(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2021-188347(P2021-188347A)
(43)【公開日】2021年12月13日
(54)【発明の名称】ドアオープナー
(51)【国際特許分類】
E05B 1/06 20060101AFI20211115BHJP
【FI】
E05B1/06 103
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2020-93784(P2020-93784)
(22)【出願日】2020年5月28日
(71)【出願人】
【識別番号】519095485
【氏名又は名称】株式会社ファンプロジェクト
(74)【代理人】
【識別番号】110002181
【氏名又は名称】特許業務法人IP−FOCUS
(74)【代理人】
【識別番号】100208959
【弁理士】
【氏名又は名称】島田 敏史
(72)【発明者】
【氏名】林 修平
(57)【要約】 (修正有)
【課題】手首や腕でドアを開閉可能であって、衛生性かつ安全性に優れたドアオープナーを提供する。
【解決手段】ドアオープナー1は、ドア表面Dに取り付けられる取付部2と、操作者の腕を掛けるための腕掛部3と、取付部2と腕掛部3とを連結する連結部4とから構成されている。腕掛部3は、自由端である先端部31と、連結部4に連結される基端部32とを有し、基端部32を中心として先端部31がドアから離れる方向に傾く傾斜面と、先端部31の下角に直線状の切欠34とが設けられている。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドアに取り付けられる取付部と、前記ドアの表面に対向する位置に配置される腕掛部と、前記ドアと前記腕掛部との間に操作者の腕が挿入可能な距離を設けて前記取付部と前記腕掛部とを連結する連結部とを備えるドアオープナーであって、
前記ドアと前記腕掛部と前記連結部とで囲まれる領域は、前記操作者の腕を挿入するための開口が前記ドアの正面視において左右方向の少なくとも一方の側面に形成され、
前記腕掛部は、前記開口が位置する端部を先端部、前記連結部と連結する端部を基端部として、前記ドアと前記先端部との最短距離が前記ドアと前記基端部との最短距離よりも長くなるように、前記ドアの前記表面に対して傾く傾斜面を有することを特徴とするドアオープナー。
【請求項2】
前記腕掛部は、正面視において左右方向における前記先端部から前記基端部までの距離が下方から上方へ向かうほど大きくなるように切欠が設けられていることを特徴とする請求項1に記載のドアオープナー。
【請求項3】
前記腕掛部が平板部材から形成され、かつ、前記傾斜面が直線的な勾配を有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載のドアオープナー。
【請求項4】
前記切欠は、直線状に形成されていることを特徴とする請求項2に記載のドアオープナー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、手首や腕でドアを開く際に用いられるドアオープナーに関する。
【背景技術】
【0002】
昨今、新型コロナウィルスが世界規模で感染拡大しており、感染者や死者の増加など、引き続きその状況は深刻化している。新型コロナウィルスは、感染者の咳を直接的に吸い込む以外にも、感染者が咳を押さえた手でドアノブ等に触れた後、そのドアノブ等を他者が触れることでも感染するといわれている。
【0003】
そのため、従来のドアノブは、手でドアノブを握る必要があるので、新型コロナウィルスの感染リスクが非常に高くなっている。一方、手を触れずにドアを開くためのドアオープナーとして、ドアノブに取り付けるレバーハンドルが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
特許文献1のレバーハンドルは、ドアノブに取り付けられると、ドアとレバーハンドルとの間に操作者の腕を挿入可能な領域が生じる。この領域に操作者の腕を挿入して手前に引くことによってドアを開くことができる。このように、特許文献1のレバーハンドルによれば、操作者がドアノブを握る必要がなくなるので、ドアノブを衛生的に使うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実開昭61−181460号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1のレバーハンドルは、ドアとレバーハンドルとの間に挿入した腕を取り囲むように湾曲する湾曲部が形成されている。
【0007】
そのため、操作者の腕がドアとレバーハンドルの間に挿入された状態に気づかずに、他の操作者が反対側からドアを開けた場合、操作者が慌てて腕を引き抜こうとしても、この湾曲部に腕が引っ掛かって抜けなくなることがある。さらに、ドアが開かれると腕に強い負荷が加わり怪我をするおそれがある。
【0008】
本発明は、手を触れずに開くことが可能なドアオープナーであって、他の操作者が反対側からドアを開けた場合の緊急時であっても、安全に且つ素早く腕を引き抜くことができるドアオープナーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、本発明のドアオープナーは、ドアに取り付けられる取付部と、前記ドアの表面に対向する位置に配置される腕掛部と、前記ドアと前記腕掛部との間に前記操作者の腕が挿入可能な距離を設けて前記取付部と前記腕掛部とを連結する連結部とを備えるドアオープナーであって、前記ドアと前記腕掛部と前記連結部とで囲まれる領域は、前記操作者の腕を挿入するための開口が前記ドアの正面視において左右方向の少なくとも一方の側面に形成され、前記腕掛部は、前記開口が位置する端部を先端部、前記連結部と連結する端部を基端部として、前記ドアと前記先端部との最短距離が前記ドアと前記基端部との最短距離よりも長くなるように、前記ドアの前記表面に対して傾く傾斜面を有することを特徴とする。
【0010】
本発明のドアオープナーによれば、ドアと腕掛部との間に腕を挿入して手前に引くことでドアを開くことができる。これにより、操作者がドアオープナーを手で握る必要がなくなり、ドアオープナーを常に衛生的に保つことができる。また、腕掛部には、ドア表面に対して傾く傾斜面が設けられている。そのため、操作者は、腕が引っ掛かって抜けなくなることがないので、腕掛部から腕を安全に引き抜くことができる。
【0011】
また、本発明のドアオープナーにおいて、前記腕掛部は、正面視において左右方向における前記先端部から前記基端部までの距離が下方から上方へ向かうほど大きくなるように切欠が設けられていることが好ましい。
【0012】
これによれば、腕掛部の先端部の下角に切欠が設けられているので、この切欠から操作者の手前側に腕を引き抜くことができる。そのため、操作者は、腕を引き抜くための移動距離が短くなるので、腕掛部から腕を素早く引き抜くことができる。
【0013】
また、本発明において、前記腕掛部が平板部材から形成され、かつ、前記傾斜面が直線的な勾配を有することが好ましい。また、前記切欠は、直線状に形成されていることが好ましい。
【0014】
これによれば、腕掛部の傾斜面が直線的な勾配になっているので、他の操作者により反対側からドアが開けられた場合であっても、操作者は、腕掛部の傾斜面に沿って腕を安全に引き抜くことができる。また、腕掛部の切欠が直線状に形成されているので、切欠に腕が引っ掛かりにくくなる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の実施形態の一例であるドアオープナーがドアに取り付けた状態を示す斜視図。
【
図4】本実施形態のドアオープナーの使用状態を示す斜視図。
【
図5】本発明の変形例のドアオープナーを示す平面図。
【
図6】本発明の変形例のドアオープナーを示す正面図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
次に、本発明の実施形態の一例であるドアオープナーについて、
図1から
図4を参照して説明する。
【0017】
本実施形態のドアオープナー1は、
図1に示すように、ドア表面Dに取り付けられる取付部2と、操作者の腕を掛けるための腕掛部3と、取付部2と腕掛部3とを連結する連結部4とから構成されている。
【0018】
また、本実施形態のドアオープナー1は、取付部2と腕掛部3と連結部4とが金属部材により一体的に形成され、取付部2と腕掛部3とが対向するようにコ字状に配置されている。これにより、腕掛部3は、ドア表面Dに対向する位置に配置される。
【0019】
取付部2は、ドア表面Dに接触する長方形の平坦面21を有し、その四隅に複数の取付孔22が形成されている。この取付孔22にねじ23を差し込んで、ドア表面Dのねじ穴(図示しない)に締め込むことにより、本発明のドアオープナー1をドアに取り付けることができる。
【0020】
腕掛部3は、自由端である先端部31と、連結部4に連結される基端部32とを有する。また、腕掛部3は、
図2に示すように、基端部32を中心として先端部31がドアから離れる方向に傾く傾斜面33を有する。この傾斜面33は、操作者の腕Aを掛ける部分であって、基端部32から先端部31に向かって直線的に延びており、先端部31とドアとの最短距離が、基端部32とドアとの最短距離よりも長くなっている。
【0021】
これにより、ドアに手を触れることなく、腕Aを傾斜面33に掛けて手前に引いてドアを開けることができる。また、操作者の腕Aが腕掛部3に掛かった状態のときに、他の操作者が反対側からドアを開けた場合であっても、操作者は、傾斜面33の勾配に沿って無理なく腕掛部3から腕Aを引き抜くことができる。
【0022】
さらに、腕掛部3は、
図3に示すように、長方形状の平板部材からなり、先端部31の下角に直線状の切欠34が設けられている。この切欠34は、正面視において左右方向における先端部から基端部までの距離が下方から上方へ向かうほど大きくなるように形成されている。また、この切欠34は、一般的な体形を有する操作者の肘の中心点Oを通って先端部31の方向に延びる直線Lに沿って切断されている。
【0023】
これにより、操作者は、肘関節の中心点Oを動かさずに肘関節を回転させるだけで、腕掛部3から腕Aを引き抜くことができる。そのため、操作者が腕を引き抜くための移動距離が短くなるので、素早くに引き抜くことができる。
【0024】
尚、本実施形態のドアオープナー1は、成人の手首から肘までの長さの平均値が約26cmであることから、腕掛部3の最上点Qから肘の中心点Oまでの距離を26cmと設定している。
【0025】
連結部4は、
図2に示すように、取付部2と腕掛部3とでコ字状に囲む領域5を形成する。このコ字状の領域5は、左側面に開口51を有しており、この開口51から操作者の腕Aを挿入することができる。また、連結部4は、
図2の紙面上の上下方向の距離が領域5に操作者の腕Aを挿入可能な距離に設定されている。
【0026】
次に、本実施形態のドアオープナー1をドアに取り付けたときの使用方法について、
図2から
図4を参照して説明する。
【0027】
図2及び
図4に示すように、ドアをY方向に開けるときには、操作者は、腕Aを開口51から領域5内へ挿入した後、腕掛部3の傾斜面33に腕Aを掛けて手前側に引き寄せる。これにより、操作者は、ドアをY方向に移動させることができる。
【0028】
一方、操作者の腕Aが腕掛部3に掛かった状態で、ドアの裏側から他の操作者によりY方向にドアを開けられた際には、操作者は、腕Aを開口51に移動させて引き抜く必要がある。しかしながら、既に、操作者がY方向に引く動作を開始している場合は、腕Aを開口51に移動させる動作が遅れることがある。
【0029】
このとき、本実施形態のドアオープナー1では、腕AをY方向に引く動作を開始している場合であっても、腕掛部3の傾斜面33に沿って、腕AをY方向に引く力が開口51の方向に逃げるので、腕Aが自動的に開口51に案内される。これにより、操作者は、このような緊急時であっても、腕掛部3から腕Aを安全に引き抜くことができる。
【0030】
さらに、
図3に示すように、腕掛部3の切欠34は、肘関節の中心点Oを動かさずに肘関節を回転させるだけで腕Aを引き抜ける開口部になっている。そのため、腕Aを移動させる距離が短くなるので、腕掛部3から腕Aを素早く引き抜くことができる。
【0031】
また、ドアをX方向に閉めるときには、通常はドア上部に取り付けられたドアクローザー(図示しない)が行うが、ドアクローザーがないドアの場合、操作者がドア表面Dまたは腕掛部3の外側を腕AでX方向へ押すことでドアを閉じることができる。
【0032】
次に、本発明のドアオープナーの変形例について、
図5及び
図6を参照して説明する。なお、本変形例における上記実施形態と同一の構成については、図面中に上記実施形態と同一の符号を付すことにより詳細な説明を省略する。
【0033】
本変形例のドアオープナー1aは、
図5(a)に示すように、腕掛部3aの形状が上記実施形態と異なっている。具体的には、腕掛部3aは、ドア表面Dと平行な外側面35aを有し、傾斜面33aと基端部32aとでブロック状に形成されている。
【0034】
また、本変形例のドアオープナー1bは、
図5(b)に示すように、腕掛部3bの形状と腕掛部3bの傾斜面33bの形状が上記実施形態と異なっている。具体的には、腕掛部3bは、変形例1aと同様に、ドア表面Dと平行な外側面35bと傾斜面33bと基端部32bとでブロック状に形成されている。また、腕掛部3bの傾斜面33bは、領域5内へ突出する緩やかなカーブ形状となっている。
【0035】
また、本変形例のドアオープナー1c〜eは、
図6(a)〜(c)に示すように、腕掛部3c〜eの切欠34c〜eの傾斜角度が上記実施形態と異なっている。また、本件変形例のドアオープナー1fは、
図6(d)に示すように、腕掛部3fの切欠34fが円弧上に形成されている点で上記実施形態と異なっている。
【0036】
尚、上記実施形態においては、ドアオープナー1を開き戸に取り付けられているが、これに限らず、ドアオープナー1を引き戸に取り付けられてもよい。
【0037】
その際は、
図2に示すように、ドアをR方向に開けるときには、操作者は、腕Aを開口51から領域5内へ挿入した後、連結部4を腕Aで右側に押すことで、ドアをR方向に移動させることができる。ドアをL方向に閉じるときには、操作者は、領域5の外側から連結部4を腕Aで左側に押すことで、ドアをL方向に移動させることができる。
【0038】
また、上記実施形態においては、取付部2と腕掛部3と連結部4とが金属部材により一体的に形成されているが、これに限らず、取付部2と腕掛部3と連結部4を別部材にしてもよい。その際は、取付部2と腕掛部3と連結部4とをねじなどで固定すればよい。
【0039】
また、上記実施形態においては、取付部2をドア表面Dにねじ止めするようにしているが、これに限らず、取付部2をドア裏面にねじ止めしてもよい。その際には、ドアに貫通孔を設け、その貫通孔を介して取付部2と連結部4とを連結すればよい。
【0040】
また、上記実施形態においては、腕掛部3と連結部4とが金属製の平板材から形成されているが、これに限らず、腕掛部3と連結部4をパイプ部材を折り曲げることにより形成してもよく、樹脂等で形成してもよい。
【符号の説明】
【0041】
1…ドアオープナー、 2…取付部、 3…腕掛部、 31…先端部、 32…基端部、 33…傾斜面、 34…切欠 4…連結部、 5…領域、 D…ドア表面、 A…腕。