【解決手段】共重合体(α)と酸変性ポリオレフィン(X)とを構成単位として含むグラフトポリマー(G)を含有してなる粘着剤であって、前記(G)が共重合体(α)を幹に有し、酸変性ポリオレフィン(X)を枝に有するグラフトポリマーであり、前記(α)がアルキルアクリレート(a1)と水酸基を有する単量体(a2)とを構成単量体として含み、前記酸変性ポリオレフィン(X)がポリオレフィン(A)と不飽和(ポリ)カルボン酸(無水物)(B)とを構成原料として含み、前記(A)がエチレンと炭素数3〜8のα−オレフィンとを構成単量体として含み、前記(A)の構成単量体であるエチレンと炭素数3〜8のα−オレフィンとの重量比[エチレン/炭素数3〜8のα−オレフィン]が2/98〜50/50であって、(X)が下記要件(1)〜(3)をいずれも満たす粘着剤。
共重合体(α)と酸変性ポリオレフィン(X)とを構成単位として含むグラフトポリマー(G)を含有してなる粘着剤であって、前記グラフトポリマー(G)が共重合体(α)を幹(φ)に有し、酸変性ポリオレフィン(X)を枝(λ)に有するグラフトポリマーであり、前記共重合体(α)がアルキル(アルキル基の炭素数4〜8)アクリレート(a1)と水酸基を有する単量体(a2)とを構成単量体として含み、前記酸変性ポリオレフィン(X)がポリオレフィン(A)と不飽和(ポリ)カルボン酸(無水物)(B)とを構成原料として含み、前記ポリオレフィン(A)がエチレンと炭素数3〜8のα−オレフィンとを構成単量体として含み、前記ポリオレフィン(A)の構成単量体であるエチレンと炭素数3〜8のα−オレフィンとの重量比[エチレン/炭素数3〜8のα−オレフィン]が2/98〜50/50であって、(X)が下記要件(1)〜(3)をいずれも満たす粘着剤。
要件(1):酸価が1〜100mgKOH/g
要件(2):数平均分子量(Mn)が1,000〜60,000
要件(3):α−オレフィン部分のアイソタクティシティーが1〜50%
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明の粘着剤は、共重合体(α)と酸変性ポリオレフィン(X)とを構成単位として含むグラフトポリマー(G)を含有してなる粘着剤である。
【0008】
<共重合体(α)>
本発明における共重合体(α)は、前記アルキル(アルキル基の炭素数4〜8)アクリレート(a1)と水酸基を有する(メタ)アクリレート(a2)とを構成単量体として含む。なお、単量体を、モノマーと略記することがある。
【0009】
<アルキル(アルキル基の炭素数4〜8)アクリレート(a1)>
本発明におけるアルキル(アルキル基の炭素数4〜8)アクリレート(a1)としては、例えば、n−ブチルアクリレート、ネオペンチルアクリレート、n−オクチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレートが挙げられる。
上記(a1)のうち、粘着性の観点から、好ましくはn−ブチルアクリレート及び2−エチルヘキシルアクリレート、更に好ましくはn−ブチルアクリレートである。
【0010】
<水酸基を有する(メタ)アクリレート(a2)>
水酸基を有する(メタ)アクリレート(a2)としては、例えば、水酸基として1級水酸基のみを有する(メタ)アクリレート(a21)、水酸基として2級水酸基のみを有する(メタ)アクリレート(a22)、1級水酸基と2級水酸基とを有する(メタ)アクリレート(a23)が挙げられる。
なお、(メタ)アクリレートは、メタアクリレート及び/又はアクリレートを意味する。
【0011】
前記1級水酸基のみを有する(メタ)アクリレート(a21)としては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−1−メチルエチル(メタ)アクリレートが挙げられる。
前記2級水酸基のみを有する(メタ)アクリレート(a22)としては、例えば、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートが挙げられる。
前記1級水酸基と2級水酸基とを有する(メタ)アクリレート(a23)としては、例えば、グリセリンモノ(メタ)アクリレートが挙げられる。
【0012】
上記水酸基を有する(メタ)アクリレート(a2)のうち、粘着性の観点から好ましいのは、1級水酸基のみを有する(メタ)アクリレート(a21)、及び、2級水酸基のみを有する(メタ)アクリレート(a22)であり、更に好ましくは(a21)である。また、(a2)は1官能の単量体であることが好ましい。
【0013】
共重合体(α)を構成する全単量体の重量に基づいて、(a1)と(a2)との合計重量は、粘着性の観点から好ましくは40〜100重量%、更に好ましくは45〜100重量%、特に好ましくは50〜100重量%である。
【0014】
本発明の共重合体(α)は、前記アルキル(アルキル基の炭素数4〜8)アクリレート(a1)及び前記水酸基を有する(メタ)アクリレート(a2)以外の単量体を構成団量体に含んでもよい。
【0015】
前記(a1)及び(a2)以外の構成単量体としては、例えば、(メタ)アクリロイル基を有するポリオレフィン(a3)、脂環式の置換基を持つ(メタ)アクリレート(a4)、カルボキシル基を有する単量体(a5)、及び、(a1)〜(a5)以外のその他の1官能の単量体(a6)等が挙げられる。
【0016】
<(メタ)アクリロイル基を有するポリオレフィン(a3)>
(メタ)アクリロイル基を有するポリオレフィン(a3)としては、ポリオレフィン(炭化水素重合体)をベースとする単量体であり、具体的には炭素数2〜10のアルケン[例えばエチレン、プロピレン、ノルマルブテン、イソブテン等]及び炭素数2〜10のアルカジエン[例えばブタジエン、イソプレン等]からなる群から選ばれる1種以上の単量体を構成単量体とする炭化水素重合体の片末端に水酸基を導入した水酸基含有(共)重合体又は炭化水素重合体の片末端にアミノ基を導入したアミノ基含有(共)重合体と、(メタ)アクリル酸とのエステル化反応又はアミド化反応又は(メタ)アクリル酸メチルとのエステル交換、炭化水素重合体の片末端にカルボキシル基又は酸無水物基を導入した(共)重合体と水酸基を有する(メタ)アクリル酸とのエステル化、炭化水素重合体の片末端にエポキシ基を導入した(共)重合体と(メタ)アクリル酸との付加反応等により得ることができる単量体である。
炭化水素重合体が、二重結合を有する場合には、水素添加により、二重結合の一部又は全部を水素化したものであってもよい。
上記(a3)のうち、粘着性の観点から、好ましいのは水添ポリブタジエン(メタ)アクリレート、更に好ましいのは(メタ)アクリロイル基を1個有する水添ポリブタジエンである。また、(a3)は1官能の単量体であることが好ましい。
【0017】
前記(a3)の数平均分子量(Mn)は、好ましくは1,000〜15,000、更に好ましくは2,000〜10,000である。
また、市販の(a3)としては、例えば、[「L1253」、クラレ(株)製]が挙げられる。
【0018】
<脂環式の置換基を持つ(メタ)アクリレート(a4)>
脂環式の置換基を持つ(メタ)アクリレート(a4)としては例えば、シクロヘキシル(メタ)アクリレート(a41)、4−t−ブチルシクロヘキシルアクリレート(a42)、イソボニルアクリレート(a43)が挙げられる。
【0019】
上記(a4)のうち、粘着性の観点から、好ましいのは、(a42)及び(a43)、更に好ましいのは(a42)である。また、(a4)は1官能の単量体であることが好ましい。
【0020】
カルボキシル基を有する単量体(a5)としては、例えば、(メタ)アクリル酸、クロトン酸などの1塩基酸、マレイン酸、イタコン酸、フマル酸などの多塩基酸もしくはその酸無水物、これらの多塩基酸のモノアルキルエステルが挙げられる。これらのうち好ましいものはアクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸及びイタコン酸が挙げられる。また、(a5)は1官能の単量体であることが好ましい。
上記(a5)のうち、粘着性の観点から、好ましいのはアクリル酸である。
【0021】
その他の1官能の単量体(a6)としては、例えば、ビニルエステル[酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル等]、(メタ)アクリレート[メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ネオペンチルメタアクリレート、n−オクチルメタアクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシルメタアクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート等]が挙げられる。
上記(a6)のうち、粘着性の観点から、好ましいのは酢酸ビニルである。
【0022】
共重合体(α)の構成する全単量体の重量に基づいて、(a3)、(a4)、(a5)及び(a6)の合計重量は、粘着性の観点から好ましくは60重量%以下、更に好ましくは55重量%以下、特に好ましくは50重量%以下である。
【0023】
本発明における共重合体(α)は、前記単量体を、公知の重合方法(塊重合、溶液重合、乳化重合、懸濁重合など)により、公知の重合開始剤(アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスイソバレロニトリルなどのアゾ重合開始剤;ベンゾイルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、ラウリルパーオキサイドなどのパーオキサイド重合開始剤など)を使用して行なうことができる。
上記重合方法のうち、好ましいのは溶剤(S)(例えば酢酸エチル)の存在下で溶液重合する方法である。
【0024】
上記共重合体(α)のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)による重量平均分子量(Mw)(ポリスチレン換算)は、粘着性及び取り扱いの観点から、好ましくは100,000〜1,000,000、更に好ましくは150,000〜800,000、特に好ましくは200,000〜600,000である。
【0025】
本発明における共重合体(α)のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)の測定条件は、以下のとおりである。
装置: 「HLC−8120GPC」[東ソー(株)製]
カラム:「Guardcolumn HXL−H」(1本)、
「TSKgel GMHXL」(2本)[いずれも東ソー(株)製]
試料溶液:0.25重量%のテトラヒドロフラン溶液
溶液注入量:100μl
流量:1ml/分
測定温度:40℃
検出装置:屈折率検出器
基準物質:標準ポリスチレン
【0026】
共重合体(α)の水酸基価(単位:mgKOH/g)は、粘着性、電気特性(比誘電率)及び後述のグラフトポリマー(G)の生産性の観点から、好ましくは10〜120、更に好ましくは15〜100、特に好ましくは20〜80である。水酸基価(mgKOH/g)は、JIS K0070に準じて測定できる。
【0027】
本発明における酸変性ポリオレフィン(X)は、ポリオレフィン(A)と不飽和カルボン酸(B)とを構成単位として含む。
【0028】
<ポリオレフィン(A)>
ポリオレフィン(A)は、エチレンと炭素数3〜8のα−オレフィンとを構成単量体として含む。以下では、「炭素数3〜8のα−オレフィン」を「α−オレフィン」と記載する。
上記α−オレフィンとしては、例えば、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテンが挙げられる。
なお、α−オレフィンは1種、2種又はそれ以上を併用してもよいが、1種が好ましい。
上記α−オレフィンのうち、粘着性及び工業上の観点から、好ましいのはプロピレンである。
【0029】
ポリオレフィン(A)の構成単量体であるエチレンとα−オレフィンとの重量比[エチレン/α−オレフィン]は、2/98〜50/50であり、好ましくは5/95〜40/60であり、より好ましくは10/90〜30/70である。
重量比[エチレン/α−オレフィン]が、2/98未満の場合、粘着性に劣り、50/50を超えると、(G)の生産性に劣る。
上記重量比[エチレン/α−オレフィン]は、例えば、
1H−MNR(核磁気共鳴分光
法)により算出できる。
【0030】
上記ポリオレフィン(A)は、エチレン、α−オレフィン以外にその他の単量体を構成単量体としてもよい。その場合、ポリオレフィン(A)を構成する全単量体の重量に基づいて、その他の単量体の重量は、好ましくは10重量%以下、より好ましくは5重量%以下、更に好ましくは1重量%以下である。
上記その他の単量体としては、例えば、2−ブテン、イソブテン、炭素数[Cと略記することがある]9〜30のα−オレフィン(1−デセン、1−ドデセン等)、α−オレフィン以外のC4〜30の不飽和単量体(例えば、酢酸ビニル)が挙げられる。
【0031】
ポリオレフィン(A)の数平均分子量(Mn)は、粘着性及び後述のグラフトポリマー(G)の生産性の観点から、好ましくは800〜50,000であり、より好ましくは1,500〜40,000、更に好ましくは2,000〜30,000である。
【0032】
本発明において、ポリオレフィン(A)、酸変性ポリオレフィン(X)のMn、Mwは、GPC(ゲルパーミエイションクロマトグラフィー)で測定することができる。
本発明におけるGPCによるMn、Mwの測定条件は以下のとおりである。
装置:高温ゲルパーミエイションクロマトグラフ[「Alliance GPC V2000」、Waters(株)製]
検出装置:屈折率検出器
溶媒:オルトジクロロベンゼン
基準物質:ポリスチレン
サンプル濃度:3mg/ml
カラム固定相:PLgel 10μm、MIXED−B 2本直列[ポリマーラボラトリーズ(株)製]
カラム温度 :135℃
【0033】
ポリオレフィン(A)の炭素数1,000個当たりの二重結合数[ポリオレフィン(A)の分子末端及び/又は分子鎖中の炭素−炭素の二重結合数]は、後述の不飽和カルボン酸(B)との反応性及び生産性の観点から、好ましくは0.5〜20個であり、より好ましくは1.0〜18個であり、更に好ましくは1.5〜15個である。
ここにおいて、該二重結合数は、ポリオレフィン(A)の
1H−NMRのスペクトルから求めることができる。すなわち、該スペクトル中のピークを帰属し、ポリオレフィン(A)の4.5〜6ppmにおける二重結合由来の積分値及びポリオレフィン(A)由来の積分値から、ポリオレフィン(A)の二重結合数とポリオレフィン(A)の炭素数の相対値を求め、ポリオレフィン(A)の炭素1,000個当たりの該分子末端及び/又は分子鎖中の二重結合数を算出する。後述の実施例における二重結合数は該方法に従った。
【0034】
ポリオレフィン(A)のα−オレフィン部分のアイソタクティシティーは、1〜50%であり、好ましくは5〜45%であり、更に好ましくは10〜40%である。α−オレフィン部分のアイソタクティシティーが1%未満であると、溶剤溶解性(生産性)が低下するという問題があり、50%を超えると粘着力が低下するという問題がある。
上記ポリオレフィン(A)のα−オレフィン部分のアイソタクティシティーは、後述の酸変性ポリオレフィン(X)のα−オレフィン部分のアイソタクティシティーに、そのまま反映される傾向がある。
【0035】
上記アイソタクティシティーは、例えば、
13C−NMR(核磁気共鳴分光法)を用いて算出することができる。一般的に、側鎖メチル基は、両隣(三連子、トリアッド)、その三連子の両隣(五連子、ペンタッド)、更にその五連子の両隣(七連子、ヘプタッド)程度までのメチル基との立体配置(メソ又はラセモ)の影響を受け、異なる化学シフトにピークが観測されることが知られている。そのため、立体規則性の評価はペンタッドについて行うことが一般的であり、本発明におけるアイソタクティシティーも、ペンタッドの評価に基づいて算出する。
即ち、α−オレフィンがプロピレンの場合、
13C−NMRで得られるプロピレン中の側鎖メチル基由来の炭素ピークについて、ポリオレフィン(A)のα−オレフィン部分のペンタッド各ピーク(H)、ペンタッドがメソ構造のみで形成されるアイソタクティックのプロピレン中のメチル基由来のピーク(Ha)とした場合、アイソタクティシティーは、以下の式で算出される。
【0036】
アイソタクティシティー(%)=[(Ha)/Σ(H)]×100 (1)
但し、式中、Haはアイソタクティック(ペンタッドがメソ構造のみで形成される)の信号のピーク高さ、Hはペンタッドの各ピーク高さである。
なお、後述の酸変性ポリオレフィン(X)のα−オレフィン部分のアイソタクティシティーについても上記同様に測定できる。
【0037】
本発明におけるポリオレフィン(A)の製造方法は、例えば、高分子量(好ましくはMnが60,000〜400,000、より好ましくはMnが80,000〜250,000)ポリオレフィン(A0)を熱減成する方法が挙げられる。
【0038】
熱減成法には、上記高分子量ポリオレフィン(A0)を(1)有機過酸化物不存在下、例えば300〜450℃で0.5〜10時間、加熱する方法、及び(2)有機過酸化物[例えば2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン]存在下、通常180〜300℃で0.5〜10時間、加熱する方法等が含まれる。
これらのうち工業的な観点及び粘着性の観点から、分子末端及び/又は分子鎖中の二重結合数のより多いものが得やすい(1)の方法が好ましい。
【0039】
上記ポリオレフィン(A)を構成する単量体であるエチレンとα−オレフィンとの重量比[エチレン/α−オレフィン]は、高分子量ポリオレフィン(A0)中のこれらの単量体の重量比[エチレン/α−オレフィン]が、そのまま維持される傾向がある。
また、熱減成温度が高い、又は熱減成時間が長いほど、炭素数1,000個当たりの二重結合数は、多くなる傾向がある。
更に、高分子量ポリオレフィン(A0)のMnが小さい、熱減成温度が高い、又は熱減成時間が長いほど、ポリオレフィン(A)のMnは小さくなる傾向がある。
また、高分子量ポリオレフィン(A0)のアイソタクティシティーが大きいほど、ポリオレフィン(A)のアイソタクティシティーが大きい傾向がある。
ポリオレフィン(A)は、1種単独でも、2種以上併用してもよい。
【0040】
<不飽和(ポリ)カルボン酸(無水物)(B)>
不飽和(ポリ)カルボン酸(無水物)(B)[以下、不飽和カルボン酸(B)と記載することがある]は、不飽和モノカルボン酸、不飽和ポリカルボン酸及び/又は不飽和ポリカルボン酸無水物を意味する。
上記不飽和カルボン酸(B)は、重合性不飽和基を1個有するC3〜24のモノカルボン酸、重合性不飽和基を1個有するC4〜24のポリカルボン酸及び/又は重合性不飽和基を1個有するC4〜24のポリカルボン酸無水物であることが好ましい。
該不飽和カルボン酸(B)のうち、不飽和モノカルボン酸としては、脂肪族モノカルボン酸(C3〜24、例えばアクリル酸、メタクリル酸、α−エチルアクリル酸、クロトン酸、イソクロトン酸)、脂環含有モノカルボン酸(C6〜24、例えばシクロヘキセンカルボン酸);不飽和ポリ(2〜3又はそれ以上)カルボン酸又はその酸無水物としては、不飽和ジカルボン酸又はその酸無水物[脂肪族ジカルボン酸又はその酸無水物(C4〜24、例えばマレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、メサコン酸、及びこれらの酸無水物)、脂環含有ジカルボン酸又はその酸無水物(C8〜24、例えばシクロへキセンジカルボン酸、シクロヘプテンジカルボン酸、ビシクロヘプテンジカルボン酸、メチルテトラヒドロフタル酸、及びこれらの酸無水物)等]等が挙げられる。不飽和カルボン酸(B)は1種単独でも、2種以上併用してもいずれでもよい。
上記不飽和カルボン酸(B)のうち、ポリオレフィン(A)との反応性及び粘着性の観点から、好ましいのは、不飽和ジカルボン酸無水物、更に好ましいのは無水マレイン酸である。
【0041】
<酸変性ポリオレフィン(X)>
本発明における酸変性ポリオレフィン(X)は、上記ポリオレフィン(A)と不飽和カルボン酸(B)とを構成単位として含む。
酸変性ポリオレフィン(X)におけるポリオレフィン(A)と不飽和カルボン酸(B)との重量比[ポリオレフィン(A)/不飽和カルボン酸(B)]は、後述のグラフトポリマー(G)の生産性の観点から、好ましくは80/20〜99.5/0.5、より好ましくは90/10〜99/1である。
【0042】
好ましくは、酸変性ポリオレフィン(X)は、上記ポリオレフィン(A)と不飽和カルボン酸(B)とを、ラジカル開始剤(C)の不存在下又は存在下で反応させてなる。
酸変性ポリオレフィン(X)は、より好ましくは、ラジカル開始剤(C)の存在下で、上記ポリオレフィン(A)及び不飽和カルボン酸(B)に、必要により適当な有機溶媒[例えばC3〜18の炭化水素(ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ドデカン、ベンゼン、トルエン、キシレン等)、C3〜18のハロゲン化炭化水素(ジ−、トリ−、又はテトラクロロエタン、ジクロロブタン等)、C3〜18のケトン(アセトン、メチルエチルケトン、ジ−t−ブチルケトン等)、C3〜18のエーテル(エチル−n−プロピルエーテル、ジ−n−ブチルエーテル、ジ−t−ブチルエーテル、ジオキサン等)]を加え反応させて製造することができる。
【0043】
なお、上記ラジカル開始剤(C)は、公知のもの、例えば、アゾ開始剤(アゾビスイソブチロニトリル、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)等)、過酸化物開始剤(ジクミルパーオキサイド等)が挙げられる。
上記ラジカル開始剤(C)のうち、過酸化物開始剤が好ましい。
【0044】
反応温度は、ポリオレフィン(A)と不飽和カルボン酸(B)との反応性及び生産性の観点から好ましくは100〜270℃、より好ましくは120〜250℃、更に好ましくは130〜240℃である。
【0045】
上記酸変性ポリオレフィン(X)は、下記要件(1)〜(3)のいずれも満たす。
(1)酸価が、1〜100mgKOH/g
(2)数平均分子量(Mn)が1,000〜60,000
(3)α−オレフィン部分のアイソタクティシティーが1〜50%
【0046】
要件(1):
酸変性ポリオレフィン(X)の酸価は、1〜100mgKOH/g(以下数値のみを示す)、好ましくは3〜75、より好ましくは5〜50である。ここにおける酸価はJIS K0070に準じて測定される値である。酸価が1未満では、後記するグラフトポリマー(G)の生産性、粘着性が劣り、100を超えると酸変性ポリオレフィン(X)の生産性、電気特性が劣る。
また、上記酸価は、ポリオレフィン(A)の有する二重結合数、ポリオレフィン(A)の重量、不飽和カルボン酸(B)の種類、重量で適宜、調整可能である。
【0047】
要件(2):
酸変性ポリオレフィン(X)のMnは、1,000〜60,000、好ましくは2,000〜50,000、より好ましくは3,000〜40,000である。Mnが1,000未満では、粘着性が劣り、60,000を超えると、(G)の生産性が劣る。酸変性ポリオレフィン(X)のMnは、上述のポリオレフィン(A)のMnと同様にGPCで測定することができる。
また、上記酸変性ポリオレフィン(X)のMnは、ポリオレフィン(A)のMn、不飽和カルボン酸(B)の種類、量、ポリオレフィン(A)と不飽和カルボン酸(B)との反応の制御により、適宜、調整可能である。
【0048】
要件(3):
酸変性ポリオレフィン(X)のα−オレフィン部分のアイソタクティシティーは、1〜50%であり、好ましくは5〜45%、より好ましくは10〜40%である。アイソタクティシティーが1%未満では、粘着性が劣り、50%を超えると、(G)の生産性が劣る。
また、酸変性ポリオレフィン(X)のα−オレフィン部分のアイソタクティシティーは、上記のとおり、ポリオレフィン(A)、高分子量ポリオレフィン(A0)のアイソタクティシティーにより、適宜、調整可能である。
【0049】
<グラフトポリマー(G)>
グラフトポリマー(G)は、前記共重合体(α)と、酸変性ポリオレフィン(X)とを構成単位として含む。
該グラフトポリマー(G)は、共重合体(α)を幹(φ)に有し、酸変性ポリオレフィン(X)を枝(λ)に有する。
上記共重合体(α)と、酸変性ポリオレフィン(X)との重量比[(α)/(X)]は、電気特性及び粘着性の観点から、好ましくは70/30〜99/1、更に好ましくは80/20〜97/3、特に好ましくは85/15〜95/5である。
【0050】
グラフトポリマー(G)の製造方法としては、例えば、共重合体(α)と、酸変性ポリオレフィン(X)とを、必要により有機溶媒中で、反応して得られる。
すなわち、(α)の有する水酸基の一部又は全部と、(X)の有するカルボン酸(無水物)基とを反応により、グラフト化することが好ましい。
【0051】
<粘着剤>
本発明の粘着剤は、前記グラフトポリマー(G)を含有してなる。粘着剤は、種々の粘着剤用途に有用であるが、とりわけホットメルト型粘着剤として有用である。
【0052】
粘着剤には、公知の添加剤(E)を添加してもよい。添加剤(E)としては、多官能(メタ)アクリレート(E1)、光重合開始剤(E2)、(メタ)アクリレート(E3)、粘着性付与剤(E4)及び有機溶剤(E5)等が挙げられる。
多官能(メタ)アクリレート(E1)としては、例えば、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エトキシ化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレートアリル(メタ)アクリレート、ビニル(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼン、エポキシアクリレート、ポリエステルアクリレート及びウレタンアクリレートが挙げられる。
光重合開始剤(E2)としては、例えば、4−メチルベンゾフェノンが挙げられる。
(メタ)アクリレート(E3)としては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸s−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸イソペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸ヘプチル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸イソノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸イソデシル、(メタ)アクリル酸ウンデシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸トリデシル、(メタ)アクリル酸テトラデシル、(メタ)アクリル酸ペンタデシル、(メタ)アクリル酸ヘキサデシル、(メタ)アクリル酸ヘプタデシル、(メタ)アクリル酸オクタデシル、(メタ)アクリル酸ノナデシル、(メタ)アクリル酸エイコシル、(メタ)アクリル酸t−ペンチル、(メタ)アクリル酸ネオペンチル、(メタ)アクリル酸イソヘキシル、(メタ)アクリル酸イソヘプチル、(メタ)アクリル酸2−プロピルヘプチル、(メタ)アクリル酸イソウンデシル、(メタ)アクリル酸イソドデシル、(メタ)アクリル酸イソミリスチル、(メタ)アクリル酸イソペンタデシル、(メタ)アクリル酸イソヘキサデシル、(メタ)アクリル酸イソヘプタデシル及び(メタ)アクリル酸イソステアリルが挙げられる。
粘着性付与剤(E4)としては、例えば、テルペン、テルペンフェノール、水添テルペンフェノール及びロジンエステルが挙げられる。
有機溶剤(E5)としては、例えば、トルエン及び酢酸エチルが挙げられる。
【0053】
粘着剤に(メタ)アクリレート(E3)を含有する場合には、活性エネルギー線硬化型粘着剤として、好適である。その場合、(E3)の重量は、(G)の重量に基づいて、粘着性のバランスの観点から、好ましくは0.1〜10重量%、更に好ましくは0.5〜5重量%である。
【0054】
<粘着フィルム>
本発明の粘着フィルムは、粘着剤の粘着剤層を有する粘着フィルムである。該粘着剤層の厚みは、好ましくは10〜200μm、更に好ましくは20〜100μmである。
【0055】
本発明の粘着フィルムは、粘着剤を、種々の塗工装置を用いて基材の少なくとも片面の少なくとも一部に直接塗布して、例えば、加熱及び/又は活性エネルギー線(UV、電子線等)により硬化することにより製造できる。
この粘着剤は、好ましくは室温(25℃)で固体状であって、加熱溶融して、硬化させる形態が好ましい。好適には、活性エネルギー線硬化型ホットメルト粘着剤である。
【0056】
基材(フィルム)としては、各種プラスチック[ポリオレフィン(ポリエチレン及びポリプロピレン等)、ポリウレタン、ポリエチレンテレフタレート、ポリ塩化ビニル、レーヨン及びポリアミド等]のフィルム、シート、フォーム及びフラットヤーン並びに紙(和紙及びクレープ紙等)、金属板、金属箔、織布、不織布及び木材等が挙げられる。
【0057】
本発明の粘着剤、粘着シートは、粘着性(特にポリオレフィンに対する粘着性)にすぐれる。また、電気特性(比誘電率等)に優れる。このことから、包装用(冷凍食品の包装、野菜等の結束など)、マーキング用(自動車のモール類、エンブレム・マークなど)、マスキング用(ガラスシーリング、建築養生など)、表面保護用(塗装面保護など)、医療用(絆創膏など)、タッチパネル用、電子基板の保護用途、事務用等の各種用途に好適に使用することができる。
【実施例】
【0058】
以下、実施例及び比較例により本発明を更に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0059】
<製造例1>
反応容器に、プロピレン85重量%及びエチレン15重量%を構成単単量体とする高分子量ポリオレフィン(A0−1)[商品名「Vistamaxx6202」、Exxonmobil社製、Mn76,000]1000重量部を仕込み、液相に窒素通気しながら、マントルヒーターにて加熱溶融し、撹拌しながら380℃で40分間の条件で、熱減成を行い、炭素−炭素二重結合を有するポリオレフィン(A−1)を得た。
なお、ポリオレフィン(A−1)のMnは5,800、炭素1,000個当たりの及び又は分子鎖中の二重結合数は5.3個、アイソタクティシティーは18%であった。
【0060】
<製造例2〜5、比較製造例1〜2>
製造例1において、表1にしたがった以外は、製造例1と同様に行い、各ポリオレフィン(A−2)〜(A−5)、(比A−1)〜(比A−2)を得た。結果を表1に示す。
【0061】
【表1】
【0062】
<製造例11>
ポリオレフィン(A−1)100重量部、無水マレイン酸(B−1)1.9重量部を仕込み、窒素置換後、窒素通気下に180℃まで加熱昇温して均一に溶解させた。ここにラジカル開始剤[ジクミルパーオキサイド、商品名「パークミルD」、日油(株)製](C−1)0.5重量部をキシレン5重量部に溶解させた溶液を5分間で滴下した後、キシレン還流下1時間撹拌を続けた。その後、減圧下(1.5kPa、以下同じ。)で未反応の無水マレイン酸、キシレンを留去して、酸変性ポリオレフィン(X−1)を得た。
なお、(X−1)は、酸価(mgKOH/g)は10、Mnは7,500、アイソタクティシティーは20%であった。なお、酸価(mgKOH/g)は、JIS K0070に準じて測定した(以下の酸価についても同様)。
【0063】
<製造例12>
反応容器にポリオレフィン(A−1)100重量部と無水マレイン酸(B−1)3.5重量部を仕込み、窒素通気下、200℃まで加熱昇温して10時間撹拌を続けた。その後、減圧下(1.5kPa、以下同じ。)で未反応の無水マレイン酸を留去して、酸変性ポリオレフィン(X−2)を得た。
なお、(X−2)は、酸価(mgKOH/g)は17、Mnは6,600、アイソタクティシティーは20%であった。
【0064】
<製造例13〜20、比較製造例11〜14>
製造例11において、表2の使用原料(重量部)にしたがった以外は、製造例11と同様に行い、各酸変性ポリオレフィン(X−3)〜(X−10)、(比X−1)〜(比X−4)を得た。結果を表2に示す。
【0065】
【表2】
【0066】
<製造例21>
撹拌機、温度計、還流冷却管、滴下ロート及び窒素ガス導入管を付した4つ口フラスコに、酢酸エチル51重量部を仕込み78℃に昇温した。
次いで、n−ブチルアクリレート(a1−1)95重量部、2−ヒドロキシエチルアクリレート(a2−1)5重量部を配合した<モノマー配合液>と、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)[以下、V−65と略記することがある]0.05重量部と2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)[以下、V−59と略記することがある]0.14重量部を酢酸エチル3.0重量部に溶解した<開始剤溶液1>とを4つ口フラスコ内に窒素を吹き込みながら、撹拌下、滴下ロートで4時間かけて連続的に滴下してラジカル重合を行った。
滴下終了後、2,2’−アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)0.11重量部を酢酸エチル4.5部に溶解した<開始剤溶液2>を滴下ロートを用いて2時間かけて連続的に追加した。更に、沸点で重合を2時間継続した。
反応終了後、減圧脱溶剤(130℃、1.5kPa、3時間)を行い、共重合体(α−1)を得た。(α−1)は、Mw60万、水酸基価(mgKOH/g)は24.2であった。なお、水酸基価(mgKOH/g)は、JIS K0070に準じて測定した(以下の水酸基価についても同様)。
【0067】
<製造例22〜29>
製造例21において、表3の使用原料の配合部数にしたがった以外は、製造例21と同様に行い、各共重合体(α−2)〜(α−9)を得た。
【0068】
【表3】
【0069】
<粘着剤(Y)の作製>
<実施例1>
反応容器に、共重合体(α−1)91重量部、酸変性ポリオレフィン(X−1)9重量部、トルエン204重量部を仕込み100℃で混合し、3時間反応を行った。次に、減圧脱溶剤(130℃、1.5kPa、3時間)を行い、共重合体(α−1)を幹(φ)に有し、酸変性ポリオレフィン(X−1)を枝(λ)に有するグラフトポリマー(G−1)を含有してなる粘着剤(Y−1)を得た。
【0070】
<実施例2〜17、比較例1〜4>
実施例1において、使用原料の配合部数について表4に従った以外は、実施例1と同様に行い、各粘着剤(Y−2)〜(Y−17)、(比Y−1)〜(比Y−4)を得た。
なお、実施例11〜17では、各グラフトポリマー(G)と、各添加剤(E)とを、表4にしたがって、ヘンシェルミキサーで3分間ブレンドし、ベント付き2軸押出機にて、150℃、100rpm、滞留時間3分の条件で溶融混練して、各粘着剤(Y)を得た。
【0071】
得られた各粘着剤(Y)について、後述の評価方法によって評価した。結果を表4に示す。
<評価方法>
<1>粘着性
(1)粘着フィルムの作製
各粘着剤(Y)を150℃で溶融し、23℃の環境温度下で、25μmのポリエステルフィルム[東レ(株)製「ルミラー」タイプT、PET]面上にスロットコーターを用いて塗布量30g/m
2にて塗工し、厚さ30μmの粘着剤層を有する粘着フィルム作製した。
なお、実施例11〜17では、上記同様、塗工した後、UV照射装置[ウシオ電機(株)製、「UVC−02516S1AA01」]を用いて光源:メタルハライドランプ、1000mJ/cm
2照射して、粘着フィルムを作製した。
【0072】
(2)粘着力の測定
上記(1)得られた粘着フィルムから切り出した粘着フィルム試験片[タテ100mm×ヨコ25mm]を用い、基材がポリプロピレン板[厚さ10mm、(株)日本テストパネル製]であること、張り合わせ後に23℃で1日間、放置してから引きはがし強度を測定すること、及び、測定結果をニュートン毎25mmで評価すること以外は、JIS Z0237:2009「粘着テープ、粘着シート試験方法」に基づき、以下の基準で評価した。
【0073】
<評価基準>
☆:8N/25mmより大きい
◎:5N/25mmより大きく、8N/25mm以下
〇:3N/25mmより大きく、5N/25mm以下
×:3N/25mm以下
【0074】
<2>電気特性
(1)粘着フィルムの作製
粘着剤(Y)を150℃で溶融し、23℃の環境温度下で、片面剥離処理(シリコーン処理)された厚み50μmのポリエステルフィルム面上にスロットコーターを用いて塗布量100g/m
2にて塗工し、厚さ100μmの粘着剤層を有する粘着フィルムを作製した。
なお、実施例11〜17では、上記同様、塗工した後、UV照射装置[ウシオ電機(株)製、「UVC−02516S1AA01」]を用いて光源:メタルハライドランプ、1000mJ/cm
2照射して、粘着フィルムを作製した。
【0075】
(2)電気特性(比誘電率、1MHz)の測定
上記(1)で得られた粘着フィルムの粘着剤層の比誘電率(1MHz)を下記条件で測定した。比誘電率(1MHz)が3以下であると、良好である。
<条件>
装置:安藤電気(株)製 TR−1100型誘電体損自動測定装置
安藤電気(株)製 TO−198型恒温槽
固体用電極:SE−70型固体用電極
測定環境:23℃、50%RH
【0076】
【表4】
【0077】
表4の結果から、本発明の粘着剤は、粘着性に優れ、かつ電気特性(比誘電率)にも優れることが分かる。一方で比較の粘着剤は、粘着性又は電気特性(比誘電率)の少なくとも1つの性能が劣ることがわかる。