【解決手段】 半導体装置A10は、主面30Aに設けられたパッド31を有する半導体素子30と、パッド31につながり、かつパッド31から厚さ方向zに向けて突出する電極33と、第1裏面11Bを有するとともに、半導体素子30および電極33を覆い、かつ第1裏面11Bから電極33の一部が露出する第1絶縁層11と、電極33につながり、かつ第1絶縁層11において第1裏面11Bが位置する側に配置された第1配線層21と、を備える。電極33は、パッド31に接合され、かつ厚さ方向zに向けて膨出するバンプ部331を含む。厚さ方向zに沿って視て、バンプ部331の中心における厚さ方向zの寸法t1が、バンプ部331の端縁における厚さ方向zの寸法t2と異なる。
前記厚さ方向に沿って視て、前記バンプ部の中心における前記厚さ方向の寸法は、前記バンプ部の端縁における前記厚さ方向の寸法よりも大である、請求項1に記載の半導体装置。
前記延出部の前記厚さ方向に対して直交する方向の最大寸法は、前記バンプ部の前記厚さ方向に対して直交する方向の寸法よりも小である、請求項4に記載の半導体装置。
前記厚さ方向において互いに反対側を向く対向面および第2裏面と、前記厚さ方向において前記対向面が位置する側から前記第2裏面が位置する側に至る貫通部と、を有するとともに、前記対向面が前記第1裏面に接して配置された第2絶縁層と、
前記貫通部に収容され、かつ前記第1配線層につながる連絡部と、前記連絡部につながり、かつ前記第2絶縁層において前記第2裏面が位置する側に配置された主部と、を含む第2配線層と、をさらに備え、
前記第1配線層は、前記第2絶縁層に覆われ、
前記厚さ方向に沿って視て、前記貫通部の少なくとも一部が、前記第1配線層に重なっている、請求項7ないし9のいずれかに記載の半導体装置。
前記厚さ方向に沿って視て、前記主部は、前記第1配線層に重なる部分を含むとともに、前記第1配線層が延びる方向とは異なる方向に沿って延びている、請求項13に記載の半導体装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上述の事情に鑑み、装置の製造効率の低下を抑制しつつ、半導体素子に比較的大きな電流を流すことが可能な半導体装置およびその製造方法を提供することをその課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の側面によって提供される半導体装置は、厚さ方向を向く主面に設けられたパッドを有する半導体素子と、前記パッドにつながり、かつ前記パッドから前記厚さ方向に向けて突出する電極と、前記厚さ方向において前記主面と同じ側を向く第1裏面を有するとともに、前記半導体素子および前記電極を覆い、かつ前記第1裏面から前記電極の一部が露出する第1絶縁層と、前記電極につながり、かつ前記第1絶縁層において前記第1裏面が位置する側に配置された第1配線層と、を備え、前記電極は、前記パッドに接合され、かつ前記厚さ方向に向けて膨出するバンプ部を含み、前記厚さ方向に沿って視て、前記バンプ部の中心における前記厚さ方向の寸法が、前記バンプ部の端縁における前記厚さ方向の寸法と異なることを特徴としている。
【0008】
本発明の実施において好ましくは、前記厚さ方向に沿って視て、前記バンプ部の中心における前記厚さ方向の寸法は、前記バンプ部の端縁における前記厚さ方向の寸法よりも大である。
【0009】
本発明の実施において好ましくは、前記バンプ部は、複数の領域を含み、前記複数の領域が前記厚さ方向に積層されている。
【0010】
本発明の実施において好ましくは、前記電極は、前記バンプ部から前記第1裏面に向けて延びる延出部を含み、前記延出部が、前記第1配線層につながっている。
【0011】
本発明の実施において好ましくは、前記第1配線層につながる前記延出部の部分は、前記バンプ部に向けて屈曲したループ状をなしている。
【0012】
本発明の実施において好ましくは、前記延出部の前記厚さ方向に対して直交する方向の最大寸法は、前記バンプ部の前記厚さ方向に対して直交する方向の寸法よりも小である。
【0013】
本発明の実施において好ましくは、前記第1絶縁層は、熱硬化性の合成樹脂と、金属元素が含有された添加剤と、を含む材料からなり、前記第1配線層は、前記第1絶縁層に接する第1下地層と、前記第1下地層を覆う第1めっき層と、を有し、前記第1下地層は、その組成に前記金属元素を含み、前記第1めっき層は、前記電極に接している。
【0014】
本発明の実施において好ましくは、前記第1絶縁層は、前記第1裏面から前記厚さ方向に向けて凹む溝部を有し、前記溝部は、前記電極につながり、前記溝部には、前記第1配線層が配置されている。
【0015】
本発明の実施において好ましくは、前記第1配線層は、前記厚さ方向に向けて凹む凹部を有し、前記凹部は、前記溝部が延びる方向に沿って延びている。
【0016】
本発明の実施において好ましくは、前記第1裏面および前記第1配線層を覆う保護層をさらに備え、前記保護層は、前記厚さ方向に貫通する開口を有し、前記第1配線層の一部が、前記開口で前記保護層から露出している。
【0017】
本発明の実施において好ましくは、端子をさらに備え、前記端子は、前記開口で前記保護層から露出する前記第1配線層の一部に接合され、前記端子は、前記保護層から前記厚さ方向に向けて突出している。
【0018】
本発明の実施において好ましくは、前記端子は、錫を含む材料からなる。
【0019】
本発明の実施において好ましくは、前記厚さ方向において互いに反対側を向く対向面および第2裏面と、前記厚さ方向において前記対向面が位置する側から前記第2裏面が位置する側に至る貫通部と、を有するとともに、前記対向面が前記第1裏面に接して配置された第2絶縁層と、前記貫通部に収容され、かつ前記第1配線層につながる連絡部と、前記連絡部につながり、かつ前記第2絶縁層において前記第2裏面が位置する側に配置された主部と、を含む第2配線層と、をさらに備え、前記第1配線層は、前記第2絶縁層に覆われ、前記厚さ方向に沿って視て、前記貫通部の少なくとも一部が、前記第1配線層に重なっている。
【0020】
本発明の実施において好ましくは、前記厚さ方向に沿って視て、前記主部は、前記第1配線層に重なる部分を含むとともに、前記第1配線層が延びる方向とは異なる方向に沿って延びている。
【0021】
本発明の実施において好ましくは、前記第2絶縁層は、熱硬化性の合成樹脂と、前記金属元素が含有された添加剤と、を含む材料からなり、前記第2配線層は、前記第2絶縁層に接する第2下地層と、前記第2下地層を覆う第2めっき層と、を有し、前記第2下地層は、その組成に前記金属元素を含み、前記第2めっき層は、前記第1配線層に接している。
【0022】
本発明の実施において好ましくは、前記第2絶縁層は、前記貫通部を規定する内周面を有し、前記内周面は、前記連絡部をなす前記第2下地層に覆われ、かつ前記対向面に対して傾斜し、前記貫通部の前記厚さ方向に対する横断面積は、前記対向面が位置する側から前記第2裏面が位置する側に向かうほど、徐々に大である。
【0023】
本発明の第2の側面によって提供される半導体装置の製造方法は、厚さ方向のいずれかの側に設けられたパッドを有する半導体素子に対して、前記パッドから前記厚さ方向に向けて突出する電極を形成する工程と、前記電極の一部が露出するように、前記半導体素子を絶縁層に埋め込む工程と、前記電極につながる配線層を前記絶縁層の上に形成する工程と、を備え、前記電極を形成する工程では、ワイヤボンディングにより前記電極が形成され、前記電極は、前記ワイヤボンディングにより形成されるボールボンディング部を含むことを特徴としている。
【0024】
本発明の実施において好ましくは、前記絶縁層は、熱硬化性の合成樹脂と、前記配線層の一部を組成する金属元素が含有された添加剤と、を含む材料からなり、前記配線層を形成する工程では、前記金属元素を含む下地層を前記絶縁層に析出させる工程と、前記下地層を覆うめっき層を形成する工程と、を含み、前記下地層を析出させる工程では、前記絶縁層の表面から凹み、かつ前記電極につながる溝部をレーザ照射により前記絶縁層に形成することによって、前記溝部を覆う前記下地層が前記絶縁層に析出され、前記めっき層を形成する工程では、無電解めっき、もしくは電解めっき、またはこれらの併用により前記めっき層が形成される。
【発明の効果】
【0025】
本発明にかかる半導体装置およびその製造方法によれば、装置の製造効率の低下を抑制しつつ、半導体素子に比較的大きな電流を流すことが可能となる。
【0026】
本発明のその他の特徴および利点は、添付図面に基づき以下に行う詳細な説明によって、より明らかとなろう。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明を実施するための形態について、添付図面に基づいて説明する。
【0029】
〔第1実施形態〕
図1〜
図9に基づき、本発明の第1実施形態にかかる半導体装置A10について説明する。半導体装置A10は、第1絶縁層11、複数の第1配線層21、半導体素子30、複数の電極33、保護層40、および複数の端子50を備える。半導体装置A10は、配線基板に表面実装される。半導体装置A10の半導体素子30は、単数である。この他、半導体装置A10は、複数の半導体素子30を備える構成でもよい。ここで、
図1は、理解の便宜上、第1絶縁層11を透過している。
図3は、理解の便宜上、
図2に対して保護層40、および複数の端子50を透過している。
図4は、理解の便宜上、
図3に対して複数の第1配線層21をさらに透過している。
【0030】
半導体装置A10の説明においては、半導体素子30の「厚さ方向z」と呼ぶ。厚さ方向zに対して直交する方向を「第1方向x」と呼ぶ。厚さ方向zおよび第1方向xの双方に対して直交する方向を「第2方向y」と呼ぶ。
図1に示すように、半導体装置A10の外形は、厚さ方向zに沿って視て矩形状である。第1方向xは、半導体装置A10の長手方向に対応する。第2方向yは、半導体装置A10の短手方向に対応する。
【0031】
第1絶縁層11は、
図5および
図6に示すように、半導体素子30と、複数の電極33の各々の一部とを覆っている。第1絶縁層11は、熱硬化性の合成樹脂と、複数の第1配線層21の各々の一部(後述する第1下地層21A)を組成する金属元素が含有された添加剤とを含む材料からなる。当該合成樹脂は、たとえば、エポキシ樹脂、またはポリイミドである。第1絶縁層11は、頂面11A、第1裏面11B、および複数の第1端面11Cを有する。頂面11Aおよび第1裏面11Bは、厚さ方向zにおいて互いに反対側を向く。
図4に示すように、第1裏面11Bから複数の電極33の各々の一部が露出している。複数の第1端面11Cは、頂面11Aおよび第1裏面11Bにつながっている。複数の第1端面11Cの各々は、第1方向xおよび第2方向yのいずれかを向く。
【0032】
図7〜
図9に示すように、第1絶縁層11は、複数の第1溝部111を有する。複数の第1溝部111の各々は、第1裏面11Bから厚さ方向zに向けて凹んでいる。
図4に示すように、複数の第1溝部111の各々は、複数の電極33のいずれかにつながっている。さらに、複数の第1溝部111の各々は、厚さ方向zに対して直交する方向に沿って延びている。
図9に示すように、複数の第1溝部111の各々の一対の側面は、第1裏面11Bに対して傾斜している。複数の第1溝部111の各々において、当該一対の側面と、当該第1溝部111の底面との境界における当該第1溝部111の幅b1は、当該一対の側面と、第1裏面11Bとの境界における当該第1溝部111の幅b2よりも小である。
【0033】
複数の第1配線層21は、
図5および
図6に示すように、第1絶縁層11において第1裏面11Bが位置する側に配置されている。より具体的には、複数の第1配線層21の各々は、第1絶縁層11の複数の第1溝部111のいずれかに配置されている。複数の第1配線層21は、半導体装置A10が実装される配線基板と、半導体素子30との導電経路の一部をなしている。複数の第1配線層21の各々は、複数の電極33のいずれかにつながっている。
図7〜
図9に示すように、複数の第1配線層21の各々は、複数の第1溝部111のいずれかに接している。半導体装置A10においては、複数の第1配線層21の各々の一部が、複数の第1溝部111のいずれかからはみ出している。さらに、
図7に示すように、複数の第1配線層21の各々は、凸部21Dを有する。凸部21Dは、厚さ方向zにおいて第1裏面11Bが向く側に突出している。厚さ方向zに沿って視て、凸部21Dは、複数の電極33のいずれかに重なっている。
【0034】
図7〜
図9に示すように、複数の第1配線層21の各々は、第1下地層21Aおよび第1めっき層21Bを有する。第1下地層21Aは、第1絶縁層11に含まれる添加剤に含有された金属元素により組成される。第1下地層21Aは、第1絶縁層11に接している。半導体装置A10においては、第1下地層21Aは、複数の電極33のいずれかに接している。第1めっき層21Bは、複数の第1配線層21のいずれかの第1下地層21Aを覆っている。第1めっき層21Bは、たとえば銅(Cu)を含む材料からなる。
図9に示すように、複数の第1配線層21の各々の第1めっき層21Bは、厚さ方向zに向けて凹む第1凹部21Cを有する。第1凹部21Cは、第1絶縁層11の複数の第1溝部111のいずれかが延びる方向に沿って延びている。
【0035】
半導体素子30は、
図5および
図6に示すように、主面30A、および複数のパッド31を有する。ここで、半導体装置A10においては、半導体素子30は、フリップチップ実装型である。主面30Aは、厚さ方向zにおいて第1絶縁層11の第1裏面11Bと同じ側を向く。複数のパッド31は、主面30Aに設けられている。複数のパッド31の各々は、半導体素子30に構成された回路に導通している。複数のパッド31の各々は、単数の金属層、あるいは厚さ方向zに積層された複数の金属層からなる。
図7に示すように、半導体素子30は、パッシベーション膜32を有する。パッシベーション膜32は、主面30Aを覆っている。パッシベーション膜32から複数のパッド31の各々が露出している。パッシベーション膜32は、たとえばポリイミドを含む材料からなる。
【0036】
複数の電極33の各々は、
図5および
図6に示すように、半導体素子30の複数のパッド31のいずれかにつながっている。これにより、複数の第1配線層21の各々は、半導体素子30に導通している。複数の電極33の各々は、複数のパッド31のいずれかから厚さ方向zに向けて突出している。
図7に示すように、複数の電極33の各々は、バンプ部331を含む。バンプ部331は、複数のパッド31のいずれかに接合され、かつ厚さ方向zに向けて膨出している。半導体装置A10においては、複数のパッド31の各々は、バンプ部331のみから構成される。
図7に示すように、厚さ方向zに沿って視て、バンプ部331の中心における厚さ方向zの寸法t1は、当該バンプ部331の端縁における厚さ方向zの寸法t2と異なる。半導体装置A10においては、寸法t1は、寸法t2よりも大である。複数の電極33の各々は、たとえば銅、または金(Au)を含む材料からなる。
【0037】
保護層40は、
図5および
図6に示すように、第1絶縁層11の第1裏面11Bと、複数の第1配線層21とを覆っている。半導体装置A10を配線基板に実装した際、保護層40は、当該配線基板に対向する。保護層40は、電気絶縁性を有する。保護層40は、たとえばポリイミドを含む材料からなる。
図2および
図8に示すように、保護層40は、複数の開口41を有する。複数の開口41は、保護層40を厚さ方向zに貫通している。複数の第1配線層21の各々の一部は、複数の開口41のいずれかで保護層40から露出している。
【0038】
複数の端子50は、
図3および
図8に示すように、保護層40の複数の開口41から露出する複数の第1配線層21の一部に対して個別に接合されている。複数の端子50は、半導体装置A10を配線基板に実装するために利用される。複数の端子50は、保護層40から厚さ方向zに向けて突出している。
図8に示すように、半導体装置A10が示す例においては、複数の端子50の各々は、基部51およびバンプ部52を有する。基部51は、複数の第1配線層21のいずれかの一部に接している。基部51は、第1絶縁層11の第1裏面11Bから厚さ方向zに離れる向きにおいて、ニッケル(Ni)層、パラジウム層(Pd)、金層の順に積層された複数の金属層からなる。ここで、これらの金属層のうち、パラジウム層は設けなくてもよい。バンプ部52は、基部51および保護層40の双方に接している。バンプ部52は、保護層40から厚さ方向zに向けて突出する部分を含む。バンプ部52は、錫(Sn)を含む材料からなる。バンプ部52は、たとえば鉛フリーハンダからなる。
【0040】
最初に、
図10に示すように、半導体素子30の複数のパッド31に対して複数の電極33を個別に形成する。複数のパッド31は、半導体素子30の厚さ方向zのいずれかの側に設けられている。半導体装置A10においては、先述のとおり、複数のパッド31は、主面30Aに設けられている。複数の電極33の各々は、キャピラリ89を用いたワイヤボンディングにより形成される。複数の電極33の各々は、ボールボンディング部80を含む。ボールボンディング部80が、複数の電極33の各々に含まれるバンプ部331に相当する。ボールボンディング部80は、ワイヤボンディングにおいて最初に形成される円盤状の接合部である。複数のパッド31の各々に対してキャピラリ89を押し当てた後、キャピラリ89から送り出された銅などの金属材料を当該パッド31に接合させることによって、ボールボンディング部80が形成される。
【0041】
次いで、
図11に示すように、半導体素子30を絶縁層81に埋め込む。絶縁層81は、熱硬化性の合成樹脂と、複数の配線層82(詳細は後述)の一部を組成する金属元素が含有された添加剤とを含む材料からなる。当該合成樹脂は、エポキシ樹脂、またはポリイミドである。絶縁層81は、コンプレッション成形により形成される。この際、半導体素子30の複数の電極33の各々の一部が、絶縁層81の表面81Aから露出するようにする。表面81Aは、厚さ方向zにおいて半導体素子30の主面30Aと同じ側を向く。
【0042】
次いで、
図12〜
図15に示すように、複数の電極33につながる複数の配線層82を形成する。複数の配線層82が、半導体装置A10の複数の第1配線層21に相当する。複数の配線層82を形成する工程では、絶縁層81に下地層82Aを析出させる工程と、下地層82Aを覆うめっき層82Bを形成する工程とを含む。
【0043】
まず、
図13に示すように、絶縁層81に下地層82Aを析出させる。下地層82Aは、絶縁層81に含まれる添加剤に含有された金属元素により組成される。本工程では、
図12に示すように、複数の溝部811を絶縁層81に形成する。複数の溝部811の各々は、絶縁層81の表面81Aから凹み、かつ複数の電極33のいずれかにつながっている。複数の溝部811は、複数の電極33の位置をカメラにより画像認識しつつ、絶縁層81にレーザ照射を行うことにより形成される。絶縁層81におけるレーザの照射位置は、画像認識により得られた複数の電極33の位置情報に基づき、逐一補正される。当該レーザは、波長が355nm、かつビームの直径が17μmの紫外線レーザである。絶縁層81にレーザ照射を行うことにより、絶縁層81に含まれる添加剤に含有された金属元素が励起される。これにより、複数の溝部811を覆う下地層82Aが形成される。
【0044】
次いで、
図15に示すように、下地層82Aを覆うめっき層82Bを形成する。めっき層82Bは、銅を含む材料からなる。めっき層82Bは、無電解めっき、もしくは電解めっき、またはこれらの併用により形成される。この際、めっき層82Bが複数の電極33につながるようにする。これにより、
図14に示すように、複数の溝部811の各々には、複数の配線層82が形成される。以上により、複数の配線層82の形成が完了する。
【0045】
次いで、
図16に示すように、絶縁層81の上に積層され、かつ複数の配線層82を覆う保護層83を形成する。保護層83は、厚さ方向zに貫通する複数の開口831を有する。まず、スピンコータを用いて絶縁層81の表面81Aと、複数の配線層82とに感光性ポリイミドを塗布する。次いで、フォトリソグラフィパターニングにより、複数の開口831を当該感光性ポリイミドに形成する。これにより、複数の配線層82の各々の一部が、複数の開口831のいずれかで保護層83から露出する。
【0046】
次いで、
図17に示すように、保護層83の複数の開口831で当該保護層83から露出する複数の配線層82の一部に対して、個別に接合された複数の端子50を形成する。まず、
図8に示す複数の端子50の基部51を形成する。基部51は、無電解めっきにより形成される。次いで、
図8に示す複数の端子50のバンプ部52を形成する。バンプ部52は、鉛フリーハンダなど錫を含む導電材料をリフローにより溶融させた後、冷却により固化させることにより形成される。以上により、複数の端子50の形成がなされる。
【0047】
最後に、
図18に示すように、絶縁層81および保護層83を切断線CLに沿ってダイシングブレードなどで切断することにより、複数の個片に分割する。当該個片は、1つの半導体素子30と、これにつながる複数の配線層82とが含まれるようにする。本工程により個片となった絶縁層81および保護層83が、半導体装置A10の第1絶縁層11および保護層40に相当する。以上の工程を経ることにより、半導体装置A10が製造される。
【0048】
次に、半導体装置A10の作用効果について説明する。
【0049】
半導体装置A10は、半導体素子30のパッド31と、第1配線層21とにつながるとともに、パッド31から厚さ方向zに突出する電極33を備える。電極33は、パッド31に接合され、かつ厚さ方向zに向けて膨出するバンプ部331を含む。厚さ方向zに沿って視て、バンプ部331の中心における厚さ方向zの寸法t1は、バンプ部331の端縁における厚さ方向zの寸法t2と異なる。
【0050】
ここで、
図10に示すように、半導体装置A10の製造方法に関し、半導体素子30に対して電極33を形成する工程では、電極33は、ワイヤボンディングにより形成される。電極33は、当該ワイヤボンディングにより形成されるボールボンディング部80である。ボールボンディング部80が、バンプ部331に相当する。厚さ方向zに対するボールボンディング部80の断面積は、比較的大とすることができる。さらに、ボールボンディング部80は、これと同一体積の金属体を電解めっきで形成するよりも短時間で形成することができる。あわせて、ボールボンディング部80を収容するための開口を絶縁層81に設けることが不要となる。したがって、半導体装置A10によれば、半導体装置A10の製造効率の低下を抑制しつつ、半導体素子30に比較的大きな電流を流すことが可能となる。
【0051】
複数の電極33の各々のバンプ部331において、厚さ方向zに沿って視て、バンプ部331の中心における厚さ方向zの寸法t1は、バンプ部331の端縁における厚さ方向zの寸法t2よりも大である。バンプ部331は、ワイヤボンディングにより形成されたボールボンディング部80に相当するため、このような構成であることがバンプ部331の厚さ方向zの寸法を、より大とすることが容易である。これにより、半導体素子30の主面30Aから第1絶縁層11の第1裏面11Bに至る第1絶縁層11の厚さ方向zの寸法が、より大となる。このことは、半導体装置A10の絶縁耐圧の確保を図る上で好ましい。
【0052】
半導体装置A10の製法方法に関し、配線層82を形成する工程では、下地層82Aを絶縁層81に析出させる工程を含む。本工程では、絶縁層81には、溝部811が形成される。溝部811は、レーザ照射により形成される。これにより、溝部811を覆う下地層82Aが析出される。したがって、レーザ照射により配線層82のパターニングを自在に行うことができる。
【0053】
半導体装置A10の製造方法に関し、配線層82を形成する工程では、下地層82Aを覆うめっき層82Bを形成する工程を含む。本工程において、めっき層82Bを無電解めっきにより形成すると、当該めっき層82Bを電解めっきにより形成する場合と比較して、当該電解めっきを行うために必要な導電経路を絶縁層81の表面81Aに設けることが不要となる。したがって、配線層82を、より効率よく形成することができる。
【0054】
半導体装置A10においては、保護層40および端子50を備える。保護層40は、第1絶縁層11の第1裏面11Bと、第1配線層21とを覆っている。保護層40は、第1配線層21の一部が当該保護層40から露出する開口41を有する。端子50は、開口41で保護層40から露出する第1配線層21の一部に接合され、かつ保護層40から厚さ方向zに突出している。これにより、半導体装置A10を配線基板に実装する際、当該配線基板に対する半導体装置A10の位置決めの精度の向上を図ることができる。
【0055】
さらに、錫を含む材料からなる端子50を採用することによって、半導体装置A10を配線基板に実装する際、リフローにより端子50の少なくとも一部が溶融する。これにより、当該配線基板に対する半導体装置A10の位置ずれが自己修復される効果(セルフアライメント効果)を得ることができる。
【0056】
〔第2実施形態〕
図19〜
図21に基づき、本発明の第2実施形態にかかる半導体装置A20について説明する。これらの図において、先述した半導体装置A10と同一または類似の要素には同一の符号を付して、重複する説明を省略する。
【0057】
半導体装置A20においては、複数の電極33の各々の構成が、先述した半導体装置A10の当該構成と異なる。ここで、
図19の断面位置は、半導体装置A10を示す
図5の断面位置と同一である。
図20の断面位置は、半導体装置A10を示す
図6の断面位置と同一である。
【0058】
図19〜
図21に示すように、複数の電極33の各々のバンプ部331は、複数の領域331Aを含む。複数の領域331Aは、厚さ方向zに積層されている。半導体装置A20においては、複数の電極33の各々のバンプ部331は、3つの領域331Aにより構成されている。
【0059】
<第1変形例>
図22に基づき、本発明の第2実施形態の第1変形例にかかる半導体装置A21について説明する。半導体装置A21においては、複数の電極33の各々の構成が、先述した半導体装置A10の当該構成と異なる。
【0060】
図22に示すように、複数の電極33の各々は、バンプ部331に加えて延出部332を含む。延出部332は、バンプ部331から第1絶縁層11の第1裏面11Bに向けて延びている。延出部332の先端332Aが、複数の第1配線層21のいずれかにつながっている。
【0061】
<第1変形例>
図22に基づき、本発明の第2実施形態の第1変形例にかかる半導体装置A21について説明する。半導体装置A21においては、複数の電極33の各々の構成が、先述した半導体装置A10の当該構成と異なる。
【0062】
図22に示すように、複数の電極33の各々は、バンプ部331に加えて延出部332を含む。延出部332は、バンプ部331から第1絶縁層11の第1裏面11Bに向けて延びている。延出部332の先端332Aが、複数の第1配線層21のいずれかにつながっている。延出部332に厚さ方向zに対して直交する方向の最大寸法d2は、バンプ部331の厚さ方向zに対して直交する方向の寸法d1よりも小である。
【0063】
<第2変形例>
図23に基づき、本発明の第2実施形態の第2変形例にかかる半導体装置A22について説明する。半導体装置A22においては、複数の電極33の各々の構成が、先述した半導体装置A21の当該構成と異なる。
【0064】
図23に示すように、複数の電極33の各々において、複数の第1配線層21のいずれかにつながる延出部332の先端332Aは、バンプ部331に向けて屈曲したループ状をなしている。
【0065】
次に、半導体装置A20の作用効果について説明する。
【0066】
半導体装置A20は、半導体素子30のパッド31と、第1配線層21とにつながるとともに、パッド31から厚さ方向zに突出する電極33を備える。電極33は、パッド31に接合され、かつ厚さ方向zに向けて膨出するバンプ部331を含む。厚さ方向zに沿って視て、バンプ部331の中心における厚さ方向zの寸法t1は、バンプ部331の端縁における厚さ方向zの寸法t2と異なる。したがって、半導体装置A20によっても、半導体装置A20の製造効率の低下を抑制しつつ、半導体素子30に比較的大きな電流を流すことが可能となる。
【0067】
半導体装置A20においては、複数の電極33の各々のバンプ部331は、厚さ方向zに積層された複数の領域331Aを含む。半導体装置A21および半導体装置A22の各々においては、複数の電極33の各々は、バンプ部331から第1絶縁層11の第1裏面11Bに向けて延びる延出部332を含む。延出部332が、第1配線層21につながっている。これらの構成により、複数の電極33の各々の厚さ方向zの寸法を、さらに大とすることが容易である。これにより、半導体素子30の主面30Aから第1裏面11Bに至る第1絶縁層11の厚さ方向zの寸法がさらに大となるため、半導体装置A20の絶縁耐圧の向上を図ることができる。
【0068】
さらに、半導体装置A22の複数の電極33の各々においては、第1配線層21につながる延出部332の部分(
図23に示す先端332A)が、バンプ部331に向けて屈曲したループ状をなしている。このような延出部332の構成によれば、第1配線層21に対する当該延出部332の接触面積を、より大とすることができる。このことは、複数の電極33の各々に、より大きな電流を流す上で好適である。
【0069】
〔第3実施形態〕
図24〜
図30に基づき、本発明の第3実施形態にかかる半導体装置A30について説明する。これらの図において、先述した半導体装置A10と同一または類似の要素には同一の符号を付して、重複する説明を省略する。
【0070】
半導体装置A30においては、第2絶縁層12、および複数の第2配線層22をさらに備えることと、保護層40、および複数の端子50の構成とが、先述した半導体装置A10に対して異なる。ここで、
図24は、理解の便宜上、第1絶縁層11を透過している。
図26は、理解の便宜上、保護層40、および複数の端子50を透過している。
【0071】
第2絶縁層12は、
図27および
図28に示すように、第1絶縁層11の第1裏面11Bに接して配置されている。第2絶縁層12は、熱硬化性の合成樹脂と、複数の第2配線層22の各々の一部(後述する第2下地層22A)を組成する金属元素が含有された添加剤とを含む材料からなる。当該合成樹脂は、たとえば、エポキシ樹脂、またはポリイミドである。第2絶縁層12は、対向面12A、第2裏面12B、および複数の第2端面12Cを有する。対向面12Aおよび第2裏面12Bは、厚さ方向zにおいて互いに反対側を向く。これらのうち対向面12Aは、第1裏面11Bに接している。複数の第2端面12Cは、対向面12Aおよび第2裏面12Bにつながっている。複数の第2端面12Cの各々は、第1方向xおよび第2方向yのいずれかを向く。複数の第2端面12Cの各々は、第1絶縁層11の複数の第1端面11Cのいずれかと面一である。
【0072】
図24、
図26および
図29に示すように、第2絶縁層12は、複数の貫通部122を有する。複数の貫通部122の各々は、厚さ方向zにおいて対向面12Aが位置する側から第2裏面12Bが位置する側に至るとともに、第2絶縁層12を厚さ方向zに貫通している。複数の貫通部122の各々は、第2絶縁層12の複数の内周面122Aのいずれかにより規定されている。複数の内周面122Aの各々は、対向面12Aに対して傾斜している。複数の内周面122Aの各々は、厚さ方向zにおいて第2裏面12Bが位置する側から対向面12Aが位置する側にかけて当該内周面122Aが規定する複数の貫通部122のいずれかに向けて倒れる姿勢をとる。したがって、複数の貫通部122の各々の厚さ方向zに対する横断面積は、対向面12Aが位置する側から第2裏面12Bが位置する側に向かうほど、徐々に大である。
【0073】
図26、
図29および
図30に示すように、第2絶縁層12は、複数の第2溝部121を有する。複数の第2溝部121の各々は、第2裏面12Bから厚さ方向zに向けて凹んでいる。複数の第2溝部121の各々は、複数の貫通部122のいずれかにつながっている。
図24に示すように、複数の第2溝部121の各々は、厚さ方向zに対して直交する方向に沿って延びている。
図28に示すように、複数の第2溝部121の各々の一対の側面は、第2裏面12Bに対して傾斜している。複数の第2溝部121の各々において、当該一対の側面と、当該第2溝部121の底面との境界における当該第2溝部121の幅b3は、当該一対の側面と、第2裏面12Bとの境界における当該第2溝部121の幅b4よりも小である。
【0074】
複数の第2配線層22は、
図27および
図28に示すように、第2絶縁層12に配置されている。複数の第2配線層22は、複数の第1配線層21とともに、半導体装置A10が実装される配線基板と、半導体素子30との導電経路の一部をなしている。複数の第2配線層22の各々は、主部221および連絡部222を含む。
図24、
図26および
図29に示すように、連絡部222は、第2絶縁層12の複数の貫通部122のいずれかに収容されている。連絡部222は、当該貫通部122を規定する複数の内周面122Aのいずれかに接している。連絡部222は、複数の第1配線層21のいずれかにつながっている。
図26〜
図28に示すように、主部221は、複数の第2配線層22のいずれかの連絡部222につながり、かつ第2絶縁層12において第2裏面12Bが位置する側に配置されている。より具体的には、主部221は、第2絶縁層12の複数の第2溝部121のいずれかに配置されている。主部221は、当該第2溝部121に接している。
図29および
図30に示すように、半導体装置A20においては、複数の第2配線層22の各々の主部221の一部が、複数の第2溝部121のいずれかからはみ出している。
【0075】
図24および
図26に示すように、厚さ方向zに沿って視て、複数の第2配線層22の各々の連絡部222の少なくとも一部が、複数の第1配線層21のいずれかに重なっている。
図26に示すように、厚さ方向zに沿って視て、複数の第2配線層22の各々の主部221は、複数の第1配線層21のいずれかに重なる部分を含むとともに、当該第1配線層21が延びる方向とは異なる方向に沿って延びている。
【0076】
図29に示すように、複数の第2配線層22の各々の連絡部222および主部221は、第2下地層22Aおよび第2めっき層22Bを有する。第2下地層22Aは、第2絶縁層12に含まれる添加剤に含有された金属元素により組成される。第2下地層22Aは、第2絶縁層12に接している。第2絶縁層12の複数の内周面122Aの各々は、複数の第2配線層22のいずれかの連絡部222をなす第2下地層22Aに覆われている。第2めっき層22Bは、複数の第2配線層22のいずれかの第2下地層22Aを覆っている。第2めっき層22Bは、たとえば銅を含む材料からなる。複数の第2配線層22の各々の連絡部222において、第2めっき層22Bが、複数の第1配線層21のいずれかに接している。
図30に示すように、複数の第2配線層22の各々の主部221の第2めっき層22Bは、厚さ方向zに向けて凹む第2凹部22Cを有する。第2凹部22Cは、第2絶縁層12の複数の第2溝部121のいずれかが延びる方向に沿って延びている。
【0077】
図27および
図28に示すように、保護層40は、第2絶縁層12の第2裏面12Bと、複数の第2配線層22の主部221とを覆っている。半導体装置A20を配線基板に実装した際、保護層40は、当該配線基板に対向する。複数の第2配線層22の各々の主部221の一部は、複数の開口41のいずれかで保護層40から露出している。
図25に示すように、複数の端子50は、複数の開口41から露出する複数の第2配線層22の主部221の一部に対して個別に接合されている。
【0078】
次に、半導体装置A30の作用効果について説明する。
【0079】
半導体装置A30は、半導体素子30のパッド31と、第1配線層21とにつながるとともに、パッド31から厚さ方向zに突出する電極33を備える。電極33は、パッド31に接合され、かつ厚さ方向zに向けて膨出するバンプ部331を含む。厚さ方向zに沿って視て、バンプ部331の中心における厚さ方向zの寸法t1は、バンプ部331の端縁における厚さ方向zの寸法t2と異なる。したがって、半導体装置A30によっても、半導体装置A30の製造効率の低下を抑制しつつ、半導体素子30に比較的大きな電流を流すことが可能となる。
【0080】
半導体装置A30は、対向面12A、第2裏面12Bおよび貫通部122を有する第2絶縁層12と、主部221および連絡部222を有する第2配線層22とをさらに備える。対向面12Aは、第1絶縁層11の第1裏面11Bに接している。連絡部222は、貫通部122に収容され、かつ第1配線層21につながっている。主部221は、連絡部222につながり、かつ第2絶縁層12において第2裏面12Bが位置する側に配置されている。第1配線層21は、第2絶縁層12に覆われている。厚さ方向zに沿って視て、連絡部222の少なくとも一部が、第1配線層21に重なっている。これにより、半導体装置A30において、第1配線層21と第2配線層22との導通経路の短絡が生じることなく、厚さ方向zに沿って視て、主部221が、第1配線層21に重なる配置形態をとることができる。したがって、半導体装置A30によれば、半導体装置A10よりも複雑な導通経路を構成することができる。
【0081】
本発明は、先述した実施形態に限定されるものではない。先述した実施形態の各々が複数の半導体素子30を備える構成でもよい。複数の半導体素子30の各々の種類は、要求される用途や機能に応じて自在に選定できる。さらに、先述した実施形態は、いずれも外形が厚さ方向zに沿って視て矩形状であるが、これらの外形は矩形状に限定されず、たとえば円形状や六角形状でもよい。本発明の各部の具体的な構成は、種々に設計変更自在である。