【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成30年度、国立研究開発法人科学技術振興機構、産学共創プラットフォーム共同研究推進プログラム委託事業、「超スマート社会実現のカギを握る革新的半導体技術を基盤としたエネルギーイノベーションの創出に関する国立大学法人京都大学による研究開発」、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
【解決手段】 基材1は、励起光で励起されるカラーセンタを含み、少なくとも1対の反射部材21a,21bは、基材1に対して離間して配置されている。そして、基材1は、当該基材1の面1c,1dにおいて、当該基材1内に入射した励起光を反射させずに出射させ、反射部材21a,21bは、基材1から出射した励起光を反射面21−1,21−2で反射して基材1に入射させ、励起光の、基材1への入射および基材1からの出射を繰り返させて、所定回数だけ励起光を基材1に通過させる。その際、照射装置4は、励起光が反射面21−1,21−2の2軸のうちの一方の軸に対しては垂直に、かつ反射面の2軸のうちの他方の軸に対しては所定傾斜角で反射面に入射するように、励起光を出射する。
前記少なくとも1対の反射部材のうちの第1対の反射部材は、前記基材において対向する第1面および第2面のいずれかから出射した前記励起光を前記反射面で反射して、前記第1面および第2面のうち、前記励起光が出射した面に入射させ、前記励起光の、前記基材への入射および前記基材からの出射を繰り返させて、所定第1回数だけ前記励起光を前記基材に通過させ、
前記少なくとも1対の反射部材のうちの前記第1対とは異なる第2対の反射部材は、前記所定第1回数だけ前記励起光が前記基材を通過した後に、前記基材において前記第1面および前記第2面とは異なる第3面および第4面のいずれかから出射した前記励起光を前記反射面で反射して、前記第3面および第4面のうち、前記励起光が出射した面に入射させ、前記励起光の、前記基材への入射および前記基材からの出射を繰り返させて、所定第2回数だけ前記励起光を前記基材に通過させること、
を特徴とする請求項1記載の励起光照射装置。
前記第1対の反射部材は、前記所定第1回数だけ前記励起光を前記基材に通過させた後、前記励起光を前記第2対の反射部材に入射させることを特徴とする請求項4記載の励起光照射装置。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図に基づいて本発明の実施の形態を説明する。
【0016】
図1は、本発明の実施の形態1に係る励起光照射装置を備える測定装置の構成例を示す図である。一例として、
図1に示す測定装置は、光検出磁気共鳴(ODMR)方式で磁場や電場などといった被測定場の強度を測定する。
図1に示す測定装置は、励起光で励起されるカラーセンタを含む基材1を備える。基材1には、1または複数のカラーセンタが含まれる。実施の形態1では、基材1は、略直方体形状を有し、長手方向において、互いに略平行な4つの面(平面)を有する。
【0017】
この実施の形態では、基材1は、電子スピン共鳴部材であり、この電子スピン共鳴部材は、被測定場(被測定磁場や被測定電場)内に配置される。この電子スピン共鳴部材は、後述の所定の測定シーケンスにおいて、ラビ振動に基づく電子スピン量子操作を施される。
【0018】
なお、被測定場の測定方式は、光検出磁気共鳴方式に限定されず、ラビ振動に基づく電子スピン量子操作を利用するものであれば、他の方式でもよい。また、この実施の形態では、基材1は、光検出磁気共鳴方式用の、NVCを有するダイヤモンドなどの部材であって、支持部材1Sに固定されている。なお、光検出磁気共鳴方式用の電子スピン共鳴部材としての基材1は、NVCを有するダイヤモンドに限定されず、他のカラーセンタ(例えば、GeVセンタなど)を有するものでもよい。
【0019】
図1に示す測定装置は、マイクロ波生成用のコイル2および高周波電源3を備える。
【0020】
コイル2は、電子スピン共鳴部材としての基材1内の1または複数のカラーセンタに対してラビ振動に基づく電子スピン量子操作を行うためのマイクロ波(磁場)を生成し基材1(カラーセンタ)に印加する。この実施の形態では、コイル2は、例えば、板状の導体を円形に成形したものであり、基材1は、コイル2の円形部分によりその内側に形成される中空部内に配置されている。上述のカラーセンタは、このマイクロ波を照射され、測定対象の発生する被測定場の強度などを特定するために使用される。
【0021】
実施の形態1では、コイル2は、上述のカラーセンタにおけるラビ振動に基づく電子スピン量子操作を行うためのマイクロ波(の磁場)を基材1に印加する。そのマイクロ波の周波数は、基材1(電子スピン共鳴部材)の種類に応じて設定される。例えば、基材1が、NVCを有するダイヤモンドである場合、コイル2は、2.87GHz程度のマイクロ波磁場を印加する。高周波電源3は、コイル2にマイクロ波の電流(つまり、上述のマイクロ波の磁場を生成するための電流)を導通させる。
【0022】
さらに、
図1に示す測定装置は、照射装置4、受光装置5、演算処理装置6などを観測系11として備える。観測系11は、上述のマイクロ波が照射された電子スピン共鳴部材としての基材1を使用して被測定場の強度を特定する。
【0023】
照射装置4は、所定波長の励起光および所定波長の測定光を出射する装置であり、基材1にその励起光および測定光を照射する(入射させる)。受光装置5は、測定光の照射時において基材1から発せられる蛍光を検出する。
【0024】
演算処理装置6は、例えばコンピュータを備え、プログラムをコンピュータで実行して、各種処理部として動作する。この実施の形態では、演算処理装置6は、測定制御部6aおよび演算部6bとして動作する。
【0025】
測定制御部6aは、高周波電源3および照射装置4を制御して、上述のカラーセンタでの物理的事象を検出しその物理的事象の検出値を導出する。物理的事象は、被測定場に対応する所定の測定シーケンスを実行することで発生する。ここでは、測定制御部6aは、所定の測定シーケンスにおいて、高周波電源3および照射装置4を制御し、受光装置5により検出された蛍光(物理的事象)の検出光量を検出値として特定する。
【0026】
例えば、照射装置4は、レーザーダイオードなどを光源として備えるとともに、その光源の発する光(励起光)を導光し所定入射角および所定入射位置で基材1に入射させる光学系を備える。また、例えば、受光装置5は、フォトダイオードなどを受光素子として備える。また、例えば、測定制御部6aは、受光素子の出力信号に対して増幅などを行って得られる受光装置5の出力信号に基づいて、上述の検出光量を特定する。この実施の形態では、上述の所定の測定シーケンスとして、ラムゼイパルスシーケンス、スピンエコーパルスシーケンスなどが被測定場に応じて選択され適用される。なお、測定シーケンスはラムゼイパルスシーケンスおよびスピンエコーパルスシーケンスに限定されるものではない。
【0027】
演算部6bは、所定の演算式などに従って、上述の物理的事象の検出値(上述の検出光量)に基づいて被測定場の測定値(例えば、磁束密度の振幅、向きなど)を演算する。
【0028】
図2は、
図1に示す測定装置の光学系の一例を示す図である。この測定装置の光学系は、支持部材1Sとしての1対の複合放物面型集光器(CPC)を備える。この1対のCPCにおいて、2つのCPCの大口径端面が互いに接合しており、一方のCPCの小口径端面から入射する光(つまり、カラーセンタの発する蛍光)が、他方のCPCの小口径端面から出射する。基材1のカラーセンタで発生する蛍光は、このように支持部材1Sを通過して受光装置5に入射する。なお、照射装置4からの励起光および測定光は、支持部材1Sを通過せずに、基材1に照射される。
【0029】
上述の測定装置は、基材1周辺の光学系を含む励起光照射装置を備える。
図3は、実施の形態1に係る励起光照射装置の構成を示す断面図である。
【0030】
この励起光照射装置は、上述の基材1と、基材1に対して離間して配置された少なくとも1対の(少なくとも2つの)反射部材21a,21bと、反射部材21cとを備える。
【0031】
基材1は、例えば
図3に示すように、上面1a、底面1b、および側面1c,1dを有し、当該基材1の側面1c,1dにおいて、当該基材1内に入射した励起光を反射させずに出射させる。つまり、励起光は、基材1内部で一度も反射せずに、基材1を複数回通過する。
【0032】
反射部材21a,21bは、例えば平板形状を有し、反射面21−1,21−2をそれぞれ有する。それらの反射部材21a,21bは、基材1から出射した励起光を反射面21−1,21−2で反射して基材1に入射させて、励起光の、基材1への入射および基材1からの出射を繰り返させて、所定回数だけ励起光を基材1に通過させる。
【0033】
この実施の形態では、反射面21−1,21−2は互いに略平行であり、側面1c,1dは互いに略平行であり、反射面21−1,21−2と側面1c,1dとは互いに略平行である。
【0034】
なお、反射部材21cは、基材1に面する反射面21−3を有する。この反射面21−3は、基材1(カラーセンタ)の発する蛍光を反射するためのものであって、上述の励起光は、反射部材21cや支持部材1Sには入射しない。
【0035】
この実施の形態では、反射部材21a,21bが、略直方体形状の反射部材21cの両側にそれぞれ接続されており、反射部材21a,21b,21cの形状は、半筒状となり、その半筒状の内部空間に、基材1が配置されている。実施の形態1では、反射部材21cは、励起光を反射しないが、上述の蛍光を反射部材21a,21bとともに支持部材1SとしてのCPCに向けて反射する。実施の形態1では、反射部材21cは、励起光を反射しないため、反射部材21cを省略したり、反射部材21cの代わりに同様の形状の非反射部材を使用してもよい。
【0036】
図4は、実施の形態1における基材1および反射部材21a,21b並びに励起光の光路を説明する正面図である。
図4における反射部材21a,21bは、反射面21−1,21−2を有する平板状の部材である。例えば、各反射部材21a,21bは、ガラスや透明樹脂などの光透過性部材と、光透過性部材の1面上で反射面21−i(i=1,2)を形成する膜とを備える。例えば、反射面21−1,21−2は、誘電体多層膜で形成される。なお、この実施の形態では、各反射部材21a,21b,21cは、1つの部材であるが、その代わりに、複数部材の集合体であってもよい。
【0037】
ここで、照射装置4は、例えば
図3および
図4に示すように、励起光が反射面21−1,21−2の2軸Y,Z(つまり、反射面21−1,21−2の平面を張る2軸)のうちの一方の軸Zに対しては垂直に、かつ反射面21−1,21−2の2軸Y,Zのうちの他方の軸Yに対しては(90度未満の)所定傾斜角θで反射面21−1,21−2に入射するように、励起光を出射する。
【0038】
さらに、この実施の形態では、コイル2は、例えば
図3に示すように、入射側貫通孔2aを備え、入射側貫通孔2aは、励起光が入射側貫通孔2aを介して基材1に入射するように配置されている。なお、入射側貫通孔2aを設けずに、励起光の光路にコイル2が干渉しないように、ミラーなどで励起光の光路を設定するようにしてもよい。
【0039】
また、この実施の形態では、コイル2は、例えば
図3に示すように、出射側貫通孔2bをさらに備える。出射側貫通孔2bは、励起光が上述の所定回数だけ基材1に通過した後に出射側貫通孔2bを介して進行するように配置されている。なお、出射側貫通孔2bを設けずに、励起光の光路にコイル2が干渉しないように、ミラーなどで励起光の光路を設定するようにしてもよい。また、このように、基材1通過後の励起光をコイル2に照射しないようにすることで、コイル2への励起光の照射に起因する発熱および装置の温度上昇を抑制することができる。
【0040】
なお、上述の所定回数だけ基材1に通過した後、励起光は、基材1に再入射しないように(ここでは、出射側貫通孔2bを進行した後に)ビームダンパなどで終端される。
【0041】
次に、実施の形態1に係る励起光照射装置の動作について説明する。
【0042】
この励起光照射装置は、測定対象の近傍で被測定場内に配置される。そして、測定制御部6aは、演算部6bとともに、上述の測定シーケンスを実行して、被測定場の強度の測定を実行する。
【0043】
上述の測定シーケンスにおいて、励起光の照射タイミングになると、照射装置4は、励起光を出射する。例えば
図3および
図4に示すように、照射装置4から出射した励起光は、所定の入射角で基材1の側面1c,1dに入射し、基材1内を進行する。つまり、そのような入射角で励起光が基材1に入射するように、照射装置4は、励起光を出射する。そして、励起光は、入射した側面1c,1dに対向する側面1d,1cから反射せずに出射する。
【0044】
そして、
図3および
図4に示すように、励起光は、反射面21−1,21−2で繰り返し反射しつつY軸方向に向かってジグザグに進行していき、所定回数だけ、基材1を通過する。そして、基材1において、励起光の光路上に存在するカラーセンタは、励起光によって励起する。
【0045】
その後、測定光の照射タイミングになると、照射装置4は、測定光を出射する。測定光は、励起光と同一の光路を通り、その際に、カラーセンタで発生する蛍光が、直接、または、基材1の周囲の反射部材21a,21b,21cで反射して、支持部材1SとしてのCPCに入射し、そのCPCによって受光装置5に集光される。受光装置5で受光された蛍光が電気信号に変換される。そして、測定制御部6aは、その電気信号に基づいて検出値(蛍光強度)を特定し、演算部6bは、その検出値から被測定場の測定値を算出する。
【0046】
以上のように、上記実施の形態1に係る励起光照射装置は、励起光で励起されるカラーセンタを含む基材1と、基材1に対して離間して配置された少なくとも1対の反射部材21a,21bとを備える。そして、基材1は、当該基材1の面1c,1dにおいて、当該基材1内に入射した励起光を反射させずに出射させ、反射部材21a,21bは、基材1から出射した励起光を反射面21−1,21−2で反射して基材1に入射させ、励起光の、基材1への入射および基材1からの出射を繰り返させて、所定回数だけ励起光を基材1に通過させる。その際、照射装置4は、励起光が反射面21−1,21−2の2軸のうちの一方の軸に対しては垂直に、かつ反射面の2軸のうちの他方の軸に対しては所定傾斜角で反射面に入射するように、励起光を出射する。
【0047】
これにより、励起光が基材1で内部反射せずに所定回数だけ励起光が基材1を通過するように基材1の外部に配置される反射部材21a,21bで励起光の光路を設定しているため、照射装置4から基材1への励起光の入射角や入射位置が多少変動しても、励起光の通過回数が変動しない(つまり、基材1内での励起光の光路長が大きく変化しない)。したがって、安定的に、基材1内のカラーセンタの発する光に基づく測定が正確に行われる。
【0048】
また、照射装置4は、励起光が反射面21−1,21−2の2軸のうちの一方の軸に対しては垂直に入射するようにしているため(つまり、基材1が設置されている基準面(ここでは支持部材1Sの上面)に対して平行な1平面上を進行しているため)、3次元的ではなく2次元的に光路制御を行えばよく、励起光(および測定光)の光路の変動量が大きくなりにくい。
【0050】
図5は、実施の形態2における基材1および反射部材21a,21b並びに励起光の光路を説明する正面図である。
【0051】
実施の形態2では、反射部材21a,21bの反射面21−1,21−2が外側に(つまり、基材1に面する面とは反対側に)配置されるように、反射部材21a,21bが配置されており、これにより、励起光は、光透過性部材を介して反射面21−1,21−2に入射する。なお、実施の形態1(
図4)では、励起光は、反射部材21a,21bの光透過性部材を介さずに反射面21−1,21−2に入射している。
【0052】
そして、実施の形態1,2では、励起光は、光路上において最初に基材1に入射する前に反射部材21a,21bの光透過性部材を通過せずに、基材1に直接入射する。また、実施の形態1,2では、励起光は、光路上において最後に基材1から出射した後に反射部材21a,21bの光透過性部材を通過しない。
【0053】
なお、実施の形態2に係る励起光照射装置およびそれを備える測定装置のその他の構成および動作については実施の形態1と同様であるので、その説明を省略する。
【0055】
図6は、実施の形態3における基材1および反射部材21a,21b並びに励起光の光路を説明する正面図である。
【0056】
実施の形態3では、反射部材21a,21bの反射面21−1,21−2が、実施の形態1と同様に内側に(つまり、基材1に面して)配置されるように、反射部材21a,21bが配置されており、これにより、励起光は、反射部材21a,21bの光透過性部材を介さず反射面21−1,21−2に入射する。
【0057】
ただし、実施の形態3では、励起光は、例えば
図6に示すように、光路上において最初に基材1に入射する際、反射部材21a,21bの光透過性部材を介して基材1に入射する。また、実施の形態3では、励起光は、光路上において最後に基材1から出射した後に反射部材21a,21bの光透過性部材を通過する。つまり、実施の形態3では、反射部材21a,21bにおいて励起光が通過する箇所には反射面21−1,21−2が形成されていない。
【0058】
なお、実施の形態3に係る励起光照射装置およびそれを備える測定装置のその他の構成および動作については実施の形態1と同様であるので、その説明を省略する。
【0060】
図7は、実施の形態4における基材1および反射部材21a,21b並びに励起光の光路を説明する正面図である。
【0061】
実施の形態4では、実施の形態2と同様に、反射部材21a,21bの反射面21−1,21−2が外側に(つまり、基材1に面する面とは反対側に)配置されるように、反射部材21a,21bが配置されており、これにより、励起光は、反射部材21a,21bの光透過性部材を介して反射面21−1,21−2に入射する。
【0062】
さらに、実施の形態4では、実施の形態3と同様に、励起光は、例えば
図7に示すように、光路上において最初に基材1に入射する際、反射部材21a,21bの光透過性部材を介して基材1に入射する。また、実施の形態4では、励起光は、光路上において最後に基材1から出射した後に反射部材21a,21bの光透過性部材を通過する。つまり、実施の形態4では、反射部材21a,21bにおいて励起光が通過する箇所には反射面21−1,21−2が形成されていない。
【0063】
なお、実施の形態4に係る励起光照射装置およびそれを備える測定装置のその他の構成および動作については実施の形態1と同様であるので、その説明を省略する。
【0065】
図8は、実施の形態5に係る励起光照射装置の構成例を示す斜視図である。
【0066】
実施の形態5に係る励起光照射装置は、上述の反射部材21a,21b,21cを一体とした反射部材21と、治具部材31とを備えている。反射部材21の外形は、コイル2の中空部分と略同一の径を有する略円筒形状とされ、ガタつきなくコイル2に固定され、上述の反射面21−1,21−2が位置決めされる。また、治具部材31は、基材1がガタツキなく配置される貫通孔31aを有し、反射部材21の下部にガタつきなく固定されることで、基材1が位置決めされ、反射面21−1,21−2に対して適切な位置に配置される。
【0067】
なお、実施の形態5に係る励起光照射装置およびそれを備える測定装置のその他の構成および動作については実施の形態1〜4のいずれかと同様であるので、その説明を省略する。
【0069】
図9は、実施の形態6における基材1および反射部材21a,21b,21d,21e並びに励起光の光路を説明する正面図である。
【0070】
実施の形態6に係る励起光照射装置は、実施の形態1〜5と同様の少なくとも1対の反射部材21a,21bの他、少なくとも1対の反射部材21d,21eを備える。
【0071】
反射部材21a,21bは、基材1において対向する面1cおよび面1dのいずれかから出射した励起光を反射面21−1,21−2で反射して、面1c,1dのうち、励起光が出射した面に入射させ、励起光の、基材1への入射および基材1からの出射を繰り返させて、所定第1回数だけ励起光を基材1に通過させる。
【0072】
また、反射部材21d,21eは、上述の所定第1回数だけ励起光が基材1を通過した後に、基材1において上述の面1c,1dとは異なる面1eおよび面1fのいずれかから出射した励起光を反射面で反射して、面1e,1fのうち、励起光が出射した面に入射させ、励起光の、基材1への入射および基材1からの出射を繰り返させて、所定第2回数だけ励起光を基材1に通過させる。なお、所定第2回数は、所定第1回数と同一でも異なっていてもよい。
【0073】
さらに、この実施の形態6では、反射部材21a,21bのいずれかは、所定第1回数だけ励起光を基材1に通過させた後、励起光を反射部材21d,21eのいずれかに入射させる。なお、反射部材21a,21bとは別の光学系で、反射部材21a,21bによって所定第1回数だけ励起光が基材1を通過した後に、励起光を反射部材21d,21eのいずれかに入射させるようにしてもよい。
【0074】
図9における反射部材21d,21eは、反射面21−4,21−5を有する平板状の部材である。例えば、各反射部材21d,21eは、ガラスや透明樹脂などの光透過性部材と、光透過性部材の1面上で反射面21−i(i=4,5)を形成する膜とを備える。例えば、反射面21−4,21−5は、誘電体多層膜で形成される。なお、この実施の形態では、各反射部材21d,21eは、1つの部材であるが、その代わりに、複数部材の集合体であってもよい。
【0075】
実施の形態6では、反射面21−2および面1c,1dは互いに略平行であり、反射面21−5および面1e,1fは互いに略平行であり、反射面21−1は、反射面21−2とは平行ではなく、反射面21−2に対して所定角で傾斜している。反射面21−4は、反射面21−5とは平行ではなく、反射面21−5に対して所定角で傾斜している。
【0076】
なお、
図9では、反射部材21a,21b,21d,21eの反射面21−1,21−2,21−4,21−5が内側(基材1に面する側)に配置されているが、実施の形態2のように、反射部材21a,21bの反射面21−1,21−2,21−4,21−5が外側に配置されるように、反射部材21a,21b,21d,21eが配置されていてもよい。さらに、実施の形態4のように、その場合において、励起光が、光路上において最初に基材1に入射する際、反射部材21a,21b,21d,21eの光透過性部材を介して基材1に入射し、光路上において最後に基材1から出射した後に反射部材21a,21b,21d,21eの光透過性部材を通過するようにしてもよい(その場合、反射部材21a,21b,21d,21eにおいて励起光が通過する箇所には反射面21−1,21−2,21−4,21−5は形成されない)。あるいは、実施の形態3のように、反射部材21a,21b,21d,21eの反射面21−1,21−2,21−4,21−5が内側に配置されるように反射部材21a,21b,21d,21eが配置される場合において、励起光が、光路上において最初に基材1に入射する際、反射部材21a,21b,21d,21eの光透過性部材を介して基材1に入射し、光路上において最後に基材1から出射した後に反射部材21a,21b,21d,21eの光透過性部材を通過するようにしてもよい(その場合、反射部材21a,21b,21d,21eにおいて励起光が通過する箇所には反射面21−1,21−2,21−4,21−5は形成されない)。
【0077】
なお、実施の形態6に係る励起光照射装置およびそれを備える測定装置のその他の構成および動作については実施の形態1〜5のいずれかと同様であるので、その説明を省略する。
【0079】
図10は、実施の形態7における基材1および反射部材21a,21b,21d,21e並びに励起光の光路を説明する正面図である。
【0080】
実施の形態7では、反射面21−1,21−2は互いに略平行であり、面1c,1dは互いに略平行であり、反射面21−1,21−2と面1c,1dとは互いに略平行であり、また、反射面21−4,21−5は互いに略平行であり、面1e,1fは互いに略平行であり、反射面21−4,21−5と面1e,1fとは互いに略平行である。ただし、この実施の形態では、面1dから反射面21−1までの距離は、面1cから反射面21−2までの距離より長く、面1eから反射面21−4までの距離は、面1fから反射面21−5までの距離より長い。
【0081】
なお、実施の形態7に係る励起光照射装置およびそれを備える測定装置のその他の構成および動作については実施の形態6と同様であるので、その説明を省略する。
【0082】
なお、上述の実施の形態に対する様々な変更および修正については、当業者には明らかである。そのような変更および修正は、その主題の趣旨および範囲から離れることなく、かつ、意図された利点を弱めることなく行われてもよい。つまり、そのような変更および修正が請求の範囲に含まれることを意図している。
【0083】
例えば、上記実施の形態1〜5において、反射面21−1,21−2は、互いに略平行であり、反射面21−1,21−2および側面1c,1dも、互いに略平行であるが、反射面21−1,21−2は互いに平行でなくてもよい。また、反射面21−1,21−2の一方または両方は側面1c,1dに対して平行でなくてもよい。
【0084】
また、上記実施の形態1〜7においては、反射部材21a,21b,21c,21d,21eの反射面21−1,21−2,21−3,21−4,21−5の形状を平面状としているが、曲面状としてもよい。
【0085】
また、上記実施の形態1〜4,6,7において、反射部材21a,21b,21c,21d,21eの一部または全部である複数の反射部材を、例えば実施の形態5のように、それらの反射面と同一の反射面を有する1つの部材としてもよい。
【0086】
また、上記実施の形態1〜7においては、反射部材21a,21b,21c,21d,21eは、基材1から離間しているが、反射部材21a,21b,21c,21d,21eは、基材1に接触していてもよい。