【解決手段】情報配信システムにおいて、、複数の端末装置10がネットワークを介してサーバ30に接続される。サーバ30は、複数の端末装置10から送信された、施設に関する施設情報に関連付けられた持ち物及び/又はアドバイスに関する便利情報を記憶する記憶部32と、前記施設への訪問に係る所定の条件が成立した場合に、当該施設に係る便利情報を抽出する抽出部52と、抽出部52により抽出された便利情報を前記条件の成立に関与した端末装置に送信する通信部31と、を備える。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を用いて本発明の実施形態について説明する。
【0009】
図1は、本発明の実施形態に係る情報配信についての説明図である。
図1では、ユーザAが旅行先で端末装置を操作し、施設情報と便利情報を関連付けてデータベースに登録している(a1)。
【0010】
ここで、施設とは、便宜上、ユーザが行先として選択しうる場所を示すものとする。すなわち、動物園、水族館、遊園地などに限らず、山、海、神社仏閣、観光地、地域、国などであってもよい。特に、旅行先等のように、非日常的、不定期に訪れる場所であることが好適であり、その行先の選択単位として機能する場所の概念であればよい。施設情報とは、施設を特定する、もしくは施設の特定に寄与する情報である。便利情報とは、その施設を訪れるにあたり、参考にすることのできる情報であり、例えば、持っていくべき持ち物、アドバイス(おすすめの場所やイベント、留意点など)である。
【0011】
ユーザAは、実際に訪れた旅行先での経験から、自身が次回以降に活用できる情報や、他のユーザに役立つと考えた情報を便利情報として登録する。
【0012】
その後、ユーザAが再度その施設への旅行を計画した場合には、施設情報に基づいてデータベースを検索し、その施設の便利情報を取得する(a2)。このため、前回の旅行から期間が空いていたとしても、前回の旅行での知見を利用し、次の旅行に活かすことができる。
【0013】
この便利情報は、本人(同一ユーザ)の利用に限定されない。あるユーザが旅行先の候補としての施設情報を用いてデータベースを検索することで、他のユーザが登録した便利情報を取得し、旅行の計画や準備に活用することができる。
【0014】
また、旅行先で散策しているユーザが、その近傍の施設について登録された便利情報を取得することも可能である。
図1では、ユーザBが位置情報に基づいてデータベースを検索し、付近の施設の便利情報を取得している(b)。
【0015】
図2は、便利情報の利用の説明図である。
図2では、地図に「XX山」と「ZZ水族館」が施設情報として登録されている。また、「XX山」には便利情報として「夜明けに雲海がみられる」との便利情報が登録されており、「ZZ水族館」には「イルカショーおすすめ。雨合羽があるとよい。」との便利情報が登録されている。これらの便利情報を参照したユーザは、所持品や行程の検討に活用することができる。
【0016】
図3は、情報配信システムの構成図である。
図3に示すように、情報配信システムは、複数の端末装置10がネットワークを介してサーバ30に接続されている。端末装置10は、例えばスマートフォンなどであり、入力部11、表示部12、GPS(Global Positioning System)ユニット13、通信部14及び制御部15を有する。
【0017】
入力部11は、操作ボタンやタッチパネルなどの入力インタフェースである。表示部12は、液晶ディスプレイパネルなどの出力インタフェースである。GPSユニット13は、GPS人工衛星からの信号を受信して自端末装置の位置情報を求めるユニットである。通信部14は、外部の装置との通信を行う通信インタフェースである。
【0018】
制御部15は、端末装置10の制御を行う処理部であり、例えばCPU(Central Processing Unit)が所定のプログラムを実行することで、その機能を実現する。制御部15は、本実施例において重要な機能部として、入力受付部21、登録部22及び出力部23を有する。
【0019】
入力受付部21は、施設情報や便利情報を入力部11経由で受け付けることができる。登録部22は、施設への訪問実績に基づいて該施設の便利情報をサーバに登録する。具体的には、登録部22は、入力受付部21で受け付けた施設情報や便利情報を通信部14によってサーバ30に送信することで登録を行う。なお、施設情報には、自端末装置の位置情報を利用してもよい。また、登録部22は、便利情報の公開対象を選択して設定することができる。出力部23は、通信部14を介してサーバ30から便利情報を受信し、表示部12に表示出力させる。
【0020】
サーバ30は、通信部31、記憶部32及び制御部33を有する。通信部31は、複数の端末装置10との通信を行う通信インタフェースである。記憶部32は、磁気ディスクなどから構成される記憶デバイスであり、施設データ41、条件データ42及び便利情報データ43を記憶する。
【0021】
施設データ41は、便利情報を関連付けて登録することのできる施設を登録したデータである。条件データ42は、便利情報を抽出して端末装置に送信する条件を定義したデータである。便利情報データ43は、施設に便利情報を関連付けたデータベースである。
【0022】
制御部33は、サーバ30の制御を行う処理部であり、例えばCPUが所定のプログラムを実行することで、その機能を実現する。制御部33は、本実施例において重要な機能部として、データ管理部51、抽出部52及び送信部53を有する。
【0023】
データ管理部51は、記憶部32の各種データの追加、変更、削除を行う。例えば、端末装置10から施設情報と便利情報を受信したならば、データ管理部51は便利情報データ43に便利情報を登録する。
【0024】
抽出部52は、施設への訪問に係る所定の条件が成立した場合に、当該施設に係る便利情報を抽出する。そして、送信部53は、抽出部52により抽出された便利情報を条件の成立に関与した端末装置に送信する。
【0025】
所定の条件は、条件データ42に示されている。例えば、抽出部52は、行先の候補地に施設が含まれることを所定の条件として用い、送信部53は、行先の候補地を指定した端末装置10に便利情報を送信することができる。また、抽出部52は、施設までの距離が所定範囲内であることを所定の条件とし、送信部53は、施設までの距離が所定範囲内である端末装置10に便利情報を送信することができる。このとき、抽出部52は、生活圏として設定された範囲外に所在する端末装置10であることをさらに条件としてもよい。非日常的、不定期に訪れる場所のために登録された便利情報が、日常生活の中で頻繁に提示される事態を避けるためである。例えば、あるユーザにとっては時折訪れる観光地であっても、他のユーザにとっては日常生活の場となりうる。このように、本来の利用目的に合致しないユーザには便利情報の提供を抑制することで、便利情報の効率的な利用を図ることができる。
【0026】
図4は、便利情報データ43の具体例である。便利情報データ43は、施設情報、位置情報、季節情報、日付情報、時刻情報、イベント情報、リマインド時刻、アドバイス情報、持ち物、公開/非公開の項目を有する。
【0027】
施設情報は、「XX山」や「YY動物園」のように、施設を特定する情報である。位置情報は、緯度、経度などである。季節情報、日付情報、時刻情報は、便利情報の時間に関する情報である。時間に依存して発生するイベントなどであれば、これらの項目が重要となる。イベント情報は、施設で発生するイベントを示す。リマインド時刻は、便利情報をユーザに送信するタイミングを指定する。例えば、他のユーザがイベントの何分前にリマインド時刻を設定しているかを確認し、自分へのリマインドをどのタイミングで行うかを設定することができる。
【0028】
アドバイス情報は、「平地よりも寒いので低温に注意」のように、施設について文章で登録された提言や留意事項である。持ち物は、施設への訪問時に持っていくべきもの、特に忘れがち、見落としがちな物を示す。公開/非公開設定は、その便利情報を他のユーザに公開するか否かを示す。
【0029】
図5は、端末装置10による便利情報の登録処理を示すフローチャートである。まず、端末装置10の入力受付部21は、便利情報の入力を受け付ける(ステップS101)。登録部22は、GPSユニット13から位置情報を取得し(ステップS102)、施設情報を生成する(ステップS103)。施設情報は、位置情報自体を用いてもよいし、位置情報から施設を特定することで生成してもよい。この他、入力受付部21が施設情報の入力を受け付けてもよい。
【0030】
登録部22は、リマインド時刻など時間に関する設定を受け付けたならば(ステップS104;Yes)、時間に関する設定を行う(ステップS105)。この設定は、時刻の指定であってもよし、イベントの何分前などの相対的な指定、日の出・日の入りなどを指定するものであってもよい。また「次回の旅」といった形式の設定を可能としてもよい。なお、便利情報の時間に関する設定は、他のユーザからの参照を受けることがあるが、ユーザが自分に対して行った設定は維持される。
【0031】
ステップS105の終了後、もしくは時間に関する設定がない場合(ステップS104;No)、登録部22は、便利情報を他のユーザに公開するか否かを設定し(ステップS106)、サーバ30に登録要求を送信して(ステップS107)、処理を終了する。
【0032】
図6及び
図7は、サーバ30による便利情報の配信処理を示すフローチャートである。
図6のフローチャートでは、サーバ30の抽出部52は、端末装置10から行先候補の指定を受け付ける(ステップS201)。行先候補は、具体的に指定してもよい。また、北海道旅行や、温泉旅行などのように指定することも可能である。
【0033】
抽出部52は、行先候補に含まれる施設があるか否かを判定する(ステップS202)。たとえば、行先候補が「XX山」であれば、「XX山」について登録があるか否かを判定し、行先候補が「北海道旅行」であれば、北海道の施設について登録があるか否かを判定する。
【0034】
行先候補に含まれる施設が存在するならば(ステップS202;Yes)、抽出部52は、便利情報データ43を参照し、その施設に便利情報が関連付けられているか否かを判定する(ステップS203)。便利情報が関連付けられているならば(ステップS203;Yes)、抽出部52は、同一ユーザにより登録された便利情報であるか否かを判定する(ステップS204)。
【0035】
同一ユーザにより登録された便利情報でなければ(ステップS204;No)、抽出部52は、他のユーザに公開された便利情報であるか否かを判定する(ステップS205)。
【0036】
同一ユーザにより登録された便利情報である場合(ステップS204;Yes)、又は公開された便利情報である場合(ステップS205;Yes)、送信部53は、行先の候補地を指定した端末装置10に便利情報を送信し(ステップS206)、処理を終了する。
【0037】
行先候補に含まれる施設がない場合(ステップS202;No)、施設に便利情報が関連付けられていない場合(ステップS203;No)、もしくは便利情報が他のユーザにより登録された非公開情報である場合(ステップS205;No)、送信部53による便利情報の送信を行わず、そのまま処理を終了する。
【0038】
図7のフローチャートでは、サーバ30の抽出部52は、判定対象の端末装置10について位置情報を取得する(ステップS301)。抽出部52は、判定対象の端末装置10が生活圏の範囲内に所在するならば(ステップS302;Yes)、そのまま処理を終了する。
【0039】
判定対象の端末装置10が生活圏外に所在するならば(ステップS302;No)、抽出部52は、判定対象の端末装置10の移動速度を判定する(ステップS303)。移動速度が徒歩レベルであるならば(ステップS304;Yes)、抽出部52は判定対象の端末装置10から所定範囲内に施設があるか否かを判定する(ステップS305)。そして、所定範囲内に施設があるならば(ステップS305;Yes)、抽出部52は、その施設に公開された便利情報が関連付けられているか否かを判定する(ステップS306)。公開された便利情報が関連付けられているならば(ステップS306;Yes)、送信部53は、判定対象の端末装置10に便利情報を送信し(ステップS307)、処理を終了する。
【0040】
移動速度が徒歩レベルでない場合(ステップS304;No)、所定範囲内に施設がない場合(ステップS305;No)、公開された便利情報がない場合(ステップS306;No)、送信部53による便利情報の送信を行わず、そのまま処理を終了する。
【0041】
次に、便利情報登録のバリエーションについて説明する。
図8は、端末装置10が直接便利情報の登録を行う場合の説明図である。
図8では、ユーザが便利情報を端末装置10に入力し、端末装置10は、自端末装置の位置情報と入力された便利情報をサーバ30に送信する。サーバ30は、位置情報から施設情報を生成し、施設情報と便利情報を関連付けて便利情報データ43に追加する。
【0042】
図9は、位置情報からの施設情報の生成についての説明図である。サーバ30は、端末装置10の位置情報の緯度経度に基づいて地図データを参照し、位置情報に対応する施設を特定し、施設情報とする。なお、施設情報から、さらに上位の施設情報を生成してもよい。例えば、位置情報から「YY動物園」を施設情報として生成したならば、この「YY動物園」を訪れる際に活用できる情報が便利情報として関連付けられる。そして、「YY動物園」から「動物園全般」を施設情報として生成すれば、個別の動物園に限定されず、任意の動物園で活用できる情報が便利情報として関連付けられることになる。
【0043】
図10は、端末装置10が他の装置を介して便利情報の登録を行う場合の説明図である。
図10では、旅行から戻った後、ユーザがコンピュータ60に便利情報を入力している。また、コンピュータ60は、端末装置10から旅行先の位置情報を取得している。この位置情報は、例えば、旅行先で撮影した写真に埋め込まれたものを読み出すなど、任意の方法で取得すればよい。コンピュータ60は、位置情報と便利情報をサーバ30に送信する。サーバ30は、位置情報から施設情報を生成し、施設情報と便利情報を関連付けて便利情報データ43に追加する。
【0044】
上述してきたように、本実施の形態によれば、情報配信システムは、複数の端末装置10から送信された、施設に関する施設情報に関連付けられた持ち物及び/又はアドバイスに関する便利情報を記憶する記憶部32と、施設への訪問に係る所定の条件が成立した場合に、当該施設に係る便利情報を抽出する抽出部52と、抽出部52により抽出された便利情報を条件の成立に関与した端末装置10に送信する送信部53と、を備えるサーバ30と、施設への訪問実績に基づいて該施設の便利情報をサーバ30に登録する登録部22と、サーバ30から便利情報を受信して表示出力する出力部23と、のうち、少なくとも一方を備える端末装置10と、を有する。かかる構成及び動作により、情報配信システムは、ユーザの経験を活用し、より適切にユーザへアドバイスをおこなうことができる。
【0045】
また、抽出部52は、行先の候補地に施設が含まれることを所定の条件として用い、送信部53は、行先の候補地を指定した端末装置10に便利情報を送信することができる。このため、過去の経験から得られた知見を、次の訪問や他のユーザの訪問に活かすことができる。
【0046】
また、抽出部52は、施設までの距離が所定範囲内であることを所定の条件とし、送信部53は、施設までの距離が所定範囲内である端末装置に便利情報を送信することができる。このとき、抽出部52は、生活圏として設定された範囲外に所在する端末装置10であることをさらに条件として用いることもできる。このため、旅行先で空いた時間などに近傍の施設を有効利用することができる。
【0047】
また、登録部22は、自端末装置の位置情報を施設情報に利用することで、訪問の実績を有効利用し、施設情報を簡易に生成することができる。また、便利情報は、次回の訪問時に活用可能な情報が好適である。また、登録部22は、便利情報の公開対象を選択して設定することができる。
【0048】
また、本実施の形態によれば、端末装置10は、施設に関する施設情報と、施設情報に関連付けられた持ち物及び/又はアドバイスに関する便利情報とを入力可能な入力受付部21と、入力受付部21で受け付けた施設情報に関連付けられた便利情報又は施設情報をサーバ30へ送信し、入力受付部21で受け付けた施設情報に基づく便利情報をサーバ30から受信する通信部14と、通信部14が受信した便利情報を表示する表示部12と、を備える。かかる構成及び動作により、端末装置10は、ユーザの経験を活用し、より適切にユーザへアドバイスをおこなうことができる。
【0049】
また、本実施の形態によれば、端末装置10が、施設への訪問実績に基づいて、該施設に関連付けられた持ち物及び/又はアドバイスに関する便利情報をサーバ30に登録する登録ステップと、サーバ30が、施設への訪問に係る所定の条件が成立した場合に、当該施設に係る便利情報を抽出する抽出ステップと、サーバ30が、抽出ステップにより抽出された便利情報を条件の成立に関与した端末装置に送信する送信ステップと、端末装置10が、サーバ30から便利情報を受信して表示出力する出力ステップとを含む。かかる動作により、情報配信方法は、ユーザの経験を活用し、より適切にユーザへアドバイスをおこなうことができる。
【0050】
なお、本発明は上述した実施の形態に限定されるものではなく、構成及び動作を適宜変形して実施することができる。例えば、各種判定の順序や内容は適宜変更可能である。一例として、端末装置が近傍の施設や生活圏内に位置しているかを判定し、生活圏外で近傍に施設が存在する場合にサーバに対して問い合わせを行ってもよい。
【0051】
また、カレンダー機能を有するプログラムやサービスと連携し、次回の旅まで所定日数となったときに通知する、といった動作を行わせることもできる。また、ユーザの入力は、文字入力、音声入力など、任意の方法で行うことができる。