【課題】利用数量に応じてその額が決定される料金である従量制料金を、数量の段階毎に異なる単価を採用する方法により算出することができる従量制料金算出装置、従量制料金算出方法及び従量制料金算出プログラムを提供する。
【解決手段】従量制料金算出装置100は、利用数量に応じてその額が決定される料金である従量制料金を算出する。従量制料金算出装置100は、合計の利用数量を入力するための画面である合計入力画面に入力された合計の利用数量を単価マスタ中の数量範囲それぞれに割り当てることで、数量範囲毎の数量を求める割当手段と、割当手段で割り当てして求めた数量範囲毎の数量に、当該数量範囲に対応する単価マスタ中の単価を乗じることで、数量範囲毎の料金を算出する範囲毎料金算出手段と、範囲毎料金算出手段で算出した数量範囲毎の料金を積算することで、合計の利用数量に応じた従量制料金を算出する従量制料金算出手段と、を備える。
前記単価マスタにおいて、前記数量範囲および前記単価が、仮想の前記数量範囲および前記単価に変更された場合に、前記割当手段、前記範囲毎料金算出手段および前記従量制料金算出手段が、前記単価マスタ中の前記仮想の前記数量範囲および前記単価に基づいて処理を行うことで、仮想の前記従量制料金が算出されること、
を特徴とする請求項1から4のいずれか一つに記載の従量制料金算出装置。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に、本発明に係る従量制料金算出装置、従量制料金算出方法および従量制料金算出プログラムの実施形態を、図面に基づいて詳細に説明する。なお、本実施形態により本発明が限定されるものではない。
【0018】
[1.概要]
ITサービス業では、サブスクリプションやリカーリングといったモノを売り切るだけのビジネスからモノにサービスを付加し、サービスで継続的に収益を得るビジネスへの流れが強まっている。サブスクリプションやリカーリングでは定額制の契約の他に、従量制(取引量や利用量に応じた課金形態)の契約がある。
【0019】
ここで、従量制の料金計算には、複数の計算パターンが存在するケースがある。また、料金計算の根拠となる計算式を請求書に印字する要件が発生する。本発明は、料金計算の際に利用される「単価」に関連するものである。「単価」とは、売上の単位1つの価格を指す。したがって、売上数量に対して単価を掛けることで売上金額が算出される(※売上金額=単価×数量)。単価は、商品ごとや得意先ごと、数量ごとに設定されるケースがある。
【0020】
そこで、本発明は、単価の決定方法に特徴がある「数量スケール金額計算」に着目し、単価マスタの構造と、数量スケール金額計算根拠を保持するデータ構造に着目した。本発明に係る数量スケール金額計算は、例えば、以下の(1)および(2)に示すような、利用数量に応じてその額が決定される料金である従量制料金を算出する際に適用可能である。
【0021】
(1)まず、利用量に応じて課金される利用料が挙げられる。例えば、回線利用料やシステム利用料等である。具体例としては、ネットバンキング利用料金、ATM利用料金およびWEBサービスのクリック回数に応じた広告料金等が挙げられる。
【0022】
(2)次に、利用人数に応じて課金される利用料が挙げられる。例えば、顧客管理料等である。具体例としては、顧客口座情報管理料金およびユーザ数に応じたライセンス料金等が挙げられる。
【0023】
また、本発明は、単価マスタに設定する値の変動が取引量や取引金額へ与えるインパクトを分析可能にし、経営判断に活用できる手法を提供する。以下、具体的な構成および動作について説明する。
【0024】
[2.構成]
本実施形態に係る従量制料金算出装置100の構成の一例について、
図1を参照して説明する。
図1は、従量制料金算出装置100の構成の一例を示すブロック図である。
【0025】
従量制料金算出装置100は、市販のデスクトップ型パーソナルコンピュータである。なお、従量制料金算出装置100は、デスクトップ型パーソナルコンピュータのような据置型情報処理装置に限らず、市販されているノート型パーソナルコンピュータ、PDA(Personal Digital Assistants)、スマートフォン、タブレット型パーソナルコンピュータなどの携帯型情報処理装置であってもよい。
【0026】
従量制料金算出装置100は、制御部102と通信インターフェース部104と記憶部106と入出力インターフェース部108と、を備えている。従量制料金算出装置100が備えている各部は、任意の通信路を介して通信可能に接続されている。
【0027】
通信インターフェース部104は、ルータ等の通信装置および専用線等の有線または無線の通信回線を介して、従量制料金算出装置100をネットワーク300に通信可能に接続する。通信インターフェース部104は、他の装置と通信回線を介してデータを通信する機能を有する。ここで、ネットワーク300は、従量制料金算出装置100とサーバ200とを相互に通信可能に接続する機能を有し、例えばインターネットやLAN(Local Area Network)等である。なお、後述する各種マスタ等のデータは、例えばサーバ200に格納されてもよい。
【0028】
入出力インターフェース部108には、入力装置112および出力装置114が接続されている。出力装置114には、モニタ(家庭用テレビを含む)の他、スピーカやプリンタを用いることができる。入力装置112には、キーボード、マウス、及びマイクの他、マウスと協働してポインティングデバイス機能を実現するモニタを用いることができる。なお、以下では、出力装置114をモニタ114とし、入力装置112をキーボード112またはマウス112として記載する場合がある。
【0029】
記憶部106には、各種のデータベース、テーブルおよびファイルなどが格納される。記憶部106には、OS(Operating System)と協働してCPU(Central Processing Unit)に命令を与えて各種処理を行うためのコンピュータプログラムが記録される。記憶部106として、例えば、RAM(Random Access Memory)・ROM(Read Only Memory)等のメモリ装置、ハードディスクのような固定ディスク装置、フレキシブルディスク、および光ディスク等を用いることができる。
【0030】
記憶部106は、例えば、単価マスタ106aと、内訳情報データ106bと、請求書データ106cと、取引実績データ106dと、を備えている。
【0031】
単価マスタ106aは、数量範囲毎の単価が設定されたマスタである。単価マスタ106aは、
図3に示すように、例えば、商品を識別するための商品識別データ(商品コードおよび商品名)と、適用開始日と、前記数量範囲(数量以下)と、単位と、前記単価と、等を有するレコードを含む。例えば、
図3の単価マスタ106aの場合、数量範囲「1000回以下(=1回から1000回まで)」に対しては単価33円が設定されており、数量範囲「2000回以下(=1001回から2000回まで)」に対しては単価28円が設定されており、数量範囲「3000回以下(=2001回から3000回まで)」に対しては単価23円が設定されており、数量範囲「4000回以下(=3001回から4000回まで)」に対しては単価18円が設定されており、数量範囲「5000回以下(=4001回から5000回まで)」に対しては単価13円が設定されており、数量範囲「6000回以下(=5001回から6000回まで)」に対しては単価8円が設定されており、数量範囲「9,999,999回以下(=6001回以上)」に対して単価5円が設定されている。なお、
図3の単価マスタ106aには、説明の便宜上、商品として「ネットワーク利用料金」を有するレコードのみ含まれるものとしているが、他の商品を有するレコードも多数含まれていてもよい。
【0032】
内訳情報データ106bは、後述する従量制料金算出部102dで算出した従量制料金についての内訳情報を含むデータである。内訳情報データ106bは、
図6に示すように、例えば、単価マスタ106a中の前記数量範囲(スケール数量)と、単価マスタ106a中の前記単位と、単価マスタ106a中の前記単価と、後述する割当部102bで求めた数量と、後述する範囲毎料金算出部102cで算出した前記数量範囲毎の料金(金額)と、等を含む。
【0033】
請求書データ106cは、請求書を作成する際に元となるデータである。請求書データ106cは、
図7に示す請求書から読み取れるように、例えば、後述する従量制料金算出部102dで算出した従量制料金(小計)と、単価マスタ106a中の前記数量範囲と、後述する割当部102bで求めた数量と、単価マスタ106a中の前記単位と、単価マスタ106a中の前記単価と、後述する範囲毎料金算出部102cで算出した前記数量範囲毎の料金(金額)と、等を含む。
【0034】
取引実績データ106dは、取引実績についてのデータである。取引実績データ106dは、
図8および
図9に示すように、例えば、伝票番号と、計上年月と、部門コードと、前記商品識別データ(商品コード)と、合計の利用数量(スケール数量)と、等を含む。取引実績データ106dは、更に、単価マスタ106aおよび前記取引実績に基づいて計算した結果を含んでいてもよく、すなわち、
図8および
図9に示すように、例えば、後述する従量制料金算出部102dで算出した従量制料金(スケール単価)と、数量「1式」と、当該スケール単価に当該数量「1式」を乗じて算出した取引金額と、等を含んでいてもよい。
【0035】
制御部102は、従量制料金算出装置100を統括的に制御するCPU等である。制御部102は、OS等の制御プログラム・各種の処理手順等を規定したプログラム・所要データなどを格納するための内部メモリを有し、格納されているこれらのプログラムに基づいて種々の情報処理を実行する。
【0036】
制御部102は、機能概念的に、例えば、(1)前記単価マスタから、前記合計入力画面に入力された商品識別データを有するレコードを取得するレコード取得手段としてのレコード取得部102aと、(2)数量範囲毎の単価が設定された単価マスタに従い、合計の利用数量を入力するための画面である合計入力画面に入力された前記合計の利用数量を前記単価マスタ中の前記数量範囲それぞれに割り当てることで、前記数量範囲毎の数量を求める割当手段としての割当部102bと、(3)前記割当手段で割り当てして求めた前記数量範囲毎の数量に、当該数量範囲に対応する前記単価マスタ中の前記単価を乗じることで、前記数量範囲毎の料金を算出する範囲毎料金算出手段としての範囲毎料金算出部102cと、(4)前記範囲毎料金算出手段で算出した前記数量範囲毎の料金を積算することで、前記合計の利用数量に応じた前記従量制料金を算出する従量制料金算出手段としての従量制料金算出部102dと、(5)前記合計入力画面からの指示により、前記単価マスタに設定された前記単価、前記割当手段で求めた前記数量範囲毎の数量および前記範囲毎料金算出手段で算出した前記数量範囲毎の料金を、前記従量制料金算出手段で算出した前記従量制料金の内訳情報として含む内訳情報データを表示する内訳情報表示手段としての内訳情報表示部102eと、(6)前記従量制料金算出手段で算出した前記従量制料金を含み、かつ、前記単価マスタに設定された前記単価、前記割当手段で求めた前記数量範囲毎の数量および前記範囲毎料金算出手段で算出した前記数量範囲毎の料金を前記従量制料金算出手段で算出した前記従量制料金の内訳情報として含む請求書データを生成する請求書データ生成手段としての請求書データ生成部102fと、を備えている。
【0037】
レコード取得部102aは、前記商品識別データと前記数量範囲と前記単価とを有するレコードを含む単価マスタ106aから、合計の利用数量を入力するための合計入力画面(
図5の定期契約明細入力画面に相当)に入力された商品識別データを有するレコードを取得する。
【0038】
割当部102bは、前記取得した前記レコードに従い、前記合計入力画面に入力された前記合計の利用数量を前記取得した前記レコード中の前記数量範囲それぞれに割り当てることで、前記数量範囲毎の数量を求める。
【0039】
範囲毎料金算出部102cは、割当部102bで割り当てして求めた前記数量範囲毎の数量に、当該数量範囲に対応する前記取得した前記レコード中の前記単価を乗じることで、前記数量範囲毎の料金を算出する。
【0040】
従量制料金算出部102dは、範囲毎料金算出部102cで算出した前記数量範囲毎の前記料金を積算することで、前記合計の利用数量に応じた前記従量制料金を算出する。
【0041】
なお、単価マスタ106aにおいて、前記数量範囲および前記単価が、仮想の前記数量範囲および前記単価に変更された場合に、割当部102b、範囲毎料金算出部102cおよび従量制料金算出部102dが、単価マスタ106a中の前記仮想の前記数量範囲および前記単価を用いて処理を行うことで、仮想の前記従量制料金を算出することも可能である。
【0042】
内訳情報表示部102eは、前記合計入力画面からの指示により、単価マスタ106aに設定された前記単価、割当部102bで求めた前記数量範囲毎の数量および範囲毎料金算出部102cで算出した前記数量範囲毎の料金を、従量制料金算出部102dで算出した前記従量制料金の内訳情報として含む内訳情報データ106bを表示する。当該表示は、例えば、前記合計入力画面(
図5の定期契約明細入力画面に相当)とは別の画面(
図6のスケール単価内訳画面に相当)にすることができる。
【0043】
請求書データ生成部102fは、従量制料金算出部102dで算出した前記従量制料金を含み、かつ、単価マスタ106aに設定された前記単価、割当部102bで求めた前記数量範囲毎の数量および範囲毎料金算出部102cで算出した前記数量範囲毎の料金を従量制料金算出部102dで算出した前記従量制料金の内訳情報として含む請求書データ106cを生成する。
【0044】
[3.本実施形態における算出の仕方の概要等]
本項目においては、本実施形態における算出の仕方の概要、従来における算出の仕方の概要および本実施形態における算出によるメリットについて説明する。
【0045】
[3−1.本実施形態における算出の仕方の概要]
通常、単価は数量と掛け合わせることで売上金額を算出するために利用される。これに対して、本実施形態に係る数量スケール金額計算では、「数量スケール」毎の単価が設定されており、売上数量から1式単価が算出され売上金額が決定する仕組みである(※売上金額=数量スケール単価×1式)。売上数量から1式単価を算出する仕組みが数量スケール金額計算であり、以下の例において示すように、数量スケール毎の単価の和を取ることで売上金額を算出する。
【0046】
具体例として、売上数量が100であり、かつ、単価マスタ106aが
図2に示す内容の場合における、1式単価および売上金額の算出方法について説明する。ここで、本実施形態においては、売上数量を「スケール数量」と定義する。スケール数とは、実際の取引量のことであり、数量スケール単価の算出に用いる。
【0047】
本例においては売上数(スケール数量)が100なので、単価マスタ106aを参照しつつ、以下のようにして本実施形態に係る数量スケール金額計算が行われる。すなわち、(1)数量10以下までについては、単価20円×数量10=売上金額200円と算出され、(2)数量50以下までについては、単価15円×数量40(=50−10)=売上金額600円と算出され、(3)数量100以下までについては、単価10円×数量50(=100−40−10)=売上金額500円と算出される。
【0048】
前記(1)〜(3)の単価レンジごとの売上金額(200円、600円および500円)を積算し、これを1式あたりの単価と定義したもの(1,300円)が、数量スケール単価となる。そして、売上金額は、当該数量スケール単価(1,300円)×1式で算出され、1,300円×1=1,300円となる。このため、実際の取引量と売上数量とが異なる。
【0049】
以上、本項目[3−1]で説明したように、本実施形態に係る数量スケール金額計算においては、単価とその単価が採用される数量の範囲(スケール数量)を決めておき、各単価から求められる金額を累積していくという計算を行っている。このため、本実施形態に係る数量スケール金額計算は、例えば、取引数量が増加していくにつれて利用単位当たりの料金が低減していくようなサービスに向いており、具体的には、Webサービス利用時の回線使用の料金体系等に活用できる。
【0050】
[3−2.従来における算出の仕方の概要]
次に、従来の数量別単価計算について説明する。売上数量が100であり、かつ、単価マスタ106aが
図2に示す内容の場合、単価としては10円が採用される。このため、売上金額は、単価10円×数量100=1,000円と算出される。つまり、従来の数量別単価計算においては、数量が決まると、単価が1つに決まる。
【0051】
[3−3.本実施形態における算出によるメリット]
最後に、本実施形態に係る数量スケール金額計算によるメリットについて説明する。本実施形態に係る数量スケール金額計算を採用すれば、例えば、取引量の増加に従って請求金額の増加率が減少する料金体系を実現可能である。また、得られる効果としては、例えば、以下の(1)および(2)が挙げられる。
【0052】
(1)売上(収益)の取り損ねの防止
単価マスタ106aが
図2に示す内容であるとする。この場合、100個の取引があったとすると、[3−2]で説明した従来の数量別単価計算では売上金額が1,000円となるのに対して、[3−1]で説明した本実施形態に係る数量スケール金額計算では売上金額が1,300円となる。また、120個の取引があったとすると、[3−2]で説明した従来の数量別単価計算では売上金額が840円となるのに対して、[3−1]で説明した本実施形態に係る数量スケール金額計算では売上金額が1,440円となる。このように、従来の数量別単価計算の場合、単価マスタ106aのしきい値付近の数量取引で売主が損をする可能性がある。本実施形態に係る数量スケール金額計算で100個売り上げた場合の金額である1,300円を、従来の数量別単価計算を採用して売り上げようとすると、186個を売り上げる必要がある。
【0053】
(2)サービスの利用促進または利用抑制
本実施形態に係る数量スケール金額計算によれば、サービスの利用促進を図ることができる。すなわち、取引量の増加に従って、単価をより低く設定することで、より多くの需要の発生が期待できる。言い換えると、取引量の増加に伴って、単価の減少率を操作する(単価の減少率を上げる)ことで、取引量の増加を促進することが可能である。
【0054】
本実施形態に係る数量スケール金額計算によれば、逆に、サービスの利用抑制を図ることもできる。すなわち、サービスや製品の供給量に制約が存在する場合に、取引量の増加に伴って単価が上昇するような料金設定を行うことで、過度の利用を抑制し安定した供給が可能になる。言い換えると、取引量の増加に伴って、単価の減少率を操作する(単価減少率を抑える)ことで、取引量を抑制することが可能である。
【0055】
以上、本項目[3−3]で説明したように、本実施形態に係る数量スケール金額計算によれば、単価マスタ106aにおける単価の設定によりサービスの利用促進または利用抑制を図ることができるため、定期的に単価体系を見直すことで、一定の収益を確保しつつ、取引量をコントロールし、収益見込の予測が可能となる。
【0056】
[4.処理の具体例]
本項目では、本実施形態に係る処理の具体例として、本実施形態に係る数量スケール金額計算および本実施形態に係る仮想金額計算について、それぞれ項目立てて説明する。
【0057】
[4−1.数量スケール金額計算]
最初に、本実施形態に係る数量スケール金額計算について、
図4のフローに沿って、
図5〜
図7を参照して説明する。
【0058】
まず、
図4のフローの「定期契約入力(1)」において、
図5の定期契約明細入力画面から、商品「ネットワーク利用料金」、契約番号「A010001」、明細番号「1」および契約日「2019/10/01」が入力される。商品の入力がなされると、商品マスタ(図示せず)から、スケール単価を採用するか従来の単価を採用するかが決定される。スケール単価を採用する場合は、
図4のフローの「スケール単価対象の商品か?」において、「Yes」へと進み、本実施形態に係る数量スケール金額計算が行われる。これに対して、従来の単価を採用する場合には、
図4のフローの「スケール単価対象の商品か?」において、「No」へと進み、従来の数量別単価計算が行われる。本例においては、商品「ネットワーク利用料金」に対しては、スケール単価が採用されており、「Yes」へと進むものとする。
【0059】
ここで、
図5の定期契約明細入力画面から、商品「ネットワーク利用料金」が入力されると、レコード取得部102aは、単価マスタ106aから、商品「ネットワーク利用料金」を有するレコードを取得する。当該取得されたレコードからなる単価マスタ106aを、
図3に示す。
【0060】
図4のフローに戻り、「スケール単価対象の商品か?」において、「Yes」へと進むと、次に、
図5の定期契約明細入力画面から、スケール数量「7,500」およびスケール単位コード「回」が入力される。当該入力がなされると、以下のようにして、売上金額の算出が行われる。
【0061】
割当部102bは、
図5の定期契約明細入力画面に入力された数量「7,500回」を、
図3の単価マスタ106a中の数量範囲それぞれに割り当てることで、当該数量範囲毎の数量を求める。具体的には、割当部102bは、
●「1,000回」以下の数量範囲に対しては、数量「7,500回」のうちの1,000回を割り当て、
●「2,000回」以下の数量範囲に対しては、残りの数量「6,500回」のうちの1,000回を割り当て、
●「3,000回」以下の数量範囲に対しては、残りの数量「5,500回」のうちの1,000回を割り当て、
●「4,000回」以下の数量範囲に対しては、残りの数量「4,500回」のうちの1,000回を割り当て、
●「5,000回」以下の数量範囲に対しては、残りの数量「3,500回」のうちの1,000回を割り当て、
●「6,000回」以下の数量範囲に対しては、残りの数量「2,500回」のうちの1,000回を割り当て、
●「9,999,999回」以下の数量範囲に対しては、残りの数量「1,500回」のうちの1,500回を割り当てる。
【0062】
範囲毎料金算出部102cは、割当部102bで割当して求めた前記数量範囲後の数量に、当該数量範囲に対応する
図3の単価マスタ106a中の単価を乗じることで、前記数量範囲毎の料金を算出する。具体的には、範囲毎料金算出部102cは、
●「1,000回」以下の数量範囲の数量1,000回に、「1,000回」以下の数量範囲に対応する単価「33.00円」を乗じることで、33,000円を算出し、
●「2,000回」以下の数量範囲の数量1,000回に、「2,000回」以下の数量範囲に対応する単価「28.00円」を乗じることで、28,000円を算出し、
●「3,000回」以下の数量範囲の数量1,000回に、「3,000回」以下の数量範囲に対応する単価「23.00円」を乗じることで、23,000円を算出し、
●「4,000回」以下の数量範囲の数量1,000回に、「4,000回」以下の数量範囲に対応する単価「18.00円」を乗じることで、18,000円を算出し、
●「5,000回」以下の数量範囲の数量1,000回に、「5,000回」以下の数量範囲に対応する単価「13.00円」を乗じることで、13,000円を算出し、
●「6,000回」以下の数量範囲の数量1,000回に、「6,000回」以下の数量範囲に対応する単価「8.00円」を乗じることで、8,000円を算出し、
●「9,999,999回」以下の数量範囲の数量1,500回に、「9,999,999回」以下の数量範囲に対応する単価「5.00円」を乗じることで、7,500円を算出する。
当該算出された数量範囲毎の料金は、
図4のフローに示すように、内訳情報データ106bに格納される。
【0063】
従量制料金算出部102dは、範囲毎料金算出部102cで算出した前記数量範囲毎の料金を積算することで、スケール数量「7,500」に応じた料金を算出する。具体的には、従量制料金算出部102dは、33,000円+28,000円+23,000円+18,000円+13,000円+8,000円+7,500円=130,500円を算出する。
【0064】
当該算出された130,500円は、スケール単価となる。そして、スケール単価130,500円×1式という計算式により、売上金額130,500円が算出され、更に、消費税額13,050円も算出される。算出されたスケール単価130,500円、売上金額130,500円および消費税額13,050円は、
図4のフローの「定期契約入力(2)」において、
図5の定期契約明細入力画面に表示される。
図5において、ハッチングを付した項目(スケール単価、会計年月、数量、単位、売上金額および消費税額)は、入力項目ではなく表示項目である。
【0065】
ここで、
図5の定期契約明細入力画面において、「単価内訳」がオペレータによって押下されると、内訳情報表示部102eは、内訳情報データ106bの内容を表示する。すなわち、内訳情報表示部102eは、
図6の内訳情報表示画面に、
図3の単価マスタ106aに設定された単価(
図6の「単価」に相当)、割当部102bで求めた前記数量範囲毎の数量(
図6の「数量」に相当)および範囲毎料金算出部102cで算出した前記数量範囲毎の料金(
図6の「金額」に相当)を、従量制料金算出部102dで算出した売上金額130,500円の内訳情報として表示する。内訳情報データ106bの表示により、オペレータは、スケール単価(130,500円)算出の根拠を確認することができる。内訳情報データ106bは、スケール数量を入力したタイミングで生成される。
【0066】
図4のフローに戻り、「請求処理」において、数量スケール金額計算の算出根拠を印字した請求書(
図7参照)が作成される。当該請求書(
図7参照)は、請求書データ生成部102fが生成する請求書データ106cに基づいて作成される。請求書データ生成部102fは、従量制料金算出部102dで算出した売上金額130,500円を含み、かつ、
図3の単価マスタ106aに設定された単価(
図7の請求書でいうと「単価」に相当)、割当部102bで求めた前記数量範囲毎の数量(
図7の請求書でいうと「数量」に相当)、および範囲毎料金算出部102cで算出した前記数量範囲毎の料金(
図7の請求書でいうと「金額」に相当)を従量制料金算出部102dで算出した従量制料金130,500円の内訳情報として含む請求書データ106cを生成する。
【0067】
[4−2.仮想金額計算]
次に、本実施形態に係る仮想金額計算について、
図8および
図9を参照して説明する。
【0068】
過去の取引数量が、
図8の取引実績データ106d中の「スケール数量」のとおりであり、かつ、単価マスタ106aの内容が、
図8に示すとおりである場合、各月の取引金額は、[4−1]で説明した計算方法により、
図8の取引実績データ106d中の「取引金額」のとおり算出される。そして、当該算出された各月の「取引金額」を合計した値が、合計金額219,500円となる。
【0069】
ここで、単価マスタ106a中の数値範囲および単価を変更した場合に合計金額がどのように変動するかを確認したい場合には、変更後の数値範囲(仮想の数値範囲)および変更後の単価(仮想の単価)を用いて、以下のようにして、仮想金額計算を行うことができる。
【0070】
仮想金額計算においては、前記仮想の数値範囲と前記仮想の単価とを含む仮想の単価マスタ106aの設定に基づいて、取引実績データ106dを用いて、各月の仮想の取引金額を算出することができる。具体的には、過去の取引数量が、
図9の取引実績データ106d中の「スケール数量」のとおり(
図8と同じスケール数量)であり、かつ、仮想の単価マスタ106aの内容が、
図9に示すとおりである場合、各月の仮想の取引金額は、[4−1]で説明した計算方法により、
図9の取引実績データ106d中の「取引金額」のとおり算出される。そして、当該算出された仮想の各月の「取引金額」を合計した値が、仮想の合計金額190,700円となる。そして、オペレータは、仮想金額計算の結果を判断材料として、単価マスタ106aの数値範囲および単価を正式に変更するか否かを決定することが可能である。
【0071】
[5.本実施形態のまとめ]
以上説明してきたように、本実施形態に係る従量制料金算出装置100によれば、利用数量に応じてその額が決定される料金である従量制料金を、数量の段階毎に異なる単価を採用する方法により算出することができる。これにより、例えば、従量制契約において、収益を取り損ねてしまうことを防止でき、かつ、単価マスタ106aの設定を調整することで、サービスの利用促進または利用抑制を図ることができる。このため、本発明は、サービスを提供する側と利用者側の双方にメリットがある発明であるといえる。
【0072】
また、本実施形態に係る従量制料金算出装置100によれば、経過月の実績に対して、新数値範囲(仮想の数値範囲)および新単価(仮想の単価)を適用した場合の金額シミュレーション(仮想金額計算処理)を行うことができる。これにより、例えば、単価の見直しによる取引量コントロールや収益拡大を容易に行うことが可能となる。言い換えると、単価見直し時に、収益シミュレーションを実施可能であり、単価設定作業の効率化を実現することができる。
【0073】
[6.他の実施形態]
本発明は、上述した実施形態以外にも、特許請求の範囲に記載した技術的思想の範囲内において種々の異なる実施形態にて実施されてよいものである。
【0074】
例えば、実施形態において説明した各処理のうち、自動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を手動的に行うこともでき、あるいは、手動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を公知の方法で自動的に行うこともできる。
【0075】
また、本明細書中や図面中で示した処理手順、制御手順、具体的名称、各処理の登録データや検索条件等のパラメータを含む情報、画面例、データベース構成については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。
【0076】
また、従量制料金算出装置100に関して、図示の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。
【0077】
例えば、従量制料金算出装置100が備える処理機能、特に制御部にて行われる各処理機能については、その全部または任意の一部を、CPUおよび当該CPUにて解釈実行されるプログラムにて実現してもよく、また、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現してもよい。尚、プログラムは、本実施形態で説明した処理を情報処理装置に実行させるためのプログラム化された命令を含む一時的でないコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されており、必要に応じて従量制料金算出装置100に機械的に読み取られる。すなわち、ROMまたはHDD(Hard Disk Drive)などの記憶部などには、OSと協働してCPUに命令を与え、各種処理を行うためのコンピュータプログラムが記録されている。このコンピュータプログラムは、RAMにロードされることによって実行され、CPUと協働して制御部を構成する。
【0078】
また、このコンピュータプログラムは、従量制料金算出装置100に対して任意のネットワークを介して接続されたアプリケーションプログラムサーバに記憶されていてもよく、必要に応じてその全部または一部をダウンロードすることも可能である。
【0079】
また、本実施形態で説明した処理を実行するためのプログラムを、一時的でないコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納してもよく、また、プログラム製品として構成することもできる。ここで、この「記録媒体」とは、メモリーカード、USB(Universal Serial Bus)メモリ、SD(Secure Digital)カード、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、EEPROM(登録商標)(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory)、CD−ROM(Compact Disk Read Only Memory)、MO(Magneto−Optical disk)、DVD(Digital Versatile Disk)、および、Blu−ray(登録商標) Disc等の任意の「可搬用の物理媒体」を含むものとする。
【0080】
また、「プログラム」とは、任意の言語または記述方法にて記述されたデータ処理方法であり、ソースコードまたはバイナリコード等の形式を問わない。なお、「プログラム」は必ずしも単一的に構成されるものに限られず、複数のモジュールやライブラリとして分散構成されるものや、OSに代表される別個のプログラムと協働してその機能を達成するものをも含む。なお、実施形態に示した各装置において記録媒体を読み取るための具体的な構成および読み取り手順ならびに読み取り後のインストール手順等については、周知の構成や手順を用いることができる。
【0081】
記憶部に格納される各種のデータベース等は、RAM、ROM等のメモリ装置、ハードディスク等の固定ディスク装置、フレキシブルディスク、および、光ディスク等のストレージ手段であり、各種処理やウェブサイト提供に用いる各種のプログラム、テーブル、データベース、および、ウェブページ用ファイル等を格納する。
【0082】
また、従量制料金算出装置100は、既知のパーソナルコンピュータまたはワークステーション等の情報処理装置として構成してもよく、また、任意の周辺装置が接続された当該情報処理装置として構成してもよい。また、従量制料金算出装置100は、当該装置に本実施形態で説明した処理を実現させるソフトウェア(プログラムまたはデータ等を含む)を実装することにより実現してもよい。
【0083】
更に、装置の分散・統合の具体的形態は図示するものに限られず、その全部または一部を、各種の付加等に応じてまたは機能負荷に応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。すなわち、上述した実施形態を任意に組み合わせて実施してもよく、実施形態を選択的に実施してもよい。