特開2021-189604(P2021-189604A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 村田機械株式会社の特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2021-189604(P2021-189604A)
(43)【公開日】2021年12月13日
(54)【発明の名称】台車システム、及び台車の制御方法
(51)【国際特許分類】
   G05D 1/02 20200101AFI20211115BHJP
【FI】
   G05D1/02 P
   G05D1/02 G
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【全頁数】33
(21)【出願番号】特願2020-92387(P2020-92387)
(22)【出願日】2020年5月27日
(71)【出願人】
【識別番号】000006297
【氏名又は名称】村田機械株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107836
【弁理士】
【氏名又は名称】西 和哉
(74)【代理人】
【識別番号】100105946
【弁理士】
【氏名又は名称】磯野 富彦
(72)【発明者】
【氏名】原崎 一見
【テーマコード(参考)】
5H301
【Fターム(参考)】
5H301AA02
5H301BB05
5H301CC03
5H301CC06
5H301CC10
5H301EE02
5H301EE12
5H301KK04
5H301KK07
5H301KK18
(57)【要約】
【課題】前進及び後退可能な走行路における渋滞の発生を抑制すること。
【解決手段】台車システムSYSは、走行路Rと、走行路Rを走行する複数の台車100と、コントローラ200と、を有する台車システムSYSであって、走行路Rは、第1走行路Raと、前進のみ可能で且つ第1走行路Raの分岐部Brから一方向の第2走行路Rbと、前進及び後退可能で且つ第1走行路Raの分岐部Brから他方向の第3走行路Rcとを含み、コントローラ200は、第3走行路Rcに1の台車100が存在する場合、又は、第3走行路Rcに1の台車100も存在せず且つ第3走行路Rcに進入予定の1の台車100が存在する場合に、第3走行路Rcに他の台車100が進入することを禁止する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行路と、前記走行路を走行する複数の台車と、コントローラと、を有する台車システムであって、
前記走行路は、
第1走行路と、前進のみ可能で且つ前記第1走行路の分岐部から一方向の第2走行路と、前進及び後退可能で且つ前記第1走行路の前記分岐部から他方向の第3走行路とを含み、
前記コントローラは、
前記第3走行路に1の前記台車が存在する場合、又は、前記第3走行路に1の前記台車も存在せず且つ前記第3走行路に進入予定の1の前記台車が存在する場合に、前記第3走行路に他の前記台車が進入することを禁止する、台車システム。
【請求項2】
複数の前記台車は、前記第1走行路の所定位置で前進と後退とを切り替え可能である、請求項1に記載の台車システム。
【請求項3】
複数の前記台車は、前記分岐部からの進行方向に関する情報を前記コントローラに送信し、
前記コントローラは、前記第3走行路の方向である前記進行方向に関する情報を1の前記台車から受けて、前記第3走行路への1の前記台車の進入を許可した場合に、前記第3走行路に他の前記台車が進入することを禁止する、請求項1又は請求項2に記載の台車システム。
【請求項4】
複数の前記台車は、前記分岐部からの進行方向に関する情報を前記コントローラに送信し、
前記コントローラは、前記分岐部を含んで設定されたブロッキングエリアと前記第3走行路とを関連付けて記憶しており、前記第3走行路の方向である前記進行方向に関する情報を1の前記台車から受けて、前記第3走行路への1の前記台車の進入を許可した後に、前記第3走行路の方向である前記進行方向に関する情報を後続の1以上の他の前記台車から受けた場合に、前記ブロッキングエリアの通過許可を後続の1以上の他の前記台車に与えない、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の台車システム。
【請求項5】
複数の前記台車は、前記分岐部を含んで設定されたブロッキングエリアの通過要求と、前記分岐部からの進行方向に関する情報とを前記コントローラに送信し、
前記コントローラは、前記ブロッキングエリアの通過要求と、前記第2走行路の方向である前記進行方向に関する情報とを1の前記台車から受けて、前記ブロッキングエリアに他の前記台車が存在しなければ、前記ブロッキングエリアの通過許可を1の前記台車に送る、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の台車システム。
【請求項6】
走行路と、前記走行路を走行する複数の台車と、コントローラと、を有する台車システムであって、
前記走行路は、
前進のみ可能で且つ合流部に一方向から合流する第1走行路と、前記合流部から先の第2走行路と、前進及び後退可能で且つ前記合流部に他方向から合流する第3走行路とを含み、
前記コントローラは、
前記第3走行路に1の前記台車が存在する場合、又は、前記第3走行路に1の前記台車も存在せず且つ前記第3走行路に進入予定の1の前記台車が存在する場合に、前記第3走行路に他の前記台車が進入することを禁止する、台車システム。
【請求項7】
複数の前記台車は、前記第2走行路の所定位置で前進と後退とを切り替え可能である、請求項6に記載の台車システム。
【請求項8】
複数の前記台車は、前記合流部からの進行方向に関する情報を前記コントローラに送信し、
前記コントローラは、前記第3走行路の方向である前記進行方向に関する情報を1の前記台車から受けて、前記第3走行路への1の前記台車の進入を許可した場合に、前記第3走行路に他の前記台車が進入することを禁止する、請求項6又は請求項7に記載の台車システム。
【請求項9】
複数の前記台車は、前記合流部からの進行方向に関する情報を前記コントローラに送信し、
前記コントローラは、前記合流部を含んで設定されたブロッキングエリアと前記第3走行路とを関連付けて記憶しており、前記第3走行路の方向である前記進行方向に関する情報を1の前記台車から受けて、前記第3走行路への1の前記台車の進入を許可した後に、前記第3走行路の方向である前記進行方向に関する情報を後続の1以上の他の前記台車から受けた場合に、前記ブロッキングエリアの通過許可を後続の1以上の他の前記台車に与えない、請求項6から請求項8のいずれか一項に記載の台車システム。
【請求項10】
複数の前記台車は、前記合流部を含んで設定されたブロッキングエリアの通過要求と、前記合流部からの進行方向に関する情報とを前記コントローラに送信し、
前記コントローラは、前記ブロッキングエリアの通過要求と、前記第2走行路の方向である前記進行方向に関する情報とを1の前記台車から受けて、前記ブロッキングエリアに他の前記台車が存在しなければ、前記ブロッキングエリアの通過許可を1の前記台車に送る、請求項6から請求項9のいずれか一項に記載の台車システム。
【請求項11】
前記コントローラは、前記第3走行路に1の前記台車が存在する場合、又は、前記第3走行路に1の前記台車も存在せず且つ前記第3走行路に進入予定の1の前記台車が存在する場合に、他の前記台車に前記第3走行路の走行指令を割り付けない、請求項1から請求項10のいずれか一項に記載の台車システム。
【請求項12】
前記第3走行路は、位置情報を提供可能な位置提供ポイントを含み、
前記第3走行路を走行する1の前記台車は、前記位置提供ポイントから取得した前記位置情報を前記コントローラに送信し、
前記コントローラは、前記第3走行路を走行する1の前記台車から受信した前記位置情報に基づいて、前記第3走行路に1の前記台車が存在する場合に、前記第3走行路に他の前記台車が進入することを禁止する、請求項1から請求項11のいずれか一項に記載の台車システム。
【請求項13】
前記コントローラは、前記ブロッキングエリアの通過許可を1の前記台車に送った後に、前記ブロッキングエリアの通過要求を後続の1以上の他の前記台車から受けると、先行する前記台車が前記ブロッキングエリアに存在していても、前記ブロッキングエリアの通過許可を後続の1以上の他の前記台車に送る、請求項5又は請求項10に記載の台車システム。
【請求項14】
走行路を走行する複数の台車の制御方法であって、
前記走行路は、
第1走行路と、前進のみ可能で且つ前記第1走行路の分岐部から一方向の第2走行路と、前進及び後退可能で且つ前記第1走行路の前記分岐部から他方向の第3走行路とを含み、
前記第3走行路に1の前記台車が存在する場合、又は、前記第3走行路に1の前記台車も存在せず且つ前記第3走行路に進入予定の1の前記台車が存在する場合に、前記第3走行路に他の前記台車が進入することを禁止すること、を含む、台車の制御方法。
【請求項15】
走行路を走行する複数の台車の制御方法であって、
前記走行路は、
前進のみ可能で且つ合流部に一方向から合流する第1走行路と、前記合流部から先の第2走行路と、前進及び後退可能で且つ前記合流部に他方向から合流する第3走行路とを含み、
前記第3走行路に1の前記台車が存在する場合、又は、前記第3走行路に1の前記台車も存在せず且つ前記第3走行路に進入予定の1の前記台車が存在する場合に、前記第3走行路に他の前記台車が進入することを禁止すること、を含む、台車の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、台車システム、及び台車の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、半導体デバイスの製造工場等では、半導体ウエハ又はレチクルを収容した荷物を搬送する台車システムが利用される。特許文献1では、行き止まり区間に搬送車の行き先を含み、搬送車の行き止まり区間への走行時に、行き先までの複数のエリアを一括してロックし、走行済みのエリアのロックを解除することで、行き止まり区間を複数の搬送車が走行可能とする技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−119830号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1において、搬送車は、行き止まり区間への進入、行き止まり区間からの退出のために、行き止まり区間においては前進と後退とにより走行する。この結果、従来技術では、行き止まり区間にかかる台車制御が煩雑なうえ、1の方向のみを走行可能とする走行路よりも台車の渋滞が発生しやすい。
【0005】
本発明は、前進及び後退可能な走行路における渋滞の発生を抑制することが可能な台車システム、及び台車の制御方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の態様に係る台車システムは、走行路と、走行路を走行する複数の台車と、コントローラと、を有する台車システムであって、走行路は、第1走行路と、前進のみ可能で且つ第1走行路の分岐部から一方向の第2走行路と、前進及び後退可能で且つ第1走行路の分岐部から他方向の第3走行路とを含み、コントローラは、第3走行路に1の台車が存在する場合、又は、第3走行路に1の台車も存在せず且つ第3走行路に進入予定の1の台車が存在する場合に、第3走行路に他の台車が進入することを禁止する。
【0007】
本発明の態様に係る台車システムは、走行路と、走行路を走行する複数の台車と、コントローラと、を有する台車システムであって、走行路は、前進のみ可能で且つ合流部に一方向から合流する第1走行路と、合流部から先の第2走行路と、前進及び後退可能で且つ合流部に他方向から合流する第3走行路とを含み、コントローラは、第3走行路に1の台車が存在する場合、又は、第3走行路に1の台車も存在せず且つ第3走行路に進入予定の1の台車が存在する場合に、第3走行路に他の台車が進入することを禁止する。
【0008】
本発明の態様に係る台車の制御方法は、走行路を走行する複数の台車の制御方法であって、走行路は、第1走行路と、前進のみ可能で且つ第1走行路の分岐部から一方向の第2走行路と、前進及び後退可能で且つ第1走行路の分岐部から他方向の第3走行路とを含み、第3走行路に1の台車が存在する場合、又は、第3走行路に1の台車も存在せず且つ第3走行路に進入予定の1の台車が存在する場合に、第3走行路に他の台車が進入することを禁止すること、を含む。
【0009】
本発明の態様に係る台車の制御方法は、走行路を走行する複数の台車の制御方法であって、走行路は、前進のみ可能で且つ合流部に一方向から合流する第1走行路と、合流部から先の第2走行路と、前進及び後退可能で且つ合流部に他方向から合流する第3走行路とを含み、第3走行路に1の台車が存在する場合、又は、第3走行路に1の台車も存在せず且つ第3走行路に進入予定の1の台車が存在する場合に、第3走行路に他の台車が進入することを禁止すること、を含む。
【発明の効果】
【0010】
本発明の態様に係る台車システムは、分岐部を含む走行路において、第3走行路に1の台車が存在する場合、又は、第3走行路に1の台車も存在せず且つ第3走行路に進入予定の1の台車が存在する場合に、第3走行路に他の台車が進入することを禁止するので、前進及び後退可能な走行路における渋滞の発生を抑制することができる。
【0011】
また、上記態様の台車システムにおいて、複数の台車が、第1走行路の所定位置で前進と後退とを切り替え可能であってもよい。この態様によれば、スイッチバックにより走行方向を切り替える形態において、前進及び後退可能な走行路における渋滞の発生を抑制することができる。また、上記態様の台車システムにおいて、複数の台車が、分岐部からの進行方向に関する情報をコントローラに送信し、コントローラが、第3走行路の方向である進行方向に関する情報を1の台車から受けて、第3走行路への1の台車の進入を許可した場合に、第3走行路に他の台車が進入することを禁止してもよい。この態様によれば、第3走行路への進入を1の台車に制限するので、前進及び後退可能な走行路における渋滞の発生を抑制することができる。また、上記態様の台車システムにおいて、複数の台車が、分岐部からの進行方向に関する情報をコントローラに送信し、コントローラが、分岐部を含んで設定されたブロッキングエリアと第3走行路とを関連付けて記憶しており、第3走行路の方向である進行方向に関する情報を1の台車から受けて、第3走行路への1の台車の進入を許可した後に、第3走行路の方向である進行方向に関する情報を後続の1以上の他の台車から受けた場合に、ブロッキングエリアの通過許可を後続の1以上の他の台車に与えなくてもよい。この態様によれば、ブロッキングエリアと第3走行路とを関連付けた台車制御を行うので、ブロッキングエリアと関連付けた前進及び後退可能な第3走行路における渋滞の発生を抑制することができる。また、上記態様の台車システムにおいて、複数の台車が、分岐部を含んで設定されたブロッキングエリアの通過要求と、分岐部からの進行方向に関する情報とをコントローラに送信し、コントローラが、ブロッキングエリアの通過要求と、第2走行路の方向である進行方向に関する情報とを1の台車から受けて、ブロッキングエリアに他の台車が存在しなければ、ブロッキングエリアの通過許可を1の台車に送ってもよい。この態様によれば、ブロッキングエリアと関連付けしていない走行路を進行方向とする台車に対して、構成の変更等を要することなく制御することができる。
【0012】
本発明の態様に係る台車システムは、合流部を含む走行路において、第3走行路に1の台車が存在する場合、又は、第3走行路に1の台車も存在せず且つ第3走行路に進入予定の1の台車が存在する場合に、第3走行路に他の台車が進入することを禁止するので、前進及び後退可能な走行路における渋滞の発生を抑制することができる。
【0013】
また、上記態様の台車システムにおいて、複数の台車が、第2走行路の所定位置で前進と後退とを切り替え可能であってもよい。この態様によれば、スイッチバックにより走行方向を切り替える形態において、前進及び後退可能な走行路における渋滞の発生を抑制することができる。また、上記態様の台車システムにおいて、複数の台車が、合流部からの進行方向に関する情報をコントローラに送信し、コントローラが、第3走行路の方向である進行方向に関する情報を1の台車から受けて、第3走行路への1の台車の進入を許可した場合に、第3走行路に他の台車が進入することを禁止してもよい。この様態によれば、第3走行路への進入を1の台車に制限するので、前進及び後退可能な走行路における渋滞の発生を抑制することができる。また、上記態様の台車システムにおいて、複数の台車が、合流部からの進行方向に関する情報をコントローラに送信し、コントローラが、合流部を含んで設定されたブロッキングエリアと第3走行路とを関連付けて記憶しており、第3走行路の方向である進行方向に関する情報を1の台車から受けて、第3走行路への1の台車の進入を許可した後に、第3走行路の方向である進行方向に関する情報を後続の1以上の他の台車から受けた場合に、ブロッキングエリアの通過許可を後続の1以上の他の台車に与えなくてもよい。この態様によれば、ブロッキングエリアと第3走行路とを関連付けた台車制御を行うので、ブロッキングエリアと関連付けた前進及び後退可能な第3走行路における渋滞の発生を抑制することができる。また、上記態様の台車システムにおいて、複数の台車が、合流部を含んで設定されたブロッキングエリアの通過要求と、合流部からの進行方向に関する情報とをコントローラに送信し、コントローラが、ブロッキングエリアの通過要求と、第2走行路の方向である進行方向に関する情報とを1の台車から受けて、ブロッキングエリアに他の台車が存在しなければ、ブロッキングエリアの通過許可を1の台車に送ってもよい。この態様によれば、ブロッキングエリアと関連付けしていない走行路を進行方向とする台車に対して、構成の変更等を要することなく制御することができる。
【0014】
また、上記態様の台車システムにおいて、コントローラが、第3走行路に1の台車が存在する場合、又は、第3走行路に1の台車も存在せず且つ第3走行路に進入予定の1の台車が存在する場合に、他の台車に第3走行路の走行指令を割り付けなくてもよい。この態様によれば、第3走行路への進入を1の台車に制限するので、前進及び後退可能な走行路における渋滞の発生を抑制することができる。また、上記態様の台車システムにおいて、第3走行路が、位置情報を提供可能な位置提供ポイントを含み、第3走行路を走行する1の台車が、位置提供ポイントから取得した位置情報をコントローラに送信し、コントローラが、第3走行路を走行する1の台車から受信した位置情報に基づいて、第3走行路に1の台車が存在する場合に、第3走行路に他の台車が進入することを禁止してもよい。この態様によれば、ブロッキングエリアと関連付けた第3走行路における台車の位置情報をコントローラが取得可能であるので、第3走行路に進入可能な台車を1とする制御を好適に行える。また、上記態様の台車システムにおいて、コントローラが、ブロッキングエリアの通過許可を1の台車に送った後に、ブロッキングエリアの通過要求を後続の1以上の他の台車から受けると、先行する台車がブロッキングエリアに存在していても、ブロッキングエリアの通過許可を後続の1以上の他の台車に送ってもよい。この態様によれば、ブロッキングエリアと関連付けられていない走行路を進行方向とする台車の走行の効率を向上できるので、第3走行路からの台車の退出の効率も向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】第1実施形態に係る台車システムの一例を示す図である。
図2】第1実施形態に係る台車の一例を示す図である。
図3】第1実施形態に係る台車及びコントローラの構成例を示すブロック図である。
図4】第1実施形態に係るコントローラが記憶する状態情報の例を示す図である。
図5】第1実施形態に係るコントローラが記憶するルート情報及びポイントの属性情報の例を示す図である。
図6】第1実施形態に係るブロッキングエリアへ進入する台車における処理の流れの例を示すフローチャートである。
図7】第1実施形態に係る第3走行路を進行方向とする情報を含むブロッキングエリアの通過要求を受信したコントローラによる処理の流れの例を示すフローチャートである。
図8】第1実施形態に係る第3走行路を進行方向としてブロッキングエリアに進入する台車の例を示す図である。
図9】第1実施形態に係る第3走行路を進行方向としてブロッキングエリアに進入する台車の例を示す図である。
図10】第1実施形態に係るロードポートに向けて第3走行路を走行する台車の例を示す図である。
図11】第1実施形態に係るロードポートに向けて第3走行路を走行する台車の例を示す図である。
図12】第1実施形態に係る第3走行路から第2走行路に向けて走行する台車による処理の流れの例を示すフローチャートである。
図13】第1実施形態に係るスイッチバックにより走行する台車の例を示す図である。
図14】第1実施形態に係るスイッチバックにより走行する台車の例を示す図である。
図15】第1実施形態に係るスイッチバックにより走行する台車の例を示す図である。
図16】第1実施形態に係るスイッチバックにより走行する台車の例を示す図である。
図17】第1実施形態に係る第2走行路を進行方向とする情報を含むブロッキングエリアの通過要求を受信したコントローラによる処理の流れの例を示すフローチャートである。
図18】第1実施形態に係る第2走行路を進行方向としてブロッキングエリアを通過する台車の例を示す図である。
図19】第1実施形態に係る第2走行路を進行方向としてブロッキングエリアを通過する台車の例を示す図である。
図20】第1実施形態に係る第2走行路を進行方向としてブロッキングエリアを通過する台車の例を示す図である。
図21】第1実施形態に係る行き止まりを含まない第3走行路を有する台車システムの一例を示す図である。
図22】第2実施形態に係る台車システムの一例を示す図である。
図23】第2実施形態に係る台車及びコントローラの構成例を示すブロック図である。
図24】第2実施形態に係る第3走行路を進行方向としてブロッキングエリアに進入する台車の例を示す図である。
図25】第2実施形態に係る第3走行路を進行方向としてブロッキングエリアに進入する台車の例を示す図である。
図26】第2実施形態に係るロードポートに向けて第3走行路を走行する台車の例を示す図である。
図27】第2実施形態に係るロードポートに向けて第3走行路を走行する台車の例を示す図である。
図28】第2実施形態に係るロードポートに向けて第3走行路を走行する台車の例を示す図である。
図29】第2実施形態に係る第3走行路から第2走行路に向けて走行する台車の例を示す図である。
図30】第2実施形態に係る第3走行路から第2走行路に向けて走行する台車の例を示す図である。
図31】第2実施形態に係る第3走行路から第2走行路に向けて走行する台車の例を示す図である。
図32】第2実施形態に係る第3走行路から第2走行路に向けて走行する台車の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、実施形態について図面を参照して説明する。なお、本発明は、以下に説明する形態に限定されない。また、図面では、実施形態を説明するために、一部分を拡大、縮小、及び強調して記載する等、縮尺を適宜変更して表現する場合がある。図面においては、XYZ直交座標系を用いて、図中の方向を説明する場合がある。XYZ直交座標系においては、鉛直方向をZ方向とし、水平方向をX方向、Y方向とする。また、各方向(例、X方向)においては、矢印の向きを+側(例、+X側)と称し、矢印の向きとは反対側を−側(例、−X側)と称する場合がる。
【0017】
[第1実施形態]
図1は、第1実施形態に係る台車システムの一例を示す図である。台車システムSYSは、走行路Rと、走行路Rを走行する複数の台車100と、コントローラ200とを有する。台車システムSYSは、例えば、半導体デバイスの製造工場等に設置される搬送システムであり、半導体デバイスの製造に用いられる半導体ウエハを収容したFOUP(Front‐Opening Unified Pod)、又はレチクル等の加工用部材を収容したレチクルポッド等の容器を搬送する。
【0018】
台車100は、例えば天井走行車である。第1実施形態では、各台車100を個別に区別しない場合に「台車100a」と記載し、個別に区別する場合に「台車100a」、「台車100a」、「台車100a」等と記載する。走行路Rは、例えばクリーンルームの天井等に設けられる走行レールである。走行路Rは、走行路の分岐を示す分岐部Brを含む。すなわち、走行路Rは、1つの走行レールが分岐部Brから複数(例、2つ)の走行レールに分岐する。走行路Rは、例えば、第1走行路Raと、前進のみ可能で且つ第1走行路Raの分岐部Brから一方向の第2走行路Rbと、前進及び後退可能で且つ第1走行路Raの分岐部Brから他方向の第3走行路Rcとを含む。第1走行路Raは、分岐部Brに対して上流側の走行路である。第2走行路Rb及び第3走行路Rcは、分岐部Brに対して下流側の走行路である。図1では、第2走行路Rbにおいて前進のみ可能であることを一方方向のブロック矢印で示している。同様に、図1では、第3走行路Rcにおいて前進及び後退可能であることを両方向のブロック矢印で示している。
【0019】
台車システムSYSでは、分岐部Brを含むブロッキングエリアBAが設定される。ブロッキングエリアBAでは、台車100aの進入(通過)が規制される。原則として、ブロッキングエリアBAは、1の台車100aのみが進入可能とする。コントローラ200は、複数の台車100aを制御する。例えば、台車100aは、ブロッキングエリアBAに進入する場合、ブロッキングエリアBAの通過要求をコントローラ200に送信する。そして、台車100aは、コントローラ200から通過許可を受信した場合に、ブロッキングエリアBAに進入する。一方、台車100aは、コントローラ200からの通過許可を受信していない場合、ブロッキングエリアBAに進入しない。
【0020】
ブロッキングエリアBAの通過要求は、ブロッキングエリアBAから一定距離以上離れた上流の走行路Rの位置で送信可能である。従って、台車100aは、ブロッキングエリアBAの通過許可を得られないまま、ブロッキングエリアBAの手前のポイントAPの近傍まで走行し、ポイントAPの近傍で停車する場合がある。ポイントAPは、ブロッキングエリアBAの通過許可を得られていない台車100aの許可待ちポイントとなり得る。
【0021】
第3走行路Rcは、例えば、行き止まりを含む。また、第3走行路Rcの区間には、第3走行路Rcに沿ってロードポートLPが配置される。ロードポートLPには、台車100aが搬送する物品(例、容器)が保管される。台車100aは、第1走行路Raから分岐部Brを介して第3走行路Rcに進入し、ロードポートLPまで前進により走行して、搬送する物品(例、容器)を荷つかみする。そして、台車100aは、走行路R(第1走行路Ra)の所定位置であるスイッチバックポイントSBまで後退により走行して、スイッチバックポイントSBにて前進と後退とを切り替えて、不図示の搬送先のロードポートまで前進により走行し、物品(例、容器)を荷下ろしする。なお、ロードポートLPの数は、1に限られない。
【0022】
走行路Rは、処理装置TSやストッカ(自動倉庫)等に隣接して設けられる。処理装置TSは、例えば、露光装置、コータディベロッパ、製膜装置、又はエッチング装置等であり、台車100aが搬送する容器内の半導体ウエハに各種処理を施す。ストッカは、台車100aが搬送する容器を保管する。上述したロードポートLPは、例えば、処理装置TS、ストッカ等のロードポートである。なお、台車100aは、地上走行する有軌道台車等でもよい。地上走行する有軌道台車である場合、走行路Rは、床等に設けられる。
【0023】
台車100aは、自身の状態情報をコントローラ200に送信する。コントローラ200は、台車100aから受信した状態情報に基づいて、走行指令を生成する。台車100aは、コントローラ200からの走行指令を受けて走行路Rを走行する。走行指令は、物品(例、容器)を搬送する台車100aが走行する予定の走行経路の情報を含む。走行経路の情報は、台車100aの出発地から目的地までの走行経路の少なくとも一部を指定する情報である。
【0024】
コントローラ200は、分岐部Brを走行予定(通過予定)の台車100aに対して、ブロッキングエリアBAへの進入の許可を制御する。台車100aは、ブロッキングエリアBAへの進入がコントローラ200によって許可されている場合に、ブロッキングエリアBAに進入する。一方、台車100aは、ブロッキングエリアBAへの進入がコントローラ200によって許可されていない場合に、ブロッキングエリアBAの手前のポイントAPに停止する、又はポイントAPに向かって減速しながら走行する。
【0025】
上述した構成において、台車100aは、分岐部Brから第3走行路Rcの方向である進行方向に関する情報(進行方向を示す情報)を含む、ブロッキングエリアBAの通過要求をコントローラ200に送る。コントローラ200は、ブロッキングエリアBAの通過要求を台車100aから受けると、第3走行路Rcに1の台車100aが存在する場合、又は、第3走行路Rcに1の台車100aも存在せず且つ第3走行路Rcに進入予定の1の台車100aが存在する場合に、第3走行路Rcに他の台車100aが進入することを禁止する。すなわち、コントローラ200は、第3走行路Rcに既に1の台車100aが存在する場合に、他の台車100aを第3走行路Rcに進入させないように制御する。また、コントローラ200は、第3走行路Rcに1の台車100aが存在しなくても、第3走行路Rcに進入予定の1の台車100aが存在する場合に、他の台車100aを第3走行路Rcに進入させないように制御する。
【0026】
台車システムSYSは、第3走行路Rcに台車100aが存在する場合、又は、第3走行路Rcに台車100aが存在しなくても、第3走行路Rcに進入予定の台車100aが存在する場合に、他の台車100aを第3走行路Rcに進入させない。この結果、台車システムSYSは、前進及び後退可能な走行路における渋滞の発生を抑制することができる。換言すると、台車システムSYSは、行き止まりを含む第3走行路Rcに1の台車100aのみを進入可能に制御するので、第3走行路Rcにおける渋滞の発生を抑制することができる。
【0027】
図2は、第1実施形態に係る台車の一例を示す図である。図2に示すように、台車100aは、建屋の天井10等から吊り下げられた走行路Rに沿って+X方向に走行し、走行路Rの下方、又は下方且つ側方(Y方向を含む方向)に配置された荷つかみ先で物品Wの荷つかみを行う。また、台車100aは、走行路Rの下方、又は下方且つ側方に配置された荷下ろし先で物品Wの荷下ろしを行う。台車100aは、車載装置110を備える。車載装置110は、コントローラ200から送信される走行指令に従って台車100aを制御する。台車100aは、車載装置110に制御され、各種動作を行う。
【0028】
台車100aは、走行部13と、本体部14とを備える。走行部13は、車輪15を備え、後述する駆動装置150により走行路Rに沿って走行する。本体部14は、走行部13の下方に吊り下げられた状態で設けられる。本体部14は、移載装置17を備える。移載装置17は、物品Wを保持する物品保持部18と、物品保持部18を昇降させる昇降駆動部20と、昇降駆動部20を走行路Rの側方(+Y方向、又は−Y方向)に移動させる横出し機構21とを備える。
【0029】
物品保持部18は、移動可能な爪部18aを有するチャックであり、爪部18aを物品Wのフランジ部Waの下方に進入させて、物品Wを吊り下げて保持する。物品保持部18は、ワイヤ又はベルト等の吊り下げ部材18bと接続される。昇降駆動部20は、例えば、ホイストであり、吊り下げ部材18bを繰り出す又は巻き取ることにより、物品保持部18を昇降させる。横出し機構21は、複数の可動板をスライドさせることにより、物品保持部18及び昇降駆動部20を、本体部14に格納した位置から走行路Rの側方に移動させる。台車100aによる物品Wの荷つかみ及び荷下ろしは、物品保持部18を用いて実施される。または、台車100aによる物品Wの荷つかみ及び荷下ろしは、昇降駆動部20及び横出し機構21を用いて実施される。車載装置110は、物品保持部18、昇降駆動部20、及び横出し機構21を制御する。
【0030】
荷つかみ先Pで物品Wの荷つかみを行う場合、車載装置110は、台車100aを荷つかみ先Pの位置に合わせて停止させ、昇降駆動部20(昇降駆動部20及び横出し機構21)を動作させて物品保持部18を所定位置に移動させることにより、荷つかみ先Pで物品Wの荷つかみを行わせるように指示する。荷つかみ先Pは、例えば、処理装置又はストッカのロードポート、物品Wを載置可能な棚部が建屋の天井10等から吊り下げられて設けられたオーバーヘッドバッファ等である。
【0031】
荷下ろし先Cで物品Wの荷下ろしを行う場合、車載装置110は、台車100aを荷下ろし先Cの位置に合わせて停止させ、昇降駆動部20(昇降駆動部20及び横出し機構21)を動作させて物品保持部18を所定位置に移動させることにより、荷下ろし先Cで物品Wの荷下ろしを行わせるように指示する。荷下ろし先Cは、例えば、処理装置又はストッカのロードポート、物品Wを載置可能な棚部が建屋の天井10等から吊り下げられて設けられたオーバーヘッドバッファ等である。
【0032】
図3は、第1実施形態に係る台車及びコントローラの構成例を示すブロック図である。台車100aは、車載装置110と、位置センサ120と、積荷センサ130と、前方センサ140と、駆動装置150とを有する。駆動装置150は、台車100aを走行させる駆動力を供給する。また、駆動装置150は、荷物(物品W)の荷つかみ及び荷下ろし等の荷役に使用される駆動力を供給する。
【0033】
位置センサ120は、台車100aの現在位置を検出する。位置センサ120は、車載装置110と有線又は無線によって通信可能に接続され、検出した台車100aの現在位置を車載装置110に供給する。例えば、位置センサ120は、走行路Rに設けられたポイント(例、ポイントAP等)における位置マーカを検出することにより、走行路Rのマップ情報における台車100aの現在位置を検出する。つまり、走行路Rに設けられたポイントのそれぞれは、位置情報を台車100aに提供可能な位置提供ポイントである。また、台車100aの現在位置は、位置マーカの検出に加えて、台車100aの速度と走行時間とに基づく走行距離やエンコーダを用いた移動距離により求められる。積荷センサ130は、荷物(物品W)の有無を検出する。積荷センサ130は、車載装置110と有線又は無線によって通信可能に接続され、検出結果を車載装置110に供給する。
【0034】
前方センサ140は、台車100aの進行方向(走行方向)の前方を監視し、前方における他の台車100aの存在を検出する。前方センサ140は、車載装置110と有線又は無線によって通信可能に接続され、検出結果を車載装置110に供給する。各台車100aは、前方センサ140による前方における他の台車100aの存在の検出により走行速度を制御して、前方における他の台車100aと衝突することを防止できる。なお、位置センサ120と前方センサ140との一方又は双方は、台車100aに搭載されなくてもよく、例えば、走行路R等に配設されてもよい。また、台車システムSYSは、位置センサ120、積荷センサ130、及び前方センサ140の少なくとも1つを備えなくてもよいし、他のセンサを備えてもよい。
【0035】
車載装置110は、台車100aに搭載され、コントローラ200から走行指令を受けて、台車100aの各部を制御する。車載装置110は、走行制御部111と、通信部112と、記憶部113とを有する。通信部112は、後述するコントローラ200の通信部230と無線LAN(Local Area Network)等によって通信可能に接続される。通信部112は、コントローラ200の通信部230から走行指令を受信し、受信した走行指令を記憶部113に格納する。
【0036】
走行制御部111は、記憶部113に記憶された走行指令に基づいて、台車100aの各部を制御する。例えば、走行制御部111は、走行指令により定められる走行経路に基づいて駆動装置150を制御し、台車100aを走行経路に沿って走行させる。走行制御部111は、台車100aに搭載される各種センサ(例、位置センサ120等)に検出を実行させ、検出結果を記憶部113に格納する。
【0037】
走行制御部111は、記憶部113に記憶された情報を用いて、台車100aの状態情報を生成する。例えば、状態情報は、台車100aを識別する識別情報とともに、現在位置、目的地、走行状態、荷物の状態、前方の状態、通過要求、及び解除要求に関する情報を含む。現在位置は、位置センサ120が検出した台車100aの現在位置を示す情報である。上述したように、現在位置は、位置センサ120が検出した台車100aの現在位置に、走行距離を加味して更新されてもよい。目的地は、記憶部113に記憶された走行指令等に定められ、台車100aの目的地を示す情報である。
【0038】
走行状態は、台車100aの現在の速度を示す情報である。例えば、走行状態は、速度が「0」よりも大きい場合に台車100aが走行中であること(例、フラグ「1」)を表し、速度が「0」である場合に台車100aが停車中であること(例、フラグ「0」)を表してもよい。荷物の状態は、積荷センサ130が検出した荷物(物品W)の有無を示す情報(例、有り「1」,無し「0」)と、搬送中の荷物の種類を示す情報(荷物を識別する識別情報)とである。前方の状態は、前方センサ140の検出範囲内で自身の前方に他の台車100aが存在するか否かを表す情報(例、存在する「1」,存在しない「0」)である。
【0039】
通過要求は、台車100aが通過を要求するブロッキングエリアBAを示す識別情報である。なお、通過要求の情報は、台車100aが通過要求を出していないときは、通過要求を出していないことを示す情報(又は、空の情報、NULL値等)を含む。加えて、通過要求は、分岐部Brからの進行方向に関する情報(進行方向を示す情報)を含む。例えば、進行方向に関する情報は、第2走行路Rbの方向を示す情報、第3走行路Rcの方向を示す情報である。
【0040】
解除要求は、台車100aが通過したブロッキングエリアBAを示す識別情報である。また、解除要求は、ブロッキングエリアBAを台車100aが通過したことを示す情報を含んでもよい。なお、解除要求の情報は、台車100aが解除要求を出していないときは、解除要求を出していないことを示す情報(又は、空の情報、NULL値等)を含む。また、解除要求は、コントローラ200において、台車100aの現在位置からブロッキングエリアBAを通過したことを認識する形態だけによって実現する場合、利用されなくてもよい。なお、上述した各情報は、状態情報に含めずに個別に送られてもよい。
【0041】
走行制御部111は、コントローラ200から受信された走行指令(例、台車100aの出発地と目的地)、及び記憶部113に予め記憶された走行路Rのマップ情報に基づいて、走行経路を設定する。記憶部113は、例えば不揮発性メモリ等であり、マップ情報や状態情報等の各種情報を記憶する。走行制御部111は、状態情報を適宜生成し、記憶部113に記憶された状態情報を最新の状態情報に更新する。通信部112は、記憶部113に記憶された状態情報をコントローラ200に送信する(図4参照)。
【0042】
コントローラ200は、指令生成部210と、エリア制御部220と、通信部230と、記憶部240とを有する。コントローラ200は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、メインメモリ、記憶装置、通信装置等を備え、各種情報の処理を行うコンピュータ装置である。なお、コンピュータ装置の構成は、任意であり、例えば、1つの装置によって構成されてもよいし、複数の装置によって構成されてもよい。通信部230は、無線LAN等により各台車100aと通信可能であり、各台車100aから状態情報を受信する。記憶部240は、例えば不揮発性メモリ等であり、通信部230によって受信された状態情報等を記憶する。例えば、記憶部240は、各台車100aの状態情報を、各台車100aの識別情報に対応付けて記憶する。
【0043】
図4は、第1実施形態に係るコントローラが記憶する状態情報の例を示す図である。図4に示すように、記憶部240は、状態情報として、各台車100aを識別する識別情報である台車IDに対応付けて、現在位置、目的地、走行状態、荷物の状態、前方の状態、通過要求、及び解除要求の情報を記憶する。
【0044】
指令生成部210は、予め与えられたタスク(例、物品W等の荷物の搬送)等により定まる目的地の情報と、記憶部240に記憶された状態情報とに基づいて、タスクに応じた走行指令を担当させる台車100aを決定する。目的地は、例えば、処理装置側又はストッカ側と荷物の受け渡しが可能なロードポート、バッファ、入出庫ポート等である。指令生成部210は、タスクに応じて定まる目的地と、タスクを担当させる台車100aの現在位置とに基づいて、台車100aの走行経路を決定し、決定した走行経路を指定した走行指令を生成する。
【0045】
エリア制御部220は、記憶部240に記憶された状態情報に含まれる通過要求に基づいて、台車100aに通過許可を与えるかを決定する。また、エリア制御部220は、記憶部240に記憶された状態情報に含まれる解除要求に基づいて、ブロッキングエリアBAのブロッキングを解除する。第1実施形態に係るブロッキングエリアBAのブロッキングに関して、記憶部240は、ブロッキングエリアBAと第3走行路Rcとを関連付けた情報を記憶する。上述したように、第1実施形態では、第3走行路Rcにかかる台車制御に関して、第3走行路Rcに進入する(進入可能な)台車100aの数を1とする。従って、台車システムSYSでは、ブロッキングエリアBAと第3走行路Rcとを関連付けることで、第3走行路Rcを進行方向とする台車100aに対して、ブロッキングエリアBAのブロッキングの有無だけではなく、第3走行路Rcにおける他の台車100aの存在や、第3走行路Rcを進行方向とするブロッキングエリアBAの通過許可を有する他の台車100aの存在を確認したうえで、ブロッキングエリアBAの通過許可を与える。ブロッキングエリアBAの通過許可は、走行指令の割り付けに相当する。
【0046】
記憶部240が記憶するマップ情報には、走行路Rに設けられたポイントの属性情報と、ブロッキングエリアBAを介した複数のルートに関するルート情報とが含まれる場合がある。ブロッキングエリアBAを介した複数のルートに関するルート情報は、第3走行路Rcのルートに関するルート情報を含む。第3走行路Rcには、複数のポイント(位置情報を提供可能なポイント)が設定される。そこで、一例として、ブロッキングエリアBAを介した第3走行路Rcのルートに関するルート情報に、第3走行路Rcのルートについては1の台車100aのみを進入可能とする対象のエリアであることを示すフラグを立てる。加えて、第3走行路Rcに設定されたポイントの属性情報に、1の台車100aのみを進入可能とする対象の第3走行路Rcに設定されたポイントであることを示すフラグを立てる。これらにより、台車システムSYSでは、ブロッキングエリアBAと第3走行路Rcとを関連付ける。台車システムSYSでは、マップ情報に含まれる既存の情報の予備領域を用いて(予備領域にフラグを立てるだけで)関連付けを行うので、煩雑な変更を要することなく関連付けを実現できる。なお、ブロッキングエリアBAと第3走行路Rcとの関連付けは、上記のような情報の保持に限定されない。すなわち、ブロッキングエリアBAと第3走行路Rcとの関連付けは、マップ情報に含まれなくてもよく、関連付けの対象となるブロッキングエリアBAと第3走行路Rcとが分かる情報を記憶部240が記憶すればよい。
【0047】
図5は、第1実施形態に係るコントローラが記憶するルート情報及びポイントの属性情報の例を示す図である。記憶部240は、ルート情報として、各ブロッキングエリアを識別する識別情報であるブロッキングエリアIDと、ブロッキングエリアIDに対応するブロッキングエリアを介するルートに関するルート情報との情報を記憶する。ルート情報は、走行路(例、第1走行路Ra、第2走行路Rb、第3走行路Rc)を識別する識別情報に加え、走行路が1の台車100aのみを進入可能とする対象であるか否かを示すフラグ情報(例、対象「1」,非対象「0」)を含む。すなわち、図5では、ブロッキングエリアID「aID001」に対応するブロッキングエリアBAを介する走行路のうち、ルートID「sID001」の走行路が、1の台車100aのみを進入可能とする走行路であることを表している。また、記憶部240は、ポイントの属性情報として、各ポイントを識別する識別情報であるポイントIDと、ルートIDと、対象フラグとの情報を記憶する。対象フラグは、ポイントの位置が1の台車100aのみを進入可能とする対象の走行路であるか(例、対象「1」,非対象「0」)を表す。すなわち、図5では、ポイントID「pID001」のポイントは、ルートID「sID001」の走行路上に存在し、1の台車100aのみを進入可能とする対象の走行路上に位置する(対象フラグ「1」)ことを表している。
【0048】
通過許可の付与、ブロッキングの解除を実施する際、エリア制御部220は、ブロッキング情報を生成(更新)する。記憶部240は、ブロッキング情報を記憶する。ブロッキング情報は、ブロッキングエリアBAに関する情報を含む。例えば、ブロッキング情報は、ブロッキングエリアBAを識別する識別情報と、ブロッキングエリアBAのブロッキングの有無を示す情報と、ブロッキングエリアBAに対する通過要求を送信した台車100aを識別する識別情報と、通過要求を送信した台車100aの進行方向に関する情報(進行方向を示す情報)とを含む。ブロッキングエリアBAのブロッキングの有無を示す情報とは、ブロッキングエリアBAがブロッキングされている状態、又はブロッキングされていない状態を示す情報である。通過要求を送信した台車100aを識別する識別情報について、コントローラ200は、各台車100aの現在位置をもとに各台車100aの前後関係を認識可能であるので、走行路R上で先行する台車100aから順に通過許可を与えることができる。なお、コントローラ200は、通過要求の送信順(例、送信日時順、受信日時順)をもとに、処理する通過要求の順序を決定してもよい。エリア制御部220は、記憶部240に記憶された状態情報の更新に伴い、記憶部240に記憶されたブロッキング情報を最新のブロッキング情報に更新する。
【0049】
そして、エリア制御部220は、ブロッキング情報に含まれる通過要求に対して、対応する台車100aへの通過許可の付与を決定する。具体的には、エリア制御部220は、第2走行路Rbを進行方向とする通過要求に対して、ブロッキングエリアBAにおける他の台車100aの有無と、ブロッキングエリアBAのブロッキングの有無との一方又は双方から、識別情報に対応する台車100aへの通過許可の付与を決定する。また、エリア制御部220は、第3走行路Rcを進行方向とする通過要求に対して、ブロッキングエリアBAにおける他の台車100aの有無と、ブロッキングエリアBAのブロッキングの有無との一方又は双方に加えて、ブロッキングエリアBAと関連付けられた第3走行路Rcにおける他の台車100aの有無と、第3走行路Rcに進入予定の他の台車100aの有無とから、識別情報に対応する台車100aへの通過許可の付与を決定する。第3走行路Rcに進入予定の他の台車100aとは、ブロッキングエリアBAの通過許可を既に取得しており、第3走行路Rcを進行方向とする台車100aを指す。エリア制御部220は、台車100aへの通過許可を付与した場合(走行指令を割り付けた場合)、ブロッキングエリアBAをブロッキングされている情報に更新し、通過要求を送信した台車100aを識別する識別情報をブロッキング情報から削除する。
【0050】
また、エリア制御部220は、記憶部240に記憶された状態情報に含まれる解除要求を確認して、ブロッキングエリアBAのブロッキング情報を更新する。ここで、ブロッキング情報の更新とは、ブロッキングの有無を示す情報をブロッキングされていない情報に更新することと、解除要求を送信した台車100aを識別する識別情報の削除とを指す。また、エリア制御部220は、解除要求を送信してきた台車100aの現在位置を確認したうえでブロッキング情報を更新してもよい。
【0051】
図6は、第1実施形態に係るブロッキングエリアへ進入する台車における処理の流れの例を示すフローチャートである。図6に示すように、通信部112は、分岐部Brからの進行方向を含むブロッキングエリアBAの通過要求をコントローラ200に送信する(ステップS101)。具体的には、走行制御部111は、分岐部Brから第2走行路Rbの方向である進行方向に関する情報(進行方向を示す情報)を含む、ブロッキングエリアBAの通過要求(状態情報)を生成する。または、走行制御部111は、分岐部Brから第3走行路Rcの方向である進行方向に関する情報(進行方向を示す情報)を含む、ブロッキングエリアBAの通過要求(状態情報)を生成する。そして、通信部112は、走行制御部111が生成した状態情報をコントローラ200に送信する。
【0052】
走行制御部111は、ブロッキングエリアBAの通過許可を受け取ったかを判定する(ステップS102)。具体的には、走行制御部111は、通信部112においてブロッキングエリアBAの通過許可がコントローラ200から受信されたかを判定する。このとき、走行制御部111は、ブロッキングエリアBAの通過許可を受け取った場合に(ステップS102:YES)、ブロッキングエリアBAに進入する(ステップS103)。具体的には、走行制御部111は、通信部112においてブロッキングエリアBAの通過許可がコントローラ200から受信された場合、設定済みの走行経路(第2走行路Rbの方向、又は第3走行路Rcの方向)に従ってブロッキングエリアBAに進入する。
【0053】
一方、走行制御部111は、ブロッキングエリアBAの通過許可を受け取っていないと判定した場合に(ステップS102:NO)、ステップS101における処理を再度実行する。具体的には、走行制御部111は、通信部112においてブロッキングエリアBAの通過許可がコントローラ200から受信されない場合、ブロッキングエリアBAの通過要求を含む状態情報をコントローラ200に送信する。
【0054】
図7は、第1実施形態に係る第3走行路を進行方向とする情報を含むブロッキングエリアの通過要求を受信したコントローラによる処理の流れの例を示すフローチャートである。図7の説明では、図8図11を適宜利用する。図8及び図9は、第1実施形態に係る第3走行路を進行方向としてブロッキングエリアに進入する台車の例を示す図である。図10及び図11は、第1実施形態に係るロードポートに向けて第3走行路を走行する台車の例を示す図である。図8図11では、第2走行路Rbに設定されたポイントをポイントPaとし、第3走行路Rcに設定されたポイントをポイントPb〜ポイントPfとする場合を例に挙げる。第3走行路Rcに設定されたポイントPb〜ポイントPfは、ブロッキングエリアBAと関連付けされたポイントである。なお、各走行路に設定されるポイントの位置や数は、図示した形態に限られない。図8図11では、説明の便宜上、処理装置TSの図示を省略しているが、処理装置TSの位置は図1と同様である。
【0055】
図7に示すように、エリア制御部220は、第3走行路Rcを進行方向とするブロッキングエリアBAの通過要求を受け付けているかを判定する(ステップS201)。具体的には、エリア制御部220は、通信部230において分岐部Brから第3走行路Rcの方向である進行方向に関する情報(進行方向を示す情報)を含む、ブロッキングエリアBAの通過要求が台車100aから受信されているかを判定する。ブロッキングエリアBAの通過要求は、ブロッキングエリアBAから一定距離以上離れた上流の走行路R(第1走行路Ra)の位置において台車100aから送られる(図8参照)。
【0056】
このとき、エリア制御部220は、第3走行路Rcを進行方向とするブロッキングエリアBAの通過要求を受け付けていない場合に(ステップS201:NO)、ステップS201における処理を再度実行する。すなわち、エリア制御部220は、通信部230において分岐部Brから第3走行路Rcの方向である進行方向に関する情報(進行方向を示す情報)を含む、ブロッキングエリアBAの通過要求が台車100aから受信されていない場合に、通過要求の受信待ちの状態となる。
【0057】
一方、エリア制御部220は、第3走行路Rcを進行方向とするブロッキングエリアBAの通過要求を受け付けている場合に(ステップS201:YES)、ブロッキングエリアBAに台車100aが存在するかを判定する(ステップS202)。具体的には、エリア制御部220は、通信部230において分岐部Brから第3走行路Rcの方向である進行方向に関する情報(進行方向を示す情報)を含む、ブロッキングエリアBAの通過要求が台車100aから受信されている場合に、記憶部240に記憶された状態情報をもとにブロッキング情報を生成(更新)する。そして、エリア制御部220は、ブロッキング情報に含まれる通過要求に対して、ブロッキングエリアBAのブロッキングの有無を示す情報から、ブロッキングエリアBAに他の台車100aが存在するかを判定する。また、エリア制御部220は、各台車100aの現在位置から、該当するブロッキングエリアBAにおける他の台車100aの有無を確認し、ブロッキングエリアBAに他の台車100aが存在するかを判定してもよい。
【0058】
エリア制御部220は、ブロッキングエリアBAに他の台車100aが存在すると判定した場合(ステップS202:YES)、ブロッキングエリアBAの通過許可を送ることなく処理を終了する。エリア制御部220は、ブロッキングエリアBAに他の台車100aが存在しないと判定した場合(ステップS202:NO)、第3走行路Rcに他の台車100aが存在するかを判定する(ステップS203)。具体的には、エリア制御部220は、ブロッキングエリアBAがブロッキングされていない状態である場合、状態情報をもとに、該ブロッキングエリアBAに関連付けられた第3走行路RcにおけるポイントPb〜ポイントPfのいずれかに対応する位置を現在位置とする台車100aが存在するかを判定する。
【0059】
エリア制御部220は、第3走行路Rcに他の台車100aが存在すると判定した場合(ステップS203:YES)、ブロッキングエリアBAの通過許可を送ることなく処理を終了する。すなわち、エリア制御部220は、ブロッキングエリアBAがブロッキングされていない状態であっても、該ブロッキングエリアBAに関連付けられた第3走行路Rcに他の台車100aが存在するのであれば、通過許可を与えない。エリア制御部220は、第3走行路Rcに他の台車100aが存在しないと判定した場合(ステップS203:NO)、第3走行路Rcに進入予定の他の台車100aが存在するかを判定する(ステップS204)。具体的には、エリア制御部220は、ブロッキングエリアBAがブロッキングされていない状態において、第3走行路Rcに1の台車100aも存在せず且つ第3走行路Rcに進入予定の他の台車100aが存在するかを判定する。第3走行路Rcに進入予定の台車100aとは、ブロッキングエリアBAを介して第3走行路Rcに進入していないが、既に通過許可を与えられている台車100aを指す。
【0060】
エリア制御部220は、第3走行路Rcに進入予定の台車100aが存在する場合(ステップS204:YES)、ブロッキングエリアBAの通過許可を送ることなく処理を終了する。すなわち、エリア制御部220は、ブロッキングエリアBAがブロッキングされていない状態において、第3走行路Rcに台車100aが存在しないものの、第3走行路Rcを進行方向とするブロッキングエリアBAの通過許可が与えられている台車100aが存在するのであれば、通過許可を与えない。エリア制御部220により第3走行路Rcに進入予定の台車100aが存在しないと判定された場合(ステップS204:NO)、通信部230は、ブロッキングエリアBAの通過許可を台車100aに送信する(ステップS205)。具体的には、エリア制御部220は、ブロッキングエリアBAがブロッキングされていない状態において、第3走行路Rcに他の台車100aが存在せず、さらに、第3走行路Rcを進行方向とするブロッキングエリアBAの通過許可が与えられた他の台車100aも存在しないと判定すると、ブロッキングエリアBAの通過許可の送信を通信部230に指示する。通信部230は、ブロッキングエリアBAの通過許可を台車100aに送信する。
【0061】
第3走行路Rcを進行方向とするブロッキングエリアBAの通過許可が台車100aに送信されると、エリア制御部220は、ブロッキングエリアBAをブロッキングされている状態に更新する。台車100aは、第3走行路Rcを進行方向とするブロッキングエリアBAの通過許可を受け取ると、第3走行路Rc(ロードポートLP)に向かってブロッキングエリアBAに進入する(図9参照)。台車100aは、第3走行路Rcの走行において、ポイントPb〜ポイントPfからの位置情報の取得に応じて、適宜、現在位置を含む状態情報をコントローラ200に送る。
【0062】
台車100aは、ブロッキングエリアBAを通過した場合(ポイントPcから位置情報を取得した場合)、ブロッキングエリアBAのブロッキングの解除要求を含む状態情報をコントローラ200に送る(図10参照)。エリア制御部220は、台車100aからの解除要求を含む状態情報の受信に応じて、ブロッキングエリアBAをブロッキングされていない状態に更新する。その後、台車100aは、ロードポートLPまで走行し、荷つかみ等の動作を行う(図11参照)。
【0063】
図12は、第1実施形態に係る第3走行路から第2走行路に向けて走行する台車による処理の流れの例を示すフローチャートである。図12の説明では、図13図16を適宜利用する。図13図16は、第1実施形態に係るスイッチバックにより走行する台車の例を示す図である。なお、図13図16において、台車100aは、スイッチバックにより第1走行路Raに復帰して第2走行路Rbに向けて走行する台車であり、台車100aは、第3走行路Rcを進行方向とする台車である場合を例に挙げる。図13図16では、説明の便宜上、処理装置TSの図示を省略しているが、処理装置TSの位置は図1と同様である。
【0064】
図12に示すように、エリア制御部220は、第3走行路Rcから第2走行路Rbに向けて走行する台車100aからブロッキングエリアBAの通過要求を受け付けているかを判定する(ステップS301)。具体的には、エリア制御部220は、通信部230において第2走行路Rbを進行方向とするブロッキングエリアBAの通過要求を台車100aから受信されているかを判定する。例えば、台車100aは、ロードポートLPから、後退により走行して第1走行路Raに復帰する場合、第2走行路Rbを進行方向とするブロッキングエリアBAの通過要求をコントローラ200に送る(図13参照)。なお、図13において、第3走行路Rcを進行方向とする台車100aは、ブロッキングエリアBAの通過要求をコントローラ200に送っているものの、第3走行路Rcに台車100aが存在するため、通過許可を得られずにポイントAP(許可待ちポイント)の近傍に停車している。すなわち、エリア制御部220は、第3走行路Rcへの台車100aの進入を許可した場合に、第3走行路Rcに他の台車100aが進入することを禁止している。換言すると、エリア制御部220は、ブロッキングエリアBAと第3走行路Rcとが関連付けられていることにより、第3走行路Rcへの台車100aの進入を許可した後に、第3走行路Rcの方向である進行方向に関する情報(進行方向を示す情報)を含む通過要求を後続する1以上の台車100a(例、台車100a)から受けた場合に、ブロッキングエリアBAの通過許可を後続の1以上の台車100aに与えない。
【0065】
エリア制御部220は、第3走行路Rcから第2走行路Rbに向けて走行する台車100aからブロッキングエリアBAの通過要求を受け付けていない場合に(ステップS301:NO)、ステップS301における処理を再度実行する。すなわち、エリア制御部220は、通信部230における通過要求の受信待ちの状態となる。エリア制御部220は、第3走行路Rcから第2走行路Rbに向けて走行する台車100aからブロッキングエリアBAの通過要求を受け付けている場合に(ステップS301:YES)、ブロッキングエリアBAの通過許可を有する他の台車100aが存在するかを判定する(ステップS302)。具体的には、エリア制御部220は、通信部230において台車100aからのブロッキングエリアBAの通過要求が受信されている場合に、記憶部240に記憶された状態情報をもとにブロッキング情報を生成(更新)する。そして、エリア制御部220は、ブロッキング情報に含まれる通過要求に対して、ブロッキングエリアBAのブロッキングの有無を示す情報から、ブロッキングエリアBAに他の台車100aが存在するかを判定する。
【0066】
エリア制御部220は、ブロッキングエリアBAの通過許可を有する他の台車100aが存在する場合に(ステップS302:YES)、ブロッキングエリアBAの通過許可を送ることなく処理を終了する。一方、エリア制御部220によりブロッキングエリアBAの通過許可を有する他の台車100aが存在しないと判定された場合に(ステップS302:NO)、通信部230は、ブロッキングエリアBAの通過許可を台車100aに送信する(ステップS303)。具体的には、エリア制御部220は、ブロッキングの有無を示す情報がブロッキングされていない状態である場合、ブロッキングエリアBAの通過許可の送信を通信部230に指示する。通信部230は、ブロッキングエリアBAの通過許可を台車100aに送信する。
【0067】
例えば、台車100aは、ブロッキングエリアBAの通過許可を受信した場合、第1走行路Raに向けて後退により走行する(図14参照)。なお、ブロッキングエリアBAの通過許可を得られない場合、台車100aは、ブロッキングエリアBAの手前のポイントPcの近傍に停車することになる。すなわち、ポイントPcは、第3走行路Rcから第2走行路Rbに向かって走行する台車100aの許可待ちポイントになり得る。その後、台車100aは、ブロッキングエリアBAに後退により進入し、スイッチバックポイントSB付近まで走行し、前進と後退とを切り替える(図15参照)。そして、台車100aは、第1走行路Raから第2走行路Rbに向かって前進により走行する。そして、台車100aは、ブロッキングエリアBAを通過した場合(ポイントPcから位置情報を取得した場合)、ブロッキングエリアBAのブロッキングの解除要求を含む状態情報をコントローラ200に送る(図16参照)。エリア制御部220は、台車100aからの解除要求を含む状態情報の受信に応じて、ブロッキングエリアBAをブロッキングされていない状態に更新する。なお、エリア制御部220は、台車100aによるブロッキングエリアBAの通過により、台車100aに対して通過許可を与えることとなる。
【0068】
図17は、第1実施形態に係る第2走行路を進行方向とする情報を含むブロッキングエリアの通過要求を受信したコントローラによる処理の流れの例を示すフローチャートである。図17の説明では、図18図20を適宜利用する。図18図20は、第1実施形態に係る第2走行路を進行方向としてブロッキングエリアを通過する台車の例を示す図である。図18図20において、台車100aは、第3走行路Rcに存在する台車であり、台車100a及び台車100aは、第1走行路Raを走行中の台車であって第2走行路Rbを進行方向とする台車である場合を例に挙げる。図18図20では、説明の便宜上、処理装置TSの図示を省略しているが、処理装置TSの位置は図1と同様である。
【0069】
まず、台車100a2が、第2走行路Rbを進行方向とするブロッキングエリアBAの通過要求をコントローラ200に送信する場合を説明する。図17に示すように、エリア制御部220は、第2走行路Rbを進行方向とするブロッキングエリアBAの通過要求を受け取ったかを判定する(ステップS401)。具体的には、エリア制御部220は、通信部230において分岐部Brから第2走行路Rbの方向である進行方向に関する情報(進行方向を示す情報)を含む、ブロッキングエリアBAの通過要求が台車100aから受信されたかを判定する。ブロッキングエリアBAの通過要求は、ブロッキングエリアBAから一定距離以上離れた上流の走行路R(第1走行路Ra)の位置において台車100aから送られる(図18参照)。
【0070】
このとき、エリア制御部220は、第2走行路Rbを進行方向とするブロッキングエリアBAの通過要求を受け取っていない場合に(ステップS401:NO)、ステップS401における処理を再度実行する。すなわち、エリア制御部220は、通信部230において分岐部Brから第2走行路Rbの方向である進行方向に関する情報(進行方向を示す情報)を含む、ブロッキングエリアBAの通過要求が台車100aから受信されない場合に、通過要求の受信待ちの状態となる。
【0071】
一方、エリア制御部220は、第2走行路Rbを進行方向とするブロッキングエリアBAの通過要求を受け取った場合に(ステップS401:YES)、先行する台車100aに第2走行路Rbを進行方向として通過許可を送ったかを判定する(ステップS402)。ここで、先行する台車100aは、台車100aとする。具体的には、エリア制御部220は、通信部230において第2走行路Rbを進行方向とするブロッキングエリアBAの通過要求を台車100aから受信された場合に、先行する台車100aに対して、第2走行路Rbを進行方向として通過許可を与えたかを判定する。例えば、図18に示すように、台車100aは、第3走行路Rcを進行方向とする台車である。ここでは、エリア制御部220は、先行する台車100aに対して、第2走行路Rbを進行方向として通過許可を与えていないと判定する。
【0072】
エリア制御部220は、先行する台車100aに第2走行路Rbを進行方向として通過許可を送っていない場合に(ステップS402:NO)、ブロッキングエリアBAの通過許可を有する他の台車100aが存在するかを判定する(ステップS403)。具体的には、エリア制御部220は、先行する台車100aに第2走行路Rbを進行方向として通過許可を与えていないため、記憶部240に記憶された状態情報をもとにブロッキング情報を生成(更新)する。そして、エリア制御部220は、ブロッキング情報に含まれる通過要求に対して、ブロッキングエリアBAのブロッキングの有無を示す情報から、ブロッキングエリアBAに他の台車100aが存在するかを判定する。
【0073】
エリア制御部220は、ブロッキングエリアBAの通過許可を有する他の台車100aが存在する場合に(ステップS403:YES)、ブロッキングエリアBAの通過許可を送ることなく処理を終了する。一方、エリア制御部220によりブロッキングエリアBAの通過許可を有する他の台車100aが存在しないと判定された場合に(ステップS403:NO)、通信部230は、ブロッキングエリアBAの通過許可を台車100aに送信する(ステップS404)。具体的には、エリア制御部220は、ブロッキングの有無を示す情報がブロッキングされていない状態である場合、ブロッキングエリアBAの通過許可の送信を通信部230に指示する。通信部230は、ブロッキングエリアBAの通過許可を台車100aに送信する。例えば、台車100aは、ブロッキングエリアBAの通過許可を受信した場合、ブロッキングエリアBAに進入し、第2走行路Rbに向けて走行する(図19参照)。
【0074】
次に、台車100aが、台車100aに続いて、第2走行路Rbを進行方向とするブロッキングエリアBAの通過要求をコントローラ200に送信する場合を説明する。図17に示すように、エリア制御部220は、第2走行路Rbを進行方向とするブロッキングエリアBAの通過要求を受け取ったかを判定する(ステップS401)。具体的には、エリア制御部220は、通信部230において分岐部Brから第2走行路Rbの方向である進行方向に関する情報(進行方向を示す情報)を含む、ブロッキングエリアBAの通過要求が台車100aから受信されたかを判定する。ここで、台車100aが、ブロッキングエリアBAを走行中であってもよい(図19参照)。
【0075】
このとき、エリア制御部220は、第2走行路Rbを進行方向とするブロッキングエリアの通過要求を受け取った場合に(ステップS401:YES)、先行する台車100aに第2走行路Rbを進行方向として通過許可を送ったかを判定する(ステップS402)。ここで、先行する台車100aは、台車100aとする。具体的には、エリア制御部220は、通信部230において第2走行路Rbを進行方向とするブロッキングエリアBAの通過要求を台車100aから受信された場合に、先行する台車100aに対して、第2走行路Rbを進行方向として通過許可を与えたかを判定する。ここでは、エリア制御部220は、先行する台車100aに対して、第2走行路Rbを進行方向として通過許可を与えている。
【0076】
エリア制御部220により先行する台車100aに第2走行路Rbを進行方向として通過許可を送っていると判定された場合(ステップS402:YES)、通信部230は、ブロッキングエリアBAの通過許可を送信する(ステップS404)。具体的には、エリア制御部220は、先行する台車100aに第2走行路Rbを進行方向として通過許可を与えていると判定し、ブロッキングエリアBAの通過許可の送信を通信部230に指示する。通信部230は、ブロッキングエリアBAの通過許可を台車100aに送信する。すなわち、エリア制御部220は、先行する台車100aに第2走行路Rbを進行方向としてブロッキングエリアBAの通過許可を与えている場合、後続する台車100aについて、ブロッキングの有無を確認することなく、ブロッキングエリアBAの通過許可を与える。例えば、台車100aは、ブロッキングエリアBAの通過許可を受信した場合、ブロッキングエリアBAに進入し、第2走行路Rbに向けて走行する(図20参照)。
【0077】
図20では、台車100aが、ブロッキングエリアBAを通過した状態である。従って、台車100aは、ブロッキングエリアBAの解除要求をコントローラ200に送信する。但し、コントローラ200は、後続の台車100aに対してもブロッキングエリアBAの通過許可を与えているため、台車100aからの解除要求に対しては、ブロッキングエリアBAのブロッキングの有無を示す情報を更新しない。つまり、コントローラ200は、ブロッキングエリアBAの解除要求を台車100aから受信した場合に、ブロッキングエリアBAをブロッキングしていない状態に更新する。
【0078】
上記では、第3走行路Rcが行き止まりである場合を説明した。第1実施形態に係る台車システムSYSは、第3走行路Rcが行き止まりでなくてもよい。図21は、第1実施形態に係る行き止まりを含まない第3走行路を有する台車システムの一例を示す図である。図21では、説明の便宜上、処理装置TSの図示を省略しているが、処理装置TSの位置は図1と同様である。
【0079】
図21に示すように、台車システムSYSは、前進及び後退可能で且つ第1走行路Raの分岐部Brから他方向の第3走行路Rcを含む。さらに、第3走行路Rcは、分岐部Brを介さずに第2走行路Rbに接続する。すなわち、台車100aは、第3走行路Rcを走行して、第1走行路Raに復帰することなく第2走行路Rbに進入可能である。第3走行路Rcは、ポイントPb〜ポイントPnを含む。第3走行路Rcに設定されたポイントPb〜ポイントPnは、ブロッキングエリアBAと関連付けされたポイントである。従って、台車100aは、ポイントPb〜ポイントPnのそれぞれを通過する際、各ポイントから位置情報を取得し、取得した位置情報を現在位置として含む状態情報をコントローラ200に送信する。なお、各走行路に設定されるポイントの位置や数は、図示した形態に限られない。図21においても、第3走行路Rcには、1の台車100aのみ進入可能とする。台車100a、及びコントローラ200における各種処理は、上述してきた形態と同様である。
【0080】
台車システムSYSでは、前進及び後退可能な第3走行路Rcに台車100aが存在する場合、又は、第3走行路Rcに1の台車100aも存在せず且つ第3走行路Rcに進入予定の台車100aが存在する場合に、第3走行路Rcに他の台車100aが進入することを禁止するので、前進及び後退可能な走行路における渋滞の発生を抑制することができる。
【0081】
台車システムSYSは、スイッチバックにより第3走行路Rcへの進入・退出を実現するので、スイッチバックにより走行路を切り替える形態において、前進及び後退可能な走行路における渋滞の発生を抑制することができる。台車システムSYSでは、台車100aが分岐部Brからの進行方向に関する情報(進行方向を示す情報)をコントローラ200に送信し、コントローラ200がブロッキングエリアBAと第3走行路Rcとを関連付けて記憶しており、第3走行路Rcへの進入のためのブロッキングエリアBAの通過許可を与えるので、前進及び後退可能な走行路における渋滞の発生を抑制することができる。台車システムSYSでは、第3走行路Rcに位置情報を提供可能なポイントが複数設定され、第3走行路Rcを走行する台車100aが、取得した位置情報に基づく現在位置をコントローラ200に送信するので、コントローラ200は、ブロッキングエリアBAと関連付けられた第3走行路Rcに存在する台車100aを確実に認識したうえで、第3走行路Rcを進行方向とするブロッキングエリアBAの通過許可を好適に与えることができる。台車システムSYSは、第2走行路を進行方向とする複数の台車100aから、連続してブロッキングエリアBAの通過要求が送られて、先行する台車100aの通過許可を付与した場合、ブロッキングの有無を確認せずに後続する台車100aにも通過許可を付与するので、ブロッキングエリアBAと関連付けられていない走行路を進行方向とする台車に対して、構成の変更等を要することなく制御できるとともに、走行の効率を向上でき、結果として、第3走行路Rcからの台車100aの退出の効率も向上できる。
【0082】
[第2実施形態]
第2実施形態では、上述した第1実施形態と同様の構成については同一の符号を付して、詳細な説明を省略又は簡略化する場合がある。第2実施形態では、各台車100を個別に区別しない場合に「台車100b」と記載し、個別に区別する場合に「台車100b」、「台車100b」等と記載する。図22は、第2実施形態に係る台車システムの一例を示す図である。台車システムSYS2は、走行路Rと、走行路Rを走行する複数の台車100bと、コントローラ200bとを有する。
【0083】
走行路Rは、走行路の合流を示す合流部Juを含む。すなわち、走行路Rは、複数(例、2つ)の走行レールが合流部Juから1つの走行レールに合流する。走行路Rは、例えば、前進のみ可能で且つ合流部に一方向から合流する第1走行路Raと、合流部Juから先の第2走行路Rbと、前進及び後退可能で且つ合流部Juに他方向から合流する第3走行路Rcとを含む。第1走行路Ra及び第3走行路Rcは、合流部Juに対して上流側の走行路である。第2走行路Rbは、合流部Juに対して下流側の走行路である。図22では、第1走行路Raにおいて前進のみ可能であることを一方方向のブロック矢印で示している。同様に、図22では、第3走行路Rcにおいて前進及び後退可能であることを両方向のブロック矢印で示している。
【0084】
台車システムSYS2では、合流部Juを含むブロッキングエリアBAが設定される。ブロッキングエリアBAでは、台車100bの進入(通過)が規制される。原則として、ブロッキングエリアBAは、1の台車100bのみが進入可能とする。コントローラ200bは、複数の台車100bを制御する。例えば、台車100bは、ブロッキングエリアBAに進入する場合、ブロッキングエリアBAの通過要求をコントローラ200bに送信する。そして、台車100bは、コントローラ200bから通過許可を受信した場合に、ブロッキングエリアBAに進入する。一方、台車100bは、コントローラ200bからの通過許可を受信していない場合、ブロッキングエリアBAに進入しない。
【0085】
第3走行路Rcは、例えば、行き止まりを含む。また、第3走行路Rcの区間には、第3走行路Rcに沿ってロードポートLPが配置される。台車100bは、第1走行路Raから合流部Juの下流の第2走行路Rbの所定位置(スイッチバックポイントSB)まで前進する。そして、台車100bは、スイッチバックポイントSBにて前進と後退とを切り替えて、後退により走行して第3走行路Rcに進入し、ロードポートLPまで走行して、搬送する物品W(例、容器)を荷つかみする。そして、台車100bは、第3走行路Rcから第2走行路Rbに向けて前進により走行する。台車100bは、不図示の搬送先のロードポートまで走行し、物品W(例、容器)を荷下ろしする。
【0086】
上述した構成において、台車100bは、合流部Juから第3走行路Rcの方向である進行方向に関する情報(進行方向を示す情報)を含む、ブロッキングエリアBAの通過要求をコントローラ200bに送る。コントローラ200bは、ブロッキングエリアBAの通過要求を台車100bから受けると、第3走行路Rcに1の台車100bが存在する場合、又は、第3走行路Rcに1の台車100bも存在せず且つ第3走行路Rcに進入予定の1の台車100bが存在する場合に、第3走行路Rcに他の台車100bが進入することを禁止する。
【0087】
台車システムSYS2は、第3走行路Rcに台車100bが存在する場合、又は、第3走行路Rcに台車100bが存在しなくても、第3走行路Rcに進入予定の台車100bが存在する場合に、他の台車100bを第3走行路Rcに進入させない。この結果、台車システムSYS2は、前進及び後退可能な走行路における渋滞の発生を抑制することができる。換言すると、台車システムSYS2は、行き止まりを含む第3走行路Rcに1の台車100bのみを進入可能に制御するので、第3走行路Rcにおける渋滞の発生を抑制することができる。
【0088】
図23は、第2実施形態に係る台車及びコントローラの構成例を示すブロック図である。台車100bは、車載装置110bと、位置センサ120と、積荷センサ130と、前方センサ140と、駆動装置150とを有する。車載装置110bは、台車100bの各部を制御する。車載装置110bは、走行制御部111bと、通信部112と、記憶部113とを有する。走行制御部111bは、本質的には、第1実施形態で説明した走行制御部111と同様の処理を実行する。第2実施形態に係る走行制御部111bによる処理の詳細については後述する。
【0089】
コントローラ200bは、指令生成部210と、エリア制御部220bと、通信部230と、記憶部240とを有する。エリア制御部220bは、本質的には、第1実施形態で説明したエリア制御部220と同様の処理を実行する。第2実施形態に係るエリア制御部220bによる処理の詳細については後述する。
【0090】
図24及び図25は、第2実施形態に係る第3走行路を進行方向としてブロッキングエリアに進入する台車の例を示す図である。図26図28は、第2実施形態に係るロードポートに向けて第3走行路を走行する台車の例を示す図である。図24図28では、説明の便宜上、処理装置TSの図示を省略しているが、処理装置TSの位置は図22と同様である。
【0091】
台車100bは、ブロッキングエリアBAから一定距離以上離れた上流の走行路(第1走行路Ra)の位置において、第3走行路Rcを進行方向とするブロッキングエリアBAの通過要求をコントローラ200bに送る(図24参照)。具体的には、走行制御部111bは、第3走行路Rcを進行方向とするブロッキングエリアBAの通過要求を含む状態情報を生成する。そして、通信部112は、走行制御部111bによって生成された状態情報をコントローラ200bに送信する。
【0092】
第3走行路Rcを進行方向とするブロッキングエリアBAの通過許可が台車100bに送信されると、エリア制御部220bは、ブロッキングエリアBAをブロッキングされている状態に更新する。台車100bは、第3走行路Rcを進行方向とするブロッキングエリアBAの通過許可を受け取ると、まず、第2走行路Rb(スイッチバックポイントSBの位置)に向かってブロッキングエリアBAに進入する(図25参照)。具体的には、走行制御部111bは、通信部112において通過許可が受信された場合、駆動装置150を制御して、台車100bを前進により走行させてブロッキングエリアBAに進入させる。
【0093】
台車100bは、スイッチバックポイントSBにて前進と後退とを切り替えて、後退により走行し、第3走行路Rcに進入する(図26参照)。台車100bは、第3走行路Rcの走行において、ポイントPb〜ポイントPfからの位置情報の取得に応じて、適宜、現在位置を含む状態情報をコントローラ200bに送る。具体的には、走行制御部111bは、スイッチバックポイントSBの付近で台車100bを停車させ、前進の走行から後退の走行へと切り替えて、第3走行路Rcを後退により走行させる。
【0094】
台車100bは、ブロッキングエリアBAを後退により通過した場合(ポイントPcから位置情報を取得した場合)、ブロッキングエリアBAのブロッキングの解除要求を含む状態情報をコントローラ200に送る(図27参照)。エリア制御部220bは、台車100bからの解除要求を含む状態情報の受信に応じて、ブロッキングエリアBAをブロッキングされていない状態に更新する。その後、台車100bは、ロードポートLPまで後退により走行し、荷つかみ等の動作を行う(図28参照)。
【0095】
図29図32は、第2実施形態に係る第3走行路から第2走行路に向けて走行する台車の例を示す図である。なお、図29図32において、台車100bは、第3走行路Rcから第2走行路Rbに復帰する台車であり、台車100bは、第3走行路Rcを進行方向とする台車である場合を例に挙げる。図29図32では、説明の便宜上、処理装置TSの図示を省略しているが、処理装置TSの位置は図22と同様である。
【0096】
例えば、台車100bは、ロードポートLPから、前進により走行して第2走行路Rbに復帰する場合、第2走行路Rbを進行方向とするブロッキングエリアBAの通過要求をコントローラ200bに送る(図29参照)。具体的には、台車100bの走行制御部111bは、第2走行路Rbを進行方向とするブロッキングエリアBAの通過要求を含む状態情報を生成し、通過要求の送信を通信部112に指示する。通信部112は、ブロッキングエリアBAの通過要求を含む状態情報をコントローラ200bに送信する。なお、図29において、第3走行路Rcを進行方向とする台車100bは、ブロッキングエリアBAの通過要求をコントローラ200bに送っているものの、第3走行路Rcに台車100bが存在するため、通過許可を得られずにポイントAP(許可待ちポイント)に向けて(減速しながら)走行している。すなわち、エリア制御部220bは、第3走行路Rcへの台車100bの進入を許可した場合に、第3走行路Rcに他の台車100bが進入することを禁止している。換言すると、エリア制御部220bは、ブロッキングエリアBAと第3走行路Rcとが関連付けられていることにより、第3走行路Rcへの台車100bの進入を許可した後に、第3走行路Rcの方向である進行方向に関する情報(進行方向を示す情報)を含む通過要求を後続する1以上の台車100b(例、台車100b)から受けた場合に、ブロッキングエリアBAの通過許可を後続の1以上の台車100bに与えない。
【0097】
コントローラ200bにおいては、状態情報に含まれる現在位置から、台車100bが、ブロッキングエリアBAに関連付けられた第3走行路Rcの位置に存在することを認識可能である。すなわち、エリア制御部220bは、通信部230において第3走行路Rcから第2走行路Rbを進行方向とするブロッキングエリアBAの通過要求を台車100bから受信したことを認識する。そして、エリア制御部220bは、記憶部240に記憶された状態情報をもとにブロッキング情報を生成(更新)し、ブロッキング情報に含まれる通過要求に対してブロッキングエリアBAの通過許可を台車100bに与える。なお、ブロッキングエリアBAの通過許可を得られない場合、台車100bは、ブロッキングエリアBAの手前のポイントPcの近傍に停車することになる(図30参照)。
【0098】
台車100bは、ブロッキングエリアBAの通過許可を受信した場合、ブロッキングエリアBAに進入し、第2走行路Rbに向けて前進により走行する(図31参照)。その後、台車100bは、第2走行路Rbを前進により走行し、ブロッキングエリアBAを通過した場合(ポイントPaから位置情報を取得した場合)、ブロッキングエリアBAのブロッキングの解除要求を含む状態情報をコントローラ200bに送る(図32参照)。エリア制御部220bは、台車100bからの解除要求を含む状態情報の受信に応じて、ブロッキングエリアBAをブロッキングされていない状態に更新する。エリア制御部220bは、台車100bによるブロッキングエリアBAの通過により、台車100bに対して通過許可を与えることとなる。
【0099】
台車システムSYS2では、前進及び後退可能な第3走行路Rcに台車100bが存在する場合、又は、第3走行路Rcに1の台車100bも存在せず且つ第3走行路Rcに進入予定の台車100bが存在する場合に、第3走行路Rcに他の台車100bが進入することを禁止するので、前進及び後退可能な走行路における渋滞の発生を抑制することができる。
【0100】
台車システムSYS2では、スイッチバックにより第3走行路Rcへの進入・退出を実現するので、スイッチバックにより走行路を切り替える形態において、前進及び後退可能な走行路における渋滞の発生を抑制することができる。台車システムSYS2では、台車100bが合流部Juからの進行方向に関する情報(進行方向を示す情報)をコントローラ200bに送信し、コントローラ200bがブロッキングエリアBAと第3走行路Rcとを関連付けて記憶しており、第3走行路Rcへの進入のためのブロッキングエリアBAの通過許可を与えるので、前進及び後退可能な走行路における渋滞の発生を抑制することができる。台車システムSYS2では、第3走行路Rcに位置情報を提供可能なポイントを複数設定し、第3走行路Rcを走行する台車100bに取得した位置情報に基づく現在位置をコントローラ200に送信させるので、ブロッキングエリアBAと関連付けられた第3走行路Rcに存在する台車100bを確実に認識したうえで、第3走行路Rcを進行方向とするブロッキングエリアBAの通過許可を好適に与えることができる。台車システムSYS2では、第2走行路を進行方向とする複数の台車100bから、連続してブロッキングエリアBAの通過要求が送られて、先行する台車100bの通過許可を付与した場合、ブロッキングの有無を確認せずに後続する台車100bにも通過許可を付与するので、ブロッキングエリアBAと関連付けられていない走行路を進行方向とする台車に対して、構成の変更等を要することなく制御できるとともに、走行の効率を向上でき、結果として、第3走行路Rcからの台車100bの退出の効率も向上できる。
【0101】
上述した実施形態において、コントローラ200は、例えばコンピュータシステムを含む。コントローラ200は、記憶部240に記憶された制御プログラムを読み出し、読み出した制御プログラムに従って各種の処理を実行する。制御プログラムは、例えば、第1走行路と、前進のみ可能で且つ第1走行路の分岐部から一方向の第2走行路と、前進及び後退可能で且つ第1走行路の分岐部から他方向の第3走行路とを含む走行路に対して、コンピュータに、第3走行路に1の台車が存在する場合、又は、第3走行路に1の台車も存在せず且つ第3走行路に進入予定の1の台車が存在する場合に、第3走行路に他の台車が進入することを禁止すること、を実行させる。また、制御プログラムは、例えば、前進のみ可能で且つ合流部に一方向から合流する第1走行路と、合流部から先の第2走行路と、前進及び後退可能で且つ合流部に他方向から合流する第3走行路とを含む走行路に対して、コンピュータに、第3走行路に1の台車が存在する場合、又は、第3走行路に1の台車も存在せず且つ第3走行路に進入予定の1の台車が存在する場合に、第3走行路に他の台車が進入することを禁止すること、を実行させる。制御プログラムは、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体に記憶されて提供されてもよい。
【0102】
以上、実施形態を説明したが、本発明の技術的範囲は、上述した実施形態に限定されない。上述した実施形態に、多様な変更又は改良を加えることが可能であることは当業者において明らかである。また、変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれる。上述した実施形態等で説明した要件の1つ以上は、省略されることがある。また、上述した実施形態等で説明した要件は、適宜組み合わせることができる。また、本実施形態において示した各処理の実行順序は、前の処理の出力を後の処理で用いない限り、任意の順序で実現可能である。また、上述した実施形態における動作に関して、便宜上「まず」、「次に」、「続いて」等を用いて説明したとしても、この順序で実施することが必須ではない。また、法令で許容される限りにおいて、上述した実施形態等で引用した全ての文献の開示を援用して本文の記載の一部とする。
【符号の説明】
【0103】
AP ポイント
BA ブロッキングエリア
Br 分岐部
LP ロードポート
R 走行路
Ra 第1走行路
Rb 第2走行路
Rc 第3走行路
SB スイッチバックポイント
TS 処理装置
100 台車
200 コントローラ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30
図31
図32