【実施例1】
【0011】
図1は本発明による空調機システム1を示すブロック図である。
空調機システム1は、交流電源2に電源線3でそれぞれ接続された第1冷媒系統101と第2冷媒系統102と第3冷媒系統103と、各冷媒系統に通信接続されたリモコン6を備えている。
【0012】
第1冷媒系統101は、第1室外機11と第1室内機31と第2室内機32を備えている。電源線3はブレーカー8を介して第1室外機11内の第1リレー(スイッチ)21aの一端に接続されている。第1リレー21aの他端は第1電源線3aに接続され、第1電源線3aは第1室内機31と第2室内機32にそれぞれ接続されている。また、第1室外機11と第1室内機31と第2室内機32は第1冷媒管4aでそれぞれ接続されている。また、第1室外機11と第1室内機31は第1通信線5aで通信接続されている。
【0013】
第2冷媒系統102は、第2室外機12と第3室内機33を備えている。電源線3は第2ブレーカー9を介して第2室外機12内の第2リレー22aの一端に接続されている。第2リレー22aの他端は第2電源線3bに接続され、第2電源線3bは第3室内機33に接続されている。また、第2室外機12と第3室内機33は第2冷媒管4bで接続されている。また、第2室外機12と第3室内機33は第2通信線5bで通信接続されている。
【0014】
第3冷媒系統103は、第3室外機13と第4室内機34と第5室内機35と第6室内機36を備えている。電源線3は第3ブレーカー10を介して第3室外機13内の第3リレー23aの一端に接続されている。第3リレー23aの他端は第3電源線3cに接続され、第3電源線3cは第4室内機34と第5室内機35と第6室内機36にそれぞれ接続されている。また、第3室外機13と第4室内機34と第5室内機35と第6室内機36は第3冷媒管4cでそれぞれ接続されている。また、第3室外機13と第4室内機34は第3通信線5cで通信接続されている。
【0015】
そして、第1室外機11には、第1リレー21aを備えた第1室外機制御部21が、また、第2室外機12には、第2リレー22aを備えた第2室外機制御部22が、また、第3室外機13には、第3リレー23aを備えた第3室外機制御部23が、それぞれ設けられている。
【0016】
さらに、第1室内機31には、第1室内機制御部41が、また、第2室内機32には、第2室内機制御部42が、また、第3室内機33には、第3室内機制御部43が、また、第4室内機34には、第4室内機制御部44が、また、第5室内機35には、第5室内機制御部45が、また、第6室内機36には、第6室内機制御部46が、それぞれ設けられている。
【0017】
そして、リモコン6は第1室内機制御部41から第6室内機制御部46までのすべての室内機制御部を通信接続する渡り線(通信線)7を介して第1室内機制御部41から第6室内機制御部46までのすべての室内機制御部と通信接続されている。リモコン6は空調機システム1が設置されると各室内機に0〜5のリモコン通信アドレスを自動的に割り当てる。各室内機は自機のリモコン通信アドレスを内部の図示しない不揮発性メモリに記憶する。なお、リモコン通信アドレスは従来からの手法、例えば、リモコン6が主局となってアドレス設定コマンドを各室内機(従局)に同時に送信し、各室内機は乱数により発生した時間だけ待機した後、リモコン6と通信してリモコン通信アドレスの割り当てを受ける。詳細については説明を省略する。
【0018】
図2(A)は第1室外機制御部21の内部を示すブロック図である。なお、第2室外機制御部22と第3室外機制御部23も第1室外機制御部21と同じ構成であるため第1室外機制御部21を代表として説明する。
【0019】
第1室外機制御部21は、第1リレー(電源接続手段)21aと、電源制御部21bと、通信回線確認部21cと、室外機通信部21dと、これらを制御すると共に、第1室外機11全体を制御する室外機制御部21eを備えている。
【0020】
室外機通信部21dは、同じ冷媒系統内の代表室内機である第1室内機31へ第1通信線5aを介して接続されており、例えば第1室内機31から同じ冷媒系統内の室内機の電源を一時的に切断する「室内機への供給電源の一時切断」の指示データを受信した場合、電源制御部21bへ一時切断信号を出力する。一時切断信号が入力された電源制御部21bは、第1リレー21aへ接続指示信号を出力する。接続指示信号はオンオフ信号であり、電源制御部21bは一時切断信号が入力されると交流電源を切断する接続指示信号を出力し、所定時間後、例えば5分後に交流電源を接続する接続指示信号を出力する。
第1リレー21aは電源制御部21bから出力される接続指示信号により、電源線3を第1電源線3aへ接続、および切断する。
【0021】
通信回線確認部21cは、第1室外機11に交流電源が投入された時、接続確認信号を室外機通信部21dへ出力する。接続確認信号が入力された室外機通信部21dは、同じ冷媒系統内の第1室内機31へ接続確認用のデータを送信する。一方、これを受信した第1室内機31は、第1室外機11との通信が確立されたと判断する。
【0022】
図2(B)は
図2(A)における第1リレー21aの別の実施例である電源接続部91aを示している。この内部には電源接続報知部(電源接続報知手段)91bが備えられている。
図2(A)では電源制御部21bの接続指示信号により交流電源の切断および接続を自動で行っていたが、
図2(B)ではこれを手動で行うものである。
【0023】
電源接続部91a内の電源接続報知部91bは、電源制御部21bから接続指示信号が入力されると電源接続報知部91b内に備えられている図示しないスピーカーから音声合成により「交流電源を一時的に切断し、5分後に再接続してください」などの報知を人、例えばユーザーや設置作業員に行う。これに従って人手により第1ブレーカー8の切断と接続を行う。なお、電源接続部やリレーの動作については後で詳細に説明する。
【0024】
図3は第1室内機制御部41の内部を示すブロック図である。なお、第2室内機制御部42〜第6室内機制御部46も第1室内機制御部41と同じ構成であるため、第1室内機制御部41を代表例として説明する。
【0025】
第1室内機制御部41は、第1通信線5aを介して第1室外機11と通信を行う室内機通信部41bと、リモコン6や他の室内機と渡り線7を介して通信を行うリモコン通信部41aと、空調機システム内の各室内機で重複の無いリモコン通信アドレスを決定するリモコン通信アドレス決定部41dと、冷媒系統アドレス生成部(冷媒系統アドレス生成手段)51と、これらを制御すると共に、第1室内機31全体を制御する室内機制御部41cを備えている。
【0026】
冷媒系統アドレス生成部51は、他の室外機や室内機と連携して第1室内機31の冷媒系統アドレスを決定する機能を有している。この冷媒系統アドレス生成部51は、リモコン通信アドレスや他の室内機の情報などを記憶する不揮発性の記憶部51bと、他の室内機の情報を収集する他室内機情報収集部51gと、他の室内機へ自機の室内機情報を出力する自室内機情報報知部51hと、電源投入時に同じ冷媒系統の室外機との通信の可否を判定する室外機接続判定部51eと、冷媒系統アドレスを生成する場合に他の室内機との親子関係を決定する親子決定部51dと、冷媒系統アドレスを生成する制御を行う冷媒系統アドレス生成制御部51aを備えている。
【0027】
次に室外機接続判定部51eについて説明する。
図1において第1ブレーカー8が接続されて第1冷媒系統101に交流電源が供給されると、第1室外機11の通信回線確認部21cは接続確認信号を室外機通信部21dを介して送信する。第1室内機31の室内機通信部41bはこの接続確認信号を受信すると、これを室外機接続判定部51eへ出力する。室外機接続判定部51eは、第1冷媒系統101に交流電源が供給されてから所定時間例えば1分間以内に接続確認信号を受信すると「接続有」と判断し、この情報を記憶部51bの所定位置に書き込む。また、所定時間内に接続確認信号が受信できなければ「接続無」としてこの情報を記憶部51bの所定位置に書き込む。
【0028】
他の冷媒系統も同じ動作を行っており、この動作の結果、室外機と通信線で接続されている室内機の各室外機接続判定部のみが「接続有」と判断し、この情報を記憶部51bの所定位置に書き込む。その他の室内機の各室外機接続判定部は「接続無」と判断し、この情報を記憶部部51bの所定位置に書き込む。この時の記憶部51bの状態を
図4(A)に示す。
図4(A)において第1室内機31と第3室内機33と第4室内機34における各記憶部の「室外機との接続」の項が「有」となり、それ以外の第2室内機32と第5室内機35と第6室内機36における各記憶部の「室外機との接続」の項が「無」となっている。
【0029】
次にリモコン通信アドレス決定部41dについて説明する。上記のように「室外機との接続」の有無が決定された後、リモコン通信アドレスに関して、リモコン6が主局となって従局である第1室内機31〜第6室内機36のリモコン通信アドレスが決定される。これは前述したようにリモコン6からアドレス決定要求の指示が各室内機へ一斉送信される。これを受信した各室内機のリモコン通信アドレス決定部41dは、室内機毎に重複が無いように乱数で待機時間(例えば100〜最大1000ミリセカンド)を発生させ、この待機時間だけ待機する。そして、各室内機のリモコン通信アドレス決定部41dは、この待機時間を自機の仮アドレスとしてリモコン6へ送信する。これを受信したリモコン6は、正式なリモコン通信アドレスを、仮アドレスを持つ室内機へ送信する。この正式なリモコン通信アドレスを受信した室内機は、正式なリモコン通信アドレスを記憶部51bに記憶する。以降、この室内機はこの正式なリモコン通信アドレスを用いてリモコン6と通信を行う。また、各室内機同士はこのリモコン通信アドレスを用いて通信を行うことも可能である。
【0030】
このようにして決定された正式なリモコン通信アドレスを記憶した各記憶部の状態を
図4(B)に示す。この実施例ではリモコン通信アドレスに関して、第1室内機31は「2」、第2室内機32は「5」、第3室内機33は「4」、第4室内機34は「1」、第5室内機35は「3」、第6室内機36は「0」となっている。
このようにリモコン通信アドレスは、重複なく0〜5の値が各室内機に割り当てられている。このため、各室内機は相互に相手を指定して通信が可能である。
【0031】
本実施例では冷媒系統アドレス決定動作を行うために、各室内機において親機と子機の関係で通信を行うポーリング通信方式を用いる。そのためには、各室内機の中から親機となる室内機を選択する必要がある。
このため、各室内機の自室内機情報報知部51hは、全ての室内機のリモコン通信アドレスが決定される時間、つまり、乱数で発生させた待機時間のうち最も長い待機時間が経過するのを待つ。この後、各室内機の自室内機情報報知部51hは、記憶部51bから自機の室内機情報として自機のリモコン通信アドレスと「室外機との接続」の有無の情報を読み出し、送信信号の衝突を避けるため自機のリモコン通信アドレスに例えば1秒を乗じた時間だけ待機した後、自機のリモコン通信アドレスと共に、自機の「室外機との接続」の有無の情報を同報通信で他の各室内機へ送信する。
【0032】
これを受信した各室内機の他室内機情報収集部51gは、他の室内機のリモコン通信アドレスと「室外機との接続」の有無の情報を記憶部51bに記憶に記憶する。このようにして各室内機は、全ての室内機においてリモコン通信アドレスと「室外機との接続」の有無の情報を共有することができる。各室内機の自室内機情報報知部51hは、これらの情報収集を室内機の台数に1秒を乗じた時間だけ行う。これにより各室内機は
図4(B)に示す内容を記憶部51bに記憶していることになる。
【0033】
次に、各室内機の親子決定部51dは、情報収集を開始してから上記の室内機の台数に1秒を乗じた時間が経過したら、記憶部51bから各室内機の室内機情報を読み出し、「室外機との接続が有り」でかつ、リモコン通信アドレスの値が最も小さい室内機を親機として決定する。
図4(B)では第4室内機34でリモコン通信アドレスが「1」がこれに合致する。従って第4室内機34が冷媒系統アドレス決定動作における親機となる。第4室内機34の親子決定部51dは「親機」の決定信号を冷媒系統アドレス生成制御部51aへ出力する。なお、第4室内機34以外の室内機の親子決定部51dは「子機」の決定信号を冷媒系統アドレス生成制御部51aへ出力する。
【0034】
次に第4室内機34の冷媒系統アドレス生成制御部51aは、アドレス決定動作の親機としての動作を開始する。なお、他の室内機はこの親機の指示に従って動作する。第4室内機34の冷媒系統アドレス生成制御部51aは、リモコン通信部41aを介して他の室内機へ「室内機への供給電源の一時切断」の指示である一時切断信号を同報通信で送信する。
【0035】
他の室内機はこの一時切断信号を受信して、受信した室内機が属する冷媒系統の室外機へ、この一時切断信号による「室内機への供給電源の一時切断」の指示を室内機通信部41bを介して送信する。ただし、室外機と接続されている室内機は、第1室内機31と第3室内機33と第4室内機34である。この場合、第4室内機34は冷媒系統アドレス決定動作の親機であるため、「室内機への供給電源の一時切断」の指示を実行するのは、第1冷媒系統101の第1室内機31と、第2冷媒系統102の第3室内機33だけである。
【0036】
第1室内機31と第3室内機33の冷媒系統アドレス生成制御部51aは、「室内機への供給電源の一時切断」の指示を受信すると、室内機通信部41bと室外機通信部21dを介して各室外機の電源制御部21bへ「一時切断信号」を出力する。電源制御部21bは、これに対応して接続指示信号を第1リレー21aへ出力する。この結果、冷媒系統アドレス決定動作の親機が属する第3冷媒系統以外の冷媒系統である第1冷媒系統101と第2冷媒系統102の各室内機に供給される交流電源が一時的に切断される。
【0037】
一方、冷媒系統アドレス決定動作の親機である第4室内機34の冷媒系統アドレス生成制御部51aは、「室内機への供給電源の一時切断」の指示を出した後、この一時的な電源切断の期間内において、自機のリモコン通信アドレス「1」を自機が属する第3冷媒系統の冷媒系統アドレスとして全ての室内機へ同報通信で送信する。この場合、他の室外機の冷媒系統の交流電源は前述の指示により切断されており、冷媒系統アドレス「1」を受信可能な室内機は第3冷媒系統内の第5室内機35と第6室内機36の2台だけである。これら2台の室内機の冷媒系統アドレス生成制御部51aは、冷媒系統アドレス「1」を各記憶部51bの「冷媒系統アドレス」と対応する位置に記憶する。同時に冷媒系統アドレス決定動作の親機ある第4室内機34の冷媒系統アドレス生成制御部51aは、冷媒系統アドレス「1」を親機の記憶部51bの「冷媒系統アドレス」と対応する位置に記憶する。
【0038】
冷媒系統アドレス決定動作の親機である第4室内機34の冷媒系統アドレス生成制御部51aは、この一時的な電源切断の期間の終了を待つ。この期間が終了して他の冷媒系統の室内機が動作可能になった時、第4室内機34の冷媒系統アドレス生成制御部51aは、冷媒系統アドレス決定動作の親機としての動作を終了する。そして第4室内機34の冷媒系統アドレス生成制御部51aは、自機以外の室内機で「室外機との接続有り」で、かつ、リモコン通信アドレスの値が自機よりも次に大きい室内機である、第1室内機31へ親機の機能を移管する「親機移管」の指示を送信する。同時に第4室内機34の親子決定部51dは、子機としての動作を行うため、自機の室内機情報に関わらず、「子機」の決定信号を冷媒系統アドレス生成制御部51aへ出力する。これにより第4室内機34は子機としての動作を行う。
【0039】
一方、この「親機移管」の指示を受信した第1室内機31の親子決定部51dは、「親機」の決定信号を第1室内機31の冷媒系統アドレス生成制御部51aへ出力し、これを入力した第1室内機31の冷媒系統アドレス生成制御部51aは、前述した冷媒系統アドレス決定動作の親機としての動作を実行する。なお、他の室内機はこの冷媒系統アドレス決定動作の親機である第1室内機31の指示に従って動作する。
【0040】
第1室内機31の冷媒系統アドレス生成制御部51aは、他の室内機へ「室外機の一時的な電源切断」の指示を同報通信で送信する。
【0041】
他の室内機はこの指示を受信して、受信した室内機が属する冷媒系統の室外機へこの「室外機の一時的な電源切断」の指示を送信する。ただし、室外機と接続されている室内機は、第1室内機31と第3室内機33と第4室内機34である。この場合、第1室内機31は冷媒系統アドレス決定動作の親機であるため、「室内機への供給電源の一時切断」の指示を実行するのは、第4室内機34と第3室内機33だけである。
【0042】
第4室内機34と第3室内機33の冷媒系統アドレス生成制御部51aは、「室内機への供給電源の一時切断」の指示を受信すると、第2室外機12と第3室外機13の電源制御部21bへ「一時切断信号」を出力する。この結果、第2室外機12と第3室外機13から各冷媒系統内の室内機へ供給される交流電源が一時的に切断される。
【0043】
一方、冷媒系統アドレス決定動作の親機である第1室内機31の冷媒系統アドレス生成制御部51aは、「室内機への供給電源の一時切断」の指示を出した後、この一時的な電源切断の期間内において、自機のリモコン通信アドレス「2」を自機が属する第1冷媒系統の冷媒系統アドレスとして全ての室内機へ同報通信で送信する。この場合、他の室外機の冷媒系統の交流電源は前述の指示により切断されており、冷媒系統アドレス「2」を受信可能な室内機は、第1冷媒系統内の第2室内機32だけである。この第2室内機32の冷媒系統アドレス生成制御部51aは、冷媒系統アドレス「2」を記憶部51bの「冷媒系統アドレス」の欄に記憶する。同時に冷媒系統アドレス決定動作の親機である第1室内機31の冷媒系統アドレス生成制御部51aは、冷媒系統アドレス「2」を記憶部51bの「冷媒系統アドレス」と対応する位置に記憶する。
【0044】
冷媒系統アドレス決定動作の親機である第1室内機31の冷媒系統アドレス生成制御部51aは、この一時的な電源切断の期間の終了を待つ。この期間が終了して他の冷媒系統の室内機が動作可能になった時、第1室内機31の冷媒系統アドレス生成制御部51aは、冷媒系統アドレス決定動作の親機としての動作を終了する。そして第1室内機31の冷媒系統アドレス生成制御部51aは、自機以外の室内機で「室外機との接続有り」で、かつ、リモコン通信アドレスの値が自機の次に大きい室内機である、第3室内機33へ冷媒系統アドレス決定動作の親機の機能を移管する「親機移管」の指示を送信する。同時に第1室内機31の親子決定部51dは、子機としての動作を行うため、自機の室内機情報に関わらず、「子機」の決定信号を冷媒系統アドレス生成制御部51aへ出力する。これにより第1室内機31は子機としての動作を行う。
【0045】
一方、この「親機移管」の指示を受信した第3室内機33の親子決定部51dは、「親機」の決定信号を第3室内機33の冷媒系統アドレス生成制御部51aへ出力し、これを入力した第3室内機33の冷媒系統アドレス生成制御部51aは、前述した冷媒系統アドレス決定動作の親機としての動作を実行する。このようにして冷媒系統ごとに同じ冷媒系統アドレスを記憶部51bに記憶させることができる。
【0046】
前述のようにして3つの冷媒系統アドレスが決定された時の記憶部51bの内容を
図4(C)に示す。第1室内機31と第2室内機32の冷媒系統アドレスは“2”であり、第3室内機33の冷媒系統アドレスは“4”であり、第4室内機34と第5室内機35と第6室内機36の冷媒系統アドレスは“1”となっている。
【0047】
ところで、このようにして生成した冷媒系統アドレスを用いて実際に試運転を実施した時、室外機と室内機との電源線や冷媒管、通信線などが誤って接続されていたことが発見された場合、接続を修正して再度、冷媒系統アドレスを生成する必要がある。
背景技術で説明した冷媒温度を検出する方式では、前回の運転動作によりすでに熱交換器の温度が変化しており、正しく検出するためには、熱交換器の温度が常温に戻るまで待機しなければならないため、再度、冷媒系統アドレスを生成するために時間がかかってしまう問題があった。
本願の場合は、このような温度変化を待つことなくすぐに冷媒系統アドレスを再設定することができる。
【0048】
前述したように
図2(B)において、電源接続部91a内の電源接続報知部91bは、本実施例で説明した、第1リレー(電源接続手段)21aの別の実施例である。これは冷媒系統ごとに交流電源を切断および接続するリレーなどが組み込まれていない時に代替として使用する。
【0049】
電源制御部21bから接続指示信号が入力されると電源接続部(電源接続手段)91a内の電源接続報知部91bは、電源接続報知部91b内に備えられている図示しないスピーカーから音声合成により「交流電源を一時的に切断し、5分後に再接続してください」などの報知を設置作業員に行う。これに従って人手により、報知された室外機のブレーカーの切断と接続を行う。このため設置作業員が室外機の近傍に待機している必要があるが、冷媒系統アドレス設定はほとんど空調機システムの設置時にのみ行う作業であり、電源接続部91aを安価に構成することができる。
【0050】
以上説明したように、冷媒系統の識別を従来のように冷媒温度変化でなく、交流電源の切断および接続による電気的な変化で実行するため、冷媒系統アドレスの決定にかかる時間が冷媒を用いる場合に比較して短縮することができる。また、再設定する場合においても、冷媒温度が常温に戻るまで待つ必要がないので、何回でも設定をやり直すことができる。
【0051】
なお、本実施例ではリモコン6の通信用の渡り線7で各室内機との通信を行っているが、これに限るものでなく、渡り線7の代わりに第1通信線5aと第2通信線5bと第3通信線5cと、各室内機の室内機通信部41bが新たな通信線で接続された構成であってもよい。この場合、室内機と室外機の通信における通信接続の有無がないため、各室内機から1つの室外機を指定して、その室外機以外の室外機の交流電源を切断および接続させる。室内機と室外機の組み合わせの総当たりでこれを行うことで本願と同じように冷媒系統アドレスを得ることができる。この場合、一度、記憶部に記憶した冷媒系統アドレスは上書きができないように管理する必要がある。