【解決手段】表示装置DSPは、表示パネル1と、第3透明基板30と、発光素子2と、変調素子4と、を備えている。表示パネルは、第1透明基板10と、第1透明基板の上に配置された第2透明基板20と、第1透明基板と第2透明基板との間に保持され、ポリマーLp1と液晶分子Lm1とを含む高分子分散型の第1液晶層LC1と、を備えている。第3透明基板は、第2透明基板の上に配置され、第1端部E30を有している。発光素子は、第1端部に対向している。変調素子は、発光素子と第1端部との間に配置された第4透明基板40と、第4透明基板と第1端部との間に配置された第5透明基板50と、第4透明基板と第5透明基板との間に保持された第2液晶層LC2と、第2液晶層に電圧を印加するための複数の制御電極ELと、を備えている。
第1透明基板と、前記第1透明基板の上に配置された第2透明基板と、前記第1透明基板と前記第2透明基板との間に保持され、ポリマーと液晶分子とを含む高分子分散型の第1液晶層と、を備える表示パネルと、
前記第2透明基板の上に配置され、第1端部を有する第3透明基板と、
前記第1端部に対向する発光素子と、
前記発光素子と前記第1端部との間に配置された第4透明基板と、前記第4透明基板と前記第1端部との間に配置された第5透明基板と、前記第4透明基板と前記第5透明基板との間に保持された第2液晶層と、前記第2液晶層に電圧を印加するための複数の制御電極と、を備える変調素子と、
を備える、表示装置。
前記複数の制御電極は、前記第4透明基板の上に配置され、前記第4透明基板の長辺方向に沿って並び、前記第4透明基板の短辺方向に沿って延出している、請求項1に記載の表示装置。
第1透明基板と、前記第1透明基板の上に配置された第2透明基板と、前記第1透明基板と前記第2透明基板との間に保持され、ポリマーと液晶分子とを含む高分子分散型の第1液晶層と、を備える表示パネルと、
発光素子と、
前記第2透明基板の上に配置され、第1端部と、前記発光素子と対向し前記第1端部よりも前記発光素子から離間する側にくぼんだ凹部と、を有する第3透明基板と、
前記第1端部及び前記凹部に対向する透明な封止基板と、
前記封止基板により前記凹部に封止された第2液晶層と、
を備える、表示装置。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、開示はあくまで一例に過ぎず、当業者において、発明の主旨を保っての適宜変更について容易に想到し得るものについては、当然に本発明の範囲に含有されるものである。また、図面は、説明をより明確にするため、実際の態様に比べて、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同一又は類似した機能を発揮する構成要素には同一の参照符号を付し、重複する詳細な説明を適宜省略することがある。
【0011】
[第1実施形態]
図1は、第1実施形態に係る表示装置DSPの外観の一例を示す平面図である。図に示す第1方向X、第2方向Y、及び、第3方向Zは、互いに直交しているが、90度以外の角度で交差していてもよい。第1方向X及び第2方向Yは、表示装置DSPを構成する基板の主面と平行な方向に相当し、第3方向Zは、表示装置DSPの厚さ方向に相当する。本明細書において、第1方向X及び第2方向Yで規定されるX−Y平面を見ることを平面視という。
【0012】
本実施形態においては、表示装置の一例として、高分子分散型液晶を適用した表示装置について説明する。表示装置DSPは、表示パネル1、発光素子2、光学素子3、変調素子4、制御基板5、中継基板6、ドライバIC1乃至IC3、配線基板F1乃至F3、第3透明基板30、などを備えている。
【0013】
表示パネル1は、一例では、四角形であり、図示した例では、第1方向Xと平行な辺の長さが第2方向Yと平行な辺の長さよりも大きい略長方形状である。表示パネル1は、第1透明基板10と第2透明基板20とを備えている。第1透明基板10と第2透明基板20とは、第3方向Zに重畳し、その間に高分子分散型の液晶層(後述する液晶層LC1)を保持している。第1透明基板10は、第2透明基板20よりも外側に延出した延出部(第1延出部)Ex1を有している。図示した例では、延出部Ex1は、第2透明基板20の端部E20と第1透明基板10の端部E10との間の領域に相当する。ここで、端部E20及びE10は、一例では、第1方向Xに延出している。
【0014】
表示パネル1は、液晶層が設けられた領域に、画像を表示する表示領域DAを有している。表示パネル1は、表示領域DAにおいて、複数の走査線G、及び、複数の信号線Sを備えている。一例では、複数の走査線Gは、それぞれ第1方向Xに延出し、第2方向Yに間隔をおいて並んでいる。複数の信号線Sは、それぞれ第2方向Yに延出し、第1方向Xに間隔をおいて並んでいる。また、表示領域DAは、第1方向X及び第2方向Yにマトリクス状に配列された画素PXを備えている。
【0015】
図1において拡大して示すように、各画素PXは、スイッチング素子SW、画素電極PE、共通電極CE、液晶層LC1等を備えている。スイッチング素子SWは、例えば薄膜トランジスタ(TFT)によって構成され、走査線G及び信号線Sと電気的に接続されている。走査線Gは、第1方向Xに並んだ画素PXの各々におけるスイッチング素子SWと電気的に接続されている。信号線Sは、第2方向Yに並んだ画素PXの各々におけるスイッチング素子SWと電気的に接続されている。画素電極PEは、スイッチング素子SWと電気的に接続されている。共通電極CEは、複数の画素電極PEに対して共通に設けられている。液晶層LC1(特に、液晶層LC1に含まれる液晶分子)は、画素電極PEと共通電極CEとの間に生じる電界によって駆動される。容量CSは、例えば、共通電極CEと同電位の電極、及び、画素電極PEと同電位の電極の間に形成される。
【0016】
ドライバIC1乃至IC4は、一例では、延出部Ex1に実装されている。図示した例では、ドライバIC1、IC2、IC3及びIC4は、この順で第1方向Xに並んでいる。信号線Sは、非表示領域NDAに引き出され、ドライバIC2及びIC3と接続されている。走査線Gは、非表示領域NDAに引き出され、ドライバIC1及びIC4と接続されている。なお、表示装置DSPが備えるドライバの数や、信号線S及び走査線GとドライバIC1乃至IC4との接続関係は、図示した例に限らない。また、ドライバIC1乃至IC4は、そのすべて、あるいは一部の機能が配線基板F1乃至F3、制御基板5、中継基板6などの他の基板に実装されていてもよい。
【0017】
発光素子2は、延出部Ex1と重畳している。図示した例では、発光素子2は、第1方向Xに沿って等間隔で並び、ドライバIC1乃至IC4よりも第2透明基板20に近接している。発光素子2の各々は、例えば、第1色の光を出射する第1発光部と、第2色の光を出射する第2発光部と、第3色の光を出射する第3発光部と、を備えている。一例では、第1色は赤色であり、第2色は緑色であり、第3色は青色である。
【0018】
光学素子3は、延出部Ex1と重畳している。より具体的には、光学素子3は、発光素子2と第3透明基板30との間に位置している。図示した例では、光学素子3は、第1方向Xに沿って延出し、すべての発光素子2と対向している。光学素子3は、一例では、発光素子2から入射した光を平行光に変換する。なお、光学素子は、必要に応じて、発光素子2から入射した光を拡散してもよい。
【0019】
変調素子4は、延出部Ex1と重畳している。より具体的には、変調素子4は、光学素子3と第3透明基板30との間に位置している。図示した例では、変調素子4は、光学素子3と同様に第1方向Xに沿って延出している。変調素子4は、入射された光の広がりを調整する。例えば、変調素子4は、光学素子3を介して入射された光を拡散させる。あるいは、変調素子4は、光学素子3を介して入射された光を変調することなく透過させる。
【0020】
第3透明基板30は、第2透明基板20に重畳している。図示した例では、第3透明基板30は、第2透明基板20と同形状である。第3透明基板30は、表示パネル1を照明するために発光素子2から発せられた光を導光する導光板として機能する。発光素子2から発せられた光は、光学素子3及び変調素子4を介して端部E30から第3透明基板30に入射される。図示した例では、端部E30は、第2透明基板20の端部E20と一致している。
【0021】
制御基板5は、画像処理部C51、光源ドライバC52、電源生成部C53、変調制御部C54、などを備えている。
【0022】
画像処理部C51は、タイミングコントローラを含む。画像処理部C51は、外部から入力された画像データや同期信号などに基づいて各種信号を生成する。一例では、画像処理部C51は、画像データに所定の信号処理を行って生成した映像信号をドライバIC2及びIC3に出力する。また、画像処理部C51は、同期信号に基づいて生成した制御信号を、ドライバIC1乃至IC4、光源ドライバC52、及び変調制御部C54にそれぞれ出力する。
【0023】
光源ドライバC52は、画像処理部C51からの制御信号などに従い、発光素子2の点灯期間を制御する。1フレーム期間が複数のサブフレーム(フィールド)期間を有する駆動方式においては、各サブフレームにおいて上述の3つの発光部のうちの少なくとも1つが点灯し、サブフレーム毎に照明光の色が切り替えられる。
【0024】
変調制御部C54は、画像処理部C51からの制御信号などに従い、変調素子4を制御する。例えば、変調制御部C54は、光学素子3から変調素子4へ入射された光の少なくとも一部を拡散させる。あるいは、変調制御部C54は、光学素子3から変調素子4へ入射された光の少なくとも一部に対して、変調することなく透過させる。
【0025】
配線基板F1は、発光素子2及び変調素子4と電気的に接続されている。図示した例では、配線基板F1は、変調素子4、光学素子3、及び発光素子2と重なるとともに、第1透明基板10よりも外側に延出ている。配線基板F1は、ケーブルCB1を介して制御基板5と電気的に接続されている。したがって、発光素子2及び変調素子4は、配線基板F1及びケーブルCB1を介して、光源ドライバC52及び変調制御部C54からそれぞれ供給される信号に基づいて制御される。
【0026】
配線基板F2及びF3は、延出部Ex1と中継基板6とを電気的に接続している。中継基板6は、ケーブルCB2及びCB3を介して制御基板5と電気的に接続されている。したがって、ドライバIC1乃至IC4は、配線基板F2及びF3、中継基板6、ケーブルCB2及びCB3を介して、画像処理部C51から供給される制御信号に基づいて制御される。
【0027】
図2は、
図1に示す表示装置DSPの側面図である。
図2は、第2方向Y及び第3方向Zによって規定されるY−Z平面と平行な面を示している。
【0028】
表示パネル1は、第1透明基板10、及び第2透明基板20に加え、シールSE1、及び液晶層LC1を備えている。第1透明基板10と第2透明基板20とは、シールSE1によって貼り合わされている。液晶層LC1は、第1透明基板10と第2透明基板20との間で、シールSE1によって囲まれた領域の内側に保持されている。液晶層LC1は、高分子化合物であるポリマーLp1と、液晶分子Lm1と、を含む高分子分散型液晶によって形成されている。一例では、ポリマーLp1は、液晶性ポリマーである。ポリマーは、例えば、液晶性モノマーが図示しない配向膜の配向規制力によって所定の方向に配向した状態で重合されることによって得られる。液晶分子Lm1は、ポリマーLp1の隙間に分散され、その長軸が図示しない配向膜の配向規制力に沿うように配向される。なお、図中の拡大部分において、ポリマーLp1は右下がりの斜線で示し、液晶分子Lm1は右上がりの斜線で示している。
【0029】
ポリマーLp1及び液晶分子Lm2の各々は、光学異方性あるいは屈折率異方性を有している。ポリマーLp1の光軸と液晶分子Lm1の光軸とが、互いに平行である場合、ポリマーLp1及び液晶分子Lm1の常光屈折率は互いにほぼ同等であり、ポリマーLp1及び液晶分子Lm1の異常光屈折率は互いにほぼ同等である。このため、ポリマーLp1と液晶分子Lm1との間にほとんど屈折率差がない。液晶層LC1に入射した光は、液晶層LC1内でほとんど散乱されることなく透過する。このような状態を『透明状態』と称する。一方、ポリマーLp1の光軸と液晶分子Lm1の光軸とが、互いに平行でない場合、ポリマーLp1と液晶分子Lm1との間に屈折率差が生じる。これにより、液晶層LC1に入射した光は、液晶層LC1内で散乱される。このような状態を『散乱状態』と称する。
【0030】
ポリマーLp1の電界に対する応答性は、液晶分子Lm1の電界に対する応答性より低い。一例では、ポリマーLp1の配向方向は、電界の有無にかかわらずほとんど変化しない。一方、液晶分子Lm1の配向方向は、液晶層LC1にしきい値以上の高い電圧が印加された状態では、電界に応じて変化する。したがって、液晶層LC1の透明状態と散乱状態とは、液晶層LC1に印加される電圧を制御することによって制御することができる。
【0031】
第3透明基板30は、表示パネル1と第3方向Zに重畳している。すなわち、第1透明基板10、第2透明基板20、及び第3透明基板30は、この順で第3方向Zに並んでいる。第3透明基板30は、第2透明基板20と向かい合う主面30Aと、主面30Aと反対側の主面30Bとを有している。主面30A及び30Bは、一例では、X−Y平面と平行である。第3透明基板30の端部E30は、第2透明基板20の端部E20の直上に位置している。
【0032】
変調素子4は、光学素子3と端部E30との間に位置している。変調素子4は、第4透明基板40、第5透明基板50、液晶層LC2、シールSE2、及び制御電極ELを備えている。第4透明基板40と第5透明基板50とは、第2方向Yに沿って互いに向かい合い、シールSE2によって貼り合わされている。図示した例では、第4透明基板40は、光学素子3と端部E30との間に配置され、第5透明基板50は、第4透明基板40と端部E30との間に配置されている。液晶層LC2は、第4透明基板40と第5透明基板50との間で、シールSE2によって囲まれた領域の内側に保持されている。制御電極ELは、一例では、第4透明基板40に配置されている。制御電極ELは、液晶層LC2に電圧を印加する。液晶層LC2が含む液晶分子の配向は、液晶層LC2に印加される電圧によって制御され、液晶層LC2内には液晶分子の配向状態に応じた屈折率分布が生じる。液晶層LC2は、この屈折率分布によって、変調素子4に入射した光に対してレンズとして機能する。変調素子4の詳細については後述する。
【0033】
発光素子2、光学素子3、及び変調素子4は、この順で第2方向Yに沿って並び、延出部Ex1の直上に位置している。発光素子2は、一例では、上面発光型のLED(light emitting diode)であり、配線基板F1に実装されている。配線基板F1は、第4透明基板40に接続されている。図示した例では、配線基板F1は、3か所で約90度に屈曲され、光学素子3の下方に位置するとともに、ドライバIC1乃至IC4の上方に位置している。
【0034】
なお、本実施形態において、発光素子2、光学素子3、変調素子4、及び第3透明基板30を、表示パネル1を照明する照明装置ILとしてみなすことができる。すなわち、表示装置DSPは、表示パネル1と、表示パネル1と第3方向Zに対向する照明装置ILと、を備えている。また、本実施形態では、発光素子2、光学素子3、変調素子4の配置は、第3透明基板30の端部30に配置されているが、これに限らず、他の透明基板の端部であっても良い。例えば、第3透明基板30が無く、第1透明基板10と第2透明基板20のみの場合には、第2透明基板20の端部E20に発光素子2、光学素子3、変調素子4を配置してもよい。すなわち、第1透明基板に対向する透明基板の端部に発光素子2、光学素子3、変調素子4を配置すればよい。
【0035】
図3は、
図2に示した表示パネル1の構成例を示す断面図である。表示パネル1は、第1透明基板10、第2透明基板20、シールSE1、液晶層LC1、スイッチング素子SW、画素電極PE、共通電極CEに加え、絶縁膜11及び12、容量電極13、配向膜AL1及びAL2を備えている。
【0036】
第1透明基板10は、主面(外面)10Aと、主面10Aの反対側の主面(内面)10Bと、を備えている。スイッチング素子SWは、主面10B側に形成されている。絶縁膜11は、主面10Bに形成され、スイッチング素子SWを覆っている。なお、
図1に示した走査線G及び信号線Sは、第1透明基板10と絶縁膜11との間に配置されているが、ここでは図示を省略している。容量電極13は、絶縁膜11及び12の間に配置されている。画素電極PEは、絶縁膜12と配向膜AL1との間において、画素PX毎に配置されている。つまり、容量電極13は、第1透明基板10と画素電極PEとの間に配置されている。画素電極PEは、容量電極13の開口部OPを介してスイッチング素子SWと電気的に接続されている。画素電極PEは、絶縁膜12を挟んで、容量電極13と重畳し、画素PXの容量CSを形成している。配向膜AL1は、画素電極PEを覆っている。
【0037】
第2透明基板20は、主面(内面)20Aと、主面20Aの反対側の主面(外面)20Bと、を備えている。第2透明基板20の主面20Aは、第1透明基板10の主面10Bと向かい合っている。共通電極CEは、主面20Aに配置されている。配向膜AL2は、共通電極CEを覆っている。なお、スイッチング素子SW、走査線G、及び、信号線Sの直上にそれぞれ遮光層が設けられてもよい。また、第2透明基板20と共通電極CEとの間、あるいは、共通電極CEと配向膜AL2との間に、透明な絶縁膜が設けられてもよい。共通電極CEは、複数の画素PXに亘って配置され、第3方向Zにおいて、複数の画素電極PEと対向している。また、共通電極CEは、容量電極13と電気的に接続されており、容量電極13とは同電位である。
【0038】
液晶層LC1は、配向膜AL1と配向膜AL2との間に保持され、両者に接している。換言すると、液晶層LC1は、画素電極PEと共通電極CEとの間に位置している。画素電極PEと共通電極CEとの間に電圧が印加されていない場合、液晶層LC1に含まれるポリマーの光軸と液晶分子の光軸とが互いに平行であり、液晶層LC1は、透明状態となる。画素電極PEと共通電極CEとの間に電圧が印加されている場合、液晶層LC1に含まれるポリマーの光軸と液晶分子の光軸とが互いに交差し、液晶層LC1は、散乱状態となる。液晶層LC1は、例えば、正の誘電率異方性を有する液晶材料によって形成されている。
【0039】
第1透明基板10及び第2透明基板20は、例えばガラス基板であるが、プラスチック基板などの絶縁基板であってもよい。絶縁膜11は、例えば、シリコン酸化物、シリコン窒化物、シリコン酸窒化物などの透明な無機絶縁膜、及び、アクリル樹脂などの透明な有機絶縁膜を含んでいる。絶縁膜12は、シリコン窒化物などの透明な無機絶縁膜である。容量電極13、画素電極PE、及び、共通電極CEは、インジウム錫酸化物(ITO)やインジウム亜鉛酸化物(IZO)などの透明導電材料によって形成された透明電極である。配向膜AL1及びAL2は、X−Y平面に略平行な配向規制力を有する水平配向膜である。一例では、配向膜AL1及びAL2は、第1方向Xに沿って配向処理されている。なお、配向処理とは、ラビング処理であってもよいし、光配向処理であってもよい。
【0040】
図4は、表示パネル1の動作を説明するための断面図である。画素電極PE(PE1、PE2)と共通電極CEとは、液晶層LC1を間に挟み、互いに向かい合っている。以下では、画素電極PE1と共通電極CEとの間には、電圧が印加されず、画素電極PE2と共通電極CEとの間に電圧が印加されているものとする。
【0041】
発光素子2から光学素子3、及び変調素子4を介して第3透明基板30に照射された光L1は、第2透明基板20側から表示パネル1に入射し、第2透明基板20、液晶層LC1、第1透明基板10などを伝播する。画素電極PE1と重畳する液晶層LC1は透明状態である。このため、光L1は、液晶層LC1のうち画素電極PE1と重畳する領域でほとんど散乱されない。一方、画素電極PE2と重畳する液晶層LC1は散乱状態である。このため、光L1は、液晶層LC1のうち画素電極PE2と重畳する領域で散乱される。光L1のうち、一部の散乱光L11は、第2透明基板20の主面20Bを透過し、一部の散乱光L12は、第1透明基板10の主面10Bを透過し、他の散乱光は表示パネル1内を伝播する。
【0042】
画素電極PE1と重畳する領域では、表示パネル1に入射する外部光L2は、液晶層LC1でほとんど散乱されることなく透過される。画素電極PE2と重畳する領域では、主面10Bから入射した外部光L3は、液晶層LC1で散乱された後に、その一部の光L31が主面20Bを透過する。また、主面20Bから入射した外部光L4は、液晶層LC1で散乱された後に、その一部の光L41が主面10Bを透過する。
【0043】
このため、ユーザは、表示パネル1を主面20B側から観察した場合には、画素電極PE2と重畳する領域で光L1の色を視認することができる。加えて、一部の外部光L31が表示パネル1を透過するため、ユーザは、表示パネル1を透かして主面10B側の背景を視認することもできる。同様に、ユーザは、表示パネル1を主面10B側から観察した場合には、画素電極PE2と重畳する領域で光L1の色を視認することができる。加えて、一部の外部光L41が表示パネル1を透過するため、ユーザは、表示パネル1を透かして主面20B側の背景を視認することもできる。なお、画素電極PE1と重畳する領域では、液晶層LC1が透明状態であるため、光L1の色はほとんど視認されず、ユーザは、表示パネル1を透かして背景を視認することができる。
【0044】
図5は、
図2に示す変調素子4の近傍を拡大して示す表示装置DSPの断面図である。第4透明基板40は、第5透明基板50と向かい合う主面40Aと、光学素子3と向かい合う主面40Bとを有している。また、第4透明基板40は、延出部Ex1側の端部E401と、端部E401と反対側の端部E402を有している。第5透明基板50は、第4透明基板40と向かい合う主面50Aと、端部E30と向かい合う主面50Bとを有している。また、第5透明基板50は、延出部Ex1側の端部E501と、端部E501と反対側の端部E502とを有している。主面40A、40B、50A、及び50Bは、一例では、X−Z平面と平行である。
【0045】
本実施形態において、主面50Bは、端部E30と対向しているが、端部E20とは対向していない。図示した例では、第3方向Zにおける端部E502の位置は、第3透明基板30の主面30Bの位置と一致し、第3方向Zにおける端部E501の位置は、第3透明基板30の主面30Aの位置と一致している。また、第3方向Zにおける端部E402の位置は、端部E502の位置と一致している。一方、端部E401は、端部E501よりも延出部Ex1に近接している。換言すると、第4透明基板40は、端部E501よりも延出部Ex1側に延出した延出部(第2延出部)Ex2を有している。
【0046】
配線基板F1は、延出部Ex2に接続され、制御電極ELと電気的に接続されている。すなわち、配線基板F1は、第4透明基板40と向かい合う面に導電層を有している。また、第4透明基板40は、制御電極ELが配置された面と同じ側に、制御電極ELと電気的に接続された端子を有している。配線基板F1の導電層が第4透明基板40の端子と接続されることで、制御電極ELと配線基板F1とが電気的に接続される。
【0047】
図示した例では、表示装置DSPは、接着剤AD1、AD2、AD3、AD4を備えている。接着剤AD1は、第3透明基板30の主面30Aと第2透明基板20の主面20Bと接着している。接着剤AD2は、第5透明基板50の主面50Bと第3透明基板30の端部E30とを接着している。接着剤AD3は、光学素子3と第4透明基板40の主面40Bとを接着している。接着剤AD4は、発光素子2と光学素子3とが向かい合う状態で配線基板F1と光学素子3とを接着している。図示した例では、接着剤AD4は、配線基板F1の発光素子2が実装とされた面に接しており、発光素子2と光学素子3との間には介在していない。接着剤AD1乃至AD3は、一例では、透明であり、それぞれが接する部材の屈折率と等しい屈折率を有していることが望ましい。
【0048】
図6A及び6Bは、
図5に示す第4透明基板40の構成例を示す平面図である。
図6A及び6Bは、X−Z平面と平行な面を示している。第4透明基板40は、第1方向Xと平行な長辺LL1及びLL2と、第3方向Zと平行な短辺SS1及びSS2とを有する略長方形状である。制御電極ELの各々は、一例では、帯状に形成されている。すなわち、制御電極ELは、短辺SS1に沿って延出し、長辺LL1沿って第1ピッチP1で等間隔に並んでいる。ここで、第1ピッチP1は、第1方向Xにおける制御電極ELの中心間の距離に相当する。また、第4透明基板40は、制御電極ELの各々と電気的に接続された端子TEを備えている。図示した例では、端子TEは、制御電極ELと長辺LL1との間に位置している。配線基板F1は、端子TEの各々と重畳し、端子TEと電気的に接続されている。
【0049】
図6A及び6Bは、第4透明基板40と対向する発光素子2を示している。発光素子2は、第1方向Xに沿って第2ピッチP2で等間隔に並んでいる。ここで、第2ピッチP2は、第1方向Xにおける発光素子2の中心間の距離に相当する。本実施形態において、第2ピッチP2は、第1ピッチP1以上である。さらに、第2ピッチP2は、第1ピッチP1の整数倍の大きさであることが望ましい。
【0050】
図6Aに示す例は、第2ピッチP2と第1ピッチP1とが等しい場合に相当する。
図6Aに示すように、第2ピッチP2が第1ピッチP1の奇数倍である場合、第1方向Xにおいて、発光素子2は、隣り合う制御電極EL間のほぼ中央と対向している。
図6Bに示す例は、第2ピッチP2が第1ピッチP1の2倍である場合に相当する。
図6Bに示すように、第2ピッチP2が第1ピッチP1の偶数倍である場合、第1方向Xにおいて、発光素子2の中央の位置と、発光素子2と対向する制御電極ELの中央の位置とは、互いに一致している。以上のような構成にすることにより、
図6A及び
図6Bのいずれの場合であっても、1つの発光素子2に対して、1つのレンズLNSを形成することが可能になる。
【0051】
図7は、
図6Aに示すA−B線に沿った変調素子4の断面図である。
図7は、X−Y平面と平行な面を示している。変調素子4は、第4透明基板40、第5透明基板50、シールSE1、液晶層LC2、及び制御電極EL(EL1、EL2)に加え、配向膜41及び配向膜51を有している。
【0052】
第4透明基板40及び第5透明基板50は、透明であり、例えばガラス又は樹脂によって形成されている。制御電極ELは、主面40Aにおいて、第1方向Xに沿って並んでいる。制御電極ELは、インジウム錫酸化物(ITO)やインジウム亜鉛酸化物(IZO)などの透明導電材料によって形成されている。
【0053】
配向膜41は、制御電極ELを覆っている。配向膜51は、主面50Aを覆っている。液晶層LC2は、配向膜41と配向膜51との間に保持され、両者と接している。液晶層LC2は、一例では、主面40A及び50Aと垂直な方向、すなわち第2方向Yと平行な方向に初期配向されている。液晶層LC2は、例えば、正の誘電率異方性を有する液晶材料によって形成されている。すなわち、液晶層LC2に含まれる液晶分子Lm2は、電界が形成された状態ではその長軸が電界に沿うように配向される。
【0054】
以下では、隣り合う制御電極EL1及びEL2に極性の異なる電圧が供給される場合について説明する。例えば、制御電極EL1には6Vの電圧が供給され、制御電極EL2には−6Vの電圧が供給されているものとする。制御電極EL1と制御電極EL2との間には、主に第1方向Xに沿った電界が形成されるため、液晶層LC2に含まれる液晶分子Lm2は、その長軸が第1方向Xに沿うように配向する。制御電極EL1及びEL2の近傍において、第3方向Zに対して傾斜した電界が形成されるため、液晶分子Lm2は、その長軸が第3方向Zに対して傾斜するように配向する。
【0055】
液晶分子Lm2は、屈折率異方性Δnを有している。このため、液晶層LC2は、液晶分子Lm2の配向状態に応じた屈折率分布を有する。あるいは、液晶層LC2は、液晶層LC2の第2方向Yに沿った厚さをdとしたとき、Δn・dで表されるリタデーションの分布、または、位相分布を有する。図中に点線で示したレンズLNSは、このような屈折率分布、リタデーションの分布、または、位相分布によって形成されるものである。図示したレンズLNSは、凸レンズとして機能する。
【0056】
ここで、図において第2方向Yを示す矢印とは逆向きに進行する光のうち、第1方向Xに沿った振動面を有する直線偏光を第1直線偏光POL1と称し、第3方向Zに沿った振動面を有する直線偏光を第2直線偏光POL2と称する。本実施形態のレンズLNSは、第1直線偏光POL1及び第2直線偏光POL2に対してそれぞれ異なる作用を有する。例えば、自然光が第4透明基板40の側から変調素子4へ入射した場合、レンズLNSは、自然光のうち、第2直線偏光POL2をほとんど屈折することなく透過し、第1直線偏光POL1を屈折する。つまり、レンズLNSは、主として第1直線偏光POL1対して集束作用を発揮する。
【0057】
したがって、発光素子2から発せられる光は、一例では、第1直線偏光POL1であることが望ましい。あるいは、発光素子2と変調素子4との間に、第1方向Xと平行な透過軸を有する偏光板が設けられていてもよいし、第2直線偏光POL2を第1直線偏光POL1へ変換する変換素子が設けられていてもよい。
【0058】
なお、本実施形態では、レンズLNSを備える変調素子4の一例として、基板主面とほぼ垂直に初期配向する液晶層LC2と、基板主面と平行な方向、及び交差する方向に沿った電界とを組み合わせた方式について説明したが、これに限らない。例えば、基板主面に沿って初期配向する液晶層が組み合わされてもよいし、基板主面と垂直な電界と組み合わせてもよく、液晶層に印加される電界に応じて屈折率分布を可変する方式であれば、レンズLNSを備える変調素子が実現できる。ここでの基板主面とは、X−Z平面である。
【0059】
図8は、変調素子4の動作を説明するための図である。
図8は、8個の制御電極EL(EL1乃至EL8)と、7個の発光素子2(21乃至27)とを示している。発光素子2は、点光源としてみなされる。
図8に示す例は、制御電極ELの第1ピッチP1が発光素子2の第2ピッチP2と等しい場合に相当する。
【0060】
変調素子4は、変調制御部C54によって制御される。より具体的には、変調制御部C54は、制御電極ELに供給する電圧を制御することにより、液晶層LC2にレンズLNSを形成した第1モードと、液晶層LC2にレンズを形成しない第2モードとを切り替えることができる。また、変調制御部C54は、制御電極ELの各々に供給する電圧を制御することにより、レンズLNSの形成位置を制御することができる。すなわち、変調制御部C54は、液晶層LC2の第1位置にレンズLNSを形成した第3モードと、液晶層LC2の第1位置とは異なる第2位置にレンズLNSを形成した第4モードとを切り替えることができる。
【0061】
図示した例では、液晶層LC2の発光素子21乃至23と対向する位置にレンズLNS1乃至LNS3がそれぞれ形成されている。この場合、隣り合う制御電極EL1、EL2、EL3、及びEL4には、それぞれ極性の異なる電圧が交互に印加されている。また、制御電極EL4乃至EL8には、同一の電圧が印加されている。なお、変調制御部C54は、制御電極ELの各々に供給する電圧を制御することにより、液晶層LC2に形成されるレンズLNSの形状及び大きさ制御してもよい。
【0062】
発光素子2から発せられた光は、光学素子3によって、第2方向Yとほぼ平行な平行光に変換されている。光学素子3を介して変調素子4に入射した光のうち、レンズLNS1乃至LNS3が形成された領域を通る光は、レンズLNS1乃至LNS3によって拡散される。一方、レンズが形成されていない領域、すなわち、制御電極EL4と制御電極EL8との間の領域を通る光は、ほとんど拡散されることなく、つまり、ほぼ平行光のまま、変調素子4を透過する。
【0063】
図9Aは、本実施形態の効果を説明するための図であり、
図9Bは、比較例の図である。本実施形態によれば、表示装置DSPは、発光素子2と第3透明基板30との間に位置する変調素子4を備えている。変調素子4において、制御電極ELに印加する電圧を制御することにより、液晶層LC2において、任意の位置にレンズLNSを形成することができる。換言すると、発光素子2の各々に向かい合うレンズLNSを形成することができる。したがって、表示パネル1の表示状態に応じて、発光素子2から光学素子3及び変調素子4を介して第3透明基板30に入射される光の広がりを制御することができる。
【0064】
例えば、
図9Aに示すように、表示パネル1において、部分的に画像が表示される場合、画像に対応した発光素子2a及び2bが点灯される。本実施形態によれば、発光素子2a及び2bと向かい合う位置に部分的にレンズLNSを形成することで、第3透明基板30のうち画像が表示される領域に対応した領域にのみ平行光を入射することができる。換言すると、表示パネル1を照射する照射領域IAを必要最低限の面積にすることができる。したがって、画像が表示されていない領域への光の侵入が抑制され、配線などに起因した光の散乱が抑制される。この結果、表示装置DSPの透明性を向上することができる。なお、表示パネル1において、表示領域DAの全面に画像が表示される場合、発光素子2の各々に対してレンズLNSを形成することにより、照射領域IAを表示パネル1の全体に亘って形成することができる。この結果、表示パネル1を均一に照射することができる。
【0065】
一方、
図9Bに示すように、変調素子4を備えていない場合、表示パネル1の表示状態に応じて照射領域IAの位置や面積を制御することは困難である。したがって、発光素子2a及び2bのみを点灯した場合であっても、画像が表示されていない領域まで光が広がることによって、画像が表示されていない領域においても光の散乱が生じ、表示パネル1の透明性が損なわれるおそれがある。
【0066】
以上のように、本実施形態によれば、表示品位を向上することが可能な表示装置を提供することができる。
【0067】
[第2実施形態]
図10は、第2実施形態に係る表示装置DPSの概略を示す平面図である。第2実施形態は、第3透明基板30が凹部CCを有している点で、第1実施形態と相違している。凹部CCは、第3透明基板30の端部E30よりも発光素子2から離間する側に窪んでいる。ここで、端部E30は、第3透明基板30のうち、発光素子2に最も近接した端部である。図示した例では、凹部CCは、半円形状であるが、円弧以外の曲線からなる形状であってもよい。凹部CCは、第1方向Xに沿って並び、発光素子2の各々と向かい合っている。より具体的には、第1方向Xにおいて、凹部CCの中央の位置と発光素子2の中央の位置とは、一致している。また、表示装置DSPは、光学素子3を有していないが、凹部CCと向かい合う封止基板60を有している。本実施形態において、凹部CCと封止基板60とが変調素子4として機能する。
【0068】
図11Aは、
図10に示す凹部CCの近傍を拡大して示す表示装置DSPの断面図である。表示装置DSPは、表示パネル1、発光素子2、第3透明基板30、封止基板60、及び配線基板F1に加え、液晶層LC2、シールSE2、制御電極EL30、及び制御電極EL60を備えている。
【0069】
凹部CCは、主面30Aと主面30Bとの間に形成されている。換言すると、第3透明基板30は、主面30Aを含む下板部301と、主面30Bを含む上板部302と、下板部301と上板部302とを接続する面30Sを有している。図示した例では、面30Sは、端部E30よりも発光素子2から離間している。
【0070】
封止基板60は、第3透明基板30の端部E30と第2方向Yに沿って向かい合い、シールSE2によって貼り合わされている。封止基板60は、透明であり、例えばガラス又は樹脂によって形成されている。液晶層LC2は、封止基板60、下板部301、上板部302、及び面30Sによって囲まれた領域内に保持されている。すなわち、凹部CCは、液晶層LC2によって充填されている。
【0071】
制御電極EL30は、面30Sに形成されている。制御電極EL60は、封止基板60の第3透明基板30と向かい合う面60Sに形成されている。制御電極EL30及びEL60は、液晶層LC2に電圧を印加する。液晶層LC2に含まれる液晶分子の配向は、制御電極EL30と制御電極EL60との間に印加される電圧によって制御され、液晶層LC2内には液晶分子の配向状態に応じた屈折率分布が生じる。制御電極EL30及びEL60は、ITOやIZOなどの透明導電材料によって形成されている。
【0072】
図示した例では、封止基板60は、主面30Bよりも上方に延出した延出部Ex3を有している。配線基板F1は、延出部Ex3に接続され、封止基板60の上方を通って延出している。配線基板F1は、制御基板EL30及び制御基板EL60の双方と電気的に接続されている。すなわち、配線基板F1は、封止基板60と向かい合う面に導電層を有している。また、封止基板60は、制御電極EL60が配置された面と同じ側に、制御電極EL60と電気的に接続された端子を有している。第3透明基板30は、制御電極EL30と電気的に接続された配線を有している。この配線は、例えば第3透明基板30の側面まで引き出され、導電性部材を介して封止基板60の端子と電気的に接続される。配線基板F1の導電層が封止基板60の端子と接続されることで、制御電極EL30、制御電極EL60、及び配線基板F1が電気的に接続される。
【0073】
発光素子2は、配線基板F1に実装されるとともに、封止基板60と向かい合っている。図示した例では、発光素子2と封止基板60との間に他の部材は介在していないが、配線基板F1と封止基板60とは、透明な接着剤AD2によって接着されている。
【0074】
なお、
図11Bに示すように、延出部Ex3は、主面30Aよりも下方に延出してもよい。配線基板F1は、延出部Ex3に接続され、封止基板60の下方、すなわち封止基板60と第1透明基板10との間を通って延出している。図示した例では、配線基板F1は、第1透明基板10の延出部Ex1と接している。配線基板F1と延出部Ex1との間には、接着剤が介在していてもよい。
図11Bに示す例においても、配線基板F1は、封止基板60と向かい合う面に導電層を有し、封止基板60が備える端子と電気的に接続されている。
図11Bに示す例では、液晶層LC2の下方には第2透明基板20は配置されていない。換言すると、液晶層LC2は、第2透明基板20よりも外側に位置している。つまり、第3透明基板30の端部E30は、第2透明基板20の端部E20よりも外側に位置している。
【0075】
図12Aは、変調素子4の構成例を示す平面図である。変調素子4は、第3透明基板30、封止基板60、液晶層LC2、制御電極EL30、制御電極EL60に加え、配向膜31及び61を備えている。
【0076】
制御電極EL30は、凹部CC内に配置され、配向膜31によって覆われている。より具体的には、凹部CCの各々に対して個別の制御電極EL30がそれぞれ形成されている。すなわち、制御電極EL30は、端部E30に配置されず、図示した例では、配向膜31が端部E30と接している。
【0077】
制御電極EL60は、第1方向Xに沿って並び、凹部CCの各々と向かい合っている。制御電極EL60は、配向膜61によって覆われている。
【0078】
液晶層LC2は、配向膜31と配向膜61との間に保持され、両者と接している。配向膜31及び61は、例えば、水平配向膜であり、いずれも第1方向Xに沿って配向処理されている。液晶層LC2は、第1実施形態と同様、例えば、正の誘電率異方性を有する液晶材料によって形成されている。
【0079】
図12Bは、変調素子4の他の構成例を示す平面図である。
図12Bに示す例では、制御電極EL30は、複数の凹部CCに対して共通に設けられている。すなわち、制御電極EL30は、凹部CC内に配置されるとともに、端部E30にも配置されている。なお、制御電極EL30は、2つ以上の凹部CCに対して共通に設けられていればよく、単一の制御電極EL30がすべての凹部CCに対して設けられていてもよい。
【0080】
図13A及び
図13Bは、液晶層LC2に含まれる液晶分子Lm2の配向の様子を示す図である。
図13Aは、制御電極EL30と制御電極EL60との間に電圧が印加されていない場合の液晶分子Lm2の配向の様子を示している。
図13Aに示す例では、液晶分子Lm2は、その長軸が第1方向Xに沿うように配向する。このとき、凹部CC内の液晶層LC2は、第3方向Zに沿った振動面を有する第2直線偏光POL2をほとんど屈折することなく透過し、第1方向Xに沿った振動面を有する第1直線偏光POL1を屈折する。一例では、凹部CCは、封止基板60側から入射する第1直線偏光POL1に対してシリンドリカルレンズとして機能する。
【0081】
図13Bは、制御電極EL30と制御電極EL60との間に電圧が印加されている場合の液晶分子Lm2の配向の様子を示している。電圧印加時では、液晶分子Lm2は、その長軸が電界に沿うように配向する。
図13Bに示す例では、液晶分子Lm2の長軸は、第2方向Yとほぼ平行である。このとき、凹部CC内の液晶層LC2は、第1直線偏光POL1及び第2直線偏光POL2のいずれもほとんど屈折することなく透過する。
【0082】
図14は、変調素子4の動作を説明するための図である。
図14は、7つの発光素子21乃至27と、発光素子21乃至27と向かい合う凹部CC1乃至CC7と、凹部CC1乃至CC7にそれぞれ設けられた制御電極EL30と、凹部CC1乃至CC7とそれぞれ向かい合う制御電極EL60とを示している。変調制御部C54は、制御電極EL30及びEL60に供給する電圧を制御することにより、液晶層LC2に含まれる液晶分子Lm2の配向方向を制御する。
【0083】
図示した例では、凹部CC1乃至CC3において、制御電極EL30と制御電極EL60との間に電圧が印加されている。発光素子21乃至23から発せられた光は、凹部CC1乃至CC3内の液晶層LC2によってほとんど屈折されることなく、凹部CC1乃至CC3を透過する。すなわち、発光素子21乃至23から発せられた光は、拡散されたまま、凹部CC1乃至CC3を透過する。一方、凹部CC4乃至CC7において、制御電極EL30と制御電極EL60との間に電圧が印加されていない。図示した例では、発光素子24乃至27から発せられた光は、凹部CC4乃至CC4において屈折され、平行光に変換されている。
【0084】
以上のように、第2実施形態においても、表示パネル1の表示状態に応じて、発光素子2の各々に対して第3透明基板30に入射される光の広がりを制御することができるため、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。また、凹部CCがシリンドリカルレンズとして機能するため、液晶層LC2の厚さが均一である場合と比較して、液晶層LC2と第3透明基板30との間に大きな屈折率差を生じさせることができる。このため、他の光学素子を配置することなく、入射光の光路を大きく変換することが可能になる。
【0085】
[第3実施形態]
図15は、第3実施形態に係る表示装置DSPの概略を示す平面図である。第3実施形態は、表示装置DSPが発光素子2の各々とそれぞれ向かい合う光学素子3と、発光素子2と光学素子3との間に位置するアクチュエータ7とを備えている点で、第1実施形態と相違している。また、表示装置DSPは、アクチュエータ7を制御するアクチュエータ制御部C55を備えている。アクチュエータ制御部C55は、一例では、制御基板5に実装されている。
【0086】
図16は、光学素子3の近傍を拡大して示す表示装置DSPの断面図である。光学素子3は、第3透明基板30の端部E30と向かい合っている。換言すると、光学素子3と端部E30との間には、他の部材は介在していない。アクチュエータ7は、一例では、一端側が発光素子2に固定され、他端側が光学素子3に固定されている。アクチュエータ7は、光学素子3の第2方向Yにおける位置を調整することで、発光素子2と光学素子3との距離を調整する。図示した例では、配線基板F1は、発光素子2、アクチュエータ7、及び光学素子3の上に位置するとともに、第3透明基板30に固定されている。
【0087】
図17A及び
図17Bは、アクチュエータ7の動作を説明するための平面図である。
図17A及び
図17Bは、X−Y平明と平行な面を示している。本実施形態において、光学素子3は、例えば発光素子2から離間する側に凸面を有するシリンドリカルレンズである。
【0088】
図17Aに示す例では、発光素子2と光学素子3との距離は、光学素子3の焦点距離よりも大きい。この場合、発光素子2から発せられた光は、発光素子2から放射状に広がるとともに、光学素子3によっても拡散される。一方、
図17Bに示す例では、発光素子2と光学素子3との距離は、光学素子3の焦点距離とほぼ等しい。この場合、発光素子2から発せられた光は、光学素子3によって平行光に変換される。以上のように、第3実施形態においても、表示パネル1の表示状態に応じて、発光素子2の各々に対して第3透明基板30に入射される光の広がりを制御することができるため、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0089】
なお、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これらの新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。