特開2021-188345(P2021-188345A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2021-188345(P2021-188345A)
(43)【公開日】2021年12月13日
(54)【発明の名称】配管構造
(51)【国際特許分類】
   E03C 1/22 20060101AFI20211115BHJP
   E03C 1/23 20060101ALI20211115BHJP
   A47K 1/14 20060101ALI20211115BHJP
【FI】
   E03C1/22 C
   E03C1/23 Z
   A47K1/14 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2020-93733(P2020-93733)
(22)【出願日】2020年5月28日
(71)【出願人】
【識別番号】000157212
【氏名又は名称】丸一株式会社
(72)【発明者】
【氏名】櫻 健一
【テーマコード(参考)】
2D061
【Fターム(参考)】
2D061DA01
2D061DB03
2D061DE11
(57)【要約】      (修正有)
【課題】清掃性を向上させた槽体の排水口を開閉する排水栓装置を提供する。
【解決手段】槽体10は排水口17が形成された第一壁面16と、弁体6の変位方向に形成された第二壁面18を有している。又、第二壁面18には収納部19が凹設されており、排水口17の開口時において、第一壁面16から離間した弁体6は収納部19内に配置される。この時、弁体6外縁部の第二壁面18と略面一となることにより、弁体6と槽体10との間に清掃を妨げる隙間や段差が生じないため、容易に清掃を行うことが可能となる。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
排水口が形成された槽体と、
操作部によって変位し、排水口を開閉する弁体を備え、
槽体は、排水口が形成された第一壁面と、弁体の変位方向に形成された第二壁面を有し、
排水口の開口時において、弁体の外縁部は第二壁面と略面一となることを特徴とする排水栓装置。
【請求項2】
前記第二壁面は、
第一壁面の上方に形成されることを特徴とする請求項1に記載の排水栓装置。
【請求項3】
前記弁体は、
操作部の操作に伴い第二壁面へと引き上げられることによって排水口を開口させることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の排水栓装置。
【請求項4】
前記第二壁面は、
排水口の開口時に弁体が収納される収納部を有することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1つに記載の排水栓装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、槽体の排水口を開閉する排水栓装置に関するものである。
【0002】
槽体の排水口を開閉する排水栓装置としては、排水口の開閉を行う弁体と、槽体に取り付けられた操作部と、排水口の開口状態を保持するロック機構を備えた構造が知られている。
上記排水栓装置は、操作部からの指示を受けると、連結された伝達部材を介して弁体を昇降させるとともに、ロック機構によって弁体の状態を保持することで、排水口を開閉させることが可能となる。
【0003】
ここで、本出願人は図10に示すように、槽体の側面に飛び出し部が形成された排水栓装置を提案している。
上記飛び出し部は排水口が形成された第一壁面と、第一壁面の上方に形成された第二壁面を有し、弁体が第二壁面側から引き上げられることによって、排水口を開口させる。当該排水栓装置は、排水口の下方に弁体を昇降させるための装置を配置する必要がなくなるため、排水口と防水パンとの間のスペースが狭い場合であっても排水栓装置を取り付けることが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特願2020−032950号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記排水栓装置は、弁体の上昇時において、弁体と第二壁面との間に大きく段差や隙間が生じる。ここで、弁体を取り外さずに排水栓装置の清掃を行う場合、使用者は飛び出し部内に手を入れて清掃を行うが、上記段差や隙間が妨げとなり、清掃が煩雑となっていた。
本発明は上記問題に鑑み、排水栓装置の清掃性向上を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するための請求項1に記載の本発明は、排水口が形成された槽体と、
操作部によって変位し、排水口を開閉する弁体を備え、
槽体は、排水口が形成された第一壁面と、弁体の変位方向に形成された第二壁面を有し、
排水口の開口時において、弁体の外縁部は第二壁面と略面一となることを特徴とする排水栓装置である。
【0007】
尚、第一壁面や第二壁面は必ずしも槽体自体に形成されている必要はなく、槽体に対して別部材が取り付けられることによって第一壁面や第二壁面が形成されても良い。
【0008】
請求項2に記載の本発明は、前記第二壁面は、
第一壁面の上方に形成されることを特徴とする請求項1に記載の排水栓装置である。
【0009】
請求項3に記載の本発明は、前記弁体は、
操作部の操作に伴い第二壁面へと引き上げられることによって排水口を開口させることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の排水栓装置である。
【0010】
請求項4に記載の本発明は、前記第二壁面は、
排水口の開口時に弁体が収納される収納部を有することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1つに記載の排水栓装置である。
【発明の効果】
【0011】
上記本発明によれば、排水口の開口時において弁体の外縁部が第二壁面と略面一となることにより、清掃の際に妨げとなる段差や隙間が生じないようにすることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】第一実施形態を示す平面図である。
図2】飛び出し部を示す断面図である。
図3】排水口の閉塞状態を示す断面図である。
図4】弁体と弁軸を示す斜視図である。
図5】排水口の開口状態を示す断面図である。
図6】(a)図3のA断面図、(b)図6(a)より排水口が開口された状態を示す断面図である。
図7】第二実施形態に係る排水栓装置における排水口の閉塞状態を示す断面図である。
図8】排水口の開口状態を示す断面図である。
図9】第三実施形態を示す断面図である。
図10】従来技術を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照しながら本発明の排水栓装置1を説明する。尚、以下に記載する説明は実施形態の理解を容易にするためのものであり、これによって発明が制限して理解されるものではない。
【0014】
図1乃至図6に示すように、排水栓装置1は槽体10、操作部20、ロック機構3、伝達部材4、昇降部5、弁体6から構成される。
【0015】
槽体10は浴室に配置される浴槽であり、洗い場に隣接して配置されている。又、槽体10の底面に形成された排水口17は縁部に取り付けられた操作部20によって遠隔的に開閉可能となっている。槽体10は平面視矩形を成す底壁部11と、当該底壁部11の四隅から上方へ向けて立設された側壁部12から成り、当該側壁部12の内、洗い場と隣接する側壁部12の下端であって、底壁部11と交差する角部13において、飛び出し部15を有している。
飛び出し部15は、平面視側壁部12の中央であって、側壁部12の外側、即ち洗い場側に向けて断面視略コ字状に突出する様に形成されている。又、飛び出し部15には排水口17が形成された第一壁面16と、当該第一壁面16と対向する位置であって、弁体6の変位方向に形成された第二壁面18が構成されている。
図2及び図3に示すように、第一壁面16は飛び出し部15の下面であり、底壁部11と段差無く連続しているとともに、排水口17が形成されている。又、第二壁面18は飛び出し部15の上面であり、収納部19が形成されている。
排水口17は飛び出し部15の下面を上下方向に貫通する円形の開口であり、槽体10の底壁部11と飛び出し部15の下面の内、最も低い位置に形成されている。当該排水口17は側壁部12の内側面よりも洗い場側、即ち槽体10の外側に配置されており、平面視において使用者からは目視不可能となっている。又、排水口17の下方には何の部材も取り付けられておらず、槽体10の下方には一切の突出部分が存在していない。
収納部19は側壁部12と第二壁面18が交わる位置において、第二壁面18が洗い場側に向けて凹設されることによって形成されており、側壁部12側の側面及び下面が開放されている。又、収納部19は排水口17の直上に形成されており、中央には弁軸54が貫通している。
【0016】
操作部20は槽体10の縁部より浴室内に露出するスイッチ部21を有し、当該スイッチ部21に対して押動操作が加えられることによって排水栓装置1を作動させ、弁体6を昇降させることで排水口17を開閉する。
ロック機構3は上端より延設された棒状のロック軸がスイッチ部21裏面に連結されているとともに、下端には伝達部材4が連結されている。又、ロック機構3は内部にギアが配置されており、スイッチ部21に対する押動操作に伴い内部のギアの噛合と当該噛合の解除が繰り返されることによって、操作の都度排水口17の開口状態の保持と、保持の解除を切り替えることが可能となる。又、ロック機構3は内部にリターンスプリングが配置されており、後述するインナーワイヤをスイッチ部21側へと付勢している。
伝達部材4は樹脂製のアウターチューブ、及び金属製のインナーワイヤから成るレリースワイヤであって、スイッチ部21に連動してインナーワイヤがアウターチューブ内を摺動可能となっている。又、伝達部材4は端部に内筒41と外筒42から成る筒部を有しており、内筒41はインナーワイヤの進退に応じて外筒42から突出可能となっている。
【0017】
昇降部5は内部に操作部20からの指示によって可動する第一歯車51、第二歯車52、第三歯車53、及び弁軸54を備えている。
第一歯車51は円形の平歯車であって、第二歯車52と第三歯車53はそれぞれ第一歯車51と噛合する棒状のラックである。第二歯車52は第一歯車51の操作部20側に、第三歯車53は第一歯車51の弁体6側に配置されており、第二歯車52に伝達された応力は第一歯車51によって方向が反転され、第三歯車53へと伝達される。第二歯車52は上端が上記内筒41端部と当接する位置に配設されているが、係合等はしておらず、切り離されている。一方、第三歯車53は下端において弁軸54と嵌合されており、第三歯車53の動きに連動する。
弁軸54は飛び出し部15の上面を貫通する棒状体であり、図4に示すように、端部に弁体6と係合する溝部55が全周に亘り形成されている。当該弁軸54は施工完了状態において端部が弁体6と連結されているとともに、スプリング56によって弁体6を排水口17に押し付ける方向に向けて付勢されている。
従って、スプリング56によって、弁軸54と係合されている第三歯車53は排水口17に近接する方向に向けて変位するように付勢されているとともに、第二歯車52は操作部20に近接する方向に向けて変位するように付勢されている。
【0018】
弁体6は排水口17の開閉を行う板状の蓋体であって、操作部20からの操作を受けて上下に変位する。又、弁体6は一端に直線部が形成された平面視略U字状の上面と、パッキンが嵌着される円形の下面を備えている。又、弁体6は上面に連結部61、ガイド部62、取手63が形成されている。
連結部61は切り欠きを有する略C字状であって、施工完了時には弁軸54が係合されている。尚、連結部61の内径は弁軸54の外径よりも小径且つ弁軸54に形成された溝部55の外径よりも大径である。
ガイド部62は連結部61の両端部から弁体6の一端側に向けて平面視扇状に延設されたリブであり、弁軸54を連結部61へと誘導するよう形成されている。
取手63は弁体6の他端側へと延設され、使用者が弁体6と弁軸54を着脱させる際に指を掛けるための開口が形成されている。
【0019】
上記弁体6は連結部61が弁軸54の溝部55に配置されることによって連結されており、排水栓装置1の作動時において、弁軸54により上方より引き上げられることによって排水口17を開口するとともに、弁軸54により上方より押し下げられることによって排水口17を閉塞する。
【0020】
上記排水栓装置1において、弁体6と弁軸54を組み立てる際には、取手63を把持し、弁軸54を軸方向に対して直交する方向、即ち略水平方向より連結部61の切り欠きを弁軸54の溝部55に押し当てる。これにより、弁軸54によって連結部61が押し広げられ、弁体6と弁軸54が連結される。尚、上記連結を解除する際には、連結時と反対方向に弁体6を引っ張ることで、上記連結を解除することが可能となる。
【0021】
上記排水栓装置1は以下のように作動する。尚、図3図5図6は断面図であるが、発明の理解を容易にするために、弁軸54や弁体6等の一部の部材については断面を示さず記載されている。
【0022】
図3及び図6(a)に示すように、弁体6が下降状態にある時において、弁体6は第一壁面16上に形成された排水口17載置され、周囲に嵌着されたパッキンによって排水口17を閉塞している。ここで、スイッチ部21に対して押動操作が加えられると、インナーワイヤがアウターチューブ内を弁体6側へと摺動する。これにより、筒部の内筒41が外筒42より下方へ向けて突出し、第二歯車52に当接するとともに、第二歯車52を下降させる。又、当該第二歯車52の下降に伴い第一歯車51が回転し、第三歯車53を上昇させる。
上記第三歯車53の上昇に連動し、弁軸54が上昇すると、弁軸54によって弁体6が上方より引き上げられる。この時、弁体6が上方へ向けて変位することにより、図5に示すように排水口17が開口するとともに、ロック機構3は内部のギアが噛合し、弁体6の上昇状態が保持される。そして、排水口17が開口することによって、槽体10内に貯留されていた湯水は排水口17より浴槽パン上に直接排出される。尚、浴槽パン上に排出された排水は排水トラップ(図示せず)を介して下水側へと排出される。
上記排水口17の開口時において、排水口17から離間した弁体6は、第一壁面16の上方に形成された第二壁面18の収納部19内に配置される。この時、図5及び図6(b)に示すように、弁体6下端の外縁部は収納部19周縁、即ち第二壁面18と略面一となることによって、弁体6と槽体10が段差無く連続する。
次に、上記弁体6が上昇した状態より再度スイッチ部21に押動操作が加えられると、ロック機構3内の上記ギアの噛合が解除され、リターンスプリングの作用によってインナーワイヤ及び内筒41がスイッチ部21側へと後退する。この時、スプリング56の付勢によって弁軸54が下降し、弁体6が下方に向けて変位するとともに、嵌着されたパッキンが排水口17の周縁に当接することにより、排水口17が閉塞され、槽体10内に湯水を貯留することが可能となる。
【0023】
上記排水栓装置1は、排水口17の開口時において、第一壁面16に形成された排水口17から離間した弁体6が、第二壁面18に形成された収納部19内に配置され、底面や外縁部が当該第二壁面18と略面一となる。ここで、使用者が弁体6を取り外さずに清掃を行う場合、飛び出し部15内に手を入れて清掃を行うが、収納部19内に配置された状態において、弁体6と槽体10との間に清掃を妨げる隙間や段差が生じないため、容易に清掃を行うことが可能となる。
尚、収納部19内に配置された弁体6は側壁部12側の側面が槽体10に向けて露出している。従って、弁体6を取り外す際には、当該露出している側面より取手63を把持し、略水平方向に弁体6を引っ張ることによって弁軸54との連結を解除し、弁体6のみを清掃することができる。
【0024】
上記第一実施形態において、第二壁面18に形成された収納部19は側壁部12側の側面及び下面が開放されており、当該開放された側面より弁体6を把持することが可能であったが、図7及び図8に示す第二実施形態のように、収納部19が弁体6の全周を覆うように窪んでおり、下面のみが開放されていても良い。このように構成することによって、排水口17の開口時において、弁体6は完全に収納部19内に配置され、使用者より視認不可能となることから、排水栓装置1の意匠性を向上させることが可能となる。尚、第二実施形態に係る弁体6を取り外す際には、弁体6が排水口17から離間し、且つ収納部19内に配置されていない高さ位置にある状態において略水平方向に引っ張ることによって、弁軸54との連結を解除することで弁体6のみを清掃することができる。又、第一実施形態において、第一壁面16及び第二壁面18は槽体10の底壁部11や側壁部12を構成する部材と一体に形成されていたが、第二実施形態のように、第一壁面16及び第二壁面18が槽体10の底壁部11や側壁部12を構成する部材とは異なる部材によって形成されていても良い。
【0025】
又、各実施形態において、第一壁面16は全て槽体10の下面であり、略水平の底壁面であったが、図9に示す第三実施形態のように、第一壁面16が傾斜する壁面であり、弁体6が斜め方向に変位しても良い。尚、斜め方向以外にも、第一壁面16が略垂直の壁面であって、弁体6が略水平方向に変位することで排水口17を開口させても良い。従って、第一壁面16及び第二壁面18の形状・形成箇所については何ら制限されるものではない。
【0026】
本発明の実施形態は以上であるが、本発明は上記各実施形態の形状に限られるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の設計変更を加えても良い。例えば、上記各実施形態において、弁体は操作部の操作に伴い上方より引き上げられることによって排水口を開口させるように構成されていたが、操作部の操作に伴い下方から突き上げられることによって排水口を開口させるように構成されていても良い。
又、各実施形態において第二壁面は槽体自体に形成されていたが、排水口の上方に他部材を配置することによって形成しても良い。
又、第二壁面は必ずしも排水口の直上に形成されている必要はなく、排水口の斜め方向やその他の場所に形成されていても良い。従って、排水栓装置の作動による弁体の変位方向は上下方向に限られるものではなく、斜め方向や水平方向に変位しても良い。
又、本発明の槽体は浴槽に限られるものではなく、洗面ボウルや流し台その他の槽体であっても良い。
【符号の説明】
【0027】
1 排水栓装置
10 槽体
11 底壁部
12 側壁部
13 角部
15 飛び出し部
16 第一壁面
17 排水口
18 第二壁面
19 収納部
20 操作部
21 スイッチ部
3 ロック機構
4 伝達部材
41 内筒
42 外筒
5 昇降部
51 第一歯車
52 第二歯車
53 第三歯車
54 弁軸
55 溝部
56 スプリング
6 弁体
61 連結部
62 ガイド部
63 取手
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10