特開2021-190055(P2021-190055A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特開2021-190055駆動装置、触覚提示装置及び駆動方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2021-190055(P2021-190055A)
(43)【公開日】2021年12月13日
(54)【発明の名称】駆動装置、触覚提示装置及び駆動方法
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/01 20060101AFI20211115BHJP
   G08B 6/00 20060101ALI20211115BHJP
   B06B 1/06 20060101ALI20211115BHJP
【FI】
   G06F3/01 560
   G08B6/00
   B06B1/06 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2020-145911(P2020-145911)
(22)【出願日】2020年8月31日
(31)【優先権主張番号】特願2020-92247(P2020-92247)
(32)【優先日】2020年5月27日
(33)【優先権主張国】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000204284
【氏名又は名称】太陽誘電株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104215
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100197619
【弁理士】
【氏名又は名称】白鹿 智久
(72)【発明者】
【氏名】石井 茂雄
(72)【発明者】
【氏名】岸本 純明
(72)【発明者】
【氏名】清水 寛之
(72)【発明者】
【氏名】後藤 隆幸
(72)【発明者】
【氏名】濤川 雄一
【テーマコード(参考)】
5C083
5D107
5E555
【Fターム(参考)】
5C083DD18
5C083JJ39
5C083JJ57
5D107BB08
5D107CC02
5D107CC12
5D107DE01
5D107DE02
5E555AA08
5E555BA02
5E555BB02
5E555BC04
5E555DA24
5E555FA00
(57)【要約】
【課題】リアルな触感の提示が可能な空間振動発生装置の駆動装置、触覚提示装置及び駆動方法を提供すること。
【解決手段】本技術に係る駆動装置は、周波数が1Hz以上100Hz未満である第1低周波を第1変調波とし、周波数が100Hz以上300Hz以下である第2低周波を上記第1変調波によって振幅変調してなる波形を第2変調波とし、周波数が20kHz以上100kHz以下である高周波を上記第2変調波によって変調してなる波形を有する駆動信号を生成し、上記駆動信号を圧電素子に出力する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
周波数が1Hz以上100Hz未満である第1低周波を第1変調波とし、周波数が100Hz以上300Hz以下である第2低周波を前記第1変調波によって振幅変調してなる波形を第2変調波とし、周波数が20kHz以上100kHz以下である高周波を前記第2変調波によって変調してなる波形を有する駆動信号を生成し、前記駆動信号を圧電素子に出力する
駆動装置。
【請求項2】
請求項1に記載の駆動装置であって、
前記第2変調波による前記高周波の変調は、振幅変調である
駆動装置。
【請求項3】
請求項1に記載の駆動装置であって、
前記第2変調波による前記高周波の変調は、周波数変調である
駆動装置。
【請求項4】
請求項1に記載の駆動装置であって、
前記第2低周波の周波数の、前記第1低周波の周波数に対する比率は100、10、5、4又は2である
駆動装置。
【請求項5】
圧電素子を備えるトランスデューサが配列され、超音波を空間中の一点に収束させる空間振動発生装置と、
周波数が1Hz以上100Hz未満である第1低周波を第1変調波とし、周波数が100Hz以上300Hz以下である第2低周波を前記第1変調波によって振幅変調してなる波形を第2変調波とし、周波数が20kHz以上100kHz以下である高周波を前記第2変調波によって変調してなる波形を有する駆動信号を生成し、前記駆動信号を前記圧電素子に出力する駆動装置と
を具備する触覚提示装置。
【請求項6】
振動体と、前記振動体に接合された圧電素子を備える振動発生装置と、
周波数が1Hz以上100Hz未満である第1低周波を第1変調波とし、周波数が100Hz以上300Hz以下である第2低周波を前記第1変調波によって振幅変調してなる波形を第2変調波とし、周波数が20kHz以上100kHz以下である高周波を前記第2変調波によって変調してなる波形を有する駆動信号を生成し、前記駆動信号を前記圧電素子に出力する駆動装置と
を具備する触覚提示装置。
【請求項7】
周波数が1Hz以上100Hz未満である第1低周波を第1変調波とし、周波数が100Hz以上300Hz以下である第2低周波を前記第1変調波によって振幅変調してなる波形を第2変調波とし、周波数が20kHz以上100kHz以下である高周波を前記第2変調波によって変調してなる波形を有する駆動信号を生成し、前記駆動信号を圧電素子に出力する
駆動方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波振動により空間に触感を発生させる空間振動発生装置の駆動装置、触覚提示装置及び駆動方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ユーザに触感を提示する触覚機能デバイスには様々なアクチュエータが用いられている。例えば、通知機能には偏心モータやリニア共振アクチュータ等の電磁式アクチュエータが用いられている。また、フォースフィードバック機能にはこれらの電磁式アクチュエータに加え、圧電式アクチュエータも用いられている。
【0003】
近年、触覚技術は高度化が進んでおり、ザラザラ感やツルツル感等の触感も提示可能な技術が開発されている(例えば、特許文献1参照)。また、平面上で触感を提示するのみならず、空間において触感を提示する三次元触覚技術も開発されている。三次元触覚技術では例えば、トランスデュ―サ(超音波振動子)を多数配置した平面スピーカを用い、音波集束技術や超音波搬送浮揚技術を応用した空間での触覚提示が実現されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平8−314369号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載のような触覚提示技術は、ユーザが接触する物体に振動を生じさせることにより触覚を提示するのに対し、三次元触覚技術では空間中の超音波により触覚を提示するため、ユーザは物体に接触しない。このため、三次元触覚技術では実際に物体に触れているかのような、よりリアルな触感の提示が求められている。さらに、触感提示のための超音波出力に多数のトランスデュ―サが必要であり、その消費電力やノイズの発生等が課題として挙げられる。
【0006】
以上のような事情に鑑み、本発明の目的は、リアルな触感の提示が可能な空間振動発生装置の駆動装置、触覚提示装置及び駆動方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明の一形態に係る駆動装置は、周波数が1Hz以上100Hz未満である第1低周波を第1変調波とし、周波数が100Hz以上300Hz以下である第2低周波を上記第1変調波によって振幅変調してなる波形を第2変調波とし、周波数が20kHz以上100kHz以下である高周波を上記第2変調波によって変調してなる波形を有する駆動信号を生成し、上記駆動信号を圧電素子に出力する。
【0008】
この構成によれば、第1変調波である第1低周波は、周波数が1Hz以上100Hz未満であり、人の皮膚の受容器であるマイスナー小体等が敏感に感じることが可能である。また、第1変調波によって振幅変調される第2低周波は、周波数が100Hz以上300Hz以下であり、人の皮膚の受容器であるパチニ小体等が敏感に感じることが可能である。これにより、この振幅変調で生成された第2変調波によって、搬送波である20kHz以上100kHz以下の高周波を変調することで、ユーザにこれまでにないリアルな触感を感じさせることが可能となる。
【0009】
上記第2変調波による上記高周波の変調は、振幅変調であってもよい。
【0010】
上記第2変調波による上記高周波の変調は、周波数変調であってもよい。
【0011】
上記第2低周波の周波数の、上記第1低周波の周波数に対する比率は100、10、5、4又は2であってもよい。
【0012】
上記目的を達成するため、本発明の一形態に係る触覚提示装置は、空間振動発生装置と、駆動装置とを具備する。
上記空間振動発生装置は、圧電素子を備えるトランスデューサが配列され、超音波を空間中の一点に収束させる。
上記駆動装置は、周波数が1Hz以上100Hz未満である第1低周波を第1変調波とし、周波数が100Hz以上300Hz以下である第2低周波を上記第1変調波によって振幅変調してなる波形を第2変調波とし、周波数が20kHz以上100kHz以下である高周波を上記第2変調波によって変調してなる波形を有する駆動信号を生成し、上記駆動信号を上記圧電素子に出力する。
【0013】
上記目的を達成するため、本発明の一形態に係る触覚提示装置は、振動発生装置と、駆動装置とを具備する。
上記振動発生装置は、振動体と、上記振動体に接合された圧電素子を備える。
上記駆動装置は、周波数が1Hz以上100Hz未満である第1低周波を第1変調波とし、周波数が100Hz以上300Hz以下である第2低周波を上記第1変調波によって振幅変調してなる波形を第2変調波とし、周波数が20kHz以上100kHz以下である高周波を上記第2変調波によって変調してなる波形を有する駆動信号を生成し、上記駆動信号を上記圧電素子に出力する。
【0014】
上記目的を達成するため、本発明の一形態に係る駆動方法は、周波数が1Hz以上100Hz未満である第1低周波を第1変調波とし、周波数が100Hz以上300Hz以下である第2低周波を上記第1変調波によって振幅変調してなる波形を第2変調波とし、周波数が20kHz以上100kHz以下である高周波を上記第2変調波によって変調してなる波形を有する駆動信号を生成し、上記駆動信号を圧電素子に出力する。
【発明の効果】
【0015】
以上のように本発明によれば、リアルな触感の提示が可能な空間振動発生装置の駆動装置、触覚提示装置及び駆動方法を提供することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の実施形態に係る触感提示装置の模式図である。
図2】上記触感提示装置が備える空間振動発生装置の動作を示す模式図である。
図3】振幅変調の原理を示す模式図である。
図4】振幅変調における変調度を示す模式図である。
図5】周波数変調の原理を示す模式図である。
図6】上記触感提示装置が備える駆動装置が生成する、第2変調波(250Hz+10Hz)の波形を示す模式図である。
図7】上記触感提示装置が備える駆動装置が生成する、第2変調波(250Hz+50Hz)の波形を示す模式図である。
図8】上記触感提示装置が備える駆動装置が生成する、振幅変調による駆動信号波(40kHz+250Hz+10Hz)の波形を示す模式図である。
図9】上記触感提示装置が備える駆動装置が生成する、振幅変調による駆動信号波(40kHz+250Hz+50Hz)の波形を示す模式図である。
図10】上記触感提示装置が備える駆動装置が生成する、周波数変調による駆動信号波(40kHz+250Hz+10Hz)の波形を示す模式図である。
図11】上記触感提示装置が備える駆動装置が生成する、周波数変調による駆動信号波(40kHz+250Hz+10Hz)の波形を示す模式図である。
図12】本発明の実施形態に係る触感提示装置の模式図である。
図13】上記触感提示装置が備える振動発生装置を示す模式図である。
図14】上記触感提示装置が備える駆動装置が生成する駆動信号波(25kHz+200Hz)の波形を示す模式図である。
図15】上記触感提示装置が備える駆動装置が生成する駆動信号波(25kHz+200Hz+2Hz)の波形を示す模式図である。
図16】上記触感提示装置が備える駆動装置が生成する駆動信号波(25kHz+200Hz+20Hz)の波形を示す模式図である。
図17】上記触感提示装置が備える駆動装置が生成する駆動信号波(25kHz+200Hz+40Hz)の波形を示す模式図である。
図18】上記触感提示装置が備える駆動装置が生成する駆動信号波(25kHz+200Hz+50Hz)の波形を示す模式図である。
図19】本発明の実施例に係る、指標αを第1低周波の周波数に対してプロットしたグラフ(指標β=125)である。
図20】本発明の実施例に係る、指標αを第1低周波の周波数に対してプロットしたグラフ(指標β=156)である。
図21】本発明の実施例に係る、指標αを第1低周波の周波数に対してプロットしたグラフ(指標β=100)である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の実施形態に係る触覚提示装置について説明する。
【0018】
[触覚提示装置の構成]
図1は本実施形態に係る触覚提示装置100の模式図である。同図に示すように、触覚提示装置100は、空間振動発生装置101及び駆動装置102を備える。
【0019】
空間振動発生装置101は、支持部111と、複数のトランスデューサ(超音波振動子)112を備える。支持部111は放物面形状の曲面111aを備える。トランスデューサ112は、振動体に圧電素子を接合した構成を有し、超音波を発生させる。トランスデューサ112は曲面111a上に配列されている。
【0020】
駆動装置102は、各トランスデューサ112に駆動信号を供給する。具体的には駆動装置102は、各トランスデューサ112が備える圧電素子の正極及び負極に接続され、正極と負極の間に後述する駆動信号波形を出力する。駆動装置102は例えばアンプである。
【0021】
図2は、空間振動発生装置101の動作を示す模式図である。各トランスデューサ112に駆動装置102から駆動信号が供給されると、各トランスデューサ112から超音波Sが出射される。各トランスデューサ112は曲面111a上に配列されているため、各トランスデューサ112から出射される超音波Sは空間中の点Pに収束する。ユーザがこの点Pに手指をかざすと、超音波Sによる触覚を感じることができる。
【0022】
触覚提示装置100は以上のような構成を有する。なお、空間振動発生装置101の構成は上述のものに限定されず、空間において特定の点に超音波を収束させることが可能なものであればよい。
【0023】
[駆動信号波形について]
駆動装置102から各トランスデューサ112に出力される駆動信号の電圧波形(以下、駆動信号波)について説明する。なお、各信号の波形については、以下の説明において便宜上正弦波としているが、これに限定されるものではない。
【0024】
<振幅変調及び周波数変調について>
駆動装置102は駆動信号波の生成に振幅変調及び周波数変調を用いることができる。
【0025】
振幅変調(AM:Amplitude Modulation)は搬送波の振幅による変調方式である。図3は振幅変調の原理を示す模式図である。図3(a)は送信したい信号の波形(以下、信号波)であり、図3(b)は送信に用いる搬送波を示す。振幅変調は、図3(c)に示すように信号波の波形を搬送波の振幅方向の強弱によって伝送する。振幅変調は、送信機や受信機の回路構成がシンプルであり、小型化、低コスト化が可能であり、消費電力が小さいというメリットがある。一方、ノイズに弱く高い音質が得にくいというデメリットがある。
【0026】
図4は、振幅変調波の波形と変調度の関係を示す模式図である。同図に示すように、振幅変調波の「ピーク」の振幅を振幅aとし、「谷底」の振幅を振幅bとすると、変調度mは以下の(式1)で表される。下記(式1)で示すように、振幅aに対して振幅bが小さいほど変調度mが大きくなる。
【0027】
m=(a−b)/(a+b) (式1)
【0028】
周波数変調(FM:Frequency Modulation)は搬送波の周波数による変調方式である。図5は周波数変調の原理を示す模式図である。図5(a)は送信したい信号の波形(以下、信号波)であり、図5(b)は送信に用いる搬送波を示す。周波数変調は、図5(c)に示すように信号波の波形を搬送波の周波数の変化によって伝送する。周波数変調は、ノイズに強いというメリットがあり、伝送信号の品質を高くすることができるというメリットがある。一方、高い周波数でしか利用できない、回路コストが高いというデメリットがある。
【0029】
<第1変調波及び第2変調波>
駆動装置102は、第1低周波及び第2低周波から第1変調波及び第2変調波を生成する。第1低周波は、周波数が1Hz以上100Hz未満の正弦波である。第2低周波は、周波数が100Hz以上300Hz以下の正弦波である。
【0030】
駆動装置102は、第1低周波を第1変調波とし、第2低周波を第1変調波によって振幅変調して第2変調波を生成する。図6は、第2変調波の例であり、周波数250Hzの第2低周波を周波数10Hzの第1低周波で振幅変調した波形である。図7は、第2変調波の別の例であり、周波数250Hzの第2低周波を周波数50Hzの第1低周波で振幅変調した波形である。
【0031】
図6及び図7において、W2で示す波長の小さい波は振幅変調された第2低周波であり、W1で示す波長の大きい波は第2低周波W2の振幅の変化によって形成された第1低周波である。即ち図6及び図7に示す第2変調波は、第2低周波W2を搬送波、第1低周波W1を変調波とする振幅変調波である。振幅変調の変調度(図4参照)は100%に近い程、消費電力を低減でき、振幅落差によって後述する触感の感度を向上させることができるため好適である。
【0032】
<駆動信号波>
さらに駆動装置102は、高周波と第2変調波から駆動信号波を生成する。高周波は、周波数が20kHz以上100kHz以下の正弦波であり、例えば周波数が40kHzの正弦波とすることができる。駆動装置102は、高周波を第2変調波によって変調し、駆動信号波を生成する。この変調は、振幅変調又は周波数変調とすることができる。
【0033】
{振幅変調による駆動信号波の生成}
駆動装置102は、高周波を第2変調波によって振幅変調し、駆動信号波を生成することができる。図8は、振幅変調による駆動信号波の例であり、周波数40kHzの高周波を第2変調波で振幅変調した波形である。第2変調波は上述した、周波数250Hzの第2低周波を周波数10Hzの第1低周波で振幅変調した波形(図6参照)を有する。
【0034】
図8は、振幅変調による駆動信号波の別の例であり、周波数40kHzの高周波を第2変調波で振幅変調した波形である。第2変調波は上述した、周波数250Hzの第2低周波を周波数50Hzの第1低周波で振幅変調した波形(図7参照)を有する。
【0035】
図8及び図9において、W4で示す波長の小さい波は振幅変調された高周波であり、W3で示す波長の大きい波は高周波W4の振幅の変化によって形成された第2変調波である。即ち、図8及び図9に示す駆動信号波は、高周波W4を搬送波、第2変調波W3を変調波とする振幅変調波である。
【0036】
{周波数変調による駆動信号波の生成}
駆動装置102は、高周波を第2変調波によって周波数変調し、駆動信号波を生成することができる。図10は、周波数変調による駆動信号波の例であり、周波数40kHzの高周波を第2変調波で周波数変調した波形である。図10(b)は図10(a)の拡大図である。第2変調波は上述した、周波数250Hzの第2低周波を周波数10Hzの第1低周波で振幅変調した波形(図6参照)を有する。
【0037】
図11は、周波数変調による駆動信号波の別の例であり、周波数40kHzの高周波を第2変調波で周波数変調した波形である。図11(b)は図11(a)の拡大図である。第2変調波は上述した、周波数250Hzの第2低周波を周波数50Hzの第1低周波で振幅変調した波形(図7参照)を有する。
【0038】
図10及び図11において、W6で示す波長の小さい波は周波数変調された高周波であり、W5で示す波長の大きい波は高周波W6の周波数の変化によって形成された第2変調波である。即ち図10及び図11に示す駆動信号波は、高周波W6を搬送波、第2変調波W5を変調波とする周波数変調波である。
【0039】
駆動装置102は以上のようにして駆動信号波を生成する。駆動装置102は、振幅変調によって生成した駆動信号波を空間振動発生装置101に供給してもよく、周波数変調によって生成した駆動信号波を空間振動発生装置101に供給してもよい。駆動装置102は、これらの駆動信号波のうち一方のみを生成可能なものであってもよく、両方を生成可能なものであってもよい。
【0040】
[触覚提示装置による効果]
駆動装置102は生成した駆動信号波を、空間振動発生装置101が備える各トランスデューサ112の圧電素子において正極と負極の間に供給する。トランスデューサ112は駆動信号波に応じて超音波を生成し、空間中の点P(図2参照)に収束させる。
【0041】
上記のように、駆動信号波は第2低周波を第1変調波によって振幅変調してなる波形を第2変調波とし、高周波を第2変調波によって振幅変調又は周波数変調して駆動信号波を生成する。ここで、第1変調波である第1低周波は、周波数が1Hz以上100Hz未満の正弦波であり、この周波数は人の皮膚の受容器であるマイスナー小体等が敏感に感じることが可能な周波数である。
【0042】
また、第1変調波によって振幅変調される第2低周波は、周波数が100Hz以上300Hz以下の正弦波であり、この周波数は人の皮膚の受容器であるパチニ小体等が敏感に感じることが可能な周波数である。これにより、この振幅変調で生成された第2変調波によって、搬送波である20kHz以上100kHz以下の高周波を変調することで、点Pに触れるユーザに明確な触感を感じさせるが可能となる。
【0043】
なお、上述のように、高周波の変調は振幅変調であってもよく、周波数変調であってもよい。振幅変調の場合、信号処理回路のコスト低減や消費電力の低減が可能である。一方、周波数変調の場合、ノイズに強く、ユーザに触感に加えて熱を感じさせることが可能となる。
【0044】
[振動発生装置の構成について]
触覚提示装置100は、空間振動発生装置101に代えて、ユーザが直接接触することにより触感を得られる振動発生装置を備えるものであってもよい。図12は振動発生装置103を備える触覚提示装置100の模式図である。同図に示すように、振動発生装置103は、振動体113及び圧電素子114を備える。
【0045】
振動体113は、圧電素子114によって振動する部材である。図13は振動体113の側面図である。振動体113は、ガラス又はプラスチック等の材料からなる板状の部材とすることができ、例えば、液晶パネルや電子機器の筐体等である。振動体113の形状やサイズは特に限定されない。
【0046】
圧電素子114は、振動体113に接合され、振動を生じる。圧電素子114は、正極、負極及び圧電材料層を備え、正極と負極の間に電圧を印加すると、逆圧電効果により圧電材料層に変形が生じ、振動が発生する。圧電素子114は正極と負極を、圧電材料層を介して交互に積層した積層構造を有するものであってもよく、他の構造を有するものであってもよい。
【0047】
圧電素子114は図13に示すように、振動体113の長辺方向(x方向)の両端部に1つずつが配置されるものとすることができる。また、圧電素子114の数は2つに限られず、1つ又は3つ以上が配置されてもよい。圧電素子114は接着等によって振動体113に接合されるものとすることができる。
【0048】
上記駆動装置102は、圧電素子114の正極及び負極に接続され、正極と負極の間に駆動信号波形を出力する。触覚提示装置100はこのように、振動発生装置103を備えるものであってもよい。ユーザが振動発生装置103に接触すると、圧電素子114による振動によって、後述する各種触感を知覚することができる。
【0049】
[第1変調波と第2変調波の周波数比率について]
上記のように駆動装置102は、第1低周波を第1変調波とし、第2低周波を第1変調波によって振幅変調して第2変調波を生成する。さらに駆動装置102は、高周波を第2変調波によって、振幅変調又は周波数変調により変調し、駆動信号波を生成する。
【0050】
下記[表1]は、第1低周波、第2低周波及び高周波によりユーザに提示することが可能な触感を示す表である。駆動装置102は、上記のように第1低周波、第2低周波及び高周波から生成した駆動信号を振動発生装置103の圧電素子114に供給することにより、振動体113に接触するユーザに各種触感を提示することができる。
【0051】
【表1】
【0052】
ここで、駆動装置102は、第2低周波の周波数の、第1低周波の周波数に対する比率(以下、周波数比率)を所定の比率とすることができる。具体的には、駆動装置102は、周波数比率を100、10、5、4又は2とすることができる。
【0053】
下記の[表2]は、第2低周波と第1低周波の周波数及び周波数比率を示す表である。この表に示すように、「周波数比率100」では、第2低周波の周波数が100Hzの場合、第1低周波の周波数は1Hz、第2低周波の周波数が160Hzの場合、第1低周波の周波数は1.6Hz、第2低周波の周波数が200Hzの場合、第1低周波の周波数は2Hz等とすることができる。
【0054】
【表2】
【0055】
また、「周波数比率10」では、第2低周波の周波数が100Hzの場合、第1低周波の周波数は10Hz、第2低周波の周波数が160Hzの場合、第1低周波の周波数は16Hz、第2低周波の周波数が200Hzの場合、第1低周波の周波数は20Hz等とすることができる。以下、同様に、駆動装置102は第1低周波及び第2低周波の周波数を[表2]に示す周波数比率となるようにすることができる。
【0056】
駆動装置102は、[表2]に示す周波数比率となる第2低周波を第1変調波によって振幅変調して第2変調波を生成し、高周波を第2変調波によって変調し、駆動信号波を生成する。駆動装置102が駆動信号波を振動発生装置103の圧電素子114に供給すると、振動体113に接触するユーザに各種触感を提示することができる。
【0057】
ここで、触覚提示装置100は、周波数比率によって、ユーザに提示する触感を制御することができる。具体的には、[表2]に示すように、周波数比率が100の場合、ユーザに「触感A」を提示することができる。「触感A」は柔軟性を有する押し込み感を感じる触感である。
【0058】
また、周波数比率が10の場合、ユーザに「触感B」を提示することができる。「触感B」は「コツコツ」、「ドンドン」といった圧感を感じる触感である。周波数比率が5の場合、ユーザに「触感C」を提示することができる。「触感C」はむずむずするようなしびれ感を感じる触感である。周波数比率が4の場合、ユーザに「触感D」を提示することができる。「触感D」は繊細感のある、刺さるような触感である。周波数比率が2の場合、ユーザに「触感E」を提示することができる。「触感E」はスクィーズ(振動による浮揚現象)時に振動感を強調する触感である。
【0059】
このように、触覚提示装置100では、周波数比率によってユーザに各種の触感を提示することが可能である。
【0060】
[駆動信号波の波形について]
図14乃至図18は、周波数比率が異なる駆動信号波の例である。図14は、比較として、周波数25kHzの高周波を周波数200Hzの低周波で振幅変調した波形である。同図において、W8で示す波長の小さい波は振幅変調された高周波であり、W7で示す波長の大きい波は高周波W8の振幅の変化によって形成された第2変調波である。即ち、図14に示す駆動信号波は、高周波W8を搬送波、第2変調波W7を変調波とする振幅変調波である。
【0061】
図15は、周波数25kHzの高周波を第2変調波によって振幅変調した波形であり、第2変調波は周波数200Hzの第2低周波を周波数2Hzの第1変調波で振幅変調した波形を有する。同図において、W10で示す波長の小さい波は振幅変調された高周波であり、W9で示す波長の大きい波は高周波W10の振幅の変化によって形成された第2変調波である。即ち、図15に示す駆動信号波は、高周波W10を搬送波、第2変調波W9を変調波とする振幅変調波である。この駆動信号波では、上記「触感A」を提示することができる。
【0062】
図16は、周波数25kHzの高周波を第2変調波によって振幅変調した波形であり、第2変調波は周波数200Hzの第2低周波を周波数20Hzの第1変調波で振幅変調した波形を有する。同図において、W12で示す波長の小さい波は振幅変調された高周波であり、W11で示す波長の大きい波は高周波W12の振幅の変化によって形成された第2変調波である。即ち、図16に示す駆動信号波は、高周波W12を搬送波、第2変調波W11を変調波とする振幅変調波である。この駆動信号波では、上記「触感B」を提示することができる。
【0063】
図17は、周波数25kHzの高周波を第2変調波によって振幅変調した波形であり、第2変調波は周波数200Hzの第2低周波を周波数40Hzの第1変調波で振幅変調した波形を有する。同図において、W14で示す波長の小さい波は振幅変調された高周波であり、W13で示す波長の大きい波は高周波W14の振幅の変化によって形成された第2変調波である。即ち、図17に示す駆動信号波は、高周波W14を搬送波、第2変調波W13を変調波とする振幅変調波である。この駆動信号波では、上記「触感C」を提示することができる。
【0064】
図18は、周波数25kHzの高周波を第2変調波によって振幅変調した波形であり、第2変調波は周波数200Hzの第2低周波を周波数50Hzの第1変調波で振幅変調した波形を有する。同図において、W16で示す波長の小さい波は振幅変調された高周波であり、W15で示す波長の大きい波は高周波W16の振幅の変化によって形成された第2変調波である。即ち、図18に示す駆動信号波は、高周波W16を搬送波、第2変調波W15を変調波とする振幅変調波である。この駆動信号波では、上記「触感D」を提示することができる。
【実施例】
【0065】
上記実施形態に係る駆動装置によって駆動信号波を生成し、振動発生装置(図12参照)の圧電素子に供給した。振動体に指を接触させ、振動体の振動による触感を観測した。駆動信号波は上記のように、高周波を第2変調波によって変調して生成した。第2変調波は、第1低周波を第1変調波とし、第2低周波を第1変調波によって振幅変調したものである。
【0066】
下記、[表3]は、高周波の周波数を25kHz、第2低周波の周波数を200Hzとし、第1低周波の周波数を変更した場合の振動による触感を示す表である。[表3]において指標αは(第2低周波の周波数/第1低周波の周波数)であり、上記実施形態における周波数比率に等しい。指標βは(高周波の周波数/第2低周波の周波数)である。図19は、[表3]に示す指標αを第1低周波の周波数に対してプロットしたグラフである。
【0067】
【表3】
【0068】
下記、[表4]は、高周波の周波数を25kHz、第2低周波の周波数を160Hzとし、第1低周波の周波数を変更した場合の振動による触感を示す表である。[表4]において指標αは(第2低周波の周波数/第1低周波の周波数)であり、指標βは(高周波の周波数/第2低周波の周波数)である。図20は、[表4]に示す指標αを第1低周波の周波数に対してプロットしたグラフである。
【0069】
【表4】
【0070】
下記、[表5]は、高周波の周波数を25kHz、第2低周波の周波数を250Hzとし、第1低周波の周波数を変更した場合の振動による触感を示す表である。[表5]において指標αは(第2低周波の周波数/第1低周波の周波数)であり、実施形態における周波数比率に等しい。指標βは(高周波の周波数/第2低周波の周波数)である。図21は、[表5]に示す指標αを第1低周波の周波数に対してプロットしたグラフである。
【0071】
【表5】
【0072】
図19乃至図21に示すように、指標αによって異なる触感が得られた。また、指標αに応じた触感の傾向は指標βが異なっても同様であった。したがって、指標αによってユーザに提示する触感を制御することが可能であるといえる
【符号の説明】
【0073】
100…触覚提示装置
101…空間振動発生装置
102…駆動装置
103…振動発生装置
111…支持部
112…トランスデューサ
113…振動体
114…圧電素子
図1
図2
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図6
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