特開2021-188348(P2021-188348A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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▶ 衛藤 武志の特許一覧

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  • 特開2021188348-鋼構造物の拘束部材 図000003
  • 特開2021188348-鋼構造物の拘束部材 図000004
  • 特開2021188348-鋼構造物の拘束部材 図000005
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2021-188348(P2021-188348A)
(43)【公開日】2021年12月13日
(54)【発明の名称】鋼構造物の拘束部材
(51)【国際特許分類】
   E04B 1/58 20060101AFI20211115BHJP
   E04G 23/02 20060101ALI20211115BHJP
【FI】
   E04B1/58 D
   E04G23/02 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
【全頁数】5
(21)【出願番号】特願2020-93790(P2020-93790)
(22)【出願日】2020年5月28日
(71)【出願人】
【識別番号】515179358
【氏名又は名称】衛藤 武志
(72)【発明者】
【氏名】衛藤 武志
【テーマコード(参考)】
2E125
2E176
【Fターム(参考)】
2E125AA04
2E125AA33
2E125AB02
2E125AC15
2E125AG04
2E125AG31
2E125CA82
2E176AA07
2E176BB28
(57)【要約】
【課題】並進および回転の両方の拘束方向をもち、高靭性な部材を鋼材形状に制限なく付設できる表面形状追従性をもった拘束部材を編成する。
【解決手段】本発明に係る鋼構造物の拘束部材は、4方を封止した高ヤング率の繊維で形成された二層シートの層間に流動性硬化材を注入して使用する前記拘束部材であって、拘束対象を当該二層シートで包囲して配置した後に前記流動性硬化材の充填圧力で鋼材表面を拘束する拘束シートと前記流動性硬化材と繊維の複合体を編成する繊維強化シートとを備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
4方を封止した高ヤング率の繊維で形成された二層シートの層間に流動性硬化材を注入して使用する拘束部材であって、前記流動性硬化材の充填圧力で鋼材を拘束する拘束シートと前記流動性硬化材と繊維の複合体を編成する繊維強化シートとを備える。鋼構造物の拘束部材。
【請求項2】
前記繊維強化シートにはリブが形成されており、格納して配設されている。請求項1に記載の鋼構造物の拘束部材。
【請求項3】
前記繊維強化シートには付設するための定着代1a,bが設けてある。請求項1に記載の鋼構造物の拘束部材。
【請求項4】
前記拘束シートには注入ホースが設けられている。請求項1に記載の鋼構造物の拘束部材。
【請求項5】
前記拘束シートの上下辺は延伸するための余長をシートに設けて封止してある。請求項1又は3に記載の鋼構造物の拘束部材
【請求項6】
前記拘束部材の前記繊維強化シートと前記拘束シートの付設面と接合する面には、所定の塗布量の接着剤を塗布して使用できる。請求項1に記載の拘束方法
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
ここに開示する発明は、鋼構造物の拘束部材に関する。
【背景技術】
【0002】
応力を伝達するには並進拘束あるいは回転拘束またはその両方の拘束が必要となる。その拘束材は金属や鉄筋コンクリートなど高靭性な部材で構成され、それらの拘束には溶接やボルト等の強固な方法がとられる。
【0003】
これらを既存の鋼構造物に適用する場合には、鋼材の種別や存置する環境に応じた拘束材や拘束方法を選別する必要がある。
【0004】
特許文献1には、鋼管の座屈と軸力を補強する方法として鋼管中空部に無機材を充填してボルト張力で拘束する補強が開示さているが、中空構造以外には適用できない。
【0005】
特許文献2には、座屈拘束ブレースなる部材が開示されているが、一体の構成部材なので既存の鋼構造物及び回転拘束には適用できない。
【0006】
特許文献3には、シールドトンネルの壁体と抗口との接合方法及びセグメントなる弾性材の膨張袋が開示されているが、弾性吸収のライニング手段であって高靭性な拘束部材を編成していない。
【0007】
鋼構造物の拘束部材において、拘束方向と鋼材種別に制限がなく、拘束部材は高靭性に編成され、母材に加工の必要のない拘束部材があれば広範囲の付設ができると考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2017−137689
【特許文献2】特許第6167253
【特許文献3】特開2008−138409
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
以上の背景に鑑みて本発明は、並進および回転の両方の拘束方向をもち、高靭性な部材を複雑な形状の型鋼にも付設できる表面形状追従性をもった拘束部材を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る鋼構造物の拘束部材は、4方を封止した高ヤング率の繊維で形成された二層シートの層間に流動性硬化材を注入して使用する拘束部材であって、拘束対象を当該二層シートで包囲して配設した後に前記流動性硬化材の充填圧力で鋼材表面を拘束する拘束シートと前記流動性硬化材と繊維の複合体を編成する繊維強化シートとを備える。
【0011】
本発明に係る鋼構造物の拘束部材は、充填材を注入する注入ホースを配設することができる。前記注入ホースは二層シートの層間であれば自由に配設ができる。
【0012】
本発明に係る鋼構造物の拘束部材は、接着材を付設面あるいは二層シートの表面に塗布して使用することができる。前記流動性硬化材の押圧力で二層シートを付設面へ固定することで、構造物を拘束することができる。
【0013】
本発明に係る鋼構造物の拘束部材は、当該シートの層間に前記流動性硬化材を注入すると前記繊維強化シートに付設されたリブの表面に充填材がいきわたるのでマトリックスとの定着がなされる。マトリックスの硬化が完了すると付設面と一体の複合体を編成する。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る鋼構造物の拘束部材は、拘束方向と鋼材種別の制限がなく付設ができる。また、表面形状追従性に優れ且つ、高靭性に編成された拘束部材は鋼材と一体に拘束されるので安定な強度を付与することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】拘束部材100の平面図(A)と縦断面図(B)と横断面図(C)。
図2】拘束部材100を型鋼6に拘束した断面図(D)と立面図(E)。
図3】拘束部材100を鋼管7に拘束した断面図(F)と立面図(G)。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明に係る鋼構造物の拘束部材の実施形態について、平面図(A)と縦断面図(B)と横断面図(C)に示している。拘束部材100は、高ヤング率の繊維で形成された繊維強化シート1と拘束シート2を二層に重ね合わせ四方を封止部材4で接着又は縫製、あるいはその両方で係合され封止されている。前記封止部材は繊維織物又はプラスチックシートあるいは不織布で形成されている。
【0017】
前記繊維強化シートには板状の繊維強化プラスチックで形成されたリブ3が格納して配設されている。好ましくは前記リブは応力に応じた数を配設するのがよい。
【0018】
前記繊維強化シートには付設するための定着代1a,bが設けてある。
【0019】
前記拘束シートの上下辺は拘束対象物に延伸するからシートに余長を設けて封止してある。
【0020】
前記拘束部材の二層シートの層間に流動性硬化材10を注入するための注入ホース5が、図1A中央に設けられている。前記注入ホースは繊維織物又はプラスチックシートあるいは不織布で形成されており接着又は縫製、あるいはその両方で前記拘束シートに系合されている。前記注入ホースは層間であれば自由に配設ができる。
【0021】
前記拘束部材の前記繊維強化シートと前記拘束シートの付設面と接合する面には、所定の塗布量の接着材を塗布して使用できる。
【0022】
実施形態に係る鋼構造物の拘束部材の並進拘束の付設例を図2(D)と(E)に示す。この例は、山形鋼のトラス構造に前記拘束部材100を付設した図である。型鋼6の座屈と軸耐力を向上せしめるものである。前記型鋼に保護カバー9をボルトで係合して設置した後に前記拘束部材を前記保護カバーの内接面に沿って筒状に配設して定着代1a、bを接着材で接合の後に流動性硬化材10を注入ホース5より前記拘束部材に充填する。その充填圧力は前記保護カバーを反力として前記型鋼の付設面に拘束シート2を押圧するとともに接着固定され前記流動性硬化材の硬化後は鋼材6の全周が拘束され高靭性な構造体を編成する。好ましくは、前記保護カバーおよびその接合のボルトは軽量なプラスチックあるいは軽金属で編成するのがよい。
【0023】
実施形態に係る鋼構造物の拘束部材の並進と回転拘束の付設例を図3(F)と(G)に示す。この例は、鋼管7と仕口部材8の接合間部に前記拘束部材100を付設した図である。前記鋼管と前記仕口部材を拘束するものとなる。前記鋼管と前記仕口部材の間に前記拘束部材を設置して定着代1a、bを接着材で接合の後に流動性硬化材10を注入ホース5より前記拘束部材に充填する。その充填圧力は前記鋼管と前記仕口部材の付設面に拘束部材100を押圧するので接着固定され前記流動性硬化材の硬化後は仕口構造と一体の構造体を編成する。
【符号の説明】
【0024】
100 拘束部材
1 繊維強化シート
1a、b 定着代
2 拘束シート
3 リブ
4 封止部材
5 注入ホース
6 型鋼
7 鋼管
8 仕口部材
9 保護カバー
10 流動性硬化材
図1
図2
図3