アクリル共重合樹脂は、塩化ビニルモノマーとアクリルモノマーの共重合したものであり、アクリルモノマーとしては、基材に対する接着性と有機溶剤に対する溶解性が向上するため(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステルを含むことが好ましい。アクリルモノマーは、ポリ塩化ビニルの主鎖にブロックないしランダムに組み込まれていても良いし、ポリ塩化ビニルの側鎖にグラフト重合されていても良い。塩化ビニル−アクリル共重合樹脂は、重量平均分子量が10,000から100,000であることが好ましく、30,000から70,000であることが更に好ましい。また、水酸基価として20〜200mgKOH/gであることが好ましく、ガラス転移温度は50℃〜90℃であることが好ましい。
【0049】
また、塩化ビニル−アクリル共重合樹脂中の塩化ビニルモノマー由来の構造は、塩化ビニル−アクリル共重合樹脂固形分100質量%中、70〜95質量%であることが好ましい。この場合有機溶剤への溶解性が向上し、更に基材への密着性、皮膜物性、ラミネート強度等が良好となる。
【0050】
以下の説明において、(メタ)アクリルないし(メタ)アクリレートはそれぞれメタクリルおよびアクリル、メタクリレートおよびアクリレートを意味する。
【0051】
上記アクリルモノマーは水酸基を有するものを含むことが好ましく、例としては(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸6−ヒドロキシヘキシル、(メタ)アクリル酸8−ヒドロキシオクチルなどの(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステルや、
ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、1,4−シクロヘキサンジメタノールモノ(メタ)アクリレートなどのグリコールモノ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチルアクリルアミドなどが挙げられる。
これらの中でも(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル、アクリル酸2−ヒドロキシプロピルが溶剤に対する溶解性を向上させるため、より好ましい。これらは単独または2種以上を併用できる。なお上記以外のアクリルモノマーを随時含有しても良い。
【0052】
(有機溶剤)
本発明のインキは、液状媒体として有機溶剤を含む。使用される有機溶剤としては、混合溶剤としての使用が好ましく、トルエン、キシレンといった芳香族系有機溶剤、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンといったケトン系有機溶剤、酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸イソブチル、エステル系有機溶剤、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、などのアルコール系有機溶剤など公知の有機溶剤を使用できる。
中でも、トルエン、キシレンといった芳香族系有機溶剤を含まない有機溶剤(ノントルエン系有機溶剤)がより好ましい。更に好ましくは芳香族系有機溶剤および/またはメチルエチルケトン(以下「MEK」と表記する)などのケトン系有機溶剤を含まない有機溶剤であることが好ましい。その場合、エステル系有機溶剤とアルコール系有機溶剤を含むものが好ましく、質量比(エステル系有機溶剤:アルコール系有機溶剤)は、40:60〜90:10であることが好ましく、50:50〜90:10であることがなお好ましい。また、有機溶剤総量中にエステル系有機溶剤を主成分(50質量%以上)として含有することが好ましい。
【0053】
(塩素化ポリオレフィン)
本発明における塩素化ポリオレフィン樹脂は、易接着処理基材への密着性やラミネート強度が向上するため、塩素含有率が25〜45質量%であることが好ましく、26〜40質量%であることがより好ましい。ここで、本発明における塩素含有率とは、塩素化ポリオレフィン樹脂100質量%中の塩素原子の含有質量% である。また、エステル系溶剤/ アルコール系溶剤などの混合溶剤への溶解性の観点から、本発明における塩素化ポリオレフィン樹脂の重量平均分子量は、5000〜90,000であることが好ましく、5000〜30,000であることがなお好ましい。また、耐ブロッキング性とのバランスの観点から、塩素化ポリオレフィン樹脂はインキ100質量%中に0.1〜2質量% 含有することが好ましい。より好ましくは0.2〜1.5質量% である。
【0054】
本発明において、塩素化ポリオレフィン樹脂はα−オレフィンの重合体の水素を塩素置換した構造を有するものであり、α−オレフィンとは下記一般式(1)であらわされる、炭素-炭素二重結合がα位にある、つまり末端にあるアルケンである。
一般式(1)
CH
2=CH−R
(式中、Rは炭素数1以上のアルキル基である。)
塩素化ポリオレフィン樹脂は、柔軟性を持つアルキル基を分枝構造として有するため、低温下でも柔軟であり、上記使用量にて基材密着性を向上させる。塩素化ポリオレフィン樹脂におけるα−オレフィン構造は、特に制限はない。例えばポリプロピレン、ポリ−1−ブテン、ポリ−4−メチル−1−ペンテンなどのα−オレフィン系不飽和炭化水素の単独重合体又は共重合体を含有する樹脂が好ましい。中でもポリプロピレン構造(すなわち塩素化ポリプロピレン構造)を含むものが特に好ましい。この場合、前述のアルキル基を有するジオールと二塩基酸からなるポリエステル構造単位を有するポリウレタン樹脂と併用した場合に優れた基材密着性が得られる。
【0055】
また、上記塩素化ポリオレフィン樹脂は、他のモノマーとの共重合樹脂であっても良く、上記塩素含有率であれば、特段限定は無い。共重合可能なモノマーはアクリルモノマー、酸性モノマー、酢酸ビニルモノマー、スチレンモノマーなどが好ましい。なお、アクリルモノマーとしては前述のアクリルモノマー等が挙げられ、酸性モノマーは、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、無水シトラコン酸、メサコン酸、イタコン酸、無水イタコン酸、アコニット酸、無水アコニット酸、無水ハイミック酸、(メタ)アクリル酸等が挙げられる。
【0056】
(ワックス)
本発明のグラビアインキは、ワックスとして、脂肪酸アミド、および炭化水素系ワックスから選ばれる少なくとも一種を含む。
【0057】
(脂肪酸アミド)
本発明のグラビアインキでは、脂肪酸アミドを含有することが好ましく、耐ブロッキング性における基材汎用性などの被膜物性が向上する。使用する脂肪酸アミドは、炭素数10〜25の脂肪族炭化水素基とアミド基を有するものが好ましい。脂肪酸アミドは、グラビアインキ中では溶解、あるいは分散されているが、印刷後には印刷被膜の表面に配向し、滑り性を発現させて印刷ロールで重なる基材に対する耐ブロッキング性を向上させると考えられる。
【0058】
尚、炭素数10〜25の脂肪族炭化水素基とは、直鎖、分岐、環状構造を有する飽和または不飽和の脂肪族炭化水素基を指し、アルキル基、アルケニル基、アルケンジイル基、シクロアルキル基等が挙げられる。これらの内、直鎖構造を有する飽和または不飽和の脂肪族炭化水素基が好ましい。
脂肪酸アミドとしては、後述するモノアミド、置換アミド、ビスアミド、メチロールアミド、エステルアミド等が挙げられ、モノアミド、置換アミド、およびビスアミドからなる群より選ばれる少なくとも一種であることが好ましい。脂肪酸アミドの含有量は、グラビアインキ100質量%中0.01〜3質量%であることが好ましく、0.05〜2質量%であることがより好ましく、0.1〜1質量%であることがなお好ましい。
また、脂肪酸アミドの融点は、50℃〜150℃であることが好ましく、分子量が200〜800のもの、更に好ましくは250〜700である。
【0059】
<モノアミド>
モノアミドは、下記一般式(2)で表される。
一般式(2)
R
1−CONH
2
(式中、R
1は、炭素数10〜25の脂肪族炭化水素基を表す。)
モノアミドとしては、例えば、ラウリン酸アミド、パルミチン酸アミド、ステアリン酸アミド、ベヘン酸アミド、ヒドロキシステアリン酸アミド、オレイン酸アミド、エルカ酸アミド等が挙げられる。
<置換アミド>
置換アミドは、下記一般式(3)で表される。
一般式(3)
R
2−CONH−R
3
(式中、R
2およびR
3は、炭素数10〜25の脂肪族炭化水素基を表し、同一でも異なっていても良い。)
置換アミドとしては例えば、N−オレイルパルミチン酸アミド、N−ステアリルステアリン酸アミド、N−ステアリルオレイン酸アミド、N−オレイルステアリン酸アミド、N−ステアリルエルカ酸アミド等が挙げられる。
<ビスアミド>
ビスアミドは、下記一般式(4)または一般式(5)で表される。
一般式(4)
R
4−CONH−R
5−HNCO−R
6
一般式(5)
R
7−NHCO−R
8−CONH−R
9
(式中、R
4、R
6、R
7、およびR
9は、炭素数10〜25の脂肪族炭化水素基を表し、同一でも異なっていても良く、R
5およびR
8は、アルキレン基またはアリーレン基を表す。)
ビスアミドとしては、例えば、メチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスカプリン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスヒドロキシステアリン酸アミド、エチレンビスベヘン酸アミド、ヘキサメチレンビスステアリン酸アミド、ヘキサメチレンビスベヘン酸アミド、ヘキサメチレンヒドロキシステアリン酸アミド、エチレンビスオレイン酸アミド、エチレンビスエルカ酸アミド、ヘキサメチレンビスオレイン酸アミド、N,N’−ジステアリルアジピン酸アミド、N,N’−ジステアリルセバシン酸アミド、N,N’−ジオレイルアジピン酸アミド、N,N’−ジオレイルセバシン酸アミド等が挙げられる。
【0060】
(炭化水素系ワックス)
本発明では、脂肪酸アミドだけでなく、炭化水素系ワックスも好適に用いられ、必要に応じて、脂肪酸アミドと炭化水素系ワックスの併用も可能である。炭化水素系ワックスは以下に限定されるものではないが、ポリエチレンワックス、およびフィッシャー・トロプシュ・ワックス、パラフィンワックス、マイクロスタリンワックス、ポリプロピレンワックス等が挙げられる。中でも、ポリエチレンワックスおよび/またはフィッシャー・トロプシュ・ワックスを含む炭化水素系ワックスが好ましい。当該炭化水素系ワックスはグラビアインキ中に0.01〜1.0質量%含有することで基材への接着性、耐ブロッキング性およびインキの経時安定性の観点から望ましい。炭化水素系ワックスの融点としては90〜130℃であることが好ましい。
【0061】
(着色剤)
本発明においては着色剤を使用することが好ましく、顔料であることが好ましい。当該顔料は有機顔料および、酸化チタン顔料その他の無機顔料でC.I.ピグメントとしてカラーインデックスに収載のものを任意に使用することができる。
【0062】
(酸化チタン顔料、酸化チタンともいう)
本発明において、酸化チタン顔料は、結晶構造がアナターゼ型、ルチル型、ブルッカイト型のいずれのものを使用してもよい。中でも顔料分散性が良好であるため、ルチル型酸化チタンの使用が好ましい。酸化チタンの工業的生産では原料にルチル鉱石またはイルメナイト鉱石(FeTiO3)が用いられている。主な製造法には塩素法と硫酸法の二種類がありいずれの製法のものを用いても良い。
また、グラビア印刷における印刷適性が向上するため、酸化チタン顔料は表面処理されているものが好ましい。特にSi、Al、Zn、Zrおよびそれらの酸化物から選ばれる少なくとも一種の金属により表面処理されているものが好ましい。
【0063】
また、JIS K5101に規定されている測定法による吸油量が14〜35ml/100gであることが好ましく、17〜32ml/100gであることがより好ましい。また、透過型電子顕微鏡により測定した平均粒子径(メディアン粒子径)が0.2〜0.3μmであることが好ましい。また、酸化チタン顔料の合計含有量は、インキ100重量%中、10〜60重量%であることが好ましく、10〜45重量%であることがより好ましい。また複数種の酸化チタン顔料を併用しても良い。本発明において、酸化チタンとバインダー樹脂の質量比(酸化チタン顔料/バインダー樹脂)は、2.8〜5であることが好ましく、3.2〜4.5であることがより好ましい。また、酸化チタン顔料の他に、その他の無機顔料、有機顔料も更に併用することができる。
【0064】
上記無機顔料としては、酸化チタン、酸化亜鉛、硫化亜鉛、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、酸化クロム、シリカ、アルミニウム粒子、マイカ(雲母)、ブロンズ粉、クロムバーミリオン、黄鉛、カドミウムイエロー、カドミウムレッド、群青、紺青、ベンガラ、黄色酸化鉄、鉄黒、酸化チタン、酸化亜鉛等が挙げられ、アルミニウムはリーフィングタイプまたはノンリーフィングタイプがあるが、ノンリーフィングタイプが好ましい。
【0065】
(有機顔料)
上記有機顔料としては、以下の例には限定されないが、溶性アゾ系、不溶性アゾ系、アゾ系、フタロシアニン系、ハロゲン化フタロシアニン系、アントラキノン系、アンサンスロン系、ジアンスラキノニル系、アンスラピリミジン系、ペリレン系、ペリノン系、キナクリドン系、チオインジゴ系、ジオキサジン系、イソインドリノン系、キノフタロン系、アゾメチンアゾ系、フラバンスロン系、ジケトピロロピロール系、イソインドリン系、インダンスロン系、カーボンブラック系などの顔料が挙げられる。また、例えば、カーミン6B、レーキレッドC、パーマネントレッド2B、ジスアゾイエロー、ピラゾロンオレンジ、カーミンFB、クロモフタルイエロー、クロモフタルレッド、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、ジオキサジンバイオレット、キナクリドンマゼンタ、キナクリドンレッド、インダンスロンブルー、ピリミジンイエロー、チオインジゴボルドー、チオインジゴマゼンタ、ペリレンレッド、ペリノンオレンジ、イソインドリノンイエロー、アニリンブラック、ジケトピロロピロールレッド、昼光蛍光顔料等が挙げられる。
【0066】
(その他添加剤)
本発明のインキは、上記以外に必要に応じてレベリング剤、消泡剤、シランカップリング剤、可塑剤、光安定化剤、シリカ粒子、赤外線吸収剤、紫外線吸収剤、芳香剤、難燃剤、硬化剤などの添加剤を含むこともできる。
【0067】
(インキの製造方法)
本発明におけるグラビアインキは、例えば、酸化チタン顔料、バイオマスポリウレタン樹脂を含むバインダー樹脂および有機溶剤等をあらかじめ撹拌混合機により混ぜておき、更にその混合物をビーズミルなどの分散機を用いて顔料分散工程を経て、得られた分散体に、バインダー樹脂、各種添加剤や有機溶剤等を追加混合して本発明のインキを製造できる。
分散機としては一般に使用される、例えばローラーミル、ボールミル、ペブルミル、アトライター、サンドミルなどを用いることができる。顔料分散体における顔料の粒度分布は、分散機の粉砕メディアのサイズ、粉砕メディアの充填率、分散処理時間、顔料分散体の吐出速度、顔料分散体の粘度などを適宜調節することにより、調整することができる。また、本発明においては顔料を含有しないメジウム等に関しても適用できる。
【0068】
グラビアインキの粘度は、顔料の沈降を防ぎ、適度に分散させる観点から25℃において、10mPa・s以上、インキ製造時や印刷時の作業性効率の観点から1000mPa・s以下の範囲であることが好ましい。20〜500mPa・sであることがなお好ましい。上記粘度はトキメック社製B型粘度計で25℃において測定された粘度値を採用できる。
【0069】
(硬化剤)
グラビアフレキソインキは、ラミネート強度を向上させるためイソシアネート系硬化剤を添加し、2液型のグラビアまたはフレキソインキとして使用する形態も好ましい。かかるイソシアネート系硬化剤としては、例えばトリレンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)あるいは、それぞれのアダクト型ポリイソシアネート(アダクト体)、ビウレット型ポリイソシアネート(ビウレット体)、イソシアヌレート型ポリイソシアネート(イソシアヌレート体)等が好適に使用でき、例えば、トリメチロールプロパン1モルとHDI3モルとの反応から得られるアダクト体、水1モルとHDI3モルとの反応から得られるビウレット体、HDIの環状三量化反応から得られるイソシアヌレート体等が好適に挙げられる。2液型として使用する場合、ポリイソシアネート系硬化剤の添加量は本発明のインキ総量に対して、0.5〜10質量%が好ましく、0.5〜5質量%での使用が好ましい。
【0070】
(グラビアインキの印刷)
本発明におけるインキは、グラビア印刷方式およびフレキソ印刷方式利用することもできる。グラビア印刷では、印刷に適した粘度および濃度にまで希釈溶剤で希釈され、単独でまたは混合されて各印刷ユニットに供給される。
【0071】
(グラビア印刷)
本発明におけるグラビアインキをグラビア印刷する場合、グラビア版を用いて印刷される。本発明においてグラビア版は金属製の円筒状のものであり、彫刻または腐蝕・レーザーにて凹部を各色で作成される。彫刻とレーザーは使用に制限は無く、柄に合わせて任意に設定が可能である。線数としては100線〜300線/インチのものが適宜使用され、線数の大きいものほど高精細な印刷が可能である。
(印刷機)
印刷機は、上記グラビア版を具備した印刷機を好適に使用できる。通常色ごとに印刷ユニットが設置されており、各ユニットにはグラビア版が輪転すると同時にインキを掻き取るドクターブレードが配置され、基材は各印刷ユニットを通過して凹版印刷されたのちにフィルム巻取り物となる。場合に応じてグラビア版にファニッシャーロールを使用することが可能である。また、各ユニットには乾燥オーブンが設けられており、印刷された基材がオーブンを通って乾燥される。乾燥温度は通常40〜60℃程度である。
【0072】
(基材)
本発明の印刷物は、基材上に、本発明のラミネート用グラビアインキから形成された印刷層を有する。印刷層を形成するとき使用する基材を基材1ともいう。これに対し、印刷層にさらに積層として積層体とするとき使用するフィルムなどの基材を基材2ともいう。
(基材1)
本発明のグラビアインキは、基材1に、あるいは、基材1と基材2を含む積層体の基材1の表面又は裏面に、印刷されて印刷物となる。本発明のグラビアまたはフレキソインキを適用できる基材としては、ポリエチレンおよびポリプロピレンその他のポリオレフィン基材、ポリカーボネート基材、ポリエステル基材(ポリエチレンテレフタレートやポリ乳酸など)、ポリスチレン基材、AS樹脂もしくはABS樹脂等のポリスチレン系基材、ポリアミド基材、ポリ塩化ビニル基材、ポリ塩化ビニリデンの各種基材、セロハン基材、紙基材もしくはアルミニウム箔基材など、もしくはこれらの複合材料からなるフィルム状、またはシート状のものがある。中でも、ガラス転移温度が高いポリエステル基材、ポリアミド基材が好適に用いられる。
【0073】
上記基材は、金属酸化物などを表面に蒸着コート処理および/またはポリビニルアルコールなどコート処理が施されていてもよく、例えば、酸化アルミニウムを基材表面に蒸着させた凸版印刷株式会社製GL−AEや、大日本印刷株式会社製IB−PET−PXB等が挙げられる。さらに、必要に応じて帯電防止剤、紫外線防止剤などの添加剤を処理したものや、基材の表面をコロナ処理あるいは低温プラズマ処理したものなども使用することができる。
【0074】
(基材2)
基材2は基材1と同様のものが挙げられ、同一でも異なっていてもよい。なお、熱可塑性基材(シーラントと称する場合がある)であることが好ましく、無延伸ポリエチレン基材、無延伸ポリプロピレン基材、無延伸ポリエステル基材等が好ましい。
【0075】
本発明でいう、「ラミネート用」とは基材1、本発明のインキより形成される印刷層および基材2をこの順に有する積層体である使用形態、という意味であり、基材1、印刷層、接着剤層および基材2をこの順に有する積層体である形態がより好ましい。
【0076】
(積層体)
本発明の積層体はグラビアまたはフレキソインキを印刷した印刷物の印刷層上に、接着剤層を設け、基材2と貼り合わせる(ラミネートする)ことで得られる。ラミネート加工の代表例として、エクストルジョンラミネート、ドライラミネート、ノンソルラミネート法等が好適に挙げられる。エクストルジョンラミネートとは、印刷物の印刷層上にアンカーコート剤を塗布してそこへ溶融ポリエチレン樹脂、溶融ポリプロピレン樹脂等を押し出して同時に基材と貼り合わせて積層する方法であり。ドライラミネート法、ノンソルラミネート法とは、接着剤を印刷物の印刷層上に塗布・乾燥し、シーラントと熱圧着して積層する方法である。なおドライラミネート法とノンソルラミネート法は有機溶剤その他の揮発性媒体を含有するか否かの違いである。
【0077】
(接着剤層)
接着剤層とは、上記インキと基材を貼り合わせることができる組成物をいい、溶融ポリエチレン樹脂、溶融ポリプロピレン樹脂、ウレタン接着剤から形成される層、アクリル接着剤から形成される層、アンカーコート層などが挙げられる。例えば、ウレタン接着剤を塗布、乾燥して得られる。ウレタン接着剤としてはポリオールおよびイソシアネート硬化剤の混合物からなる2液型接着剤などが好適であり、ポリオールとしてはポリエステル系、ポリエーテル系などが挙げられる。具体的には東洋モートン株式会社製・TM−250HV/CAT−RT86L−60、TM−550/CAT−RT37、TM−314/CAT−14B等が挙げられる。
【実施例】
【0078】
以下、実施例をあげて本発明を詳細に説明するが、以下の実施態様は本発明のごく一例であり、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。なお、本発明における部および%は、特に注釈の無い場合、質量部および質量%を表す。
【0079】
<アミン価の測定方法>
アミン価は、樹脂1g中に含有するアミノ基を中和するのに必要とする塩酸の当量と同量の水酸化カリウムのmg数でJISK0070に準じて以下の方法に従って求めた。
試料を0.5〜2g精秤した(試料固形分:Sg)。精秤した試料にメタノール/メチルエチルケトン=60/40(質量比)の混合溶液50mLを加え溶解させた。得られた溶液に指示薬としてブロモフェノールブルーを加え、得られた溶液を0.2mol/Lエタノール性塩酸溶液(力価:f)で滴定を行なった。溶液の色が緑から黄に変化した点を終点とし、この時の滴定量(AmL)を用い、下記(式1)によりアミン価を求めた。
(式1)アミン価=(A×f×0.2×56.108)/S [mgKOH/g]
【0080】
<数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)の測定方法>
数平均分子量(Mn)と重量平均分子量(Mw)の測定は、昭和電工社製GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)「ShodexGPC System−21」を用いた。GPCは溶媒に溶解した物質をその分子サイズの差によって分離定量する液体クロマトグラフィーであり、溶媒としてはテトロヒドロフラン、分子量の決定はポリスチレン換算で行った。
【0081】
<水酸基価の測定方法>
JISK0070に記載の方法に従って求めた。
【0082】
<酸価の測定方法>
JISK0070に記載の方法に従って求めた。
【0083】
<ガラス転移温度>
ガラス転移温度は、粘弾性測定機である粘弾性スペクトロメーターDVA−200(アイティー計測制御株式会社製)を用い、周波数10Hz、昇温速度10℃/分、温度範囲−70〜200℃にて測定される動的粘弾性の温度分散測定から得られる、損失正接(tanδ)の主分散のピーク値から求めた。
【0084】
[合成例1−1](ポリウレタンPU1の合成)
数平均分子量2000の、3−メチル−1,5−ペンタンジオール(以下、「MPD」)とアジピン酸(以下、「AdA」)の縮合物であるポリエステルポリオール(株式会社クラレ社製ポリオールP−2010)80部、数平均分子量2000のポリプロピレングリコール(以下「PPG」)20部、1,3−プロパンジオール(以下「1,3−PD」)を1.5部、イソホロンジイソシアネート(以下「IPDI」)31部、および酢酸プロピル33.1部を窒素気流下に80℃で5時間反応させ、末端イソシアネートウレタンプレポリマーの溶剤溶液を得た。次いでイソホロンジアミン(以下「IPDA」)11部、イミノビスプロピルアミン(以下「IBPA」)1.5部、2−エタノールアミン(以下「2EtAm」)0.8部、酢酸プロピル/イソプロパノール(以下「IPA」)=60/40の混合溶剤307.1部を混合したものに、得られた末端イソシアネートプレポリマー溶液を40℃で徐々に添加し、次に80℃で1時間反応させた。反応終了後、酢酸プロピル/IPA混合溶剤により固形分30%に調整し、アミン価4.2mgKOH/g、水酸基価5.0mgKOH/g、ガラス転移温度−50℃、重量平均分子量50000のポリウレタン樹脂溶液PU1を得た。
【0085】
[合成例1−2](ポリウレタンPU2の合成)
1,3−PD 49.4部、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール(「以下BEPG」)2.6部、コハク酸48部、テトラブチルチタネート0.002部を仕込み、窒素気流下に230℃で縮合により生じる水を除去しながらエステル化を8時間行った。ポリエステルの酸価が15以下になったことを確認後、真空ポンプにより徐々に真空度を上げ反応を終了した。これにより数平均分子量2000、水酸基価56.1mgKOH/g、酸価0.3mgKOH/g、バイオマス度97%のポリエステルポリオ−ル(A2)を得た。
上記で得たポリエステルポリオ−ル(A2)を23.6部、IPDI4.68部、酢酸プロピル15部、2−エチルヘキサン酸スズ0.003部を仕込み、窒素気流下に120 ℃で6時間反応させ、末端イソシアネートプレポリマーの溶液を得た。次いでIPDA1.7部、酢酸プロピル34部およびIPA21部を混合したものに、得られた末端イソシアネートプレポリマーの溶液を室温で徐々に添加し、次に50℃で1時間反応させた。反応終了後、酢酸プロピル/IPA混合溶剤により固形分30%に調整し、重量平均分子量71000、アミン価4mgKOH/g ガラス転移温度−42℃、バイオマス度77%のポリウレタン樹脂PU2溶液を得た。
【0086】
[合成例1−3](ポリウレタンPU3の合成)
ネオペンチルグリコール(以下「NPG」)18部、1,3−PD 14部、AdA 14部、セバシン酸(以下、「SeA」)54部、テトラブチルチタネート0.002部を仕込み、窒素気流下に230℃で縮合により生じる水を除去しながらエステル化を8時間行った。ポリエステルの酸価が15以下になったことを確認後、真空ポンプにより徐々に真空度を上げ反応を終了した。これにより数平均分子量2000、水酸基価56.1mgKOH/g、酸価0.3mgKOH/g、バイオマス度86.0%のポリエステルポリオ−ル(A3)を得た。
次に、ポリエステルポリオ−ル(A3)24.2部、IPDI 4.0部、および酢酸プロピル24.0部、を窒素気流下に80℃で5時間反応させ、末端イソシアネートウレタンプレポリマーの溶剤溶液を得た。次いで、酢酸プロピル18部、IPA28部に溶解させたIPDA1.7部、ジブチルアミン0.2部に、得られた末端イソシアネートプレポリマー溶液を40℃ で徐々に添加し、次に80℃で1時間反応させ、固形分30%、アミン価4mgKOH/g、バイオマス度69.7%、ガラス転移温度−42℃、重量平均分子量70000のポリウレタン樹脂溶液PU3を得た。
【0087】
[実施例1](インキS1の製造)
藍顔料C.I.ピグメントブルー15:4(トーヨーカラー社製 製品名:リオノールブルーFG7330)10部、ポリウレタン樹脂溶液(PU1)溶液10部、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂(日信化学工業社製 ソルバインTA5R 固形分24%溶液)5部、混合溶剤(酢酸n−プロピル/IPA=80/20(質量比))15部を撹拌混合しサンドミルで顔料分散処理(練肉)した後、ポリウレタン樹脂溶液(PU1)25部、パルミチン酸アミド0.2部、塩素化ポリオレフィン溶液(日本製紙社製 製品名: スーパークロン370M 塩素含有率30% 固形分50%)1部、テルペンフェノール樹脂溶液(YSポリスターT−160(ヤスハラケミカル社製 テルペンフェノール樹脂 軟化点160℃ 水酸基価70mgKOH/g))3部、最後にインキ総量が100部となるように混合溶剤(n−プロピル/IPA=80/20(質量比))を攪拌混合し、藍色印刷インキS1を得た。
【0088】
[実施例2〜22](インキS2〜S22の製造)
表1に記載の原料および仕込み比率を用いた以外は、実施例1と同様の方法で、インキS2〜S22を得た。なお表中の記載は以下を表す。
・酸化チタン(テイカ社製 JR806 シリカおよびアルミナで表面処理されたルチル型酸化チタン 吸油量21g/100g)
・YSポリスターT−115(ヤスハラケミカル社製 テルペンフェノール樹脂 軟化点115℃ 水酸基価65mgKOH/g)
・YSポリスターG−150(ヤスハラケミカル社製 テルペンフェノール樹脂 軟化点150℃ 水酸基価140mgKOH/g)
・YSポリスターK−125(ヤスハラケミカル社製 テルペンフェノール樹脂 軟化点125℃ 水酸基価210mgKOH/g)
・ポリエチレンワックス:三井化学社製 ポリエチレンワックス 製品名ハイワックス320P 融点109℃
【0089】
[比較例1〜4](インキSS1〜SS4の製造)
表1に記載の原料および仕込み比率を用いた以外は、実施例1と同様の方法で、インキSS1〜SS4を得た。
【0090】
[インキS1を用いた印刷物の作製]
インキS1を、混合溶剤(酢酸n−プロピル/IPA=80/20(質量比))で希釈し、ザーンカップ#3(離合社製)における粘度が15秒(25℃において)に希釈調整し、版深30μmグラビア版を備えたグラビア校正機により、片面コロナ処理ポリプロピレン(OPP)フィルム(東洋紡株式会社製パイレンP2161)および片面コロナ処理ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(東洋紡株式会社製E5100#12)のコロナ処理面に印刷して60〜70℃ で乾燥し、インキS1を用いた印刷物(OPP、PET)を得た。
【0091】
[インキS2〜S22およびインキSS1〜SS4を用いた印刷物の作製]
インキS2〜S22およびインキSS1〜SS4を使用した以外は上記インキS1を用いた印刷物の例と同様の方法でインキS2〜S22およびインキSS1〜SS4を用いた印刷物(OPP、PET)をそれぞれ得た。
ここでインキS1〜S22およびインキSS1〜SS4を用いて作製したOPP印刷物をR1〜R22、RR1〜RR4とし、PET印刷物をT1〜T22、TT1〜TT4とする。
【0092】
[評価]
上記実施例および比較例において得られたインキ、S1〜S22(実施例)、SS1〜SS4(比較例)を用いて、以下に記載する方法により、グラビア印刷時のミスチング性・印刷ひげ、版カブリ性を評価した。また、それらの印刷物(R1〜R22、RR1〜RR4、T1〜T22、TT1〜TT4)を用いて、下記の方法で印刷物の耐ブロッキング性、多層印刷物のラミネート強度の評価も行った。なお、印刷時には各インキを酢酸n−プロピル/IPA=80/20の混合溶剤を使用して粘度をザーンカップ#3で15 秒(25℃)となるよう希釈した。
【0093】
<印刷適性(版かぶり性)>
グラビアインキS1〜S22、SS1〜SS4について版かぶり性評価を行った。印刷機における版の空転90分後の、版かぶり部分の面積を目視判定し、評価を行った。
(評価基準)
A.版かぶり面積が0%以上5%未満である(優)
B.版かぶり面積が5%以上10% 未満である(良)
C.版かぶり面積が10%以上15% 未満である(可)
D.版かぶり面積が15%以上である(不良)
【0094】
<ミスチング性、印刷ひげ評価法>
グラビアインキS1〜S22、SS1〜SS4について、ミスチング性・印刷ひげを評価した。
版深5μm〜45μmのグラビアグラデーション版(5μm刻みで彫刻)を備えたグラビア印刷機により、厚さ20μmの内面コロナ放電処理有り、帯電防止処理無しのOPPフィルムに印刷速度300m/分、乾燥器温度60℃で30秒間連続印刷し、印刷フィルムを得た。
得られた印刷フィルムの、45μm印刷部のミスチング汚れ、印刷ひげの発生状態を評価した。
○.ミスチング汚れ、印刷ひげともに発生なし(優)
△.ミスチング汚れは確認されないが、拡大鏡で印刷物を見ると印刷ひげが確認できる(良)
×.ミスチング汚れが確認できる、または印刷ひげが目視で確認できる(不良)
なお、A、Bは実用上問題がない範囲である。
【0095】
<耐ブロッキング性>
印刷物R1〜R22、RR1〜RR4について、以下の条件にて耐ブロッキング性の評価を行った。
OPP印刷物の印刷層/OPP基材非コロナ処理面10kg/cm
2
(静置条件)40℃−80%RH48時間
(評価方法)印刷面と基材とを引き剥がし、印刷面からのインキ被膜の剥離具合を目視で判定。
(評価基準)
A.印刷面のインキ被膜が全く剥離せず、剥離抵抗の小さいもの(優)
B.インキ被膜の剥離面積が1%以上10%未満であり、剥離抵抗の小さいもの(良)C.インキ被膜の剥離面積が10%以上20%未満のもの(可)
D.インキ被膜の剥離面積が40%以上のもの(不良)
なお、A〜Cは実用上問題がない範囲である。
【0096】
<テープ密着性>
印刷物R1〜R22、RR1〜RR4について、それぞれ25℃で1日間放置後、印刷面に幅12mmの粘着テープ( ニチバン社製 セロハンテープ)を貼り付け、これを基材面に対して90°方向に急速に剥がしたときの印刷面の外観の状態を目視判定した。尚、判定基準は以下の通りとした。
(評価基準)
A.印刷面のインキ被膜が全く剥離しないもの(優)
B.インキ被膜の剥離面積が1 % 以上10% 未満であるもの(良)
C.インキ被膜の剥離面積が10%以上40% 未満のもの(可)
D.インキ被膜が40% 以上剥がれるもの(不良)
なお、A〜Cは実用上問題がない範囲である。
【0097】
[エクストルジョンラミネート(EL)強度]
OPPフィルム印刷物(R1〜R22、RR1〜RR4)の印刷層上に、イミン系のアンカーコート剤(東洋モートン社製・EL420)を固形分1質量%としたメタノール溶液を塗工し、押し出しラミネート機(ムサシノキカイ社製)によってライン速度100m/minにて溶融ポリエチレン(日本ポリエチレン社製・LC600A)を320℃で押し出して18μmで積層し、同時にCPP(フタムラ化学社製 FCMN 膜厚20μm)を同様に貼り合わせてラミネート積層体を得た。ラミネート加工後、ラミネート積層体について長さ150mm、幅15mmに切り出し、インキ/OPPフィルム界面で開き、引っ張り試験機を用いて90°方向のラミネート強度を測定した。
(評価基準)
A:1.2N/15mm以上(優)
B:0.7N/15mm以上、1.2N/15mm未満(良)
C:0.4N/15mm以上、0.7N/15mm未満(可)
D:0.4N/15mm未満(不可)
なお実用レベルはA〜Cである。
【0098】
<ドライラミネート(DL)強度>
印刷物(T1〜T22、TT1〜TT4)の印刷面に、ポリエステルウレタン系ラミネート接着剤(東洋モートン社製 TM250HV/CAT−RT86L−60) を固形分20%の酢酸エチル溶液を、乾燥後の接着剤層が2.0g/m
2となるように塗工・乾燥した後、接着剤層に厚さ80μmの未延伸ポリプロピレン(CPP)を貼り合わせてドライラミネート加工を行って積層体を得た。ラミネート加工後、ラミネート積層体について長さ150mm、幅15mmに切り出し、インキ/PETフィルム界面で開き、引っ張り試験機を用いて90°方向のラミネート強度を測定した。
(評価基準)
A:1.2N/15mm以上(優)
B:0.7N/15mm以上、1.2N/15mm未満(良)
C:0.4N/15mm以上、0.7N/15mm未満(可)
D:0.4N/15mm未満(不可)
なお実用レベルはA〜Cである。
【0099】
評価結果から、本発明のグラビアインキは印刷適性が良好であり、ポリプロピレン基材などの難接着性基材に対して密着性が高く、耐ブロッキング性とラミネート強度を高いレベルで両立できることが示された。また、予想外の効果としてミスチング性や印刷ひげの発生が抑制されることを見出した。
【0100】
【表1】