【実施例】
【0048】
以下に、実施例及び比較例を示して本発明を詳細に説明する。ただし、本発明は、実施例に限定されない。
【0049】
<実施例1>
(1)板状部材を形成する繊維を準備する工程
繊度3d(デニール)、繊維長51mmのポリエチレンテレフタレート短繊維(融点255℃)と、繊度4d、繊維長51mmであり、芯部がポリエチレンテレフタレート(融点255℃)及び鞘部が融点110℃のポリエチレンテレフタレート/イソフタレート共重合体である芯鞘型複合短繊維とを準備した。
【0050】
(2)繊維を用いた不織布を準備する工程
上記ポリエチレンテレフタレート短繊維を70質量部、上記芯鞘型複合短繊維を30質量部、合計100質量部の比率で、混合し、カーディングしてウェブを形成し、該ウェブにニードルパンチ加工を施して雰囲気温度180℃で熱処理、冷却することにより、ニードルパンチ不織布を得た。該不織布の目付は350g/m
2、厚さは3.0mmであった。
【0051】
(3)不織布を圧縮成形し板状部材とする工程
上記不織布を、加熱プレス成形機にて170℃、2.0kg/cm
2で8分間加熱加圧し、次いで60℃、2.0kg/cm
2で8分間冷却加圧して、厚さ1.0mmの部分融着した板状部材を得た。該板状部材のBET比表面積は、0.38m
2/gであった。また、板状部材を形成する繊維の平均直径は18μm、平均繊度は3.3d、平均繊維長は51mm、見かけ密度は0.35g/cm
3、気孔率が68%、目付は350g/m
2であった。また、板状部材の長さ(
図1でいう、風向き方向)は100mm、高さ(
図1でいう、紙面上下方向)は150mmとした。
【0052】
(4)板状部材の表面の少なくとも一部に、シリカ粒子と抗微生物剤を付着させる工程
次に、下記処方1とした分散液に、得られた板状部材を含浸し、遠心分離機で絞り率50質量%に絞った後、雰囲気温度50℃とした乾燥機中で12時間乾燥し、加湿エレメントを得た。なお、加湿エレメントにおけるコロイダルシリカの含有量は、0.6質量%であった。また、加湿エレメントにおける、イルガサン及び3−ヨード−2−プロピニルブチルカーバメートの合計含有量は、0.12質量%であった。
【0053】
(処方1)
コロイダルシリカ(一次粒子径10nm):4.0質量%
イルガサン:0.5質量%
3−ヨード−2−プロピニルブチルカーバメート:0.5質量%
イソプロピルアルコール(IPA):残部
【0054】
<実施例2>
(1)板状部材を形成する繊維を準備する工程
繊度3d(デニール)、繊維長51mmのポリエチレンテレフタレート短繊維(融点255℃)と、繊度2d、繊維長51mmであり、芯部がポリエチレンテレフタレート(融点255℃)及び鞘部が融点110℃のポリエチレンテレフタレート/イソフタレート共重合体である芯鞘型複合短繊維とを準備した。
【0055】
(2)繊維を用いた不織布を準備する工程
上記ポリエチレンテレフタレート短繊維を80質量部、上記芯鞘型複合短繊維を20質量部、合計100質量部の比率で、混合し、カーディングしてウェブを形成し、該ウェブにニードルパンチ加工を施して雰囲気温度180℃で熱処理、冷却することにより、ニードルパンチ不織布を得た。該不織布の目付は450g/m
2、厚さは3.0mmであった。
【0056】
(3)不織布を圧縮成形し板状部材とする工程
上記不織布を、加熱プレス成形機にて170℃、2.0kg/cm
2で8分間加熱加圧し、次いで60℃、2.0kg/cm
2で8分間冷却加圧して、厚さ1.0mmの部分融着した板状部材を得た。該板状部材のBET比表面積は、0.43m
2/gであった。また、板状部材を形成する繊維の平均直径は17μm、平均繊度は2.8d、平均繊維長は51mm、見かけ密度は0.45g/cm
3、気孔率が63%、目付は450g/m
2であった。また、板状部材の長さ(
図1でいう、風向き方向)は100mm、高さ(
図1でいう、紙面上下方向)は150mmとした。
【0057】
(4)板状部材の表面の少なくとも一部に、シリカ粒子と抗微生物剤を付着させる工程
次に、処方1の分散液に、得られた板状部材を含浸し、遠心分離機で絞り率50質量%に絞った後、雰囲気温度50℃とした乾燥機中で12時間乾燥し、加湿エレメントを得た。なお、加湿エレメントにおけるコロイダルシリカの含有量は、1.0質量%であった。また、加湿エレメントにおける、イルガサン及び3−ヨード−2−プロピニルブチルカーバメートの合計含有量は、0.2質量%であった。
【0058】
<実施例3>
(1)板状部材を形成する繊維を準備する工程
繊度3d(デニール)、繊維長51mmのポリエチレンテレフタレート短繊維(融点255℃)と、繊度4d、繊維長51mmであり、芯部がポリエチレンテレフタレート(融点255℃)及び鞘部が融点110℃のポリエチレンテレフタレート/イソフタレート共重合体である芯鞘型複合短繊維とを準備した。
【0059】
(2)繊維を用いた不織布を準備する工程
上記ポリエチレンテレフタレート短繊維を80質量部、上記芯鞘型複合短繊維を20質量部、合計100質量部の比率で、混合し、カーディングしてウェブを形成し、該ウェブにニードルパンチ加工を施して雰囲気温度180℃で熱処理、冷却することにより、ニードルパンチ不織布を得た。該不織布の目付は450g/m
2、厚さは3.0mmであった。
【0060】
(3)不織布を圧縮成形し板状部材とする工程
上記不織布を、加熱プレス成形機にて170℃、2.0kg/cm
2で8分間加熱加圧し、次いで60℃、2.0kg/cm
2で8分間冷却加圧して、厚さ1.0mmの部分融着した板状部材を得た。該板状部材のBET比表面積は、0.40m
2/gであった。また、板状部材を形成する繊維の平均直径は18μm、平均繊度は3.2d、平均繊維長は51mm、見かけ密度は0.45g/cm
3、気孔率が65%、目付は450g/m
2であった。また、板状部材の長さ(
図1でいう、風向き方向)は100mm、高さ(
図1でいう、紙面上下方向)は150mmとした。
【0061】
(4)板状部材の表面の少なくとも一部に、シリカ粒子と抗微生物剤を付着させる工程
次に、処方1の分散液に、得られた板状部材を含浸し、遠心分離機で絞り率50質量%に絞った後、雰囲気温度50℃とした乾燥機中で12時間乾燥し、加湿エレメントを得た。なお、加湿エレメントにおけるコロイダルシリカの含有量は、1.0質量%であった。また、加湿エレメントにおける、イルガサン及び3−ヨード−2−プロピニルブチルカーバメートの合計含有量は、0.20質量%であった。
【0062】
<実施例4>
(1)板状部材を形成する繊維を準備する工程
繊度3d(デニール)、繊維長51mmのポリエチレンテレフタレート短繊維(融点255℃)と、繊度4d、繊維長51mmであり、芯部がポリエチレンテレフタレート(融点255℃)及び鞘部が融点110℃のポリエチレンテレフタレート/イソフタレート共重合体である芯鞘型複合短繊維とを準備した。
【0063】
(2)繊維を用いた不織布を準備する工程
上記ポリエチレンテレフタレート短繊維を60質量部、上記芯鞘型複合短繊維を40質量部、合計100質量部の比率で、混合し、カーディングしてウェブを形成し、該ウェブにニードルパンチ加工を施して雰囲気温度180℃で熱処理、冷却することにより、ニードルパンチ不織布を得た。該不織布の目付は300g/m
2、厚さは3.0mmであった。
【0064】
(3)不織布を圧縮成形し板状部材とする工程
上記不織布を、加熱プレス成形機にて170℃、2.0kg/cm
2で8分間加熱加圧し、次いで60℃、2.0kg/cm
2で8分間冷却加圧して、厚さ1.0mmの部分融着した板状部材を得た。該板状部材のBET比表面積は、0.39m
2/gであった。また、板状部材を形成する繊維の平均直径は18μm、平均繊度は3.4d、平均繊維長は51mm、見かけ密度は0.30g/cm
3、気孔率が72%、目付は300g/m
2であった。また、板状部材の長さ(
図1でいう、風向き方向)は100mm、高さ(
図1でいう、紙面上下方向)は150mmとした。
【0065】
(4)板状部材の表面の少なくとも一部に、シリカ粒子と抗微生物剤を付着させる工程
次に、処方1の分散液に、得られた板状部材を含浸し、遠心分離機で絞り率50質量%に絞った後、雰囲気温度50℃とした乾燥機中で12時間乾燥し、加湿エレメントを得た。なお、加湿エレメントにおけるコロイダルシリカの含有量は、0.6質量%であった。また、加湿エレメントにおける、イルガサン及び3−ヨード−2−プロピニルブチルカーバメートの合計含有量は、0.12質量%であった。
【0066】
<実施例5>
(1)板状部材を形成する繊維を準備する工程
繊度3d(デニール)、繊維長51mmのポリエチレンテレフタレート短繊維(融点255℃)と、繊度4d、繊維長51mmであり、芯部がポリエチレンテレフタレート(融点255℃)及び鞘部が融点110℃のポリエチレンテレフタレート/イソフタレート共重合体である芯鞘型複合短繊維とを準備した。
【0067】
(2)繊維を用いた不織布を準備する工程
上記ポリエチレンテレフタレート短繊維を80質量部、上記芯鞘型複合短繊維を20質量部、合計100質量部の比率で、混合し、カーディングしてウェブを形成し、該ウェブにニードルパンチ加工を施して雰囲気温度180℃で熱処理、冷却することにより、ニードルパンチ不織布を得た。該不織布の目付は350g/m
2、厚さは3.0mmであった。
【0068】
(3)不織布を圧縮成形し板状部材とする工程
上記不織布を、加熱プレス成形機にて170℃、2.0kg/cm
2で8分間加熱加圧し、次いで60℃、2.0kg/cm
2で8分間冷却加圧して、厚さ1.0mmの部分融着した板状部材を得た。該板状部材のBET比表面積は、0.40m
2/gであった。また、板状部材を形成する繊維の平均直径は18μm、平均繊度は3.2d、平均繊維長は51mm、見かけ密度は0.35g/cm
3、気孔率が69%、目付は350g/m
2であった。また、板状部材の長さ(
図1でいう、風向き方向)は100mm、高さ(
図1でいう、紙面上下方向)は150mmとした。
【0069】
(4)板状部材の表面の少なくとも一部に、シリカ粒子と抗微生物剤を付着させる工程
次に、処方1の分散液に、得られた板状部材を含浸し、遠心分離機で絞り率50質量%に絞った後、雰囲気温度50℃とした乾燥機中で12時間乾燥し、加湿エレメントを得た。なお、加湿エレメントにおけるコロイダルシリカの含有量は、2.0質量%であった。また、加湿エレメントにおける、イルガサン及び3−ヨード−2−プロピニルブチルカーバメートの合計含有量は、0.20質量%であった。
【0070】
<実施例6>
(1)板状部材を形成する繊維を準備する工程
繊度2d(デニール)、繊維長51mmのポリエチレンテレフタレート短繊維(融点255℃)と、繊度2d、繊維長51mmであり、芯部がポリエチレンテレフタレート(融点255℃)及び鞘部が融点110℃のポリエチレンテレフタレート/イソフタレート共重合体である芯鞘型複合短繊維とを準備した。
【0071】
(2)繊維を用いた不織布を準備する工程
上記ポリエチレンテレフタレート短繊維を80質量部、上記芯鞘型複合短繊維を20質量部、合計100質量部の比率で、混合し、カーディングしてウェブを形成し、該ウェブにニードルパンチ加工を施して雰囲気温度180℃で熱処理、冷却することにより、ニードルパンチ不織布を得た。該不織布の目付は350g/m
2、厚さは3.0mmであった。
【0072】
(3)不織布を圧縮成形し板状部材とする工程
上記不織布を、加熱プレス成形機にて170℃、2.0kg/cm
2で8分間加熱加圧し、次いで60℃、2.0kg/cm
2で8分間冷却加圧して、厚さ1.0mmの部分融着した板状部材を得た。該板状部材のBET比表面積は、0.50m
2/gであった。また、板状部材を形成する繊維の平均直径は14μm、平均繊度は2d、平均繊維長は51mm、見かけ密度は0.35g/cm
3、気孔率が68%、目付は350g/m
2であった。また、板状部材の長さ(
図1でいう、風向き方向)は100mm、高さ(
図1でいう、紙面上下方向)は150mmとした。
【0073】
(4)板状部材の表面の少なくとも一部に、シリカ粒子と抗微生物剤を付着させる工程
次に、処方1の分散液に、得られた板状部材を含浸し、遠心分離機で絞り率50質量%に絞った後、雰囲気温度50℃とした乾燥機中で12時間乾燥し、加湿エレメントを得た。なお、加湿エレメントにおけるコロイダルシリカの含有量は、2.4質量%であった。また、加湿エレメントにおける、イルガサン及び3−ヨード−2−プロピニルブチルカーバメートの合計含有量は、0.24質量%であった。
【0074】
<比較例1>
(1)板状部材を形成する繊維を準備する工程
繊度10d(デニール)、繊維長64mmのポリエチレンテレフタレート短繊維(融点255℃)と、繊度4d、繊維長51mmであり、芯部がポリエチレンテレフタレート(融点255℃)及び鞘部が融点110℃のポリエチレンテレフタレート/イソフタレート共重合体である芯鞘型複合短繊維とを準備した。
【0075】
(2)繊維を用いた不織布を準備する工程
上記ポリエチレンテレフタレート短繊維を80質量部、上記芯鞘型複合短繊維を20質量部、合計100質量部の比率で、混合し、カーディングしてウェブを形成し、該ウェブにニードルパンチ加工を施して雰囲気温度180℃で熱処理、冷却することにより、ニードルパンチ不織布を得た。該不織布の目付は450g/m
2、厚さは3.0mmであった。
【0076】
(3)不織布を圧縮成形し板状部材とする工程
上記不織布を、加熱プレス成形機にて170℃、2kg/cm
2で8分間加熱加圧し、次いで60℃、2.0kg/cm
2で8分間冷却加圧して、厚さ1.0mmの部分融着した板状部材を得た。該板状部材のBET比表面積は、0.25m
2/gであった。また、板状部材を形成する繊維の平均直径は28μm、平均繊度は8.8d、平均繊維長は58mm、見かけ密度は0.45g/cm
3、気孔率が61%、目付は450g/m
2であった。また、板状部材の長さ(
図1でいう、風向き方向)は100mm、高さ(
図1でいう、紙面上下方向)は150mmとした。
【0077】
(4)板状部材の表面の少なくとも一部に、シリカ粒子と抗微生物剤を付着させる工程
次に、上記処方1とした分散液に、得られた板状部材を含浸し、遠心分離機で絞り率50質量%に絞った後、雰囲気温度60℃とした乾燥機中で12時間乾燥し、加湿エレメントを得た。なお、加湿エレメントにおけるコロイダルシリカの含有量は、0.6質量%であった。また、加湿エレメントにおける、イルガサン及び3−ヨード−2−プロピニルブチルカーバメートの合計含有量は、0.12質量%であった。
【0078】
<比較例2>
(1)板状部材を形成する繊維を準備する工程
繊度10d(デニール)、繊維長64mmのポリエチレンテレフタレート短繊維(融点255℃)と、繊度4d、繊維長51mmであり、芯部がポリエチレンテレフタレート(融点255℃)及び鞘部が融点110℃のポリエチレンテレフタレート/イソフタレート共重合体である芯鞘型複合短繊維とを準備した。
【0079】
(2)繊維を用いた不織布を準備する工程
上記ポリエチレンテレフタレート短繊維を70質量部、上記芯鞘型複合短繊維を30質量部、合計100質量部の比率で、混合し、カーディングしてウェブを形成し、該ウェブにニードルパンチ加工を施して雰囲気温度180℃で熱処理、冷却することにより、ニードルパンチ不織布を得た。該不織布の目付は350g/m
2、厚さは3.0mmであった。
【0080】
(3)不織布を圧縮成形し板状部材とする工程
上記不織布を、加熱プレス成形機にて170℃、2kg/cm
2で8分間加熱加圧し、次いで60℃、2.0kg/cm
2で8分間冷却加圧して、厚さ1.0mmの部分融着した板状部材を得た。該板状部材のBET比表面積は、0.26m
2/gであった。また、板状部材を形成する繊維の平均直径は26μm、平均繊度は8.2d、平均繊維長は57mm、見かけ密度は0.35g/cm
3、気孔率が67%、目付は350g/m
2であった。また、板状部材の長さ(
図1でいう、風向き方向)は100mm、高さ(
図1でいう、紙面上下方向)は150mmとした。
【0081】
(4)板状部材の表面の少なくとも一部に、シリカ粒子と抗微生物剤を付着させる工程
次に、上記処方1とした分散液に、得られた板状部材を含浸し、遠心分離機で絞り率50質量%に絞った後、雰囲気温度60℃とした乾燥機中で12時間乾燥し、加湿エレメントを得た。なお、加湿エレメントにおけるコロイダルシリカの含有量は、0.6質量%であった。また、加湿エレメントにおける、イルガサン及び3−ヨード−2−プロピニルブチルカーバメートの合計含有量は、0.12質量%であった。
【0082】
<比較例3>
(1)板状部材を形成する繊維を準備する工程
繊度10d(デニール)、繊維長64mmのポリエチレンテレフタレート短繊維(融点255℃)と、繊度4d、繊維長51mmであり、芯部がポリエチレンテレフタレート(融点255℃)及び鞘部が融点110℃のポリエチレンテレフタレート/イソフタレート共重合体である芯鞘型複合短繊維とを準備した。
【0083】
(2)繊維を用いた不織布を準備する工程
上記ポリエチレンテレフタレート短繊維を80質量部、上記芯鞘型複合短繊維を20質量部、合計100質量部の比率で、混合し、カーディングしてウェブを形成し、該ウェブにニードルパンチ加工を施して雰囲気温度180℃で熱処理、冷却することにより、ニードルパンチ不織布を得た。該不織布の目付は300g/m
2、厚さは3.0mmであった。
【0084】
(3)不織布を圧縮成形し板状部材とする工程
上記不織布を、加熱プレス成形機にて170℃、2kg/cm
2で8分間加熱加圧し、次いで60℃、2.0kg/cm
2で8分間冷却加圧して、厚さ1.0mmの部分融着した板状部材を得た。該板状部材のBET比表面積は、0.25m
2/gであった。また、板状部材を形成する繊維の平均直径は28μm、平均繊度は8.8d、平均繊維長は58mm、見かけ密度は0.30g/cm
3、気孔率が68%、目付は300g/m
2であった。また、板状部材の長さ(
図1でいう、風向き方向)は100mm、高さ(
図1でいう、紙面上下方向)は150mmとした。
【0085】
(4)板状部材の表面の少なくとも一部に、シリカ粒子と抗微生物剤を付着させる工程
次に、上記処方1とした分散液に、得られた板状部材を含浸し、遠心分離機で絞り率50質量%に絞った後、雰囲気温度60℃とした乾燥機中で12時間乾燥し、加湿エレメントを得た。なお、加湿エレメントにおけるコロイダルシリカの含有量は、0.6質量%であった。また、加湿エレメントにおける、イルガサン及び3−ヨード−2−プロピニルブチルカーバメートの合計含有量は、0.12質量%であった。
【0086】
<比較例4>
(1)板状部材を形成する繊維を準備する工程
繊度10d(デニール)、繊維長64mmのポリエチレンテレフタレート短繊維(融点255℃)と、繊度2d、繊維長51mmであり、芯部がポリエチレンテレフタレート(融点255℃)及び鞘部が融点110℃のポリエチレンテレフタレート/イソフタレート共重合体である芯鞘型複合短繊維とを準備した。
【0087】
(2)繊維を用いた不織布を準備する工程
上記ポリエチレンテレフタレート短繊維を80質量部、上記芯鞘型複合短繊維を20質量部、合計100質量部の比率で、混合し、カーディングしてウェブを形成し、該ウェブにニードルパンチ加工を施して雰囲気温度180℃で熱処理、冷却することにより、ニードルパンチ不織布を得た。該不織布の目付は450g/m
2、厚さは3.0mmであった。
【0088】
(3)不織布を圧縮成形し板状部材とする工程
上記不織布を、加熱プレス成形機にて170℃、2kg/cm
2で8分間加熱加圧し、次いで60℃、2.0kg/cm
2で8分間冷却加圧して、厚さ1.0mmの部分融着した板状部材を得た。該板状部材のBET比表面積は、0.28m
2/gであった。また、板状部材を形成する繊維の平均直径は22μm、平均繊度は8.4d、平均繊維長は56mm、見かけ密度は0.45g/cm
3、気孔率が58%、目付は450g/m
2であった。また、板状部材の長さ(
図1でいう、風向き方向)は100mm、高さ(
図1でいう、紙面上下方向)は150mmとした。
【0089】
(4)板状部材の表面の少なくとも一部に、シリカ粒子と抗微生物剤を付着させる工程
次に、上記処方1とした分散液に、得られた板状部材を含浸し、遠心分離機で絞り率50質量%に絞った後、雰囲気温度60℃とした乾燥機中で12時間乾燥し、加湿エレメントを得た。なお、加湿エレメントにおけるコロイダルシリカの含有量は、0.7質量%であった。また、加湿エレメントにおける、イルガサン及び3−ヨード−2−プロピニルブチルカーバメートの合計含有量は、0.14質量%であった。
【0090】
<比較例5>
(1)板状部材を形成する繊維を準備する工程
繊度6d(デニール)、繊維長64mmのポリエチレンテレフタレート短繊維(融点255℃)と、繊度4d、繊維長51mmであり、芯部がポリエチレンテレフタレート(融点255℃)及び鞘部が融点110℃のポリエチレンテレフタレート/イソフタレート共重合体である芯鞘型複合短繊維とを準備した。
【0091】
(2)繊維を用いた不織布を準備する工程
上記ポリエチレンテレフタレート短繊維を80質量部、上記芯鞘型複合短繊維を20質量部、合計100質量部の比率で、混合し、カーディングしてウェブを形成し、該ウェブにニードルパンチ加工を施して雰囲気温度180℃で熱処理、冷却することにより、ニードルパンチ不織布を得た。該不織布の目付は350g/m
2、厚さは3.0mmであった。
【0092】
(3)不織布を圧縮成形し板状部材とする工程
上記不織布を、加熱プレス成形機にて170℃、2kg/cm
2で8分間加熱加圧し、次いで60℃、2.0kg/cm
2で8分間冷却加圧して、厚さ1.0mmの部分融着した板状部材を得た。該板状部材のBET比表面積は、0.33m
2/gであった。また、板状部材を形成する繊維の平均直径は20μm、平均繊度は5.6d、平均繊維長は58mm、見かけ密度は0.35g/cm
3、気孔率が67%、目付は350g/m
2であった。また、板状部材の長さ(
図1でいう、風向き方向)は100mm、高さ(
図1でいう、紙面上下方向)は150mmとした。
【0093】
(4)板状部材の表面の少なくとも一部に、シリカ粒子と抗微生物剤を付着させる工程
次に、上記処方1とした分散液に、得られた板状部材を含浸し、遠心分離機で絞り率50質量%に絞った後、雰囲気温度60℃とした乾燥機中で12時間乾燥し、加湿エレメントを得た。なお、加湿エレメントにおけるコロイダルシリカの含有量は、0.8質量%であった。また、加湿エレメントにおける、イルガサン及び3−ヨード−2−プロピニルブチルカーバメートの合計含有量は、0.16質量%であった。
【0094】
<評価方法>
(1)加湿エレメントの風上側部分のスケール発生量
実施例および比較例で作製した板状部材について、次の乾湿繰り返し試験により、発生したスケールの重量を計測した。まず、空調送風機を用いて、板状部材の長さ方向(
図1でいう、風向き方向)に、温度40℃、相対湿度10%〜30%、風速1.5m/s〜2.2m/sに調整した風を流した。次に、炭酸水素ナトリウム1.68g/L、塩化カルシウム2水和物1.47g/Lを溶解した混合水溶液を作製し、板状部材の上端、長さ方向の中央部に対し、内径4mmのチューブから通水ポンプを用いて毎分3mLの速度で供給した。供給開始から10分後に混合水溶液の供給を止め、送風のみの状態を110分保持した。この合計120分の操作を1サイクルとし、これを25サイクル繰り返した。この乾湿繰り返し試験後に、風上側部分に発生したスケールを、端面及び端面から長さ方向に5mmの部分までをピンセットで10回削ぎ落として採取し、その重量を計測した。加湿エレメント20枚分について、その計測値を合計した結果を、加湿エレメントの風上側部分のスケール発生量とした。
【0095】
(2)加湿エレメントの全体のスケール発生量
(1)の乾湿繰り返し試験前後の板状部材の重量を計測し、その差分を加湿エレメントのスケール発生量とした。板状部材20枚分について、加湿エレメントのスケール発生量を合計した結果を、加湿エレメントの全体のスケール発生量とした。
【0096】
(3)水拡散性
板状部材の上端、長さ方向の中央部に対し、内径4mmのチューブから通水ポンプを用いて毎分5mLの速度で供給し、板状部材下端に向かって水が拡散していく様子を観察した。水が供給点から同心円状に拡散した場合は○、水が供給点から同心円状に拡散しない部位があった場合は×と評価した。
【0097】
各実施例の結果を表1に示す。
【0098】
【表1】
【0099】
実施例1〜6の加湿エレメントは、気化式の加湿装置に用いられる加湿エレメントであって、前記加湿エレメントが、繊維によって形成される板状部材を含み、前記板状部材のBET比表面積が0.35m
2/g以上0.5m
2/g以下であることから、加湿エレメントの風上側部分におけるスケール発生を抑制できるものであった。
【0100】
とりわけ、実施例1〜5の加湿エレメントは、板状部材のBET比表面積が0.35m
2/g以上0.45m
2/g以下であることから、加湿エレメントの風上側部分のスケール発生を抑制することと、加湿エレメントの水拡散性をより両立させるものであった。
【0101】
さらに、実施例1〜3、実施例5及び6の加湿エレメントは、気孔率が60〜70%であったことから、加湿エレメントの風上側部分におけるスケール発生をより一層抑制しやすくなるものであった。
【0102】
一方、比較例1〜5は、板状部材のBET比表面積が0.35m
2/g未満であったことから、加湿エレメントの風上側部分におけるスケール発生を抑制することができなかった。