【実施例】
【0089】
以下、実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。以下、特に定めない限り「部」は重量部を示す。
【0090】
結晶性ビニル樹脂(B)及びトナーバインダーの各物性値については次の方法により測定した。
【0091】
[酸価]
酸価は、JIS K0070に規定の方法で測定した。ただし、測定溶媒はアセトン、メタノール及びトルエンの混合溶媒(アセトン:メタノール:トルエン=12.5:12.5:75)とした。
【0092】
[重量平均分子量]
重量平均分子量は、下記の条件でGPCを用いて測定した。
装置:HLC−8120 [東ソー(株)製]
カラム:TSK GEL GMH6 2本 [東ソー(株)製]
測定温度:40℃
試料溶液:0.25重量%のTHF溶液
移動相: テトラヒドロフラン(重合禁止剤を含まない)
試料溶液注入量:100μL
検出装置:屈折率検出器
基準物質:標準ポリスチレン(TSKstandard POLYSTYRENE)12点(分子量 500 1,050 2,800 5,970 9,100 18,100 37,900 96,400 190,000 355,000 1,090,000 2,890,000)[東ソー(株)製]
重量平均分子量の測定では、0.25重量%になるように試料をTHFに溶解し、不溶解分をアパチャー1μmのPTFEフィルターでろ別したものを試料溶液とした。
【0093】
[ガラス転移温度]
ガラス転移温度(Tg)は、TA Instruments(株)製DSC Q20を用いて、ASTM D3418−82に規定の方法(DSC法)で測定した。ガラス転移温度の測定条件を記載する。
<測定条件>
(1)30℃から20℃/分で150℃まで昇温
(2)150℃で10分間保持
(3)20℃/分で−35℃まで冷却
(4)−35℃で10分間保持
(5)20℃/分で150℃まで昇温
(6)(5)の過程にて測定される示差走査熱量曲線を解析した。
【0094】
[吸熱ピークのピークトップ温度および半値幅]
吸熱ピークのピークトップ温度(Tm)及びTmを示す吸熱ピークの半値幅は示差走査熱量計{「DSCQ20」[TA Instruments(株)製]}を用いて以下の条件で測定した。
<測定条件>
(1)20℃から10℃/分で150℃まで昇温
(2)150℃から10℃/分で0℃まで冷却
(3)0℃から10℃/分で150℃まで昇温
(4)(3)の過程にて測定される示差走査熱量曲線を解析した。
なお、結晶性ビニル樹脂(B)の前記ピークトップ温度を示す吸熱ピークの半値幅は、吸熱ピーク温度の測定によって得られるDSC曲線に基づいて、吸熱ピークのベースラインからピーク最大高さにおける2分の1高さにおけるピークの温度幅とする。
【0095】
[100℃における粘度]
100℃における粘度は、下記粘弾性測定装置及び条件を用いて測定した。
装置 :ARES−24A(レオメトリック社製)
治具 :25mmパラレルプレート
周波数 :1Hz
歪み率 :5%
昇温速度:5℃/min
【0096】
[単量体(a)の反応率の算出方法]
製造例1〜8及び比較製造例1〜3における、単量体(a)の反応率(%)はNMRを用いて、残存する単量体量を同定する方法で算出した。測定条件、サンプル調整方法、解析及び計算方法は以下の通りである。
<測定条件>
装置:ブルカーバイオスピン社製「AVANCE III HD400」
積算回数:4回
緩和時間:1秒
<サンプル調製>
NMRチューブにサンプルを100mg、重水素化溶媒(例えば重クロロホルム)を0.8mL加え樹脂を溶解させた。
<解析及び計算>
反応前の単量体(a)のプロトンの面積、残存する単量体(a)のプロトンの面積並びに単量体(a)及び結晶性ビニル樹脂(B)の鎖状炭化水素基の末端メチル基のプロトンの面積に基づき、下記の式により反応率を算出した。
反応率:100×[{反応前の単量体(a)の二重結合炭素に結合しているプロトンの面積/単量体(a)及び結晶性ビニル樹脂(B)の鎖状炭化水素基の末端メチル基のプロトンの面積}−{残存する単量体(a)の二重結合炭素に結合しているプロトンの面積/単量体(a)及び結晶性ビニル樹脂(B)の鎖状炭化水素基の末端メチル基のプロトンの面積}]/{反応前の単量体(a)の二重結合炭素に結合しているプロトンの面積/単量体(a)及び結晶性ビニル樹脂(B)の鎖状炭化水素基の末端メチル基のプロトンの面積}
例えば単量体(a)がベヘニルアクリレートであれば、二重結合炭素に結合しているプロトン(約6.4ppm)と、鎖状炭化水素基の末端メチル基のプロトン(約0.9ppm)を使用した。
【0097】
[スチレンの反応率の算出方法]
実施例及び比較例における、スチレンの反応率(%)は以下の方法で算出した。測定条件、サンプル調整方法、解析及び計算方法は以下の通りである。
<測定条件>
装置 :(株)島津製作所製GC−14A
カラム :PEG20M20% クロモソルブW担持 2mガラスカラム(phenomenex社製)
内部標準 :アミルアルコール
検出器 :FID検出器
カラム温度:100℃
試料濃度 :5%DMF溶液
<サンプル調整方法、解析及び計算方法>
スチレンとアミルアルコールの検量線を予め作成しておき、この検量線をもとに試料中のスチレンモノマーの含有量を求め、仕込量に対するスチレンモノマーの残存量から重合率を算出した。また、5重量%になるように試料をジメチルホルムアミド(DMF)に溶解し、10分間静置した上澄み液を試料溶液とした。
【0098】
[非晶性ビニル樹脂の分散状態の確認方法]
実施例及び比較例で得られたトナーバインダーを約100μmの厚みに超薄切片化し、非晶性ビニル樹脂(A)の分散状態を四酸化ルテニウムにより真空電子染色装置(フィルジェン株式会社製 VSC1R1H)を使用し、濃度1で3分間染色した後、四酸化ルテニウム染色により灰色もしくは黒色に表示された非晶性ビニル樹脂(A)の分散状態を透過型電子顕微鏡(TEM)により倍率10,000倍でトナーバインダーの断面を観察して確認した。
【0099】
<製造例1> [結晶性ビニル樹脂(B−1)の製造]
オートクレーブにベヘニルアクリレート[日触テクノファインケミカル(株)製、以下同様]260部、キシレン140部を仕込み、窒素で置換した。撹拌下解放状態で140℃まで昇温後、撹拌下密閉状態で170℃まで昇温し、170℃で2時間温調した。スチレン234部、メチルアクリレート130部、アクリル酸26部、ジ−t−ブチルパーオキシド[日油(株)製、以下同様]1.5部、及びキシレン203部の混合溶液を、オートクレーブ内温度を170℃にコントロールしながら、1.5時間かけて滴下し重合を行った。滴下後、滴下ラインをキシレン7部で洗浄した。更に同温度で0.5時間保持した後、70℃まで冷却後に単量体(a)の反応率を確認したところ95%以上であった。170℃で5時間0.5〜2.5kPaの減圧下で脱溶剤を行い、結晶性ビニル樹脂(B−1)を得た。
【0100】
<製造例2> [結晶性ビニル樹脂(B−2)の製造]
オートクレーブにベヘニルアクリレート600部、キシレン138部を仕込み、窒素で置換した。撹拌下解放状態で140℃まで昇温後、撹拌下密閉状態で170℃まで昇温し、170℃で2時間温調した。スチレン50部、メチルメタクリレート50部、アクリロニトリル[ナカライテスク(株)製、以下同様]50部、ジ−t−ブチルパーオキシド2.8部、及びキシレン100部の混合溶液を、オートクレーブ内温度を170℃にコントロールしながら、2時間かけて滴下し重合を行った。滴下後、滴下ラインをキシレン12部で洗浄した。更に同温度で0.5時間保持した後、70℃まで冷却後に単量体(a)の反応率を確認したところ95%以上であった。170℃で5時間0.5〜2.5kPaの減圧下で脱溶剤を行い、結晶性ビニル樹脂(B−2)を得た。
【0101】
<製造例3> [結晶性ビニル樹脂(B−3)の製造]
オートクレーブにキシレン138部を仕込み、窒素で置換した後、撹拌下密閉状態で165℃まで昇温した。ベヘニルアクリレート450部、スチレン75部、アクリロニトリル225部、ジ−t−ブチルパーオキシド3.5部、及びキシレン100部の混合溶液を60℃に温調し、オートクレーブ内温度を165℃にコントロールしながら、3時間かけて滴下し重合を行った。滴下後、滴下ラインをキシレン12部で洗浄した。更に同温度で0.5時間保持した後、70℃まで冷却後に単量体(a)の反応率を確認した。単量体(a)の反応率が95%未満であったため、さらにジ−t−ブチルパーオキシドを1.8部投入し、反応率が95%以上まで反応させた。170℃で5時間0.5〜2.5kPaの減圧下で脱溶剤を行い、結晶性ビニル樹脂(B−3)を得た。
【0102】
<製造例4> [結晶性ビニル樹脂(B−4)の製造]
オートクレーブにベヘニルアクリレート450部、キシレン150部を仕込み、窒素で置換した。撹拌下解放状態で140℃まで昇温後、撹拌下密閉状態で170℃まで昇温し、170℃で2時間温調した。スチレン240部、メチルアクリレート38部、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート[共栄社化学(株)製、以下同様]3.8部、メタクリル酸19部、ジ−t−ブチルパーオキシド1.2部、及びキシレン93部の混合溶液を、オートクレーブ内温度を170℃にコントロールしながら、2時間かけて滴下し重合を行った。滴下後、滴下ラインをキシレン7部で洗浄した。更に同温度で0.5時間保持した後、70℃まで冷却後に単量体(a)の反応率を確認したところ95%以上であった。170℃で5時間0.5〜2.5kPaの減圧下で脱溶剤を行い、結晶性ビニル樹脂(B−4)を得た。
【0103】
<製造例5> [結晶性ビニル樹脂(B−5)の製造]
オートクレーブにステアリルアクリレート[共栄社化学(株)製、以下同様]375部、キシレン150部を仕込み、窒素で置換した。撹拌下解放状態で140℃まで昇温後、撹拌下密閉状態で170℃まで昇温し、170℃で2時間温調した。スチレン290部、メチルメタクリレート75部、アクリル酸10部、ジ−t−ブチルパーオキシド0.7部、及びキシレン93部の混合溶液を、オートクレーブ内温度を170℃にコントロールしながら、2時間かけて滴下し重合を行った。滴下後、滴下ラインをキシレン7部で洗浄した。更に同温度で0.5時間保持した後、70℃まで冷却後に単量体(a)の反応率を確認したところ95%以上であった。170℃で5時間0.5〜2.5kPaの減圧下で脱溶剤を行い、結晶性ビニル樹脂(B−5)を得た。
【0104】
<製造例6> [結晶性ビニル樹脂(B−6)の製造]
オートクレーブにベヘニルアクリレート335部、酢酸エチル[三協化学(株)製、以下同様]363部を仕込み、窒素で置換した後、撹拌下密閉状態で78℃まで昇温した。アクリロニトリル50部、スチレン79部、メチルアクリレート15部、メタクリル酸21部、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)[富士フイルム和光純薬(株)製、以下同様]9部、酢酸エチル112部の混合溶液を、オートクレーブ内温度を78℃にコントロールしながら、2時間かけて滴下し重合を行った。滴下後、滴下ラインを酢酸エチル25部で洗浄した。同温度で5時間保った後、1時間かけてオートクレーブ内温度を92℃まで昇温した。更に同温度で2時間保持した後、60℃まで冷却後に単量体(a)の反応率を確認した。単量体(a)の反応率が95%未満であったため、80℃まで昇温し、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)[富士フイルム和光純薬(株)製、以下同様]2.0部と酢酸エチル38部の混合溶液を1時間かけて滴下した。滴下後80℃で2時間保持し、反応率が95%以上まで反応させた。110℃で6時間0.5〜2.5kPaの減圧下で脱溶剤を行い、結晶性ビニル樹脂(B−6)を得た。
【0105】
<製造例7> [トリアコンチルアクリレートの合成]
撹拌装置、加熱冷却装置、温度計、空気導入管、減圧装置、減水装置を備えた反応容器に、1−トリアコンタノール50部、トルエン50部、アクリル酸12部、ハイドロキノン0.05部を投入し、撹拌して均一化した。その後、パラトルエンスルホン酸2部を加え、30分撹拌した後、空気を30mL/分の流量で吹き込みながら100℃で生成する水を除去しながら5時間反応させた。その後、反応容器内の圧力を300mmHgに調整し、生成する水を除去しながらさらに3時間反応させた。反応溶液を室温まで冷却後、10重量%水酸化ナトリウム水溶液30部を加えて1時間撹拌したのち静置して有機相と水相を分離させた。有機相を分液及び遠心分離操作で採取し、ハイドロキノン0.01部を投入し、空気を吹き込みながら減圧で溶媒を除去し、トリアコンチルアクリレートを得た。
【0106】
<製造例8> [結晶性ビニル樹脂(B−7)の製造]
オートクレーブに製造例7で得られたトリアコンチルアクリレートを375部、キシレン125部を仕込み、窒素で置換した。撹拌下解放状態で140℃まで昇温後、撹拌下密閉状態で170℃まで昇温し、170℃で2時間温調した。スチレン163部、ブチルアクリレート97部、メチルメタクリレート100部、アクリル酸15部、ジ−t−ブチルパーオキシド2.9部、及びキシレン118部の混合溶液を、オートクレーブ内温度を170℃にコントロールしながら、2時間かけて滴下し重合を行った。滴下後、滴下ラインをキシレン7部で洗浄した。更に同温度で0.5時間保持した後、70℃まで冷却後に単量体(a)の反応率を確認したところ95%以上であった。170℃で5時間0.5〜2.5kPaの減圧下で脱溶剤を行い、結晶性ビニル樹脂(B−7)を得た。
【0107】
<比較製造例1> [結晶性ビニル樹脂(B’−1)の製造]
オートクレーブにベヘニルアクリレートを750部、キシレン175部を仕込み、窒素で置換した。撹拌下解放状態で140℃まで昇温後、撹拌下密閉状態で170℃まで昇温し、170℃で2時間温調した。ジ−t−ブチルパーオキシド1.1部、及びキシレン65部の混合溶液を、オートクレーブ内温度を170℃にコントロールしながら、2時間かけて滴下し重合を行った。滴下後、滴下ラインをキシレン10部で洗浄した。更に同温度で0.5時間保持した後、70℃まで冷却後に単量体(a)の反応率を確認したところ95%以上であった。170℃で5時間0.5〜2.5kPaの減圧下で脱溶剤を行い、結晶性ビニル樹脂(B’−1)を得た。
【0108】
<比較製造例2> [非晶性ビニル樹脂(B’−2)の製造]
オートクレーブにキシレン175部を仕込み、窒素で置換した。撹拌下解放状態で140℃まで昇温後、密閉にした。スチレン538部、ブチルアクリレート202部、アクリル酸10部、ジ−t−ブチルパーオキシド1.0部、及びキシレン65部の混合溶液を、オートクレーブ内温度を140℃にコントロールしながら、3時間かけて滴下し重合を行った。滴下後、滴下ラインをキシレン10部で洗浄した。更に140で1時間保持した後、170℃まで1時間かけて昇温し、開始剤を分解させた。120℃まで冷却後にスチレンの反応率を確認したところ95%以上であった。170℃で5時間0.5〜2.5kPaの減圧下で脱溶剤を行い、非晶性ビニル樹脂(B’−2)を得た。
【0109】
<比較製造例3> [結晶性ビニル樹脂(B’−3)の製造]
オートクレーブにメチルエチルケトン390部、ベヘニルアクリレート420部、ブチルアクリレート180部、t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート[アルケマ吉富(株)製、以下同様]6部を仕込み、80℃まで昇温後、撹拌密閉状態で4時間重合を行った。その後t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート6部をさらに加え、4時間撹拌した後、120℃で5時間0.5〜2.5kPaの減圧下で脱溶剤を行い、結晶性ビニル樹脂(B’−3)を得た。
【0110】
結晶性ビニル樹脂(B−1)〜(B−7)及び(B’−1)〜(B’−3)の組成と物性値を表1に示す。
【0111】
【表1】
【0112】
<実施例1> [トナーバインダー(C−1)の製造]
オートクレーブに製造例1で得られた結晶性ビニル樹脂(B−1)を60.0部仕込み、窒素で置換した。撹拌下解放状態で140℃まで昇温後、撹拌下密閉状態にした。スチレン28.6部、ブチルアクリレート10.8部、アクリル酸0.6部、ジ−t−ブチルパーオキシド0.06部、及びキシレン9.4部の混合溶液を、オートクレーブ内温度を140℃にコントロールしながら、3時間かけて滴下し重合を行った。滴下後、滴下ラインをキシレン0.6部で洗浄した。更に140で1時間保持した後、170℃まで1時間かけて昇温し、開始剤を分解させた。120℃まで冷却後にスチレンの反応率を確認したところ95%以上であった。170℃で5時間0.5〜2.5kPaの減圧下で脱溶剤を行った。得られたものを冷却することにより、トナーバインダー(C−1)を得た。また、非晶性ビニル樹脂の分散状態を確認したところ、トナーバインダー中に非晶性ビニル樹脂が分散していた。
【0113】
<実施例2> [トナーバインダー(C−2)の製造]
オートクレーブに製造例2で得られた結晶性ビニル樹脂(B−2)を50.0部仕込み、窒素で置換した。撹拌下解放状態で140℃まで昇温後、撹拌下密閉状態にした。スチレン35.8部、ブチルアクリレート13.5部、アクリル酸0.8部、ジ−t−ブチルパーオキシド0.08部、及びキシレン10.4部の混合溶液を、オートクレーブ内温度を140℃にコントロールしながら、3時間かけて滴下し重合を行った。滴下後、滴下ラインをキシレン0.7部で洗浄した。更に140で1時間保持した後、170℃まで1時間かけて昇温し、開始剤を分解させた。120℃まで冷却後にスチレンの反応率を確認したところ95%以上であった。170℃で5時間0.5〜2.5kPaの減圧下で脱溶剤を行った。得られたものを冷却することにより、トナーバインダー(C−2)を得た。また、非晶性ビニル樹脂の分散状態を確認したところ、トナーバインダー中に非晶性ビニル樹脂が分散していた。
【0114】
<実施例3> [トナーバインダー(C−3)の製造]
オートクレーブに製造例3で得られた結晶性ビニル樹脂(B−3)を40.0部仕込み、窒素で置換した。撹拌下解放状態で140℃まで昇温後、撹拌下密閉状態にした。スチレン42.9部、ブチルアクリレート16.2部、アクリル酸0.9部、ジ−t−ブチルパーオキシド0.09部、及びキシレン9.9部の混合溶液を、オートクレーブ内温度を140℃にコントロールしながら、3時間かけて滴下し重合を行った。滴下後、滴下ラインをキシレン0.6部で洗浄した。更に140で1時間保持した後、170℃まで1時間かけて昇温し、開始剤を分解させた。120℃まで冷却後にスチレンの反応率を確認したところ95%以上であった。170℃で5時間0.5〜2.5kPaの減圧下で脱溶剤を行った。得られたものを冷却することにより、トナーバインダー(C−3)を得た。また、非晶性ビニル樹脂の分散状態を確認したところ、トナーバインダー中に非晶性ビニル樹脂が分散していた。
【0115】
<実施例4> [トナーバインダー(C−4)の製造]
オートクレーブに製造例4で得られた結晶性ビニル樹脂(B−4)を35.0部仕込み、窒素で置換した。撹拌下解放状態で140℃まで昇温後、撹拌下密閉状態にした。スチレン46.5部、ブチルアクリレート17.6部、アクリル酸1.0部、ジ−t−ブチルパーオキシド0.1部、及びキシレン6.5部の混合溶液を、オートクレーブ内温度を140℃にコントロールしながら、3時間かけて滴下し重合を行った。滴下後、滴下ラインをキシレン0.4部で洗浄した。更に140で1時間保持した後、170℃まで1時間かけて昇温し、開始剤を分解させた。120℃まで冷却後にスチレンの反応率を確認したところ95%以上であった。170℃で5時間0.5〜2.5kPaの減圧下で脱溶剤を行った。得られたものを冷却することにより、トナーバインダー(C−4)を得た。また、非晶性ビニル樹脂の分散状態を確認したところ、トナーバインダー中に非晶性ビニル樹脂が分散していた。
【0116】
<実施例5> [トナーバインダー(C−5)の製造]
オートクレーブに製造例5で得られた結晶性ビニル樹脂(B−5)を45.0部仕込み、窒素で置換した。撹拌下解放状態で140℃まで昇温後、撹拌下密閉状態にした。スチレン39.3部、ブチルアクリレート14.9部、アクリル酸0.8部、ジ−t−ブチルパーオキシド0.11部、及びキシレン5.5部の混合溶液を、オートクレーブ内温度を140℃にコントロールしながら、3時間かけて滴下し重合を行った。滴下後、滴下ラインをキシレン0.3部で洗浄した。更に140で1時間保持した後、170℃まで1時間かけて昇温し、開始剤を分解させた。120℃まで冷却後にスチレンの反応率を確認したところ95%以上であった。170℃で5時間0.5〜2.5kPaの減圧下で脱溶剤を行った。得られたものを冷却することにより、トナーバインダー(C−5)を得た。また、非晶性ビニル樹脂の分散状態を確認したところ、トナーバインダー中に非晶性ビニル樹脂が分散していた。
【0117】
<実施例6> [トナーバインダー(C−6)の製造]
オートクレーブに製造例6で得られた結晶性ビニル樹脂(B−6)を70.0部仕込み、窒素で置換した。撹拌下解放状態で140℃まで昇温後、撹拌下密閉状態にした。スチレン21.5部、ブチルアクリレート8.1部、アクリル酸0.5部、ジ−t−ブチルパーオキシド0.06部、及びキシレン10.4部の混合溶液を、オートクレーブ内温度を140℃にコントロールしながら、3時間かけて滴下し重合を行った。滴下後、滴下ラインをキシレン0.7部で洗浄した。更に140で1時間保持した後、170℃まで1時間かけて昇温し、開始剤を分解させた。120℃まで冷却後にスチレンの反応率を確認したところ95%以上であった。170℃で5時間0.5〜2.5kPaの減圧下で脱溶剤を行った。得られたものを冷却することにより、トナーバインダー(C−6)を得た。また、非晶性ビニル樹脂の分散状態を確認したところ、トナーバインダー中に非晶性ビニル樹脂が分散していた。
【0118】
<実施例7> [トナーバインダー(C−7)の製造]
オートクレーブに製造例8で得られた結晶性ビニル樹脂(B−7)を80.0部仕込み、窒素で置換した。撹拌下解放状態で140℃まで昇温後、撹拌下密閉状態にした。スチレン14.3部、ブチルアクリレート5.4部、アクリル酸0.3部、ジ−t−ブチルパーオキシド0.04部、及びキシレン4.7部の混合溶液を、オートクレーブ内温度を140℃にコントロールしながら、3時間かけて滴下し重合を行った。滴下後、滴下ラインをキシレン0.3部で洗浄した。更に140で1時間保持した後、170℃まで1時間かけて昇温し、開始剤を分解させた。120℃まで冷却後にスチレンの反応率を確認したところ95%以上であった。170℃で5時間0.5〜2.5kPaの減圧下で脱溶剤を行った。得られたものを冷却することにより、トナーバインダー(C−7)を得た。また、非晶性ビニル樹脂の分散状態を確認したところ、トナーバインダー中に非晶性ビニル樹脂が分散していた。
【0119】
<実施例8> [トナーバインダー(C−8)の製造]
オートクレーブに製造例2で得られた結晶性ビニル樹脂(B−2)を40.0部仕込み、窒素で置換した。撹拌下解放状態で140℃まで昇温後、撹拌下密閉状態にした。スチレン39.0部、ブチルアクリレート20.3部、アクリル酸0.7部、ジ−t−ブチルパーオキシド0.12部、及びキシレン14.1部の混合溶液を、オートクレーブ内温度を140℃にコントロールしながら、3時間かけて滴下し重合を行った。滴下後、滴下ラインをキシレン0.9部で洗浄した。更に140で1時間保持した後、170℃まで1時間かけて昇温し、開始剤を分解させた。120℃まで冷却後にスチレンの反応率を確認したところ95%以上であった。170℃で5時間0.5〜2.5kPaの減圧下で脱溶剤を行った。得られたものを冷却することにより、トナーバインダー(C−8)を得た。また、非晶性ビニル樹脂の分散状態を確認したところ、トナーバインダー中に非晶性ビニル樹脂が分散していた。
【0120】
<実施例9> [トナーバインダー(C−9)の製造]
オートクレーブに製造例3で得られた結晶性ビニル樹脂(B−3)を40.0部仕込み、窒素で置換した。撹拌下解放状態で140℃まで昇温後、撹拌下密閉状態にした。スチレン39.0部、ブチルアクリレート20.3部、アクリル酸0.7部、ジ−t−ブチルパーオキシド0.12部、及びキシレン14.1部の混合溶液を、オートクレーブ内温度を140℃にコントロールしながら、3時間かけて滴下し重合を行った。滴下後、滴下ラインをキシレン0.9部で洗浄した。更に140で1時間保持した後、170℃まで1時間かけて昇温し、開始剤を分解させた。120℃まで冷却後にスチレンの反応率を確認したところ95%以上であった。170℃で5時間0.5〜2.5kPaの減圧下で脱溶剤を行った。得られたものを冷却することにより、トナーバインダー(C−9)を得た。また、非晶性ビニル樹脂の分散状態を確認したところ、トナーバインダー中に非晶性ビニル樹脂が分散していた。
【0121】
<実施例10> [トナーバインダー(C−10)の製造]
オートクレーブに製造例4で得られた結晶性ビニル樹脂(B−4)を40.0部仕込み、窒素で置換した。撹拌下解放状態で140℃まで昇温後、撹拌下密閉状態にした。スチレン39.0部、ブチルアクリレート20.3部、アクリル酸0.7部、ジ−t−ブチルパーオキシド0.12部、及びキシレン14.1部の混合溶液を、オートクレーブ内温度を140℃にコントロールしながら、3時間かけて滴下し重合を行った。滴下後、滴下ラインをキシレン0.9部で洗浄した。更に140で1時間保持した後、170℃まで1時間かけて昇温し、開始剤を分解させた。120℃まで冷却後にスチレンの反応率を確認したところ95%以上であった。170℃で5時間0.5〜2.5kPaの減圧下で脱溶剤を行った。得られたものを冷却することにより、トナーバインダー(C−10)を得た。また、非晶性ビニル樹脂の分散状態を確認したところ、トナーバインダー中に非晶性ビニル樹脂が分散していた。
【0122】
<実施例11> [トナーバインダー(C−11)の製造]
オートクレーブに製造例5で得られた結晶性ビニル樹脂(B−5)を40.0部仕込み、窒素で置換した。撹拌下解放状態で140℃まで昇温後、撹拌下密閉状態にした。スチレン39.0部、ブチルアクリレート20.3部、アクリル酸0.7部、ジ−t−ブチルパーオキシド0.12部、及びキシレン14.1部の混合溶液を、オートクレーブ内温度を140℃にコントロールしながら、3時間かけて滴下し重合を行った。滴下後、滴下ラインをキシレン0.9部で洗浄した。更に140で1時間保持した後、170℃まで1時間かけて昇温し、開始剤を分解させた。120℃まで冷却後にスチレンの反応率を確認したところ95%以上であった。170℃で5時間0.5〜2.5kPaの減圧下で脱溶剤を行った。得られたものを冷却することにより、トナーバインダー(C−11)を得た。また、非晶性ビニル樹脂の分散状態を確認したところ、トナーバインダー中に非晶性ビニル樹脂が分散していた。
【0123】
<実施例12> [トナーバインダー(C−12)の製造]
オートクレーブに製造例6で得られた結晶性ビニル樹脂(B−6)を40.0部仕込み、窒素で置換した。撹拌下解放状態で140℃まで昇温後、撹拌下密閉状態にした。スチレン39.0部、ブチルアクリレート20.3部、アクリル酸0.7部、ジ−t−ブチルパーオキシド0.12部、及びキシレン14.1部の混合溶液を、オートクレーブ内温度を140℃にコントロールしながら、3時間かけて滴下し重合を行った。滴下後、滴下ラインをキシレン0.9部で洗浄した。更に140で1時間保持した後、170℃まで1時間かけて昇温し、開始剤を分解させた。120℃まで冷却後にスチレンの反応率を確認したところ95%以上であった。170℃で5時間0.5〜2.5kPaの減圧下で脱溶剤を行った。得られたものを冷却することにより、トナーバインダー(C−12)を得た。また、非晶性ビニル樹脂の分散状態を確認したところ、トナーバインダー中に非晶性ビニル樹脂が分散していた。
【0124】
<実施例13> [トナーバインダー(C−13)の製造]
オートクレーブに製造例8で得られた結晶性ビニル樹脂(B−7)を40.0部仕込み、窒素で置換した。撹拌下解放状態で140℃まで昇温後、撹拌下密閉状態にした。スチレン39.0部、ブチルアクリレート20.3部、アクリル酸0.7部、ジ−t−ブチルパーオキシド0.12部、及びキシレン14.1部の混合溶液を、オートクレーブ内温度を140℃にコントロールしながら、3時間かけて滴下し重合を行った。滴下後、滴下ラインをキシレン0.9部で洗浄した。更に140で1時間保持した後、170℃まで1時間かけて昇温し、開始剤を分解させた。120℃まで冷却後にスチレンの反応率を確認したところ95%以上であった。170℃で5時間0.5〜2.5kPaの減圧下で脱溶剤を行った。得られたものを冷却することにより、トナーバインダー(C−13)を得た。また、非晶性ビニル樹脂の分散状態を確認したところ、トナーバインダー中に非晶性ビニル樹脂が分散していた。
【0125】
<実施例14> [トナーバインダー(C−14)の製造]
オートクレーブに製造例2で得られた結晶性ビニル樹脂(B−2)を40.0部仕込み、窒素で置換した。撹拌下解放状態で140℃まで昇温後、撹拌下密閉状態にし、170℃まで昇温した。スチレン39.0部、ブチルアクリレート20.3部、アクリル酸0.7部、ジ−t−ブチルパーオキシド0.3部、及びキシレン14.1部の混合溶液を、オートクレーブ内温度を170℃にコントロールしながら、3時間かけて滴下し重合を行った。滴下後、滴下ラインをキシレン0.9部で洗浄し、30分間保持して開始剤を分解させた。120℃まで冷却後にスチレンの反応率を確認したところ95%以上であった。170℃で5時間0.5〜2.5kPaの減圧下で脱溶剤を行った。得られたものを冷却することにより、トナーバインダー(C−14)を得た。また、非晶性ビニル樹脂の分散状態を確認したところ、トナーバインダー中に非晶性ビニル樹脂が分散していた。
【0126】
<実施例15> [トナーバインダー(C−15)の製造]
オートクレーブに製造例2で得られた結晶性ビニル樹脂(B−2)を40.0部仕込み、窒素で置換した。撹拌下解放状態で140℃まで昇温後、撹拌下密閉状態にし、190℃まで昇温した。スチレン39.0部、ブチルアクリレート20.3部、アクリル酸0.7部、ジ−t−ブチルパーオキシド0.5部、及びキシレン14.1部の混合溶液を、オートクレーブ内温度を190℃にコントロールしながら、3時間かけて滴下し重合を行った。滴下後、滴下ラインをキシレン0.9部で洗浄した。120℃まで冷却後にスチレンの反応率を確認したところ95%以上であった。170℃で5時間0.5〜2.5kPaの減圧下で脱溶剤を行った。得られたものを冷却することにより、トナーバインダー(C−15)を得た。また、非晶性ビニル樹脂の分散状態を確認したところ、トナーバインダー中に非晶性ビニル樹脂が分散していた。
【0127】
<実施例16> [トナーバインダー(C−16)の製造]
オートクレーブに製造例2で得られた結晶性ビニル樹脂(B−2)を40.0部仕込み、窒素で置換した。撹拌下解放状態で110℃まで昇温後、撹拌下密閉状態にした。スチレン39.0部、ブチルアクリレート20.3部、アクリル酸0.7部、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート[日油(株)製、以下同様]0.2部、及びキシレン14.1部の混合溶液を、オートクレーブ内温度を170℃にコントロールしながら、3時間かけて滴下し重合を行った。滴下後、滴下ラインをキシレン0.9部で洗浄し、30分間保持して開始剤を分解させた。120℃まで冷却後にスチレンの反応率を確認したところ95%以上であった。170℃で5時間0.5〜2.5kPaの減圧下で脱溶剤を行った。得られたものを冷却することにより、トナーバインダー(C−16)を得た。また、非晶性ビニル樹脂の分散状態を確認したところ、トナーバインダー中に非晶性ビニル樹脂が分散していた。
【0128】
<実施例17> [トナーバインダー(C−17)の製造]
オートクレーブに製造例2で得られた結晶性ビニル樹脂(B−2)を40.0部仕込み、窒素で置換した。撹拌下解放状態で140℃まで昇温後、撹拌下密閉状態にした。スチレン34.0部、ブチルアクリレート20.0部、アクリロニトリル6.0部、ジ−t−ブチルパーオキシド0.12部、及びキシレン14.1部の混合溶液を、オートクレーブ内温度を140℃にコントロールしながら、3時間かけて滴下し重合を行った。滴下後、滴下ラインをキシレン0.9部で洗浄した。更に140で1時間保持した後、170℃まで1時間かけて昇温し、開始剤を分解させた。120℃まで冷却後にスチレンの反応率を確認したところ95%以上であった。170℃で5時間0.5〜2.5kPaの減圧下で脱溶剤を行った。得られたものを冷却することにより、トナーバインダー(C−17)を得た。また、非晶性ビニル樹脂の分散状態を確認したところ、トナーバインダー中に非晶性ビニル樹脂が分散していた。
【0129】
<実施例18> [トナーバインダー(C−18)の製造]
オートクレーブに製造例3で得られた結晶性ビニル樹脂(B−3)を40.0部仕込み、窒素で置換した。撹拌下解放状態で140℃まで昇温後、撹拌下密閉状態にした。スチレン34.0部、ブチルアクリレート20.0部、アクリロニトリル6.0部、ジ−t−ブチルパーオキシド0.12部、及びキシレン14.1部の混合溶液を、オートクレーブ内温度を140℃にコントロールしながら、3時間かけて滴下し重合を行った。滴下後、滴下ラインをキシレン0.9部で洗浄した。更に140で1時間保持した後、170℃まで1時間かけて昇温し、開始剤を分解させた。120℃まで冷却後にスチレンの反応率を確認したところ95%以上であった。170℃で5時間0.5〜2.5kPaの減圧下で脱溶剤を行った。得られたものを冷却することにより、トナーバインダー(C−18)を得た。また、非晶性ビニル樹脂の分散状態を確認したところ、トナーバインダー中に非晶性ビニル樹脂が分散していた。
【0130】
<実施例19> [トナーバインダー(C−19)の製造]
オートクレーブに製造例4で得られた結晶性ビニル樹脂(B−4)を40.0部仕込み、窒素で置換した。撹拌下解放状態で140℃まで昇温後、撹拌下密閉状態にした。スチレン34.0部、ブチルアクリレート20.0部、アクリロニトリル6.0部、ジ−t−ブチルパーオキシド0.12部、及びキシレン14.1部の混合溶液を、オートクレーブ内温度を140℃にコントロールしながら、3時間かけて滴下し重合を行った。滴下後、滴下ラインをキシレン0.9部で洗浄した。更に140で1時間保持した後、170℃まで1時間かけて昇温し、開始剤を分解させた。120℃まで冷却後にスチレンの反応率を確認したところ95%以上であった。170℃で5時間0.5〜2.5kPaの減圧下で脱溶剤を行った。得られたものを冷却することにより、トナーバインダー(C−19)を得た。また、非晶性ビニル樹脂の分散状態を確認したところ、トナーバインダー中に非晶性ビニル樹脂が分散していた。
【0131】
<実施例20> [トナーバインダー(C−20)の製造]
オートクレーブに製造例3で得られた結晶性ビニル樹脂(B−3)を40.0部仕込み、窒素で置換した。撹拌下解放状態で140℃まで昇温後、撹拌下密閉状態にした。スチレン30.0部、ブチルアクリレート24.0部、アクリロニトリル6.0部、ジ−t−ブチルパーオキシド0.12部、及びキシレン14.1部の混合溶液を、オートクレーブ内温度を140℃にコントロールしながら、3時間かけて滴下し重合を行った。滴下後、滴下ラインをキシレン0.9部で洗浄した。更に140で1時間保持した後、170℃まで1時間かけて昇温し、開始剤を分解させた。120℃まで冷却後にスチレンの反応率を確認したところ95%以上であった。170℃で5時間0.5〜2.5kPaの減圧下で脱溶剤を行った。得られたものを冷却することにより、トナーバインダー(C−20)を得た。また、非晶性ビニル樹脂の分散状態を確認したところ、トナーバインダー中に非晶性ビニル樹脂が分散していた。
【0132】
<比較例1> [トナーバインダー(C’−1)の製造]
オートクレーブに比較製造例1で得られた結晶性ビニル樹脂(B’−1)を40.0部仕込み、窒素で置換した。撹拌下解放状態で140℃まで昇温後、撹拌下密閉状態にした。スチレン39.0部、ブチルアクリレート20.3部、アクリル酸0.7部、ジ−t−ブチルパーオキシド0.12部、及びキシレン14.1部の混合溶液を、オートクレーブ内温度を140℃にコントロールしながら、3時間かけて滴下し重合を行った。滴下後、滴下ラインをキシレン0.9部で洗浄した。更に140で1時間保持した後、170℃まで1時間かけて昇温し、開始剤を分解させた。120℃まで冷却後にスチレンの反応率を確認したところ95%以上であった。170℃で5時間0.5〜2.5kPaの減圧下で脱溶剤を行った。得られたものを冷却することにより、トナーバインダー(C’−1)を得た。
【0133】
<比較例2> [トナーバインダー(C’−2)の製造]
オートクレーブに比較製造例2で得られた結晶性ビニル樹脂(B’−2)を40.0部仕込み、窒素で置換した。撹拌下解放状態で140℃まで昇温後、撹拌下密閉状態にした。スチレン39.0部、ブチルアクリレート20.3部、アクリル酸0.7部、ジ−t−ブチルパーオキシド0.12部、及びキシレン14.1部の混合溶液を、オートクレーブ内温度を140℃にコントロールしながら、3時間かけて滴下し重合を行った。滴下後、滴下ラインをキシレン0.9部で洗浄した。更に140で1時間保持した後、170℃まで1時間かけて昇温し、開始剤を分解させた。120℃まで冷却後にスチレンの反応率を確認したところ95%以上であった。170℃で5時間0.5〜2.5kPaの減圧下で脱溶剤を行った。得られたものを冷却することにより、トナーバインダー(C’−2)を得た。
【0134】
<比較例3> [トナーバインダー(C’−3)の製造]
オートクレーブにキシレン10部を仕込み、窒素で置換した。撹拌下解放状態で140℃まで昇温後、密閉にした。スチレン39.0部、ブチルアクリレート20.3部、アクリル酸0.7部、ジ−t−ブチルパーオキシド0.12部、及びキシレン4部の混合溶液を、オートクレーブ内温度を140℃にコントロールしながら、3時間かけて滴下し重合を行った。滴下後、滴下ラインをキシレン1部で洗浄した。更に140で1時間保持した後、170℃まで1時間かけて昇温し、開始剤を分解させた。120℃まで冷却後にスチレンの反応率を確認したところ95%以上であった。170℃で5時間0.5〜2.5kPaの減圧下で脱溶剤を行い非晶性ビニル樹脂(A)を得た。この非晶性ビニル樹脂(A)60.0部及び製造例2で得られた結晶性ビニル樹脂(B−2)40.0部を粉体で混合し、二軸混練機に供給し、140℃で2分間混錬した。得られたものを冷却することにより、トナーバインダー(C’−3)を得た。
【0135】
<比較例4> [トナーバインダー(C’−4)の製造]
非晶性ビニル樹脂(A)としてFSR−055[藤倉化成(株)製]98部と比較製造例3で得られた結晶性ビニル樹脂(B’−3)2部を粉体で混合し、二軸混練機に供給し、140℃で2分間混錬した。得られたものを冷却することにより、トナーバインダー(C’−4)を得た。
【0136】
トナーバインダー(C−1)〜(C−20)及び(C’−1)〜(C’−4)の組成と物性値を表2及び表3に示す。
【0137】
【表2】
【0138】
【表3】
【0139】
<実施例21> [トナー(T−1)の製造]
実施例1に係るトナーバインダー(C−1)86部に対して、顔料のカーボンブラック[三菱ケミカル(株)製、MA−100]7部、離型剤のフィッシャー・トロプッシュワックス[日本精蝋(株)製、FT−0070]5部、荷電制御剤[保土谷化学工業(株)製、T−77]1部を加え下記の方法でトナー化した。
まず、ヘンシェルミキサー[日本コークス工業(株)製、FM10B]を用いて予備混合した後、二軸混練機[(株)池貝製、PCM−30]で混練した。ついで超音速ジェット粉砕機ラボジェット[(株)栗本鐵工所製、KJ−25]を用いて微粉砕した後、エルボージェット分級機[(株)マツボー製、EJ−L−3(LABO)型]で分級し、体積平均粒径D50が7μmのトナー粒子を得た。
ついで、トナー粒子100部に流動化剤として疎水性シリカ[日本アエロジル(株)製、アエロジルR972]1部をサンプルミルにて混合して、実施例21に係るトナー(T−1)を得た。
【0140】
<実施例22〜40> [トナー(T−2)〜(T−20)の製造]
表4及び表5に記載した原料の配合部数で、実施例21と同様にトナーを製造し、実施例22〜40に係るトナー(T−2)〜(T−20)を得た。
【0141】
<比較例5〜8> [トナー(T’−1)〜(T’−4)の製造]
表5に記載した原料の配合部数で、実施例21と同様にトナーを製造し、比較例5〜8に係るトナー(T’−1)〜(T’−4)を得た。
【0142】
各実施例及び比較例で得られたトナーバインダーを使用したトナーの組成と評価結果を表4及び表5に示す。
【0143】
【表4】
【0144】
【表5】
【0145】
[評価方法]
以下に、得られたトナー(T−1)〜(T−20)及び(T’−1)〜(T’−4)の低温定着性、耐ホットオフセット性、定着幅、耐熱保存性、帯電維持率、画像強度及び耐久性の測定方法と評価方法を、判定基準を含めて説明する。
【0146】
<低温定着性>
トナーを紙面上に1.00mg/cm
2となるよう均一に載せた。このとき粉体を紙面に載せる方法は、熱定着機を外したプリンターを用いた。この紙をソフトローラーに定着速度(加熱ローラーの周速)213mm/秒、加熱ローラーの温度90〜230℃の範囲を5℃刻みで通した。次に定着画像へのコールドオフセットの有無を目視し、コールドオフセットの発生温度(MFT)を測定した。
コールドオフセットの発生温度が低いほど、低温定着性に優れることを意味し、この評価条件では、MFTは一般には125℃以下であることが好ましい。
【0147】
<耐ホットオフセット性>
上記低温定着性に記載した方法と同じ方法で、トナーを紙面上に載せ、この紙をソフトローラーに定着速度(加熱ローラーの周速)213mm/秒、加熱ローラーの温度90〜230℃の範囲を5℃刻みで通した。次に定着画像へのホットオフセットの有無を目視し、ホットオフセットの発生温度を測定した。
ホットオフセットの発生温度が高いほど、耐ホットオフセット性に優れることを意味する。この評価条件では、180℃以上であることが好ましい。
【0148】
<定着幅>
上記低温定着温度と耐ホットオフセット温度の差を定着幅とした。
定着幅が広いほど優れることを意味する。この評価条件では、70℃以上であることが好ましい。
【0149】
<耐熱保存性>
トナー1gとアエロジルR8200(エボニックジャパン(株)製)0.01gをシェイカーで1時間混合する。混合物を密閉容器に入れ、温度40℃、湿度80%の雰囲気で48時間静置し、ブロッキングの程度を目視で判断し、下記判定基準で耐熱保存性を評価した。
【0150】
[判定基準]
◎:ブロッキングが全く発生しておらず、耐熱保存性に優れる。
○:一部にブロッキングが発生しているが、触れると容易に崩れる。
△:一部にブロッキングが発生しており、触れても容易には崩れない。
×:全体にブロッキングが発生しており、耐熱保存性が大きく劣る。
【0151】
<帯電維持率>
(1)トナー0.5gとフェライトキャリア(パウダーテック(株)製、F−150)20gとを50mLのガラス瓶に入れ、これを23℃、相対湿度50%で8時間以上調湿した。
(2)ターブラーシェーカーミキサーにて50rpmで10分間及び60分間摩擦撹拌し、それぞれの時間での帯電量をブローオフ帯電量測定装置[京セラケミカル(株)製]を用いて測定した。
得られた値を用いて「摩擦時間60分後の帯電量/摩擦時間10分後の帯電量」を計算し、これを帯電安定性指数とした。
本帯電安定性指数が大きいほど帯電安定性に優れることを意味する。この評価条件では0.8以上であると好ましい。
【0152】
<画像強度>
上記の低温定着性の評価で定着した画像を、JIS K5600−5−4(1999)に準じて、斜め45度に固定した鉛筆の真上から10gの荷重が加わる様にして手かき法によりかけ引っ掻き硬度試験を行い、傷のつかない鉛筆硬度から画像強度を評価した。
鉛筆硬度が高いほど画像強度に優れることを意味する。一般にはHB以上であることが好ましい。
【0153】
<耐久性>
トナーを二成分現像剤として、市販モノクロ複写機[シャープ(株)製、AR5030]を用いて連続コピーを行い、以下の基準で耐久性を評価した。
【0154】
[判定基準]
◎:1万枚目のコピーで画質に変化なく、カブリの発生もない。
○:1万枚目のコピーでカブリが発生している。
△:6千枚目のコピーでカブリが発生している。
×:2千枚目のコピーでカブリが発生している。
【0155】
表4及び表5の評価結果から明らかなように、実施例21〜40に係るトナー(T−1)〜(T−20)はいずれもすべての性能評価において優れた結果が得られた。一方、比較例5〜8に係るトナー(T’−1)〜(T’−4)は、いくつかの性能項目が不良であった。