【解決手段】 電子デバイスは、第1方向に沿って延伸し、第2方向に沿って並んで配置される、複数の走査線と、前記第2方向に沿って延伸し、前記第1方向に沿って並んで配置される、複数の信号線と、表示領域に配置され、前記複数の走査線および前記複数の信号線の交点に設けられた、複数の画素と、前記表示領域と異なる非表示領域に配置され、前記複数の走査線に接続された、複数の第1スイッチ素子を含む検査回路と、を備え、前記複数の第1スイッチは、酸化物半導体層を含む酸化物半導体トランジスタであり、前記検査回路の前記複数の第1スイッチ素子のそれぞれは、前記複数の走査線のうち一つの走査線に対して直列に接続された少なくとも2つのトランジスタを有する。
前記直列に接続された少なくとも2つのトランジスタは、前記第1走査線に接続されたトランジスタと、前記第2配線との間に、2つ以上のトランジスタを含む、請求項2に記載の電子デバイス。
前記少なくとも1つのトランジスタ対は、前記第1走査線に接続された第1トランジスタと、前記第2配線との間に、2つ以上のトランジスタ対を含む、請求項7に記載の電子デバイス。
前記第1トランジスタ、前記第2トランジスタ、及び前記第3トランジスタは、それぞれ酸化物半導体層を含む酸化物半導体トランジスタである、請求項6から10までのいずれか1項に記載の電子デバイス。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本発明の各実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。なお、開示はあくまで一例にすぎず、当業者において、発明の主旨を保っての適宜変更について容易に想到し得るものについては、当然に本発明の範囲に含有されるものである。また、図面は説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には、同一の符号を付して、詳細な説明を適宜省略することがある。
以下、図面を参照しながら一実施形態に係る表示装置について詳細に説明する。
【0010】
本実施形態においては、第1方向X、第2方向Y、及び、第3方向Zは、互いに直交しているが、90度以外の角度で交差していてもよい。第3方向Zの矢印の先端に向かう方向を上又は上方と定義し、第3方向Zの矢印の先端に向かう方向とは反対側の方向を下又は下方と定義する。
【0011】
また、「第1部材の上方の第2部材」及び「第1部材の下方の第2部材」とした場合、第2部材は、第1部材に接していてもよく、又は第1部材から離れて位置していてもよい。後者の場合、第1部材と第2部材との間に、第3の部材が介在していてもよい。一方、「第1部材の上の第2部材」及び「第1部材の下の第2部材」とした場合、第2部材は第1部材に接している。
【0012】
また、第3方向Zの矢印の先端側に表示装置を観察する観察位置があるものとし、この観察位置から、第1方向X及び第2方向Yで規定されるX−Y平面に向かって見ることを平面視という。第1方向X及び第3方向Zによって規定されるX−Z平面、あるいは第2方向Y及び第3方向Zによって規定されるY−Z平面における表示装置の断面を見ることを断面視という。
【0013】
図1は、実施形態の表示装置の平面回路図である。
図1に示す表示装置DSPは、画像を表示する表示領域DAと、表示領域DA以外の非表示領域NDAと、を備えている。本実施形態において、非表示領域NDAは、表示領域DAとは異なる領域であり、表示領域DAに沿って額縁状に形成されている。
図1に示すように、表示装置DSPは、基材BA1、表示領域DAにて基材BA1の上方にマトリクス状に配列された複数個の画素PX、複数本の走査線GLと、複数本の信号線SLと、を備えている。画素PXのそれぞれは、走査線GLのそれぞれ及び信号線SLのそれぞれの交点に設けられている。なお走査線及び信号線をそれぞれゲート線及びソース線ともいう。
【0014】
本実施形態では、走査線GLの数をMとし、それぞれ走査線GL_1乃至GL_Mとする。ただし走査線において個々の区別が必要ない場合は、単に走査線GLと呼ぶ。また信号線SLの数をNとし、それぞれ信号線SL_1乃至SL_Nとする。ただし信号線において個々の区別が必要ない場合は、単に信号線SLと呼ぶ。すなわち表示装置DSPは、M行N列の画素PXを有している。
【0015】
表示装置DSPは、走査線GLを駆動する駆動素子DIG、及び信号線SLを駆動する駆動素子DISを備えている。駆動素子DIG及び駆動素子DISは、非表示領域NDAに配置されている。なお、1つの駆動素子DIGに接続される走査線GLは、
図1に示される数に限定されず、適切な数の走査線GLを設ければよい。同様に、1つの駆動素子DISに接続される信号線SLは、
図1に示される数に限定されず、適切な数の信号線SLを設ければよい。なお本実施形態では、駆動素子DIG及びDISを、それぞれ、第1駆動素子及び第2駆動素子ともいう。駆動素子DIG及びDISは、上述のように走査線GL及び信号線SLを駆動するため、それらの交点に設けられた画素PXを駆動するともいえる。
【0016】
また、
図1に示す表示装置DSPでは、駆動素子DIG及びDISは、それぞれ基材BA1の一辺に設けられている、具体的には駆動素子DIGが基材BA1の右辺及び駆動素子DISが基材BA1の下辺に設けられているが、これに限定されない。例えば、駆動素子DIGは基材BA1の左右二辺に設けられていてもよい。奇数番目の走査線GLを左右二辺の一方に設けられた駆動素子DIG、及び、偶数番目の走査線GLを左右二辺の他方に設けられた駆動素子DIGで駆動してもよい。同様に、駆動素子DISは、基材BA1の上下二辺に設けられていてもよい。奇数番目の信号線SLを上下二辺の一方に設けられた駆動素子DIS、及び、偶数番目の信号線SLを上下二辺の他方に設けられた駆動素子DISで駆動してもよい。また、駆動素子DIGは基材BA1の上下辺の両方または一方、駆動素子DISは基材BA1の左右辺の両方または一方に設けられていてもよい。
【0017】
走査線GLは、駆動素子DIGに接続され、第1方向Xに延伸し、第2方向Yに並んで配置される。走査線GLは、第1方向Xに並んだ複数の画素PXに電気的に接続されている。信号線SLは、駆動素子DISに接続され、第2方向Yに延伸し、第1方向Xに並んで配置される。信号線SLは、第2方向Yに並んだ複数の画素PXに電気的に接続されている。
なお図面を分かりやすくするため
図1には記載していないが、表示装置DSPはさらに共通配線や容量配線を備えていてもよい。共通配線及び容量配線については、後に詳述する。
【0018】
図1に示す表示装置DSPは、非表示領域NDAに、駆動回路SBCを備えている。駆動回路SBCは、複数の走査線GLそれぞれに接続されたスイッチ素子GSW、及び、複数の信号線SLそれぞれに接続されたスイッチ素子SSWを有している。なお本実施形態では、スイッチ素子GSWを第1スイッチ素子、スイッチ素子SSWを第2スイッチ素子ともいう。
【0019】
ここで、任意の行m(ただしmは1以上M以下の自然数(1≦m≦M))の走査線GL_mに接続されるスイッチ素子GSWを、スイッチ素子GSW_mとする。また任意の列n(ただしnは1以上N以下の自然数(1≦n≦N))の信号線SL_nに接続されるスイッチ素子SSWを、スイッチ素子SSW_nとする。なお、1行目からM行目までにそれぞれ接続されたスイッチ素子GSW_1からGSW_Mは、特に区別する必要がない場合は、単にスイッチ素子GSWと呼ぶ。同様に、1列目からN列目までにそれぞれ接続されたスイッチ素子SSW_1からSSW_Nは、特に区別する必要がない場合は、単にスイッチ素子SSWと呼ぶ。
【0020】
なお後述する本実施形態のトランジスタの説明において、トランジスタのソース及びドレインは、互いに逆転する可能性を鑑み、ソースはソースまたはドレインの一方、及び、ドレインはソースまたはドレインの他方と読み替えることができる。また
図1に示すトランジスタは、例えば薄膜トランジスタ(Thin Film Transistor(TFT))である。また
図1に示すトランジスタは、例えば、半導体層が酸化物半導体である酸化物半導体トランジスタである。
【0021】
図1に示す表示装置DPSでは、スイッチ素子SSWは、1つのトランジスタである。このようなトランジスタとして、上述した酸化物半導体トランジスタであってもよい。トランジスタであるスイッチ素子SSWのゲートは、配線VEEに接続されている。スイッチ素子SSWのソースは配線SBSに接続されている。スイッチ素子SSWのドレインは、対応する信号線SLに接続されている。例えば、任意のn列のスイッチ素子SSWのドレインは、信号線SL_nに接続されている。
ここで、配線VEEを介して、スイッチ素子SSWのゲート及び後述するスイッチ素子GSWのゲートに入力される電圧を、電圧Vee(あるいは信号Vee)とする。また配線SBSを介して、スイッチ素子SSWのソースに入力される電圧を、電圧Sbs(あるいは信号Sbs)とする。
【0022】
図1に示す例において、スイッチ素子GSWは、2つのトランジスタGSW_a及びGSW_bを有している。より具体的に述べると、任意のm行目の走査線GL_mに接続されるスイッチ素子GSW_mは、トランジスタGSW_ma及びGSW_mbを有している。
なお、1行目からM行目までにそれぞれ接続されたスイッチ素子GSW_1からGSW_Mは、それぞれ2つのトランジスタを有している。当該2つのトランジスタにおいて、行を特に区別する必要がない場合は、単にトランジスタGSW_a及びGSW_bと呼ぶ。また本実施形態において、トランジスタGSW_ma(トランジスタGSW_a)、及びトランジスタGSW_mb(トランジスタGSW_b)を、それぞれ第1トランジスタ及び第2トランジスタともいう。
【0023】
任意のm行目のスイッチ素子GSW_mにおいて、トランジスタGSW_maのゲートは、トランジスタGSW_mbのゲート及び配線VEEに接続されている。トランジスタGSW_maのソースは、トランジスタGSW_mbのドレインに接続されている。トランジスタGSW_maのドレインは、走査線GL_mに接続されている。
トランジスタGSW_mbのソースは、配線SBGに接続されている。配線SBGを介して、トランジスタGSW_mb(スイッチ素子GSW_m)のソースに入力される電圧を、電圧Sbg(あるいは信号Sbg)とする。
【0024】
なお
図1において、トランジスタGSW_maのソース及びトランジスタGSW_mbのドレインを、ノードNM_mとする。
【0025】
上記は任意のm行目について述べたが、他の行においても同様である。なお本実施形態では、m行を第1行、他の行を第2行ということもある。例えばm行目の走査線GL_mは、第1行目の走査線GLとし、m行目とは異なる他の行、より具体的な例としては、(m+1)行目の走査線GL_m+1は、第2行目の走査線GLと呼ぶこともある。
【0026】
図2は、
図1の部分拡大図である。
図2は、
図1に示す駆動回路SBCのうち、スイッチ素子GSW、走査線GL、配線SBG、及び配線VEEを示している。
図2において、
図1と同じ符号の構成要素の説明は、
図1のものを援用し、詳細は省略する。また
図2に示す駆動回路SBCの動作については、後に詳述する。
また
図3は、
図1に示す画素の回路図である。
図3に示す画素PXは、画素トランジスタであるトランジスタTr1及びTr2を有している。また画素PXは、第1容量C1、第2容量C2、容量配線CW、対向電極CEを有している。
図3に示す画素PXについても、後に詳述する。
【0027】
ここで実施形態の駆動回路SBCについて説明する。駆動回路SBCは、駆動素子DIG及びDISを実装する前に、表示装置DSPの表示領域DAに不良がないか検査するための回路である。そのため、駆動回路SBCは検査回路SBCと言い換えてもよい。駆動回路SBCは、表示領域DAの画素PXを一括してオン状態(導通状態)とし、かつ画像信号を入力する。これにより全ての画素PXに対して表示動作を行うことができる。
【0028】
より具体的に説明する。駆動回路SBCにおいて、配線VEEからスイッチ素子GSW及びSSWに電圧Veeが入力される。この時の電圧Veeは、後述する高電源電圧であり、そのためスイッチ素子GSW及びSSWはオン状態となる。配線SBGから電圧Sbgが入力されると、オン状態のスイッチ素子GSW、さらにスイッチ素子GSWに接続されている走査線GLを介して、画素PXの画素トランジスタ(上述のトランジスタTr1及びTr2)に、同一電圧の電圧Sbgが入力される。これにより、全ての画素PXの画素トランジスタがオン状態となる。
【0029】
さらに配線SBSから電圧Sbsが入力されると、オン状態のスイッチ素子SSW、さらにスイッチ素子SSWに接続されている信号線SLを介して、画像信号に相当する電圧Sbsが画素PXに入力される。共通の画像信号に相当する電圧Sbsが全ての画素PXに入力されるため、例えば画素PXに欠陥等がある場合は、これを検出することが可能である。以上により表示装置DSPの表示領域DAの検査を行うことができる。
【0030】
なお本実施形態において、配線VEE、配線SBG、及び配線SBSを、それぞれ第1配線、第2配線、及び第3配線ともいう。また電圧Vee、電圧Sbg、及び電圧Sbsを、それぞれ第1電圧、第2電圧、及び第3電圧ともいう。また後述する低電源電圧(電圧Vgl)及び高電源電圧(電圧Vgh)を、それぞれ第1電源電圧及び第2電源電圧ともいう。
【0031】
しかしながら、駆動回路SBCは、上述した検査で用いる回路であり、検査終了後は不要となる。検査終了後に駆動素子DIG及びDISが実装されると、画素PXの画素トランジスタをオン状態にする信号(後述する制御信号SG)は、駆動素子DIGから入力される。また画素PXへの画像信号(後述する画像信号Vsig)は、駆動素子DISから入力されるからである。なお本実施形態では、画素PXの画素トランジスタをオン状態にすることを、画素PXをオン状態にする、ともいう。
【0032】
そこで、駆動素子DIG及びDIS実装後は、スイッチ素子SSW及びGSWに含まれるトランジスタのゲートを、低電源電圧に固定する。これにより、駆動回路SBCを電気的に走査線GL及び信号線SLから切り離すことができる。すなわち、配線VEEを介して、スイッチ素子SSW及びGSWに含まれるトランジスタのゲートに印加される電圧Veeを、低電源電圧とする。
【0033】
ここで比較例として、スイッチ素子GSWがトランジスタ1つで構成される場合を考える。
図4は、比較例の表示装置の平面回路図である。
図5は、
図4の部分拡大図である。
図4に示す表示装置DSPは、
図1に示す表示装置と比較して、上述のようにスイッチ素子GSWが1つのトランジスタで構成されるという点で相違している。
図4に示す例では、任意のm行目のスイッチ素子GSW_mにおいて、トランジスタであるスイッチ素子GSW_mのゲートは、配線VEEに接続されている。スイッチ素子GSW_mのソースは、配線SBGに接続されている。スイッチ素子GSW_mのドレインは、走査線GL_mに接続されている。
上記は任意のm行目について述べたが、他の行においても同様である。
【0034】
図4に表示装置DSPにおいても、駆動素子DIG及びDIS実装後は、スイッチ素子SSW及びGSWのゲートを、低電源電圧(以下電圧Vglという)に固定することにより、駆動回路SBCを電気的に走査線GL及び信号線SLから切り離す。
また、全てのスイッチ素子GSWのソースは、フローティング状態(ハイ・インピーダンス)であるとする。また全てのスイッチ素子SSWのソースもフローティング状態である。
【0035】
しかしながら、トランジスタであるスイッチ素子GSWは、しきい値Vthがマイナス側にシフト、すなわちディプリートする恐れがある。特に当該トランジスタが酸化物半導体トランジスタでは顕著である。酸化物半導体トランジスタでは、チャネル領域が酸化不足になると、トランジスタのしきい値Vthがマイナス方向に大きくシフト(ディプリート)してしまい、スイッチング特性を示さなくなるという恐れがある。ディプリートしたトランジスタ(スイッチ素子GSW)は、ゲートに電圧Vglが印加されてもオフ状態(非導通状態)とならない。そのため、駆動素子DIG及びDIS実装後に、駆動素子DIGから高電源電圧(以下電圧Vghという)を印加されたスイッチ素子GSWの行と、オフ状態のスイッチ素子GSWの行がショートする恐れが生じる。以下に詳細を説明する。
【0036】
図5に示す駆動回路SBCにおいて、全てのスイッチ素子GSWのゲートには、電圧Vglが印加されている。ここで任意のm行目のスイッチ素子GSW_mのドレインには、走査線GL_mを介して、図示しない駆動素子DIGから、電圧IG_Hが入力されている。一方、m行目とは異なる行のスイッチ素子GSWのドレインには、図示しない駆動素子DIGから、電圧IG_Lが入力されているものとする。ただし、電圧IG_Hは走査線GLに対する書き込み用の電圧であり、電圧IG_Lは走査線GLに対する保持用の電圧である。すなわち、電圧IG_Hが入力された走査線GLに接続された画素PXがオン状態となる。より具体的には、画素PXの画素トランジスタのゲートに電圧IG_Hが入力されることにより、画素PXがオン状態となる。
【0037】
図5において、電圧IG_Hは電圧Vghに等しく、電圧IG_Lは電圧Vglに等しい。このように、電圧IG_Hと電圧Vgl、並びに、電圧IG_Lと電圧Vglに、それぞれ共通の電圧を用いることにより、電源電圧の数を減らすことができる。
【0038】
しかしながら、電圧IG_Lと電圧Vglが等しいため、トランジスタであるスイッチ素子GSWがオフ状態となるには、ゲート−ソース間電圧である電圧Vgsが0Vである必要がある。スイッチ素子GSWがディプリートしている場合では、電圧Vgsが0Vとならない。このため、スイッチ素子GSWがオフ状態とならず、オン状態となってしまう恐れがある。
【0039】
ここでm行目のスイッチ素子GSW_mと、隣り合う行である(m+1)行目のスイッチ素子GSW_m+1に注目する。スイッチ素子GSW_m及びGSW_m+1の両方がディプリートしてしまっている場合を考える。スイッチ素子GSW_mのドレインには、走査線GL_mを介して電圧IG_H、すなわち電圧Vghが入力される。スイッチ素子GSW_m+1のドレインには、走査線GL_m+1を介して電圧IsG_L、すなわち、電圧Vglが入力される。
【0040】
なおここでは、m行目の走査線GL_m及びスイッチ素子GSW_m、並びに、当該m行に隣り合う(m+1)行目の走査線GL_m+1及びスイッチ素子GSW_m+1について述べているが、これに限定されない。ここで述べる走査線GL_m+1及びスイッチ素子GSW_m+1は、電圧Vglが入力される他の走査線GL(他の行)及びスイッチ素子GSW、すなわち走査線GL_mとは異なる走査線GL及びそれに接続されるスイッチ素子GSWの一例である。
【0041】
スイッチ素子GSW_m及びGSW_m+1がディプリートしてしまっているため、スイッチ素子GSW_mのゲート−ソース間電圧である電圧Vgsも、走査線GLに対する書き込み用電圧である電圧IG_H、すなわち電圧Vghとなる。スイッチ素子GSW_m+1のゲート−ソース間電圧である電圧Vgsの電圧も、走査線GLに対する保持用の電圧である電圧IG_L、すなわち、電圧Vglとなる。
【0042】
スイッチ素子GSW_m及びGSW_m+1は、配線SBGを介して電気的に接続されている。また配線SBGは、上述のようにフローティング状態である。これにより、スイッチ素子GSW_mの電圧Vgsの電圧Vgh、及び、スイッチ素子GSW_m+1の電圧Vgsの電圧Vglが、配線SBGでショートしてしまう。
【0043】
上記のように、スイッチ素子GSW_m及びGSW_m+1を介して、電圧Vghと電圧Vglがショートしてしまうと、駆動素子DIGや上記電源電圧を生成する電源回路が故障する恐れがある。これにより、表示装置DSPの画像品質が低下する恐れ、または、表示装置DSPが故障する恐れが生じる。
【0044】
本実施形態では、スイッチ素子GSWがディプリートした場合においても、上述のような電圧Vghと電圧Vglのショートが生じない表示装置を提供する。これにより、駆動素子DIGや上記電源電圧を生成する電源回路の故障を防止できる。よって、表示装置DSPの画像品質が低下することを抑制することが可能である。また表示装置DSPそのものを故障することを防ぐことができる。
【0045】
図1及び
図2に戻り、本実施形態について説明する。上述したように駆動回路SBCにおいて、スイッチ素子GSWは、直列に接続された2つのトランジスタGSW_a及びGSW_bを有している。
図2に示す例では、m行目のスイッチ素子GSW_mに含まれるトランジスタGSW_ma及びGSW_mbは、直列に接続されている。上述のように、トランジスタGSW_maのソース及びトランジスタGSW_mbのドレインがノードNM_mであり、ノードNM_mの電圧を電圧Vmとする。
【0046】
上述のように、トランジスタGSW_ma及びGSW_mがディプリートしている場合を考える。ノードNM_mの電圧Vmは、電圧Vgh及び電圧Vglの中間電圧となるので、Vgh>Vm>Vgl(式1)が成り立っている。
トランジスタGSW_maにおいて、ゲートに印加される電圧は電圧Veeであり、ソースに印加される電圧は電圧Vmである。よって、トランジスタGSW_maのゲート−ソース間電圧Vgsは、Vgs=Vee−Vm(式2)となる。ここで、上述のようにゲートに印加される電圧Veeは電圧Vglに等しい(Vee=Vgl(式3))。
式2及び式3から、Vgs=Vee−Vm=Vgl−Vm(式4)となる。式4及び式1から、Vgs=Vgl−Vm<0(式5)となる。
【0047】
すなわち、トランジスタGSW_maにおいては、ゲート−ソース間電圧Vgsは0より小さくなる。よって、トランジスタGSW_maのしきい値がディプリートしても、ディプリートの影響を緩和させることができる。なお上記にはトランジスタGSW_maについて述べたが、トランジスタGSW_mbについても同様である。トランジスタGSW_mbのゲート−ソース間電圧Vgsを0より小さくすることが可能である。これにより、走査線GL_mからの電圧Vghが、配線SBGに入力されることを抑制できる。
【0048】
ここで、トランジスタGSW_maに対するトランジスタGSW_mbについて着目すると、トランジスタGSW_mbは、トランジスタGSW_maのソースであるノードNM_mに中間電圧Vmを与える素子であるといえる。式1に示されるように、走査線GL_mを介してトランジスタGSW_maに印加される電圧Vghは、ノードNM_m(GSW_maのソース)の電圧Vmより小さい。すなわちトランジスタGSW_maのソース−ドレイン間で、電圧が降下しているということである。よってトランジスタGSW_mbは、トランジスタGSW_maに対する電圧降下素子であるといえる。つまり、本実施形態では、トランジスタGSW_maが、スイッチング素子として機能し、トランジスタGSW_mbがスイッチング素子に対する電圧降下素子として機能している、と考えることもできる。
【0049】
上述のように、本実施形態の表示装置DSPでは、走査線GL_mからの電圧Vgsが配線SBGに入力されない。本実施形態の表示装置DSPでは、(m+1)行目のスイッチ素子GSW_m+1を介して、走査線GL_m+1の電圧Vglが配線SBGに入力された場合でも、比較例で述べた電圧Vghと電圧Vglによるショートの発生を抑制することが可能である。
本実施形態では、駆動素子DIGや電源電圧を生成する電源回路が故障することを抑制できる。これにより、表示装置DSPの画像品質が低下することを防ぐことができる。また表示装置DSPそのものの故障を防止可能である。
【0050】
ただし、上述においては、全ての信号線SLを奇数群と偶数群に分け、それぞれの群に対して一群のスイッチ素子SSWを別々に設けてもよい。また全ての走査線GLを奇数群と偶数群に分け、それぞれの群に対して一群のスイッチ素子GSWを別々に設けてもよい。奇数群SLodの信号線SLに接続される一群のスイッチ素子SSWは、1本の配線SBSで接続される。偶数群SLevの信号線SLに接続される一群のスイッチ素子SSWは、別の1本の配線SBSで接続される。
奇数群GLodの走査線GLに接続される一群のスイッチ素子GSWは、1本の配線SBGで接続される。偶数群GLevの走査線GLに接続される一群のスイッチ素子GSWは、別の1本の配線SBGで接続される。
【0051】
以下に、より詳細に説明する。例えば信号線SLを奇数群SLod及び偶数群SLevに分けた場合、信号線SLの数Nが偶数の場合では、奇数群SLodには、信号線SL_1、SL_3、・・・、SL_N−1が含まれる。一方、偶数群SLevには、信号線SL_2、SL_4、・・・、SL_Nが含まれる。奇数群SLodに含まれる信号線SL_1、SL_3、・・・、SL_N−1を、それぞれ信号線SL_od1、SL_od2、・・・、SL_odNとし、偶数群SLevに含まれる信号線SL_2、SL_4、・・・、SL_Nを、それぞれ信号線SL_ev1、SL_ev2、・・・、SL_evNとする。
【0052】
信号線SL_od1、SL_od2、・・・、SL_odNに対するスイッチ素子SSW_od1、SSWod_2、・・・、SSW_odNは、配線SBSodにより接続される。信号線SL_ev1、SL_ev2、・・・、SL_evNに対するスイッチ素子SSW_ev1、SSW_ev2、・・・、SSW_evNは、配線SBSevにより接続される。
同様に、走査線GLの数Mが偶数の場合では、走査線GL_od1、GL_od2、・・・、GL_odMに対するスイッチ素子GSW_od1、GSW_od2、・・・、GSW_odMは、配線SBGodにより接続される。走査線GL_ev1、GL_ev2、・・・、GL_evMに対するスイッチ素子GSW_ev1、GSW_ev2、・・・、GSW_evMは、配線SBGevにより接続される。
【0053】
このような場合では、信号線SL_od1から信号線SL_odNまで、並びに、信号線SL_ev1から信号線SL_evNまでを、
図1及び
図2並びにその説明における信号線SL_1から信号線SL_Nまでに読み替えればよい。また、スイッチ素子SSW_od1、SSW_od2、・・・、SSW_odN、並びに、スイッチ素子SSW_ev1、SSW_ev2、・・・、SSW_evNは、
図1及び
図2並びにその説明におけるスイッチ素子SSW_1からSSW_Nまでに読み替えればよい。
配線SBSod及びSBSevは
図1及び
図2並びにその説明における配線SBSに読み替えればよい。
【0054】
また、走査線GL_od1から走査線GL_odMまで、並びに、走査線G_ev1から走査線GL_evMまでを、
図1及び
図2並びにその説明における走査線GL_1から走査線GL_Mまでに読み替えればよい。また、スイッチ素子GSW_od1、GSW_od2、・・・、GSW_odM、並びに、スイッチ素子GSW_ev1、GSW_ev2、・・・、GSW_evMは、
図1及び
図2並びにその説明におけるスイッチ素子GSW_1からGSW_Mまでに読み替えればよい。
配線SBGod及びSBGevは
図1及び
図2並びにその説明における配線SBGに読み替えればよい。
【0055】
なお上記では、信号線SLの数N及び走査線GLの数Mは、共に偶数の場合について述べてきたが、これに限定されない。信号線SLの数N及び走査線GLの数Mは、それぞれ、奇数であっても偶数であってもよい。信号線SLの数Nが奇数の場合は、奇数群SLodに含まれる信号線SLは、信号線SL_1、SL_3、・・・、SL_Nであり、偶数群SLevに含まれる信号線SLは、信号線SL_2、SL_4、・・・、SL_N−1となる。走査線GLの数Mが奇数の場合は、奇数群GLodに含まれる走査線GLは、走査線GL_1、GL_3、・・・、GL_Mであり、偶数群GLevに含まれる走査線GLは、走査線GL_2、GL_4、・・・、GL_M−1となる。
【0056】
ここで
図3に戻り、画素PXの詳細について説明する。
図3に示す画素PXは、上述のように、画素トランジスタであるトランジスタTr1及びTr2、第1容量C1、第2容量C2、容量配線CW、対向電極CEを有している。
トランジスタTr1及びTr2は、それぞれ、第1端子t1、第2端子t2、及び制御端子t3を有している。本実施形態では、制御端子t3はゲートとして機能し、第1端子t1及び第2端子t2の一方がソースとして機能し、第1端子t1及び第2端子t2の他方がドレインとして機能している。トランジスタTr1及びTr2は、電気的に信号線SLと画素電極PEとの間にて並列に接続されている。
トランジスタTr1及びトランジスタTr2は、例えば、上述した酸化物半導体トランジスタである。
【0057】
トランジスタTr1及びTr2の各々において、第1端子t1は信号線SLに接続され、第2端子t2は画素電極PEに接続され、制御端子t3は走査線GLに接続されている。これにより、トランジスタTr1及びTr2の各々は、走査線GLを介して駆動素子DIGから与えられる制御信号SGにより、導通状態又は非導通状態に切替えられる。制御信号SGは、電圧IG_H(電圧Vghに等しい)及び電圧IG_L(電圧Vglに等しい)を含んでおり、上述のように、電圧IG_H(電圧Vgh)が入力されたトランジスタTr1及びTr2は、導通状態となる。電圧IG_L(電圧Vgl)が入力されたトランジスタTr1及びTr2は、非導通状態となる。本実施形態では、画素PXのトランジスタTr1及びTr2が導通状態となることを、当該画素PXが導通状態となるともいう。
【0058】
画像信号Vsigは、信号線SL及び導通状態のトランジスタTr1及びTr2を介して画素電極PEに印加される。駆動素子DIS実装後は、駆動素子DISから画像信号Vsigが入力される。上述のように、駆動素子DIS実装前に駆動回路SBCにて表示動作を行う際には、画像信号に相当する電圧Sbsが、スイッチ素子SSW及び信号線SLを介して、画素PXに入力される。
【0059】
容量配線CWは、第1方向X又は第2方向Yに延出している。本実施形態において、容量配線CWは、第2方向Yに延出し、第2方向Yに並んだ複数の画素PXに電気的に接続されている。なお図面の説明を分かりやすくするため、容量配線CWは
図1には図示していない。しかし本実施の形態の表示装置DSPは、第2方向Yに沿って延出し、第1方向に沿って配列された、複数の容量配線CWを有している。
【0060】
外部からの定電圧Vpcが容量配線CWに与えられ、容量配線CWは定電位に固定される。また、外部からのコモン電圧Vcomが対向電極CEに与えられ、対向電極CEは定電位(コモン電位)に固定される。本実施形態において、対向電極CEは、全ての画素PXで共用されるため共通電極と称され得る。本実施形態において、容量配線CWは、対向電極CEと同電位に設定されているが、対向電極CEと異なる電位に設定されていてもよい。
第1容量C1及び第2容量C2は、キャパシタである。第1容量C1は、画素電極PEと容量配線CWとの間に接続されている。第2容量C2は、画素電極PEと対向電極CEとの間に接続されている。
【0061】
図6は、表示装置の一例を示す断面図である。
図6に示す表示装置DSPでは、電気泳動を用いた表示装置である。ここでは、1つの画素PXに注目して説明する。
図6に示すように、基板SUB1は、基材BA1と、基材BA1の上に設けられた駆動素子層DVLと、駆動素子層DVLの上に設けられた画素電極PEと、を備えている。
なお駆動素子層DVLには、上述したトランジスタTr1及びTr2、走査線GL、信号線SL、各配線層、並びに各絶縁層等が含まれている。
基板SUB2は、画素電極PEと対向した基材BA2と、基材BA2と画素電極PEとの間に位置し画素電極PEと対向した対向電極CEと、を備えている。対向電極CEは、インジウムスズ酸化物(ITO)やインジウム亜鉛酸化物(IZO)などの透明導電材料で形成されている。
【0062】
本実施形態において、基板SUB1は画素基板であり、基板SUB2は対向基板である。基材BA1及びBA2は、樹脂、ガラス等の絶縁性の材料で形成されている。本実施形態において、基材BA2は、画面側(観察側)に位置し、光透過性を有している。基材BA1は、画面の反対側に位置しているため、不透明であってもよいし、透明であってもよい。
【0063】
表示装置DSPの表示機能層DLは、画素電極PEと対向電極CEとの間に位置している。表示機能層DLには、画素電極PEと対向電極CEとの間に印加される電圧がかかる。本実施形態において、表示装置DSPは電気泳動表示装置であり、表示機能層DLは電気泳動層である。表示機能層DLは、X−Y平面内においてほとんど隙間なく配列された複数のマイクロカプセルMCPによって形成されている。
表示装置DSPの粘着層ALは、画素電極PEと表示機能層DLとの間に位置している。
【0064】
マイクロカプセルMCPは、例えば20μm〜70μm程度の粒径を有する球状体である。図示した例では、スケールの関係上、1つの画素電極PEと対向電極CEとの間に、多くのマイクロカプセルMCPが配置されているが、1辺の長さが百〜数百μm程度の矩形状、又は多角形状の画素PXにおいては、1個〜10個程度のマイクロカプセルMCPが配置されている。
【0065】
マイクロカプセルMCPは、分散媒DPRと、複数の黒色粒子BPLと、複数の白色粒子WPLとを備えている。黒色粒子BPL及び白色粒子WPLは、電気泳動粒子と称される場合もある。マイクロカプセルMCPの外殻部(壁膜)OWLは、例えば、アクリル樹脂等の透明な樹脂を用いて形成されている。分散媒DPR、マイクロカプセルMCP内において、黒色粒子BPLと、白色粒子WPLとを分散させる液体である。黒色粒子BPLは、例えば、アニリンブラック等の黒色顔料からなる粒子(高分子あるいはコロイド)であり、例えば正に帯電されている。白色粒子WPLは、例えば、二酸化チタン等の白色顔料からなる粒子(高分子あるいはコロイド)であり、例えば負に帯電されている。これらの顔料には、必要に応じて各種添加剤を添加することができる。また、黒色粒子BPL及び白色粒子WPLの代わりに、例えば赤色、緑色、青色、イエロー、シアン、マゼンタなどの顔料を用いてもよい。
【0066】
上記構成の表示機能層DLにおいて、画素PXを黒表示させる場合、画素電極PEが対向電極CEよりも相対的に高電位に保持される。すなわち、対向電極CEの電位を基準電位としたとき、画素電極PEが正極性に保持される。これにより、正に帯電した黒色粒子BPLが対向電極CEに引き寄せられる一方、負に帯電した白色粒子WPLが画素電極PEに引き寄せられる。その結果、対向電極CE側からこの画素PXを観察すると黒色が視認される。一方、画素PXを白表示させる場合には、対向電極CEの電位を基準電位としたとき、画素電極PEが負極性に保持される。これにより、負に帯電した白色粒子WPLが対向電極CE側へ引き寄せられる一方、正に帯電した黒色粒子BPLが画素電極PEに引き寄せられる。その結果、この画素PXを観察すると白色が視認される。
【0067】
なお、本実施形態において、画素電極PEは、粘着層ALに接している。但し、画素電極PEと粘着層ALとの間に絶縁性の保護層が介在し、保護層で画素電極PEが保護されていてもよい。
【0068】
本実施形態の表示装置DSPの一例として、
図6では電気泳動を用いた表示装置について説明した。しかしながら本実施形態の表示装置DSPは、これに限定されない。本実施形態の表示装置DSPは、例えば、高分子分散液晶(Polymer Dispersed Liquid Crystal:PDLC)を用いた表示装置であってもよい。さらに、本実施形態の表示装置DSPは、駆動電圧が高いトランジスタを含む画素PXを備える表示装置であってもよい。または本実施形態の表示装置DSPは、基材BA1上に画素PXを駆動する駆動回路を設けず、基材BA1上に、画素トランジスタを含む画素PXのみを設ける表示装置であってもよい。このような表示装置においても、本実施形態により画像品質が低下することを防ぐことができ、また表示装置そのものの故障を防止可能である。
【0069】
また本実施形態では、表示装置について述べたが、本発明の思想は表示装置以外の電子デバイス、特には検査回路を備えた電子デバイスに適用できる。電子デバイスの例として、例えば、マトリクス状に配置された複数のセンサ電極を有するセンサ装置についても、本発明は適用可能である。本発明をセンサ装置に適用する場合、例えば、上述の画素PXをセンサ電極、走査線GL及び信号線SLを検出配線と読み替えればよい。このような電子デバイスにおいても、本発明により電子デバイスの故障を防止することが可能である。
【0070】
<構成例1>
図7は、実施形態における表示装置の他の構成例を示す回路図である。
図7に示した構成例では、
図2に示した構成例と比較して、スイッチ素子が、直列に接続されたトランジスタを3つ以上有するという点で異なっている。
【0071】
図7に示す、任意のm行目のスイッチ素子GSW_mは、直列に接続された4つのトランジスタGSW_ma、GSW_mb、GSW_mc、及びGSW_mdを有している。換言すると、
図7では、走査線GL及び配線SBGとの間には、直列に接続された4つのトランジスタが設けられている。さらに換言すると、走査線GLに接続されているトランジスタGSW_maと配線SBGとの間に、直列に接続する3つのトランジスタを有しているともいえる。さらに言い換えると、走査線GLに接続されているトランジスタGSW_maと、配線SBGに接続されているトランジスタGSW_mdとの間に、直列に接続する2つのトランジスタを有しているともいえる。
【0072】
なおスイッチ素子GSW_m、トランジスタGSW_ma、GSW_mb、GSW_mc、及びGSW_mdについて、行を特に区別する必要がない場合は、単にスイッチ素子GSW、トランジスタGSW_a、GSW_b、GSW_c、及びGSW_dと呼ぶ。また本構成例において、トランジスタGSW_ma(トランジスタGSW_a)、トランジスタGSW_mb(トランジスタGSW_b)、トランジスタGSW_mc(トランジスタGSW_c)、及びトランジスタGSW_md(トランジスタGSW_d)を、それぞれ第1トランジスタ、第2トランジスタ、第3トランジスタ、及び第4トランジスタともいう。
【0073】
トランジスタGSW_maのゲートは、トランジスタGSW_mbのゲート、トランジスタGSW_mcのゲート、トランジスタGSW_mdのゲート、及び配線VEEに接続されている。トランジスタGSW_maのソースは、トランジスタGSW_mbのドレインに接続されている。トランジスタGSW_maのドレインは、走査線GL_mに接続されている。
【0074】
トランジスタGSW_mbのソースは、トランジスタGSW_mcのドレインに接続されている。トランジスタGSW_mcのソースは、トランジスタGSW_mdのドレインに接続されている。トランジスタGSW_mdのソースは、配線SBGに接続されている。上記は任意のm行目について述べたが、他の行においても同様である。
【0075】
図7に示す例では、上述の実施形態と同様、m行目の走査線GL_mに印加される電圧は電圧Vgh、他の行の走査線GLに印加される電圧は電圧Vglとする。
図7に示す例では、
図2に示す例と比較して、スイッチ素子GSW_mに含まれる、直列接続されたトランジスタの数、換言するとトランジスタGSW_maに直列に接続されているトランジスタの数が多い。このためスイッチ素子GSWに含まれるトランジスタのディプリートの影響が大きい場合でも、すなわち、しきい値電圧のマイナス側へのシフト量が多いトランジスタであっても、ディプリートの影響を緩和することができる。
【0076】
本構成例では、スイッチ素子GSWが4つのトランジスタを有する例について説明したが、これに限定されない。スイッチ素子GSWは、直列に接続された3つまたは5つ以上のトランジスタを有していてもよい。スイッチ素子GSWに含まれるトランジスタの数は、ディプリートの影響と非表示領域の大きさを鑑み、好適な数を決めればよい。
【0077】
スイッチ素子GSWが3つのトラジスタを有している場合は、走査線GLに接続されているトランジスタGSW_maと配線SBGとの間に、直列に接続する2つのトランジスタを有しているともいえる。さらに言い換えると、走査線GLに接続されているトランジスタGSW_maと、配線SBGに接続されているトランジスタGSW_mdとの間に、直列に接続する1つのトランジスタを有しているともいえる。
【0078】
また上述したように、トランジスタGSW_maがスイッチング素子として機能し、トランジスタGSW_mb、GSW_mc、及びGSW_mbをスイッチング素子に対する電圧降下素子として機能していると考えると、本構成は、スイッチング素子に複数の電圧降下素子が接続されていると考えることができる。
本構成例においても、上記実施形態と同様の効果を奏する。
【0079】
<構成例2>
図8は、実施形態における表示装置の他の構成例を示す回路図である。
図8に示した構成例では、
図2に示した構成例と比較して、スイッチ素子が、ダイオード接続されたトランジスタを有し、当該ダイオード接続されたトランジスタは双方向で接続されているという点で異なっている。
【0080】
図8に示す、任意のm行目のスイッチ素子GSW_mは、スイッチング機能を有するトランジスタGSW_ma、並びに、互いに双方向に接続され、それぞれダイオード接続されたトランジスタDTR_mb及びDTR_mcを有している。
【0081】
換言すると、
図8に示すスイッチ素子GSW_mは、走査線GL及び配線SBGとの間には、走査線GLと接続されたトランジスタGSW_ma、トランジスタGSW_maと配線SBGとの間に2つのトランジスタDTR_mb及びDTR_mcを有している。トランジスタDTR_mb及びDTR_mcは、ダイオード接続されたトランジスタである。トランジスタDTR_mb及びDTR_mcは、互いに双方向に接続されており、具体的には一方のソースと他方のドレイン、並びに一方のドレインと他方のソースが接続されている。
なお本構成例では、それぞれがダイオード接続され、互いに双方向に接続されたトランジスタDTR_mb及びDTR_mcを、トランジスタ対PD_m1とする。
【0082】
なおスイッチ素子GSW_m、トランジスタGSW_ma、DTR_mb、及びDTR_mc、トランジスタ対PD_m1について、行を特に区別する必要がない場合は、単にスイッチ素子GSW、トランジスタGSW_a、DTR_b、DTR_c、及びトランジスタ対PD_1と呼ぶ。また本構成例において、トランジスタGSW_ma(トランジスタGSW_a)、トランジスタDTR_mb(トランジスタDTR_b)、トランジスタDTR_mc(トランジスタDTR_c)を、それぞれ第1トランジスタ、第2トランジスタ、及び第3トランジスタともいう。このような第1トランジスタ、第2トランジスタ、及び第3トランジスタは、例えば上述した酸化物半導体トランジスタであってもよい。
【0083】
トランジスタGSW_maのゲートは、配線VEEに接続されている。トランジスタGSW_maのソースは、トランジスタDTR_mbのソース、並びにトランジスタDTR_mcのドレイン及びゲートに接続されている。トランジスタGSW_maのドレインは、走査線GL_mに接続されている。
トランジスタDTR_mbのゲートは、トランジスタDTR_mbのドレイン、トランジスタDTR_mcのソース、並びに配線SBGに接続されている。
【0084】
図8において、トランジスタGSW_maのソース、トランジスタDTR_mbのソース、及びトランジスタDTR_mcのドレインをノードNA_mとする。ノードNA_mの電圧を電圧Vaとすると、トランジスタDTR_mb及びDTR_mcはダイオード接続されているため、それぞれのダイオードの端子間(この場合トランジスタのソース−ドレイン間電圧)で電圧が降下する。よって、Vgh>Va>Vgl(式6)が成り立つ。
トランジスタGSW_maのゲート−ソース間電圧Vgsは、式2と同様に、Vgs=Vee−Va(式7)となる。また上述のようにゲートに印加される電圧Veeは電圧Vglに等しい(Vee=Vgl(式3))。式7及び式3より、式4と同様に、Vgs=Vee−Va=Vgl−Va(式8)となる。式8及び式6より、Vgs=Vgl−Va<0(式9)が成り立つ。
【0085】
すなわち、トランジスタGSW_maにおいては、ゲート−ソース間電圧Vgsは0より小さくなる。よって、トランジスタGSW_maのしきい値がディプリートしても、ディプリートの影響を緩和させることができる。これにより、走査線GL_mからの電圧Vghが、配線SBGに入力されることを抑制できる。
なお上記は任意のm行目について述べたが、他の行においても同様である。
【0086】
ここで、トランジスタGSW_maに対するトランジスタ対PD_m1について着目すると、トランジスタ対PD_m1は、トランジスタGSW_maのソースであるノードNA_mに中間電圧Vaを与える素子であるといえる。式6に示されるように、走査線GL_mを介してトランジスタGSW_maに印加される電圧Vghは、ノードNA_mの電圧Vaより小さい。すなわちトランジスタGSW_maのソース−ドレイン間で、電圧が降下しているということである。よってトランジスタ対PD_m1は、トランジスタGSW_maに対する電圧降下素子であるといえる。つまり、本実施形態では、トランジスタGSW_maが、スイッチング素子として機能し、トランジスタ対PD_m1がスイッチング素子に対する電圧降下素子として機能している、と考えることもできる。
【0087】
以上本構成例において、駆動素子DIGや電源電圧を生成する電源回路が故障することを抑制できる。これにより、表示装置DSPの画像品質が低下することを防ぐことができる。また表示装置DSPそのものの故障を防止可能である。
本構成例においても、上記実施形態と同様の効果を奏する。
【0088】
<構成例4>
図9は、実施形態における表示装置の他の構成例を示す回路図である。
図9に示した構成例では、
図8に示した構成例と比較して、互いに双方向に接続され、それぞれダイオード接続されたトランスタを複数有するという点で異なっている。
【0089】
図9に示す、任意のm行目のスイッチ素子GSW_mは、スイッチング機能を有するトランジスタGSW_ma、並びに、直列に接続された3つのトランジスタ対PD_m1、PD_m2、及びPD_m3を有している。トランジスタ対PD_m1は、互いに双方向に接続され、それぞれダイオード接続されたトランジスタDTR_mb及びDTR_mcを有している。トランジスタ対PD_m2は、互いに双方向に接続され、それぞれダイオード接続されたトランジスタDTR_md及びDTR_meを有している。トランジスタ対PD_m3は、互いに双方向に接続され、それぞれダイオード接続されたトランジスタDTR_mf及びDTR_mgを有している。互いに双方向に接続されている2つのトランジスタでは、上述のように一方のソースと他方のドレイン、並びに一方のドレインと他方のソースが接続されている。
【0090】
トランジスタGSW_maのゲートは、配線VEEに接続されている。トランジスタGSW_maのドレインは、走査線GL_mに接続されている。トランジスタGSW_maのソースは、トランジスタDTR_mbのソース、並びにトランジスタDTR_mcのドレイン及びゲートに接続されている。
トランジスタDTR_mbのゲートは、トランジスタDTR_mbのドレイン、トランジスタDTR_mcのソース、トランジスタDTR_mdのソース、トランジスタDTR_meのゲート及びドレインに接続されている。
【0091】
トランジスタDTR_mdのゲートは、トランジスタDTR_mdのドレイン、トランジスタDTR_meのソース、トランジスタDTR_mfのソース、トランジスタDTR_mgのゲート及びドレインに接続されている。
トランジスタDTR_mfのゲートは、トランジスタDTR_mfのドレイン、トランジスタDTR_mgのソース、及び配線SBGに接続されている。
【0092】
なおスイッチ素子GSW_m、トランジスタGSW_ma、DTR_mb、DTR_mc、DTR_md、DTR_me、及びDTR_mf、並びに、トランジスタ対PD_m1、PD_m2、及びPD_m3について、行を特に区別する必要がない場合は、単にスイッチ素子GSW、トランジスタGSW_a、DTR_b、DTR_c、DTR_d、DTR_e、及びDTR_f、並びに、トランジスタ対PD_1、PD_2、及びPD_3と呼ぶ。
【0093】
また本構成例において、トランジスタGSW_ma(トランジスタGSW_a)、トランジスタDTR_mb(トランジスタDTR_b)、トランジスタDTR_mc(トランジスタDTR_c)、トランジスタDTR_md(トランジスタDTR_d)、トランジスタDTR_me(トランジスタDTR_e)、トランジスタDTR_mf(トランジスタDTR_f)を、それぞれ第1トランジスタ、第2トランジスタ、第3トランジスタ、第4トランジスタ、第5トランジスタ、第6トランジスタ、及び第7トランジスタともいう。また、トランジスタ対PD_1、PD_2、及びPD_3を、それぞれ第1トランジスタ対、第2トランジスタ対、及び第3トランジスタ対ともいう。
【0094】
図9にでは、上述の通り、任意のm行目のスイッチ素子GSW_mは、スイッチング機能を有するトランジスタGSW_ma、並びに、直列に接続された3つのトランジスタ対PD_m1、PD_m2、及びPD_m3を有している。換言すると、走査線GLに接続されているトランジスタGSW_maと、配線SBGに接続されているトランジスタ対PD_m3との間に、直列に接続する2つのトランジスタ対を有しているともいえる。
【0095】
図9に示す例では、上述の実施形態と同様、m行目の走査線GL_mに印加される電圧は電圧Vgh、他の行の走査線GLに印加される電圧は電圧Vglとする。
図9に示す例では、
図8に示す例と比較して、スイッチ素子GSW_mに含まれる、直列接続されたトランジスタ対の数、換言するとトランジスタGSW_maに直列に接続されているトランジスタ対の数が多い。このためスイッチ素子GSWに含まれるトランジスタのディプリートの影響が大きい場合でも、すなわち、しきい値電圧のマイナス側へのシフト量が多いトランジスタであっても、ディプリートの影響を緩和することができる。
【0096】
本構成例では、スイッチ素子GSWが3つのトランジスタ対を有する例について説明したが、これに限定されない。スイッチ素子GSWは、3つまたは5つ以上のトランジスタ対を有していてもよい。スイッチ素子GSWに含まれるトランジスタ対の数は、ディプリートの影響と非表示領域の大きさを鑑み、好適な数を決めればよい。
スイッチ素子GSWが3つのトラジスタ対を有している場合は、走査線GLに接続されているトランジスタGSW_maと配線SBGとの間に、直列に接続する2つのトランジスタ対を有しているともいえる。さらに言い換えると、走査線GLに接続されているトランジスタGSW_maと、配線SBGに接続されているトランジスタ対との間に、直列に接続する1つのトランジスタ対を有しているともいえる。
【0097】
また上述したように、トランジスタGSW_maがスイッチング素子として機能し、トランジスタ対PD_m1、PD_m2、及びPD_m3をスイッチング素子に対する電圧降下素子として機能していると考えると、本構成は、スイッチング素子に複数の電圧降下素子が接続されていると考えることができる。
本構成例においても、上記実施形態と同様の効果を奏する。
【0098】
本発明の実施形態を説明したが、実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。実施形態においては表示装置を用いて具体的に説明したが、本発明の思想は表示装置以外の電子デバイス、特には検査回路を備えた電子デバイスに適用できる。電子デバイスの一例としては表示装置以外にも本発明の検査回路を備えた指紋センサやタッチセンサなどのセンサ装置などであってもよい。新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。