(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2021-189574(P2021-189574A)
(43)【公開日】2021年12月13日
(54)【発明の名称】ポインティングデバイス
(51)【国際特許分類】
G06F 3/0338 20130101AFI20211115BHJP
G06F 3/038 20130101ALI20211115BHJP
【FI】
G06F3/0338 411
G06F3/038 350D
【審査請求】有
【請求項の数】2
【出願形態】OL
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2020-91892(P2020-91892)
(22)【出願日】2020年5月27日
(11)【特許番号】特許第6814923号(P6814923)
(45)【特許公報発行日】2021年1月20日
(71)【出願人】
【識別番号】720003662
【氏名又は名称】横沢 聡
(72)【発明者】
【氏名】横沢 聡
【テーマコード(参考)】
5B087
【Fターム(参考)】
5B087AA06
5B087AA09
5B087AB01
5B087BC12
5B087BC17
5B087CC32
5B087DD03
5B087DD10
5B087DE07
(57)【要約】
【課題】高い操作性を維持しつつ狭い空間においても使用可能なポインティングデバイスを提供する。
【解決手段】PC100の表示画面102上に表示されるポインタPの移動操作を含むポインティング操作が可能に構成され、曲げ荷重が加えられたときに塑性変形して曲げ荷重が解除された状態においても変形した状態を維持するフレキシブルロッド3と、フレキシブルロッド3に配設されてフレキシブルロッド3の変形を検出して変形の量および向きに応じてポインタPを移動させるための検出信号を出力するロードセル4a〜4dと、フレキシブルロッド3に配設されて操作に応じた操作信号を出力させるための操作部5とを備えている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子機器の表示画面上に表示されるポインタの移動操作を含むポインティング操作を行うためのポインティングデバイスであって、
曲げ荷重が加えられたときに塑性変形して当該曲げ荷重が解除された状態においても変形した状態を維持するフレキシブルロッドと、前記フレキシブルロッドに配設されて当該フレキシブルロッドの変形を検出して当該変形の量および向きに応じて前記ポインタを移動させるための検出信号を出力する検出部と、前記フレキシブルロッドに配設されて操作に応じた操作信号を出力させるための操作部とを備えているポインティングデバイス。
【請求項2】
前記操作部には、操作時および非操作時のうちの予め指定されたいずれかのときにのみ前記フレキシブルロッドの塑性変形に伴う前記ポインタの移動を許容する操作ボタンが配設されている請求項1記載のポインティングデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器の表示画面上に表示されるポインタの移動操作を含むポインティング操作を行うためのポインティングデバイスに関するものである。
【背景技術】
【0002】
コンピュータに対してポインティング操作を行うためのポインティングデバイスとして、マウスが従来から知られている。マウスは、良好な操作性から優れたポインティングデバイスとして広く普及している。しかしながら、マウスを用いる操作では、所定の広さの操作用の平面が必要なため、狭い空間での使用を想定したノート型パソコンでは、マウスに代えて、ポインタの移動操作を指先で行うタッチパッドやポインティング・スティック等の指先操作タイプのポインティングデバイス(例えば、特開2000−163210号公報に開示されているタッチパッド、および特開2003−296016号公報に開示されているポインティングデバイス)が一般的に採用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−163210号公報(第2頁、
図1)
【特許文献2】特開2003−296016号公報(第3頁、
図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、従来の指先操作タイプのポインティングデバイスには、以下の問題点がある。すなわち、上記の指先操作タイプのポインティングデバイスは、コンパクトで操作用の平面を必要としないという利点がある反面、指先で操作するという特性上マウスと比較して操作性が極めて悪く、思い通りのポインティング操作ができないという問題点が存在する。
【0005】
本発明は、かかる問題点に鑑みてなされたものであり、高い操作性を維持しつつ狭い空間においても使用可能なポインティングデバイスを提供することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成すべく請求項1記載のポインティングデバイスは、電子機器の表示画面上に表示されるポインタの移動操作を含むポインティング操作を行うためのポインティングデバイスであって、曲げ荷重が加えられたときに塑性変形して当該曲げ荷重が解除された状態においても変形した状態を維持するフレキシブルロッドと、前記フレキシブルロッドに配設されて当該フレキシブルロッドの変形を検出して当該変形の量および向きに応じて前記ポインタを移動させるための検出信号を出力する検出部と、前記フレキシブルロッドに配設されて操作に応じた操作信号を出力させるための操作部とを備えている。
【0007】
また、請求項2記載のポインティングデバイスは、請求項1記載のポインティングデバイスにおいて、前記操作部には、操作時および非操作時のうちの予め指定されたいずれかのときにのみ前記フレキシブルロッドの塑性変形に伴う前記ポインタの移動を許容する操作ボタンが配設されている。
【発明の効果】
【0008】
請求項1に係るポインティングデバイスによれば、曲げ荷重が加えられたときに塑性変形するフレキシブルロッドと、フレキシブルロッドの変形を検出して検出信号を出力する検出部とを備えたことにより、フレキシブルロッドを塑性変形させることでポインタを任意の方向に移動量だけ移動させることができるため、高い操作性を維持しつつ狭い空間においても十分に使用することができる。
【0009】
また、請求項2に係るポインティングデバイスによれば、操作時および非操作時のうちの予め指定されたいずれかのときにのみフレキシブルロッドの塑性変形に伴うポインタの移動を許容する操作ボタンをフレキシブルロッドに配設したことにより、例えば、操作ボタンの操作時(押圧時)にポインタの移動を許容するように指定したときには、操作ボタンの操作状態で所望の向きにフレキシブルロッドを塑性変形させてその向きにポインタを移動させ、次いで操作ボタンの非操作状態でフレキシブルロッドを元の状態に戻した後に操作ボタンの操作状態で再び同じ向きにフレキシブルロッドを塑性変形させる操作を繰り返すことで、ポインタを大きく移動させる操作を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図2】ロードセル4a〜4dの配設状態を示す斜視図である。
【
図3】ポインティングデバイス1をPC100に取り付けた状態の斜視図である。
【
図4】ポインティングデバイス1の使用方法を説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明に係るポインティングデバイスの実施の形態について、添付図面を参照して説明する。
【0012】
最初に、本発明に係るポインティングデバイスの一例としてのポインティングデバイス1の構成について、添付図面を参照して説明する。
【0013】
図1に示すポインティングデバイス1は、電子機器の一例としての、
図3に示すノート型のPC(パーソナルコンピューター)100の表示画面102上に表示されるポインタPの移動操作を含むポインティング操作を行うためのデバイスであって、固定部2、フレキシブルロッド3、複数(一例として、4つ)のロードセル4a〜4d(以下、区別しないときには単に「ロードセル4」ともいう)、および操作部5を備えて構成されている。
【0014】
固定部2は、
図1に示すように、一例として、側面視コ字状に形成されてPC100の本体部101の縁部や、デスクトップ型パソコンのキーボード(図示省略)の縁部に嵌め込んで、例えばネジ止めによって固定可能に構成されている。また、固定部2には、フレキシブルロッド3の基端部を挿入させて保持する保持部21が形成されている。
【0015】
フレキシブルロッド3は、曲げ荷重が加えられたときに塑性変形して曲げ荷重が解除された状態においても変形した状態を維持可能に構成されている。具体的には、フレキシブルロッド3は、軟質の樹脂(一例として、塩化ビニール)で形成された筒体と、筒体の内部に挿入(充填)された軟質の金属(一例として、鉛や軟質のアルミニウム)等で形成された芯材とを備えて構成されている。また、フレキシブルロッド3は、
図1に示すように、基端部(同図における下端部)が固定部2に形成された保持部21に挿入された状態で保持されている。なお、フレキシブルロッド3は、上記の構造に限定されず、曲げ荷重が加えられたときに塑性変形して曲げ荷重が解除された状態においても変形した状態を維持可能である限り、蛇腹構造や継ぎ手構造(ジョイント構造)等の各種の構造を採用することができる。
【0016】
ロードセル4a〜4dは、
図2に示すように、フレキシブルロッド3の外周面の周方向に等間隔に並ぶように(各ロードセル4a〜4dの中心同士を結ぶ直線が互いに直角に交差するように)配設されて、フレキシブルロッド3の塑性変形に応じた(塑性変形量に応じた強度の)検出信号を出力する。この場合、4つのロードセル4a〜4dが等間隔に並んでいるため、各ロードセル4a〜4dから出力される各検出信号をPC100が処理することで、フレキシブルロッド3の塑性変形の量および塑性変形の向きに応じて、PC100の表示画面102上に表示されるポインタPが移動される。
【0017】
操作部5は、
図1に示すように、第1ボタン51、第2ボタン52および操作ボタン53を備えて構成され、操作に応じた操作信号を出力させるために用いられる。また、操作部5は、フレキシブルロッド3の先端部(同図における上端部)に取り付けられている。この場合、第1ボタン51は、通常のマウスにおける右ボタンおよび左ボタンのいずれか一方と同様に機能させることができ、第2ボタン52は、通常のマウスにおける右ボタンおよび左ボタンのいずれか他方と同様に機能させることができる。また、操作ボタン53は、操作時および非操作時のうちの、後述する動作設定によって予め指定されたいずれかのときにのみ、ポインタPの移動を許容する機能を有している。
【0018】
次に、ポインティングデバイス1の使用方法について、図面を参照して説明する。なお、ポインティングデバイス1を用いてポインティング操作を行うPC100には、ポインティングデバイス1の駆動用ドライバーや、ポインティングデバイス1の動作設定を行うためのユーティリティソフトが予めインストールされているものとする。
【0019】
まず、
図3,4に示すように、ポインティングデバイス1をPC100に取り付ける。具体的には、固定部2をPC100の本体部101の縁部に嵌め込み、次いで、ネジ22(
図4参照)を締め込んで固定する。次いで、固定部2に配設されている図外のUSBケーブルをPC100に接続する。この際に、PC100のプラグアンドプレイ機能によってポインティングデバイス1が認識される。
【0020】
次いで、PC100にインストールされているユーティリティソフトを起動して動作設定を行う。この動作設定では、操作部5の操作ボタン53を操作時(押圧時)、および非操作時(非押圧時)のいずれのときにポインタPの移動を許容するかを指定する。この場合、この例では、操作ボタン53の操作時にポインタPの移動を許容するように指定したものとする。以上により、ポインティングデバイス1が使用可能な状態となる。
【0021】
この状態において、ポインタPを例えば右側に移動させるときには、ポインティングデバイス1の操作部5を把持して操作部5の操作ボタン53を操作(押圧)した状態で、フレキシブルロッド3を右側に(
図4における破線で示す状態から実線で示す状態に)変形(塑性変形)させる。この際に、フレキシブルロッド3の外周面に配設されているロードセル4a〜4dからフレキシブルロッド3の変形量に応じた検出信号が出力され、PC100が検出信号を入力して処理することにより、フレキシブルロッド3の右側への変形量に応じた移動量だけポインタPが右側に移動する。次いで、フレキシブルロッド3の右側への変形量の増加を停止したとき、または操作ボタン53に対する操作を解除したとき(非操作状態となったとき)には、ポインタPがその時点の位置で停止する。
【0022】
一方、フレキシブルロッド3を右側に大きく変形させ、それ以上の変形が困難となった状態で、さらにポインタPを右側に移動させたいときには、操作ボタン53を操作しない状態(非操作状態)で、フレキシブルロッド3を左側に(
図4における実線で示す状態から破線で示す状態に)変形させ、次いで、操作ボタン53を操作した状態(操作状態)で再びフレキシブルロッド3を右側に変形させる。このような操作を繰り返すことで、ポインタPを右側に任意の移動量で移動させることが可能となる。また、上記した各操作においてフレキシブルロッド3の変形方向を変えることで、ポインタPを任意の方向に任意の移動量で移動させることができる。次いで、ポインタPを所望の位置まで移動させた状態で第1ボタン51や第2ボタン52を操作することで、PC100に対して所定の処理の指示を行う。
【0023】
この場合、このポインティングデバイス1に対する上記の各操作は、マウスを用いる操作とは異なってマウスを動かすための平面領域が不要なため、PC100を狭い空間で使用する際に特に有用である。また、フレキシブルロッド3を塑性変形させることでポインタPを任意の方向に任意の移動量だけ移動させることができるため、フラットパネル等の指先操作型の従来のポインティングデバイスと比較して、マウスの操作に近い操作感覚でポインティング操作を行うことができるため、操作性を格段に向上させることができる。
【0024】
このように、このポインティングデバイス1によれば、曲げ荷重が加えられたときに塑性変形するフレキシブルロッド3と、フレキシブルロッド3の変形を検出して検出信号を出力するロードセル4とを備えたことにより、フレキシブルロッド3を塑性変形させることでポインタPを任意の方向に移動量だけ移動させることができるため、高い操作性を維持しつつ狭い空間においても十分に使用することができる。
【0025】
また、このポインティングデバイス1によれば、操作時および非操作時のうちの予め指定されたいずれかのときにのみフレキシブルロッド3の塑性変形に伴うポインタPの移動を許容する操作ボタン53を配設したことにより、例えば、操作ボタン53の操作状態でポインタの移動を許容するように指定したときには、操作ボタン53の操作状態で所望の向きにフレキシブルロッド3を塑性変形させてその向きにポインタを移動させ、次いで操作ボタン53の非操作状態でフレキシブルロッド3を元の状態に戻した後に操作ボタン53の操作状態で再び同じ向きにフレキシブルロッド3を塑性変形させる操作を繰り返すことで、ポインタを大きく移動させる操作を容易に行うことができる。
【0026】
なお、本発明は、上記した構成に限定されず、使用方法も、上記の使用方法に限定されない。例えば、PC100にポインティングデバイス1を取り付けて使用する例について上記したが、デスクトップ型パソコンのキーボードに取り付けて使用することもできる。また、PC100の本体部101やデスクトップ型パソコンのキーボードに対して着脱可能にポインティングデバイス1を構成した例について上記したが、PC100の本体部101やデスクトップ型パソコンのキーボードにポインティングデバイス1を予め取り付ける構成を採用することもできる。また、パソコン以外の各種電子機器におけるポインティング操作にポインティングデバイス1を用いることができる
【0027】
また、4つのロードセル4を備えた構成例について上記したが、ロードセル4の数は4つに限定されず、任意の数に規定することができる。また、操作ボタン53を押圧しているときにポインタPの移動を許容するように指定した例について上記したが、これらの指定は、使用形態や使用者の好みに応じて任意に変更することができる。
【符号の説明】
【0028】
1 ポインティングデバイス
3 フレキシブルロッド
5 操作部
4a〜4d ロードセル
53 操作ボタン
100 PC
102 表示画面
P ポインタ