【解決手段】 造形領域Rに対して所望の三次元造形物を所定高さで分割してなる複数の分割層毎に形成された材料層にビームを照射して固化層を形成する照射装置13と、固化層が積層してなる固化体の上面を含む少なくとも一部に当接して設定温度に加熱および冷却する温度調整装置60,260と、を備え、温度調整装置60,260は、設定温度に加熱および冷却される温調板61を有し、温調板61が垂直方向に沿った起立状態と水平方向に沿った横臥状態との間で温調板61を回動させる回動部63,263とを含む積層造形装置100,200を提供する。
造形領域に対して所望の三次元造形物を所定高さで分割してなる複数の分割層毎に形成された材料層にビームを照射して固化層を形成する照射装置と、前記固化層が積層してなる固化体の上面を含む少なくとも一部に当接して設定温度に加熱および冷却する温度調整装置と、を備え、
前記温度調整装置は、
前記設定温度に加熱および冷却される温調板を有し、
前記温調板が垂直方向に沿った起立状態と水平方向に沿った横臥状態との間で前記温調板を回動させる回動部と、を含み、
前記回動部は、前記温度調整装置による前記固化体の上面を含む少なくとも一部への加熱および冷却を行なわないときは前記温調板を前記起立状態に設定し、前記温度調整装置による前記固化体の上面を含む少なくとも一部への加熱および冷却を行うときは前記温調板を前記横臥状態に設定することを特徴とする積層造形装置。
前記駆動装置は水平1軸方向に往復移動して材料粉体を供給するとともに平坦化して前記材料層を形成するリコータヘッドであり、前記温度調整装置は前記リコータヘッドと連結して前記水平1軸方向を往復移動することを特徴とする請求項4記載の積層造形装置。
【発明を実施するための形態】
【0020】
<1. 第1の実施形態>
以下、図面を用いて本発明の実施形態について説明する。以下に示す実施形態中で示した各種特徴事項は、互いに組み合わせ可能である。また、それぞれが独立して発明を構成する。以下の説明中で、X軸、Y軸、Z軸の方向は、
図1および
図2で定義される通りである。具体的に、所定の水平1軸方向をX軸、X軸に直交する別の水平1軸方向をY軸、所定の垂直1軸方向をZ軸と呼ぶ。
また、実施の形態の積層造形装置においては、リコータヘッド11の移動方向である水平1軸方向の制御軸をB軸、リコータヘッド11のB軸に直交する水平1軸方向をC軸、造形テーブル5の移動方向である鉛直1軸方向の制御軸をU軸とする。さらに積層造形装置の機械本機において、チャンバ1の作業扉1cが設けられている側を前面または正面とし、前面に向かって右手側を右側面、左手側を左側面、後側を背面とする。図中の点線は、レーザ光Lの照射経路または信号線を示す。
【0021】
(1. 1 積層造形装置100)
図1は、本発明の第1の実施形態に係る積層造形装置100の概略正面図であり、
図2は、本発明の上記実施形態に係る積層造形装置100の概略側面図である。
図3は、本発明の上記実施形態に係る材料層形成装置3と照射装置13の概略斜視図である。
図5は、本発明の上記実施形態に係る温度調整装置60の正面斜視図であり、
図6は、本発明の上記実施形態に係る温度調整装置60の背面斜視図である。
本発明の実施形態に係る積層造形装置100は、材料層8を形成し、この材料層8の照射領域に例えばレーザ光Lであるビームを照射して溶融または焼結する工程を繰り返すことで、複数の固化層を積層して所望の形状を有する三次元造形物を生成する積層造形装置である。
【0022】
本発明の積層造形装置100は、チャンバ1と、不活性ガス供給装置15と、保護ウインドウ汚染防止装置17と、ヒュームコレクタ19と、造形テーブル5と、照射装置13と、材料層形成装置3と、制御装置40と、切削装置50と、温度調整装置60と、温度測定ユニット70と、テーブル温度調整装置90を含む。チャンバ1は、所定の造形領域Rを覆い、所定濃度の不活性ガスで充満される。
【0023】
チャンバ1は、積層造形装置100の筐体であり、内部に造形領域Rに所望の三次元造形物を所定高さで分割してなる複数の分割層毎に材料層を形成する材料層形成装置3が設けられる。チャンバ1の前面には形成された開口1bが設けられ、開口1bに覗窓付の作業扉1cが設けられている(
図2)。
作業扉1cは、ヒンジ開閉式で回動可能に開口1bに設けられていてもよいし、左右もしくは上下のスライド式に形成されていてもよい。作業扉1cを開閉することで、三次元造形物の取り出し、未焼結材料粉体の除去等を行うことができる。
【0024】
作業扉1cの背面には、後述する温度調整装置60がチャンバ1の内側面に沿ってB軸方向に進退移動可能に設けられている(
図2)。
具体的には、リコータヘッド11の移動方向であるB軸方向に沿って後述するリコータヘッド11のガイドレール16Rと平行となるようにガイドレール16Rと近接して温度調整装置用ガイドレール64aが設けられている(
図5、
図7)。温度調整装置用ガイドレール64aは、一端は造形領域Rから離れて作業扉1cの背面から退避する位置(退避位置PE)まで延び、また他端は造形領域Rに隣接し固化体81の上面を加熱冷却する処理位置(加熱冷却位置PT)まで設けられている。
温度調整装置60がB軸方向に移動する際は、温度調整装置60とリコータヘッド11が連結して、リコータヘッド11が温度調整装置60の駆動装置となり、リコータヘッド11の駆動力によってB軸方向に往復移動する。
【0025】
またチャンバ1の温度調整装置60の退避位置PE(
図5)には、退避位置用係止部材1eが設けられ、加熱冷却位置PT(
図5)には加熱冷却位置用係止部材1tが設けられている。
退避位置用係止部材1eおよび加熱冷却位置用係止部材1tは、温度調整装置60の位置固定用孔66と係合するための部材であり、既知のシリンダが用いられる。例えば退避位置用係止部材1eおよび加熱冷却位置用係止部材1tはシリンダ、シリンダロッド、ピン体を備え、ピン体をシリンダの動作で温度調整装置60の位置固定用孔66に進退自在とすることができる。温度調整装置60が待機状態や加熱冷却処理中である場合は、シリンダを動作させてピン体を突き出し、位置固定用孔66にピン体を挿入して嵌合して温度調整装置60をチャンバ1に固定する。一方、温度調整装置60を移動する場合はシリンダを動作させてピン体を引っ込めて位置固定用孔66からピン体を抜き取り、チャンバ1との連結を解除する。
【0026】
材料層形成装置3は、ベース台4とリコータヘッド11とを有する。本実施形態においては、材料層8を形成する材料は、材料粉体からなる。材料粉体は、例えば金属粉であり、例えば平均粒径20μmの球形である。
【0027】
ベース台4は、所望の三次元造形物が形成される造形領域Rを有する。造形領域Rは、造形テーブル5上に設けられている。造形テーブル5は、造形テーブル駆動機構31によって駆動されて上下方向(
図1の矢印U方向)に移動することができる。本実施形態においては、積層造形装置の使用時には、造形テーブル5上にベースプレート33が配置され、その上に1層目の材料層8が形成される。なお、材料層8の照射領域は、造形領域R内に存在し、所望の三次元造形物の輪郭形状で規定される領域とおおよそ一致する。
【0028】
造形テーブル5の周りには、粉体保持壁26が設けられる。粉体保持壁26と造形テーブル5とによって囲まれる粉体保持空間には、未固化の材料粉体が保持される。粉体保持壁26の下側には、粉体保持空間内の材料粉体を排出可能な粉体排出部が設けられてもよい。
【0029】
造形テーブル5の内部には、造形テーブル5の温度を調整するためのテーブル温度調整装置90が設けられている。
図4に示すように、テーブル温度調整装置90を備える造形テーブル5は、天板5aおよび3つの支持板5b,5c,5dを備える。天板5aとこれに隣接する支持板5bの間には天板5aを加熱可能な加熱器92が配置されている。また、支持板5bの下側の2枚の支持板5c,5dの間には天板5aを冷却可能な冷却器93が配置されている。造形テーブル5は、加熱器92および冷却器93によって温度調整可能に構成されており、加熱器92および冷却器93がテーブル温度調整装置90を構成する。なお、造形テーブル駆動機構31の熱変位を防止するため、テーブル温度調整装置90と造形テーブル駆動機構31との間に一定の温度に保たれた恒温部が設けられてもよい。以上のようにテーブル温度調整装置90を構成することで、所望の温度に設定された造形テーブル5の天板5aと接触するベースプレート33および下層の固化層を所望の温度に調整することが可能である。なお、材料層8は焼結または溶融にあたり所定温度に予熱されていることが望ましく、テーブル温度調整装置90は材料層8の予熱装置としての役割を果たす。
【0030】
図3に示すリコータヘッド11は、材料収容部11aと、材料供給部11bと、不図示の材料排出部と、ガイド機構11cを有する。材料収容部11aは材料粉体を収容する。材料供給部11bは、材料収容部11aの上面に設けられ、不図示の材料供給装置から材料収容部11aに供給される材料粉体の受口となる。材料排出部は、材料収容部11aの底面に設けられ、材料収容部11a内の材料粉体を排出する。材料排出部は、リコータヘッド11の移動方向(矢印B軸方向)に直交する水平1軸方向(矢印C軸方向)に延びるスリット形状に構成される。また、リコータヘッド11の両側面には、それぞれブレード12が設けられる。ブレード12は、材料排出部から排出された材料粉体を平坦化して材料層8を形成する。
ガイド機構11cは、一対の軸受14R,14Lと、各軸受14R,14Lがそれぞれ受ける一対の軸材であるガイドレール16R,16Lと、図示しないサーボモータから構成される。リコータヘッド11は、制御装置40の走査指令に基づき、サーボモータによりガイド機構11cのガイドレール16R,16Lに沿って造形テーブル5上をB軸方向に往復移動する。
またガイド機構11cの軸受14Rの側板には温度調整装置60をリコータヘッド11に固定するための係止孔18が設けられている。係止孔18は、温度調整装置60に設けられた搬送用係止部材65と係合する形状であればよく、例えば、溝や、非貫通穴、貫通孔等が挙げられる。
【0031】
チャンバ1には所定濃度の不活性ガスが供給されるとともに、材料層8の溶融時に発生するヒュームを含んだ不活性ガスを排出している。好ましくは、チャンバ1から排出された不活性ガスは、ヒュームが除去されチャンバ1に返送される。具体的には、チャンバ1には、不活性ガス供給装置15と、ダクトボックス21,23を介してヒュームコレクタ19が接続されている。チャンバ1に設けられる不活性ガスの供給口および排出口の位置および個数は特に限定されない。なお、本発明において、不活性ガスとは、材料と実質的に反応しないガスをいい、窒素ガス、アルゴンガス、ヘリウムガス等から材料の種類に応じて適当なものが選択される。
【0032】
不活性ガス供給装置15は、不活性ガスを供給する機能を有し、例えば、周囲の空気から所定濃度の不活性ガスを生成する不活性ガス発生装置、または所定濃度の不活性ガスが貯留されたガスボンベである。不活性ガス発生装置は、膜分離方式、PSA方式等、生成する不活性ガスの種類や濃度に応じて種々の方式のものが採用できる。不活性ガス供給装置15は、チャンバ1に設けられた供給口から不活性ガスの供給を行い、チャンバ1内を所定濃度の不活性ガスで充満させる。ここで、不活性ガス供給装置15から供給される不活性ガスは乾燥していることが望ましい。具体的には、不活性ガスの露点温度は、温度調整装置60の温度よりも低いことが望ましい。後述する温度調整装置60の温調板61はチャンバ1内を移動するため、チャンバ1内に乾燥した不活性ガスが充満されていれば、温調板61が結露することを抑制することができる。すなわち、不活性ガス供給装置15が不活性ガス発生装置であるとき、不活性ガスを生成するための原料とする空気を乾燥させる乾燥装置を備えていることが望ましい。また、不活性ガス供給装置15がガスボンベであるとき、十分に乾燥した不活性ガスが貯留されているものを使用することが望ましい。
【0033】
チャンバ1の排出口から排出されたヒュームを多く含む不活性ガスはヒュームコレクタ19へと送られ、ヒュームが除去された上でチャンバ1へと返送される。ヒュームコレクタ19はヒュームを除去する機能を有していればよく、例えば、電気集塵機またはフィルタである。
【0034】
切削装置50は、スピンドルヘッド52が設けられた加工ヘッド51を備え、加工ヘッド51は府図示の加工ヘッド駆動機構により、スピンドルヘッド52を所望の位置に移動させる。
【0035】
スピンドルヘッド52は、不図示のエンドミル等の切削工具を把持して回転させることができるように構成されており、材料層8を焼結して得られた固化層の表面や不要部分に対して切削加工を行うことができる。切削工具は複数種類の切削工具であることが好ましく、使用する切削工具は不図示の自動工具交換装置によって、造形中にも交換可能である。以上の構成によって、加工ヘッド51は、チャンバ1内の任意の位置において、固化層に対して切削加工を施すことができるようになっている。
【0036】
照射装置13は、チャンバ1の上方に設けられる。照射装置13は、造形領域R上に形成される材料層8の所定箇所にレーザ光L等のビームを照射して照射位置の材料層8を溶融または焼結させ、固化層を形成する。
図3に示すように、照射装置13は、光源42と、2軸のガルバノスキャナ43と、フォーカス制御ユニット44と、を有する。なお、ガルバノスキャナ43は、ガルバノミラー43a,43bと、ガルバノミラー43a,43bをそれぞれ回転させる不図示のアクチュエータと、を備えている。
【0037】
光源42はレーザ光Lを照射する。ここで、レーザ光Lは、材料粉体を溶融可能なレーザであって、例えば、CO2レーザ、ファイバーレーザ、YAGレーザ等である。なお、光源42は、電子ビームを照射するものであってもよい。
【0038】
フォーカス制御ユニット44は、光源42より出力されたレーザ光Lを集光し所望のスポット径に調整する。ガルバノミラー43a,43bは、光源42より出力されたレーザ光Lを制御可能に2次元走査する。ガルバノミラー43a,43bは、それぞれ、制御装置40から入力される回転角度制御信号の大きさに応じて回転角度が制御される。かかる特徴により、ガルバノスキャナの各アクチュエータに入力する回転角度制御信号の大きさを変化させることによって、所望の位置にレーザ光Lを照射することができる。
【0039】
ガルバノミラー43a,43bを通過したレーザ光Lは、チャンバ1に設けられた保護ウインドウ1aを透過して造形領域Rに形成された材料層8に照射される。保護ウインドウ1aは、レーザ光Lを透過可能な材料で形成される。例えば、レーザ光LがファイバーレーザまたはYAGレーザの場合、保護ウインドウ1aは石英ガラスで構成可能である。
【0040】
チャンバ1の上面には、保護ウインドウ1aを覆うように保護ウインドウ汚染防止装置17が設けられる。保護ウインドウ汚染防止装置17は、円筒状の筐体17aと、筐体17a内に配置された円筒状の拡散部材17cを備える。筐体17aと拡散部材17cの間に不活性ガス供給空間が設けられる。また、筐体17aの底面には、拡散部材17cの内側に開口部17bが設けられる。拡散部材17cには多数の細孔17eが設けられており、不活性ガス供給空間17dに供給された清浄な不活性ガスは細孔17eを通じて清浄室17fに充満される。そして、清浄室17fに充満された清浄な不活性ガスは、開口部17bを通じて保護ウインドウ汚染防止装置17の下方に向かって噴出される。
【0041】
制御装置40は、積層造形装置100全体の全体の制御を行うものであり、不図示のCAM装置において生成された造形データを受信し、この受信データに基づいて積層造形の制御を行う数値制御を行う。また、材料層形成装置3、造形テーブル5、リコータヘッド11、照射装置13、不活性ガス供給装置15、ヒュームコレクタ19、切削装置50、温度調整装置60、温度測定ユニット70、テーブル温度調整装置90等の駆動制御を行う装置を兼ねる。
【0042】
温度測定ユニット70は、固化体81の温度を測定する検出ユニットであり、切削装置50に取り付けて使用するものである(
図2、
図14)。例えば温度測定ユニット70は、固化体81の上面と接触して温度を測定する接触式の温度センサ70aと、温度センサ70aを垂直方向に移動させる温度センサ昇降装置70bを含む。温度センサ70aは、例えば熱電対であるが、測温抵抗体等その他の温度センサが使用されてもよい。温度センサ昇降装置70bは、例えばエアシリンダであるが、油圧シリンダや電動モータ等その他の駆動機構が使用されてもよい。また、温度測定ユニット70を非接触式の温度センサにより構成してもよいが、接触式の温度センサ70aを用いることでより正確に固化体81の温度を測定することができる。温度測定ユニット70を使用することで、固化体81の温度に応じたフィードバック制御が可能となる。例えば、温度センサ70aで測定した温度が所定の温度に達するまで、温調板61による冷却工程または加熱工程を実施するよう構成できる。
温度測定ユニット70は必須の構成要素ではなく、省略されていてもよい。
【0043】
(1.2 温度調整装置60)
図7は、本発明の上記実施形態に係る温度調整装置60を拡大した正面斜視図であり、
図8は、本発明の上記実施形態に係る温度調整装置60を拡大した背面斜視図である。なお、
図7から
図9では、視認性を考慮し作業扉1c等の積層造形装置100の構成要素を一部省略している。
本発明の実施形態に係る温度調整装置60は、材料層8を焼結して得られた固化層の上面に温調板61を密接させることで三次元造形物を冷却または加熱するための装置であり、作業扉1cの背面で、チャンバ1の正面側の内壁とリコータヘッド11の間に設けられ、リコータヘッド11と係合してB軸方向に往復移動可能に設けられている(
図1、
図7)。
温度調整装置60は、温調板61と、取付部62と、回動部63と、搬送用係止部材65と、位置固定用孔66から構成される。
【0044】
温調板61は、材料層8にレーザ光L等のビームが照射されて形成された固化層が積層してなる固化体81の上面に密接して加熱および冷却する平板状の部材であって、加熱冷却板61aと、熱電素子61bと、リード線接続部61cから構成される。なお、固化体81の上面とは、温度調整装置60によって加熱および冷却が行われる時点での、最上層の固化層の上面を意味する。
加熱冷却板61aは、固化体81の上面に実際に接触する基板であって、固化体81を加熱および冷却する接触面として機能する。加熱冷却板61aは、セラミック材等の絶縁性の基板により形成されている。
熱電素子61bは、電気エネルギーを熱エネルギーに変換する素子であり、加熱冷却板61aの背面に複数配列して設けられている。熱電素子61bは、例えばペルチェ素子等の半導体熱電素子が用いられる。熱電素子61bはリード線接続部61cを介して直流電流を流すと、加熱冷却板61aと接続される一端面で冷却(吸熱)し、他端面で発熱(加熱)する。直流電流の向きを変えると冷却面と加熱面が入れ替わり、短時間で加熱と冷却を切り替えることが可能である。このように熱電素子61bの片方の面で冷却および加熱を行うことで、加熱冷却板61aを介して固化体81の上面を加熱および冷却を行うことができ、精度が高く迅速な温度管理を実現することができる。
リード線接続部61cは、熱電素子61bと図示しないリード線を接続するための端子である。
【0045】
図9は、本発明の上記実施形態に係る温調板61を起立状態とした温度調整装置60の側面図であり、
図10は、本発明の上記実施形態に係る温調板61を横臥状態とした温度調整装置60の側面図である。
回動部63は、温調板61を水平方向(XY平面に並行な方向)に沿った横臥状態と、垂直方向(Z方向)に沿った起立状態との間で回動させる部材である。温度調整装置60による温度調整を行なわないときは、温調板61を
図9に示す起立状態に設定する。温度調整装置60による温度調整を行うときは、温調板61を
図10に示す横臥状態に設定する。このようにすれば、照射装置13によって固化層を形成しているときや切削装置50によって固化層に加工を行っているとき、リコータヘッド11によりベースプレート33上に材料層8を形成しているときなど、積層造形装置100の各装置と温調板61が干渉することを防止できる。
回動部63は、例えばエアロータリアクチュエータである。回動部63としては、油圧ロータリアクチュエータや電動ロータリアクチュエータ等、その他の回動機構が使用されてもよい。
【0046】
取付部62は、温調板61と回動部63を接続するための部材であり、背面取付部621と下部取付部622から構成される。
背面取付部621は、熱電素子61bの背面に固定され、熱電素子61bの中央位置にはボールジョイント621aが設けられている。下部取付部622は、回動部63の回転軸に下端が固定され垂直方向に立設しており、上端にはボールジョイント621aと接続する受け駒622aが設けられている。
ボールジョイント621aと受け駒622aの当接面は摺動可能に形成されており、回動部63と温調板61は取付部62を介して摺動可能に接続されている。
このような回動部63と温調板61の接続構造を使用することにより、たとえ固化体81の上面の平行度が悪い場合であっても温調板61を固化体81の上面に適切に当接させることができ、温調板61と固化体81の上面どちらにも無理な力が加わることを避けることが可能となる。
【0047】
また回動部63の底面にはスライダ64bが固定され、スライダ64bは温度調整装置用ガイドレール64aに沿って摺動する。なおスライダ64bは公知のものが適宜利用可能であり、温度調整装置60はリコータヘッド11と連結することによりB軸方向に往復移動する。
【0048】
搬送用係止部材65は、リコータヘッド11の係止孔18と係合するための部材であり、例えば既知のシリンダが用いられる。搬送用係止部材65は、温調板61を起立状態としたときの温度調整装置60の下部であってリコータヘッド11の係止孔18に係合可能な位置に設けられる。
搬送用係止部材65であるシリンダ65はシリンダロッド65aおよびピン体65bを備え、ピン体65bがシリンダ65の動作でリコータヘッド11の係止孔18に進退自在となっている。温度調整装置60をリコータヘッド11に連結する場合は、シリンダ65を動作させてピン体65bを突き出しリコータヘッド11の係止孔18にピン体65bを挿入して嵌合する。また温度調整装置60とリコータヘッド11の連結を解除する場合は、シリンダ65を動作させてピン体65bを引っ込めてリコータヘッド11の係止孔18からピン体65bを抜き取る。
【0049】
位置固定用孔66は、温度調整装置60を退避位置PEおよび加熱冷却を行う処理位置PTに固定するための孔であり、温度調整装置60の下部に設けられる(
図8)。位置固定用孔66は、退避位置用係止部材1eおよび加熱冷却位置用係止部材1tと係合する形状であればよく、例えば、溝や、非貫通穴、貫通孔等が挙げられる。
【0050】
(1.3.三次元造形物の製造方法)
図11は、本発明の上記実施形態に係る積層造形装置100を用いた固化層形成工程の説明図(待機状態)である。
図12は、本発明の上記実施形態に係る積層造形装置100を用いた固化層形成工程の説明図(回転前状態)であり、
図13は、本発明の上記実施形態に係る積層造形装置100を用いた固化層形成工程の説明図(回転後状態)である。
図14は、本発明の上記実施形態に係る積層造形装置100を用いた固化層形成工程の説明図(温度検出工程)であり、
図15は、本発明の上記実施形態に係る積層造形装置100を用いた固化層形成工程を示すフロー図である。
図11から
図15を用いて、積層造形装置100を用いた三次元造形物の製造方法について説明する。ここで、
図11から
図14の説明図に関しては、説明の都合上固化体81は省略されているが、実際の固化層形成工程においては固化体81が造形領域Rに形成されているものとする。
【0051】
本実施形態の積層造形装置100は、造形途中に固化層に対して温度調整を行う三次元造形物の製造方法に対して特に有効である。造形途中に固化層に対して温度調整を行う三次元造形物の製造方法としては、材料層8を形成する材料としてマルテンサイト系金属を使用し、1層または複数層の固化層を形成する毎に固化層に対して温度調整を行って意図的にマルテンサイト変態を進行させる造形方法が例示される。より具体的には、1層または複数層の固化層が新たに造形される毎に、新たに造形された固化層を造形温度T1、冷却温度T2、造形温度T1の順番で温度調整を行う。なお、固化層のマルテンサイト変態開始温度をMsおよび固化層のマルテンサイト変態終了温度をMf、とすると、下記式(1)から(3)の関係が全て満たされる。
T1≧Mf (1)
T1>T2 (2)
T2≦Ms (3)
なお、本願発明は、造形途中に固化層に対して温度調整を行うその他の三次元造形物の製造方法にも有効である。
【0052】
以下においては、温度調整装置60によって冷却される1層または複数の固化層を上面層と呼ぶ。上面層は、各冷却時点における固化体81の最上位の固化層を少なくとも含む。焼結後、冷却工程において冷却される前の上面層はオーステナイト相を含む状態であって、冷却温度T2に冷却することによってオーステナイト相の少なくとも一部がマルテンサイト相へと変態する。
【0053】
最初に、造形テーブル5上にベースプレート33を載置した状態で造形テーブル5の高さを適切な位置に調整する(S101)。
造形テーブル5の高さを調整した後、固化層形成工程を行う。固化層形成工程では、造形テーブル5に設けられたテーブル温度調整装置90の加熱器92を駆動して造形テーブル5の温度を造形温度T1に加熱し(S102)、温度調整装置60の熱電素子61bを印加して加熱冷却板61aを造形温度T1まで加熱する(S103)。ここで、
図11に示すように温度調整装置60は温調板61を起立状態とし退避位置PEで停止した状態となっており、退避位置用係止部材1eと温度調整装置60の位置固定用孔66が係合されてチャンバ1に温度調整装置60は固定されている。
次に以下に示すリコート工程と固化工程とを1回以上繰り返し行う。
【0054】
リコート工程では、材料収容部11a内に材料粉体が充填されているリコータヘッド11を、矢印B軸方向の紙面左側から右側(
図1)に移動させる。これにより、ベースプレート33上に材料層8が形成される(S104)。
【0055】
次に、固化工程において、材料層8の照射領域にレーザ光Lを照射することで、当該照射領域を溶融または焼結させ、ベースプレート33上に1層目の固化層81aを形成する(S105)。
【0056】
複数の固化層に対してまとめて温度調整を行う場合は、引き続き、造形テーブル5の高さを材料層8の厚さ分下げ、再度、リコート工程と固化工程とを行う。具体的には、リコータヘッド11を造形領域Rの右側から左側に移動させ、造形領域上に材料層8を形成する。そして、材料層8の照射領域にレーザ光Lを照射して溶融または焼結させ、ベースプレート33上に2層目の固化層81bを形成する。
【0057】
このように、固化層形成工程では、複数の固化層81a,81b…の形成を繰り返すことによって、固化体81が形成される。これら順次積層される固化層同士は、互いに強く固着される。
【0058】
以上の工程を繰り返して予め定められた1つまたは複数の固化層が形成された後、温度調整装置60によって加熱工程および冷却工程が行われる。加熱工程では、固化体81の上面層の温度を造形温度T1に加熱した後、冷却工程において固化体81の上面層の温度を冷却温度T2まで冷却する。
【0059】
加熱工程では最初に、退避位置用係止部材1eを操作してチャンバ1と温度調整装置60の連結を解除するとともに搬送用係止部材65を操作することで温度調整装置60とリコータヘッド11を連結する。そして、リコータヘッド11をB軸方向に沿って加熱冷却位置PTまで移動させることで、連結した温度調整装置60を温調板61が起立状態となったままの状態で退避位置PEから加熱冷却位置PTに移動させる(S106)。
その後、加熱冷却位置用係止部材1tを操作してチャンバ1に温度調整装置60を固定するとともに搬送用係止部材65を操作して温度調整装置60とリコータヘッド11の連結を解除し、リコータヘッド11をB軸方向に沿って造形領域Rから退避させる(
図12)。
【0060】
そして
図13に示すように、回動部63を駆動することにより、温調板61を、横臥状態に回動させ、固化体81の上面に加熱冷却板61aを当接させて、固化体81の上面を造形温度T2まで加熱する(S107)。回動部63と温調板61の接続構造としてボールジョイント621aを使用していることにより、ボールジョイント621aと受け駒622aの当接面が摺動して、加熱冷却板61aを固化体81の上面全体に密接させることができる。
【0061】
図14に示すように温度測定ユニット70を固化体81の上方に移動して、固化体81の上面の温度を測定し、固化体81の上面の温度が造形温度T1となるまで固化体81を加熱するフィードバック制御を行ってもよい(S108)。
【0062】
固化体81の上面の温度が造形温度T1となった場合に、冷却工程に移行する。
冷却工程では、造形テーブル5に設けられたテーブル温度調整装置90の加熱器92を停止してテーブル温度調整装置90の冷却器93を駆動し、造形テーブル5の天板5aと接触するベースプレート33および下層の固化層を冷却する(S109)。このとき、造形テーブル5は固化体81に過剰に熱が伝達することを抑制できる程度に冷却されていればよく、冷却温度T2まで冷却される必要はない。
【0063】
さらに温度調整装置60の熱電素子61bを印加して加熱冷却板61aを冷却温度T2まで冷却し、温調板61により固化体81の上面層を冷却温度T2まで冷却する(S110)。
上述のとおり、冷却温度T2はマルテンサイト変態開始温度Ms以下である。冷却温度T2は、好ましくはマルテンサイト変態終了温度Mf以下である。このとき、三次元造形物のマルテンサイト変態が造形後に進行してしまうことを防止できる。マルテンサイト変態開始温度Msおよびマルテンサイト変態終了温度Mfは、材料の組成によって具体的な値は変動する。そのため材料によっては、冷却温度T2を−20℃等の低温に設定する必要がある。本実施形態の積層造形装置100においては、上面層を含む固化体81の一部のみ冷却すればよいため、冷却温度T2が低温であっても迅速に上面層を冷却でき、冷却工程後、迅速に造形温度T1に再加熱できる。
【0064】
また、加熱工程と同様に温度測定ユニット70により固化体81の上面の温度を測定し、固化体81の上面の温度が冷却温度T2となるまで固化体81を冷却するフィードバック制御を行ってもよい(S111)。
【0065】
冷却工程が完了すると、温度調整装置60の温調板61は、回動部63によって横臥状態から起立状態へ回動される(S112)。そしてリコータヘッド11を駆動してB軸方向に沿って加熱冷却位置PTまで移動させ、温度調整位置用係止部材1tを操作してチャンバ1と温度調整装置60の連結を解除するとともに搬送用係止部材65を操作することで温度調整装置60とリコータヘッド11を連結する。リコータヘッド11をB軸方向に沿って退避位置PEまで移動させることで、連結した温度調整装置60を温調板61が起立状態となったままの状態で加熱冷却位置PTから退避位置PEへ移動させる(S113)。
その後、退避位置用係止部材1eを操作してチャンバ1に温度調整装置60を固定するとともに搬送用係止部材65を操作して温度調整装置60とリコータヘッド11の連結を解除する。
【0066】
その後、再度、造形温度T1に設定され固化層形成工程が行われる。少なくとも次の固化工程が行われるまでには、造形テーブル5に設けられたテーブル温度調整装置90によって造形テーブル5の温度は造形温度T1に温度調整され、さらに温度調整装置60の熱電素子61bを印加して加熱冷却板61aを造形温度T1まで加熱する。材料層8の温度は造形温度T1に再加熱される。
【0067】
以上のようにして、本実施形態では加熱工程では温度調整装置60の熱電素子61bを印加して加熱冷却板61aを造形温度T1まで加熱し、冷却工程においては加熱から冷却に温調板61を短時間で切り替えて冷却温度T2に温度調整された温調板61を固化体81の上面に当接させることで、固化体81の上面層を加熱および冷却する。このようにすることにより、造形テーブル5内に設けられた温度調整機構のみを用いて加熱冷却する場合と比較して、より迅速に上面層の温度を調整することができ、三次元造形物の造形時間を短縮することが可能となる。
【0068】
<2. 第2の実施形態>
(2. 1 積層造形装置200)
図16は、本発明の第2の実施形態に係る積層造形装置200の概略側面図である。
図17は、本発明の上記実施形態に係る温度調整装置260の背面斜視図である。
第1の実施形態に係る温度調整装置60はチャンバ1の内側面に沿ってB軸方向に進退移動可能に設けられていたが、本発明の第2の実施形態に係る温度調整装置260は作業扉1cの背面に一体的に取り付けられている点が異なり、その他の構成および動作は、第2の実施形態と同様であるため、同じ構成および動作については同じ符号を付してその詳しい説明を省略する。
【0069】
本発明の実施形態に係る積層造形装置200は、三次元造形物が形成される造形領域Rに材料層8を形成し、この材料層8の照射領域に例えばレーザ光Lであるビームを照射して溶融または焼結する工程を繰り返すことで、複数の固化層を積層して所望の形状を有する三次元造形物を生成する積層造形装置である。
【0070】
本発明の積層造形装置200は、チャンバ1と、不活性ガス供給装置15と、保護ウインドウ汚染防止装置17と、ヒュームコレクタ19と、造形テーブル5と、照射装置13と、材料層形成装置3と、制御装置40と、切削装置50と、温度調整装置260と、温度測定ユニット70と、テーブル温度調整装置90を含む。
【0071】
チャンバ1は、積層造形装置200の筐体であり、チャンバ1の前面には形成された開口1bが設けられ、開口1bに覗窓1dが設けられた作業扉1cが設けられている(
図16、
図17、
図20)。
作業扉1cはヒンジ開閉式で開口1bに回動可能に設けられており、後述する温度調整装置260が起立状態(
図18)から横臥状態(
図19)へおよび横臥状態から起立状態へ変更可能に作業扉1cの背面に固定されている。
また温度調整装置260は作業扉1cの背面に収まるように設けられており(
図17)、作業扉1cの開閉を行う際に温度調整装置260が邪魔になる等の問題は生じない。
【0072】
(2.2 温度調整装置260)
図18は、本発明の上記実施形態に係る温調板61を起立状態とした温度調整装置260の側面図である。
図19は、本発明の上記実施形態に係る温調板61を横臥状態とした温度調整装置260の側面図である。
本発明の実施形態に係る温度調整装置260は、材料層8を焼結して得られた固化層の上面に温調板61を密接させることで三次元造形物を加熱または冷却するための装置であり、作業扉1cの背面に固定されている(
図16、
図17)。
温度調整装置260は、温調板61と、取付部62と、回動部263と、作業扉取付部267から構成される。
【0073】
温調板61は、材料層8にレーザ光L等のビームが照射されて形成された固化層が積層してなる固化体81の上面に密接して加熱および冷却する平板状の部材である。
【0074】
回動部263は、温調板61を水平方向(XY平面に並行な方向)に沿った横臥状態と、垂直方向(Z方向)に沿った起立状態との間で回動させる部材である。温度調整装置260による温度調整を行なわないときは、温調板61を
図18に示す起立状態に設定する。温度調整を行うときは、温調板61を
図19に示す横臥状態に設定する。
回動部263は、例えばエアシリンダである。回動部263としては、油圧シリンダや電動アクチュエータ等、その他の回動機構が使用されてもよい。
【0075】
取付部62は、温調板61と回動部263を接続するための部材であり、背面取付部621と下部取付部622から構成される。背面取付部621は、熱電素子61bの背面に固定され、熱電素子61bの中央位置にはボールジョイント621aが設けられている。下部取付部622は、回動部263の回転軸に下端が固定され垂直方向に立設しており、上端にはボールジョイント621aと接続する受け駒622aが設けられている。ボールジョイント621aと受け駒622aの当接面は摺動可能に形成されており、回動部263と温調板61は取付部62を介して摺動可能に接続されている。
【0076】
回動部263の底面には作業扉1cに固定するための作業扉取付部267が固定され(
図16、
図17)、作業扉取付部267は作業扉1cの背面に固定されている。
【0077】
(2.3.三次元造形物の製造方法)
図20は、本発明の上記実施形態に係る積層造形装置200を用いた固化層形成工程の説明図(回転後状態)であり、
図21は、本発明の上記実施形態に係る積層造形装置200を用いた固化層形成工程を示すフロー図である。
図20の説明図に関しては、固化体81は省略されているが、実際の固化層形成工程においては固化体81が造形領域Rに形成されているものとする。
本実施形態の積層造形装置200は、第1の実施形態に係る積層造形装置100と同様、材料層8を形成する材料としてマルテンサイト系金属を使用し、1層または複数層の固化層を形成する毎に固化層に対して温度調整を行って意図的にマルテンサイト変態を進行させる造形方法が使用される。より具体的には、1層または複数層の固化層が新たに造形される毎に、新たに造形された固化層を造形温度T1、冷却温度T2、造形温度T1の順番で温度調整を行う。
【0078】
最初に造形テーブル5の高さの位置調整を行い(S101)、テーブル温度調整装置90の加熱器92を造形温度T1に加熱し(S102)、温度調整装置260の熱電素子61bを印加して加熱冷却板61aを造形温度T1まで加熱する(S103)。ここで、
図16に示すように温度調整装置260は温調板61を起立状態とした状態で、作業扉1cの背面に固定されている。
そして、リコート工程(S104)と固化工程(S105)とを1回以上繰り返し行う。
【0079】
1つまたは複数の固化層が形成された後、温度調整装置260によって加熱工程および冷却工程が行われる。加熱工程では、固化体81の上面層の温度を造形温度T1に加熱した後、冷却工程において固化体81の上面層の温度を冷却温度T2まで冷却する。
【0080】
加熱工程では、
図20に示すように、回動部263を駆動することにより、温調板61を、横臥状態に回動させ、固化体81の上面に加熱冷却板61aを当接させて、固化体81の上面を造形温度T2まで加熱する(S201)。回動部263と温調板61の接続構造としてボールジョイント621aを使用していることにより、ボールジョイント621aと受け駒622aの当接面が摺動して、加熱冷却板61aを固化体81の上面全体に密接させることができる。
【0081】
温度測定ユニット70によって固化体81の上面の温度を測定し、フィードバック制御を行ってもよい(S108)。
【0082】
固化体81の上面の温度が造形温度T1となった場合に、冷却工程に移行する。
冷却工程では、テーブル温度調整装置90の冷却器93を駆動し、下層の固化層を冷却(S109)し、温度調整装置260の熱電素子61bを印加して加熱冷却板61aを冷却温度T2まで冷却し、温調板61により固化体81の上面層を冷却温度T2まで冷却する(S110)。
また、加熱工程と同様に温度測定ユニット70により固化体81の上面の温度を測定し、固化体81の上面の温度が冷却温度T2となるまで固化体81を冷却するフィードバック制御を行ってもよい(S111)。
【0083】
冷却工程が完了すると、温度調整装置260の温調板61は、回動部263によって横臥状態から起立状態へ回動される(S202)。その後、造形温度T1に設定し、さらに固化層形成工程が行われる。
【0084】
このように、温度調整装置260が作業扉1cの背面に固定されているため、固化体81を加熱および冷却を行う際に温度調整装置260を駆動機構により駆動させる必要がなく、簡単な構造で他の工程を邪魔することなく機能を実現することが可能となる。